合同セッション (8月9日 会議室A) | |
9:10 - 9:40 | |
MOPOA01 | イオンビーム照射施設TIARAにおける技術開発 Ion beam technology developments in the TIARA facility ○斎藤 勇一(QST高崎研) ○Yuichi Saitoh (QST Takasaki) イオンビーム照射施設TIARAは材料開発、バイオ研究専用の照射施設として1991年に2台の加速器により部分的に照射利用を開始して、1993年から4台のイオン加速器を利用した完全運用を行っている。以来、約30年に渡り主にユーザーの要望に応えるべく、技術開発を行っている。それらについて紹介し、その中で、特にタンデム加速器を用いたクラスターイオン加速について、独自に開発した負フラーレンイオン源を用いて、高強度のMeV級C_60_イオンを実現したので、応用例とともに紹介する。 |
9:40 - 10:10 | |
MOPOA02 | ハイパーカミオカンデとJ-PARCビーム高性能化 Hyper-Kamiokande and upgrade of the J-PARC beam ○坂下 健(高エネルギー加速器研究機構) ○Ken Sakashita (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) ハイパーカミオカンデ実験では、J-PARC加速器ニュートリノを用いたニュートリノCP対称性の破れの研究や陽子崩壊の探索など、様々な物理の研究が行われる。これらの研究にむけて、現在ハイパーカミオカンデ検出器本体の建設とJ-PARC加速器およびニュートリノビームラインの高度化が進められている。J-PARCの高度化では、ビームパワーを現行の500kWから1.3MWへの増強を行う。本講演では、ハイパーカミオカンデ実験でのJ-PARC加速器高度化の重要性に加え、1.3MWにむけたビームスタディの状況や新しい機器や設備の準備状況などについて議論する。 |
10:10 - 10:40 | |
MOPOA03 p.1 | ミューオン加速器で探る未知の素粒子現象 Muon accelerator explores unknown elementary particle physics ○大谷 将士(高エネルギー加速器研究機構) ○Masashi Otani (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) なぜ宇宙から反物質が消え去り、物質だけが生き残ったのか?暗黒物質の正体はいったい何なのか?素粒子の標準理論では答えることができないこれらの謎の解明には、標準理論では説明できない新現象を捉える必要がある。2021年4月にフェルミラボ研究所(FNAL)が発表したミューオン異常磁気能率(g-2)の精密測定結果は、10年以上前のブルックヘブン研究所(BNL)の測定値と無矛盾であり、標準理論による計算値とのズレは4.2標準偏差に達した。しかし、FNAL実験は、測定のかなめである直径14mのミューオン蓄積リングをBNL実験から再利用した同じ原理の測定であり、測定に由来する不定性を排除したとは言い切れない。よって、ミューオンg-2の問題に決着をつけ、新物理を紐解くためには、新しい測定原理のミューオンg-2実験が必要不可欠である。 我々はJ-PARCにおいてミューオンの冷却・加速によって得られるこれまでにない低エミッタンスビームを用いた全く新しい測定原理のミューオンg-2実験を準備している。本実験では、ミューオンをミューオニウムレーザーイオン化によって4MeVから25meVまで冷却し、その後、ミューオン線型加速器によって212MeVまで加速する。ミューオン線型加速器は324MHz RFQ、IH-DTL、1296MHz DAW-CCL、disk-loaded structureから構成され、RFQプロトタイプによる世界で初めてのミューオンの高周波加速を実現し、後段の加速空洞も製作に着手している。本講演では、実験の概要とミューオン線型加速器の開発状況について報告する。 |
10:40 - 11:10 | |
MOPOA04 [Slides] | Compact ERLを用いた中赤外FELの開発とFEL発振 Development of mid-infrared FEL based on Compact ERL and first lasing of FEL ○阪井 寛志,加藤 龍好,土屋 公央,谷本 育律,本田 洋介,宮島 司,島田 美帆,帯名 崇,高井 良太,中村 典雄,原田 健太郎,高木 宏之,満田 史織,東 直,山本 将博,福田 将史,田中 織雅,野上 隆史,江口 柊,塩屋 達郎,下ヶ橋 秀典,多田野 幹人,長橋 進也,濁川 和幸,三浦 孝子,Feng Qiu,荒川 大,梅森 健成,許斐 太郎,加古 永治,仲井 浩孝,中西 功太,清水 洋孝,原 和文,本間 輝也,小島 裕二,河田 洋,内山 隆司(KEK),羽島 良一,川瀬 啓悟(QST),坂本 文人(秋田高専),Norvell Nora(SLAC),佐藤 正健,屋代 英彦,欠端 雅之(AIST) ○Hiroshi Sakai, Ryukou Kato, Kimichika Tsuchiya, Yasunori Tanimoto, Yosuke Honda, Tsukasa Miyajima, Miho Shimada, Takashi Obina, Ryota Takai, Norio Nakamura, Kentaro Harada, Hiroyuki Takaki, Chikaori Mitsuda, Nao Higashi, Masahiro Yamamoto, Masafumi Fukuda, Olga Tanaka, Takeshi Nogami, Shu Eguchi, Tatsuro Shioya, Hidenori Sagehashi, Mikito Tadano, Shinya Nagahashi, Kazuyuki Nigorikawa, Takako Miura, Qiu Feng, Dai Arakawa, Kensei Umemori, Taro Konomi, Eiji Kako, Hirotaka Nakai, Kota Nakanishi, Hirotaka Shimizu, Kazufumi Hara, Teruya Honma, Yuji Kojima, Hiroshi Kawata, Takashi Uchiyama (KEK), Ryoichi Hajima, Keigo Kawase (QST), Fumito Sakamoto (NIT,AC), Nora Norvell (SLAC), Tadatake Sato, Hidehiko Yashiro, Masayuki Kakehata (AIST) 近年、金属に代わる軽量で低コストな工業用素材として樹脂材料の高効率加工の需要が増えている。樹脂材料の吸収ピーク波長は分子構造起因の急峻なピークを持ち、5~20 μm の中赤外波長領域にあり、既存のレーザー波長ではカバーされておらず、高品質高効率の樹脂のレーザー加工は困難である。様々な樹脂に対する吸収ピークを狙い撃ちするために、波長可変な高強度高平均中赤外レーザーの開発が高効率加工にとっては重要である。KEKでは、NEDO「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」プロジェクトにおける「分子振動を利用する高効率加工プロセス用中赤外高出力レーザー光源開発」の研究開発テーマとして採択され、2018年度後半から、中赤外FEL(MIR-FEL)の開発を開始した。目的は、KEKにあるCompact ERL(cERL)にて、MIR-FELを建設し、そのFELを産業用レーザーの開発に必要な加工用データベースを構築するための光源として使用することである。2020年6月にcERLで2台のアンジュレータを用いたFEL実験を開始したことを昨年の加速器学会で口頭発表を行った。本発表では、このFELシステムの概要を話すとともに、その後の、FELシステムの改造とそれによる光増幅実験について報告し、得られた中赤外光の性能およびその光を用いた照射実験について報告する。 |
加速器応用・産業利用 (8月9日 会議室A) | |
15:50 - 16:10 | |
MOOA01 p.6 | 高専における加速器製作活動~AxeLatoon~ AxeLatoon~activities for making accelerators in KOSEN 大谷 将士(KEK),阿部 優樹(総研大),岩下 芳久(京大),岡田 貴文(KEK),奥村 紀浩(長野高専),小野寺 礼尚(茨城高専),加藤 清考(小山高専),北口 雅暁(名大),高橋 将太(KEK),高梨 宇宙,竹谷 篤(理研),高橋 光太郎(総研大),内藤 富士雄(KEK),服部 綾佳(茨城高専),○広田 克也,古坂 道弘(KEK),三宅 晶子(茨城高専),山口 孝明(総研大),渡邊 康(理研) Masashi Otani (KEK), Yuki Abe (SOKENDAI), Yoshihisa Iwashita (Kyoto Univ.), Takafumi Okada (KEK), Norihiro Okumura (Nagano Kosen), Reisho Onodera (Ibaraki Kosen), Seikou Kato (Oyama Kosen), Masaaki Kitaguchi (Nagoya Univ.), Shota Takahashi (KEK), Takaoki Takanashi, Atsushi Taketani (RIKEN), Kotaro Takahashi (SOKENDAI), Fujio Naito (KEK), Ayaka Hattori (Ibaraki Kosen), ○Katsuya Hirota, Michihiro Michihiro (KEK), Shoko Miyake (Ibaraki Kosen), Takaaki Yamaguchi (SOKENDAI), Yasushi Watanabe (RIKEN) 近年、加速器技術の産業・医療応用など様々な展開が加速している。持続的な本分野の発展には、次世代を担う技術者・研究者の育成・獲得が不可欠である。そこで我々は、5年間あるいは7年間の一貫した専門教育を行う国際的にみてもユニークな高等教育機関である高専において、実際に加速器製作を行いワークショップを展開する活動「AxeLatoon」を開始した。近隣分野では宇宙線観測実習などが行われている一方で、加速器分野においては大型加速器実験のデータを使った解析演習などがメインであり、実際に加速器に触れたり作ったりする機会は皆無である。本活動では総じて高い技術力を持つ高専生が主体となって加速器製作を行うことで、世界的にもユニークな実際に加速器に触って遊べるアウトリーチ活動を実現する。2020年度から活動を開始し、茨城高専でワークショップの開催と小型サイクロトロン加速器を製作、2021年度は小山高専や長野高専でワークショップを開催し、他高専へ活動を展開する計画である。本ポスターではこれまでの活動と今後の展望について発表する。 |
16:10 - 16:30 | |
MOOA02 p.10 [Slides] | 山形大学医学部東日本重粒子センター建設の現状 (3) Construction status of East Japan Heavy Ion Center, Faculty of Medicine, Yamagata University (3) ○岩井 岳夫,想田 光,金井 貴幸,宮坂 友侑也,李 聖賢,柴 宏博(山形大・医),勝間田 匡(加速器エンジニアリング),佐藤 啓,佐藤 慎哉,上野 義之,根本 建二(山形大・医) ○Takeo Iwai, Hikaru Souda, Takayuki Kanai, Yuya Miyasaka, Sung Hyun Lee, Hongbo Chai (School of Medicine, Yamagata Univ.), Masashi Katsumata (AEC), Hiraku Sato, Shinya Sato, Yoshiyuki Ueno, Kenji Nemoto (School of Medicine, Yamagata Univ.) 山形大学医学部では2017年に重粒子線治療施設建設プロジェクトを開始した。主加速器は普及小型重粒子線治療装置の設計を踏襲した430 MeV/uシンクロトロンであり、水平ポートのみの固定照射室1室と、超伝導回転ガントリー照射室1室の計2室で炭素線による治療を実施する。 新規要素としては、放医研・東芝で開発された大偏向角の小型スキャニング電磁石を採用したことが挙げられる。これにより建屋の小型化および超伝導回転ガントリーの小型化が実現した。照射装置にレンジシフタを設置せず、シンクロトロンで約600段のエネルギーをスピル内変更するフルエネルギースキャンを行うことも新たな試みである。シンクロトロン偏向電磁石は従来よりも磁極間隙を狭くすることで、大幅な省電力化を実現している。建設状況については、2019年5月に建屋が竣工、2019年8月に装置が完成した。超伝導電磁石や建屋設備のトラブルなどでプロジェクトは当初予定より1年程度遅延していたが、2021年2月に固定照射室の治療運用を開始した。固定照射室は前立腺癌の保険診療を主目的に使用され、予約患者数は順調に増加している。固定照射室での治療と回転ガントリー照射室のコミッショニングを並行して進め、2021年夏には回転ガントリーを使用した治療を開始する予定である。講演では、最新のセンター運用状況について報告する。 |
16:30 - 16:50 | |
MOOA03 p.13 [Slides] | レーザー加速イオンの超伝導シンクロトロンへの直接入射の検討Ⅳ Direct injection of laser-accelerated ions into a superconducting synchrotron IV ○野田 悦夫,白井 敏之,岩田 佳之,水島 康太,野田 章,近藤 公伯(量研機構),藤本 哲也(加速器エンジニアリング) ○Etsuo Noda, Toshiyuki Shirai, Yoshiyuki Iwata, Kota Mizushima, Akira Noda, Kiminori Kondo (QST), Tetsuya Fujimoto (AEC) 量研機構では、超伝導技術とレーザー加速技術を用いて重粒子線がん治療装置の小型化を目指す量子メスプロジェクトを進めている。その一環として、レーザー加速イオンの超伝導シンクロトロンへの直接入射に関するフィージビリティスタディを行っている。これまで、Beam Transportとパルス圧縮以降のレーザー光学系とビーム発生チャンバーをシンクロトロンの内側に設置することを想定して、Beam Transportを設計し、シンクロトロンでの最終的な補足粒子数を軌道計算により調べてきた。レーザー加速イオンで治療に必要な粒子数を得るためには、利用する粒子の速度広がりが10%程度必要となるため、位相回転によるエネルギー圧縮を行い、さらに、空間電荷効果を少しでも低減するために、位相回転の位置をできるだけ後ろに持ってくる設計を行った。検討の結果、最終捕捉粒子数の減少にはシンクロトロン周回中での空間電荷効果が最も大きく寄与することが分かった。これまでは、計算を簡単にするため空間電荷の大きさが少し過大評価となる方向で計算をしていた。今回、周回ごとにアクセプタンス内の粒子数を調べることで空間電荷効果を評価した。その結果、予想通り最終補足粒子数が増加し、加速イオンのエネルギー広がり、レーザーによる生成粒子のバラツキ等を考慮しても目標とする1E8個の粒子数が最終的に捕捉できることが、今回の計算で確かめられた。各パラメータ依存の結果も含め報告する。 |
16:50 - 17:10 | |
MOOA04 | High-Temperature Superconducting Skeleton Cyclotron (HTS-SC) for AB-mBNCT and Production of Radioisotopes ○Hui Wen Koay, Mitsuhiro Fukuda, Hiroki Kanda, Tetsuhiko Yorita (Research Center for Nuclear Physics (RCNP)) Since the introduction of superconducting coils into cyclotron technology, the overall size and efficiency of a cyclotron has improved significantly over the past decade. These advantages result in its widespread for various medical applications. Therefore, High-Temperature Superconducting Skeleton Cyclotron (HTS-SC) was proposed to deliver a high intensity H+ beam for accelerator-based multi-port Boron Neutron Capture Therapy (AB-mBNCT) system and the production of medical radioisotopes (RI). HTS-SC is a unique air-core K-80 cyclotron. It consists of a series combination of air-core high-temperature superconducting (HTS) coils for magnetic field optimization. This work discusses the overview of HTS-SC, including the general configuration, beam dynamics, as well as a brief description of its sub-components. In order to achieve a relatively high intensity of such a compact machine, particular attention is given at injection and extraction, where the beam condition is volatile and beam loss is serious. Finally, this work concluded the feasibility of HTS-SC to inject, accelerate and extract more than 0.5 mA H+ for AB-mBNCT and RI production. |
加速器土木・放射線防護 (8月9日 会議室A) | |
17:20 - 17:40 | |
MOOA05 p.18 [Slides] | J-PARC MR 防災システムの進展 Progress of J-PARC MR Disaster Prevention System ○川端 康夫,松田 浩朗,松元 和伸(飛島建設株式会社),田頭 茂明(関西大学),石井 恒次,山本 昇,別所 光太郎(KEK),吉岡 正和(岩手大学・東北大学) ○Yasuo Kawabata, Hiroaki Matsuda, Kazunobu Matsumoto (TOBISHIMA CORP.), Shigeaki Tagashira (Kansai Univ.), Koji Ishii, Noboru Yamamoto, Kotaro Bessho (KEK), Masakazu Yoshioka (Iwate Univ.,Tohoku Univ.) 2019 年にJ-PARC MR 加速器トンネルにおいて、作業者のリアルタイム位置情報、及び双方向情報伝達等を実現するために、測位機能を有した防災システムの運用を開始した。同年、厚生労働省の科学研究費補助金に採択され、2021年度までの3年間でJ-PARC MRでの完全運用を目指している。2020 年は、①地上の電源棟にも LAN を繋いで本システムの使用を可能にし、利便性の向上を図った。②トンネル内に設置した 30 個の AP の耐放射線性を向上するために、ビーム運転時の AP 電源 OFF が必要とされるが、自動で ON/OFF する装置の導入を行った。③ 360 度カメラの接続してトンネル内機器のモニター等で活用できるようにした。④QR コードを読み取ることで放射線測定値と場所を自動で読み込む機能も追加する。今後、利用者数の増加を目指し、災害時対策の充実に加えて日常使用の利便性を向上する方向で開発に取り組んでいる。これら防災システムの進展状況について報告するとともに、今後の研究開発による本システムの発展性にも言及する。 |
17:40 - 18:00 | |
MOOA06 p.23 [Slides] | 吸着式蓄熱材を用いた大型加速器からの排熱利用に関する研究(2) ~蓄熱材ハスクレイによる排熱利用の実証試験~ Study of Utilizing Waste Heat from A Large-scale Accelerator with Adsorption Thermal Storage Materials (2) - Field test of waste heat utilization using thermal storage material HASClay - ○佐々木 明日香,水戸谷 剛,赤堀 卓央(東日本機電開発株式会社),鈴木 正哉,万福 和子(産業技術総合研究所),小久保 孝,谷野 正幸,佐藤 現,村岡 慎一(高砂熱学工業株式会社),高橋 福巳,姉帶 康則(株式会社WING),大平 尚(岩手県),吉岡 正和,成田 晋也(岩手大学) ○Asuka Sasaki, Goh Mitoya, Takao Akabori (HKK), Masaya Suzuki, Kazuko Manpuku (AIST), Takashi Kokubo, Masayuki Tanino, Gen Sato, Shinichi Muraoka (Takasago Thermal Engineering Co., Ltd.), Fukumi Takahashi, Yasunori Anetai (WING Co., Ltd.), Hisashi Odaira (Iwate Prefectural Office), Masakazu Yoshioka, Shinya Narita (Iwate University) Construction of the International Linear Collider (ILC) in Japan has been considered. The utilization of waste heat from the ILC is an important issue from the perspective of building a sustainable energy system. We have been developing the heat recovery and utilization technology using the water vapor adsorption material HASClay for recovering low-grade waste heat from accelerators. In particular, we have been conducting research to establish offline heat transportation system using portable containers in mountain areas with low population density, considering the regional characteristics of Iwate Prefecture where is a candidate site for the ILC. We are also considering the establishment of a new heat supply service by combining not only the ILC but also various low-grade heat sources in the area around the ILC. We have so far developed a portable container that can be filled with about 10 kg of dried HASClay, and evaluated its heat storage and radiation performance. In this paper, we report on a field test of offline transportation of heat using the containers, in which heat recovered from a hot spring was utilized in an agricultural facility. |
18:00 - 18:20 | |
MOOA07 p.26 [Slides] | 東北地方太平洋沖地震後の地殻変動によるILC実験施設への影響検討 Investigation of the effect to ILC experiment facilities by tectonic deformation after the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake ○関根 一郎,若竹 亮(戸田建設(株)),吉岡 正和,佐貫 智行(東北大学) ○Ichiro Sekine, Ryo Wakatake (Toda Corporation), Masakazu Yoshioka, Tomoyuki Sanuki (Tohoku University) 日本列島は環太平洋造山帯に位置するので、国際リニアコライダー(ILC)の日本への立地に当たって、地震の影響を検討しておく必要がある。地下施設では地震の影響が小さいことなどが既に示されているが、地震による影響の一つとして地殻変動の影響が考えられる。2011年に発生した東北地方太平洋沖地震の前も太平洋プレートが移動する影響により日本列島は地殻変動していたが、東北地方太平洋沖地震後も地殻は余効運動により変動している。その変動量、長期的な傾向を把握し、ILC実験施設に与える影響があるか明らかにしておくことは、加速器施設の計画において有意義なことである。本研究では、国土地理院が公開するGNSSによる地殻変動データを基づいて、東北地方太平洋沖地震後のILC北上候補サイト周辺での地殻移動量を算出し、ILC実験施設に与える影響の程度を検討した。その結果、地殻変動は継続的に続いているが、その大きさはアライメントの再調整の観点、衝突実験の軌道補正の観点から影響は小さいことが明らかになった。 |
電磁石と電源① (8月9日 会議室B) | |
15:50 - 16:10 | |
MOOB01 p.30 [Slides] | 3GeV放射光蓄積リング電子ビームサイズモニター用3極ウィグラーの開発 Development of a 3-pole wiggler for the electron beam size monitor in the 3GeV synchrotron radiation ring ○上島 考太(量研),高野 史郎(高輝度光科学研究センター、理研、量研),前坂 比呂和(理研),正木 満博,藤田 貴弘(高輝度光科学研究センター、量研),出羽 英紀(高輝度光科学研究センター),渡部 貴宏,深見 健司(高輝度光科学研究センター、理研、量研),谷内 努(高輝度光科学研究センター),西森 信行(量研) ○Kota Ueshima (QST), Shiro Takano (JASRI,RIKEN,QST), Hirokazu Maesaka (RIKEN), Mitsuhiro Masaki, Takahiro Fujita (JASRI,QST), Hideki Dewa (JASRI), Takahiro Watanabe, Kenji Fukami (JASRI,RIKEN,QST), Tsutomu Taniuchi (JASRI), Nobuyuki Nishimori (QST) 東北大学青葉山新キャンパスで建設が進む次世代放射光施設の3GeV電子蓄積リングでは、ビーム診断のために1.6mの短直線部2本を用い、そのうちのセル16短直線部に光診断用3極ウィグラーを設置する計画である。3極ウィグラーを硬X線から可視光までの広帯域の波長スペクトルの光源に用いて、硬X線のピンホールカメラによる電子ビームプロファイル測定に加え、可視光線を実験ホール側に取り出してストリークカメラを用いたバンチ長測定を行う。3GeV電子蓄積リングの水平エミッタンス1.14nm rad及びカップリング比は1%であり、短直線部のビームサイズは80μm(水平方向)、6μm(鉛直方向) std.となる。X線ピンホールカメラは、回折の影響を避けて必要な分解能を得るために50 keV程度の硬X線で測定を行う。このための光源装置として、放射線による減磁の影響が少ないSm2Co17永久磁石と電磁軟鉄とを組合わせてピーク磁場1.2T以上を得る3極ウィグラーの磁気回路を設計した。同時に、同じ短直線部に設置されるDCCTのセンサーヘッド側への漏れ磁場を抑制する設計を行った。電子ビーム軌道に影響を与えないために、3極ウィグラーの積分磁場は短直線部前後に設置されるステアリング電磁石で十分補正できる値に抑える必要がある。このために検討した、製作段階で永久磁石の磁気特性に応じて電磁軟鉄の磁極形状を微調整し積分磁場の値を許容される値に抑制する設計手法について報告する。 |
16:10 - 16:30 | |
MOOB02 p.34 [Slides] | 次世代放射光光源のためのDCセプタム電磁石開発 Developments of DC septum electromagnet for next generation light sources ○山口 博史,谷内 努(高輝度光科学研究センター),深見 健司,渡部 貴宏,高野 史郎(高輝度光科学研究センター, 理研, 量研),竹村 育浩(スプリングエイトサービス) ○Hiroshi Yamaguchi, Tsutomu Taniuchi (JASRI), Kenji Fukami, Takahiro Watanabe, Shiro Takano (JASRI, Riken, QST), Yasuhiro Takemura (SES) 次世代放射光光源入射部のDCセプタム電磁石として、コイル電流密度を従来のDirect-drive型の1/10以下に抑えた電磁石を設計・製作した。 DCセプタム磁石には、入射ビームに所定の磁場を印加し、近接する蓄積ビームには磁場をかけないことが要求される。Direct-drive型では、コイルをギャップ内に設置して磁気遮蔽の役割も持たせることで漏れ磁場を抑えるため、入射ビームと蓄積ビームを近づけようとするとコイルの断面積が小さくなり、コイルの電流密度が上がってしまう。電流密度が上がると、電源や冷却水に多大な負荷がかかるとともに、熱サイクルによりコイルの絶縁層が擦れて破れる等の故障のリスクも大きくなる。 本開発ではこれらの問題を回避するため、ギャップの外側に磁気遮蔽板を設けることでコイルから磁気遮蔽の役割を外し、コイルをギャップ外に配置してコイル断面積を増やす設計を行った。その結果、Direct-drive型と比較してコイルの電流密度を1/17に抑えることができた。また、遮蔽板をコイルの外側まで延長してギャップからの漏れ磁場と逆向きの磁束を遮蔽板に導き、ギャップ付近で打ち消し合うようにすることで薄い遮蔽板を実現し、入射ビームと蓄積ビームの距離を短縮しつつ蓄積ビーム領域への漏れ磁場を地磁気レベルに抑えることができる構造とした。 本講演では、試作機の設計及び磁場測定の結果を報告する。 |
16:30 - 16:50 | |
MOOB03 p.39 [Slides] | KEK-PFにおけるパルス多極電磁石入射用セラミックスチェンバー一体型パルスマグネットの新たな開発 New development of Ceramics Chamber with integrated Pulsed Magnet for pulsed multipole injection at KEK-PF ○Lu Yao(総研大),満田 史織,高木 宏之,帯名 崇,原田 健太郎,高井 良太,小林 幸則,野上 隆史,内山 隆司(高エネ研) ○Yao Lu (SOKENDAI), Chikaori Mitsuda, Hiroyuki Takaki, Takashi Obina, Kentaro Harada, Ryota Takai, Yukinori Kobayashi, Takashi Nogami, Takashi Uchiyama (KEK) The KEK-PF is now engaged in the development of multipole injection scheme. An experiment of pulsed sextupole injection has been performed successfully. Although this method could inject a beam into the storage ring without large perturbation, the stored beam is still disturbed due to eddy current effects of iron core magnet. To suppress the perturbation completely, Ceramics Chamber with integrated Pulsed Magnet(CCiPM) of an air core magnet, which is developed specially as fast pulsed kicker, is being expanded to multipole pulsed magnet, which could generate a Octupole-like magnetic field. To examine the performance of CCiPM, some preliminary experiments are conducted such as durability test, current excitation test and magnetic field measurement to evaluate the mechanical performance and magnetic field quality. The design and experimental results of Octupole-type CCiPM will be reviewed. |
16:50 - 17:10 | |
MOOB04 p.44 | 3次元らせんビーム入射の実証実験における輸送ライン四極電磁石の回転角制御 Control of rotation angles of transport line quadrupole magnets in a demonstration experiment of three-dimensional spiral beam injection ○平山 穂香,飯沼 裕美(茨城大学),リーマン ムハンマド アブドゥル,大澤 哲,中山 久義,古川 和朗,三部 勉,染谷 宏彦(高エネルギー加速器研究機構) ○Honoka Hirayama, Hiromi Iinuma (Ibaraki University), Muhammad Abdul Rehman, Satoshi Ohsawa, Hisayoshi Nakayama, Kazurou Furukawa, Tsutomu Mibe, Hirohiko Someya (KEK) Muonの異常磁気モーメント(g-2)と電気双極子モーメント(EDM)を超精密測定する、Muon g-2/EDM実験の準備がJ-PARCで進んでいる。Muon g-2は標準模型による理論値と実験値(米国E821, E989)との間に4σ以上の相違がある物理量であり、新物理の兆候と期待される。また、muon EDMの有限値は時間反転対称性の破れの実験的な証拠になるので、実験感度を上げて直接検出を目指している。本実験では、医療用MRI磁石を応用した直径66 cmのソレノイド型磁石にミューオンビームを入射・蓄積してスピン歳差運動を測定する。3次元らせん入射という前例のないビーム入射方法を採用するため、電子ビームを用いた実証実験に取り組んでいる。3次元らせん入射に必要なビーム位相空間上の水平方向と垂直方向の相関(X-Y結合)を適切に制御するためには、ビーム輸送ラインの回転四極電磁石の回転角と電流値の精密調節が必須である。本発表では、回転角を精密に調節して実験の再現性を確保するためのリモート機械制御装置の設計と製作について報告する。ビーム位相空間のX-Y結合の最適解を設計し、テストビームラインでの実測値との比較から回転角の制御の要求精度を決定する。さらに、J-PARCでの本番実験用の輸送ラインにおける回転四極電磁石の回転機構の制御の仕様も議論する。 |
電磁石と電源② (8月9日 会議室B) | |
17:20 - 17:40 | |
MOOB05 p.48 | STF における超伝導電磁石開発の取り組み R&D activities report on superconducting magnet in STF ○清水 洋孝,宗 占國,木村 誠宏,山本 明(KEK) ○Hirotaka Shimizu, Zhanguo Zong, Nobuhiro Kimura, Akira Yamamoto (KEK) SRF 技術を用いた加速器計画では、Nbで作られた超伝導加速空洞は、 全てクライオモジュールの中に収められる。同時に、ビームの輸送に必要な4極電磁石及び2極電磁石も、超伝導線材からなるコイルを構成要素としており、やはりクライオモジュールの中に収められる。2K超流動液体ヘリウムを使った直接浸漬の方法では、電磁石全体が超流動液体の熱浴に浸かる事で、非常に安定した冷却環境を得る事が出来る反面、寒冷である超流動ヘリウムを空洞と共有する為に、組み立ての段階でクリーンルーム内に空洞と電磁石を同時に持ち込む必要が生じ、空洞内面の汚染の可能性が高まる問題が指摘されている。 これまでのILCに向けた電磁石開発の取り組みとしては、磁石中央の上下方向の割れ目から、ヨークが左右2つに分解出来る、可分割な構造の4極電磁石の提案と開発が行われてきた。この方式では、組み立てが終了した後のコールドマスに、電磁石を後から取り付ける事が出来る事から、空洞の性能劣化の可能性を大きく引き下げる利点がある。 このレポートでは、上に述べた左右可分割型のILC用4極電磁石の試作機として、FNAL で開発され、STF に導入された超伝導極電磁石に関して、これまでの冷却と改良の履歴やその検討結果と、最新の通電試験の結果について紹介する。 |
17:40 - 18:00 | |
MOOB06 p.53 [Slides] | J-PARCキッカー用LTD半導体スイッチ電源 LTD semiconductor switch power supply for J-PARC kicker ○高柳 智弘,小野 礼人(JAEA/J-PARC),堀野 光喜,植野 智晶(NAT),富樫 智人,杉田 萌,山本 風海,金正 倫計(JAEA/J-PARC) ○Tomohiro Takayanagi, Ayato Ono (JAEA/J-PARC), Koki Horino, Tomoaki Ueno (NAT), Tomohito Togashi, Moe Sugita, Kazami Yamamoto, Michikazu Kinsho (JAEA/J-PARC) J-PARCのキッカー電源を代替するSiC-MOSFET半導体と誘導電圧重畳回路(LTD)を組み合わせたキッカー用LTD半導体スイッチ電源の開発を進めている。本電源は、矩形パルス形成用の主回路基板とフラットトップのドループを補償する補正回路基板の2種類で構成されており、階層的に直列接続した段数分の高電圧出力とドループ補正を可能とする。また、LTD回路は磁性体コアを用いて制御系の一次側と出力端の二次側を分離している。そのため、絶縁に対する考え方としては、複数段の接続により高電圧が印加される二次側のみを高耐圧設計とすればよい利点をもつ。更に、主回路基板は、既設のキッカー電源が別回路で構成されているサイラトロン、PFN、エンドクリッパの主要回路に加え、キッカー電磁石由来のビームインピーダンスの低減が可能な反射波吸収回路を400mm×430mmの1枚の基板で実装し、且つ低ノイズ均一回路インピーダンスとなる完全放射対称型回路で構成したでモジュール構造を有している。今回、1.7kVのSiC-MOSFETを使用した主回路基板を32枚と、100VのMOSFETによる補正基板を20枚使用し、キッカー電源として必要な定格40kVの出力を実現した。評価結果について報告する。 |
18:00 - 18:20 | |
MOOB07 p.58 | 永久磁石放射線減磁評価のための磁化測定手法 Magnetization measurement scheme for radiation demagnetization evaluation of permanent magnets ○不破 康裕(原子力機構),栗山 靖俊,岩下 芳久(京大複合研) ○Yasuhiro Fuwa (JAEA), Yasutoshi Kuriyama, Yoshihisa Iwashita (KURNS) 加速器のビーム光学系などに使用する永久磁石材料の磁気的特性に関する放射線耐性を評価するため、京都大学研究用原子炉を用いて中性子照射による放射線減磁を測定している。減磁評価においては中性子照射前後の磁化を正確に測定することが肝要であるが、ホールプローブを用いて磁場を測定した場合にはプローブ位置による測定値の変位が大きく減磁評価の誤差の原因となっていた。そこで系統誤差を抑制した磁化測定を実現するために、コイル近傍で磁石を回転させてコイルを貫く磁束の変化による誘導起電力の大きさから磁化の大きさを測定する手法を開発している。本発表では、この磁化測定手法の原理と実際に磁化を測定して得られた結果を報告する。 |
特別講演 (8月9日 会議室A) | |
18:45 - 20:15 | |
MOSOA01 | 重粒子線がん治療の現在とこれから Present and future of heavy ion therapy for cancers ○大野 達也(群馬大学腫瘍放射線学分野/重粒子線医学研究センター) ○Tatsuya Ohno (Heavy Ion Medical Center/ Department of Radiation Oncology, Gunma University Graduate School of Medicine) 重粒子線がん治療では、腫瘍の形状に合わせてブラッグピーク部分を拡大して照射することで標的への線量集中性は高まり、周囲の正常組織線量は低く抑えることができる。さらに、このブラッグピーク領域では高密度にエネルギーが付与されるため、エックス線に比して高い生物効果が生み出される。つまり、重粒子線治療の最大の長所は標的に対する生物学的線量分布が優れていることである。 一般の根治的エックス線治療では6-7週間の治療期間を要するのに対して、重粒子線治療では、前立腺癌3週間、骨軟部腫瘍4週間、膵臓癌3週間など、多くが4週間以内の短期照射であり、特に肺や肝臓では1-2回の照射も可能である。照射期間が短いことは、患者にとってはより早く社会復帰ができることを示し、治療施設にとってはより多くの患者を治療できるという利点につながる。 本邦では、2016年に根治的切除非適応の骨軟部腫瘍が初めて保険収載され、さらに2018年からは、頭頸部腫瘍や前立腺癌に保険適用は拡大されている。その他の疾患については、肺癌、肝臓癌、直腸癌、婦人科癌、転移癌などは先進医療として実施されているが、2016年度以降はレジストリによる評価体制が開始されている。本講演では、こうした重粒子線がん治療の現状や将来展望について紹介する予定である。 |
企画セッション① (8月10日 会議室A) | |
9:00 - 10:00 | |
TULTA01 | 電子線照射装置の工業利用 Industrial Applications of Electron beam Processing System ○奥田 慎平(㈱NHVコーポレーション) ○Shinpei Okuda (NHV Corporation) 電子加速器(電子線照射装置)が工業的に利用され始めてから半世紀以上が経過した。放射線の工業利用の幕開けは、1952年チャールスビーによるポリエチレンの放射線架橋の発見である。 わが国ではポリエチレン被覆電線の架橋による耐熱性向上から始まり、熱収縮チューブの生産、発泡ポリエチレン生産への応用など、現在に至るまで様々な分野で利用されるようになった。 高速の電子のエネルギーが物質に与えられ、分子の励起やイオン化等を生じて起こした化学反応を利用して、従来の熱や光では出来なかった特徴のある化学処理を行うのが電子線照射である。 本講演では、電子加速器の実用化例(仕様と用途)を、電子線照射の優れた特徴と共に紹介する。当初の電子加速器開発の潮流は、生産処理能力向上を目指した大型の大電流装置であったが、近年では低電圧装置のニーズも高まりをみせている。背景には、印刷分野でUV(紫外線)硬化法が広く利用されているが、UV塗料に含まれる物質が人体、環境に影響することから、EB(電子線)硬化法への置換えが検討されていること、低電圧装置はコンパクトなため応用が利きやすいなどがある。またSDGsへの取組が世界中で活発な中、電子線照射装置は半導体の特性改善を利用したインバータによる省エネ化などを通して貢献してきた。今後も電子線の更なる利用の拡大に期待する。 |
ハドロン加速器/ビーム診断・ビーム制御① (8月10日 会議室A) | |
15:50 - 16:10 | |
TUOA01 p.61 [Slides] | Fast fault recovery scenarios for the JAEA-ADS linac ○Bruce Yee-rendon, Yasuhiro Kondo, Jun Tamura, Keita Nakano, Hayanori Takei, Fujio Maekawa, Shinichiro Meigo (JAEA) Japan Atomic Energy Agency (JAEA) is designing a 30 MW CW superconducting proton linac as a major component for the accelerator-driven subcritical system (ADS) project. The main challenge of the linac operation is the high reliability required to avoid thermal stress in the reactor. To this end, we implemented fault compensation schemes to enable a fast beam recovery; consequently, reducing the beam trip duration. This work presents strategies to increase the fault-tolerance capacity of the JAEA-ADS linac. |
16:10 - 16:30 | |
TUOA02 p.66 [Slides] | J-PARC MRでのRF二倍高調波重畳による取り出し前バンチ操作 Bunch manipulation before the extraction by a second harmonics superposition at the J-PARC MR ○杉山 泰之,田村 文彦,大森 千広,吉井 正人(J-PARC) ○Yasuyuki Sugiyama, Fumihiko Tamura, Chihiro Ohmori, Masahito Yoshii (J-PARC) J-PARC MRではニュートリノ実験施設に対して30GeVの大強度陽子ビームを供給している。 現在のニュートリノ実験施設へのビーム強度は510kWであり、1MWを越えるビーム強度実現のための加速機器増強を進めている。ビーム強度1MWを越える大強度運転では、ハイパーカミオカンデを用いたニュートリノ実験で導入される水チェレンコフ前置検出器でのPile-up現象が課題になっている。 前置検出器の感度を保つためには、ビームパワーを保ったままで取り出しビームの各バンチのピーク強度を低減することが必要になる。 取り出しビームのピーク強度低減の為のバンチ操作の手法の一つとして、取り出し直前におけるRF二倍高調波の重畳によるバンチ長延伸を検討した。J-PARC MRでは取り出し直前のシンクロトロン周波数が約30Hzと遅いため、 RF二倍高調波の重畳によってバンチ操作の高速化を狙った。本発表では、ビームシミュレーションの結果と、ビーム試験結果について報告する。 |
16:30 - 16:50 | |
TUOA03 p.71 [Slides] | 機械学習を用いた高強度一次ビームのイオン光学系の自動調整の開発 Development of auto tuning system of ion optics for high intensity primary beam using machine learning ○西 隆博(理研),岩井 瑛人(高輝度光科学研究センター),内山 暁仁,清水 陽平(理研),杉本 崇(高輝度光科学研究センター),鈴木 宏,竹田 浩之,福田 直樹,藤井 洋樹,前坂 比呂和,吉本 雅浩(理研) ○Takahiro Nishi (RIKEN), Eito Iwai (JASRI), Akito Uchiyama, Yohei Shimizu (RIKEN), Takashi Sugimoto (JASRI), Hiroshi Suzuki, Hiroyuki Takeda, Naoki Fukuda, Hiroki Fujii, Hirokazu Maesaka, Masahiro Yoshimoto (RIKEN) 理化学研究所 RI Beam Factory では年々供給ビームの高強度化が進んでおり、近年では 100 pnA ものウランビームを供給するに至っている。現在これをさらに向上させビーム強度を 1 pμA とするべく各種開発が行われているが、その際に重要となるのがビーム損失を最小限に抑える精緻なビーム調整である。ビーム損失がその施設で扱えるビーム強度を最終的に制限した場合、損失を半分にすることは供給できるビームをほぼ 2 倍にすることと等価であるためである。そこで我々は播磨事業所のX線自由電子レーザー 施設 SACLA において実用化されている光学系自動調整システムを理研 RI Beam Factory に応用し、高強度 RI ビームのイオン光学系の自動調整システムの開発を目指す。このシステムはガウシアンプロセスに基づいた逐次学習法を用いており、事前に膨大な学習データを用意する必要がなく、またモデルに依存せず実測データから光学系を最適化できるなどの特徴がある。本講演では実際にイオンビームを用いて行われた自動調整システムのテスト、及び将来的な計画について紹介する。 |
16:50 - 17:10 | |
TUOA04 p.75 | TiN付きのセラミックブレイクを利用した壁電流モニター Titanium nitride-coated ceramic break for wall current monitors with an improved broadband frequency response ○菖蒲田 義博(JAEA/J-PARC),外山 毅(KEK/J-PARC) ○Yoshihiro Shobuda (JAEA/J-PARC), Takeshi Toyama (KEK/J-PARC) The beam impedance of a ceramic break with titanium nitride (TiN) coating consists of three electric components in parallel: resistive wall term caused by TiN, radiation term, and capacitive term made by the ceramic itself. The entire wall current continues to run in the thin TiN even when the skin depth is much larger than the chamber thickness, except for the extremely thin TiN satisfying the condition that the radiation loss from the ceramic break becomes lower than the energy loss due to the dc current on the thin TiN. This characteristic is useful in developing a wall current monitor with an improved frequency response. This study demonstrates the feature of the “ceramic break” monitor up to a few GHz from the theoretical and measurement points of view. |
ビーム診断・ビーム制御② (8月10日 会議室A) | |
17:20 - 17:40 | |
TUOA05 [Slides] | 中電流イオン注入機におけるニューラルネットワークによるビームパラメータ自動生成システムの開発 Beam tuning parameter optimization by Neural Network on the NISSIN BeyEX medium current ion implanter ○竹村 真哉(日新イオン機器株式会社) ○Shinya Takemura (Nissin Ion Equipment CO., LTD.) 半導体デバイス生産におけるイオン注入プロセスにおいて、ビーム調整パラメータは生産性に直結する重要な設定項目である。 しかし、ビーム調整パラメータは、イオン源状態や取り付け精度、ビームラインの汚染などによる物理的に複雑な相互作用に影響されるため、プロセスに対してこれらのパラメータが徐々にミスマッチを引き起こす。 そのため、適切なパラメータを取得するために定期的に手動でビーム調整を行う必要があった。 また、新規プロセスに対するビーム調整においても、手動介入が必要である。 これらの調整工数の削減を目指し、本研究においてはニューラルネットワークを用いたビーム調整パラメータの自動生成システムを開発し、その性能評価を行った。 |
17:40 - 18:00 | |
TUOA06 p.80 [Slides] | 画像認識で使用する画像は適切か、オートエンコーダーによる評価 Evaluations with autoencoder whether the image used for image recognition is appropriate ○野村 昌弘,田村 文彦,島田 太平,山本 昌亘,沖田 英史(原子力機構),古澤 将司,杉山 泰之,原 圭吾,長谷川 豪志,大森 千広,吉井 正人(高エネルギー加速器研究機構) ○Masahiro Nomura, Fumihiko Tamura, Taihei Shimada, Masanobu Yamamoto, Hidefumi Okita (JAEA), Masashi Furusawa, Yasuyuki Sugiyama, Keigo Hara, Katsushi Hasegawa, Chihiro Ohmori, Masahito Yoshii (KEK) J-PARCでは、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)よる画像認識技術により、マウンテンプロットと呼ばれる画像から、RCSの調整時に必要なビームに関する情報を得られるように整備している。現在、マウンテンプロットからCNNにより必要な情報を得られるところまでは整備ができてきている。今後誰にでも、さらに制御の自動化までを考えた場合には、その数値が信頼できるかどうかが重要となってくる。CNNではどのような画像であれ、必ず値を返してくる。学習した範囲内の画像であればCNNは信頼できる値を返してくるが、学習範囲外の想定外の画像ではどのような値を返してくるかは不明である。つまり、CNNにより信頼できる値を得るためには、画像認識で使用する画像が学習範囲内かどうかの評価が必要となる。今回、この評価を機械学習の一つであるオートエンコーダー(Auto Encoder:AE)により行ってみた。発表では使用したAEについての説明、学習範囲内の画像と想定外の画像のAEによる評価結果等について述べる。 |
18:00 - 18:20 | |
TUOA07 p.83 [Slides] | 16電極ビームモニターを用いたビームプロファイル測定のための最適化アルゴリズムの開発 Development for An Optimization Algorithm for Beam Profile Measurement using Multiple 16-Electrode BPMs ○李 耀漢(京都大学 理学研究科),外山 毅,中村 剛(KEK/J-PARC),中家 剛,木河 達也(京都大学 理学研究科),小関 忠(KEK/J-PARC) ○Yohan Lee (Faculty of Science, Kyoto University), Takeshi Toyama, Takeshi Nakamura (KEK/J-PARC), Tsuyoshi Nakaya, Tatsuya Kikawa (Faculty of Science, Kyoto University), Tadashi Koseki (KEK/J-PARC) T2K実験においてはニュートリノ振動の精密測定によりCP対称性の破れの探索を行っており、現在さらなる測定精度の向上を目指している。測定精度を上げるには、ニュートリノのビームラインのビームパワーを上げる必要があり、そのためJ-PARCのMain Ring(MR)のビームパワーのアップグレードが進められている。ビームパワーをアップグレードするとビームの強度に依存する不安定性が増大し、これはビームロスに繋がり安定的なビームラインの運用を困難にする。大強度のビームの安定した加速のためにはビームダイナミクスのより深い理解が必要となる。その理解のための重要な情報となる大強度のビームのプロファイル測定を非破壊型で測定するために16電極ビームモニター(16 Pick-Up Monitor, 16PUモニター)という新たなビームモニターが開発された。 現在16PUモニターはMRのベータ関数の異なる2か所にインストールされている。先行研究では16PUモニターを使ったビームの高次のモーメント成分の測定や2地点で測定したデータからビームの横方向のRMSエミッタンスを測定した。現在はビームプロファイル測定をテーマとし、16PUモニターの複数の測定点のデータからビームプロファイル測定がどこまでできるかについて調査及びシミュレーションを行っている。本講演では、非破壊型の16PUモニターのデータからビームのプロファイルを推定する最適化アルゴリズムの探索結果について報告する。 |
18:20 - 18:40 | |
TUOA08 p.88 | 非線形集束におけるビームロス低減に向けたビーム入射・加速方法の検討 Investigation of beam injection and acceleration methods for beam loss reduction in nonlinear focusing ○柏木 啓次,湯山 貴裕,石坂 知久,宮脇 信正,百合 庸介(量研高崎) ○Hirotsugu Kashiwagi, Takahiro Yuyama, Tomohisa Ishizaka, Nobumasa Miyawaki, Yosuke Yuri (QST Takasaki) QST高崎研AVFサイクロトロンでは、多重極電磁石による非線形集束を用いてビーム中心部と周縁部で数倍から数十倍の大きな強度比を持つ中空ビームの形成技術の開発を行っている。このビームの応用例として、円筒状ターゲット表面への照射による高効率ミューオン発生が検討されている。これまで我々は、2つの8極電磁石により中空ビームに形成することが可能であることをこれまで実証しているが、ビーム分布をガウス様分布化する散乱フォイルによるエネルギー幅増加や価数変化が引き起こすビーム電流低下や、ベータトロン振幅の大きい粒子が8極磁場から過度に強い集束力を受けることによるビーム損失が問題となっている。本研究では、これらの問題を解決するため、散乱フォイル無しでの中空ビーム形成が可能かを検証するとともに、中空ビーム部のみに加速ビームを到達させることが可能かを実験的に検討した。まず、サイクロトロンの加速位相を精密に制御することで、ビームエネルギー幅を減少させてターンセパレーションを大きくすることで、フォイル無しでのガウス様分布を実現して中空ビームを形成することに成功した。また、この加速条件において入射ビームを微小な実空間領域に分けて加速したところ、中空ビーム部と損失するビームの領域に差異があることがわかり、中空ビーム部に到達する領域に重点的にビームを入射させることでビームロスの低減が期待できることがわかった |
電子加速器① (8月10日 会議室B) | |
15:50 - 16:10 | |
TUOB01 p.92 | SuperKEKBビーム寿命のバンチ間隔依存性の研究 Beam lifetime dependence on bunch space at SuperKEKB ○梶 裕志,船越 義裕,上原 貞治(高エネルギー加速器研究機構) ○Hiroshi Kaji, Yoshihiro Funakoshi, Sadaharu Uehara (KEK) 電子陽電子衝突型加速器SuperKEKBにおけるビーム寿命の同定を運転バンチごとに行った。同加速器は全バンチの電流を一定に保つ運転を実施しており、入射器から各バンチへビームが供給された回数からビーム寿命の比を割り出すことができ、各バンチのビーム寿命は前バンチからの距離(バンチ間隔)に依存することがわかった。さらに、このビーム寿命の違いがTauschek寿命の違いであるという仮定を立て、バンチごとの「Tauschek寿命の比」「ビームサイズの比」の見積もりを行った。最後に電子・陽電子ビームそれぞれの見積もり結果から、バンチごとのルミノシティ比を見積もり、それを実際のルミノシティ測定値と比較したところよく一致していた。本公演ではこの研究の手法と導かれた結果の詳細について報告する。 |
16:10 - 16:30 | |
TUOB02 p.97 | レーザープラズマ航跡場入射用極短パルス線型加速器開発の現状 Current status of the development of a linac to inject ultra-short pulse electron beams into laser plasma wake fields ○益田 伸一,増田 剛正(高輝度光科学研究センター),田中 俊成,境 武志(日本大学),小柴 裕也,大塚 誠也(早稲田大学),坂上 和之(東京大学),熊谷 教孝,大竹 雄次(高輝度光科学研究センター) ○Shinichi Masuda, Takemasa Masuda (JASRI), Toshinari Tanaka, Takeshi Sakai (Nihon Univ.), Yuya Koshiba, Seiya Otsuka (Waseda Univ.), Kazuyuki Sakaue (Univ. Tokyo), Noritaka Kumagai, Yuji Otake (JASRI) 高強度極短パルスレーザーが励起するプラズマ波に電子を捕捉し加速するレーザー航跡場加速により、超小型電子加速器の実用化、その結果様々な分野での加速器の普及が期待されている。我々は、プラズマ波にその波長より短く(<10fs)、その横方向サイズよりも小さく(<100mm)、エネルギーの安定(<10^-4)な電子バンチを、精密に励起レーザーパルスと同期入射(ジッター <10fs)し、プラズマ波の加速特性を診断するためのCバンド極短パルス線形加速器の開発を行っている。第16回年会では、上記条件を満たす加速器の検討・設計を報告した。 我々は、上記の加速器を実現するため各構成要素の開発・製作を継続しており、現在の進捗状況を続報として述べる。上記電子バンチ寸法の実現については、設計仕様を満たす電子銃およびバンチャー加速管等の製作により、目処が立っている。本加速器では、上述したように、極めてエネルギーが安定で精密な同期が重要である。クライストロンモジュレータの大電力試験を行い、350kV、4us幅、30pps出力で、3.16ppm のクライストロン電圧安定度を達成した。さらに、RFマスターオシレータでは、キャリア周波数5712MHzから10MHzにおいて-150dBc/Hzの側波帯位相雑音が得られた。これらは、SACLA加速器の電力と位相の安定性能を上回る水準である。これまでに達成された電子ビームの同期性能(ジッター ~13.6fs)よりも精密な同期技術開発(同 <10fs)が期待できる。 |
16:30 - 16:50 | |
TUOB03 p.102 [Slides] | ニュースバル1.0GeV新入射器の建設とコミッショニング運転 Commissioning of the new 1.0GeV electron linac for NewSUBARU storage ring 稲垣 隆宏,平岩 聡彦,前坂 比呂和,原 徹,田中 均(理化学研究所),安積 隆夫,出羽 英紀,細田 直康,岩井 瑛人,近藤 力,馬込 保,大島 隆,櫻井 辰幸,柳田 謙一,濱田 洋輔,杉本 崇,糸賀 俊朗,安積 則義(高輝度光科学研究センター),○橋本 智,藤井 将(兵庫県大 高度研),井上 忍,鍛治本 和幸,皆川 康幸,中田 翔太郎,住友 博史,田中 信一郎,山本 龍,吉岡 正倫(スプリングエイトサービス),西森 信行,上島 考太,保坂 勇志,岩下 大器(量研機構) Takahiro Inagaki, Toshihiko Hiraiwa, Hirokazu Maesaka, Toru Hara, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 center), Takao Asaka, Hideki Dewa, Naoyasu Hosoda, Eito Iwai, Chikara Kondo, Tamotsu Magome, Takashi Ohshima, Tatsuyuki Sakurai, Kenichi Yanagida, Yousuke Hamada, Takashi Sugimoto, Toshiro Itoga, Noriyoshi Adumi (JASRI), ○Satoshi Hashimoto, Hitoshi Fujii (LASTI, Univ. of Hyogo), Shinobu Inoue, Kazuyuki Kajimoto, Yasuyuki Minagawa, Shotaro Nakata, Hiroshi Sumitomo, Shinichiro Tanaka, Ryo Yamamoto, Masamichi Yoshioka (SES), Nobuyuki Nishimori, Kota Ueshima, Yuji Hosaka, Taiki Iwashita (QST) SPring-8の1.0GeV線型加速器の運用停止に伴い、同サイト内にある兵庫県立大学ニュースバル放射光施設の1.5GeV電子蓄積リング専用の新たな入射器を設計、建設し、設計値通りのビーム出射に成功した。本入射器は238MHzのRF熱電子銃(500keV、1nC、0.6ns)、476MHzのRF空洞とSバンド加速管(3m)、高電場加速管(2m×16本、1GeV)から構成される。全長70mのコンパクトかつ低コストの線型加速器であるのが特徴で、現在建設中の東北3GeV光源用入射器のプロトタイプでもある。昨年8〜12月に行った既存のビーム輸送系トンネル内に新入射器を設置する工事はコロナ禍の中、無事に予定通り完了した。今年1月からRFコンディショニング運転、2月から入射器ビームコミッショニング運転、3月にはほぼ設計通りの1.0GeVビーム出射とリングへのビーム蓄積に成功し、当初予定よりも3週間ほど前倒しして4月下旬より蓄積電流350mAでの供用利用を再開した。より高性能な専用入射器の稼働により、リング加速器運転の柔軟性や調整も大きく改善される。本報告では新入射器の概要、建設およびコミッショニング運転について報告する。 |
16:50 - 17:10 | |
TUOB04 [Slides] | ILCに向けたSTF-2クライオモジュールによる33 MV/mでのビーム加速実証 Demonstration of electron beam acceleration at 33 MV/m by STF-2 Cryomodules for ILC ○山本 康史(高エネルギー加速器研究機構) ○Yasuchika Yamamoto (High Energy Accelerator Research Organization) 2021年2月から4月にかけて高エネルギー加速器研究機構(KEK)内にある超伝導高周波試験施設(STF)にてSTF-2クライオモジュール(CM)の6回目の冷却試験およびビーム運転が行なわれた。昨年度、空洞の入替え作業を行ったCM2aの4空洞を含む全14空洞の性能確認が行われた後、4月からはビーム加速実証試験が始まった。様々な空洞調整、高周波調整、ビーム調整の結果、最終的なビームエネルギーは384.9 MeVに達し、さらに性能の良い9空洞に限定したビーム加速試験では、ビームエネルギーから求めた各空洞の平均加速勾配が32.9 MV/mとなった。これは国際リニアコライダー(ILC)計画の運転スペックである31.5 MV/mを満足するものであり、ILCの技術実証における重要なマイルストーンである。本講演では、冷却試験およびビーム加速実証試験の概要について報告する。 |
電子加速器②/真空 (8月10日 会議室B) | |
17:20 - 17:40 | |
TUOB05 p.106 [Slides] | Alternate Periodic Structure空洞によるILC陽電子源の設計研究 A design study of ILC positron source with Alternate Periodic Structure cavity ○金野 舜(広島大学先進理工) ○Shun Konno (Hiroshima University AdSM) 日本の北上山地に建設予定の国際リニアコライダー(ILC)は250-1000 GeV重心系エネルギーの電子・陽電子衝突型線形加速器であり、ヒッグス粒子やトップクォークの大量生成、超対称性粒子の発見など新たな物理の発見が期待されている。ILCでは陽電子生成方法として金属標的に数GeVの電子ビームを入射する、電子ビーム駆動方式が検討されている。リニアコライダーではビームの再利用が不可能なため、従来のリングコライダーに比べて大量の電子・陽電子ビーム生成が必要であり、特に陽電子では生成効率を向上させ、生成標的の破壊を防ぐ必要がある。そのため、陽電子捕捉加速器として、大口径(2a=60mm)でかつ、高く、安定した加速勾配を発生できるπ/2モードAlternate Periodic Structure空洞(APS空洞)を採用した。また、より効率が高い、バンチング作用を持たせた減速キャプチャー方式を用いる。この方式では陽電子は減速位相に乗せられ、位相スリップにより加速位相に捕捉される。本研究では、位相の変化を考慮した陽電子捕捉加速器におけるビームローディングの補償、陽電子捕捉加速器、ECSのパラメータによる陽電子捕獲の最適化と、全体設計について報告する。 |
17:40 - 18:00 | |
TUOB06 p.110 | KEK-ATFにおける極小ビームに対するWakefieldの影響評価 Evaluation of the effects of wakefield to small beam at KEK-ATF ○阿部 優樹(総研大),久保 浄,奥木 敏行,照沼 信浩(KEK、総研大) ○Yuki Abe (SOKENDAI), Kiyoshi Kubo, Toshiyuki Okugi, Nobuhiro Terunuma (KEK, SOKENDAI) ATFでは国際リニアコライダー(ILC)に求められる極小ビームを実現する最終収束技術の研究開発を進めている。目標鉛直ビームサイズ37nmに対して、2016年には鉛直ビームサイズ41nmまで達成していることを確認した。ATFの極小ビームはウェイク場を主たる原因とするビーム強度依存性を持つ。2016年、ウェイク場の影響を低減するためのビームラインの改造を行い、ビーム強度依存性が緩和されたことを確認した。 安定な極小ビーム生成のため、ナノビームに対するウェイク場の影響評価を進めている。先行研究では、これらビームラインを再現するモデルを作成し、ウェイク場の極小ビームへの影響を確認した。 その結果、真空フランジやRFシールドを内挿した真空ベローズなどの影響が大きいことが示されたが、未だに解析結果と実験結果は定量的に一致していない。原因の一つとして、真空ベローズなどの可撓部品のウェイク場の解析が不十分であることが考えられる。現在、ATFビームラインの更なる高度化が検討されており、ウェイク場低減のための改造案を具体化する上で各ウェイク源に対する更なる理解が重要とされている。そこでビーム試験に基づいたウェイク場の影響確認並びに計算モデルの最適化を検討している。本報告ではそれらに向けた作業の進捗と現状について述べる。 |
18:00 - 18:20 | |
TUOB07 [Slides] | 高純度無酸素Tiを内面に蒸着したICF70クロスの真空排気特性評価 Evaluation of the pumping properties of ICF70 4-way cross fitting inner surfaces of which were deposited with high purity oxygen-free Ti ○間瀬 一彦(高エ機構、総研大),菊地 貴司(高エ機構),簑原 誠人,相浦 義弘(産総研) ○Kazuhiko Mase (KEK, SOKENDAI), Takashi Kikuchi (KEK), Makoto Minohara, Yoshihiro Aiura (AIST) 最近、我々は10–8 Pa台の超高真空下での昇華によりTiを蒸着して高純度N2を導入した真空容器は、真空排気、185℃、6時間ベーキング、真空封止すると10–7 Pa台の超高真空を維持すること、真空封止下でH2、H2O、O2、CO、CO2の分圧は10–8 Pa程度以下に保たれること、高純度N2導入、大気曝露、真空排気、185℃、6時間ベーキングのサイクルを30回くりかえしてもTi蒸着膜が残留ガスを排気することを報告した。これに対して、先行研究ではDCマグネトロンスパッター法で成膜されたTi蒸着膜が残留ガスを排気するには350~400℃の加熱が必要と報告されている。高純度無酸素Ti蒸着膜の活性化温度が185℃まで下がった要因としては、高純度Ti表面に高純度N2を導入することにより表面TiNが形成されることが考えられる。本研究ではTi蒸着装置に液体窒素トラップを設置することで、より高純度のTiをICF70クロスの内面に蒸着した。高純度N2を導入後、大気曝露して真空排気特性を評価した結果、100~108℃、6時間加熱後に室温に戻して真空封止して場合においても10–7 Pa台の超高真空を維持することを確認した。本研究で示した高純度無酸素Ti蒸着法によりベーキング温度の大幅な低下が可能となり、NEG蒸着真空容器の活性化処理が極めて容易となる。このため、イオンポンプや従来のNEGポンプを設置しなくても封じきり状態で超高真空を維持できるので、加速器、放射光ビームライン、電子顕微鏡などに広く応用できる。 |
18:20 - 18:40 | |
TUOB08 | J-PARC MR真空系に新しい装置を追加する事による加速器運転への影響 Impact of adding new equipment to the J-PARC MR vacuum system on the accelerator operation ○魚田 雅彦(高エネ研) ○Masahiko Uota (KEK) 大強度陽子加速器J-PARCのMRシンクロトロンは運転開始から13年以上経過し、今なお果てなき大強度化の途上にあって、毎夏の休止期間には改造のため加速器リングの一部で新規のビームダクトやチェンバーを既存のものを置き換えるかたちでインストールしたり、真空槽内に追加で部品を入れたり等が行われている。MRの真空排気系では、夏に新規のダクトをインストールして秋に運転を再開するまでに1000時間程度の排気時間を取ると時間に反比例する経過を辿って1e-6Pa程度の圧力になり一見して十分に低い圧力になるが、ここでいきなり速い取り出し運転の500kW台の大強度ビームを周回させると排気が間に合わず圧力が10〜1000倍悪化してビーム運転を続けることができない。そこで、最初は弱い強度で放出ガスをポンプに吸わせながら時間経過と共に徐々に強度を上げていく、ビームによる「焼き出し」運転が行われている。発表では焼き出し運転の実態と効果を検証する。 |
加速構造① (8月11日 会議室A) | |
9:00 - 9:20 | |
WEOA01 p.115 [Slides] | 高周波入力結合器の大電力試験におけるRF窓からの発光の観測 Observation of light emitted from an RF window of a high-power input coupler during RF conditioning ○阿部 哲郎,吉野 一男,影山 達也,坂井 浩,竹内 保直,榎本 瞬(高エネ研) ○Tetsuo Abe, Kazuo Yoshino, Tatsuya Kageyama, Hiroshi Sakai, Yasunao Takeuchi, Shun Enomoto (KEK) SuperKEKB加速器用常伝導加速空洞(アレス空洞)では、800 kW(508.9 MHz, 連続波)仕様の高周波入力結合器を運転で使用している。高周波入力結合器は、その製造後、運転に使用する前に、RFコンディショニング、及び性能確認のため、専用のテストスタンドにて大電力試験を行う。その試験では、真空側のアークセンサー用ビューポートのひとつに高感度TVカメラを取り付けて、RF窓の様子を常時視覚的に観察してきたが、100 kW を超える高周波入力電力では、鋭い真空圧力上昇に同期してRF窓が(微弱に、または、強烈に)発光することがわかっている(但し、通常は、アークセンサーのインターロック閾値未満)。今回、そのような発光とRFコンディショニングの関係等を網羅的に測定したので、その結果について報告する。 |
9:20 - 9:40 | |
WEOA02 p.120 [Slides] | 高周波窓に用いられるセラミックに関する研究 Research on ceramic for RF window ○山本 裕亮(京セラ株式会社),山本 康史(高エネルギー加速器研究機構),吉住 浩之,中村 勝美(京セラ株式会社),道園 真一郎(高エネルギー加速器研究機構) ○Yuusuke Yamamoto (Kyocera Corp.), Yasuchika Yamamoto (KEK), Hiroyuki Yoshizumi, Katsumi Nakamura (Kyocera Corp.), Shinichirou Michizono (KEK) 京セラ株式会社と高エネルギー加速器研究機構は、セラミック高周波窓としての必要特性を満たす材料開発に関する共同研究を行っています。これまでの研究で開発されたAO479Bはいくつかの製品に適用されていますが、製品への適用にはサイズ制限があります。近年大型の高周波窓の製作要求に応えるため、サイズに関係なく製品に適用できる新材料AO479Uを開発しました。本報告ではAO479Uの様々な特性について窒化チタン(Titanium Nitride (TiN))コーティングの有無も含め他の材料との比較評価を実施しています。加速空洞の運転中にセラミック高周波窓に生じる発熱やマルチパクタ放電について、アルミナ材料や製造工程の影響度合いを明確にするため、セラミック高周波窓としての重要な特性(比誘電率、誘電正接、表面抵抗率、体積固有抵抗率、二次電子放出係数、TiNコーティングの厚み)を測定しそれらの関係性を調査しましたので、ここに報告します。 |
9:40 - 10:00 | |
WEOA03 p.125 | 次世代放射光源のための1.5 GHz TM020型高調波空洞の低電力測定 Low-power test of the 1.5 GHz TM020-type harmonic cavity for the future synchrotron light sources ○山口 孝明(総研大加速器科学専攻),坂中 章悟,山本 尚人,内藤 大地,高橋 毅,高富 俊和(高エネルギー加速器研究機構) ○Takaaki Yamaguchi (Dept. Accelerator Science, SOKENDAI), Shogo Sakanaka, Naoto Yamamoto, Daichi Naito, Takeshi Takahashi, Toshikazu Takatomi (KEK) TM020型RF空洞[1]は、バンチギャップによるRF電圧の過渡的変動を抑えることができ、またコンパクトな寄生モード減衰機構を備えることができる、といった利点がある。我々はこのTM020型空洞の、次世代放射光源におけるバンチ伸長用高調波空洞としての利用を検討しており、低電力モデルを昨年度製作した。本空洞には、加速電磁場の回転対称性を良くするため、ビーム軸に対し回転対称に3つの可動式周波数チューナーを設置する[2]。また、空洞内に高周波を入力するループ型入力カップラーには、加速電磁場への摂動を抑えるため、ループ部を扇状の板に変更した特有の設計を採用した。TM020加速モードの磁場の節の位置には同軸型スロットが配置され高周波吸収体で終端される。これによりビーム不安定性を誘起する多くの寄生モードが減衰される。現在モデル空洞の低電力測定を進めており、加速モードの周波数、Q値、カップラーとの結合度、及び寄生モードの減衰性能等を確認している。本発表では、これら低電力試験の結果とシミュレーション結果との比較検討について報告する。[1] H. Ego, et al., PASJ2014-MOOL14, p. 237. [2] T. Yamaguchi, et al., PASJ2020-WEPP31, p. 308. |
10:00 - 10:20 | |
WEOA04 p.130 | KEK電子陽電子入射器用Sバンド加速管の開発 New S-band accelerating structure for the KEK electron and positron injector LINAC ○惠郷 博文,榎本 嘉範(高エネ研、 総研大),肥後 壽泰,東 保男(高エネ研),坂東 佑星(総研大),牛本 信二(三菱電機システムサービス(株)),重岡 伸之,菅野 東明,比嘉 究作(三菱重工業機械システム(株)) ○Hiroyasu Ego, Yoshinori Enomoto (KEK, SOKENDAI), Toshiyasu Higo, Yasuo Higashi (KEK), Yusei Bando (SOKENDAI), Shinji Ushimoto (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Nobuyuki Shigeoka, Tomei Sugano, Kyusaku Higa (MHI-MS) 約40年に渡りKEK電子陽電子入射器で使用されているPFタイプSバンド加速管は経年劣化により水漏れや放電多発などが生じてきている。劣化した加速管の修復は困難であるため、代替機となる新型Sバンド加速管の開発を行った。加速管はTM01-2π/3モード2856 MHz進行波準定勾配型で、シャントインピーダンスは61.7 MΩ/m、定格40 MW入力で25.9 MV/mの加速電界を発生する。新規開発にあたり、放電抑制のため表面電界を下げるディスクアイリスエッジの楕円形状化、内面エッジを排除した対称性補正カプラー、4 nCの大電荷2バンチビーム安定加速のためHEM11ウェイクの抑制などの機能を付した。本報告では加速管の設計、製作、大電力運転について報告する。 |
加速構造②/レーザー (8月11日 会議室A) | |
10:30 - 10:50 | |
WEOA05 [Slides] | ファーナスベーキングによる高Q値超伝導加速空洞の探索 Investigation of high-Q superconducting accelerating cavities via furnace baking process ○井藤 隼人,荒木 隼人(高エネルギー加速器研究機構),髙橋 光太郎(総合研究大学院大学),梅森 健成(高エネルギー加速器研究機構) ○Hayato Ito, Hayato Araki (KEK), Kotaro Takahashi (SOKENDAI), Umemori Kensei (KEK) In recent years, various surface treatments such as N-doping, N-infusion, and two-step baking have been studied to realize high-performance superconducting accelerating cavities in terms of accelerating gradient and Q-value. We report the influence of a new baking process called furnace baking on cavity performance. Baking in a vacuum furnace at temperatures ranging from 200C to 800C is applied to the cavity as the final step of cavity surface treatment, followed by high-pressure rinsing and RF measurement. We find that the Q-value is sensitive to the temperature of furnace baking, especially at furnace baking at temperatures ranging from 250C to 400C produces cavities with extremely high Q-values, similar to those obtained by N-doping. This method is simpler and potentially more reliable than previously reported heat treatment methods, and is therefore easily applicable to cavities, and is a promising future surface treatment method for mass production. |
10:50 - 11:10 | |
WEOA06 p.133 [Slides] | ミューオン加速用Lバンド円盤装荷型加速管の基礎設計 Basic design of L-band disk-loaded structure for muon LINAC ○鷲見 一路,飯嶋 徹,居波 賢二,須江 祐貴,四塚 麻衣(名大理),惠郷 博文,大谷 将士,齊藤 直人,三部 勉,吉田 光宏(KEK),近藤 恭弘(JAEA, 茨大理工),竹内 佑甫(九大理),中沢 雄河(茨大理工),安田 浩昌(東大理) ○Kazumichi Sumi, Toru Iijima, Kenji Inami, Yuki Sue, Mai Yotsuzuka (Nagoya Univ.), Hiroyasu Ego, Masashi Otani, Naohito Saito, Tsutomu Mibe, Mitsuhiro Yoshida (KEK), Yasuhiro Kondo (JAEA, Ibaraki Univ.), Yusuke Takeuchi (Kyushu Univ.), Yuga Nakazawa (Ibaraki Univ.), Hiromasa Yasuda (Univ. of Tokyo) J-PARCにて計画されているミューオン異常磁気能率及び電気双極子能率精密測定実験では、熱化した25 meVのミューオンを線形加速器で212 MeVまで加速することで得られる低エミッタンスビームを用いる。この加速器の高速部では、電子加速によく用いられる円盤装荷型加速管(DLS)を採用するが、電子と比べて緩やかに加速されるミューオンへの適用例は存在しないため新たに開発が必要である。光速の70%からDLSを用いるため、運転周波数をLバンドとし、縦方向のアクセプタンスを確保している。本研究では、速やかな加速のために要求される20 MV/mの高加速勾配を、LバンドDLSで実現するため、円盤の内径等のパラメータ調整を加速勾配の一様性とセル間の結合の強さを評価しながら行い、より低い電力で要求を満たす構造を模索した。本講演では、ミューオン加速器高速部のうち、ミューオンを光速の70%から80%程度まで加速する部分の設計状況について報告する。 |
11:10 - 11:30 | |
WEOA07 p.138 | ガンマ線誘起陽電子消滅分光法の開発 Development of gamma-ray induced positron annihilation spectroscopy ○平 義隆,杉田 健人(分子研UVSOR),山本 涼平(名古屋大学),岡野 泰彬,藤本 将輝(分子研UVSOR),平出 哲也(原子力機構) ○Yoshitaka Taira, Kento Sugita (UVSOR, IMS), Ryohei Yamamoto (Nagoya University), Yasuaki Okano, Masaki Fujimoto (UVSOR, IMS), Tetsuya Hirade (JAEA) 陽電子消滅分光法は、結晶を構成する原子の一部が存在しない単原子空孔型欠陥や高分子などの絶縁材料中のsub-nm ~ 数nm程度の微小空隙の測定を行える強力な分析手法である。分子科学研究所UVSOR-IIIでは、超短パルスガンマ線を用いたガンマ線誘起陽電子消滅分光法(Gamma-ray induced positron annihilation spectroscopy: GiPAS)の開発とユーザー利用を推進している。GiPASは、物質に対する透過力の高いガンマ線を用いて対生成によって物質内部で陽電子を発生するため、厚さ数cmのバルク材料の欠陥分析を非破壊で行う事ができる。また、従来法である陽電子を放出する放射性同位元素を用いたPASに比べて、GiPASは線源成分と呼ばれるバックグラウンドが著しく低いという特徴がある。本年会では、超短パルスガンマ線の発生方法[1]とGiPASの具体的な測定手法として陽電子寿命測定[2]と寿命運動量相関測定法の概要について発表する。 [1] Y. Taira et al., Rev. Sci. Instr. 84 (2013) 053305. [2] K. Fujimori et a., Appl. Phys. Exp., 13 (2020) 085505. |
11:30 - 11:50 | |
WEOA08 p.141 | レーザーコンプトン散乱に向けた自発共鳴型光蓄積共振器の開発 DEVELOPMENT OF A SELF-RESONATING OPTICAL CAVITY FOR LASER-COMPTON SCATTERING SOURCES ○山下 洸輝,小柴 裕也,鷲尾 方一(早大理工総研),アリシェフ アレクサンダー,浦川 順治,大森 恒彦,照沼 信浩,福田 将史,本田 洋介(高エネ研),上杉 祐貴,菅原 直人(東北大多元研),坂上 和之(東大光量子研),高橋 徹(広大先進理工),保坂 勇志(量研) ○Koki Yamashita, Yuya Koshiba, Masakazu Washio (WISE, Waseda Univ.), Alexander Aryshev, Junji Urakawa, Tsunehiko Omori, Nobuhiro Terunuma, Masafumi Fukuda, Yosuke Honda (KEK), Yuuki Uesugi, Naoto Sugawara (IMRAM, Tohoku UNiv.), Kazuyuki Sakaue (UT-PSC), Tohru Takahashi (AdSE, Hiroshima Univ.), Yuji Hosaka (QST) Laser-Compton scattering light sources have possibility to generate high quality X- or gamma-rays comparable to large synchrotron facilities with a small laboratory size device, but higher brightness is required for practical use. Therefore, optical cavities, in which laser pulses are accumulated and enhanced, are widely used to increase the number of scattered photons. However, to accumulate laser in a cavity with very high enhancement factor, extremely precise control of cavity length is required to maintain resonance condition and has been a technical issue in developing high enhancement cavities. In order to overcome this issue, we have been developing a self-resonating optical cavity. This cavity is based on a new idea that the system spontaneously selects a wavelength that satisfies the resonance condition, by installing an optical cavity in the outer loop of laser oscillator. Therefore, any active feedback is unnecessary and laser pulses can resonate stably in the cavity with extremely high enhancement factor. In this conference, we will report the current status and future prospects of our self-resonating optical cavity. |
加速器制御 (8月11日 会議室B) | |
9:00 - 9:20 | |
WEOB01 p.146 [Slides] | 重イオンビーム輸送系へのExtremum Seeking制御の適用 Extremum Seeking Control for the Optimization of Heavy Ion Beam Transportation ○藤井 洋樹(理化学研究所 仁科加速器科学研究センター),Scheinker Alexander(Los Alamos National Laboratory),内山 暁仁(理化学研究所 仁科加速器科学研究センター),Gessner Spencer(SLAC National Accelerator Laboratory),上垣外 修一,福西 暢久(理化学研究所 仁科加速器科学研究センター) ○Hiroki Fujii (Nishina Center, RIKEN), Alexander Scheinker (Los Alamos National Laboratory), Akito Uchiyama (Nishina Center, RIKEN), Spencer Gessner (SLAC National Accelerator Laboratory), Osamu Kamigaito, Nobuhisa Fukunishi (Nishina Center, RIKEN) Riken Nishina Center (RNC) is currently working on automated tuning and diagnostics algorithms to enable efficient and optimal operation of its heavy ion beam accelerator complex. We applied the recently developed dither-based Extremum Seeking Control (ESC) scheme to a part of the heavy ion beam transport system to adjust beam optics. This paper briefly explains the ESC algorithm whose input states are bounded within a safe operation condition, and the results of the beam optics tuning with ESC based on noise-corrupted measurements while reducing the damage to accelerator components. The robustness of ESC under noisy environment and potential applications for higher current operation while suppressing the unknown nonlinear effects at RNC accelerator complex are also discussed. |
9:20 - 9:40 | |
WEOB02 p.151 [Slides] | 機械学習手法を用いたXFELの自動調整 Application of Machine-Learning to Accelerator Operations at SACLA ○岩井 瑛人,杉本 崇,城地 保昌(JASRI),久保田 洸二,田尻 泰之(スプリングエイトサービス),前坂 比呂和,稲垣 隆宏,原 徹,田中 均(理研播磨) ○Eito Iwai, Takashi Sugimoto, Yasumasa Joti (JASRI), Koji Kubota, Yasuyuki Tajiri (SES), Hirokazu Maesaka, Takahiro Inagaki, Toru Hara, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) X線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLA では、2本のXFELビームラインとSPring-8 蓄積リングへ、異なるエネルギーやピーク電流のビームを振り分けて同時運転している。XFELではユーザー実験毎にビーム条件が変わるため、共通となる加速器部分の調整は非常に難しい。一方、XFEL利用の普及につれ、ユーザーからの要求は強度や安定性だけでなく、時間幅, 空間分布など、より高度な性能指標へとシフトしつつある。このような背景から調整の合理化の必要性が高まる一方、これまでは熟練運転員による1パラメータずつの手動調整が主で、複数パラメータの同時調整などが困難であった。そこで機械学習を導入し、加速器の複数の制御値をパラメータとして、性能指標を最大化することで、電子ビームを最適化するシステムを開発した。指標の最大化方法はNelder-Mead等の古典的手法もあるが、XFELの強度のような統計的不定性などを伴う実データを指標とする場合、特に多パラメータ空間においては、局所値に落ち込み調整が進まなくなる問題がある。本システムでは機械学習手法の一つであるガウシアンプロセスを用いてこれを回避し、多パラメータ空間においても効率的に最適化を進めることができた。このシステムを経験の少ない運転員でもGUIから使えるよう整備し、実際の加速器調整に活用している。この自動調整システムの仕組み、SACLAでの活用実績と他施設での応用、また今後の開発予定について報告する。 |
9:40 - 10:00 | |
WEOB03 [Slides] | ベイズ最適化によるcERLビームの自動調整 Automated beam tuning based on Bayesian optimizatin for the cERL in KEK ○帯名 崇,本田 洋介(高エネ研) ○Takashi Obina, Yosuke Honda (KEK) 近年では機械学習手法の発展は目覚ましく、各種ソフトウェアツールの充実もあいまって既に多くの加速器ビーム調整に利用されている。そのなかでも我々はベイズ最適化による調整手法を compact ERL (cERL)の運転に適用し、実際の様々なビーム調整に活用している。現在のcERL運転における重要課題の1つは中赤外線領域でのFELを発振させかつ強度を最大化することであり、そのためには入射器や主加速器、バンチ圧縮条件など多数の運転パラメータを大きく変更し、かつ、パラメータごとにFEL強度を最大化する調整が必須となる。ベイズ最適化は従来手法に比較して最適値に到達するまでの時間が短縮化することが可能であるため今や必要不可欠なツールの1つとなっている。本稿ではベイズ最適化の原理と具体的なツールについて簡単に述べた後、実際のcERL運転でのビーム調整例としてビームサイズ調整、4極磁場中心軌道調整、R56,T566などバンチ圧縮調整、FEL強度調整などについて発表する。また、実際のビーム調整では測定ノイズへの対処も重要であるためこれについても解説する。ベイズ最適化の手法は他の加速器にも容易に適用可能であり今後の発展が期待できる。 |
10:00 - 10:20 | |
WEOB04 | 汎用電源制御ボードの開発 Development of power supply control board for general purpose ○織井 安里,下川 哲司(KEK),佐川 隆(ユニバーサルエンジニアリング),栗本 佳典,三浦 一喜,森田 裕一(KEK) ○Asato Orii, Tetsushi Shimogawa (KEK), Ryu Sagawa (Universal Engineering), Yoshinori Kurimoto, Kazuki Miura, Yuichi Morita (KEK) J-PARCメインリングのビーム増強のため、新電磁石電源を導入する。そのうち、六極電磁石電源に使用する汎用電源制御ボードを開発中である。制御ボードは各種入出力、メモリ、FPGASOCで構成される。一枚のボードで目標電流パタンの生成、電流・電圧の測定値からのフィードバック、電源を制御するゲート信号の生成を行う。フィードバックパラメータの変更や制御のオンオフは電源制御盤タッチパネル、PLC-CPUモジュールからの入力による。また、電流、電圧の測定値からインターロック信号を生成する。FPGA、SOCのファームウェア開発、周辺装置と接続しての動作テストについて報告する。 |
高周波源・LLRF (8月11日 会議室B) | |
10:30 - 10:50 | |
WEOB05 p.156 [Slides] | 放射光施設ニュースバルの新入射加速器のタイミング・低電力高周波制御システム Timing and Low Level RF Control System of New Injector Linac for New SUBARU ○大島 隆,前坂 比呂和,岩井 瑛人,稲垣 隆宏(理研),細田 直康,出羽 英紀,松原 伸一(高輝度光科学研究センター),吉岡 正倫,皆川 康幸(スプリングエイトサービス),上島 考太(量子科学技術研究開発機構) ○Takashi Ohshima, Hirokazu Maesaka, Eito Iwai, Takahiro Inagaki (RIKEN RSC), Naoyasu Hosoda, Hideki Dewa, Shinichi Matsubara (JASRI), Masamichi Yoshioka, Yasuyuki Minagawa (SPring-8 service), Kota Ueshima (QST) 兵庫県立大学が運営する1.5GeV放射光施設のニュースバルでは、従来、SPring-8のための線型加速器からの電子ビームの一部を振り分けて入射してきた。しかし、2020年にSACLAからSPring-8蓄積リングへの入射が始まり、不要となった線型加速器のシャットダウンが予定された。そこで、新しい1GeV Cバンド線型加速器をニュースバル専用の入射器として建設した。この入射器のタイミングシステムや低電力高周波制御(LLRF)システムは、次世代放射光施設の先行試験を兼ねてそこで使用されるものと同様の設計とした。入射器の高周波基準信号として、ニュースバル蓄積リング(SR)の加速周波数の基準信号を分周逓倍した信号を用いた。この信号は、位相安定化光ファイバーを用いた光送受信システムを経由して、入射器のクライストロンギャラリの4箇所に設置されたサブユニットまで伝送した。入射器のマスタートリガ信号は、AC60Hz、SRのバケットタイミングおよび入射器の高周波基準信号のゼロクロスとが合致するタイミングで出力し、MTCA.4規格のトリガシステムによって各サブユニットに伝送した。各サブユニットではMTCA.4規格のIQ変調・検出器を用いて加速空洞に供給する高周波パルス信号の制御・モニタを行なった。新入射器は今年の2月から運転を開始し、安定な運転が継続されている。本発表では、導入されたタイミング・LLRFシステムの構成、達成された性能などについて報告する。 |
10:50 - 11:10 | |
WEOB06 p.161 | Sバンド球形空洞型パルス圧縮器の高電力試験 High power test of S-band spherical-cavity type pulse compressor ○坂東 佑星(総研大),肥後 壽泰(高エネ研),惠郷 博文,阿部 哲郎(高エネ研, 総研大),東 保男(高エネ研),牛本 信二(三菱電機SC) ○Yusei Bando (SOKENDAI), Toshiyasu Higo (KEK), Hiroyasu Ego, Tetsuo Abe (KEK, SOKENDAI), Yasuo Higashi (KEK), Shinji Ushimoto (Mitsubishi SC) KEK電子陽電子入射器ではエネルギー増強の手段として、高周波パルス圧縮器を用いている。現行のパルス圧縮器の老朽化のために、置換可能な球形空洞型のパルス圧縮器の開発を進めている。SuperKEKBリングに電子ビームを供給する線形加速器として、要求性能を満足するように設計をし、実機の製作を行った。製作後に実施した低電力試験では、周波数特性と実際の運転で使用するパルス信号に対する応答を試験し、目的に適う特性を有することを確認した。現在は同装置の高電力信号に対する応答を調べるための試験の準備を行っている。本報告では、高電力運転に関する設計、試験準備、および高電力試験時の結果を報告する。 |
11:10 - 11:30 | |
WEOB07 p.165 [Slides] | 若狭湾エネルギー研究センターシンクロトロンのLLRF制御システムの開発 Development of a LLRF control system at WERC ○栗田 哲郎(若エネ研),田村 文彦(J-PARCセンター) ○Tetsuro Kurita (WERC), Fumihiko Tamura (J-PARC Center) 若狭湾エネルギー研究センター加速器施設(W-MAST)は、タンデム加速器および、それを入射器としたシンクロトロンによって、広範囲のエネルギーのイオンビーム(陽子 : 数MeV-200MeV; He, C : 数 MeV- 55MeV/u)を様々な実験に供給している。 現在、FPGA を用いた、加速高周波制御のLLRFの開発に取り組んでいる。これまで、DSPとDDSおよびアナログ回路によって構成されていたものをFPGAを用いたデジタル制御に置き換える。2018-2019年にFPGA回路の設計およびMicroTCA.4を用いたシステムの制作を行なった。2020年度はLLRF制御系のテストおよび一体のシステムとして動作するビーム位置信号制御系を製作をおこなった。 空洞電圧をフィードバック制御を行うために、空洞、アンプ、ケーブルにより周波数特性を補正する必要がある。周波数をアドレスにしたLookup Table を用いて、ゲインおよび位相の補正を行った。Closed Loop Gain の測定より、検波用LPFの評価およびフィードバックゲインの最適値を調べた。また、ビーム位置信号処理系の評価を行なった。 |
11:30 - 11:50 | |
WEOB08 p.170 | J-PARC RCS 次世代LLRF制御システムの性能 Performance of the next-generation LLRF control system for the J-PARC RCS ○田村 文彦,杉山 泰之,吉井 正人,山本 昌亘,沖田 英史,大森 千広,野村 昌弘,島田 太平,長谷川 豪志,原 圭吾,古澤 将司(J-PARCセンター) ○Fumihiko Tamura, Yasuyuki Sugiyama, Masahito Yoshii, Masanobu Yamamoto, Hidefumi Okita, Chihiro Ohmori, Masahiro Nomura, Taihei Shimada, Katsushi Hasegawa, Keigo Hara, Masashi Furusawa (J-PARC Center) J-PARC RCS における大強度陽子ビームの安定な加速のためには高精度で安定な LLRF 制御システムが不可欠である。RCS の LLRF 制御システムは運転開始から 10年以上大きな問題なく運転されてきたが、構成要素であるデジタル部品の陳腐化により 維持することが困難となっていた。このため、2016年より次世代LLRF制御システムの開発を行い、 2019年に次世代システムへの置き換えを完了した。RCS の広帯域金属磁性体空胴の ビームローディングを補償するにはマルチハーモニックの補償システムが 必要である。次世代システムではマルチハーモニックベクトルrf電圧制御フィードバックを 採用することで、旧システムにおけるフィードフォワード法を用いた補償よりも安定な 大強度ビーム加速を実現した。本発表では、次世代システムの概要、ビーム試験結果を示すと ともに、更なる性能向上に向けた取り組みについて報告する。 |
学会賞受賞講演 (8月11日 会議室A) | |
17:10 - 17:30 | |
WEAOA01 p.175 | 薄膜フォトカソード用の再利用可能な基板としてのグラフェン Graphene as reusable substrate for thin film photocathodes ○郭 磊(名大),山口 尚登(ロスアラモス国立研究所),山本 将博(高エネ研),松井 文彦(極端紫外光研究施設),Wang Gaoxue ,Liu Fangze ,Yang Ping ,Enrique R. Batista,Nathan A. Moody(ロスアラモス国立研究所),高嶋 圭史(名大),加藤 政博(広大) ○Lei Guo (Nagoya Univ), Hisato Yamaguchi (LANL), Masahiro Yamamoto (KEK), Fumihiko Matsui (UVSOR), Gaoxue Wang, Fangze Liu, Ping Yang, Batista Enrique R., Moody Nathan A. (LANL), Yoshifumi Takashima (Nagoya Univ), Masahiro Katoh (hiroshima Univ) CsK2Sbフォトカソードは、低エミッタンス、可視光で励起可能、高い量子効率(QE)など多くの利点を持っており、先端加速器用高性能電子源として有力な候補と考えられている。近年我々は最適な蒸着条件を見つけ、50 nmにおいて10%程度のQEを再現性良く実現する技術を確立した。しかしながら、基板がカソード性能へもたらす影響には未知な部分が多い。本研究では、シリコン(Si)とモリブデン(Mo)の従来の基板と、それらにグラフェンをコーティングした基板を真空中で加熱洗浄した後、光電陰極物質(セシウム(Cs)、カリウム(K)、アンチモン(Sb))の蒸着、再度加熱洗浄、光電陰極物質の蒸着を繰り返し行って基板の再利用性に対するグラフェンコーティングの効果を比較した。従来型のSiおよびMo基板ではQEが大幅に減少したのに対し、グラフェンコーティングされた基板ではほぼ同等の性能が維持された。基板の状態を放射光を用いて調べたところ、500℃の加熱洗浄後にグラフェン表面では光電陰極物質であるCs、K、Sbの残留は無く、一方SiおよびMo基板ではこれらが多く残留していることが分かった。また、グラフェンは光電陰極の成膜および加熱洗浄後も損傷はないことが分かった。光電陰極物質とグラフェンの元素間の結合力について、シミュレーションによる計算結果では、Siの場合と比べて大幅に小さい結果となり、実験結果と良い一致を示した。 |
17:30 - 17:50 | |
WEAOA02 | 常伝導加速器を用いた共振器型赤外自由電子レーザの引き出し効率向上に関する研究 Research and development on improvement of extraction efficiency of free electron laser oscillator driven by a normal conducting accelerator ○全 炳俊(京都大学エネルギー理工学研究所) ○Heishun Zen (Kyoto Univ. IAE) 共振器型赤外自由電子レーザは大強度広帯域波長可変レーザの一つであり、電子加速器により供給される高輝度高エネルギー電子ビームの運動エネルギーを自由電子レーザ相互作用により電磁場エネルギーへと変換し、レーザ増幅・発振を行う装置である。この時の変換効率を引き出し効率と呼び、引き出し効率が高ければ高いほど大きなミクロパルスエネルギーが得られること、ミクロパルス長が引き出し効率に反比例することが知られている。これまで、マクロパルス長が短い電子ビームしか供給できない常伝導加速器では10%に迫る様な変換効率を得ることは困難であると考えられてきたが、京都大学小型中赤外自由電子レーザ装置(KU-FEL)において電子ビームの動的位相変調と電荷量増大により波長約11μmにおいて最大9.4%の引き出し効率を達成した。本発表ではこれまでに実施した引き出し効率向上に関する研究開発と共に、今後の展望について講演する。 |
17:50 - 18:10 | |
WEAOA03 | 高信頼性・高保守性・高輝度ビーム特性を兼ね備えたグリッド熱陰極RF電子銃の開発 Development of low-emittance gridded thermionic-cathode RF electron gun with high reliability and high maintainability ○安積 隆夫(高輝度光科学研究センター、理化学研究所 放射光科学研究センター、量子科学技術研究開発機構 次世代放射光施設整備開発センター),大竹 雄次(高輝度光科学研究センター) ○Takao Asaka (JASRI,RIKEN SPring-8 Center,QST), Yuji Otake (JASRI) グリッド付き熱電子銃は、取り扱いが容易であることから多くの加速器施設で使用されてきた。しかしながら、グリッドのレンズ効果のため、数mm mrad以下の規格化エミッタンスが要求される軟X線FELでは使えないとされた経緯がある。我々はグリッド付き熱陰極の高保守性、長寿命といった優位性に着目し、これによる低エミッタンスビームの生成を検討した。グリッド近傍の電場歪みと電子軌道について、物理モデルによる解析とシミュレーションの両面から評価したところ、グリッドを通過する電子軌道がビーム軸と平行になる電場条件が存在し、このとき電子銃出口では粒子分布が均一でかつ最小エミッタンスを与えることが分かった。これは僅か50kVの電子銃電圧でも実現でき、2mm mrad以下/1nCの高品質ビームが生成できる。この低エミッタンスビームは、電子銃に直結した高周波空胴により即座に500keVまで加速することで、空間電荷効果によるエミッタンスの増大を回避できる。我々は、以上のスキームに基づいて製作した電子銃システムの実証試験において、2mm mrad以下の目標ビーム性能を達成していることを確認した。また、グリッドの電場歪みによるエミッタンス依存性についてもシミュレーションと一致する結果を得た。本講演では、電子銃システムの概要と実証試験で得られたビーム性能について述べる。 |
18:10 - 18:30 | |
WEAOA04 | BNCT治療システムNeuCure®の開発 Development of NeuCure® BNCT system ○密本 俊典(住友重機械工業(株)) ○Toshinori Mitsumoto (Sumitomo Heavy Industries, Ltd.) 住友重機械工業(株)は京都大学との共同で中性子捕捉療法(BNCT)用のがん治療システムを開発し、2020年3月に頭頸部がんについてPMDAより医療機器承認を得て“BNCT治療システムNeuCure®”として商品化した。中性子源は30MeV陽子サイクロトロンとベリリウムターゲットを採用した。発生する熱外中性子フラックスは陽子ビーム電流1mAで1.2×109 neutron/cm2/sec をコリメータ出口で達成し、1回の治療時間30分~60分程度となっている。患者セッティングは治療室に隣接した準備室で行い、治療室内ではそのセッティングを再現できる搬送システムを採用した。また、患者体位については座位、臥位に対応できる。本治療システムの特徴と医療機器開発の要点について述べる。 |
企画セッション② (8月12日 会議室A) | |
9:00 - 10:00 | |
THLTA01 p.180 | 日本の加速器歴史物語 A Brief History of Accelerators in Japan ○井上 信(京都大学) ○Makoto Inoue (Kyoto University) レントゲンのX線発見の翌年、1986年に村岡範為馳と島津源蔵が製作した装置が日本の加速器物語の始まりともいえるが、コッククロフトとウォルトンの世界初の加速器による人工核変換実験の翌々年の1934年にその追試に成功したのは、当時の台北帝大の荒勝文策らである。その後、理研の仁科芳雄、阪大の菊池正士、台湾から京大に戻った荒勝文策がサイクロトロンを建設するが、敗戦によってこれらのサイクロトロンが全て占領軍によって破壊撤去され、戦前並に復興するまでに10数年を要した。遅れを取り戻すためにはさらに約10年を要し、KEKとRCNPが発足したのは1971年であった。さらにやっと世界のトップクラスに並んだのはKEKのトリスタンが完成した1986年のことであった。理研のリングサイクロトロンRRCの完成も1986年である。同時期に核研で立案されたニューマトロン計画は実現しなかったが、その技術開発は放医研の重イオンシンクロトロンHIMACに活かされた。さらに原子力予算によるSPring-8や理研RIBFが建設される。中性子利用を含むJ-PARCは科学技術庁と文部省の統合の象徴として建設された。その間、文部省予算で建設できた主なものはRCNPリングサイクロトロンとKEKBであった。これらの主流を眺めながら、背景を含めた日本の加速器の歴史と今後考慮すべきことを概観する。 |
光源加速器 (8月12日 会議室A) | |
10:10 - 10:30 | |
THOA01 p.185 [Slides] | 次世代光源における過渡的電圧補償のためのバンチ位相検出法の検討 Investigation of bunch-phase detection method compensating TBL voltages in next generation light sources ○内藤 大地,山本 尚人,坂中 章悟,高橋 毅(高エ研),山口 孝明(総研大) ○Daichi Naito, Naoto Yamamoto, Shogo Sakanaka, Takeshi Takahashi (KEK), Takaaki Yamaguchi (SOKENDAI) 次世代リング型光源で横方向の極低エミッタンスを達成するには、バンチ内における電子同士の散乱を抑制しなければならない。そこで、基本波の加速空洞の他に高調波空洞を導入してバンチ伸長を行う。しかし、このバンチ伸長手法では空洞内電圧の過渡的時間変動に非常に敏感だという問題がある。特にリング型光源ではイオン捕獲を抑制するため、バンチトレインの途中にギャップを設けねばならず、このギャップにより空洞内の電圧が時間変動してバンチ伸長の効率を悪化させる。そこで高帯域キッカーを用いた過渡的電圧補償が提唱されている。このキッカー空洞で発生すべきRF電圧をリアルタイムに最適化するため、我々のグループでは各バンチのRF同期位相の変動を検出し、その情報を用いてフィードフォワード・パターンを最適化することを提案している。これを実現する為にはまず、バンチの同期位相をリアルタイムで正確に測定できるビームモニターが必要である。このモニターを開発するため、我々はKEK-PFでBPMと高分解能オシロを用いて周回周波数に同期した各バンチの位相測定の試験を行った。本発表ではこの測定結果を用いた、フィードフォワードに最適な位相検出方法の検討結果について報告する。 |
10:30 - 10:50 | |
THOA02 [Slides] | SAGA-LS電子蓄積リングにおけるビームロス発生時のビームプロファイル観測 Observation of the beam profile at the moment of beam loss in the SAGA-LS storage ring ○岩崎 能尊(九州シンクロトロン光研究センター) ○Yoshitaka Iwasaki (SAGA-LS) SAGA-LS電子蓄積リングにはリニアックにより255 MeVまで加速された電子が入射される。約300 mA蓄積後にリング内で1.4 GeVまでランプアップ(加速)を行う。従来ランプアップ開始直後(~400 MeV以下)に数mA~10 mA程度のビームロスが発生していた。調査の結果、制御システムに起因する6極電磁石電源出力の異常が見つかり、これを修正したところ大幅にビームロスは低減された。またランプアップのスピードアップにも成功し、1.4 GeVまでの到達時間は4分半から1分半に短縮された。しかし、現在においても数mA程度のビームロスが発生し、まれに10 mA以上のビームロスや全ロスが発生する。ビームロスの要因を更に調査するため、ランプアップ時のビームプロファイル映像、ビーム電流、ビーム位置、主要電磁石電源出力値をPXIシステムにより同時に観測した。画像収録にはPXI Camera Linkモジュールを用いた。また、ビームプロファイルはアナログCCDカメラにより取得されているため、ビデオ信号とCamera Link信号の変換にはSTAC ACLD-400を用いた。観測の結果、ビームロスにはいくつかのパターンが存在するものの、ビームロス発生時に垂直方向ビームサイズが増大しているケースが多く見られた。本会議においてビームロス発生時に観測されるビームプロファイル形状の変化事例を報告する。また、合わせてビームロス発生メカニズムについての考察を行う。 |
10:50 - 11:10 | |
THOA03 | 京都大学小型中赤外自由電子レーザからの数サイクルパルス発生とその計測 Generation and measurement of few-cycle pulse at Kyoto University free electron laser ○全 炳俊,大垣 英明(京大エネ研),羽島 良一(量研) ○Heishun Zen, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.), Ryoichi Hajima (QST) 京都大学中赤外自由電子レーザ施設(KU-FEL)では自由電子レーザで駆動する高次高調波アト秒光源の実現に向けて研究開発を進めている。高次高調波発生において単独アト秒パルスを発生させるためには、駆動レーザが極端に短い数サイクル程度のパルス長を持つ必要がある。共振器型自由電子レーザではJAERI-FELにおいて電子ビームの運動エネルギーからレーザ電磁場エネルギーへの変換効率が6%と高い条件で数サイクルパルスの発生が観測されている。KU-FELではこれまでに9.4%の変換効率を達成しており、JAERI-FEL同様、数サイクルパルスの発生が期待されていた。本研究ではFELパルスの線形・非線形自己相関パターンを同時に測定可能な系を構築し、それらの測定結果を解析することでFELパルスの時間構造及び位相分布を得た。結果として、波長約11μm、変換効率約9%の条件下でFEL光共振器から半値幅約150fs(約4.2サイクル)のパルスが発生していること、発生したFELパルスが複雑なパルス構造を有していることが分かった。 本研究は文部科学省の光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP、JPMXS0118070271)によるものである。 |
11:10 - 11:30 | |
THOA04 p.190 [Slides] | THz域交叉型アンジュレータ超放射光源の偏光度を決める要因 Factors that determine degree of polarization of a superradiant THz source based on a crossed-undulator configuration ○齊藤 寛峻,武藤 俊哉,柏木 茂,日出 富士雄,三浦 禎雄,南部 健一,長澤 育郎,髙橋 健,鹿又 健,柴田 晃太朗,山田 悠樹,山本 大喜,山田 志門,濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Hirotoshi Saito, Toshiya Muto, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Sadao Miura, Kenichi Nanbu, Ikuro Nagasawa, Ken Takahashi, Ken Kanomata, Koutaro Shibata, Hiroki Yamada, Daiki Yamamoto, Shimon Yamada, Hiroyuki Hama (Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University) 交叉型アンジュレータは2台のアンジュレータからの直交する直線偏光を重ね合わせることにより偏光操作を行う偏光可変光源である。過去に可視光からX線にわたる短波長領域での応用研究が行われてきたが、我々は新たにこの偏光操作法と短バンチからの超放射を組み合わせた偏光可変コヒーレントTHz光源の研究開発を行っている。本研究では理論的な考察および3次元的な粒子トラッキングとリエナール・ヴィーヘルトポテンシャルに基づく放射の数値計算により、偏光度を決める要因について詳しく調べた。電子ビームのエミッタンスやエネルギー広がり、放射の波長広がりの偏光度への影響は小さく、2つの偏光成分の発光点が異なることに起因する波面のずれの効果が偏光度を決める主要因であることを明らかにした。発表では現在計画されている東北大学電子光理学研究センターにおける実証実験のパラメータ(電子ビームエネルギー22 MeV、共鳴周波数1.9 THz、アンジュレータ周期数7)を例にとり、本光源の典型的な偏光特性について述べる。 |
11:30 - 11:50 | |
THOA05 p.195 [Slides] | 横方向傾斜磁場アンジュレータの検討 Study of transverse gradient undurator ○武藤 俊哉,濱 広幸,柏木 茂,日出 富士雄,南部 健一,三浦 禎雄,長澤 育郎,髙橋 健,鹿又 健,柴田 晃太朗,齊藤 寛俊,山田 悠樹,山本 大貴,山田 志門(東北大電子光) ○Toshiya Muto, Hiroyuki Hama, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Kenichi Nanbu, Sadao Miura, Ikuro Nagasawa, Ken Takahashi, Ken Kanomata, Koutaro Shibata, Hirotoshi Saito, Hiroki Yamada, Daiki Yamamoto, Shimon Yamada (ELPH, Tohoku Univ) レーザー航跡場加速で得られるような比較的大きなエネルギー広がりを持つ電子ビームを用いた光源では光のスペクトラム幅は広がってしまう。この光のエネルギー幅を抑制するために横方向に磁場勾配をもつTransverse Gradient Undulator(TGU)が提案されている。我々のグループではこのTGUの実証実験を東北大電子光理学研究センター(ELPH)にある試験加速器T-ACTS用いて行うことを考えている。本発表ではT-ACTSでの実証実験のためのTGUの検討について報告する。 |
ビームダイナミクス・加速器理論/粒子源 (8月12日 会議室B) | |
10:10 - 10:30 | |
THOB01 p.198 [Slides] | J-PARC MRにおける三次構造共鳴補正 Compensation of third-order structure resonances in J-PARC MR ○安居 孝晃,五十嵐 進,佐藤 洋一,小関 忠(KEK) ○Takaaki Yasui, Susumu Igarashi, Yoichi Sato, Tadashi Koseki (KEK) 六極磁場が励起する三次構造共鳴を補正するために、大強度陽子加速器施設(J-PARC)の主リング(MR)において、新しいビーム光学系を考えた。この光学系では、六極磁場源である六極磁石や偏向磁石が存在する加速器の曲線部の位相進みを適切に調整することで、共鳴の補正を実現している。シンクロトロンの対称性が保たれている限り、六極磁石の強さ(用いてなくとも適用可能)や加速器の直線部の光学系、入射ビーム条件への制約が少ないことがこの補正手法の特長である。この手法は、MRのニュートリノ利用運転におけるチューンの近くに存在する三次構造共鳴nx-2ny=-21を補正することで実証された。共鳴の補正は、アパーチャサーベイシミュレーションにより確認された後、ビームを用いた3種類の測定でも実証された。1つ目は横方向の二極振動のカップリング測定で、補正後の光学系を用いることで、補正前には観測されていたカップリングの解消が測定された。2つ目は、三次構造共鳴に由来するビームロスが補正後の光学系を用いることで有意に減少することを確認した。3つ目は、三次構造共鳴由来のビーム位置振動のフーリエスペクトルが補正によって抑えられていることを確認した。 |
10:30 - 10:50 | |
THOB02 p.203 [Slides] | 2.5次元 PIC シミュレーションにおける鏡像電流のモデル化 Modeling of Image Current for 2.5 Dimensional PIC Simulations ○栗本 佳典(高エネ研) ○Yoshinori Kurimoto (J-PARC Center) 大強度陽子シンクロトロンJ-PARC Main Ringでは、空間電荷効果を含む多粒子トラッキングシミュレーションに2.5次元のPIC(Particle in Cell)シミュレーションを用いている。ここでの2.5次元とは縦方向と横方向の空間電荷分布が独立だとしてポアソン方程式を解くという意味で使用している。これらのシミュレーションでは、ステップごとに決まる電荷および電流分布から静電磁場モデルを使用してポテンシャルを求めているが、ビームダクトとの境界条件は電磁場の周波数によって異なる。具体的には、表皮効果により周波数が高い磁場はダクトに浸透しなくなる。また、ダクトの外に浸透した遅い磁場は強磁性体である磁極の影響を受ける。したがって厳密には静電磁場の物理ではない。一方で、周長1500 m以上を何万ターンもする加速器のコンポーネントを正確に反映した状態で時間に依存するマックウェル方程式を境界条件付きで解くことは現実的でない。そこで、本研究では、周波数依存性とダクトの形状による違いを含める簡易的なモデルを考案し、その有用性をコヒーレントベータトロンチューンシフトの測定との比較で考察した。その詳細を報告する。 |
10:50 - 11:10 | |
THOB03 p.206 [Slides] | コンパクトERLにおける中赤外自由電子レーザー運転のための入射器の最適化 Injector optimization for the IR-FEL operation at the Compact ERL ○田中 織雅,宮島 司,東 直(高エネルギー加速器研究機構) ○Olga Tanaka, Tsukasa Miyajima, Nao Higashi (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) KEKのcompact(cERL)は、ERL技術を開発し、高い平均ビーム電流と高いビーム品質で運転するための試験加速器である。cERLは、光陰極電子銃を用いた入射器、エネルギー回収用の超伝導加速空洞(主空洞)、周回ループ、およびビームダンプで構成される。cERLの産業応用の一つとして、cERLの中赤外自由電子レーザー(IR-FEL)へのアップグレードを実施したが、入射器に対してはFEL発振に必要な新しい条件が課される。FEL発振に必要な入射器のビーム条件は、バンチ電荷60 pCのビームに対して縦方向RMSエミッタンスを最小化しつつ、RMSバンチ長2 ps以下、横方向RMSエミッタンス3 π mm mradにすることであり、空間電荷効果を含む粒子トラッキングコードGPTを用いて電子銃から主空洞までのビーム輸送条件の最適化を行った。本発表では、cERL-FELのパフォーマンスを向上させるための入射器最適化の戦略と結果について報告する。 |
11:10 - 11:30 | |
THOB04 p.211 [Slides] | 銅合金を用いたSuperKEKB陽電子源用フラックスコンセントレータ A new flux concentrator made of Cu alloy for the SuperKEKB positron source ○榎本 嘉範,阿部 慶子,岡田 尚起,高富 俊和(高エネ研) ○Yoshinori Enomoto, Keiko Abe, Naoki Okada, Toshikazu Takatomi (KEK) KEK電子陽電子入射器ではタングステンターゲットで生成される陽電子を下流の加速管のアクセプタンスにマッチさせ効率よく加速するために、フラックスコンセントレータと呼ばれるマッチングデバイスを用いている。フラックスコンセントレータは内面がテーパー状に加工されたパルスソレノイドコイルの一種と考えられる。数Tの磁場を発生させるため、10 kA程度のパルス電流を流す必要があるが、これに伴い大きなローレンツ力が生じコイルが変形することがある。これを避けるために無酸素銅ではなく銅合金を用い、適切な熱処理をすることによって、ロウ付け加工後でも高い耐力を保った状態で、コイルを製作することができるようになった。今回採用した銅合金はロウ付け性も良く、フラックスコンセントレータに限らず、高い電気伝導率とともに機械的な強度、耐力が求められるような大電力デバイスにも幅広く応用可能なものと考えられる。材料試験の結果とともに、この合金を用いたフラックスコンセントレータの製作、さらに製作したフラックスコンセントレータの導入による陽電子の生成効率向上について報告する。 |
11:30 - 11:50 | |
THOB05 p.216 | 100mA級単孔CW引出しマイクロ波イオン源の開発 Development of a 100mA-Class Single-Hole CW-Extraction Microwave Ion Source ○永嶋 和也,関 孝義,足利 沙希子(日立製作所) ○Kazuya Nagashima, Takayoshi Seki, Sakiko Ashikaga (Hitachi) 核融合装置の材料開発や粒子線治療向けの中性子源では、大電流かつ安定動作を実現するために、100mA級単孔引き出しの大電流イオン源が要求される。本研究では、100mA級の大電流連続ビームの単孔引き出しを目標にイオン源を開発、評価した。イオン源の引き出し電圧は、引出し電流の3/2乗に比例して増加することから、現実的な電極支持部材の絶縁限界である50kVとした。またプラズマ生成用コイル周囲に磁路を設け、引き出し電極を鉄製の磁路とすることで、引出し電極部への漏洩磁場を低減し、電極間放電の無い安定引出しを実現した。放電室は、内径をマイクロ波の低次モード発生限界とし、マイクロ波発振器とステップ導波管で接続することで、反射の少ないプラズマ生成を実現した。開発したマイクロ波イオン源を用いた性能評価試験により、電極孔径φ12mmにおけるH+ビームの電流特性を評価して、低発散ビーム電流領域の140mAの連続ビーム生成を確認した。また連続ビームの安定性評価では、ビーム引き出しから5分以内でのビーム安定化および2時間以上の無放電引出しを確認した。本発表では、マイクロ波強度に対するビーム電流量やビーム中のイオン比率などの電流特性および連続ビームの安定性評価結果を示す。 |
加速器応用・産業利用/粒子源 (8月9日 会議室P) | |
12:50 - 14:50 | |
MOP001 p.220 | 重粒子線小型シンクロトロン用超電導電磁石の熱設計及び、パターン励磁試験 Thermal design and pattern excitation test results of the superconducting magnet for a compact heavy-ion synchrotron ○天野 沙紀,高山 茂貴,折笠 朝文,中西 康介,平田 寛(東芝エネルギーシステムズ),藤本 哲也(加速器エンジニアリング),岩田 佳之,水島 康太,阿部 康志,野田 悦夫,浦田 昌身,松葉 俊哉,楊 叶,白井 敏之(量研機構) ○Saki Amano, Shigeki Takayama, Tomofumi Orikasa, Kosuke Nakanishi, Yutaka Hirata (Toshiba Energy Systems & Solutions Corporation), Tetsuya Fujimoto (AEC), Yoshiyuki Iwata, Kota Mizushima, Yasushi Abe, Etsuo Noda, Masami Urata, Shunya Matsuba, Ye Yang, Toshiyuki Shirai (QST) 重粒子線がん治療装置は、他の放射線治療に比べ治療効果が高く、患者への負担も少ないことから、施設数が近年増加傾向にある。一方、本装置は、入射器、加速器主リング(シンクロトロン)、回転ガントリーといった大型機器で構成されるため装置全体のサイズが大きく、さらなる普及拡大のためには機器の小型化が必須となる。そこで、装置全体を小型化、高性能化する量子メス研究プロジェクトが、量子科学技術開発機構(QST)主導のもと、2016年より進められてきた。このプロジェクトの開発項目の一つに、超電導技術を用いた小型シンクロトロンの開発があり、本開発をQSTと共同で進めてきた。現状、シンクロトロンは直径約20m程度あるが、超電導電磁石を適用することで設置面積を約1/10程度まで小型化する計画である。開発中の超電導電磁石は、GM冷凍機による伝導冷却方式を採用しており、運転電流265 Aで3.5 Tの二極磁場を発生することが可能である。さらに、ランプ速度0.6 T/sでの高速励磁が可能な仕様となっている。この様な高速励磁は、超電導電磁石内の交流損失を発生させる原因となるため、発熱対策が必須となる。本発表では、これら交流損失を含む熱設計の検討結果について報告する。また、実機と同一の断面構成を持ったショートモデル電磁石を製作し、パターン励磁試験等を実施したため、その結果についても合わせて報告する。 |
12:50 - 14:50 | |
MOP002 p.223 | 重粒子線小型シンクロトロン用超伝導電磁石の磁場設計とショートコイルモデルによる励磁試験 Magnetic field design of the superconducting magnet for a heavy ion synchrotron and an excitation test using a short coil model ○藤本 哲也(加速器エンジニアリング),水島 康太,岩田 佳之,野田 悦夫,浦田 昌身,松葉 俊哉,楊 叶,白井 敏之(量研機構),阿部 康志(理研仁科センター),天野 沙紀,高山 茂貴,折笠 朝文,中西 康介,平田 寛(東芝エネルギーシステムズ) ○Tetsuya Fujimoto (AEC), Kota Mizushima, Yoshiyuki Iwata, Etsuo Noda, Masami Urata, Syunya Matsuba, Ye Yang, Toshiyuki Shirai (QST), Yasushi Abe (RIKEN Nishina Center), Saki Amano, Shigeki Takayama, Tomofumi Orikasa, Kosuke Nakanishi, Yutaka Hirata (Toshiba Energy Systems & Solutions Corporation) 重粒子線がん治療装置の更なる小型化、低コスト化を実現するため、超伝導技術を用いた超小型重粒子線がん治療装置の開発を進めている。本装置のシンクロトロン用超伝導電磁石には、0.3 Tから3.5 Tの磁場を連続的に10秒周期で上げ下げを実現する冷凍機伝導冷却方式を採用し、従来型シンクロトロンの半分以下となる周長28 m、炭素イオンを4 MeV/uから最大430 MeV/uまで加速することを目標としている。超伝導線には新たに開発したφ1.0 mm低ACロス線を採用し、サーフェスワインディングによりG-FRP製コイル巻枠上に3次元巻線を行う。磁石中心はcosθの電流分布が得られるコイル配置とするが、コイルエンドではこの電流分布が乱れるため磁場中に多極成分が生じる。とりわけ二極コイルが作る六極磁場成分が非常に大きく、これがダイナミックアパーチャーを狭める要因となる。コイルエンドの短い区間においてもベータ関数が変化することから、ベータ関数を考慮した六極磁場成分補正が必要であった。サーフェスワインディングによる巻線では超伝導線を任意形状に巻線固着できる。これを利用した六極磁場成分補正方法を考案した。本発表ではコイルエンドの六極磁場成分補正を含めたシンクロトロン用超伝導電磁石の磁場設計について報告する。また、この磁場設計の正当性を確認するためショートコイルモデル超伝導電磁石の製作を行った。このモデル電磁石の磁場測定結果についても合わせて報告する。 |
12:50 - 14:50 | |
MOP003 p.227 | パルス大強度相対論的電子ビーム照射の線量と動物プランクトンの不活化の関係 Relationship between Inactivation of Zooplankton and Dose of Pulsed Intense Relativistic Electron Beam ○佐々木 千尋,菊池 崇志,佐々木 徹,高橋 一匡(長岡技科大),本田 匠(電力中央研究所),松田 朝陽,山内 諒太(佐世保高専),今田 剛(新潟工科大,長岡技科大・極限エネルギー密度工学研究センター) ○Chihiro Sasaki, Takashi Kikuchi, Toru Sasaki, Kazumasa Takahashi (NUT), Takumi Honda (CRIEPI), Asahi Matsuda, Ryota Yamauchi (NIT, Sasebo College), Go Imada (NIIT, NUT-EDI) 近年、船舶のバラスト水に混入した海洋生物(プランクトンなど)の外来種による生態系への被害、これに伴う水産業等への被害、噛み付きや毒等による人の生命や身体への被害が問題となっている。薬剤を用いたプランクトン処理は存在するが、薬剤による二次汚染を処理する工程が増すことやコストが問題となっている。また、濾過や熱処理などの方法があるが、濾過では小さいプランクトンの除去が難しいこと、熱処理では一部の熱に強い卵などがいることが課題である。そのため、本研究では新たな処理方法として、パルス大強度相対論的電子ビーム(PIREB: Pulsed Intense Relativistic Electron Beam)を用いた方法を検討する。先行研究にて、PIREBを用いることで動物プランクトン(アルテミア)の処理が可能なことやアルテミアの卵における処理の度合い(孵化率)と照射線量の関係性が確認されている。しかし、アルテミアの幼体における処理の度合いと照射線量の関係性は評価が不十分である。そのため、本研究では処理の度合いとしてアルテミアの不活状態(動かない状態)に注目し、アルテミアの幼体における不活化率と照射線量の関係性を調べることを目的とした。不活化率と照射線量の関係性は、照射したアルテミアの幼体の不活化率を測定し、フィルム線量計を用いて測定した照射線量と比較することで検討を行った。 |
12:50 - 14:50 | |
MOP004 | RF電子銃を用いた超高圧パルス電子顕微鏡の開発 RF-gun-based high-voltage pulsed electron microscope ○楊 金峰,菅 晃一,神戸 正雄,吉田 陽一(阪大産研) ○Jinfeng Yang, Koichi Kan, Masao Gohdo, Yoichi Yoshida (Sanken, Osaka U.) フェムト秒時間領域で変化する物質構造を観察するため、我々は、フォトカソード高周波(RF)電子銃を用いてエネルギーが3MeVのフェムト秒電子線パルスを発生し、高周波加速器技術を活用した超高圧パルス電子顕微鏡装置を開発している。本大会では、フェムト秒短パルス電子ビームの低エミッタンス化、超高圧パルス電子顕微鏡装置の開発現状について報告し、その相対論的電子線パルスを用いた金ナノ粒子の透過電子顕微鏡(TEM)像や単結晶、多結晶、アモルファス等の物質の透過電子回折図形の観察結果を考察する。 |
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MOP005 p.230 | 2MHz高周波源による高周波大強度負水素イオン源から 引き出されたビームへの影響 Effect of an 2-MHz RF source on the H- beam extracted from an rf-driven high-intensity H- ion source ○神藤 勝啓(J-PARC/JAEA),柴田 崇統(J-PARC/KEK),和田 元(同志社大院理工) ○Katsuhiro Shinto (J-PARC/JAEA), Takanori Shibata (J-PARC/KEK), Motoi Wada (Doshisha Univ.) J-PARCやSNS、LINAC4では2MHzの高周波源を用いてイオン源チャンバー内で水素プラズマを生成し、大強度負水素イオンビームを引き出している。これまで、我々は高周波負水素イオン源より引き出された大強度負水素イオンビームの特性について報告してきた。今回、高時間分解能でマクロパルス内でのエミッタンスの変化を測定する計測系を開発した。この計測系を用いてイオン源より引き出された負水素イオンビームのエミッタンスを測定したところイオン源のプラズマ生成に用いている高周波源と同じ周波数またはその高調波で揺動していることが分かった。本発表では、エミッタンス揺動の計測結果についてセシウムを導入していく過程でどのように変化しているかについて報告する。 |
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MOP006 | J-PARC MLFにおけるミュオン生成標的の照射中温度分布の観測 Observation of temperature distribution of muon production target during irradiation at J-PARC MLF ○的場 史朗史朗,河村 成肇,永谷 幸則(KEK物構研),牧村 俊助(KEK素核研) ○Shiro Matoba, Naritoshi Kawamura, Yukinori Nagatani (KEK IMSS MSL), Shunsuke Makimura (KEK IPNS) J-PARC MLFではミュオン生成標的として,放射線損傷の分散のために回転方式の標的を採用している.加速器によって生成された3 GeVの陽子ビーム(最大0.333 mA)が,厚さ2cmの等方性黒鉛に衝突し,π中間子およびミュオンを生成させる. 回転体に接触式温度計を取り付けることができないため,これまでは熱電対を冷却ジャケットに設置して,輻射による温度上昇を測定していた.この温度測定システムの時定数は分のオーダーであるので,著しい温度上昇があった場合,加速器を迅速に停止させることができない. 我々は,回転標的の温度迅速検知システムを構築するために,赤外カメラを設置した.赤外線カメラ(ビジョンセンシング社製 VIM-640G2NL)は,陽子ビームダクト下部のポートにビーム軸と垂直に設置されている.回転標的からの輻射は,陽子ビームダクト内に45度の角度で設置された金蒸着ミラーで反射され,ZnSe真空窓を通してカメラセンサで観測される.レンズの焦点距離は150mmであり,空間分解能は約2mmである.このカメラを用いて,ビーム運転中の回転標的の温度を測定することに成功した.標的中心部には直径1.5cm程度のビームスポットと思われる高温部が観測された.現在,赤外線放射エネルギー量から絶対温度への変換の解析を行っており、陽子ビーム照射による熱伝導率の変化を解析する予定である.2021年5月現在で約8Gy程度の照射量であるが撮像画像の損傷は見られていない. |
加速器土木・放射線防護/真空 (8月9日 会議室P) | |
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MOP007 p.234 | ILC施設への河川流下による影響の評価を目的とした地質と振動の調査 Surveys of geological features and vibrational aimed at assessing the influence of river flows on ILC facilities. ○小林 真人,兼松 亮,川端 康夫(飛島建設株式会社),佐貫 智行,京谷 孝史,吉岡 正和(東北大学) ○Masahito Kobayashi, Kiyoshi Kanematsu, Yasuo Kawabata (Tobishima Corp.), Tomoyuki Sanuki, Takashi Kyoya, Masakazu Yoshioka (Tohoku Univ.) ILCの建設候補地として検討されている北上サイトには複数の河川が流れているため,河川流下の揺動による振動のILC加速器設備へ与える影響を事前に評価することとした。筆者らは北上サイトを流れる砂鉄川において,河川流下による振動の特徴や伝搬特性を把握することを目的に,調査ボーリング,標準貫入試験,孔内PS検層,孔内載荷試験などの地質調査を行うとともに,河川直下の岩盤内(G.L -21m)に振動速度計を設置し2020年3月から振動の常時計測に着手している。本報ではこれらの概要について報告する。 |
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MOP008 p.238 | 3GeVシンクロトロン入射部への遮蔽体設置作業 Radiation shielding installation work for 3GeV synchrotron injection section ○仲野谷 孝充,神谷 潤一郎,吉本 政弘,高柳 智弘,谷 教夫(日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター),古徳 博文(アルバックテクノ株式会社),堀野 光喜,柳橋 亨,竹田 修(株式会社NAT),山本 風海(日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター) ○Takamitsu Nakanoya, Junichiro Kamiya, Masahiro Yoshimoto, Tomohiro Takayanagi, Norio Tani (J-PARC/JAEA), Hirofumi Kotoku (ULVAC TECHNO), Koki Horino, Toru Yanagibashi, Osamu Takeda (NAT), Kazami Yamamoto (J-PARC/JAEA) J-PARC 3GeVシンクロトロン加速器ではビーム出力の増強に伴い、ビーム入射部付近では放射化による機器の表面線量と空間線量率が年々増加している。一方でビーム入射部には人の手によるメンテナンスが欠かせない機器が多数存在しており、作業者の被ばく低減が重要な課題であった。特に今後、本加速器の設計値である1MWで定常的な運転をしていくとさらなる機器の放射化が予想されるため、作業者の被ばくを低減するには遮蔽体の設置が必須である。遮蔽体の形状、設置方法等について検討を重ねた結果、ビームライン架台に対して取り外し可能な遮蔽体を設置することとした。そして、2020年夏季メンテナンス期間に遮蔽体の設置作業を実施した。 遮蔽体の設置作業は高線量下で行われるため、作業員の被ばく量を抑えることが重要な課題であった。被ばく低減を図るため、入念に作業計画と作業手順を作成し、また、作業期間中も様々な被ばく低減対策と個々の被ばく管理を行った。これにより、作業者の最大の被ばく線量を管理目標値以下に抑えて作業を完遂することができた。 遮蔽体設置後に遮蔽効果の検証した結果、この遮蔽体により入射部近傍での作業時の被ばく線量の大幅な低減に寄与できることが確認できた。 本発表では設置した遮蔽体の概要、設置作業に係る作業管理・放射線管理及び遮蔽効果について報告する。 |
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MOP009 | 表面を窒化した高純度無酸素Ti蒸着膜の走査透過電子顕微鏡(STEM)と電子エネルギー損失分光測定(EELS)研究 Study of high purity oxygen-free Ti deposited films with nitrided surfaces using scanning transmission electron microscopy (STEM) and electron energy loss spectroscopy (EELS) 小野 真聖,吉岡 和夫,吉川 一朗(東大),山中 操(物材機構),橋本 綾子(物材機構、筑波大),菊地 貴司(高エ機構),○間瀬 一彦(高エ機構、総研大) Masato Ono, Kazuo Yoshioka, Ichiro Yoshikawa (UTokyo), Misao Yamanaka (NIMS), Ayako Hashimoto (NIMS, Univ. of Tsukuba), Takashi Kikuchi (KEK), ○Kazuhiko Mase (KEK, SOKENDAI) 最近我々は10–8 Pa台の超高真空下での昇華により高純度無酸素Tiを蒸着して高純度N2を導入すると表面が窒化すること、表面を窒化した高純度無酸素Tiを蒸着した真空容器は、真空排気、185℃、6時間ベーキング後に室温に戻すと、H2、H2O、O2、CO、CO2などの残留ガスを排気することなどを報告した。本研究では、表面を窒化すると活性化温度が低下する原因を明らかにするために、高純度N2を導入して表面を窒化した高純度無酸素Ti蒸着膜試料と積極的に表面を窒化しなかった高純度無酸素Ti蒸着膜試料を作製し、断面の走査透過電子顕微鏡(STEM)像、電子エネルギー損失分光(EELS)によるチタンおよび酸素のエッジ強度マップを測定して比較した。その結果、表面を窒化した試料では表面TiO2層が明瞭に観察されなかったのに対し、表面を積極的に窒化しなかった試料では表面TiO2層が明瞭に観察された。表面を窒化した試料および表面を積極的に窒化しなかった試料の断面における酸素とチタンのエッジ強度比を、表面から25 nmまでの深さまでプロットした結果、表面を窒化した試料ではTiO2中の酸素原子がTi蒸着膜内部に拡散していることを示唆する結果が得られた。これらの結果は、表面を窒化した高純度無酸素Ti蒸着膜では、表面のTiO2薄膜中の酸素原子がTi蒸着膜内部に拡散しやすく、電子照射による温度上昇で表面TiO2層中の酸素原子がTi蒸着膜内部に拡散することを示唆している。 |
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MOP010 p.243 | 溶接ステンレス板を使った大口径ピローシールの開発 Development of a large-diameter pillow-seal using welded stainless-steel plates ○倉崎 るり,山野井 豊,渡邉 丈晃(KEK),中村 哲朗(株式会社ミラプロ) ○Ruri Kurasaki, Yutaka Yamanoi, Hiroaki Watanabe (Institute of Particle and Nuclear Studies, High Energy Accelerator Research Organization), Tetsuro Nakamura (MIRAPRO CO.,LTD.) ピローシールは鏡面研磨されたダイヤフラムを圧縮空気で膨らませて、同じく鏡面研磨されたミラーフランジへ密着させることで真空気密を得ることができる真空着脱装置である。これまでのピローシールのダイヤフラムは継ぎ目のない一体物のステンレス板から製作されてきた。そのため現状としては、ピローシールの大きさ(口径)は入手できるステンレス板の大きさで制限されている。そこで本研究では、より大口径のピローシールを作ることを目的とし、溶接で接合したステンレス板からダイヤフラムを製作し、口径110mmのピローシールへ組み込んで基礎的な性能評価を実施した。今回の発表では、溶接型ダイヤフラムを使用した口径110mmのピローシールによるHeリーク量などの測定結果について報告を行う。 |
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MOP011 p.248 | PFリング入射部高度化改造における真空システム更新 Vacuum system renewal for the PF-ring injection-section upgrade ○谷本 育律,野上 隆史,高井 良太,内山 隆司,上田 明,満田 史織,⻑橋 進也,原田 健太郎,帯名 崇,本田 融(KEK) ○Yasunori Tanimoto, Takashi Nogami, Ryota Takai, Takashi Uchiyama, Akira Ueda, Chikaori Mitsuda, Shinya Nagahashi, Kentaro Harada, Takashi Obina, Tohru Honda (KEK) PFリングでは2020年に入射効率改善とメンテナンス性向上を主目的とした入射部の高度化改造を行い,セプタム2(S2)電磁石とその周辺真空チェンバやビームモニタを更新した。旧S2真空チェンバはin-vacuum型パルス電磁石を格納する入射路真空槽にセプタム壁やSUS箔製ビーム窓を介して蓄積ビーム路が結合された一体型であり,2015年以降は蓄積リング側にある放射光吸収板の水冷配管から度々リークを起こしていた。新しい入射ビームチェンバにはin-air型新S2電磁石内に格納可能な小口径角型湾曲ダクトを採用し,超高真空側の蓄積ビームチェンバとはair gapを介して分離させた。本湾曲ダクトは渦電流によるパルス磁場の減衰と遅延を低減させるため,電気抵抗率がSUS304の約1.7倍のインコネル718製とし,厚さも0.3mmまで薄くして電気抵抗を高めている。さらに,固溶化処理インコネルはSUSの約2倍の引張強度を有するため堅牢性の向上にも寄与している。湾曲ダクトの下流側に2種類のビームモニタ用SUSチェンバを溶接し,その最下流部には0.2mm厚のSUS製出射窓を設置した。このSUS窓は鏡面加工してOTR光を発生しやすくすることで常時プロファイルモニタとしても利用している。一方,蓄積ビームチェンバは高い熱伝導度と高い機械強度を兼ね備えるアルミ合金製とし,セプタム壁側への放射光パワーを効率的に吸収させている。これらの改良によって入射効率に影響する入射点での各ビーム軌道を改善させた。 |
電磁石と電源 (8月9日 会議室P) | |
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MOP012 p.252 | パルスステアリング磁石用バイポーラ電源 Bipolar power supplies for pulsed steering magnets ○榎本 嘉範(高エネ研) ○Yoshinori Enomoto (KEK) KEK電子陽電子入射器では約70台のパルスステアリグ電源を運用している。このマグネットを駆動するためのバイポーラパルス電源は、2017年より運用している25V 10Aタイプのもの及び2021年秋より導入予定の90V 20Aタイプのものがある。いずれもパワーオペアンプを用いた回路で電流フィードバック制御構成となっているが、90V 20Aタイプに関しては、これまでの回路構成を踏まえつつ、並列化、モニター回路の更新などの改良を行っている。本発表では2種類の電源を比較しつつ、回路構成、性能評価試験、運用状況等について紹介する。 |
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MOP013 p.256 | 電磁石ホロ―コンダクタ洗浄の検討 Examination of magnet hollow conductor cleaning. ○植田 猛,小玉 恒太(高エネルギー加速器研究機構) ○Takeshi Ueda, Kota Kodama (KEK) KEKつくばキャンパスにあるSuperKEKB電子陽電子衝突型加速器(MR)と入射用加速器(Linac)をつなぐビーム輸送路(BT)には約90台の偏向電磁石が設置されている。これらの電磁石はKEKB時代の物が流用されており、ホロ―コンダクタ内に酸化銅による詰まりが発生し、流量低下によるトラブルが起きている。この対策としてキャビテーション発生装置によるホロ―コンダクタ―内及び冷却水配管の洗浄を検討した。本発表では検討内容と検討中に起きたトラブルについて報告する。 |
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MOP014 p.259 | 高電圧パルス電源における磁性体コアの特性評価 Characterization of magnetic cores in high-voltage pulse power supplies ○顔 秉宇,出口 達也,岡崎 祐樹,小幡 真,須貝 太一,徳地 明,江 偉華(長岡技術科学大学) ○Bingyu Yan, Tatsuya Deguchi, Yuki Okazaki, Makoto Obata, Taichi Sugai, Akira Tokuchi, Weihua Jiang (Nagaoka University of Technology) 本研究は、加速器応用を目的として、LTD (Linear Transformer Driver) 型パルスパワー電源における磁性体コアの特性評価を行なった。LTDは比較的新しいパルスパワー電源方式であり、そのパフォーマンスは内部に搭載する磁性体コアの特性に強く依存する。 本研究の目的は、コア特性の解析を通じてLTDの特性を改善することである。 LTDの基本動作はパルストランスの原理に基づいている。1次側から2次側へのエネルギー転送はコア磁束を介して実現される。コア磁気特性の優劣は直接LTDのエネルギー効率、立ち上がり特性、パルス時間幅、繰り返し周波数などに影響を与える。このため、LTDの動作特性を最大限に向上させるため、コアの詳細な磁気特性を取得し、これらの特性がLTDの出力に与える影響を明らかにする必要がある。 本研究は磁性体コアのB-H特性およびその周波数依存性から着手し、これらの基礎特性に基づいてLTDにおける磁性体コアの役割および理想コアとの差異について分析する。また、異なる形状(円形とレーストラック形)のコアを用いて評価実験を行い、形状による影響についても解析する。これらの結果を用いて、LTDの出力に対する影響と制限を明らかにし、改善の方向性について検討する。 |
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MOP015 p.262 | J-PARC MRアップグレードのための新低磁場セプタム電磁石の開発(7) The new low-field septum magnet for upgrading of fast extraction in MR J-PARC(7) ○芝田 達伸,岩田 宗磨,石井 恒次,杉本 拓也,松本 浩,松本 教之(高エネ研) ○Tatsunobu Shibata, Soma Iwata, Koji Ishii, Takuya Sugimoto, Hiroshi Matsumoto, Noriyuki Matsumoto (KEK) J-PARCのMRでは速い取り出しビームパワーを750kWに増強するため今年度の2021年に長期メンテナンス期間を設け、アップグレードを完了させる予定である。MR用入出射電磁石もアップグレードを進めている。現行の速い取り出し用低磁場セプタムは電流型セプタム電磁石であり、周回ラインの両端にセプタムコイルが設けられている。セプタムコイルはその必要性から幅の小さいコイルであるため耐久性が懸念されている。そしてMRのアップグレードに合わせて低磁場セプタムは渦電流誘導型セプタム電磁石に交換する予定である。ここではEddyセプタムと呼ぶ。Eddyセプタムはセプタムコイルを持たず、薄いセプタム板のみ設置されており、漏れ磁場がセプタム板を貫通する際に発生する渦電流が漏れ磁場を相殺する事で周回ライン上に漏れ磁場を作らない構造になっている。これまでの発表でEddyセプタムの磁場測定や新パルス電源の試験運転の状況を報告してきた。本発表ではこれまでの結果を踏まえた漏れ磁場対策、真空チャンバーへの装填と通電試験、インピーダンス低減対策について報告する。 |
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MOP016 p.267 | Muon g-2/EDM 精密計測用蓄積磁石へのビーム入射輸送ライン設計の最新化 Update and detail design of beam transport line for muon g-2/EDM experiment at J-PARC ○飯沼 裕美(茨大理工),阿部 充志,大澤 哲(高エネ研),小田 航大(茨大理工),佐々木 憲一,齊藤 直人,中山 久義,古川 和朗(高エネ研),平山 穂香(茨大理工),松下 諒太(東大),三部 勉,Rehman Muhammad Abdul(高エネ研) ○Hiromi Iinuma (Ibaraki Univ.), Mitsushi Abe, Satoshi Ohsawa (KEK), Koudai Oda (Ibaraki Univ.), Ken'ichi Sasaki, Naohito Saito, Hisayoshi Nakayama, Kazuro Furukawa (KEK), Honoka Hirayama (Ibaraki Univ.), Ryota Matsushita (Tokyo Univ.), Tsutomu Mibe, Muhammad Abdul Rehman (KEK) 蓄積ビーム軌道半径33.3cmの超電導磁石への3次元螺旋入射は、円筒形状の鉄ヨークおよび円形鉄板で囲まれた形状に、ビーム入射チャネルや磁場調整シムの出入り貫通穴のみの簡易形状モデルで設計を進め、入射ビーム位相空間のX-Y結合条件や、輸送ライン設計について議論してきた((加速器学会2017~2020, NIMA, Vol. 832, 2016)。 その後の設計進展で、鉄ヨーク形状および超伝導コイル配置の詳細が決定された。これに伴い、ビーム入射軌道および、ビーム位相空間のX-Y結合の見直しを行い、輸送ライン建設に向けた電磁石配置の詳細決定の進捗を報告する。特に、傾斜角度25度の輸送ラインに設置する電磁石の内、X-Y結合を与える4極磁石は任意の回転角の調整機構も必須であり、輸送ライン自体の規模は全長8m程度と短いが、ビーム調整精度に直結する電磁石架台の機械的な制御技術が必要とする技術的課題がビームラインである。また、電磁石への入射点におけるビームモニターの手法を議論する。 |
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MOP017 p.271 | 九大150 MeV FFA(Fixed Field Alternating gradient)加速器におけるビーム光学改善のための電磁石改造に関する研究 Magnet remodeling for the improvement of beam optics in the 150 MeV FFA (Fixed Field Alternating gradient) accelerator at Kyushu University ○和賀 雄飛,有馬 秀彦,米村 祐次郎,足立 恭介,伊藤 彰洋,池田 伸夫(九大),森 義治(京大) ○Yuhi Waga, Hidehiko Arima, Yujiro Yonemura, Kyosuke Adachi, Akihiro Ito, Nobuo Ikeda (Kyushu Univ.), Yoshiharu Mori (Kyoto Univ.) 集束力が運動量に依らない零色収差という特徴を持ち、大きな運動量アクセプタンスと空間アクセプタンスを有したFFA加速器は、大強度の2次粒子を生成する用途への利用が期待されている。九州大学の150 MeV FFA加速器では、重イオンビームの加速や陽子ビームのさらなる大強度化が計画されており、ベータトロンチューンの選択の自由度が高く、加速中のビーム損失を低減できる光学系が必要とされている。しかし、150 MeV FFA加速器は当時の計算機の性能の問題で電磁石同士の磁場の干渉が適切に考慮されていなかったため、ベータトロンチューンが運動量に対して変化する光学系となっていた。本研究では、150 MeV FFA加速器のビーム光学系の改善を目的として、電磁石と集束力補正機構に関する研究を行った。本発表では、三次元磁場計算と軌道計算を用いて電磁石形状の変更、追加磁極と磁気シールドの設計を行い、ベータトロンチューンの変化量を評価した結果について報告する。 |
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MOP018 p.273 | ILC Main Linacのための伝導冷却による機能結合型超伝導四極磁石の研究 Study of Conduction-Cooled Superconducting Quadrupole Magnets Combined With Dipole Correctors for the ILC Main Linac ○有本 靖,青木 和之,梅森 健成,大内 徳人,大木 俊征,清水 洋孝,宗 占国,道園 真一郎,森川 祐,山本 明,王 旭東(高エ研),Kashikhin Vladimir(フェルミ国立加速器研究所) ○Yasushi Arimoto, Kazuyuki Aoki, Kensei Umemori, Norihito Ohuchi, Toshiyuki Oki, Hirotaka Shimizu, Zhanguo Zong, Shinichiro Michizono, Yu Morikawa, Akira Yamamoto, Xudong Wang (KEK), Vladimir Kashikhin (Fermilab) 国際リニアコライダー(ILC)Main Linac の超伝導RF(SRF)クライオモジュール には補正二極磁石機能を組み合わせた超伝導(SC)四極磁石が組込まれる. この四極磁石は, 4個のSCレーストラックコイルからなるsuper-ferric磁石である. SCコイルはクライオモジュールの2相流ヘリウムパイプからの熱伝達によって冷却される. 四極磁石の磁場勾配と補正二極磁場は、各々40 T/m, 0.1 T, また, 磁石長, 鉄磁極の開口半径は各々1 m, 0.045mである. この磁石を安定に運転する上で課題となるのが, SRF空洞内で発生する暗電流(電界放出による電子流)である. 暗電流は, 後続のSRF空洞内電界によって加速される. 加速された暗電流電子は四極磁石に到達すると, その磁場によって曲げられ, SCコイルに入射する. この時に, コイルへ落とされるエネルギーは数ワットに達すると想定され, SCコイルの温度は局所的に上昇し, クエンチのリスクとなる. そこで我々は, この暗電流によってもクエンチに至らない尤度を持ったSC磁石の実現を目指す開発研究を開始した. NbTi, Nb3Sn, MgB2, の3種類のSC材料で作られたテストコイルを試作し, その結果をもとに、ショートモデル磁石を開発する. ここでは、磁石設計と研究開発計画について報告する. |
ハドロン加速器/ビームダイナミクス・加速器理論 (8月9日 会議室P) | |
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MOP019 p.276 | LバンドRF窓用セラミックスの高周波誘電特性 RF dielectric properties of alumina ceramics for L-band RF window ○平野 耕一郎(原子力機構/J-PARC),内藤 富士雄(高エネ研) ○Koichiro Hirano (JAEA/J-PARC), Fujio Naito (KEK) 日本特殊陶業株式会社製のアルミナセラミック(型名HA95およびHA997)がJ-PARCリニアック空洞のRF窓に使用されてきた。これらのRF窓材が製造中止になったため、代替品を検討している。運転周波数324MHzのRFQ空洞のRFカップラーには、直径166㎜のHA95が使用され、DTL空洞のRFカップラーには、直径150mmのHA997が使用され、SDTL空洞のRFカップラーには、直径203㎜のHA95が使用されている。一方、運転周波数972MHzのACS空洞のピルボックス型RF窓には、直径285mmのHA95が使用されている。このように、Lバンドでは大口径のセラミックスが使用されており、RF窓材としての製作が難しい。また、メーカーのカタログに記載されているセラミックの誘電特性は、実際の大口径のものと異なる場合がある。このため、代替品のアルミナセラミックスについて、直径285mmのRF窓材を試作し、空洞共振器を用いて、誘電率および誘電正接を測定した。今回は、京セラ株式会社製A479BおよびA479U、フェローテック製AM997およびAM997QⅡの高周波誘電特性について報告する。 |
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MOP020 p.279 | 自動サイクロトロン共鳴加速のためのRF共振空洞の開発 Design of the RF cavity for the cyclotron auto-resonant acceleration ○神田 浩樹,福田 光宏,依田 哲彦,安田 裕介,原 隆文,武田 佳次郎(阪大RCNP),篠塚 勉,伊藤 正俊(東北大CYRIC),宮脇 信正,倉島 俊(量研高崎研),中尾 政夫(群大重医セ),松田 洋平(甲南大学),涌井 崇志(量研量医研) ○Hiroki Kanda, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Yuusuke Yasuda, Takafumi Hara, Keijiro Takeda (RCNP, Osaka Univ.), Tsutomu Shinozuka, Masatoshi Itoh (CYRIC, Tohoku Univ.), Nobumasa Miyawaki, Satoshi Kurashima (QST-Takasaki), Masao Nakao (GHMC), Yohei Matsuda (Konan Univ.), Takashi Wakui (QST-NIRS) 自動サイクロトロン共鳴を応用した粒子加速器は高い電力効率で大電流のビーム加速が可能であることが示されており、RI製造や中性子源など大強度ビームが必要となる用途に向けた加速器としての実用化が期待されている。先行研究によって、ソレノイド内部に導波管を配置しTE11モードの進行波を用いて電子を螺旋状に加速する型の加速器が提唱・開発され、極めて高い電力効率での電子の加速が報告された。しかし、この方式の加速原理を陽子などのイオンに適用するためには、加速に必要なRFの波長を考慮すると導波管ではなくTE111モードの定在波の共振空洞を利用することが望ましい。私たちは陽子を加速することを目標として、TE111モードの共振空洞の有限要素法によるシミュレーションを実施し、得られた高周波電磁場を用いた粒子運動のシミュレーションによってmAを超える陽子ビームの加速が可能であることを確認してきた。そこで、次のステップとしてこの加速器を実現するための模型である、TE111モードの定在波を使用した電子加速器の開発を行う。電子サイクロトロン共鳴(ECR)型イオン源用の電磁石と共振空洞をベースに、共振空洞への導波管の結合方法、共振器のチューニング方法といった共振器の設計に加えて電子の入射、引き出しといった加速器として必要な構造を導入するための検討を行っている。本発表ではコンピューターシミュレーションによる設計の現状について報告を行う。 |
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MOP021 p.283 | J-PARC MR-RF変圧整流器の修理と新設RFシステムへのインストール Repairment of a transformer-rectifier unit and installation into the new RF system in J-PARC MR-RF ○古澤 将司,大森 千広,杉山 泰之,長谷川 豪志,原 圭吾,吉井 正人(KEK/J-PARC),沖田 英史,島田 太平,田村 文彦,野村 昌弘,山本 昌亘(JAEA/J-PARC) ○Masashi Furusawa, Chihiro Ohmori, Yasuyuki Sugiyama, Katsushi Hasegawa, Keigo Hara, Masahito Yoshii (KEK/J-PARC), Hidefumi Okita, Taihei Shimada, Fumihiko Tamura, Masahiro Nomura, Masanobu Yamamoto (JAEA/J-PARC) J-PARC MRでは、ビームパワー増強のために二次高調波用のRF10号機、11号機の増設を進めている。2020年までにMRトンネル内にRF空胴2台を設置し、2021年以降は終段増幅器と電源機器の設置を予定している。RFシステムでは、交流定格容量1700kVA、直流定格容量1500kWの大型変圧整流器が使用される。この変圧整流器を用いてAC6.6kVをDC505Vに変換し、電子管を用いた終段増幅器の陽極電源に電力を供給する。現在、2002年から2019年まで既設電源で使用されていた変圧整流器1台の、新システムでの再利用を検討している。この変圧整流器は、設置場所の屋外電源ヤードが海岸に近い事から塩害で絶縁油放熱ラジエータが腐食され、2019年に既設電源から取り外されたものである。耐塩害塗装ラジエータへの交換等の補修を進め、2022年からの再利用を目指している。本会では、これまでに行ったRF電源用大型変圧整流器の修理内容と、再利用に向けた計画を報告する。 |
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MOP022 p.287 | J-PARC MRのFXセプタムとFXキッカーのインピーダンスの評価と対策 Evaluation and countermeasures for impedance of fast extraction septa and fast extraction kickers at the J-PARC main ring ○小林 愛音,外山 毅,中村 剛(KEK/J-PARC),菖蒲田 義博(JAEA/J-PARC),石井 恒次(KEK/J-PARC) ○Aine Kobayashi, Takeshi Toyama, Takeshi Nakamura (KEK/J-PARC), Yoshihiro Shobuda (JAEA/J-PARC), Koji Ishii (KEK/J-PARC) 加速器を構成する要素のビーム結合インピーダンスの影響の見積もりと対策は、それにより引き起こされるビームの集団効果を抑制し、ビーム強度を上げるために不可欠である。J-PARC main ring (MR)は現在の最高強度550 kW(2.8×10^14ppp, MR cycle 2.48 sec)から750 kW(2.03×10^14 ppp, 1.3 sec)、さらには1.3 MW(3.33×10^14 ppp, 1.16 sec)と大強度化する計画であり、不安定性を始めとした集団効果によるビームロスの低減は必須である。大きなインピーダンスを持つと考えられている個々の装置のうち、FXセプタムとFXキッカーをCSTシミュレーションでモデル化し、縦および横方向のインピーダンスの見積もりを行った。特に大きな値となったインピーダンスについては、それが発生するウェイク場を減衰させる方法を検討した。FX セプタムについては、SiCをウェーク場の減衰器として追加することでインピーダンス低減を目指すように設計し、かつ発生する熱等が実用的かどうか調べ、製作を行なっている。インピーダンスの実測定は夏から秋に行う予定である。ここではシミュレーション過程およびインピーダンスのビームへの影響の見積りを報告する。 |
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MOP023 p.292 | 回折限界光源における縦方向不安点性評価を目的としたMBTACKコードへのDirect RF feedback 機能の実装 Implementation of direct RF feedback function to a beam tracking code MBTACK ○山本 尚人(高エネ研) ○Naoto Yamamoto (KEK) 回折限界光源リングでは大電流蓄積時において極低エミッタンスを維持するために、高調波空洞を用いたバンチ伸張運転が必要不可欠となる。一方、高調波空洞を用いたバンチ伸張運転を行う際、高調波空洞では通常の加速空洞と異なり空洞の同期位相を正方向にとる必要がある。特に孤立バンチ運転時など平均蓄積リング電流値が小さい場合、同期位相が小さくなり共鳴周波数がビームの周回周波数が近づくため、加速モードのインピーダンスを介したビーム不安定を誘発するおそれがある。 発表者はこれらの不安定性を抑制する手段として、Direct RF Feedback や Mode damper の可能性を探っている。本研究ではまず、Direct RF Feedbackを、モデル化しトラッキングコードMBTRACKに導入した。Direct RF Feedback とはピックアップ電極等を用いて空洞で検出した高周波の一部を低電力RFシグナルに直接足し併せ空洞の入力RFに帰還させるフィードバックであり、これにより蓄積リングを周回するビームが感じる空洞の実効インピーダンスを低減できる。 本発表ではMBTRACKに実装したDirect RF Feedback機能の詳細を説明するとともに、KEK-Bの実測例を参考としたベンチマーク結果を紹介する。 |
ビーム診断・ビーム制御 (8月9日 会議室P) | |
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MOP024 p.296 | SiCワイヤにおける二次電子放出の大強度ビームに対する耐久性 Durability of secondary electron emission for high-intensity beam on SiC wire ○明午 伸一郎,中野 敬太(J-PARC/JAEA) ○Shin-ichiro Meigo, Nakano Keita (J-PARC/JAEA) 原子炉の廃棄物の有害度低減に用いる加速器駆動型核変換システム(ADS)や大強度核破砕中性子源の安定した運転のためには、ビームプロファイルモニタが重要となる。J-PARCの核破砕中性子源では、炭化珪素(SiC)の二次電子弾き出しによるマルチワイヤ―プロファイルモニタ(MWPM)用い測定を行っている。ADSのターゲット等の材料試験のためにJ-PARCで建設を計画している陽子照射施設でも、SiC製のMWPMを用いる予定としている。SiCのビーム耐久性が重要となるため、Heイオンを用いてSiCワイヤの劣化を測定した。 |
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MOP025 p.302 | TIARA AVF サイクロトロンRI製造用ビームラインのビームエネルギー・位置モニターの開発 Development of beam energy and position monitor system in the beam transport line for RI production at the TIARA AVF cyclotron ○宮脇 信正,渡辺 茂樹 ,柏木 啓次,石岡 典子,倉島 俊(量研 高崎),福田 光宏(阪大RCNP) ○Nobumasa Miyawaki, Shigeki Watanabe, Hirotsugu Kashiwagi, Noriko Ishioka, Satoshi Kurashima (QST Takasaki), Mitsuhiro Fukuda (RCNP, Osaka University) 量研高崎のTIARA AVFサイクロトロンでは、アルファ線核医学治療に関する研究で使用するAt-211を製造するため、HeビームをBiターゲットがあるRI製造装置に供給している。At-211の製造では、ビームの加速エネルギーが僅かに高くなるだけでその生成率が大きく増加するが、エネルギーが一定以上高くなると化学的に分離不能なAt-210の生成及びその壊変によって放射性毒性の高いPo-210が生じるため、ビームのエネルギーの測定・制御は極めて重要である。これまでのAt-211の製造では、サイクロトロンの運転毎に偏向電磁石を用いた測定でビームエネルギーの僅かな変化を確認し、これに伴ったAt-210の検出やAt-211の生成率の低下も確認できた。しかし、この測定方法では、RI製造装置がサイクロトロンからの直線上のビームラインの末端に位置するため、RI製造中や製造前でも測定の短時間化ができず、At-211の製造におけるビームエネルギーの変化への対応が困難であった。そこで、リアルタイムでビームのエネルギーを測定するため、理研で開発されたビームエネルギー・位置モニター(BEPM)システムを導入し、本ビームラインに適用するための設置調整を行った。その結果、リアルタイムでのビームのエネルギー測定とともに位置測定も可能とした。発表では、BEPMの設置調整と得られた測定結果について報告する。 |
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MOP026 p.306 | セプタム壁近傍における入射ビームプロファイルモニターとエアギャップ用金属窓を利用した常時プロファイルモニターの開発 Development of injection beam profile monitor near septum wall and constant profile monitor using metal window for air gap ○高井 良太,谷本 育律,内山 隆司,野上 隆史,満田 史織,帯名 崇(高エネ研) ○Ryota Takai, Yasunori Tanimoto, Takashi Uchiyama, Takashi Nogami, Chikaori Mitsuda, Takashi Obina (KEK) KEKの放射光源であるPFリングでは、2020年度の夏季停止期間中にビーム入射点のセプタム2電磁石とその真空ダクトが更新された。新しい真空ダクトは、入射ビームダクトと蓄積ビームダクトがエアギャップで完全に分けられた分離型構造となっており、その入射ビームダクトの最下流部には2種類のビームプロファイルモニターが設置された。1つはCe:YAGシンチレータを用いたスクリーンモニターで、圧空式の直線導入機によりオンデマンドの精密プロファイル測定を可能にする。入射ビームはセプタム壁から約2.5 mmの位置を通過する設計のため、シンチレータを保持するスクリーンホルダにはセプタム壁側のフレームがないコの字型のものが採用され、セプタム壁との間隔も導入機に設けたXYステージで微調可能となっている。もう1つはエアギャップに面した厚さ0.2 mmのSUS窓から発せられる遷移放射光(OTR)を利用したスクリーンモニターで、別途放射ターゲットを挿入する必要がないため、入射効率に影響を与えることなく入射ビームプロファイルの常時観測が可能である。エアギャップ用の金属窓をスクリーンモニターの放射ターゲットとして利用する試みは他に類を見ない。本発表では、これら2種類のビームプロファイルモニターの詳細と入射ビームの観測例、今後の課題について述べる。 |
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MOP027 | KEK電子陽電子入射器におけるBPM/RF/パルス電磁石電源高速同期計測システム Synchronized beam position/rf/pulsed magnet supply fast measurement system for the kek e-/e+ injector linac ○佐藤 政則(高エネ機構) ○Masanori Satoh (KEK) KEKの電子陽電子入射器は,SuperKEKB電子,陽電子,PF,およびPF-ARリングという4つの異なるリングへビームを供給している.安定なビーム供給を実現するために,約100台の非破壊型ビーム位置モニタが設置されている.本モニタにより,ビーム位置のみならずバンチ電荷量の情報を計測し,それらの情報は,ビーム位置,およびビームエネルギーフィードバックに供されている.SuperKEKB向けの最終的な入射ビーム仕様としては,高バンチ電荷量・低エミッタンスビームが要求されている.このため,VMEバスを基盤とした高精度ビーム位置読み出し装置を開発,設置し,運用している. 本入射器では,パルスごとに入射先のリング,ひいては要求されるビームの質が異なるため,すべてのビーム位置モニタからのショットごとに同期したデータ計測が不可欠となる.そこで,タイミングシステムから配信されるビームショット番号を基に,同期したビーム位置,および電荷量情報を収集するためのシステム構築をおこない,運用している.これに加えて,約60台のRFモニタによるRF位相及び振幅計測結果,約100台のパルス電磁石の励磁電流値計測結果をビームショットIDと同期してデータ収集可能なシステムを運用している.本発表では,KEK電子陽電子入射器における統合的同期ビーム位置/RF/パルス電磁石電源計測システムの詳細について,今回開発した事後分析解析ツールの適用事例とともに報告する. |
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MOP028 | J-PARC MRアボートダンプラインプロファイルモニターによるMRビーム評価 DIAGNOSIS OF BEAMS BY A PROFILE MONITOR IN THE BEAM DUMP LINE OF J-PARC MR ○佐藤 洋一,橋本 義徳(KEK/J-PARC),酒井 浩志(三菱電機システムサービス),佐藤 究(東京大学) ○Yoichi Sato, Yoshinori Hashimoto (KEK/J-PARC), Hiroshi Sakai (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd), Kiwamu Sato (U Tokyo) J-PARCメインリング(MR)アボートラインにおけるマルチリボンプロファイルモニター(AbortMRPM)の運用について述べる。MRでは速い取り出しシステムにより3 GeVでの入射から30GeV加速までの任意のタイミングでアボートラインにビームを取り出すことが可能である。このため周回および加速中のエミッタンス及びバンチ形状の推移が把握できる。リボンに1ミクロンのチタンフォイルを用いることでロスを低減しているため、MRの最大バンチ当たり陽子数4E13 protons per bunch (ppp)にも十分対応している。各リボンチャンネルの感度レンジはフロントエンド入力の信号減衰器により調整でき、1E10 ppp程度からのビーム評価が可能となっている。このような測定性能は、大強度ビームだけでなく種々のMRビームの調整においても、ビーム最適化のツールとして効力を発揮している。本報告では、AbortMRPMによる種々のビーム診断方法とビーム評価の事例を中心に紹介する。 |
電子加速器 (8月9日 会議室P) | |
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MOP029 | cERL赤外自由電子レーザーのための電子ビーム輸送調整 Beam transport tuning for IR-FEL at cERL ○本田 洋介,島田 美帆,帯名 崇(高エ研) ○Yosuke Honda, Miho Shimada, Takashi Obina (KEK) cERLではSASE型の赤外自由電子レーザーの開発を行っている。FELのゲインを最大化するには、アンジュレータにおけるビームサイズを設計に合わせる必要がある。しかし、cERLのビーム条件では、主に周回路輸送中の空間電荷効果の影響で、空間電荷効果を無視した設計オプティクスから大きくずれてしまう。ビームライン上流から、局所的にずれを吸収し、効率良くビーム調整を進める直交調整ノブを設計し、コミッショニングをおこなった。 本発表ではこのビーム調整の手順と結果、そしてノブの設計について報告する。 |
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MOP030 p.311 | 東北大学電子光理学研究センター大強度電子線形加速器の電磁石電源の更新とビーム照射システムの改善 Replacement of magnet power supplies for high intensity electron linac and improvement of beam irradiation system 柴田 晃太朗,○南部 健一,長澤 育郎,髙橋 健,鹿又 健,日出 富士雄,三浦 禎雄,柏木 茂,武藤 俊哉,菊永 英寿,濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) Koutaro Shibata, ○Kenichi Nanbu, Ikurou Nagasawa, Ken Takahashi, Ken Kanomata, Fujio Hinode, Sadao Miura, Shigeru Kashiwagi, Toshiya Muto, Hidetoshi Kikunaga, Hiroyuki Hama (ELPH) 東北大学電子光理学研究センターの大電流線形加速器は、RI製造、放射・核化学、原子核物理学の研究に使用されている。近年電磁石電源の老朽化に伴うトラブルが多発していたことから、抜本的な解決を図るため昨年度に電磁石電源の更新を行った。またRI製造運転時の信頼性を向上させるためにビーム取り出し窓のヘリウム冷却システムやビームモニターシステムを改修した。これらについて報告する予定である。 |
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MOP031 p.315 | ILC電子ドライブ陽電子源のAlternate Periodic Structure加速空洞における位相の変化をともなうビームローディングとその補償についての研究 A study of beam loading effect ant its compensation on Alternate Periodic Structure Cavity on E-Driven ILC Positron Source ○栗木 雅夫,金野 舜,リプタック ザカリー,高橋 徹(広島大院先進理工),大森 恒彦,浦川 順治,横谷 馨(高エネ研) ○Masao Kuriki, Shun Konno, Zachary Liptak, Tohru Takahashi (Hiroshima U. ADSE), Tsunehiko Omori, Junji Urakawa, Kaoru Yokoya (KEK) ビームローディングとは、ビームが加速空洞中を通過することによる減速場の発生である。通常、加速空洞は粒子の速度に同期した構造長となっているので、それにより各セルに発生するビームローディング電場は位相同期条件を満たし、通常の加速モードと同一となる。ILC電子ドライブ陽電子源では、陽電子は減速位相に乗せられ、位相スリップによるバンチング で最終的に加速位相に捕捉される。この場合、粒子のs方向の平均速度はcより小さく、ビームローディング効果により発生する電場は加速モードとは異なる。本研究では、ILC電子ドライブ陽電子源の陽電子補足加速器において発生するビームローディングの評価と、その補償について議論する。 |
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MOP032 | サイラトロン代替用半導体スイッチの開発 Solid-state switch development for thyratron replacement ○明本 光生,本間 博幸,川村 真人,松本 修二,中島 啓光,夏井 拓也,設楽 哲夫(KEK),徳地 明,木田 保雄(PPJ) ○Mitsuo Akemoto, Hiroyuki Honma, Masato Kawamura, Shuji Matsumoto, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui, Tetsuo Shidara (KEK), Akira Tokuchi, Yasuo Bokuda (PPJ) KEK電子・陽電子入射器は高周波源として60台の最大50 MW、パルス幅4 µs、繰り返し50ppsのマイクロ波を出力するSバンドクライストロンを使用している。それを駆動する電源としてサイラトロンを使用したPFNタイプのパルス電源が用いられている。本発表では、このサイラトロン代替用43kV, 4.3kA半導体スイッチの開発について報告する。 |
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MOP033 p.320 | KEK 電子陽電子入射器の SuperKEKB 入射性能向上計画 SuperKEKB injection improvement plan at KEK electron positron injector linac ○古川 和朗,明本 光生,荒川 大,荒木田 是夫,飯田 直子,惠郷 博文,榎本 收志,榎本 嘉範,大沢 哲,岡安 雄一,小川 雄二郎,柿原 和久,梶 裕志,片桐 広明,紙谷 琢哉,川村 真人,佐武 いつか,佐藤 政則,設楽 哲夫,周 翔宇,白川 明広,杉村 仁志,諏訪田 剛,清宮 裕史,染谷 宏彦,竹中 たてる,田中 窓香,張 叡,中島 啓光,夏井 拓也(KEK),坂東 佑星(SOKENDAI),東 保男,肥後 寿泰,本間 博幸,松下 英樹,松本 修二,松本 利広,三浦 孝子,三川 勝彦,宮原 房史,矢野 喜治,横山 和枝,吉田 光宏,由元 崇,レーマン ムハマド アブドウル(KEK),王 迪(SOKENDAI) ○Kazuro Furukawa, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Yoshio Arakida, Naoko Iida, Hiroyasu Ego, Atsushi Enomoto, Yoshinori Enomoto, Satoshi Ohsawa, Yuichi Okayasu, Yujiro Ogawa, Kazuhisa Kakihara, Hiroshi Kaji, Hiroaki Katagiri, Takuya Kamitani, Masato Kawamura, Itsuka Satake, Masanori Satoh, Tetsuo Shidara, Xiangyu Zhou, Akihiro Shirakawa, Hitoshi Sugimura, Tsuyoshi Suwada, Yuji Seimiya, Hirohiko Someya, Tateru Takenaka, Madoka Tanaka, Rui Zhang, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui (KEK), Yusei Bando (SOKENDAI), Yasuo Higashi, Toshiyasu Higo, Hiroyuki Honma, Hideki Matsushita, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Katsuhiko Mikawa, Fusashi Miyahara, Yoshiharu Yano, Kazue Yokoyama, Mitsuhiro Yoshida, Takashi Yoshimoto, Muhammad Abdul Rehman (KEK), Di Wang (SOKENDAI) KEK電子陽電子入射器は、SuperKEKBへの大電流高品質のビームの入射を続けている。今後SuperKEKBの衝突性能が向上した場合には入射ビームを増やして積分衝突性能を向上させることが計画されている。 |
加速構造 (8月9日 会議室P) | |
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MOP034 p.325 | ラージグレインとファイングレインニオブの液体ヘリウム温度における引張強度 Tensile strength of large and fine grain niobium at liquid helium temperature ○山中 将,KUMAR Ashish,阿部 慶子,佐伯 学行(高エネ研),江並 和宏(筑波大) ○Masashi Yamanaka, Ashish Kumar, Keiko Abe, Takayuki Saeki (KEK), Kazuhiro Enami (University of Tsukuba) ラージグレイン(LG)とファイングレイン(FG)ニオブを用いて液体ヘリウム中で引張試験を行った。LGニオブの試験片は直径260 mmのニオブインゴットをマルチワイヤーソーで2.8 mmにスライスし、1枚の円板から5個の試験片をワイヤーカットで切り出した。3枚の円板を結晶パターンが同じになるように配置して、各5個、計15個の試験片を用意した。液体ヘリウム中の引張試験には、著者らが開発した装置を用いた。測定結果はばらつき、引張強度は379~808 MPaの結果を得た。平均値は611 MPaである。室温での引張強度は84 MPaである。LGニオブもFGニオブと同じように低温で強度が大きく向上した。ばらつきの理由は各結晶が大きく、その方位により強度が異なり、試験片の結晶パターンにより強度が異なることがわかった。 |
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MOP035 p.330 | 電子ビーム溶接したスポークの形状測定 Shape measurement of electron beam welded spoke ○沢村 勝,羽島 良一(量研機構),佐伯 学行(高エネ研),岩下 芳久,頓宮 拓(京大),中村 哲朗,渡邉 直久((株)ミラプロ) ○Masaru Sawamura, Ryoichi Hajima (QST), Takayuki Saeki (KEK), Yoshihisa Iwashita, Hiromu Tongu (Kyoto Univ.), Tetsuro Nakamura, Naohisa Watanabe (Mirapro Co., Ltd) スポーク空洞は、同じ周波数ならば楕円空洞よりサイズが小さく、パッキングファクターも優れるという利点がある。LCS-γ/X線源を産業・学術分野への利用を図るため、ERL 加速器を小型化する超伝導スポーク空洞の開発を進めている。プレス加工したニオブ製のハーフスポーク2個を組合せ、電子ビーム溶接で製作したフルスポークの形状を評価するため、光学ステージとレーザー変位計を組み合わせた簡易3次元測定装置を製作し、設計形状との比較を行ったので、その結果について報告する。 |
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MOP036 p.334 | 1/4波長型超伝導空洞の内面電解研磨の実施報告 Reports of electropolishing implementation for quarter-wave resonators ○仁井 啓介,井田 義明,上田 英貴,山口 隆宣(マルイ鍍金工業),株本 裕史,神谷 潤一郎,近藤 恭弘,田村 潤,原田 寛之,松井 泰,松田 誠(JAEA) ○Keisuke Nii, Yoshiaki Ida, Hideki Ueda, Takanori Yamaguchi (Marui Galvanizing), Hiroshi Kabumoto, Junichiro Kamiya, Yasuhiro Kondo, Jun Tamura, Hiroyuki Harada, Yutaka Matsui, Makoto Matsuda (JAEA) 原子力機構の東海タンデム加速器では重イオンビームを用いた核物理・核化学・材料照射などの研究が行われている。タンデム後段にはビームのエネルギーを2~3倍に増加させるための超伝導ブースターが設置されているが、長期間の休止中となっている。この超伝導ブースターの仕様は、型式=同軸1/4波長型共振器(QWR)、最適ビーム速度=光速の10%、加速電界=5.0MV/m@4Wである。現在、再稼働に向けた取り組みを行っており、各種試験を行う準備として予備の超伝導空洞の電解研磨を検討している。この空洞はニオブ-銅のクラッド板で製作されており、底部に大きな開口があるため、再度の電解研磨処理が可能な構造となっている。今回、マルイ鍍金工業(株)と日本原子力研究開発機構が共同で1/4波長型超伝導空洞内面電解研磨について設備や条件の検討、電解研磨の実施、研磨後表面や空洞性能の評価等を行ったので、その結果を報告する。 |
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MOP037 p.338 | 高Q値Nb3Sn加速空洞の実現に向けた熱拡散法による単セル空洞への成膜試験および空洞性能試験 First Nb3Sn Coating And Cavity Performance Result for High Efficiency Nb3Sn Cavity at KEK ○髙橋 光太郎(総研大),井藤 隼人,梅森 健成,岡田 貴文,加古 永治,許斐 太郎,阪井 寛志(高エネ研) ○Kotaro Takahashi (SOKENDAI), Hayato Ito, Kensei Umemori, Takafumi Okada, Eiji Kako, Taro Konomi, Hiroshi Sakai (KEK) KEKではNb3Sn空洞の開発・研究のために熱拡散法によるNb3Sn成膜装置の立ち上げを行った. 熱拡散法は,Nb基板を950℃以上に加熱し,スズ蒸気をニオブ基板に拡散させNb_3Snを成膜する手法である. 成膜装置立ち上げ後に,ニオブサンプルに対して成膜を行い,表面・断面・超伝導特性を評価した後に,空洞への成膜条件を決定した. 決定した成膜パラメータを用いて単セル空洞に成膜を行い,日本で初めてNb3Sn空洞の成膜に成功した. 成膜後に空洞性能試験を行い成膜したNb3Snの高周波特性を評価した. 本講演では,サンプルおよびNb空洞への成膜結果を報告する. |
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MOP038 p.343 | ミューオン線形加速器のためのDisk-and-Washer空洞の詳細設計 Detailed design of the Disk-and-Washer Cavity for Muon Linear Accelerator ○竹内 佑甫(九州大学),東城 順治(九州大),中沢 雄河(茨城大),北村 遼,近藤 恭弘,森下 卓俊(原研),岩下 芳久(京大),Cicek Ersin,大谷 将士,川村 成肇,齊藤 直人,二ツ川 健太,三部 勉,山崎 高幸,吉田 光宏(高エネ研),須江 祐貴,四塚 麻衣,鷲見 一路(名大),安田 浩昌(東大) ○Yusuke Takeuchi, Junji Tojo (Kyushu Univ.), Yuga Nakazawa (Ibaraki Univ.), Ryo Kitamura, Yasuhiro Kondo, Takatoshi Morishita (JAEA), Yoshihisa Iwashita (Kyoto Univ.), Ersin Cicek, Masashi Otani, Naritoshi Kawamura, Naohito Saito, Kenta Futatsukawa, Tsutomu Mibe, Takayuki Yamazaki, Mitsuhiro Yoshida (KEK), Yuki Sue, Mai Yotsuzuka, Kazumichi Sumi (Nagoya Univ.), Hiromasa Yasuda (Univ. of Tokyo) ミューオン異常磁気モーメント(g-2)やミューオンの電気双極子モーメント(EDM)は素粒子標準模型を超える新物理を探索する上で非常に有用なプローブの一つである。現在、J-PARCではミューオンg-2/EDM 精密測定実験の準備が進められており、実験のためのミューオン線形加速器が開発中である。中速部加速にはDisk-and-Washer (DAW) 空洞を採用しており、ミューオンは1.296 GHzの運転周波数でv/c=β=0.3から0.7まで加速される。本年度よりDAW空洞実機1タンク目の製作を予定しており、製作に向けた詳細設計を進めてきた。本発表では、DAW空洞実機1タンク目の設計の詳細と計画の進行状況について報告する。 |
加速器制御 (8月9日 会議室P) | |
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MOP039 p.348 | ATFバケットセレクションおよびタイミングシステムのアップグレード案 Upgrade plan of the bucket selection and timing system at ATF ○梶 裕志,内藤 孝(高エネルギー加速器研究機構) ○Hiroshi Kaji, Takashi Naito (KEK) ATF(Accelerator Test Facility)はILC等の次世代加速器のための技術開発を目的とした試験施設である。同施設の加速器は入射器、ダンピングリング、取り出しビームラインからなっている。これらを同期運転・制御するのがタイミングシステムである。タイミングシステムは多数のディレイモジュールを直列および並列につないだ大規模なシステムであり、その維持管理に膨大な労働力を要している。その労働コストの低減のため、イベントタイミングシステムが導入された。現在はイベントモジュールの役割の拡大とディレイモジュールの取り除きが行われているところである。しかし現行のタイミングシステムのデザインは、ダンピングリングバケット選択機能に問題がある。また取り出しラインにおいてトリガーとビームのタイミング同期が不十分である。そのためイベントタイミングシステムをベースとし、上述の問題を改善する新しいタイミングシステムをデザインした。本講演ではそのデザインの詳細と実装・運用の予定について報告する。 |
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MOP040 p.352 | 誘導加速シンクロトロンにおける任意パルス制御 Arbitrary pulse control for induction synchrotrons ○由元 崇,高山 健,岡村 勝也,門倉 英一(KEK) ○Takashi Yoshimoto, Ken Takayama, Katsuya Okamura, Eiichi Kadokura (KEK) 誘導加速シンクロトロンでは既存の高周波加速とは異なり1対1のパルストランスである誘導加速セルを用いてビームを加速する。その実証機であるデジタル加速器ではECRイオン源で生成された50keV/u重イオンビームをリングに直接入射・加速させることに成功し、さらにはパルス加速の利点を生かしてビームの形状制御も可能である。誘導加速セルを駆動するスイッチング電源のゲート回路のON/OFFはFPGAからのデジタル信号によって制御されるが、そのパルスはnsの精度で50msec発生させる必要がある。近年、既存のFPGA制御システムでは対応できないような様々なビームに対する要請が高まり、より柔軟に対応できる加速制御が求められていた。本発表では、任意波形発生器を用いた任意パルス制御システムについて詳細に報告する。 |
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MOP041 p.355 | SuperKEKBでの利用に向けたKafkaを基盤とするCS-Studio alarm systemの性能評価 Evaluation of CS-Studio alarm system based on Kafka for SuperKEKB ○佐々木 信哉(KEK),中村 卓也(三菱電機システムサービス(株)),廣瀬 雅哉(関東情報サービス(株)) ○Shinya Sasaki (KEK), Takuya Nakamura (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Masaya Hirose (Kanto Information Service Co.,Ltd.) SuperKEKBではアラームマネージメントシステムとしてリレーショナルデータベース(RDB)とApache ActiveMQを基盤としたCS-Studio alarm systemを利用している。CS-StudioはEPICSを利用した制御システムを監視・操作するためのツールセットであり、alarm systemもCS-Studioの提供するアプリケーションのひとつである。CS-Studioの開発コミュニティでは次世代のCS-StudioとしてPhoebusの開発が進められている。Phoebusではalarm systemの構成も見直され、Apache Kafkaを基盤にする新しいアラームマネージメントシステムが提供されている。従来のalarm systemにおいてRDBとActiveMQが担っていた役割をKafka一つが担うようになったことで、全体の構成が単純になった。Kafkaを基盤とするalarm systemをSuperKEKBのアラームマネージメントシステムとして利用することが可能かどうか検討するため、我々はalarm systemの動作試験および性能評価を行った。本稿ではalarm systemの試験結果を報告する。また、SuperKEKBのアラームマネージメントシステムを、Kafkaを基盤とするシステムに移行する利点・欠点について検討し報告する。 |
高周波源・LLRF (8月9日 会議室P) | |
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MOP043 | KEKLUCX施設のレーザーからRFおよびRFからRFへの安定性の研究 KEK LUCX facility Laser-to-RF and RF-to-RF stability study ○ポポフ コンスタンチン(総合研究大学院大学、SOKENDAI),アリシェフ アレクサンダー,浦川 順治,照沼 信浩(高エネルギー加速器研究機構、KEK) ○Konstantin Popov (The Graduate University for Advanced Studies, SOKENDAI, Department of Accelerator Science, Shonan Village, Hayama, Kanagawa 240-0193 Japan), Alexander Aryshev, Junji Urakawa, Nobuhiro Terunuma (High Energy Accelerator Research Organization, KEK, 1-1 Oho, Tsukuba-shi, Ibaraki-ken, 305-0801 Japan) The main technical issues influenced on the X-ray photon flux characteristic of the Laser-Compton experiment carried at KEK LUCX facility are the Laser-to-RF, RF-to-RF phase and amplitude jitters, as well as quadrupole magnets power supplies stability. This report shows KEK LUCX facility stability measurements cross-checked with ASTRA simulation and real beam parameters measurements. Also, it discusses the jitter influence on the Compton X-ray photons flux characteristics. |
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MOP044 p.360 | ILC導波管コンポーネント大電力試験の為のレゾナントリング構築 Construction of L-band Resonant ring for high power testing of ILC waveguide components ○石本 和也,沼田 直人,塙 泰河(㈱NAT),明本 光生,荒川 大,片桐 広明,中島 啓光,松本 修二,松本 利広,三浦 孝子(高エネルギー加速器研究機構) ○Kazuya Ishimoto, Naoto Numata, Taiga Hanawa (NAT), Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Hiromitsu Nakajima, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura (KEK) 国際リニアコライダー(ILC)での超電導空洞への高周波源として10MWマルチビームクライストロン(MBK)の使用を予定しており、その仕様は運転周波数1300MHz、パルス幅1.65ms、繰り返し5Hz、最大出力5MW×2である。 超電導空洞に付帯した入力カプラーまでL-band方形導波管(WR650)を用いて立体回路を構築、RFを供給する。このため、導波管は最大で5MWのRF出力に耐えることが要求される。 しかし、KEK-STF加速器の運転時、通過RFが数MWに満たないところで管内放電が頻発している。 これに対して、絶縁ガスの封入など様々な対策はあるが、導波管製造の溶接方法や洗浄等による放電への影響を調査しようと考えている。 これまでは製作した導波管に対して目視での内面検査、圧力シートを用いてのフランジ面の評価、ネットワークアナライザーで諸特性(VSWR、Loss等)を測定し、問題が無ければRF供給ラインへの組込みを行っていた。 今後、ILCの電力分配系でのRF安定供給を目指してレゾナントリングを構築、導波管コンポーネントでの大電力試験と共に、導波管内での放電現象の調査を進めていく予定である。 本報告ではレゾナントリング試験設備の構築から大電力試験までの報告を行う。 |
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MOP045 p.364 | 球形空洞型パルス圧縮器の製作 Fabrication of a spherical-cavity-type pulse compressor ○佐治 晃弘,井原 功介,野村 伊久磨(トヤマ),肥後 壽泰,惠郷 博文,阿部 哲郎,東 保男(KEK),坂東 佑星(総研大),林 显彩,施 嘉儒(清華大学) ○Akihiro Saji, Kousuke Ihara, Ikuma Nomura (TOYAMA), Toshiyasu Higo, Hiroyasu Ego, Tetsuo Abe, Yasuo Higashi (KEK), Yusei Bando (SOKENDAI), Xiancai Lin, Jiaru Shi (Tsinghua University) 球形空洞型パルス圧縮器は共振部が1つの球体であるため、従来の2空洞型のものと比較して非常にコンパクトである。Sバンドの球形空洞型パルス圧縮器については清華大学で開発され実験室レベルで稼働している実績がある。KEKは、このモデルを基に高い安定性と高繰返しに対応できるように設計し直して、現在KEK電子陽電子入射器で稼働している2空洞型のものと置き換え可能なパルス圧縮器として製作し、目標の電気的特性を得た。本稿では、パーツの組立方法や接合要領を中心に、この球形空洞型パルス圧縮器の製作方法と結果を報告する。 |
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MOP046 p.368 | KEK電子陽電子入射器におけるRF位相フィードバックの導入 RF phase feedback at KEK electron/positron injector LINAC ○三浦 孝子,荒川 大,片桐 広明,松本 利広,矢野 喜治(高エネ研),工藤 拓弥(三菱電機システムサービス) ○Takako Miura, Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Toshihiro Matsumoto, Yoshiharu Yano (KEK), Takuya Kudo (Mitsubishi Electric System & Service) KEKの電子陽電子入射器は、4 つの蓄積リング(SuperKEKB HER, LER, PF, PF-AR)への同時トップアップ入射を行っている。RFに関してはパルス幅が4 μsと短く、また、各リングのビームモードでRFのタイミングや位相を50Hzのパルス毎に切り替えて運用しているため、これまではRFのフィードバックは導入していなかった。そのため、RFの安定度はクライストロンモジュレータの電圧安定度や冷却水温の安定度に依存していた。加速管用冷却水の温度制御が長期間不安定となった時期があり、補正のために新たにRFの位相フィードバックを導入した。位相の安定化に対しては、ビームを出さずにRFを空打ちするNIM(Non Injection Mode)モードを利用して、加速管出口のRF位相を安定化するようにオフセット位相を導出し、各ビームモードのRF設定位相に対して補正を行っている。現在、全箇所に導入され、クライストロン立ち上げ直後の冷却水温が安定していない時間でも、速やかにビームを加速することが可能となった。 |
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MOP047 p.371 | J-PARCリニアックLLRFにおける次世代DFB・DFFシステムの開発 Development of DFB・DFF system for J-PARC Linac LLRF ○二ツ川 健太,Ersin Cicek,方 志高,福井 佑治,溝端 仁志(高エネルギー加速器研究機構),篠崎 信一(日本原子力研究開発機構),佐藤 福克(株式会社NAT) ○Kenta Futatsukawa, Cicek Ersin, Zhigao Fang, Yuji Fukui, Satoshi Mizobata (High Energy Accelerator Research Organization), Shinichi Shinozaki (Japan Atomic Energy Agency), Yoshikatsu Sato (NAT) J-PARCリニアックの低電力高周波制御(LLRF)システムでは、空洞電界の安定度の性能要求を満たすために、FPGAを用いたデジタルフィードバック(DFB)とデジタルフィードフォワード(DFF)システムを採用している。このシステムは開発期間から20年以上経過して、ハードウエアのモジュールの生産中止やソフトウエアの開発環境の維持が困難になり、次世代への速やかな移行が必要になっている。そこで、ADCとDAC及びFPGAを実装したデジタイザを開発して、2020年の夏季シャットダウン後からDTL3とSDTL01-16で運用を開始した。この変更に伴い、PLCラダー、自動チューナ制御、自動復帰、インターロック履歴管理の変更などLLRFシステムとしても大幅な変更が生じたが、無事に利用運転を行うことができた。 また、J-PARCリニアックのLLRFシステムでは、ギャラリの湿度変動によるビーム運動量の変動が問題になっている。LLRFシステムの全ての設置場所において恒温恒湿環境を準備することは困難なことから、一部のLLRFシステムの設置場所に対して恒温恒湿環境の体制を整えている。その環境に高信頼度の測定器を導入することで全体の湿度変動の影響の測定を行っている。また、その一部の測定結果に関しては、温湿度による位相ドリフトの補正を実施している。 本講演では、新規に導入したデジタイザを含めたLLRFシステムと恒温恒湿環境化での影響の測定に関して、現在の状況を発表する予定である。 |
光源加速器/レーザー (8月9日 会議室P) | |
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MOP048 p.376 | cERL-FEL用タンデムアンジュレータの運転状況 Operation of the tandem Undulators for the cERL-FEL ○土屋 公央,阿達 正浩,江口 柊,加藤 龍好(KEK 加速器) ○Kimichika Tsuchiya, Masahiro Adachi, Shu Eguchi, Ryukou Kato (KEK Accelerator) 現在、高エネルギー加速器研究機構のエネルギー回収型ライナック(cERL)において赤外波長域の自由電子レーザーの開発研究が進んでいる。この計画では、各種樹脂材料の加工に有用な光源となる中赤外波長領域(波長10~20 μm )の波長可変な高出力レーザー光源を開発する事を目標とする。このために長さ3mのアンジュレータを2台建設して、cERLリングに順次インストールした。2020年6月からは2台のタンデムアンジュレータとしてビーム運転が開始されている。この2台のアンジュレータは、最小ギャップが10mmの固定Gapであり、下側磁石列を長手方向にスライドさせることで光の波長を制御するadjustable phase undulator (APU)として使用している。アンジュレータ真空チャンバーの垂直方向の開口は約8㎜と狭く電子ビームのエネルギーも17.5MeVと低いために、計6mにわたるアンジュレータセクションの電子ビーム輸送には当初困難が予想された。しかし実際にはアンジュレータ磁場の垂直方向の収束力が強く働いていることが判明し、問題なくビーム輸送に成功した。 また2020年の11月にはFEL実験の要請から、2台のアンジュレータの上部磁石列をシムにより長手方向に傾ける試みを実施して、2021年春の運転ではテーパードアンジュレータとしての運用を行った。 本発表ではcERL自由電子レーザー用アンジュレータのコミッショニングとその運用経験について報告する。 |
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MOP049 p.379 | PF-ARの測定器開発テストビームライン建設計画 Design of the GeV range test beamline at the PF-AR ○本田 融,池上 陽一,内山 隆司,宇野 彰二,坂中 章悟,佐々木 洋征,佐藤 康太郎,高木 宏之,谷本 育律,多和田 正文,外川 学,内藤 大地,中村 勇,中村 典雄,長橋 進也,野上 隆史,花垣 和則,幅 淳二,満田 史織,森 隆志,山本 尚人(高エネ研),小田川 高大,中家 剛(京大理),前田 順平(神戸大理),飯嶋 徹,鷲見 一路,前田 朱音(名大理) ○Tohru Honda, Yoichi Ikegami, Takashi Uchiyama, Shoji Uno, Shogo Sakanaka, Hiroyuki Sasaki, Kotaro Satoh, Hiroyuki Takaki, Yasunori Tanimoto, Masafumi Tawada, Manabu Togawa, Daichi Naito, Isamu Nakamura, Norio Nakamura, Shinya Nagahashi, Takashi Nogami, Kazunori Hanagaki, Junji Haba, Chikaori Mitsuda, Takashi Mori, Naoto Yamamoto (KEK), Takahiro Odagawa, Tsuyoshi Nakaya (Kyoto Univ.), Junpei Maeda (Kobe Univ.), Toru Iijima, Kazumichi Sumi, Akane Maeda (Nagoya Univ.) KEKの放射光源リングPF-ARでGeVオーダーの電子を供給する測定器開発用テストビームライン建設計画を進めている。現在PF-ARはエネルギー6.5 GeV or 5 GeV、トップアップ入射によって蓄積電流値50 mA(単バンチ運転)を維持して放射光利用を行っており、年間総運転時間は2500〜3000時間である。AR加速器の蓄積電子軌道中心から水平にビームサイズ(1σ)の約5倍離れた位置にターゲットワイヤーを挿入し、ハロー部の電子の衝突によって生成するガンマ線を、リング偏向電磁石チェンバーの端部に配置した無酸素銅製コンバータで電子・陽電子対に変換しテストビームを生成する。テストビーム用ビームラインはエネルギー選択用偏向電磁石1台にビーム収束用四極電磁石7台を組み合わせた全長約20mのシンプルな構成で、ロスの少ないビーム輸送を実現する。テストビーム生成の影響をビーム蓄積寿命が1割短縮する程度に抑制し、放射光実験とテストビームラインの利用を同時に可能とする。この条件でエネルギー選択をした数千カウントの電子を供給出来ることをビーム生成のシミュレーションによって確認している。 |
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MOP050 | バンチエネルギーチャープとテーパーアンジュレータを用いた短パルスFELの検討 Short pulse FEL utilizing energy chirped electron beam and tapered undulator ○本田 洋介,吉田 光宏(高エ研) ○Yosuke Honda, Mitsuhiro Yoshida (KEK) 分子における電子密度分布のダイナミクスなど、高速の現象を観測するために、従来のXFELよりさらに1桁短い、サブフェムト秒の短パルスのFELが期待されている。電子バンチを極限まで短パルス化しても、アンジュレータにおける光パルスの時間スリッページの影響で、電子と光の重なりが失われてしまい、FELゲインが制限されてしまう。そこで、電子バンチにエネルギーチャープを与えると同時にテーパーアンジュレータを用いることで、スリッページの効果を相殺する手法を検討している。本発表ではこの手法のシミュレーションによる検討について報告する。 |
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MOP052 | UVSOR-IIIにおけるスピン偏極陽電子消滅測定法の開発 Development of a spin-polarized positron annihilation measurement method at UVSOR-III ○杉田 健人,平 義隆(分子研 UVSOR) ○Kento Sugita, Yoshitaka Taira (UVSOR, IMS) スピン偏極陽電子を用いた材料分析は磁性と欠陥を同時に検出する特徴的な手法である。陽電子消滅法のスピン偏極陽電子源として、放射性同位元素や加速器による低速陽電子ビームが利用されている。その他に円偏光ガンマ線から生成されるスピン偏極陽電子が高エネルギー物理実験に使用されているが、材料研究に対しての利用は無い。UVSOR-IIIでは円偏光レーザーの逆トムソン散乱により発生させた円偏光ガンマ線を用いてスピン偏極陽電子を生成し、これを利用したバルク磁性材料に対する陽電子消滅測定法の開発に取り組んでいる。本手法では従来のスピン偏極陽電子源では測定が困難であったバルクサイズの材料を非破壊で測定できるという利点がある。本年会ではスピン偏極陽電子消滅測定法開発の現状を報告する。 |
施設技術報告 (8月9日 会議室P) | |
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MOP053 p.384 | 日本大学電子線利用研究施設の125MeV電子線形加速器と光源の現状 Status of 125 MeV electron linac and light sources at LEBRA in Nihon University ○野上 杏子,早川 恭史,境 武志,住友 洋介,高橋 由美子,早川 建,田中 俊成(日大量科研),清 紀弘,小川 博嗣(産総研),古川 和朗,道園 真一郎,土屋 公央,吉田 光宏,諏訪田 剛,福田 茂樹,榎本 收志,大澤 哲,山本 樹,新冨 孝和(高エネ研) ○Kyoko Nogami, Yasushi Hayakawa, Takeshi Sakai, Yoske Sumitomo, Yumiko Takahashi, Ken Hayakawa, Toshinari Tanaka (LEBRA, Nihon University), Norihiro Sei, Hiroshi Ogawa (AIST), Kazuro Furukawa, Shinichiro Michizono, Kimichika Tsuchiya, Mitsuhiro Yoshida, Tsuyoshi Suwada, Shigeki Fukuda, Atsushi Enomoto, Satoshi Ohsawa, Shigeru Yamamoto, Takakazu Shintomi (KEK) 2020年度における日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)125MeV電子線形加速器の稼働日数は102日、クライストロン通電時間は約715時間、電子ビーム加速時間は約324時間であった。通電時間は前年度に比べ半減したのに対して、電子ビーム加速時間は約37%増加した。2020年4月より約2ヶ月間の入構制限が掛けられたのに加え、その後発生したモジュレータ室エアコン室外機の故障の修理に約3週間要し、この期間の加速器運転が困難であったことが上半期の稼働時間の減少につながった。アンジュレータ永久磁石の減磁が自由電子レーザ(FEL)発振の不安定性と強度低下の原因となっていたが、2020年2月にアンジュレータ永久磁石列をの交換を実施した。さらに同年11月に共振器鏡を交換した。FELの試験運転に多くの時間を費やし電子ビーム加速時間が前年度より増加し、現在では最も状態が良かったころと同程度までFEL発振強度は回復している。 |
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MOP054 p.388 | 都市大タンデムの現状(2021年度) STATUS OF THE TCU-TANDEM (FY2021) ○羽倉 尚人(都市大) ○Naoto Hagura (TCU) 東京都市大学原子力研究所(神奈川県川崎市)には廃止措置中の研究用原子炉「武蔵工大炉」がある。1963年1月から1989年12月まで運転し、中性子放射化分析やホウ素中性子捕捉療法(BNCT)など様々な目的に使用された。また、全国大学共同利用施設として多くの研究者・技術者・学生を受入れてきた。原子炉施設としては廃止措置段階となったが、RI施設、核燃施設としては継続している。本学理工学部原子力安全工学科や、早稲田大学と共同で運営する共同原子力専攻の学生・院生を主な対象としつつ、教育・研究活動を展開している。2018年5月には新たな実験設備として1.7MVペレトロン・タンデム加速器(都市大タンデム(TCU-Tandem))の運転を開始した。プロトンビームによる荷電粒子励起X線分光法(PIXE)の実験を学生実験の一テーマとして実施するなど利用を進めている。本発表では、本加速器システム構築の経緯と今後の研究計画を紹介する。 |
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MOP055 p.390 | 京大複合研電子線型加速器施設(KURNS-LINAC)の現状 Status of KURNS-LINAC ○阿部 尚也,高橋 俊晴,堀 順一,高見 清(京大複合研) ○Naoya Abe, Toshiharu Takahashi, Jun-ichi Hori, Kiyoshi Takami (KURNS) 京大複合研電子線型加速器施設の2020年度の運転時間は1,446.0時間であった。年度初めのコロナウイルス感染拡大防止対策による運転停止期間と年度終わりのRI施設改修工事による停止期間が合わせて5か月ほどあったため、2019年度より1,000時間近く運転時間を減らしたが、限られた運転可能期間の中で活発な利用が行われた。2021年度は共同利用の受入態勢も整ってきたので、例年通りの運転を予定している。 2020年度の主な更新としては、上記に示したRI施設改修工事において、給排気ダクトの更新(鉄からステンレス)、冷却水配管の大半の更新(銅からステンレス)、施設建屋屋上防水工事及び外壁塗装工事、ターゲット室の塗装工事が実施された。排気ダクトについては、前回のRI施設定期検査で劣化の指摘のあった箇所であり更新の必要があった。冷却水配管については、ステンレス配管への変更と配管口径の拡大化により、冷却水流量が増加することが期待され、実際に若干の流量増加が確認されている。また、配管の接続に拡管ねじ込み式を採用することで取外し・交換が容易になった。並びに、過去に複数報告している配管からの冷却水漏れに対しても、配管が新品になることで冷却水漏れの恐れが低下することが期待される。一方、ターゲット室の塗装はターゲット室内の放射線量が想定以上に高かったため、予定の工事の半分程度にとどまった。後日に、残りの作業を実施する予定である。 |
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MOP056 p.394 | 原子力機構-東海タンデム加速器の現状 Status of JAEA-Tokai Tandem Accelerator ○松田 誠,田山 豪一,石崎 暢洋,株本 裕史,中村 暢彦,沓掛 健一,乙川 義憲,遊津 拓洋,松井 泰,阿部 信市(原子力機構) ○Makoto Matsuda, Hidekazu Tayama, Nobuhiro Ishizaki, Hiroshi Kabumoto, Masahiko Nakamura, Kenichi Kutsukake, Yoshinori Otokawa, Takuhiro Asozu, Yutaka Matsui, Shinichi Abe (JAEA) 原子力機構-東海タンデム加速器は最高加速電圧が約18MVの大型静電加速器であり、核物理、核化学、原子物理、材料照射などの分野に利用されている。昨年度の利用運転日数は112日であり、主として核物理実験に利用された。最高加速電圧は15.4MVであった。 4/20~5/7の期間は新型コロナウィルスの感染拡大防止のための出勤自粛により運転を休止した。その後、希少なRI標的であるEs試料を用いた実験が計画されていたため、所内研究者のみの条件で運転を再開し、制限解除と共に通常運転へと移行した。 2020年度も2019年度に引き続きSF6高圧ガス施設の液化貯槽の開放検査実施のため約3ヵ月を施設検査に充てることになり、その間運転を停止した。また、発電用回転シャフトの絶縁破壊などにより性能が劣化した低エネルギー側の加速管16本(8MV相当)を予備品と交換する作業も実施したため7月から12月までの長期の定期整備間となった。 発表では加速器の運転・整備状況およびビーム利用開発等について報告する。 |
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MOP057 p.399 | 九州大学加速器・ビーム応用科学センターの現状報告2021 Status report of Center for Accelerator and Beam Applied Science of Kyushu University in 2021 ○米村 祐次郎,有馬 秀彦,池田 伸夫,渡辺 賢一,魚住 裕介,執行 信寛(九大工),森田 浩介,若狭 智嗣,寺西 高,坂口 聡志,市川 雄一,郷 慎太郎,西畑 洸希,岩村 龍典(九大理),中山 久義,高木 昭(高エネ研),森 義治(京大) ○Yujiro Yonemura, Hidehiko Arima, Nobuo Ikeda, Kenichi Watanabe, Yusuke Uozumi, Nobuhiro Shigyo (Faculty of Engineering, Kyushu University), Kosuke Morita, Tomotsugu Wakasa, Takashi Teranishi, Satoshi Sakaguchi, Yuichi Ichikawa, Shintaro Go, Hiroki Nishibata, Tatsunori Iwamura (Faculty of Science, Kyushu University), Hisayoshi Nakayama, Akira Takagi (KEK), Yoshiharu Mori (Kyoto University) 九州大学加速器・ビーム応用科学センターでは、FFA加速器と8 MVタンデム静電型加速器を利用した加速器施設の整備が進められている。FFA加速器棟では、取り出しビーム強度増強のためのビーム実験と並行して、FFA加速器の性能向上を目的とした加速器要素技術の研究が行われている。タンデム加速器棟・実験棟では、タンデム加速器のビーム強度増強のための機器調整と本格的なビーム利用へ向けた実験室の整備が進められている。本発表では、FFA加速器とタンデム加速器の現在の整備状況について報告する。 |
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MOP058 p.401 | 群馬大学重粒子線医学センターの現状 Present status of Gunma University Heavy Ion Medical Center ○中尾 政夫,遊佐 顕,島田 博文,松村 彰彦,川嶋 基敬,酒井 真理,Varnava Maria,田代 睦(群大重医セ),想田 光(山形大) ○Masao Nakao, Ken Yusa, Hirofumi Shimada, Akihiko Matsumura, Motohiro Kawashima, Makoto Sakai, Maria Varnava, Mutsumi Tashiro (GHMC), Hikaru Souda (Yamagata Univ.) 群馬大学重粒子線医学センターでは、普及型炭素線治療装置による炭素線治療が行われている。2020年には2019年より90名多い740名の治療が行われ、治療を開始した2010年から2020年の間の累計は4561名となった。2020年度には加速器が原因で治療が1日止まるようなトラブルは起こらなかった。一方で加速器以外のX線装置や治療室内のカメラの異常が頻発している。殆どのケースでは装置の再起動などで数分後には正常動作するようになるが、部品の交換が必要になることもある。治療室のうち1室が2日間使用不可能になったが、他の治療室への振替で治療を行った例もあった。また、実験用のビームラインではスキャニング方式を使用しているが、2021年3月にスキャニング磁石やレンジシフタ等の制御を行う制御系が故障した。既に部品生産も修理対応も終了しているため借用品で仮復旧しており、今後新たな制御系を製作する予定である。このような当施設での加速器の運転時間、治療時間の統計と、主な故障とそれに対する対処について報告する。 |
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MOP059 | STF施設報告 Report on STF at KEK ○山本 康史(高エネルギー加速器研究機構) ○Yasuchika Yamamoto (High Energy Accelerator Research Organization) KEK内超伝導高周波試験施設では、国際リニアコライダー(ILC)計画を始めとする様々な超伝導加速器に関する研究・開発が行われている。インフラ関係では、地上部に冷凍設備、高周波設備、電解研磨設備、空洞試験設備、空洞検査設備、地下トンネルにSTF-2加速器が備わっている。本講演では、最近の活動状況について報告する。 |
加速器応用・産業利用/粒子源 (8月10日 会議室P) | |
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TUP001 p.404 | 加速器とプラズマを用いた宇宙高速電波バースト現象への実験室的挑戦 Toward Understanding of Astrophysical Fast Radio Bursts from An Accelerator and Plasma Experiment ○住友 洋介,浅井 朋彦(日大理工),木坂 将太(広島大),境 武志,早川 恭史,熊谷 紫麻見,小林 大地,関 太一(日大理工),稲垣 滋(九州大),川中 宣太(京都大),小口 治久,清 紀弘(産総研) ○Yoske Sumitomo, Tomohiko Asai (CST, Nihon U.), Shota Kisaka (Hiroshima U.), Takeshi Sakai, Yasushi Hayakawa, Shiomi Kumagai, Daichi Kobayashi, Taichi Seki (CST, Nihon U.), Shigeru Inagaki (Kyushu U.), Norita Kawanaka (Kyoto U.), Haruhisa Koguchi, Norihiro Sei (AIST) 近年、宇宙観測において「高速電波バースト現象」の事例の報告が行われており注目を集めている。これは、観測史上最高輝度の電波放出現象の一つと考えられているが、発生頻度は高くなく、また、突発的でミリ秒程度と短時間の放出現象であるため観測情報が不足しており、その発生メカニズムを含む多くのことが未解明である。この未解明の現象に対して、繰り返し再現可能な実験室宇宙物理学として挑戦を行うため、日本大学の加速器とプラズマ技術を活用した研究プロジェクトを始動させた。この発表においては、「高速電波バースト現象」についての簡単な概要と、現在準備を行っている、20μsでの高周波加速が可能な日大電子線形加速器と無衝突プラズマを用いた相互作用実験計画についての説明を行う。 |
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TUP002 | 「グローバル供給可能な次世代小型加速器中性子源の開発とインフラ検査応用」に向けた取り組み Development of a Next Generation Accelerator-driven Compact Neutron Source for Infrastructure Inspection ○村田 亜希(東工大研究院),池田 翔太,藤田 訓裕,若林 泰生(理研),山内 英明,舛岡 優史(タイム株式会社),大竹 淑恵(理研、ニュートロン次世代システム技術研究組合),林﨑 規託(東工大研究院、ニュートロン次世代システム技術研究組合) ○Aki Murata (IIR, Tokyo Tech), Shota Ikeda, Kunihiro Fujita, Yasuo Wakabayashi (RIKEN), Hideaki Yamauchi, Masashi Masuoka (TIME Corporation), Yoshie Otake (RIKEN,T-RANS), Noriyosu Hayashizaki (IIR, Tokyo Tech, T-RANS) 国立大学法人東京工業大学と国立研究開発法人理化学研究所は、タイム株式会社及びニュートロン次世代システム技術研究組合とともに、「グローバル供給可能な次世代小型加速器中性子源の開発とインフラ検査応用」の研究開発テーマで、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「官民による若手研究者発掘支援事業」の共同研究フェーズに採択され、今年2月より産学官連携共同研究に取り組んでいる。 研究開発内容は、「世界に通用する高性能かつ低廉な普及型RFQリニアックの実用化」として、デューティサイクルを理研小型中性子源RANSの1桁大きい10%まで引き上げることを目標とし、具体的には平均電流1mAで運転可能な陽子RFQリニアックの実用化開発をおこない、かつその応用分野のひとつである「塩害・水分・空隙によるコンクリート橋梁の内部劣化の非破壊検査技術への実装」の高度化開発を可能とすることである。 高デューティのRFQリ二アックは高周波発熱が大きくなるため、電磁場・伝熱・構造のマルチフィジックス解析を用いて適切な冷却構造を検討し、熱変形による運転周波数の変化を抑えることが安定運転のために必須である。 本発表では、全体計画とともに、検討の進捗状況について報告する。この成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務JPNP20004の結果により得られたものです。 |
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TUP003 p.408 | At-211製造用ビームスキャニングシステムの開発 Development of a beam scanning system for At-211 production ○ZHAO HANG,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,安田 祐介,Koay Hui Wen,友野 大,畑中 吉治,斎藤 高嶺,森信 俊平,森田 泰之,武田 佳次郎,原 隆文,荘 浚謙(阪大RCNP) ○Hang Zhao, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Yusuke Yasuda, Hui Wen Koay, Dai Tomono, Kichiji Hatanaka, Takane Saitou, Shunpei Morinobu, Yasuyuki Morita, Keijiro Takeda, Takafumi Hara, Him Chong Tsun (RCNP) Targeted alpha therapy(TAT), which is capable of killing cancer cell only, has become a kind of extremely efficient therapeutic method of advanced cancer. In this therapy, radiopharmaceutical containing radioactive Isotope At-211 is injected intravenously and delivered to a tumor, transported to the inside of cancer cells then release alpha ray to kill them accurately. Actually, concerning the decay in the time from production to dosing, it is necessary to mass-produce At-211 of more than 1GBq. For purpose of that, we need to irradiate Bi-209 target for several hours with 30MeV(on target: 29MeV) 4He2+ ion beam of over 30μA, which means development of a scanning technology with a beam of approximately 1kW power is required. Considering that the melting point of Bi target is 271.5℃, several methods are under consideration, such as cooling and keeping the Bi target under the melting point while scanning, or heating and keeping the Bi target melted then irradiate from diagonally above. Therefore, we are aiming for the development of a beam scanning system for At-211 mass-production via Bi-209(α,2n) At-211 reaction, in consideration of beam control and target handling. |
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TUP004 p.411 | 保護膜コーティングによる高周波電子銃用Cs-Teフォトカソードの高耐久化に関する研究 Research on high durability of Cs-Te photocathode for RF-gun by protective film coating ○福岡 凜大,江澤 健太朗,小柴 裕也(早大理工総研),坂上 和之(東大光量子研),鷲尾 方一(早大理工総研) ○Rinto Fukuoka, Kentaro Ezawa, Yuya Koshiba (Waseda Research Institute for Science and Engineering, Waseda University), Kazuyuki Sakaue (Photon Science Center, Tokyo University), Masakazu Washio (Waseda Research Institute for Science and Engineering, Waseda University) 当研究室ではCs-Teフォトカソードを用いた高周波電子銃(RF-gun)による高品質ビームの生成に関する基礎・応用研究を行っている。フォトカソードとは加速器実験において用いられる電子源の一種であり、その性能は量子効率(Q.E.)と1/e寿命で評価される。本研究室ではフォトカソードとしてCs-Teを採用しており、Cs-Teは高い量子効率(~10%)と比較的長い寿命(2~3ヶ月)を併せ持つ高性能な半導体フォトカソードであるため世界中で研究が行われている。しかし、Cs-Teフォトカソードは加速器中に残存する酸素ガスなどの気体分子が表面に付着すると、その量子効率が著しく低下してしまうことが知られている。上記のような課題を解決すべく、フォトカソードの長寿命・高耐久化を目的として、Cs-TeフォトカソードにCsBrやCsI保護膜をコーティングする実験を行った。また、コーティングした膜厚の最適化を目的に酸素ガスを暴露し、評価を行った。なお、フォトカソードの寿命と保護膜厚の関係を評価するにあたり、酸素ガス暴露中の圧力変化に依らずより定量的な評価を行うために、暴露量とQ.E.変化の関係から寿命(L_0:暴露量による寿命)を算出した。本発表では、CsBrやCsI保護膜の膜厚依存性、及びコーティングによる酸素ガス耐性の向上に関して報告する。 |
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TUP005 p.414 | 炭化水素油ターゲットを用いたレーザーイオン源による陽子および炭素イオン供給の検討 Supply of proton and carbon ion from laser ion source using hydrocarbon oil target ○高橋 一匡,片根 弘登,宮崎 翔,春川 直都,石黒 薫子,佐々木 徹,菊池 崇志(長岡技大) ○Kazumasa Takahashi, Hiroto Katane, Kakeru Miyazaki, Naoto Harukawa, Kaoru Ishikuro, Toru Sasaki, Takashi Kikuchi (Nagaoka Univ. Tech.) 加速器駆動中性子源や重粒子線治療などへの応用に向けてレーザーイオン源による高フラックスの陽子および炭素イオンの供給が検討されている. これまでに炭化水素からなるポリエチレン, ポリスチレンやポリプロピレンなどのプラスチックをターゲットとしたレーザーイオン源により陽子や炭素イオンを供給できることが示されている. 一方で, レーザー照射によるターゲット損耗のため, レーザー照射位置を毎回変更する必要があり, イオンの供給回数はレーザーターゲットの面積に制限され, ターゲット寿命に課題があった. そこで, ターゲット寿命の課題を解決するため, 固体炭化水素の代わりに炭化水素油を流すことで表面が連続的に更新されるレーザーターゲットを検討している. 炭化水素油ターゲットとして, 真空下でも液体として存在でき, 蒸気圧が低い油拡散ポンプ用炭化水素油を用い, 液体用ポンプで循環させた炭化水素油にレーザーを照射してプラズマ生成実験を行った. 本発表では得られたイオン電流やパルス幅, 価数などの特性および炭化水素油の振る舞いについて調べた結果について報告する. |
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TUP006 p.417 | J-PARCリニアックのイオン源RFおよび空洞RFの同期システム Synchronization system of Ion Source RF and Cavity RF in J-PARC Linac ○柴田 崇統(高エネ研),平野 耕一郎(原研),平根 達也(キャンドックスシステムズ),神藤 勝啓,林 直樹,小栗 英知(原研) ○Takanori Shibata (KEK), Koichiro Hirano (JAEA), Tatsuya Hirane (Candox Systems), Katsuhiro Shinto, Naoki Hayashi, Hidetomo Oguri (JAEA) J-PARCリニアックでは、2015年より高周波放電型(RF)負水素イオン源運転を開始し、リニアックへ供給するビーム強度を従来の33 mAから60 mAに引き上げた。一方、RFイオン源ではプラズマ点灯のため数10kWの2 MHz RFを高周波アンプから入力する。これにより、RFプラズマや出力イオンビーム電流・エミッタンス等のパラメータが、RF入力周波数で揺動する結果が見られた。リニアック各部における電流波形計測からは、形成した中間バンチがイオン源の2MHz揺動によって異なる波高を持つ結果が見られた。現状、このビーム揺動によって、リニアックや後続の円形加速器における重大なビームロスは発生していないが、将来的なビーム強度増加の際に機器放射化や放電の原因となり得る。 2MHzの揺動をイオン源で取り除くことは現状困難だが、イオン源RFと空洞RFの同期を取ることで、ショット(25 Hz)ごとの中間バンチ波高に規則性を持たせることが出来るため、リニアック運転開始時の位相調整から逸脱したビームロスの低減が期待できる。本発表では、イオン源RFプラズマのインピーダンス整合のため2MHz±50kHzの周波数変調を行うシステムに改良を施し、リニアック空洞RFとの同期を取ることに成功したため、その結果を報告する。 |
加速器土木・放射線防護/真空 (8月10日 会議室P) | |
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TUP007 p.422 | 加速ユニットおよび電磁石架台用ムーバーの開発 Development of motorized movable structures for accelerator girders and magnet supports ○牛本 信二(三菱電機システムサービス(株)),榎本 嘉範(高エネルギー加速器研究機構) ○Shinji Ushimoto (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Yoshinori Enomoto (KEK) KEK 電子陽電子入射器では、ビームラインにおよそ60台の加速ユニット架台が設置されている。 その多くは、ベースとなる鋼管上に機器を搭載する為のプレートを取り付けた全長約9mの桁構造となっており、両端をアライメント機構を有した支持脚で保持している。 開発した加速ユニット架台用ムーバーは、この支持脚と交換して使用することを想定して設計した。 1台辺りの可動軸は水平方向1軸、垂直方向2軸となっており、架台両端に2台使用することで6軸制御を実現する。 駆動部にはスクリュージャッキを使用しており、ジャッキに連結したステッピングモーターを介して遠隔から操作がおこなえる。これらの機器は汎用性を持たせるため、可動軸毎にユニット構造となっており、搭載する機器に応じて最適なジャッキとモーターの組み合わせに交換可能である。 本報告では、設計したムーバーの概要と加速ユニット架台用試作機の動作試験結果について報告する。また同様の機構で製作した電磁石架台用ムーバーも合わせて報告する。 |
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TUP008 | J-PARC MR入射部における運転モードの違いによるコンクリート中に生成される放射性核種の比較 Comparison of radionuclides produced in concrete by different operation modes at the J-PARC MR injection point ○西川 功一(KEK/J-PARC/量研),大山 隆弘,齋藤 究,白形 政司,中村 一,萩原 雅之,別所 光太郎,三浦 太一,山崎 寛仁(KEK/J-PARC),関本 俊,八島 浩(京大複合研) ○Koichi Nishikawa (KEK/J-PARC/QST), Takahiro Oyama, Kiwamu Saito, Masashi Shirakata, Hajime Nakamura, Masayuki Hagiwara, Kotaro Bessho, Taichi Miura, Hirohito Yamazaki (KEK/J-PARC), Shun Sekimoto, Hiroshi Yashima (KURNS) J-PARCではビームロスで生じた中性子によって、加速器機器に様々な放射性核種が生成され、トンネル内のコンクリート壁も放射化が確認されている。特にビームロスが大きいMR入射コリメータ部周囲のコンクリートが、最も強く放射化している。コンクリートは多様な元素が含まれており、核破砕反応によって生成される放射性核種も多様であり、他の加速器施設と比較して、B-7eやNa-22など、速中性子に由来する核種の放射能が非常に高いレベルで観測されている。MRトンネルの一部のコンクリート壁には、建設段階で高レベルの放射化が予想されたため、放射化を抑えるためにNaの含有量が少ない低放射化コンクリートを利用して建設された。MRの運転モードには約2秒かけてハドロン実験施設にビームを取り出す遅い取り出し(SX運転モード)と、加速器内を1周する間にニュートリノ実験施設にビームを取り出す早い取り出し(FX運転モード)がある。各運転モードにおける出力はそれぞれ約50 kWと約500 kWとなっている。我々は、2019年3月1日から3月7日のSX運転時及び2019年11月28から12月4日のFX運転時に、低放射化コンクリートと普通コンクリートの同量・同形状の観測用試料をMR入射部の同一地点に設置し、単位陽子当たりの放射性核種の生成量を比較した。本報告ではSX運転とFX運転で核種生成量が異なった理由と、速中性子による核種生成への寄与について、低放射化コンクリートの利用効果を含めて議論する。 |
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TUP009 | Pd、Pd/TiZrVコーティングした銅チューブの昇温脱離と排気性能の評価 Thermal desorption and pumping performance studies for Pd or Pd/TiZrV coated copper tubes ○金 秀光,谷本 育律,内山 隆司,本田 融(高エネルギー加速器研究機構) ○Xiuguang Jin, Yasunori Tanimoto, Takashi Uchiyama, Tohru Honda (High Energy Accelerator Research Organization) In non-evaporable getter (NEG) coating, the coated film (TiZrV) thicknesses are limited in micrometer range and sorbed gases diffuse into the films (except H2) during activation, so the repeated air venting causes oxygen enrichment at near surface with resultant degradation of the pumping performance. To solve this problem, Pd overcoated getter films have been proposed and H2 and CO pumping performance have been studied. However, the thermal desorption and the Pd thickness effect on the pumping performance have not been reported. Herein, Pd, or Pd/TiZrV coated copper tubes were prepared using a magnetron sputtering. In thermal desorption after CO dose, the Pd/TiZrV film releases much more CO and CO2 than the TiZrV film, indicating Pd surfaces have lower concentration of the carbon after activation. At the H2 pressure of 5x10-6 Pa, the Pd and Pd/TiZrV films show higher sticking probabilities than the TiZrV film due to the superior H2 dissociation rate of Pd. By contrast, at the H2 pressure below 6x10-7 Pa, Pd film exhibits negligible H2 pumping, and thicker Pd overcoated TiZrV film shows lower H2 pumping. Pd has higher hydrogen dissociation pressure and limits H2 pumping. |
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TUP010 p.427 | 電子雲効果抑制のための銅溶射コーティングに関する研究 Study on copper thermal spray coating to mitigate electron cloud effect ○ヤウ ムーリー(総研大),末次 祐介,柴田 恭(KEK, 総研大),久松 広美(KEK),石橋 拓弥(KEK, 総研大),照井 真司,金澤 健一(KEK),西殿 敏朗,地場 弘行(コミヤマエレクトロン株式会社) ○Mulee Yao (SOKENDAI), Yusuke Suetsugu, Kyo Shibata (KEK,SOKENDAI), Hiromi Hisamatsu (KEK), Takuya Ishibashi (KEK,SOKENDAI), Shinji Terui, Ken-ichi Kanazawa (KEK), Toshiro Nishidono, Hiroyuki Chiba (Komiyama Electron Corp.) In our previous studies, we have confirmed that the copper thermal spray coating can reduce secondary electron yield (SEY), but there were still some differences in SEY under different spray conditions. We suspected this was caused by the difference in surface temperature during spraying, so we adjusted the air cooling and the material of the sample backboard to control the surface temperature during spraying, and then measured the SEY, surface composition and roughness of these samples. In addition, we have also produced a straight aluminum beam pipe with copper thermal spray coating that can be installed in SuperKEKB, in order to observe the effect of the coating on reducing the electron cloud in the future. In this report, we discuss some problems and solutions encountered when making the beam pipe, such as the control of the coating edge, the deformation and oxidation during welding, etc. |
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TUP011 p.432 | 次世代放射光施設3GeV蓄積リングの真空システム Storage ring vacuum system for 3-GeV next-generation synchrotron radiation facility ○田村 和宏,大石 真也,小路 正純,高野 史郎,渡部 貴宏(JASRI/理研/量研),正木 満博(JASRI/量研),高橋 直(理研/JASRI),谷内 友希子,上田 庸資(JASRI),西森 信行,保坂 勇志(量研) ○Kazuhiro Tamura, Masaya Oishi, Masazumi Shoji, Shiro Takano, Takahiro Watanabe (JASRI/RIKEN/QST), Mitsuhiro Masaki (JASRI/QST), Sunao Takahashi (RIKEN/JASRI), Yukiko Taniuchi, Yosuke Ueda (JASRI), Nobuyuki Nishimori, Yuji Hosaka (QST) 次世代放射光施設は、軟X線からテンダーX線領域の高輝度放射光源として、東北大学青葉山新キャンパスで建設が進められている。周長約350m、エネルギー3GeVの蓄積リングは、セルあたり4台の偏向電磁石を有する16のセルで構成されており、自然水平エミッタンス1.1nmrad、蓄積電流400mAを目指している。電磁石口径の狭小化に対応して真空チェンバの寸法が小さくなる低エミッタンスリングの真空システムでは、高効率の排気系の実現と、コンダクタンス確保のために磁石磁極との隙間を極力小さくして最大限の断面積を実現する真直度の高い真空チェンバの製作と設置が重要となる。次世代放射光施設3GeV蓄積リングの真空システムの検討に当たっては、同様の課題の解決に向けてSPring-8-II計画のため実施されたR&D、および基本設計を参考にして、インピーダンス対策の銅メッキを施した小口径ステンレス製真空チェンバ等の機器設計、ガス放出源となる分散配置の光吸収体の直近にNEGポンプとSIPを組み合わせて配置した効率の良い排気系の設計を行った。さらに、高輝度電子ビーム廃棄時に真空チェンバを保護するため、グラファイト製の電子ビーム吸収体をセル当たり1台設置した。本発表では詳細設計、実機製作が進められている次世代放射光施設3GeV蓄積リング真空システムの概要と、先行製作した1セル分の真空システムを用いた真空性能の検証、および磁石等との干渉確認試験の結果を報告する。 |
電磁石と電源 (8月10日 会議室P) | |
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TUP012 p.436 | 水冷式アルミヒートシンクのガルバニック腐食試験(2) Galvanic corrosion test of water cooled aluminum heatsink (2) ○三浦 一喜,石井 恒次,栗本 佳典,下川 哲司(高エネ研),佐川 隆(ユニバーサルエンジニアリング),森田 裕一(高エネ研) ○Kazuki Miura, Koji Ishii, Yoshinori Kurimoto, Tetsushi Shimogawa (KEK), Ryu Sagawa (Universal Engineering), Yuichi Morita (KEK) J-PARCでは将来計画であるビーム大強度化のために、主リングの運転周期を2.5秒から1.3秒へと速める高繰り返し化を実現することが求められており、その計画の一部として主電磁石用新電源の開発が進められている。この新電源の構成要素として、IGBTを冷却するための水冷式ヒートシンクが含まれる。この水冷式ヒートシンクは現行電源では銅製ヒートシンクが採用されてきたが、新電源においては製造時のコストカットを目的としてアルミ製ヒートシンクの採用が検討された。アルミ製ヒートシンク採用における懸念として、銅管を用いた既存機器を由来とする銅成分を含んだ冷却水が、アルミ製ヒートシンクに対してガルバニック腐食を引き起こす可能性が存在する。そこで我々は実使用環境および高負荷環境の冷却水において、アルミ製ヒートシンクサンプルを用いてガルバニック腐食評価試験を実施した。先の報告では試験済みヒートシンクサンプルを切断して流路を露出させ、冷却水流路表面状態を分析した結果、高負荷環境試験では流路表面に黒変部が確認されたが、孔食の可能性ありという結果までしか得られず孔食有無の判定には至らなかった。本報告では該当黒変部における孔食有無の判定を目的として追加実施した分析結果および、新電源にアルミヒートシンクを採用した根拠を示す。 |
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TUP013 p.439 | J-PARC主リング主電磁石用電源のための出力フィルタ抵抗器の耐パルス設計 Design of output filter resistors based on pulse load capability for J-PARC MR main magnet power supply ○森田 裕一,三浦 一喜,下川 哲司,石井 恒次,栗本 佳典(高エネ研),佐川 隆(ユニバーサルエンジニアリング) ○Yuichi Morita, Kazuki Miura, Tetsushi Shimogawa, Koji Ishii, Yoshinori Kurimoto (KEK), Ryu Sagawa (Universal Engineering) J-PARC主リングではビームパワーを増強するために運転周期を現状の2.5秒から1.3秒へ速める。高繰返し化に伴って、主電磁石電源の出力電圧の増加、及び電磁石の励磁エネルギーを回生することによる系統の電力変動が問題となる。さらに、ビーム性能の向上のために出力電流の低リップル化が求められている。我々はこれらを解決可能な電源を開発し、現行電源と入れ替える計画である。2017年に偏向電磁石用電源の1号機が完成した。J-PARC長期シャットダウン期間に、実際の偏向電磁石ファミリを負荷として定格出力の通電試験を行ったところ、出力フィルタの抵抗器が損傷した。原因調査の結果、定格出力時に抵抗器に流れるパルス電流に対して抵抗器のパルス耐電力が不足していたことがわかった。パルス耐電力の設計を見直し、現在は新しい抵抗器に交換済みである。本報告では、出力フィルタ用抵抗器の耐パルス設計について、抵抗器の種類による耐パルス性の比較を交えて述べる。 |
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TUP014 p.444 | SuperKEKBビーム調整用超伝導6極電磁石の開発(1) Development of the superconducting sextupole magnet for beam tuning in SuperKEKB (1) ○大内 徳人,有本 靖,青木 和之,保住 弥紹,高富 俊和(高エネ研) ○Norihito Ohuchi, Yasushi Arimoto, Kazuyuki Aoki, Mitsugu Hosumi, Toshikazu Takatomi (KEK) 高エネルギー加速器研究機構で稼働中のSuperKEKBは、2020年6月21日にKEKBが記録したルミノシテイー2.11×10^34を超える2.4×10^34に到達した。加速器のビーム調整向上の為、ビームラインに点在して設置可能な超伝導6極電磁石の開発を進めている。超伝導6極電磁石システムとして、内部にNormal4極、Skew4極、Skew6極の補正磁石を組込み、また磁石の冷却には小型冷凍機用いることを設計方針としている。検討を行っている超伝導6極電磁石は、6極磁場勾配= 780A/m^2、コイル内最大磁場=5.28 T、実効磁場長=0.3 mを設計パラメータとしている。この超伝導6極電磁石の開発用に現在はNbTiケーブルを用いている。今回の発表では、NbTi超伝導コイルの製作状況について報告する。 |
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TUP015 p.446 | 1.7kV SiC MOSFETを用いた半導体キッカー電源用LTD回路の開発 Development of an LTD circuit using 1.7kV SiC MOSFET for a semiconductor kicker power supply ○生駒 直弥,中田 恭輔,虫邉 陽一,徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所),高柳 智弘(J-PARC/JAEA) ○Naoya Ikoma, Kyosuke Nakata, Yoichi Mushibe, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.), Tomohiro Takayanagi (J-PARC/JAEA) LTD(linear transformer driver)電源は,複数段の放電回路の出力電圧を磁性体コアの二次側で重畳し,段数倍の高電圧パルスを得る“インダクション・リニアックの電子回路版”ともいえる電源方式であり,nsオーダーでの波形制御が可能といった画期的な特徴を有している.当社では,加速器における半導体キッカー電源への応用を目指し,スイッチングデバイスに1.2 kV SiC MOSFETを採用したLTD電源の開発を行ってきた.この度,電源の小型化を目指して1.7kV SiC-MOSFETを採用した回路を開発し,その性能を従来型と比較評価したので報告する. |
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TUP016 p.450 | コンデンサの静電容量特性 Capacitance characteristics of capacitors ○中田 恭輔,生駒 直弥,虫邉 陽一,徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所) ○Kyosuke Nakata, Naoya Ikoma, Yoichi Mushibe, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Lab.) 加速器には高電圧,大電流の大電力パルスを発生させるパルスパワー電源が用いられる.大電力パルスに必要なエネルギーを蓄積する電気素子として,コンデンサとインダクタの2種類が挙げられる.そのうちコンデンサには材料や構造等様々な種類があり,材料の性質によって静電容量が印可電圧や温度によって変化してしまう. 本発表では,複数種コンデンサの静電容量の電圧依存性と温度依存性を評価したので報告する. |
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TUP017 p.454 | J-PARC MRにおける真空ダクト上渦電流の影響評価 Evaluation of the effects of eddy currents on vacuum ducts in J-PARC MR ○浅見 高史(東京大学),栗本 佳典,佐藤 洋一,五十嵐 進(KEK),小関 忠(KEK/東京大学) ○Takashi Asami (Univ. of Tokyo), Yoshinori Kurimoto, Yoichi Sato, Susumu Igarashi (KEK), Tadashi Koseki (KEK / Univ. of Tokyo) 大強度シンクトロンでは主電磁石の急峻な励磁により真空ダクト壁に誘起される渦電流は電磁石電源電流から磁場への過渡応答を生む。その影響が大きければビーム光学の高精度制御を妨げビームロスの原因となり得る。実際、J-PARC MRの運転では磁場変化が最大となる加速初段で最大のビームロスが観測されている。従って渦電流によるビーム光学への影響を正確に把握し補正する事が重要である。本研究ではJ-PARC MRの主電磁石においてダクトに誘起される磁場への影響を、電磁場シミュレーションソフトを用いて調べた。本稿ではシミュレーション結果について述べる。 |
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TUP018 p.458 | COMET実験用ミューオン輸送超伝導ソレノイド磁石のためのホール素子磁場測定装置の設計と製作 Design and fabrication of magnetic measurement system with HALL elements for muon transport solenoid of COMET experiment ○青木 和之,大内 徳人,有本 靖,吉田 誠,佐々木 憲一,飯尾 雅実,槙田 康博,角 直幸,岡田 尚起(高エネ研) ○Kazuyuki Aoki, Norihito Ohuchi, Yasushi Arimoto, Makoto Yoshida, Ken-ichi Sasaki, Masami Iio, Yasuhiro Makida, Naoyuki Sumi, Naoki Okada (KEK) COMETは、J-PARC主リングで生成される大強度パルス化陽子を一次ビームに利用し、ミューオンから電子に転換する事象を探索する実験装置であり、現在J-PARCで建設中である。COMETの超伝導磁石のシステムはパイオン捕獲ソレノイド、ミューオン輸送ソレノイド、検出器ソレノイドで構成されている。90度に湾曲したミューオン輸送路は、定格磁場3Tの18個の超伝導ソレノイド磁石と定格磁場0.06Tの16コイルの軌道補正用超伝導2極磁石で構成されている。これら超伝導電磁石の発生する磁場分布を測定する為、2台の3軸の磁場を測定するホール素子からなる磁場測定装置を設計した。今回、この報告をする。 |
ハドロン加速器/ビームダイナミクス・加速器理論 (8月10日 会議室P) | |
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TUP019 p.461 | J-PARC MRにおけるFX EDDY SMの配置と故障対策の検討 Research on the placement of EDDY septum magnets and failure in J-PARC MR fast extraction ○岩田 宗磨,石井 恒次,佐藤 洋一,芝田 達伸,杉本 拓也,松本 浩,松本 教之,上窪田 紀彦,木村 琢郎(高エネルギー加速器研究機構) ○Soma Iwata, Koji Ishii, Yoichi Sato, Tatsunobu Shibata, Takuya Sugimoto, Hiroshi Matsumoto, Noriyuki Matsumoto, Norihiko Kamikubota, Takuro Kimura (High Energy Accelerator Research Organization) J-PARCでは、2021年より高出力化のアップデートに向けて準備が進められている。ニュートリノビームラインへの速い取り出し(FX)機器についても、低磁場セプタム電磁石(SM)と高磁場SMの交換を予定している。低磁場SMは新たに製作したEddyタイプのSMと交換する。ビーム粒子数の積み増し要請により、いくつかのチューンが新たに候補となっている。軌道計算を行い、ビームロスを低減できるようEddy SMの最適な配置を求めた。またEddy SMの励磁がパルス動作になることから、動作不良発生時のビーム軌道を確認する必要がある。軌道計算をしたところ、ビームの一部がニュートリノラインへ通過することが分かった。ニュートリノライン上の超電導電磁石内壁へのビーム照射を防ぐ対策の検討について、併せて報告する。 |
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TUP020 p.466 | サイクロトロンの高エネルギー効率化に向けた検討 Study for improving the energy efficiency of cyclotron ○武田 佳次朗,福田 光宏,神田 浩樹,依田 哲彦(阪大RCNP),篠塚 勉,伊藤 正俊(東北大CYRIC),倉島 俊,宮脇 信正(量研高崎研),涌井 崇志(量研量医研),松田 洋平(甲南大),中尾 政夫(群大重医セ),安田 裕介,原 隆文(阪大RCNP) ○Keijiro Takeda, Mitsuhiro Fukuda, Hiroki Kanda, Tetsuhiko Yorita (RCNP, Osaka Univ.), Tsutomu Shinozuka, Masatoshi Ito (CYRIC, Tohoku Univ.), Satoshi Kurashima, Nobumasa Miyawaki (QST-Takasaki), Takashi Wakui (QST-NIRS), Yohei Matsuda (Konan Univ.), Masao Nakao (GHMC), Yusuke Yasuda, Takafumi Hara (RCNP, Osaka Univ.) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)では、原子核物理実験、医療用RI製造、半導体ソフトエラー評価中性子生成などの多目的ビーム利用の需要を満たすため、サイクロトロンの大強度化および高エネルギー効率化に向けた要素開発を行っている。エネルギー効率向上には入射効率と引き出し効率の改善に加えて、消費電力の大部分を占める電磁石と加速空洞でのパワー損失を抑える必要がある。そこで、加速空洞でのパワー損失を減らすためのサイクロトロン超伝導加速空洞の実現可能性について検討している。本発表では、サイクロトロン加速空洞の超伝導化に向けた課題と検討状況を報告する。 |
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TUP021 p.470 | 散乱体による遅い取り出しビームのロス低減 Diffusers for loss reduction in slow extraction at J-PARC Main Ring ○武藤 亮太郎,新垣 良次,木村 琢郎,村杉 茂,岡村 勝也,冨澤 正人,柳岡 栄一,白壁 義久(高エネ研),松村 秋彦(NAT) ○Ryotaro Muto, Yoshitsugu Arakaki, Takuro Kimura, Shigeru Murasugi, Katsuya Okamura, Masahito Tomizawa, Eiichi Yanaoka, Yoshihisa Shirakabe (KEK/J-PARC), Akihiko Matsumura (NAT) J-PARCメインリングでは30GeVに加速した陽子ビームを3次共鳴を利用した遅い取り出しによってハドロン実験施設に供給している。これまでにビーム取り出し効率99.5%、ビームパワー64kWでのビーム供給を達成しているが、さらなるビームパワー増強のためには取り出し過程におけるビームロスの低減が不可欠である。ビームロスは主に、遅い取り出し機器の最上流部に位置する静電セプタムのセプタムリボンによって発生している。そこで我々は静電セプタムの上流に散乱体を設置し、セプタムリボンに当たる陽子ビームを少角度散乱させることで、セプタムリボンにおけるビームロスを低減する可能性を検討した。まずMARSおよびFLUKAを用いたシミュレーションにより有効な散乱体の素材やサイズを決定し、それに基づいて製作した散乱体をJ-PARCメインリングにインストールした。本発表ではシミュレーションの内容と、2021年2月に行った1回目のビーム試験の結果を報告する。次回のビーム試験は6月に予定されており、可能ならば2回目のビーム試験の結果も報告したい。 |
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TUP022 p.473 | 周期的強収束ラティスに整合した高密度バンチの初期位相空間分布生成 Generating pseudo-equilibrium phase-space distributions of particles in intense bunched beams focused by an arbitrary periodic lattice ○小島 邦洸,岡本 宏己(広大院先進) ○Kunihiro Kojima, Hiromi Okamoto (AdSE) 線形入射器中のビームは比較的バンチ長が短く、加えて重心運動エネルギーが低いため自己クーロン場の影響をより強く受ける。PICコードによる自己無撞着な多粒子シミュレーションは現在、大強度ビームにおける空間電荷効果の解明に欠かせない代表的研究手段となっている。PIC計算において特に注意を要するのは初期粒子分布の生成である。クーロン相互作用の長距離性により、大強度ビームはその位相空間密度に応じて自己組織化する。外場が周期的に変動する場合、定常状態(換言すれば、離散的な周期ラティス構造に整合した位相空間粒子分布)を構築するのは簡単ではない。これまで行われてきた多くのPICシミュレーションでは、いわゆる“二乗平均整合(rms matching)”、すなわち2次モーメントのみをラティスに整合させる近似的手法が用いられている。しかしながら、この粗い手法は粒子密度が高くなればなるほど大きな不整合につながり、ビームのエミッタンスを不可避的に増大させてしまうことが分かっている。Steven Lundらはこの問題を回避するため、2次元連続ビームに対して適用可能な近似的定常状態の構築法を考案した。本研究では、PICコードによる短バンチビームの系統的研究を念頭に、彼らの理論を3次元に拡張した。生成された3次元分布の安定性を二乗平均整合ビームと比較したので、その結果について報告する。 |
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TUP023 p.478 | cERL入射器ビームのエネルギーチャープおよび縦方向電子分布における誤差の影響 Simulation study of discrepancies in difference in the maximum acceleration phase and the reference chirp phase for the IR-FEL operation at the Compact ERL ○田中 織雅,中村 典雄,宮島 司,島田 美帆(高エネルギー加速器研究機構) ○Olga Tanaka, Norio Nakamura, Tsukasa Miyajima, Miho Shimada (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) KEKのコンパクトERLでは、2020年度に中赤外自由電子レーザー(IR-FEL)が建設され、2020年6-7月と2021年2-3月にはそのIR-FELの発振試験を行ってきた。FEL発振に必要な1 ps以下(RMS)の短いバンチは、主加速空洞におけるオフクレスト加速とアーク部におけるR56制御によるバンチ圧縮によって生成されるが、そのバンチ品質は主加速空洞に入る前のエネルギー(運動量)チャープを含む縦方向電子分布にも依存する。入射器からのビームが持つチャープのために主空洞最大加速位相とアーク部入口でエネルギー拡がりが最小となる加速位相(基準チャープ位相)との間に差が生じることになるが、主加速空洞の加速位相を走査してチャープの測定を行ったところ、シミュレーションと実測で最大加速位相と基準チャープ位相の差があることがわかった。これは、入射器から輸送されるビームのチャープがシミュレーションよりも小さく、さらには入射器の縦方向電子分布も設計分布から変化している可能性がある。そのため、入射器モデルに各種加速空洞などの誤差を入れてチャープを含む縦方向分布の変化をシミュレーションによって評価し、その原因について調査した。本発表では、シミュレーションによる各種誤差の縦方向電子分布への影響と実測との比較について報告する。 |
ビーム診断・ビーム制御 (8月10日 会議室P) | |
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TUP024 p.481 | J-PARC Main Ring の入射ビームのための OTRと蛍光を用いたワイドダイナミックレンジプロファイルモニターの開発 (2) Development of a Wide Dynamic-Range Beam Profile Monitor Using OTR and Fluorescence for Injected Beams in J-PARC Main Ring (2) ○橋本 義徳,佐藤 洋一,外山 毅,三橋 利行,中村 剛(KEK/J-PARC),酒井 浩志(三菱電機システムサービス),手島 昌己,魚田 雅彦(KEK/J-PARC) ○Yoshinori Hashimoto, Yoichi Sato, Takeshi Toyama, Toshiyuki Mitsuhashi, Takeshi Nakamura (KEK/J-PARC), Hiroshi Sakai (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Masaki Tejima, Masahiko Uota (KEK/J-PARC) J-PARCメインリング (MR) の入射ビーム輸送ライン(3-50BT)で、OTRおよび蛍光スクリーンを使用した、6桁程度の広いダイナミックレンジを持つ2次元ビームプロファイルモニターが運用されている。さらに同様の1台をMR用として導入できれば、3-50BT用のモニターと併せて使用することにより、大強度陽子ビームの入射時のコアとハローを異なる位相で診断することができる。特にビームコリメータによるビームカット効果の測定とその情報が得られることは、大強度ビームの成形によるビーム損失エリアの局所化に有効である。MR用では、さらに入射後の周回ビーム20ターン程度のビームハローを含む2次元ビームプロファイル測定もビームダイナミクスからの要求である。 現在テストベンチでの特性試験が行われている。装置の構造において、特に真空内光学系とターゲット部での高周波共振に起因する、Z/n の値で10 Ω近い縦方向カップリングインピーダンスが問題になっている。その対策としてSiC を用いてのビームウェークによる1 GHz程度までの共振時の高周波の吸収を検討している。シミュレーションでは、0.8 Ω程度以下までインピーダンスを低減できる結果を得たので、今夏には、実際にSiC ブロックを導入しての高周波吸収によるインピーダンス低減の評価を開始する。本報告ではそれらの現状を紹介する。 |
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TUP025 p.486 | 高しきい値反応を利用したJ-PARCミュオン標的近傍のビームロスモニター Beam loss monitor using nuclear reaction with high threshold-energy in the vicinity of J-PARC muon target ○山口 雄司,明午 伸一郎,大井 元貴,原田 正英,羽賀 勝洋(原子力機構 J-PARC) ○Yuji Yamaguchi, Shin-ichiro Meigo, Motoki Ooi, Masahide Harada, Katsuhiro Haga (J-PARC, JAEA) J-PARCセンター物質・生命科学実験施設(MLF)では,3 GeV, 1 MWの陽子ビームを炭素,水銀標的に入射し,それぞれからミュオン,中性子を取り出してビームとして供給する。陽子ビームの効率的な利用の点から,厚さ2 cmのミュオン標的を中性子標的の上流に直列配置しているため,3 GeV陽子ビーム輸送施設(3NBT)ではミュオン標的近くのビームロスモニターで,標的からの放射線も背景事象として検出され,ビーム損失の正確な把握が課題となる。課題解決のため,ビーム損失事象と背景事象を識別可能なビームロスモニターとして,内壁にビスマス箔を設置した計数管の開発に着手した。ビーム損失事象と背景事象の識別には,各事象からの陽子,中性子がロスモニターに到達するまでの飛行時間の差に加え,高しきいエネルギーをもつビスマスの核分裂反応による高速陽子,中性子の選択的な検出の利用が有効と考えられる。本発表では,粒子輸送計算コードを用いたビスマス箔厚みの検討や選択的検出に必要な信号の波高成分の解析結果について報告する。 |
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TUP026 p.491 | 熊取FFAGにおける短パルスビーム取出し Short pulsed beam extraction in KURNS FFAG ○上杉 智教(京大複合研) ○Tomonori Uesugi (KURNS, Kyoto-university) 京大熊取FFAG加速器においてバンチローテーションを行い、100MeV陽子ビームを10 ns まで圧縮して取り出すことに成功した。 |
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TUP027 p.494 | J-PARC 3GeVシンクロトロン加速器トンネル内の中性子測定 Neutron measurement in the accelerator tunnel of J-PARC Rapid Cyclyng Synchrotron ○山本 風海,畠山 衆一郎(J-PARCセンター / JAEA),大津 聡(三菱電機システムサービス),松本 哲郎(産業技術総合研究所),吉本 政弘(J-PARCセンター / JAEA) ○Kazami Yamamoto, Shuichiro Hatakeyama (J-PARC Center / JAEA), Satoru Otsu (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Tetsuro Matsumoto (National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST)), Masahiro Yoshimoto (J-PARC Center / JAEA) J-PARC 3GeVシンクロトロン(3 GeV Rapid Cycling Synchrotron, RCS)では、2021年5月現在、およそ740 kWで中性子ターゲットに向けた連続運転を行っている。機器の放射線損傷の検討のために、加速器運転中のビームロスによる中性子やガンマ線などの二次粒子のスペクトルの評価方法を検討しているが、ビームロス量が過多であった場合は、ビームロスによって発生する中性子やガンマ線を識別することは困難となる。しかしRCSでは、入射直線部を除きほとんどロスが発生していないことが、ロスモニタの出力および残留線量の測定よりわかっている。そこで、今回は運転後の線量が現在の運転状況において数十マイクロSv/h程度である出射分岐ダクトの近傍において、液体シンチレータを用いて中性子-ガンマ線の弁別が可能か予備試験を行った。試験の結果、検出器に入ってくる二次粒子のレートは弁別可能なレベルであることが判った。 |
電子加速器 (8月10日 会議室P) | |
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TUP028 | コンパクトERLアーク部のR56測定 Measurement of transfer matrix element R56 of arc section in the compact ERL ○島田 美帆,本田 洋介,中村 典雄,帯名 崇(高エネ研) ○Miho Shimada, Yosuke Honda, Norio Nakamura, Takashi Obina (KEK) コンパクトERLでは赤外領域のFEL発振やTHz光源の応用利用を行っており、短いバンチ長の電子ビーム輸送が大きな鍵となっている。バンチ圧縮では、超電導主加速空洞のオフクレスト加速で前方の電子が高いエネルギーを持つようにチャープを与え、アーク部でバンチ圧縮を行っている。そこで、アーク部の転送行列R56成分を2つの独立した方法で実測した。ひとつはBPM位相差から得た飛行時間から、もうひとつはBPM位置情報で得た分散関数から間接的に推測する方法である。ふたつの測定結果を比較するほか、測定誤差について評価を行った。また、設計値との差についても考察する。 |
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TUP029 p.499 | 教育加速器の設計と建設 Design and construction of the education-oriented accelerator ○福田 将史,森川 祐,濁川 和幸,竹内 保直,肥後 壽泰,福田 茂樹(高エネ研) ○Masafumi Fukuda, Yu Morikawa, Kazuyuki Nigorikawa, Yasunao Takeuchi, Toshiyasu Higo, Shigeki Fukuda (KEK) 現在、KEKのERL開発棟内に新たに教育的利用を目的とした教育加速器を建設している。ここでは、加速器科学に貢献できる人材の育成を目指して、総研大の授業やIINASの加速器技術セミナーなどにおいて、実際の加速器を用いた実習を行い、加速器の実務の一部を経験してもらう予定である。対象としては総研大生などの大学院生、加速器に携わる大学などの技官、企業の方、若い海外の方を想定している。この加速器では、熱電子銃で1μsのパルス幅で最大100nAの電子ビームを生成し、S-bandの定在波型バンチャーでバンチングした後、S-band 2m進行波加速管で最大25MeVまで加速する。この下流には、ビームを収束するための四極電磁石やエネルギーを測定するための偏向電磁石がある。ビームダンプは2つあり、偏向電磁石で曲げない時にビームが入る主ダンプと曲げた時に入る副ダンプがある。主ダンプの手前には照射部があり、10MeVまでのビームが照射でき、材料劣化や放射線分解評価の試験などを行うことを計画している。この加速器のデザインや今後の計画について報告する。 |
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TUP030 p.504 | パルス大強度相対論的電子ビームの発散角計測系の構築 Development of divergence angle measurement system for pulsed intense relativistic electron beam ○中野 竜也,菊池 崇志,佐々木 徹,高橋 一匡(長岡技術科学大学),今田 剛(新潟工科大学、長岡技術科学大学・極限エネルギー密度工学研究センター) ○Tatsuya Nakano, Takashi Kikuchi, Toru Sasaki, Kazumasa Takahashi (NUT), Go Imada (NIIT, NUT-EDI) 昨今,世界中で様々な環境問題が発生している。水環境に関しては難分解性物質の海洋放出やバラスト水による生態系への影響などが問題として挙げられる。これらの問題を解決するための方法の一つとして,パルス大強度相対論的電子ビーム(Pulsed Intense Relativistic Electron Beam:PIREB)を用いた応用研究が行われている。これまでに,PIREBの強い電離作用による有機化合物の分解,水中の微生物の不活性化などが検討されてきた。これらの研究は,試料を封入した容器をターゲットとしてPIREBを照射し,その影響を試料の分析結果により評価するという方法で行われている。しかし,PIREBのビームプロファイルは空間的に一様ではないことから,さまざまな試料への効果的な照射条件を決めるために,照射線量分布を把握することが必要である。本研究では,PIREBの発散角を測定する計測系の構築を目的とした。照射するPIREBのビームプロファイルはカソード形状を反映した円環状であるため,円環状ビームの発散角を評価できる計測系が必要である。このため,アクリル製のアパーチャでビームをコリメートし,面状の線量フィルムで線量分布を取得する。得られた線量分布を画像解析し,ビームの発散角や回転,傾きなどの情報を得る。発表では,設計・構築した計測系を用いて測定した結果を報告する。 |
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TUP031 | スピン偏極SuperKEKBの開発 Development of a Polarized Beam for SuperKEKB ○リプタック ザカリー(広島大学) ○Zachary Liptak (Hiroshima University ) 茨城県つくば市のSuperKEKBコライダーは2016年から電子・陽電子をBELLE II実験へ送り、2018年から衝突させています。それ以来ビーム電流を上げ、両ビームを「ナノビーム」まで絞り、前世代加速器であったKEKBの瞬間ルミノシティの40倍、蓄積したデータの50倍を目指しています。その他には、将来SuperKEKBの技術を高めたり、BELLE IIの物理プログラムを更に広げるため、偏極電子ビームを開発する可能性を探っています。この発表はSuperKEKBにおける偏極電子ビームの企画やチャレンジ、及び新たに開ける可能性について説明します。 |
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TUP032 p.508 | t-ACTSにおけるテラヘルツ域コヒーレントスミスパーセル放射の計測 Measurement of coherent Smith-Purcell radiation in terahertz frequency region at t-ACTS ○山田 悠樹,柏木 茂,日出 富士雄,武藤 俊哉,齋藤 寛峻,山本 大貴,山田 志門,長澤 育郎,高橋 健,鹿又 健,柴田 晃太朗,三浦 禎雄,濱 広幸(東北大電子光) ○Hiroki Yamada, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Toshiya Muto, Hirotoshi Saito, Daiki Yamamoto, Shimon Yamada, Ikuro Nagasawa, Ken Takahashi, Ken Kanomata, Koutaro Shibata, Sadao Miura, Hiroyuki Hama (ELPH) 現在、東北大学電子光理学研究センターの試験加速器t-ACTSではコヒーレントスミス=パーセル放射を用いた非破壊・リアルタイムバンチ長モニターの開発に向けた基礎研究を進めている。これまで極短電子ビームを用いて、テラヘルツ領域のコヒーレントスミス=パーセル放射を生成し、放射スペクトルやインパクトパラメータ依存性といったスミス=パーセル放射の基本的な特性の確認を行ってきた。現在、縦方向バンチ形状の再構成において必要となるモデル計算との比較のために、放射の角度分布のバンチ長依存性の計測実験を進めている。本発表ではコヒーレントスミス=パーセル放射の強度分布などの測定について報告する予定である。 |
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TUP033 p.511 | KEK電子陽電子入射器におけるパルス電磁石導入の光学的検討 Optical investigation of new pulsed magnet installation in KEK e-/e+ injector LINAC ○清宮 裕史,紙谷 琢哉,飯田 直子(KEK) ○Yuji Seimiya, Takuya Kamitani, Naoko Iida (KEK) KEK電子陽電子入射器では、SuperKEKB e-/e+, PF, PF-ARの4つのリングへ電荷の異なるビームの連続入射を行なっている。SuperKEKBでは高品質なビームが要求されるため、これまでもパルス電磁石の導入が行われてきたが現在も十分とは言えない。特に、J-ARC部のマッチング部、e+生成ターゲット後の捕獲セクションにはDCの4極磁石しか設置されておらず、光学系が乱れており高品質ビームの輸送の妨げとなっている。予算の都合上、全ての電磁石をパルス化することは困難なため、パルス化により効率良くビームの高品質化が行える電磁石の光学的検討を行った。 |
加速構造 (8月10日 会議室P) | |
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TUP034 | RANSⅢ用500 MHzRFQ線形加速器のハイパワー投入試験 High power test of 500 MHz-RFQ linac for compact neutron source RANSⅢ ○池田 翔太,大竹 淑恵,小林 知洋(理研),林崎 規託(東京工業大学),山内 英明,舛岡 優史(タイム株式会社) ○Shota Ikeda, Yoshie Otake, Tomohiro Kobayashi (RIKEN), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo tech), Hideaki Yamauchi, Masashi Masuoka (TIME Co., Ltd) 理化学研究所は、中性子計測技術を用いた大型構造物のインフラ予防保全手法の実装に向け、車載小型加速器中性子源RANS-Ⅲの開発をおこなっている。RANS-Ⅲでは車載による橋梁等での現場利用を想定していることから、3体構造500MHzRFQ線形加速器を東京工業大学と共同で開発している。加速空洞の共振周波数をRANS-Ⅱ用RFQ線形加速器の2.5倍である500 MHzにすることで、空洞断面積が半分程度まで小さくなり、加速空洞の重量も約1/3程度まで軽量化されている。それに伴いカプラーポートが小さくなることから、高周波投入には4セットの半導体アンプと同軸管、ループカプラーで周波数と位相を揃えた300 kWの高周波電力を加速空洞に投入する方法を採用している。 本研究では、RANS-Ⅲ用高周波カプラーの設計製作と、大電力励振試験の結果について報告する。 |
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TUP035 | 大強度ビーム加速に向けた大口径空胴の電場分布測定 Measurement of electric field in the RF cavity with large beam duct for high intensity beam acceleration ○佐古 貴行(東芝エネルギーシステムズ),森 義治,石 禎浩,上杉 智教,栗山 靖敏(京大複合研),津守 克嘉(核融合研),安藤 晃(東北大) ○Takayuki Sako (Toshiba Energy Systems), Yoshiharu Mori, Yoshihiro Ishi, Tomonori Uesugi, Yasutoshi Kuriyama (Kyoto Univ.), Katsuyoshi Tsumori (NIFS), Akira Ando (Tohoku Univ.) NBI(中性粒子ビーム入射加熱: Neutral Beam Injection heating)が核融合プラズマの加熱に必須な手法として用いられている。発電実証を目的とする原型炉においてはプラズマの大型化に伴い、ビームの高エネルギー化が不可欠となる。絶縁耐圧上の制約が大きい静電加速に代わる加速方式として単胞型空胴を用いた高周波加速を検討している。単胞型空胴は単一の加速ギャップを有する加速空胴を複数並べることでビームを加速する方式である。従来の線形加速器と比較して大口径のビームダクトを有することから、ビームサイズを広げ空間電荷効果を抑制できる利点がある。一方で従来方式以上にビームダクト内の電場分布の影響が大きくなる。単胞型空胴によるビーム加速検証の要素試験として単胞型空胴と同一の加速モードであり、大口径のビームダクトを有するERIT空胴を用いて電場分布測定を実施した。本発表において電場分布の測定結果について報告する。 |
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TUP036 p.514 | 超伝導Nb空洞処理用の縦型電解研磨装置の導入 Installation of vertical electropolishing system for surface processing of superconducting Nb cavity ○後藤 剛喜,早野 仁司,梅森 健成,宍戸 寿郎,文珠四郎 秀昭(高エネ研) ○Takeyoshi Goto, Hitoshi Hayano, Kensei Umemori, Toshio Shishido, Hideaki Monjushiro (KEK) 現在,高エネルギー加速器研究機構(KEK)の超伝導加速器利用促進化推進(COI)棟において,超伝導Nb空洞の表面処理能力を増やすために縦型電解研磨(EP)装置の導入工事が進捗しており,その計画内容について報告する。本装置ではKEKで既に導入実績がある横型EP方式(空洞を水平姿勢でEP処理)ではなく,空洞を垂直姿勢でEP処理を行う縦型方式を採用している。その理由として,(1)横型方式では必須な空洞軸方向の回転機構や水平-垂直姿勢の回転機構が縦型方式では必要なく,装置機構が大幅に簡略化,(2)アノード電極であるNb表面の反応面積が約1.7倍大きくなり,EP処理速度が向上,(3)フッ酸を用いない安全なEP法であるバイポーラーEP法や交流EP法を適用できる点にある。その反面,縦型方式で均一な表面処理を行うにはEPの反応熱,重力によるNb表面の拡散層(粘性層)の時間変化,Alカソード電極から発生した水素ガスの気泡の対処などが必要となる。導入される本装置には,そうした課題に対応するための様々な技術的工夫が施されており,Nb空洞の円滑かつ質の高いEP処理が実現できると期待される。 |
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TUP037 p.519 | 超伝導空洞のコストダウンに向けた新規ニオブ材の検討と縦測定結果 Study on new niobium material for cost-reduction of superconducting cavities and the results of vertical test measurement ○荒木 隼人,阿部 慶子,道前 武,井藤 隼人,佐伯 学行,梅森 健成,渡邉 勇一,山中 将(高エネルギー加速器研究機構) ○Hayato Araki, Keiko Abe, Takeshi Dohmae, Hayato Ito, Takayuki Saeki, Kensei Umemori, Yuichi Watanabe, Masashi Yamanaka (KEK) 超伝導加速器の普及・応用において,ニオブ製加速空洞のコストダウンは重要課題である.KEKでは空洞製造技術開発施設(CFF)において,従来より安価に入手できるニオブ板材を使用して,性能を損なわない空洞を製造する手法を研究している.昨年度,入手元の異なるニオブ材料を溶解・インゴット化し,CFFで空洞製造を行った.Fine Grain 単セル空洞1台(KEK-R12)およびLarge Grain 3セル空洞4台(KEK-R16, R16b, R17, R17b)がそれである.今年度はこれら5台の加速空洞としての性能評価(縦測定)およびそれに向けた表面処理を進めており,測定結果と進捗状況を報告する. |
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TUP038 | 超伝導加速器における入力カップラーの銅鍍金に関する研究について② Research on copper plating for power coupler in superconducting accelerator #2 ○山本 康史(高エネルギー加速器研究機構) ○Yasuchika Yamamoto (High Energy Accelerator Research Organization) 超伝導加速器の入力カップラーは通常、SUS316Lの下地に20 μm程度の厚みをもった銅鍍金を施して用いられる。製造の最終工程で、銅鍍金が付いた各パーツを銀ロウ付けで接続し、入力カップラーが完成する。その際、銅の結晶粒が熱の影響で変化し、その結果、銅鍍金の抵抗値の変化を引き起こす。本講演では、2019年以降に実施した熱処理したサンプルに関する研究結果を報告する。 |
加速器制御 (8月10日 会議室P) | |
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TUP039 p.524 | SPring-8/SACLA加速器ログデータベース利用環境の構築 Assembling an user environment of accelerator log database at SPring-8/SACLA ○岡田 謙介(JASRI),丸山 俊之,福井 達(理研) ○Kensuke Okada (JASRI), Toshiyuki Maruyama, Toru Fukui (RIKEN) 大型放射光施設SPring-8/SACLAでは環境測定値、入射器のパルス周期に同期した機器の読み出し値などの時系列データを一ヶ所のデータベースに保存し、状況把握や相関解析の環境を提供している。過去の学会では機器設定パラメータの保存スキームと、NoSQLDBの運用を紹介した。本発表では、データの利用環境について述べる。共用施設としての加速器運転に直接関係する部分は、C/C++のライブラリを提供し、コンパイラ言語で手堅く取り扱っている。データの閲覧環境については、webサービスでグラフ表示、データ値の取得などを整備してきた。定型に収まらない場合は、利用者が一旦保存したテキストデータを再加工するか、別途専用のページを作成するかの選択のみで不便だったので、近年Restful APIを追加しユーザーの自由度を追加した。これは加速器調整時にスクリプト言語で柔軟に対応するといった利用方法も念頭に置いている。またこれらの枠組みが正しく働くためにはルールに沿った信号登録が必要である。年々信号数が増大し、機器の入れ替え等による信号名や収集方式の変更があるなど、登録作業の負担が大きくなってきたため、登録申請から仮登録、本登録という流れを洗い出し、web上で登録作業が完結するよう整備している。東北放射光施設やSPring8-IIなどへの展開も想定して、堅牢性と利便性の両立、管理の省力化を進めている。 |
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TUP040 p.528 | KEK電子陽電子入射器におけるArchiver Appliance運用に関するトラブル及び対処 Problems and some approaches during operation of Archiver Appliance in KEK electron positron injector linac ○佐武 いつか,佐藤 政則(高エネルギー加速器研究機構),草野 史郎,工藤 拓弥(三菱電機システムサービス株式会社),櫻井 雅哉(関東情報サービス株式会社),王 迪(総研大) ○Itsuka Satake, Masanori Satoh (KEK), Shiroh Kusano, Takuya Kudou (MSC), Masaya Sakurai (KIS), Di Wang (SOKENDAI Accelerator Science) KEK電子陽電子入射器では,電子及び陽電子ビームをSuperKEKB電子/陽電子,PF,PF-ARの異なる4つのリングに供給している.2019年には4リング同時トップアップ入射を実現し,現在もさらなるビーム性能向上のため、様々な技術研究開発を続けている。また多数の機器状態を監視及び制御するため、扱う対象もデータ量も増加の一途をたどっている。KEK入射器ではデータ収集ソフトウェアとして,従来からのCSS archiverとともに,2019年秋からArchiver Applianceを運用している.現在のアーカイブ対象は約12万点に達し、これらのデータをアーカイブシステムで記録している。Archiver Applianceは,ディスク消費量も少なく,速いデータ読み出しが実現できている。しかしながら,2020年頃より数ヶ月ごとに停止するという問題が発生している.調査のためにデータの可視化ツールであるKibanaを用いて,KEK入射器制御ネットワークにおけるBroadcastの調査も含め,Archiver Appliance運用サーバーにおけるシステム情報の監視を始めた。現在の運用状況に加えて,原因調査及びいくつか試みた対処について詳細を報告する. |
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TUP042 p.532 | SRILAC用マシンプロテクションシステムの構築 Development of Machine Protection System for SRILAC ○内山 暁仁,込山 美咲,藤巻 正樹,熊谷 桂子(理研仁科センター),山内 啓資,金子 健太(住重加速器サービス) ○Akito Uchiyam, Misaki Komiyama, Masaki Fujimaki, Kumagai Keiko (RIKEN Nishina Center), Hiromoto Yamauchi, Kenta Kaneko (SHI Accelerator Service Ltd.) 理研仁科センターではRIBFの入射器の一つとして線形加速器RILACが運用されている。またRILACはそれ単独でも実験にビーム供給しており、119番以上の超重元素探索実験を目的として超伝導RILAC(SRILAC)が据え付けられ、アップグレードされた。従来RILACにおけるマシンプロテクションシステムはシンプルなリレー回路の組み合わせによって構築されていた。一方RIBFの他の大部分には2006年からMELSEC-Qシリーズ を用いたインターロック系が導入されている。それらは異常信号をトリガにビームチョッパーを駆動させてビームを停止させる仕組みを持ち、我々はビームインターロックシステム(BIS)と呼んでいる。SRILACプロジェクトではビーム軌道の変化による超伝導空洞の真空悪化を防ぐといった理由等でマシンプロテクションの強化が必要であり、これに対してFA-M3ベースを用いる事により従来システムにくらべ応答性能の高いBISを実現した。また本システムでは標準モジュールを用いたステーション間のレスポンス時間は数msecだが、1 msec以下のより高い応答性能をPLCで実現する手段としてFPGAモジュールの導入も行っている。SRILAC用BISは実装され、2020年にビームコミッショニングを無事に終え現在実験が継続している。本会議では構築されたシステムの詳細を報告する。 |
高周波源・LLRF (8月10日 会議室P) | |
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TUP043 p.536 | LIU(LHC入射器アップグレード)-RF共同研究の進捗(3) ‐窒化ガリウム半導体アンプの放射線試験‐ Status of LIU (LHC Injector Upgrade) RF collaboration (3) -Irradiation Test of GaN Solid-State Amplifier- ○大森 千広(J-PARC),Paoluzzi Mauro(CERN),白形 将司,田村 文彦,長谷川 豪志,杉山 泰之,沖田 英史,吉井 正人(J-PARC) ○Chihiro Ohmori (J-PARC), Mauro Paoluzzi (CERN), Masashi Shirakata, Fumihiko Tamura, Katsushi Hasegawa, Yasuyuki Sugiyama, Hidefumi Okita, Masahito Yoshii (J-PARC) J-PARC RFグループはLHC加速器の高輝度化(HL-LHC)のためLHC入射器群のアップグレードの一環として、CERN PSブースター加速器のフェライト空洞を広帯域空洞に置き換えるための国際共同研究を進めてきた。長期停止期間(LS2)の間にブースターへの空洞システムの設置および試験が終了し、ビームエネルギーは2GeVに向上した。すでに次段加速器であるPSでの加速も完了し、SPSにビームが入射されている。 我々はPS加速器RFの早いフィードバック系の性能向上のため高利得の窒化ガリウム半導体アンプの開発にも協力している。早いフィードバックではアンプを空洞付近で使用するため、耐放射線特性が求められる。J-PARC MRのビームコリメータ下流部の照射エリアを用いた窒化ガリウム半導体アンプの照射試験結果についても報告する。 |
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TUP044 p.541 | SuperKEKBにおけるLLRF制御システムの運転状況 Operation Status of LLRF Control System in SuperKEKB ○小林 鉄也,赤井 和憲,小笠原 舜斗,可部 農志,中西 功太,西脇 みちる,吉本 伸一,渡邉 謙(高エネ研) ○Tetsuya Kobayashi, Kazunori Akai, Shunto Ogasawara, Atsushi Kabe, Kota Nakanishi, Michiru Nishiwaki, Shin-ichi Yoshimoto, Ken Watanabe (KEK) SuperKEKBは、前身であるKEKB加速器の40倍のルミノシティを目指す電子陽電子非対称衝突型円形加速器で、2018年から無事に衝突実験が始まった。その後も概ね順調に性能向上が続けられ、世界最高ルミノシティの記録を更新している。今後も目標ルミノシティの達成に向け、更なるアップ・グレード、蓄積電流の増加が必要となる。 本発表では、SuperKEKBのコミッショニングにおけるRFシステムの運転状況について報告する。主にLLRF制御システム(EPICS制御ソフトを含む)に関してビーム運転に関するトラブルや対処、機能の向上など、総括的に紹介する。また、加速空洞に起因するビーム不安定性の対応状況や今後の課題についても述べる。メイン・リングと同じRFシステムで運転されている陽電子ビーム用ダンピング・リングに関する報告も本発表に含める。 |
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TUP045 p.546 | 高周波特性からみた球形空洞型パルス圧縮器の製作 RF characteristics view of construction of spherical-cavity-type pulse compressor ○肥後 寿泰,惠郷 博文,阿部 哲郎,東 保男(高エネルギー加速器研究機構),坂東 佑星(総研大),佐治 晃弘,井原 功介((株)トヤマ),林 显彩,施 嘉儒(清華大学) ○Toshiyasu Higo, Hiroyasu Ego, Tetsuo Abe, Yasuo Higashi (KEK), Yusei Bando (SOKENDAI), Akihiro Saji, Kousuke Ihara (TOYAMA), Xiancai Lin, Jiaru Shi (Tsinghua University) KEK電子陽電子入射器では、現行のパルス圧縮器に置換可能な球形空洞型パルス圧縮器の開発を進めている。このタイプはSバンドモデルでは清華大学で開発され、実験室レベルで稼働しているが、本件ではこれを出発点に、高い安定性と高繰返しに対応できるよう改良を加えて製作した。これまでに、低電力試験チューニングを進め、目論んでいた空洞内の縮退する2モードの周波数制御を行い、目指していたパルス圧縮性能を達成し、現在は高電力試験の準備に入っている。本稿では、電気設計の主要点を満たすために行った、製作段階での調整の方法と結果について、調整の限界に言及しながら報告する。 |
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TUP046 p.551 | イグナイトロン代替半導体スイッチユニットの開発 Development of solid state switch unit for replacing ignitrons ○亀崎 広明,森 均,徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所),小野 礼人,高柳 智弘(JAEA/J-PARC) ○Hiroaki Kamezaki, Hitoshi Mori, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.), Ayato Ono, Tomohiro Takayanagi (JAEA/J-PARC) パルス大電力クライストロンのカソード電源回路の短絡保護用クローバースイッチを構成するユニットとして、30kV半導体スイッチの設計・製作を行った。MOSゲートサイリスタ素子を16並列3直列接続した単位基板を10直列接続とし、30kVDC40kApの高電圧大電流スイッチング性能を確認したので、その結果について報告する。 |
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TUP047 p.554 | SuperKEKB入射器のノイズ対策-2 Noise counterplan of SuperKEKB Injector Linac-2 ○矢野 喜治,明本 光生,荒川 大,片桐 広明,川村 真人,中島 啓光,夏井 拓也,本間 博幸,松下 英樹,松本 修二,松本 利広,三浦 孝子(KEK) ○Yoshiharu Yano, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Masato Kawamura, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui, Hiroyuki Honma, Hideki Matsushita, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura (KEK) KEKの電子陽電子入射器は1982年にPFリングの電子入射器として稼働をはじめ、様々な増設、改造を重ね現在はPF、PF-AR、SuperKEKBの入射器として運用中である。入射器には60台の高周波電源がありサイラトロンのノイズが原因と思われる機器の誤動作に悩まされて来た。サイラトロンは放電管なので運転を継続しているとジッタが増加し、ノイズも大きくなり機器の誤動作が目立ってくる。ジッタが増加したサイラトロンはリザーバー電圧を調整して正常な運転状態に戻すことを日常的に行なっている。調整が必要となるサイラトロンは選択的にオシロスコープを接続しジッタの確認を行なって決定している。60台の高周波電源にオシロスコープを接続しサイラトロンのジッタを常時観測することは現実的ではない。そこでRaspberry Piを使ったノイズモニタを製作し、高周波電源のノイズとサイラトロンのジッタの関係を調査した。 |
光源加速器/レーザー (8月10日 会議室P) | |
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TUP048 p.559 | 準単色THzパルス計測のためのEO samplingシステムの開発 Development of an EO sampling system for quasi-monochromatic THz pulse measurement ○村越 孔太,蓼沼 優一,村上 樹希,王 鵬,小柴 裕也,鷲尾 方一(早大理工総研),坂上 和之(東大光量子研),黒田 隆之助(産総研) ○Kota Murakoshi, Yuichi Tadenuma, Tatsuki Murakami, Peng Weng, Yuya Koshiba, Masakazu Washio (WISE), Kazuyuki Sakaue (UT-PSC), Ryunosuke Kuroda (AIST) THz波は、電波と光波の中間に位置することから、電波のような物質透過性と光波のような直進性を兼ね備えている。また、高次構造の分子間振動に相当する励起エネルギーを有する。そのため、THzパルス照射による透過イメージング技術や高分子の物性改変を始めとした応用研究に期待されている。しかし、これらの応用研究を実現するには、高強度な単色THz光源が要求されるが、現状それらを満たすものは大型施設に限定される。 このような現状に対し、我々は高強度な小型単色THz光源の開発を目標とし、rf-deflectorを用いた傾き制御電子ビームによる広帯域THzパルスの生成実験及びその評価を行ってきた。また、スリットを用いた電子ビームの空間変調による準単色THzパルスの生成実験に着手しており、バンドパスフィルターを用いてTHzパルスの準単色化の傾向を確認した。 本研究では、準単色THzパルスのより厳密な評価のために、THz波の時間波形を取得し、それをフーリエ変換することでスペクトルを得ることのできるEO samplingシステムを構築し、準単色THzパルスのスペクトル取得実験を行った。 本講演では、構築したEO sampling用プローブレーザーの評価、それを用いた準単色THzパルスに対するEO sampling実験の結果及び今後の展望に関して報告する。 |
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TUP049 p.563 | IR-FEL高出力運転に向けたcERLダンプラインの改造とビーム輸送スタディ Reconstruction and beam-transportation study of the cERL dump line for IR-FEL high-power operation ○中村 典雄,谷本 育律,東 直,原田 健太郎(高エネ研),島田 美帆(高エネ研、広大),内山 隆司,野上 隆史,帯名 崇,高井 良太,下ヶ橋 秀典,濁川 和幸,加藤 龍好,阪井 寛志(高エネ研) ○Norio Nakamura, Yasunori Tanimoto, Nao Higashi, Kentaro Harada (KEK), Miho Shimada (KEK, Hiroshima U.), Takashi Uchiyama, Takashi Nogami, Takashi Obina, Ryota Takai, Hidenori Sagehashi, Kazuyuki Nigorikawa, Ryukou Kato, Hiroshi Sakai (KEK) コンパクトERL(cERL)の赤外FELでは、ビームコミッショニングにおいてFEL光が検出され、その後のFEL出力の増大にも成功した。FELの発振が効率的に起きるとビームの運動量広がりが大きくなり、その下流の運動量アクセプタンスを越えることで深刻なビームロスにつながる。現在のバーストモード(マクロパルス幅 0.1 - 1 us, 繰り返し1-5 Hz)での運転からCWモードなどによる高出力FEL運転に移行する場合、放射線の観点から運動量アクセプタンスが最も狭いダンプラインの運動量アクセプタンスを広げてビームロスを抑え込むことが必要になる。そのために、2020年秋にダンプラインを改造し、モニタを含む真空ダクトのアパーチャ拡幅や電磁石の増強と再配置による分散関数の低減を行うことで運動量アクセプタンスを約80%改善させた。また、2021年3月には入射部から周回ループを介さずにダンプラインに直接ビームを入射して、改造後初めてのビーム輸送スタディも行った。本発表ではIR-FEL高出力運転に向けたcERLダンプラインの改造とビーム輸送スタディについて報告する。 |
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TUP050 p.568 | 日本大学電子線利用研究施設PXRラインにおけるテラヘルツ光源の研究開発 Research and Development of Terahertz Sources at LEBRA-PXR Beam Line in Nihon University ○境 武志(日大量科研),清 紀弘(産総研),早川 恭史,住友 洋介,早川 建,田中 俊成,野上 杏子,髙橋 由美子(日大量科研),斉藤 広斗,廣原 匠(日大院理工) ○Takeshi Sakai (LEBRA, Nihon University), Norihiro Sei (AIST), Yasushi Hayakawa, Yoske Sumitomo, Ken Hayakawa, Toshinari Tanaka, Kyoko Nogami, Yumiko Takahashi, Hiroto Saito, Takumi Hirohara (LEBRA, Nihon University) 日本大学電子線利用研究施設LEBRAでは、高エネルギー加速器研究機構と加速器の高度化をすすめ、FELとパラメトリックX線放射(PXR)の光源開発を進めてきた。また産業技術総合研究所との共同研究によりテラヘルツ波(THz)光源開発を精力的に進めており、学内外への共同利用も合わせて行っている。PXRラインではこれまでに、コヒーレントエッジ放射(CER)、コヒーレント遷移放射(CTR)光源開発を行ってきた。2019年度から、放射源には形状を工夫した誘電体中空円錐管を用い、平面波コヒーレントチェレンコフ放射(CCR)源の製作に取り組んでいる。また2021年度からは新たにCTR光源部分を改良して、らせん状の金属ターゲットを用いた簡易的なテラヘルツ帯域CTRの光渦光源開発を進めている。本発表では、PXRラインでのTHz-CCR、THz-CTR光渦光源開発状況に関して報告する。 |
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TUP051 p.572 | パルスラジオリシスシステム高度化へ向けたスーパーコンティニューム光開発 Study of supercontinuum generation for pulse radiolysis system ○金子 悠隆,佐藤 未宇,小柴 裕也(早大理工総研),坂上 和之(早大理工総研/東大光量子研),鷲尾 方一(早大理工総研) ○Yutaka Kaneko, Miu Sato, Yuya Koshiba (WISE,Waseda Univ.), Kazuyuki Sakaue (WISE,Waseda Univ./UT-PSC), Masakazu Washio (WISE,Waseda Univ.) 放射線化学反応はアト秒という非常に短い時間から始まり、その初期過程がその後の反応の支配的因子とされている。そのため、放射線化学反応の初期過程を解明することは、非常に重要となる。この初期過程を解明する手法の一つにパルスラジオリシスがある。パルスラジオリシスとは、電離放射線を物質に照射すると同時に分析光を物質に照射し、その吸収スペクトルを見ることで、活性種の時間的追跡を行うことができる。しかし、先ほど記述したように放射線化学反応はアト秒という非常に短い時間から始まるため、パルスラジオリシスシステムにもそれと同様の時間分解能が求められる。したがって、パルスラジオリシスの分析光は超短パルスであることが望ましい。また、パルスラジオリシスを行う物質の吸収波長が必ずしも既知であるとは限らない。それゆえに、分析光の波長帯は広域である方がよい。加えて、重要な活性種の吸収波長は可視光領域にあるとされているため、可視光領域もカバーしていることが望ましい。我々は、こうした要求を満たす最適な分析光として、Erファイバーレーザーの二次高調波(775nm)より生成されるスーパーコンティニューム光が最適であると考えた。本発表では、このスーパーコンティニューム光開発の現状、及び今後の展望について述べる。 |
施設技術報告 (8月10日 会議室P) | |
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TUP052 p.575 | 下記論文には訂正があります。 Corrections applied to the paper: TUP052_errata.pdf 理研RIBFにおけるリングサイクロトロンの運転報告 Status report of the operation of RIBF ring cyclotrons 仲村 武志,福澤 聖児,濱仲 誠,石川 盛,小林 清志,小山 亮,西田 稔,西村 誠,柴田 順翔,月居 憲俊,矢冨 一慎(住重加速器サービス),○大関 和貴,段塚 知志,藤巻 正樹,藤縄 雅,福西 暢尚,長谷部 裕雄,日暮 祥英,池沢 英二,今尾 浩士,上垣外 修一,金井 保之,木寺 正憲,込山 美咲,熊谷 桂子,真家 武士,長友 傑,中川 孝秀,中村 仁音,大西 純一,奥野 広樹,坂本 成彦,須田 健嗣,内山 暁仁,渡部 秀,渡邉 環,渡邉 裕,山田 一成,山澤 秀行(理研仁科センター) Takeshi Nakamura, Seiji Fukuzawa, Makoto Hamanaka, Shigeru Ishikawa, Kiyoshi Kobayashi, Ryo Koyama, Minoru Nishida, Makoto Nishimura, Junsho Shibata, Noritoshi Tsukiori, Kazuyoshi Yadomi (SHI Accelerator Service Ltd.), ○Kazutaka Ozeki, Tomoyuki Dantsuka, Masaki Fujimaki, Tadashi Fujinawa, Nobuhisa Fukunishi, Hiroo Hasebe, Yoshihide Higurashi, Eiji Ikezawa, Hiroshi Imao, Osamu Kamigaito, Yasuyuki Kanai, Masanori Kidera, Misaki Komiyama, Keiko Kumagai, Takeshi Maie, Takashi Nagatomo, Takahide Nakagawa, Masato Nakamura, Jun-ichi Ohnishi, Hiroki Okuno, Naruhiko Sakamoto, Kenji Suda, Akito Uchiyama, Shu Watanabe, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe, Kazunari Yamada, Hideyuki Yamasawa (RIKEN Nishina Center) 理研RIBFにおける4台のリングサイクロトロン (RRC, fRC, IRC, SRC) の2020年8月から2021年7月までの運転状況を報告する。ビーム強度増強と安定供給に向けて、改造、ビーム調整、保守に取り組んでいる。本稿ではこれまでの加速ビームの実績、当該期間の運転時間と調整時間の統計、また発生した故障とその対処等について報告する。 |
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TUP053 p.580 | KEK放射光源加速器PFリングとPF-ARの現状 Present status of PF ring and PF-AR at KEK ○小林 幸則(KEK加速器研究施設) ○Yukinori Kobayashi (Accelerator Laboratory, KEK) 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光実験施設(フォトンファクトリー:PF)は、1982 年から今日まで大学共同利用を中心にした運営を行い、物質科学および生命科学を中心にした基礎科学の発展に貢献してきた。現在では、2.5GeV PFリングと6.5 GeV PFアドバンストリング(PF-AR)の2つの放射光専用リングを運転し、年間3,500 人を超えるユーザに対して紫外線からX線までの放射光を供給している。PFリング、PF-ARともに稼働から約40年経過しており、各種装置の老朽化が顕著になってきているが、随時対策を講じながら故障率1%台の安定な運転を維持してきた。2020年度は、冷却水配管に課題を抱えていたPFリングのセプタムII電磁石の更新を含めた新入射スキームへの改造を実施した。また、ビーム診断システムの高度化の作業を開始した。本年会では、高度化・老朽化および故障対策等を含めたPFリングとPF-ARにおける運転の現状について報告する。また、2020年度から開始したPFリング高度化計画についても報告する。 |
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TUP054 p.585 | iBNCT加速器の現状 Present status of iBNCT accelerator ○佐藤 将春,池上 清,帯名 崇,久保田 親,栗原 俊一,小林 仁,柴田 崇統,杉村 高志,高木 昭,高崎 栄一,内藤 富士雄,南茂 今朝雄,方 志高,福井 佑治,福田 将史,二ツ川 健太,本田 洋介,三浦 太一,宮島 司(KEK),熊田 博明,田中 進,松本 孔貴(筑波大),大場 俊幸,名倉 信明(NAT),豊島 寿一(アトックス),小栗 英知(JAEA) ○Masaharu Sato, Kiyoshi Ikegami, Takashi Obina, Chikashi Kubota, Toshikazu Kurihara, Hitoshi Kobayashi, Takanori Shibata, Takashi Sugimura, Akira Takagi, Eiichi Takasaki, Fujio Naito, Kesao Nanmo, Zhigao Fang, Yuji Fukui, Masafumi Fukuda, Kenta Futatsukawa, Yosuke Honda, Taichi Miura, Tsukasa Miyajima (KEK), Hiroaki Kumada, Susumu Tanaka, Yoshitaka Matsumoto (Univ. of Tsukuba), Toshiyuki Ohba, Nobuaki Nagura (NAT), Toshikazu Toyoshima (ATOX), Hidetomo Oguri (JAEA) 次世代粒子線がん治療のひとつである加速器ベースのホウ素中性子捕捉療法(BNCT)をJ-PARCで実績のあるRFQおよびDTLからなる加速管構成により実現を目指すいばらきBNCT(iBNCT)計画では、8 MeVまで加速した陽子をベリリウム標的に照射して中性子を生成し治療に利用する。BNCTに必要な熱中性子束を得るためには陽子ビームの平均電流値として数mA程度必要であり、高いディーティーファクターが要求される。2019年度2月に発生したクライストロン電源高圧パルス半導体スイッチの故障により長らく運転を停止していたが2020年5月にビーム運転を再開し、非臨床・臨床試験へ向けてビーム繰り返し75 Hz・平均電流値2.1 mAで、2020年度後半からは中性子ビーム特性測定及び細胞やマウスを用いた生物照射試験を精力的に進めている。今年度は非臨床試験を完了すべく引き続き照射試験を繰り返し行う予定である。また更なる安定性及び将来的に繰り返しを上げてビーム電流を向上させる事を想定して、加速管冷却水の増強・安定化や真空系の増強などの装置の改修を段階的に行っている。本講演では現在までのiBNCT加速器の運転状況及び今後の見通しに関して報告する。 |
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TUP055 p.590 | 理研加速器駆動小型中性子源RANSおよびRANS-II RIKEN accelerator-driven compact neutron source RANS and RANS-II ○小林 知洋,大竹 淑恵,池田 翔太,池田 裕二郎,岩本 ちひろ,後藤 誠,高梨 宇宙,髙村 正人,竹谷 篤,橋口 孝夫,藤田 訓裕,松崎 義夫,水田 真紀,若林 泰生,Yan Mingfei(理研) ○Tomohiro Kobayashi, Yoshie Otake, Shota Ikeda, Yujiro Ikeda, Chihiro Iwamaoto, Makoto Goto, Takaoki Takanashi, Masato Takamura, Atsushi Taketani, Takao Hashiguchi, Kunihiro Fujita, Yoshio Matsuzaki, Maki Mizuta, Yasuo Wakabayashi, Mingfei Yan (RIKEN) 理化学研究所光量子工学研究センター(和光)の中性子ビーム技術開発チームでは7 MeV陽子線LINAC+BeターゲットのRANSおよび2.5 MeV陽子線LINAC+LiターゲットのRANS-IIの2台の中性子源が稼働している。2013年より稼働するRANSにおいては、最大5 MeVの中性子を1E12/sec発生させることが可能で、ポリエチレンモデレータによって減速した熱中性子を用いて、現在は透過/反射イメージング、小角散乱、回折、元素分析、検出器および線量計開発等の実験が行われている。RANSにおける技術開発・測定対象で大きな比率を占めるのは、インフラ構造物の非破壊検査である。特に反射(後方散乱)中性子を用いたイメージング技術は、劣化診断の現場で利用できれば非常に大きな力となる。そこで2016年よりさらに小型のRANS-IIの開発が開始された。RANS-IIの陽子発生量は1E11/secとRANSに比べて少ないものの、低エネルギーLi(p, n)反応の特性から中性子が前方に多く出射されるため、有効利用できる中性子の割合は高い。また、この特性によりターゲットを囲む遮蔽の量を大幅に削減することができ、RANSの20 tに対してRANS-IIでは3.5 tとなっている。RANS-IIでは2019年度より中性子発生を開始し、現在は反射イメージング、検出器開発、可搬化のためのパラメータ検討等が行われている。 |
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TUP056 p.592 | UVSOR光源加速器の現状2021 Status of UVSOR-III synchrotron electron accelerator in 2021 ○杉田 健人,平 義隆,藤本 將輝,太田 紘志,林 憲志,山崎 潤一郎,水口 あき(分子研 UVSOR),加藤 政博(分子研 UVSOR, 広大HiSOR) ○Kento Sugita, Yoshitaka Taira, Masaki Fujimoto, Hiroshi Ota, Kenji Hayashi, Jun-ichiro Yamazaki, Aki Minakuchi (UVSOR, IMS), Masahiro Katoh (UVSOR, IMS HiSOR, Hiroshima University) 分子科学研究所の放射光電子蓄積リングUVSOR-IIIの運転状況および光源開発の状況を報告する。UVSORは1983年のファーストライト以降、2度の大規模改修により高度化を進め、エミッタンスは17nm-radに達し6台のアンジュレータが稼働するに至っている。現在、電子エネルギー750 MeV、電流値300 mAのトップアップ運転によって、テラヘルツ波から軟X線領域の放射光およびガンマ線のユーザー利用を行っている。光源開発研究では、長年の歴史を持つ自由電子レーザーやコヒーレント放射光に加え、近年では、アンジュレータ光による光渦の発生やベクトルビームの発生、放射光の過干渉性制御、逆トムソン散乱ガンマ線の開発などの研究を進めている。UVSORは通常年間36週のユーザー利用を実施している。2020年のコロナ禍においても、ユーザーの研究活動停滞を避けるため、当初の予定通り運転を行った。本会ではこれらUVSOR-IIIの現状を報告する。 |
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TUP057 p.595 | 若狭湾エネルギー研究センターシンクロトロンの現状 Preset status of the synchrotron at WERC ○栗田 哲郎,羽鳥 聡,山田 裕章,廣戸 慎,清水 雅也,山口 文良,淀瀬 雅夫,渕上 隆太,小田部 圭佑,古川 靖士,羽田 祐基(若エネ研) ○Tetsuro Kurita, Satoshi Hatori, Hiroaki Yamada, Shine Hiroto, Masaya Shimizu, Fumiyoshi Yamaguchi, Masao Yodose, Ryuta Fuchigami, Keisuke Otabe, Yasushi Furukawa, Yuki Haneda (WERC) 若狭湾エネルギー研究センター加速器施設(W-MAST)は、タンデム加速器および、それを入射器としたシンクロトロンによって、広範囲のエネルギーのイオンビーム(陽子 : 数MeV-200MeV; He, C : 数 MeV- 55MeV/u)を様々な実験に供給している。 現在、加速高周波制御のLLRFの開発に取り組んでいる。これまで、DSPとDDSおよびアナログ回路によって構成されていたものをFPGAを用いたデジタル制御に置き換える。2018-2019年にFPGA回路の設計および制作を行なった。2020年度はLLRFと一体のシステムとして動作するビーム位置信号制御系を製作した。 また、現有のシステムでBPM演算結果の信号レベル依存性を改善するためのアンプの改良をおこなった。 運転状況と合わせて、高周波制御系の試験状況、BPMアンプの開発状況を報告する。 |
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TUP058 | KEKコンパクトERLの現状 Present status of the compact ERL at KEK ○加藤 龍好,阪井 寛志,本田 洋介(高エネ研) ○Ryukou Kato, Hiroshi Sakai, Yosuke Honda (KEK) エネルギー回収型線形加速器(Energy Recovery Linac, ERL)の小型実証機として建設されたコンパクトERL(cERL)は、応用超伝導加速器センターの管理下で、機構内外の共同研究者・研究協力者からなる超伝導加速器利用推進チームの協力を得て保守・運営され、超伝導加速器技術・ERL技術の産業応用を目指している。これまでNEDOの競争的資金によって進められてきた中赤外FELの開発は、昨年4月~5月で2台目のアンジュレータが設置され、6月にはFELシステム全体を使用した予備実験を行った。さらに光出力を増加させるため、予備実験で得られた知見をもとにより現実的なシミュレーションが試みられた。その結果、アンジュレータのテーパー化が光出力の増大に有効であるという結論を得て、磁石列取付ビームのサポートにシムを挟み込むことで、必要なテーパー化を実現した。これにより2月~3月のビーム実験では当初予定した光出力をほぼ達成できた。また、昨年秋の放射線変更申請により照射部ビームラインで利用可能な最大エネルギーが変更になり、これまでの核種に加えてZn-65, Cu-64, Cu-67, Zn-69mの製造が可能になった。ここでは2020年度のcERL運転と保守の状況、および研究成果の概要について報告する。 |
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TUP059 p.598 | 東京大学CNS 14 GHz Hyper ECRイオン源の現状 Current Status of 14 GHz ECR Ion Source at CNS, the University of Tokyo ○鎌倉 恵太,小高 康照(東大CNS),中川 孝秀,大西 純一,後藤 彰,加瀬 昌之(理研仁科セ),畑中 吉治(阪大RCNP),山口 英斉,今井 伸明,下浦 享,酒見 泰寛 (東大CNS) ○Keita Kamakura, Yasuteru Kotaka (CNS, UTokyo), Takahide Nakagawa, Jun-ichi Ohnishi, Akira Goto, Masayuki Kase (Nishina Center, RIKEN), Kichiji Hatanaka (RCNP, Osaka Univ.), Hidetoshi Yamaguchi, Nobuaki Imai, Susumu Shimoura, Yasuhiro Sakemi (CNS, UTokyo) 14 GHz Hyper ECRイオン源は1989年に旧・東京大学原子核研究所で製作され、2004年に理化学研究所仁科加速器研究センターへ移設された。それ以来、理研AVFサイクロトロンに様々なイオンを供給してきた。近年30年に渡る開発が実を結び、イオン源のビーム量は大幅に増強された。特に去年導入された強収斂引出系による引出効率の改善は、イオン源の大強度化に大きく寄与し、各イオンで約2倍のビーム強度が得られるようになった。現在もさらなる多価重イオンビーム大強度化の要求に応じるべく、理研加速器グループと協力しつつ本イオン源の高度化が進められている。今回の発表では強収斂引出系とそれを用いたビーム供給を中心に、Hyper ECRイオン源高度化の現状について紹介する。 |
加速器応用・産業利用/粒子源 (8月11日 会議室P) | |
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WEP001 p.600 | 中性子反射率法による金属磁性体コア防水膜構造の研究 Development of new waterproof thin-layers for the magnetic alloy core: structural studies using neutron reflectometry ○阿久津 和宏,佐原 雅恵,上田 実咲(CROSS),新関 智丈(アート科学),吉井 正人(KEK),杉山 智春,江口 直也,和田 恭明(沢平) ○Kazuhiro Akutsu, Masae Sahara, Misaki Ueda (CROSS), Tomotake Niizeki (ART KAGAKU), Masato Yoshii (KEK), Tomoharu Sugiyama, Naoya Eguchi, Takahiro Wada (Sawahei) J-PARCメインリングの加速器空胴に用いられる金属磁性体カットコアは、J-PARC陽子加速システム性能を飛躍的に高めるための重要な役割を担っている。本磁性体コアは水冷方式により冷却されているため、perhydropolysilazane (PHPS) 表面シリカコーティングによる防錆加工を施し、腐食劣化を抑制している。近年では、polytetrafluoroethylene (PTFE)などのフッ素樹脂が表面の腐食劣化を抑制する材料として着目されており、新しい表面コーティング技術としての研究が進んでいる。 本研究では、Si基板上にPHPSとPTFEの膜を形成し、その構造をFT-IR及び中性子反射率法により調べることで、両者の防水性能の違いをナノ構造の視点から調査した。中性子反射率の測定は、J-PARC MLF BL17に設置されている偏極中性子反射率計「写楽」で実施し、そのデータは解析ソフトMotofitを用いて解析した。FT-IR及び中性子反射率データ解析の結果、PHPS及びPTFE膜は深さ方向に対して均一な膜が形成されていることが確認された。一方、膜の表面粗さはPTFEでは28 nmと大きく、PHPSの10倍程度の表面粗さであることも確認された。両者の表面粗さの違いは、膜の成膜メカニズムの違いに由来するものと推定される。本発表では、中性子反射率解析結果の結果に加え、PHPS膜とPTFE膜の防水性能の違いについて詳しく議論する。 |
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WEP002 p.603 | 重粒子線治療用シンクロトロン多段エネルギースキャンの運用実績 Performance of Multiple-Energy Synchrotron Operation for Carbon Ion Therapy ○想田 光,金井 貴幸,イ ソンヒョン,宮坂 友侑也,柴 宏博,岩井 岳夫(山形大),盛 道太郎,佐藤 亜都紗,田口 貴之,菅藤 洋平,勝間田 匡(AEC),佐藤 啓,佐藤 慎哉,上野 義之,根本 建二(山形大) ○Hikaru Souda, Takayuki Kanai, Sun Hyun Lee, Yuya Miyasaka, Hongbo Chai, Takeo Iwai (Yamagata Univ.), Michitaro Sei, Azusa Sato, Takayuki Taguchi, Yohei Kanto, Masashi Katsumata (AEC), Hiraku Sato, Shinya Sato, Yoshiyuki Ueno, Kenji Nemoto (Yamagata Univ.) 山形大学医学部東日本重粒子センターでは2021年2月から重粒子線治療照射を開始した。本施設の特徴は、飛程の微調整に物理的なレンジシフタを用いず、シンクロトロンで延長フラットトップ機構によってエネルギー600段、飛程0.5mm刻みの制御を行うことである。そのため、シンクロトロンおよびビーム輸送系のパラメータはエネルギー段数分600個の値を個別に設定している。 治療照射においては、臨床利用に必要な照射精度を確保するために、Quality Assurance(QA)として治療室アイソセンターでのビーム位置、ビームサイズ等を許容範囲内に収まるように管理する必要がある。しかし、これを600段のエネルギー全てで毎日測定することは現実的に不可能であるため、日常的には照射精度を確保できる範囲で簡略化した測定を行い、週例、年次の測定で精密な測定および調整を行うことが必要となる。 日常点検としては、ポートに常設されたMWPCによるビーム位置・ビームサイズ測定を行い、位置が±1mm以内、サイズが基準値±20%に収まることを確認している。また、Farmer型電離箱線量計を複数のエネルギーで照射し、仮想的なブラッグピーク位置を測定することで、飛程が基準値±0.5mmに収まることを確認している。本発表では、日常および週例での測定におけるビーム位置・ビームサイズの推移と、これまでに行った調整の内容と結果について発表する。 |
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WEP003 p.607 | ナノガンを利用したMeV領域の陽子生成装置 Table-Top MeV Proton generator using Nanogan ○依田 哲彦,森田 康之,神田 浩樹(阪大RCNP),高久 圭二(神戸常盤大),嶋 達志,福田 光宏(阪大RCNP) ○Tetsuhiko Yorita, Yasuyuki Morita, Hiroki Kanda (RCNP, Osaka Univ.), Keiji Takahisa (Kobe Tokiwa Univ.), Tatsushi Shima, Mitsuhiro Fukuda (RCNP, Osaka Univ.) 十数MeVの陽子ビームは、短寿命RIであるPET薬剤の18Fや67Cu等の生成に利用される。この陽子ビームをサイクロトロンなどの加速器を使わず、より手軽な方法として核融合反応 3He+D→p+4He (D:重 陽子、p:陽子)を利用することを検証してきた。この核融合反応の結果放出される 14.67MeV の陽子により、研究室レベルで気軽に使用でき、また、導入コストが低いテーブルトップ サイズの小型陽子源の実現が期待される。この核融合反応による陽子生成は2字ビームであるがゆえに反応率の低さ問題となるため、プライマリーの3Heビームを増強することを中心に装置開発を進めてきた。本研究で3Heイオン源の大強度化とともに、D標的の構造の最適化が重要となってくる。つまり大強度ビームの熱負荷に耐えられつつ、生成した陽子のエネルギーロスを極限まで低減する構造が求められる。今回、新しく作成した金属薄膜とカプトン膜を利用した標的装置による陽子生成実験の状況について報告する。 |
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WEP004 p.610 | 高効率極短FELパルス生成のための1.6セル高周波電子銃の開発 Development of 1.6-cell RF gun for generation of high efficiency and extremely short FEL pulse ○宮島 司(高エ研),全 炳俊(京大エネ研),高富 俊和,福田 将史(高エ研),梶田 駿汰(京大エネ研),島田 美帆(高エ研),大垣 英明(京大エネ研),羽島 良一(量研) ○Tsukasa Miyajima (KEK), Heishun Zen (IAE, Kyoto Univ.), Takatomi Toshikazu, Masafumi Fukuda (KEK), Shunta Kajita (IAE, Kyoto Univ.), Miho Shimada (KEK), Hideaki Oogaki (IAE, Kyoto Univ.), Ryoichi Hajima (QST) 京都大学の共振器型自由電子レーザー(KU-FEL)において高効率極短FELパルスを生成するために、新たな高周波電子銃の開発を行った。高周波電子銃の設計指針として、共振器型FELの動作に必要な長いマクロパルスをもつ電子ビームに対しても放電が抑制された空洞形状とすること、高効率FEL発振に必要な動的位相変調の導入が可能なこと、という2つの条件を課し、電磁場解析コードによる電磁場設計と電子ビームを加速したときのシミュレーションを実施した。放電を抑制するための条件として導入した陰極面以外の表面電場を陰極面の電場以下とする条件を満たす1.6セル形状と1.4セル形状の2つの空洞形状に対して、高周波電場の位相と下流でのバンチ到達時刻の間の相関を調査し、動的位相変調が可能な1.6セル形状を採用することとした。電磁場解析および電子ビームのシミュレーション結果に基づき、1.6セル高周波電子銃製作に向けた詳細設計を実施し、電子銃の製作を行った。空洞製作後に中心軸上の進行方向電場分布の測定を行い、ほぼモデル計算による分布と一致することを確認した。 |
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WEP005 p.614 | 機械学習を用いたイオン源制御手法の開発 Development of ion source control method using machine learning ○森田 泰之,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,畑中 吉治,斎藤 高嶺,田村 仁志,安田 裕介(阪大RCNP),鷲尾 隆(阪大産研),中島 悠太(阪大IDS),岩崎 昌子(大阪市立大学),KOAY HUI WEN,武田 佳次郎,原 隆文,荘 浚謙,ZHAO HANG(阪大RCNP) ○Yasuyuki Morita, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Kichiji Hatanaka, Takane Saitou, Hitoshi Tamura, Yusuke Yasuda (RCNP), Takashi Washio (Department of Reasoning for Intelligence, Osaka Univerisity), Yuta Nakashima (IDS), Masako Iwasaki (Osaka City University), Hui Wen Koay, Keijiro Takeda, Takafumi Hara, Tsun Him Chong, Hang Zhao (RCNP) イオン源では、プラズマ状態の変化によってチェンバー温度や脱ガスが変化することや、室温やヒステリシスの影響でビーム輸送用電磁石の電流値が一意に再現しがたいなど、様々な要素が互いに影響しあう。そのため、イオン源運転の際にはビームの状態を見ながら、RFの入射パワーやチューナー、ガスの流量、輸送ラインの電磁石など、様々なパラメーターをその都度最適化調整する必要がある。この調整は、調整者の経験を頼りに行われるため、調整者によってビームの量や質、調整時間にばらつきが生まれ、再現性が低い。この問題を解決すべく、大阪大学核物理研究センター(RCNP)では機械学習技術を応用した新たな制御・調整手法の開発を行っている。機械学習は近年目覚ましい進歩をしており、膨大な量のデータ処理に優れる。その能力を生かすことで、調整パラメーター間の相関やビームの質・量への影響の推察が期待される。本研究では、機械学習を応用して日によって変動するパラメーターを迅速に最適化調整し、高品質のビームを高強度で再現性高く供給することを目指している。そこで発表者は機械学習による制御・調整手法開発のため、10GHzECRイオン源“NANOGAN”、ダイポールマグネット、四重極電磁石、エミッタンスモニターによるテストベンチを構築し、EPICSによる制御システムを導入した。本発表ではテストベンチでの機械学習を応用した高輝度ビーム生成実験の現状に関して報告を行う。 |
加速器土木・放射線防護/真空 (8月11日 会議室P) | |
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WEP006 p.618 | KEK つくばキャンパスにおける入射器測量報告 Survey report for KEK Injector Linac in Tsukuba Campus ○岡安 雄一(高エネ研) ○Yuichi Okayasu (KEK) 2020 年 8 月に高エネルギー加速器研究機構つくばキャンパスの入射器に於いて、加速器機器に対する全系測量を初めて行った。 網計算による機器配置の分布に加え、明らかになった問題点、改善についても議論する。 併せて主として振動による環境評価のため、圧電式加速度ピックアップを設置し、加速器機器に対する振動評価の準備を進めているため、これについても紹介する。 |
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WEP007 p.622 | あいちSR光源加速器周辺の放射線分布測定システムの開発 Development of radiation distribution measurement system around Aichi SR accelerators ○田部 圭悟(名大工学),高嶋 圭史(名大工、名大SRセンター、あいちSR),真野 篤志(名大SRセンター),郭 磊(名大SRセンター、あいちSR、名大工),石田 孝司(名大SRセンター、あいちSR) ○Keigo Tanabe (Nagoya univ. Engg), Yoshifumi Takashima (Nagoya univ. Engg, NUSR, AichiSR), Atsushi Mano (NUSR), Lei Guo (NUSR, AichiSR, Nagoya univ. Engg), Takashi Ishida (NUSR, AichiSR) あいちシンクロトロン光センター(あいちSR)は、愛知県の科学技術政策である「知の拠点あいち」計画における中核施設として、中部地区を中心とする大学、研究機関、産業界、愛知県の協力によって建設され、あいちSRが運営してきた。 あいちSRの光源加速器は、50 MeV 直線加速器、1.2 GeV ブースターシンクロトロン、1.2 GeV 電子蓄積リングで構成されている。これらの加速器で加速される電子ビームは、ビームダクト中の残留ガスとの散乱や、電子同士での散乱などの理由で正常な軌道から外れ、ビームダクトと衝突する。その際に加速器周辺に電子や陽電子、ガンマ線等の放射線が発生する。この放射線を検出し、加速器周辺での放射線量の分布を測定することにより、加速器の効果的な放射線遮蔽が可能となるとともに、加速器中での電子ビームの軌道等を調整することによって、 電子ビームの損失を抑え、効率的な運転につながることが期待できる。 本発表では、加速器周辺での放射線量の分布を測定するため、半導体検出器を用いた放射線測定システムの開発について行う。 |
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WEP008 p.625 | KEK電子陽電子入射器における地球曲率 The earth curvature of KEK electron/positron injector linac ○田中 窓香,岡安 雄一,紙谷 琢哉(KEK) ○Madoka Tanaka, Yuichi Okayasu, Takuya Kamitani (KEK) KEK 電子陽電子入射器は、上流から約 100 m の直線部と 500 m の直線が 180 度曲がったアーク部を介して接続されている。2 つの直線部の機器は、基線となるレーザー光軸の位置を、各架台に取り付けられたシリコンフォトダイオードで検出することにより、精度良く設置されている。2020 年夏にデジタルレベルとレーザートラッカーを用いて、入射器全系の測量を行い、重み付き網計算解析を初めて行った。両者のデータの差分から、ビームラインに沿ったジオイド分布がデータとして初めて得られた。 |
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WEP009 | Pd、Pd/TiZrVコーティングした銅チューブの放射光刺激脱離の評価 Synchrotron radiation-stimulated desorption from Pd or TiZrV-Pd coated copper tubes ○金 秀光,谷本 育律,内山 隆司(高エネルギー加速器研究機構),岡野 誠(日本電子) ○Xiuguang Jin, Yasunori Tanimoto, Takashi Uchiyama (High Energy Accelerator Research Organization), Makoto Okano (JEOL) In non-evaporable getter coating, the repeated air venting and activation result in the oxygen enrichment at near surface with resultant degradation of the pumping performance. To solve this problem, the application of a thin palladium (Pd) layer to a getter film has been proposed as a means of preventing oxidation of the getter layer so as to address the issue of limited operational lifespans. In present study, the Pd, or Pd/TiZrV coated copper tubes were prepared using a magnetron sputtering apparatus and synchrotron radiation-stimulated desorption was investigated at PF BL21. The PSD results for the Pd or Pd/TiZrV films are presented for the first time. Following activation, Pd and Pd/TiZrV films exhibit initial desorption yields that are more than two orders of magnitude lower than those obtained from uncoated copper or stainless steel. The desorption yield from the Pd/TiZrV film is also much lower than that from the TiZrV film. Compared to the TiZrV film, the Pd film show a higher H2 pumping rate and is more likely to release H2 and CO during activation. These characteristics are considered to have reduced the photon-stimulated desorption yield of the Pd/TiZrV film. |
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WEP010 | 無酸素Pd/Ti非蒸発型ゲッター(NEG)を蒸着したステンレス製ICF152成形ベローズの排気性能・剥離耐性の表面仕上げ依存性 Dependence of pumping performance and peeling resistance of stainless steel ICF152 formed bellows deposited with oxygen-free Pd/Ti nonevaporable getter (NEG) on surface finishing ○狩野 悠,小川 忠良,矢部 学,加藤 良浩(入江工研),小野 真聖,吉岡 和夫,吉川 一郎(東大新領域),菊池 貴司(KEK),間瀬 一彦(KEK,総研大) ○Yu Kano, Tadayoshi Ogawa, Manabu Yabe, Yoshihiro Kato (IKC), Masato Ono, Kazuo Yoshioka, Ichiro Yoshikawa (GSFS), Takashi Kikuchi (KEK), Kazuhiko Mase (KEK,SOUKENNDAI) 加速器では、完全オイルフリー、無騒音、無振動、省スペース、省エネルギー、低コストでありながら、10-7 Pa以下の超高真空下において高い排気速度を持つ真空ポンプが求められている。KEKの間瀬らはこうした要求に応えるために新しい非蒸発型ゲッター(NEG)である無酸素Pd/Tiを開発した[1]。無酸素Pd/Tiは133℃、12時間のベーキング後に室温に戻すとH2とCOを排気し、真空排気とベーキング、大気導入のサイクルを繰り返しても排気速度が低下しない[2]。昨年の加速器学会年会にて我々は、無酸素Pd/Tiを蒸着した成形ベローズが高い排気性能を持つことを報告した[3]。本研究では、ベローズの材料であるステンレスの表面仕上げが排気性能等にどのような影響を及ぼすか調べるために、ICF152成形ベローズを2B材とBA材で製作し、無酸素Pd/Tiを蒸着し、オリフィス法での排気速度測定および伸縮による無酸素Pd/Ti薄膜剥離耐久試験を行ったので報告する。 [1] T. Miyazawa et al., J. Vac. Sci. Technol. A 36, 051601 (2018). [2] T. Kikuchi et al., AIP Conf. Proc. 2054, 060046 (2019). [3] 狩野悠ら:第17回日本加速器学会年会プロシーディングス、WEPP43 (2020)。 |
電磁石と電源 (8月11日 会議室P) | |
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WEP011 p.628 | 超短パルス電子ビーム発生のためのレーザー変調におけるアンジュレータ Undulator in laser modulation for ultrashort electron bunches ○菅 晃一,神戸 正雄,楊 金峰,吉田 陽一(阪大産研) ○Koichi Kan, Masao Gohdo, Jinfeng Yang, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka University) 阪大産研では、レーザーフォトカソード RF 電子銃ライナックを導入し、高時間分解能パルスラジオリシスの開発を行っている。パルスラジオリシスの時間分解能を向上するためには超短パルス電子ビームの発生が不可欠である。 本発表では、超短パルス電子ビーム発生のためのレーザー変調におけるアンジュレータについて報告する。レーザー変調とは、アンジュレータの周期磁場に、共鳴波長に相当するレーザーと電子ビームを同軸で入射し、電子ビームをエネルギー変調する手法である。エネルギー変調を適宜調整することにより、下流の自由空間の輸送により、軸方向の密度変調に変換する。発表では、レーザー変調に用いるアンジュレータ準備の進捗について報告する。 |
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WEP012 | 重粒子がん治療用回転ガントリーのためのアクティブシールド型超伝導ダイポールマグネットの設計研究 Design study of a superconducting dipole magnet with active shielding for a rotating gantry in heavy particle therapy ○尾花 哲浩(核融合科学研究所) ○Tetsuhiro Obana (NIFS) 重粒子線がん治療では、回転ガントリーを使用することで、患者の周囲360度の任意角度から粒子ビームを患部に向けて精度良く照射することが可能になる。その結果、患者への身体的負担が軽い治療を実現している。放射線医学総合研究所にて現在稼動中の重粒子線用回転ガントリーには、鉄ヨークを用いた超伝導マグネットが使用されている。マグネットの重量は鉄ヨークが支配的となり、1台のマグネットの重量は数トン程に達する。回転ガントリーは10台のマグネットを使用するため、数10トンの重量物が強固なフレームに搭載された状態で、非常に困難な回転制御が求められている。そこで、本研究では、マグネットの軽量化により、回転ガントリーの制御系と支持構造を簡素化するため、鉄を使用しないアクティブシールド型超伝導マグネットの開発を目指している。本講演では、アクティブシールド型超伝導ダイポールマグネットの設計研究について発表する。 |
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WEP013 p.631 | KEK-PFにおける超小口径セラミックスチェンバー一体型パルスマグネットの将来光源適合開発 Adaptive development of ceramics chamber with integrated pulsed magnet for future light source in KEK-PF ○満田 史織,Lu Yao,小林 幸則,高木 宏之,原田 健太郎,帯名 崇,高井 良太,野上 隆史,内山 隆司,上田 明,長橋 進也(高エネルギー加速器研究機構),横山 篤志,岩本 晃一,笹川 敦司,濱地 健吾(京セラ(株)) ○Chikaori Mitsuda, Yao Lu, Yukinori Kobayashi, Hiroyuki Takaki, Kentaro Harada, Takashi Obina, Ryota Takai, Takashi Nogami, Takashi Uchiyama, Akira Ueda, Shinya Nagahashi (KEK), Atsushi Yokoyama, Kouichi Iwamoto, Atsushi Sasagawa, Kengo Hamaji (Kyocera Co.) CCiPM(Ceramics chamber with integrated pulsed magnet)は、次世代光源におけるパルス多極入射用マグネット、入射バンプキッカー、高速補正用キッカーとしての利用が計画されている既存技術の無い新しい空芯型マグネットである。磁極コイルは、円筒状のセラミックの厚さの中に完全に埋め込まれ、構造的にもセラミックと一体化している。最初に製作されたCCiPMは、基本的な製造技術を確立するために、マグネットボアとして内径60mmのものを開発し、その後、4年間かけて技術を向上させ、最終的には内径40mmと30mmを実現した。これらの超小口ボア径は、将来の放射光源リングで想定される真空ビームダクトのサイズに適合することが期待されている。新たに開発された超小口径CCiPMは、真空耐久性、電気特性、磁場性能を確認するためのオフラインテストが行われており、直径30mmのCCiPMに対してはビームテストラインでの実ビームテストも並行して行われている。本会議では、製造技術のポイントとオフラインテストの最新結果を報告する。 |
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WEP014 p.636 | 低リップル・長パルス高電圧電源を実現するための回路方式 Circuit method for realizing low ripple and long pulse high voltage power supply ○郭 子毅,須貝 太一,徳地 明,江 偉華(長岡技術科学大学) ○Ziyi Guo, Taichi Sugai, Akira Tokuchi, Weihua Jiang (Nagaoka University of Technology) 本研究は,加速器応用を目的として、比較的長パルスと低リップルの電圧波形を出力できるパルス電源回路方式を提案する。基本的な回路動作原理は、二つのコンデンサを交互に放電させ、放電しない時にパルス充電を行うことである。1回放電中の電圧ドループは、コンデンサーの容量と放電の時間幅に依存し、その後のパルス充電により元の電圧まで回復する。このように繰り返すことによって、大きなコンデンサーの使用を避けながら、比較的長時間の安定出力を維持することができる。 この回路原理の実験的検証とこれに基づいたパルス電源開発は、本研究の目的である。試作回路では、半導体スイッチ(IGBT)を使用して、充電と放電の制御を行なった。コンデンサー容量と1回放電の時間幅は許容されるリップルの大きさに基づいて決定し、パルス充電回路は充電に必要な電荷量に基づいて設計した。システムの技術課題として、1)交互放電時出力電流の連続性と安定性、2)放電休止中のコンデンサーに対するパルス充電の速度と精度、3)これらの動作タイミングの厳密制御、などがある。本研究では、FPGAを使って制御信号の一元的管理を行なった。 本発表は、上述構想の第1歩として、1回路の試作と動作特性評価を行なった。実験結果を回路シミュレーション結果と比較して回路動作の検証およびその改善を試みた。次の研究ステップは、複数回路の重畳による出力電圧の向上を目指す方向である。 |
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WEP015 p.641 | RCSバンプ電磁石磁場測定用プローブの検証 Experimental verification of magnetic field measurement probe for RCS bump magnet ○杉田 萌(J-PARC/JAEA),植野 智晶,堀野 光喜(NAT),高柳 智弘,小野 礼人,山本 風海,金正 倫計(J-PARC/JAEA) ○Moe Sugita (J-PARC/JAEA), Tomoaki Ueno, Koki Horino (NAT), Tomohiro Takayanagi, Ayato Ono, Kazami Yamamoto, Michikazu Kinsho (J-PARC/JAEA) J-PARC RCSでは、水平シフトバンプ電磁石を用いてリニアックからの入射ビームをRCSの周回軌道に合流する入射バンプ軌道を生成する。水平シフトバンプ電磁石に励磁する波形は、立ち上がりと立ち下がり部の時間と、フラット部の時間をそれぞれ150~500マイクロ秒と100~800マイクロ秒の間で変更可能な台形型のパルス波形である。そして、ビームの要求条件に合わせたパルス波形により入射バンプ軌道をつくり、25Hzの繰り返し入射によって1MW大強度ビームを生成する。しかし、1MW大強度ビームの生成にはビームロスによる放射化の低減が求められ、そのためには、バンプ電磁石の磁場分布を±0.2%以下の精度で測定し、高精度な入射バンプ軌道を確立する必要がある。そこで、バンプ電磁石への速いパルス励磁に対応できる高速応答性に優れた磁気プローブの選定評価試験を実施した。発表では、計測原理が異なるサーチコイル、ホールプローブ、積分型フラックスメータを用いた比較検証による評価結果について報告する。 |
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WEP016 p.645 | PF入射部更新用新セプタム電磁石の特性評価 Characteristic evaluation of the new septum magnet for PF injection section upgrade ○上田 明,原田 健太郎,東 直,本田 融,小林 幸則,満田 史織,宮内 洋司,中村 典雄,長橋 進也,野上 隆史,帯名 崇,多田野 幹人,高井 良太,高木 宏之,谷本 育律,内山 隆司(KEK) ○Akira Ueda, Kentaro Harada, Nao Higashi, Tohru Honda, Yukinori Kobayashi, Chikaori Mitsuda, Hiroshi Miyauchi, Norio Nakamura, Shinya Nagahashi, Takashi Nogami, Takashi Obina, Mikito Tadano, Ryota Takai, Hiroyuki Takaki, Yasunori Tanimoto, Takashi Uchiyama (KEK) 2020年の夏季停止期間に行われたPFリング入射部更新[1]に伴い、新規にセプタム2電磁石を製作した。従来のセプタム2電磁石は、真空槽内に設置されていたが、今回製作したセプタムは、PF-ARのセプタム2電磁石[2]と同様に薄肉ダクトをGap内に挟んだアウトバキューム型に変更した。電源部は従来の物を使用するため、薄肉ダクトの渦電流効果による減磁分をGapの高さを変更することにより補っている。また、セプタム板を延長することにより蓄積リング側に漏れる磁場を押さえている。 本発表では、このセプタム2電磁石の概要を述べるとともに、磁場測定の結果及び薄肉ダクトによるロスの電源への影響などのセプタム2電磁石の特性評価の結果を示す。 [1] C. Mitsuda, et al., “INJECTION SECTION UPGRADING WITH THE SEPTUM-MAGNET REPLACEMENT IN KEK-PF RING”, Proceedings of IPAC2021, Campinas, Brazil [2] A. Ueda et al., “CONSTRUCTION OF THE NEW SEPTUM MAGNET SYSTEMS FOR PF-ADVANCED RING “, Proceedings of IPAC2017, Copenhagen, Denmark, p3398 |
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WEP017 p.649 | 永久磁石を用いたバイポーラ補正磁石の磁場評価 Evaluation of magnetic field of bipolar correction magnet with permanent magnets ○栗山 靖敏,岩下 芳久(京大複合研),不破 康裕(原子力機構),照沼 信浩(高エネ研) ○Yasutoshi Kuriyama, Yoshihisa Iwashita (KURNS), Yasuhiro Fuwa (JAEA), Nobuhiko Terunuma (KEK) 永久磁石を用いたバイポーラ補正磁石は、ILCダンピングリングにおける補正磁石の候補の1つとなっている。 永久磁石補正磁石の試作機を製作し、磁場測定を実施した。 本発表では、永久磁石補正磁石の磁場性能について議論を行う。 |
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WEP018 | マルチレベル変換器用 650V/3000A 水冷大電流IGBTユニットの開発 Development of water cooled large current 650V/3000A IGBT Unit for Multilevel Converter ○渡辺 泰広(原子力機構) ○Yasuhiro Watanabe (JAEA) 本論文では,出力電流1000Aクラスのシンクロトロン用電磁石電源に適した,マルチレベル変換器用 650V/3000A 水冷大電流IGBTユニットを提案する。 |
ハドロン加速器/ビームダイナミクス・加速器理論 (8月11日 会議室P) | |
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WEP019 p.653 | 自動サイクロトロン共鳴加速法を用いた陽子加速実現に向けてのテストベンチ開発 Development of an electron test bench for proton CARA ○原 隆文,福田 光宏,神田 浩樹,依田 哲彦,安田 祐介,武田 佳次朗(RCNP),篠塚 勉,伊藤 正俊(CYRIC),倉島 俊,宮脇 信正(量研 高崎),涌井 崇志(量医研),中尾 政夫(群大重医セ),松田 洋平(甲南大) ○Takafumi Hara, Mitsuhiro Fukuda, Hiroki Kanda, Tetsuhiko Yorita, Yusuke Yasuda, Keijiro Takeda (RCNP), Tsutomu Shinozuka, Masatoshi Itoh (CYRIC), Satoshi Kurashima, Nobumasa Miyawaki (QST Takasaki), Takashi Wakui (QST NIRS), Masao Nakao (GHMC), Youhei Matsuda (Konan Univ) 自動サイクロトロン共鳴加速法は、ソレノイド磁場と回転型高周波電場を用いることで、一般的な高周波加速器とは違い、粒子を回転電場に対して垂直に入射し、粒子をヘリカル状の軌道を描きながら回転電場と共鳴させることで常に加速することができる。そのため、直流のビームを、入力した高周波パワーに対して高い伝達効率で加速することが可能である。これを陽子や重水素に応用することで、よりコンパクトで高いエネルギー効率の中性子源の実現が可能であると考えられる。大阪大学核物理研究センター(RCNP)では、自動サイクロトロン共鳴加速法を用いた陽子加速器の実現を目標に、陽子加速のためのパラメーターの設定やシミュレーションソフトを用いた電磁場計算、軌道計算等を行い陽子加速の可能性を模索してきた。これまでの計算結果をもとに、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT) の2.5 MeV、100 mA以上の陽子加速器の開発を目指している。自動サイクロトロン共鳴加速法の加速器の実例が少なく、特殊な回転する電場が必要であることと、10 T級の強い磁場が必要となることから、スケールダウンした電子のテストベンチの作成を行い、回転する高周波電場を発生させる機構の開発や、ビームの引き出し、高周波パワーのエネルギー伝達効率などのデータの収集を行い、開発予定の陽子加速の性能の評価を行う。本発表では、電子のテストベンチ開発へ向けての現状報告を行う。 |
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WEP020 p.656 | J-PARC 3GeVにおけるレーザー荷電変換入射実現に向けた原理検証実験の進捗状況 Recent Progress of Laser Stripping POP Demonstration Study at J-PARC RCS ○サハ プラナブ,原田 寛之,金正 倫計(原子力機構, J-PARC センター),米田 仁紀,道根 百合奈,渕 葵(電通大, レーザー研),佐藤 篤(NAT),柴田 崇統(KEK) ○Pranab Saha, Hiroyuki Harada, Michikazu Kinsho (JAEA, J-PARC), Kinsho Kinsho, Yurina Michine, Aoi Fuchi (UEC), Atsushi Sato (NAT), Takanori Shibata (KEK) We are preparing for a POP (proof-of-principle) demonstration of 400 MeV H- stripping to proton by using only lasers at J-PARC RCS. We will utilize both IR and UV lasers in a three step process of stripping an H- to proton. The laser system especially a prototype of the IR laser, which is a YAG laser is under development through experimental studies of 3 MeV H- neutralization at J-PARC. We have also developed a multi-pass laser cavity system to significantly reduce the seed laser power. We have also started developing the a UV laser and we plan to carry out first stage of the POP demonstration in 2022. |
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WEP021 p.661 | J-PARCメインリング直線部4極磁石停止による静電セプタム重故障と復旧 Electrostatic septum accident and recovery by a quadrupole power supply trip in the straight sections ○冨澤 正人,新垣 良次,岡村 勝也,木村 琢郎,栗本 佳典,小松 雄哉,白壁 義久,武藤 亮太郎,村杉 茂,柳岡 栄一,吉井 正人(高エネ機構/J-PARC),松村 秋彦(NAT) ○Masahito Tomizawa, Yoshitsugu Arakaki, Katsuya Okamura, Takuro Kimura, Yoshinori Kurimoto, Yusuke Komatsu, Yoshihisa Shirakabe, Ryotaro Muto, Shigeru Murasugi, Eiichi Yanaoka, Masahito Yoshii (KEK/J-PARC), Akihiko Matsumura (NAT) J-PARCメインリングでは、遅い取り出しによりハドロン実験施設にビームを供給している。2020年12月と翌月のビームスタディーにより、50 kWから60 kWへのビーム強度増強に成功した。60 kWの利用運転を継続している2021年2月28日に、22 kVパワーラインに設置されているVCB断により、直線部の4極磁石電源7ファミリーすべてが停止した。この停止による各電源の電流低下により、直線部に生成している遅い取り出しバンプ軌道が歪み、静電セプタム装置のセプタムリボンに周回ビームが直撃した。このビーム直撃によって発生した熱によりリボンが切断し、そのうちの数本が電極に接触しショートするという重故障が発生した。幸い静電セプタムのスペア機の準備が終了していたため、短期間でスペア機への交換と高電圧印加を完了することができ、無事利用運転の再開を果たすことができた。本発表では以上の経過報告に加えて、静電セプタム重故障の原因となった4極磁石電流低下による軌道の歪みや発熱に関する解析についても述べる。 |
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WEP022 p.666 | 伸長ワイヤー法による縦方向結合インピーダンス測定値の因果律による吟味 Evaluation by causality for measurement data of longitudinal coupling impedances with stretched-wire method ○外山 毅(KEK/J-PARC),菖蒲田 義博(JAEA/J-PARC),小林 愛音(KEK/J-PARC) ○Takeshi Toyama (KEK/J-PARC), Yoshihiro Shobuda (JAEA/J-PARC), Aine Kobayashi (KEK/J-PARC) J-PARC MR において、遅い取出しモードのフラットトップでデバンチ時にマイクロバンチ構造が発生し問題となっている。一方、速い取出しモードのフラットトップで縦方向位相空間でのバンチ操作・整形によりピーク電流を低減する方法が議論されている。ここでもマイクロバンチ構造発生の可能性が問題となってくる。これらのマイクロバンチ構造(マイクロウェーブ・インスタビリティ)発生の原因を明らかにして、対策を講じるための第一歩として、J-PARC MR のビーム結合インピーダンスを評価している。本報告では、その中で、J-PARC MR の主要な機器(キッカー、セプタム、RF空洞)に関するビーム結合インピーダンスの伸長ワイヤー法による測定結果を示す。特に、取得した縦方向インピーダンスの実部と虚部のヒルベルト変換(因果律)の確認によるデータの信頼性評価について述べる。 |
ビーム診断・ビーム制御 (8月11日 会議室P) | |
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WEP023 p.670 | SMAフィードスルー電極とビーム間の電磁結合のモード解析 Modal analysis of electromagnetic couplings between a SMA-feedthrough electrode and a beam ○諏訪田 剛(KEK加速器) ○Tsuyoshi Suwada (KEK Acc. Lab.) KEK電子陽電子入射器では、SKEKBリングへの陽電子増強を目指し、2020年夏期保守にe+捕獲部の改造を行なった. 本改造では、e+集束用フラックスコンセントレータの放電対策、及びe+捕獲部の4箇所に偏向電磁石と広帯域モニターが新たに設置された. e+増強の成果については他で報告されるので、本報告では広帯域モニター設計方針について述べる. e+捕獲部は、上流のe+標的により放射線環境が悪いこと、ソレノイド電磁石列により設置空間の余裕が厳しいこと、さらにe+標的内でほぼ等量の電子と陽電子が同時に生成されるので広帯域に分解しないと分離検出が難しいという問題があり、これまで診断装置は設置されていなかった. 今回、e+捕獲部内で直接e+強度や位置を検出できないかとの要望を受け、広帯域モニターの設置に至った. e+捕獲部内では、磁場による横方向の閉じ込めと加速管による加速が同時に行われる. この結果、e-e+は各バンチの位相スリップ過程を通し軸方向にわずかな走行時間差を生じる.このような極短時間のe-e+分離検出をどのように実現するのかが課題となる. 広帯域モニターによるe-e+の同時検出という世界初の成果は、他に報告される. 本報告では、この広帯域モニターに用いたSMA電極とビーム間の電磁結合のモード解析を行い、基本波(TEM)と高次高調波(TE/TM)の結合の強さに関し定量的に評価したので紹介する. |
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WEP024 p.675 | J-PARCハドロンhigh-p ビームライン用高感度残留ガスプロファイルモニタの電場解析 Electric field simulation of high sensitivity residual gas ionization profile monitor for J-PARC hadron high-p beamline ○上利 恵三,里 嘉典,豊田 晃久,森野 雄平,小松 雄哉,秋山 裕信(高エネルギー加速器研究機構) ○Keizo Agari, Yoshinori Sato, Akihisa Toyoda, Yuhei Morino, Yusuke Komatsu, Hironobu Akiyama (KEK) J-PARCハドロン実験施設のBライン(高運動量ビームライン)のプロファイルモニタとして高感度残留ガスプロファイルモニタを開発している。このモニタはビーム通過により残留ガスで生じた電離電子を蛍光体によりバックグランドの低い光に変換し、光増幅してビームプロファイルを測定する。電離電子を加速させ蛍光体に当て、水平方向のビームプロファイルを測定するために、水平方向には一様で、鉛直方向に段階的に変化する電圧分布を与える必要がある。そこで今回は有限要素法シミュレーションソフトウェアによりビームが通過する周辺の構造モデルを構築、電圧分布を計算することにより、プロファイル測定に必要な空間一様性を得られる最適な構造を得た。 |
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WEP025 p.679 | J-PARC Linac/RCSにおける機器インターロック発報イベントの解析 Analysis of Machine Protection System events in the J-PARC Linac/RCS ○林 直樹,畠山 衆一郎(J-PARC/JAEA),福田 真平(三菱電機システムサービス株式会社) ○Naoki Hayashi, Syuichiro Hatakeyama (J-PARC/JAEA), Shinpei Fukuta (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd ) ユーザー利用の加速器において、高い稼働率を実現するためには、原因の単純な電磁石や加速空洞電源のインターロック以外に、複合的な発報事象についても詳しく理解する必要がある。J-PARCでは、単に1次的なインターロック情報だけでなく、ビーム診断系で記録された発報事象以前を含むデータより、丁寧な事象再構成を行い、原因をより的確に、明らかにする取り組みを行っている。 |
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WEP026 p.683 | LabVIEWを用いたSRILACビームエネルギー・位置モニターシステムのEPICSによる分散制御 Distributed control by EPICS for the SRILAC beam energy position monitoring system using LabVIEW ○渡邉 環(理研),鴨志田 敦史(日本ナショナルインスツルメンツ),内山 暁仁,福西 暢尚,西 隆博(理研),小山 亮,金子 健太(住重加速器サービス) ○Tamaki Watanabe (RIKEN), Atsushi Kamoshida (National Instruments Japan Corporation), Akito Uchiyama, Nobuhisa Fukunishi, Takahiro Nishi (RIKEN), Ryo Koyama, Kenta Kaneko (SHI Accelerator Service Ltd.) 理化学研究所に於いて新規に建設した超伝導線形加速器SRILACは、重イオンビーム加速のコミッショニングに成功し、ニホニウムに続く新超重元素発見や、医療用放射線同位元素の製造を目指し稼働を続けている。SRILACを安定に運転するためには、ビームエネルギー・位置モニター(BEPM)システムによる非破壊で高感度な測定が必須である。このシステムは、数ナノアンペア台の非常に微弱な電流のビームであっても測定が可能である。さらに、2台のBEPMによる飛行時間(TOF)の測定から、ビームの位置情報と同時に、ビームエネルギー値も得られるという利点を有し、SRILACの適切な高周波加速位相を決定している。これらの測定や制御はLabVIEWによってプログラミングされており、必要に応じて臨機応変にプログラムの変更が可能である。一方、測定されたビームに関する、位置、エネルギー、位相、ピックアップの電圧振幅、四重極モーメント等は、大規模なEPICS 制御システムとの共有化により更に有効な情報となる。そこで、LabVIEWとEPICS 制御システム間に於いて、高性能インターフェースCA Labを介することにより、データの読込と書込を可能とした。測定結果をEPICS上のサーバーに集約して共有化することにより、加速器の真空、加速空洞の位相、電磁石の磁場、冷却水の温度等との相関を、時系列で得ることが容易となった。 |
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WEP027 p.687 | Analysis of beam aborts at SuperKEKB with the bunch current and oscillation recorder バンチ電流と振動レコーダーによるSuperKEKBでのビームアボート解析 ○周 徳民,飛山 真理,大見 和史,中山 浩幸(高エネ) ○Demin Zhou, Makoto Tobiyama, Kazuhito Ohmi, Hiroyuki Nakayama (KEK) In SuperKEKB, the bunch current monitor (BCM) and the bunch oscillation recorder (BOR) have been developed for the bunch-by-bunch feedback system and are also used to record the turn-by-turn (TbT) data in bunch-by-bunch (BxB) mode prior to each beam abort. The causes of the beam aborts can be diagnosed using the dedicated beam abort monitor system. Meanwhile, the BCM/BOR data can provide additional information concerning beam instabilities. For example, the TbT patterns of the BOR data can show a clear correlation with hardware malfunctions. The BxB tunes can be extracted from spectrum analysis of the TbT data, showing certain modes of beam motions. This work reports the preliminary analyses of BCM/BOR data from various beam aborts at SuperKEKB. It represents an effort of correlating the beam aborts with possible hardware malfunctions or beam instabilities. |
電子加速器 (8月11日 会議室P) | |
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WEP028 | cERLにおけるテラヘルツ回折放射プロファイルの観測 Profile measurement of THz coherent diffraction radiation at cERL ○本田 洋介,島田 美帆,帯名 崇,高井 良太,内山 隆司,加藤 龍好(高エ研) ○Yosuke Honda, Miho Shimada, Takashi Obina, Ryota Takai, Takashi Uchiyama, Ryukou Kato (KEK) cERL周回部では、バンチ圧縮運転により短バンチ電子ビームが得られ、テラヘルツ帯域のコヒーレント放射の発生に利用することができる。とくに、ビームを非破壊に放射を発生することのできる、CDR(コヒーレント回折放射)光源の開発を行っている。 本発表では、テラヘルツビームラインを輸送後のプロファイル観測の結果について報告する。 |
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WEP029 | SuperKEKB入射器におけるCSR由来のシンクロベータトロン結合 CSR induced synchro-betatron coupling in the SuperKEKB linac ○由元 崇,惠郷 博文,飯田 直子(KEK) ○Takashi Yoshimoto, Hiroyasu Ego, Naoko Iida (KEK) SuperKEKB用電子陽電子入射器では高電荷・低エミッタンスビームが求められているが、その輸送ラインにはJ-arcなどの偏向磁石がある区間がいくつか存在する。そのような区間においては有限な運動量分散が存在し、コヒーレントシンクロトロン放射光(Coherent Synchrotron Radiation、CSR)由来のWake fieldによるビームエネルギー変調によってシンクロベータトロンカップリングによる振動励起が原理的に発生する。本発表では、その影響について電荷依存性とともに報告する。 |
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WEP030 | チェレンコフ回折放射光のプロファイル測定 Measurement of spatial intensity profile of Cherenkov diffraction radiation from electron beam ○南部 健一,柏木 茂,日出 富士雄,齋藤 寛峻,山田 悠樹,山本 大喜,山田 志門,武藤 俊哉,長澤 育郎,髙橋 健,鹿又 健,柴田 晃太朗,三浦 禎雄,濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Kenichi Nanbu, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Hirotoshi Saito, Hiroki Yamada, Daiki Yamamoto, Shimon Yamada, Toshiya Muto, Ikurou Nagasawa, Ken Takahashi, Ken Kanomata, Koutaro Shibata, Sadao Miura, Hiroyuki Hama (ELPH) 近年、チェレンコフ回折放射光を利用した非侵襲ビームモニターが注目されている。東北大学電子光理学研究センターでは、電子ビームが中空誘電体内部を通過した時に放射するチェレンコフ回折放射光を応用したビームモニターの開発を行っている。本発表では, チェレンコフ回折放射光リングのプロファイル測定結果などについて報告する。 |
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WEP031 p.692 | KEK STFにおけるRFBT実験 Round to flat beam transformation experiment at kek stf ○荒本 真也,栗木 雅夫,Liptak Zachary John(広大),金 秀光,早野 仁司,清宮 裕史,山本 康史(高エネ),柏木 茂(東北大),坂上 和之(東大),鷲尾 方一(早稲田大) ○Shinya Aramoto, Masao Kuriki, John Liptak Zachary (Hiroshima Univ.), Xiuguang Jin, Hitoshi Hayano, Yuji Seimiya, Yasuchika Yamamoto (KEK), Shigeru Kashiwagi (Tohoku Univ.), Kazuyuki Sakaue (UTokyo), Masakazu Washio (Waseda Univ.) 全てのコライダーにおける設計上の課題は、ルミノシティを増大させることである。また、リニアコライダーにおいては、ビームサイズを極小化することでルミノシティの増大を図る。しかし、単にビームサイズを小さくすると、ビームビーム相互作用が発生し、ビームエネルギー幅が小さくなってしまう。そこで、水平方向と垂直方法のビームサイズ比、エミッタンス比が大きい扁平ビームを用いる。現在のリニアコライダーでは、周長3kmのダンピングリングにおける放射減衰を利用するが、本研究ではそれに代わる方法として、エミッタンス交換技術を利用する方法の検討を行った。この技術は六次元位相空間において、x-y及びx-z、二つの自由度間のエミッタンスを交換することにより、非対称極小エミッタンスビームを生成する。まず、RFBTにより水平方向におけるエミッタンスを交換し、その後、TLEXで水平方向の過大なエミッタンスを進行方向に移す。以上の課題についてシミュレーションによる設計研究、およびつくばの高エネルギー加速器研究機構の超伝導加速器試験施設における実験結果について発表を行う |
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WEP032 | 2020年-2021年夏におけるSuperKEKBへの入射 Beam injections for the SuperKEKB in 2020-2021 ○飯田 直子(KEK) ○Naoko Iida (KEK) The injection status of SuperKEKB from 2020 to 2021 summer is described in this paper. It will involve diagnostics of the injected beam emittance with new tools, mitigations of emittance blowup in the beam transport, pulse-to-pulse stabilization of beam orbit, achieving 2 bunches per linac pulse, collimation to reduce the beam-background for Belle-II. However, the injection beams have not yet reached the desired performance. |
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WEP033 | KEK電子陽電子入射器における軌道、エネルギー安定化とそれに伴うエミッタンス安定化 Orbit, energy, and emittance stabilization in KEK e-/e+ injector LINAC ○清宮 裕史,飯田 直子(KEK) ○Yuji Seimiya, Naoko Iida (KEK) KEK電子陽電子入射器が輸送するRingの1つであるSuperKEKBでは、高品質なビームが要求されるため、軌道フィードバック、エネルギーフィードバックが必要不可欠である。SuperKEKB運転に伴い、これらのプログラムの運用を開始したため、それを紹介する。また、これらのフィードバック運用時の安定度において、どの程度エミッタンスが安定化するかシミュレーションにより評価し、測定と比較する。 |
加速構造 (8月11日 会議室P) | |
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WEP034 p.697 | ラージグレインとファイングレインニオブを用いた空洞の耐圧試験 Pressure test for large grain and fine grain niobium cavities ○山中 将,梅森 健成,吉田 孝一,渡辺 勇一,井上 均,道前 武,佐伯 学行(高エネ研),江並 和宏(筑波大) ○Masashi Yamanaka, Kensei Umemori, Koichi Yoshida, Yuichi Watanabe, Hitoshi Inoue, Takeshi Dohmae, Takayuki Saeki (KEK), Kazuhiro Enami (University of Tsukuba) ラージグレイン(LG)とファイングレイン(FG)ニオブを用いて製造した超伝導空洞を使って耐圧試験を行った。空洞は1.3 GHz TESLA-like形状である。空洞は、鉄製のタンク内に設置される。タンク内に水を供給して、空洞の外側から加圧する。空洞の内部は大気開放である。空洞の両端のフランジは、タンクの端板に固定され、加圧中の長手方向の変位は拘束される。加圧試験中の供給圧力と空洞の固有振動数を記録した。圧力を大きくするとFG空洞とLG空洞は大きく変形し、それぞれ3.4 MPaと1.6 MPaで固有振動数が大きく低下した。固有振動数は初期状態から、それぞれ3.4 MHzと1.3 MHz高くなった。両空洞とも試験後のリークは無いので、上述の圧力では破裂はしていない。LG空洞の耐圧はFG空洞の半分以下がある。空洞の外側から水圧が作用した場合の応力分布をFEMを用いて計算した。セル部分の最大応力は、それぞれ146 MPa(FG)と73 MPa(LG)である。この応力値はニオブ試験片を使って引張試験により求めた引張強度の値に近い。耐圧試験結果と計算結果はよく一致した。この結果は、空洞のセル厚さを設計する際に有効である。 |
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WEP035 p.699 | 電子駆動ILC陽電子源のための等価回路モデルを用いたAlternate Periodic Structure空洞におけるビームローディング補償の研究 A study of beam loading compensation on the Alternate Periodic Structure cavity of ILC e-driven positron source with an equivalent circuit model ○金野 舜(広島大学先進理工) ○Shun Konno (Hiroshima University AdSM) ILCでは陽電子生成方法として金属標的に数GeVの電子ビームを入射する、電子ビーム駆動方式が検討されている。ILC陽電子源では陽電子捕捉加速器として、大口径(2a=60mm)でかつ、高く、安定した加速勾配を発生できるπ/2モードAlternate Periodic Structure空洞(APS空洞)を検討している。電子ビーム駆動方式では陽電子のほかにも電子が生成され、ビーム電流が大きいため、その補償が大きな課題である。本研究では、等価回路モデルによりAPS空洞の過渡的状態を模擬し、ビームローディング効果の補償について検討した。 |
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WEP036 p.702 | 低β用超伝導加速空洞の超純水高圧水洗技術 High-Pressure Rinsing Techniques of Low-β Superconducting RF Cavity ○原 博史,宮本 明啓(三菱重工機械システム(株)),増田 開,蛯沢 貴(量子科学技術研究開発機構) ○Hiroshi Hara, Akihiro Miyamoto (Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems, Ltd.), Kai Masuda, Takashi Ebisawa (QST) 超純水高圧水洗は、超伝導加速空洞内面を清浄に仕上げるための重要な工程である。三菱重工機械システムでは、超純水高圧水洗装置を自社導入し、各種超伝導加速空洞の洗浄に適用してきた。本発表では、三菱重工機械システムの超純水高圧水洗技術及び適用実績について報告する。 |
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WEP037 p.706 | STF-2クライオモジュールのビーム運転のための超伝導空洞の調整 Superconducting cavity tuning for beam operation in STF-2 cryomodules ○菊池 祐亮,今田 信一(株式会社NAT),山本 康史,加古 永治,梅森 健成,松本 利広(高エネルギー加速器研究機構) ○Yusuke Kikuchi, Shin-ichi Imada (NAT Co., Ltd. ), Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako, Kensei Umemori, Toshihiro Matsumoto (High Energy Accelerator Research Organization (KEK) ) 2021年2月から4月までの間KEK内STF棟においてSTF-2クライオモジュールの冷却試験およびビーム運転が行われた。 ビーム運転では、クライオモジュールに組み込まれている各超伝導空洞の調整(周波数、パワー分配、RF位相、フィードバック、など)が必要である。本講演では、日々のビーム運転前に行ってきた超伝導空洞の立ち上げおよび調整手順について述べる。 |
加速器制御 (8月11日 会議室P) | |
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WEP038 p.711 | MRFイベントタイミングレシーバのためのデバイスドライバ及びLabVIEW API A VISA device driver and a LabVIEW API for MRF event timing receiver ○榎本 嘉範,佐藤 政則(高エネ研),早乙女 秀樹(関東情報サービス) ○Yoshinori Enomoto, Masanori Satoh (KEK), Hideki Saotome (KIS) KEK電子陽電子入射器ではRFシステムやパルスマグネット等の制御にMicro research Finland(MRF)社のイベントタイミングシステムを利用している。このシステムではevent generator(EVG)からタイミング情報および関連情報(shot ID, タイムスタンプ等)が光ファイバー経由でevent receiver(EVR)へ送られる。各機器を制御するソフトウェアはEVRから情報を読み取る必要があるが、そのためにはEVRを動かすためのdevice driverおよびAPIが必要となる。機器によって様々なハードウェア、OS、プラグラミング言語が用いらているが、例えばパルスマグネット電源の制御にはPXI のADC,DAC, Windows 8.1, LabVIEWがそれぞれ使われている。今回これに合わせてPX用のVISAを利用したdevice driverおよびLabVIEWから呼び出し可能なAPIの開発を行った。なおデバイスドライバーはNI Linuxでも利用可能であり、APIはLabVIEWが動作可能であればOSを問わず利用可能である。 |
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WEP039 p.714 | J-PARCハドロン実験施設の電磁石電源のための新制御システム New control system for the magnet power supplies in Hadron Experimental Facility at J-PARC ○里 嘉典,青木 和也,上利 恵三,秋山 裕信,家入 正治,加藤 洋二,倉崎 るり,小松 雄哉,澤田 真也,白壁 義久,高橋 仁,田中 万博,豊田 晃久,広瀬 恵里奈,皆川 道文,武藤 史真,森野 雄平,山野井 豊,渡辺 丈晃(KEK) ○Yoshinori Sato, Kazuya Aoki, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Masaharu Ieiri, Yohji Kato, Ruri Kurasaki, Yusuke Komatsu, Shinya Sawada, Yoshihisa Shirakabe, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Akihisa Toyoda, Erina Hirose, Michifumi Minakawa, Fumimasa Muto, Yuhei Morino, Yutaka Yamanoi, Hiroaki Watanabe (KEK) J-PARCハドロン実験施設では、一次陽子ビームライン及び二次中間子ビームラインを合わせて100台を超える電磁石電源を運用している。電源の遠隔制御を行うため、これまではKEK-PSの陽子ビームラインで使用されていたGP-IB ベースの制御システムを使用してきた。既存のシステムは安定して動作しているが、ハードウェア的に古く一部部品が入手不可であり、システムの変更や追加が難しい面もある。2020年5月から運用を開始した新しい一次陽子ビームラインの電磁石電源の遠隔制御を行うため、新たにPLCとEPICSをベースとして制御システムを構築した。本発表では、新しい電源制御システムの詳細、実際のビーム運転での運転状況、及び将来の予定について報告する。 |
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WEP040 p.719 | SACLAのアンジュレータ・四極磁石駆動用モータ制御異常の原因調査と対策 Motor-driver troubles in the SACLA undulator-hall ○松原 伸一,糸賀 俊朗(高輝度光科学研究センター),福井 達,前坂 比呂和,稲垣 隆宏(理化学研究所) ○Shinichi Matsubara, Toshiro Itoga (JASRI), Toru, Fukui, Hirokazu Maesaka, Takahiro Inagaki (RIKEN) SACLAのアンジュレータ収納部には、硬X線FELビームライン2本と軟X線FELビームライン1本があり、約40台の真空封止型アンジュレータと、そのアンジュレータ間に電子集束用四極磁石が配置されている。真空封止型アンジュレータの磁石列は、ステッピングモータを用いて遠隔制御がされており、運転条件に応じて磁極間隔や高さを調整できるようになっている。また、移動ステージに載せた四極磁石も、遠隔制御により磁場中心を電子ビーム軸に調整する。これらのステッピングモータを駆動するモータドライバは、ケーブル長の制約からビームラインの横に鉛の遮蔽を施した19インチラックを設置し、その中にモータドライバを置いて使用している。しかしながら、ビームラインが増設され加速器の運転頻度が増えた2016年頃より、このモータドライバが突然制御不能になる不具合が発生し始めた。不具合の発生頻度は、年に数回である。制御不能になったモータドライバは電源を再起動すると正常な動作に戻ることから、この不具合は機械的な故障ではなく一時的な制御の不整合である。モータドライバが停止するとビームラインの調整が不能となるのため、不具合の原因の調査と対策が求められる。不具合の原因として、放射線の影響によりこの不具合が発生することを確認した。本発表で、この不具合状況、調査、対策について報告する。 |
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WEP042 p.723 | 機械学習を適用したKEK電子陽電子入射器ビーム調整システムの開発 R&D of the KEK electron/positron injector Linac Tuning based on Machine Learning ○久野 彰浩(阪市大理),岩崎 昌子(阪市大理, 阪市大南部研, 阪大RCNP, 阪大IDS),佐藤 政則(高エネルギー加速器研究機構, 総研大 加速器科学専攻),佐武 いつか(高エネルギー加速器研究機構),中島 悠太,武村 紀子,長原 一(阪大IDS),中野 貴志(阪大RCNP, 阪大IDS) ○Akihiro Hisano (Osaka City U.), Masako Iwasaki (Osaka City U., NITEP, Osaka U. RCNP, Osaka U. IDS), Masanori Satoh (KEK, SOKENDAI Department of Accelerator Science), Itsuka Satake (KEK), Yuta Nakashima, Noriko Takemura, Hajime Nagahara (Osaka U. IDS), Takashi Nakano (Osaka U. RCNP, Osaka U. IDS) 我々は、機械学習を適用したKEK入射加速器(Linac)運転調整システムの開発を進めている。加速器運転調整では、常時、種々の運転パラメータを調節し、高い入射効率が得られるよう調整を行う。機械学習を導入した加速器運転調節を開発し、高速化や、性能向上を目指す。先行研究により、1.機械学習(ニューラルネットワーク)を用いて、約800加速器パラメータの状態を2次元で可視化し、加速器の状態は短期的には連続的に変化するが、長期的には不連続かつ大きな変化が生じる事と、2.このような外部環境変化に適応し、随時運転パラメータを最適化するためには、直近データによる学習更新が有効であることを示した。本発表では、2021年にLinacで収集した試験用データを使用した研究結果も含め、開発の現状について報告する。 |
高周波源・LLRF (8月11日 会議室P) | |
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WEP043 p.728 | SuperKEKBのLLRF制御における導波管温度変化に対する空洞電圧制御ループの位相補償 Cavity Voltage Control Loop Phase Compensation for Waveguide Temperature Change in SuperKEKB LLRF Control ○小笠原 舜斗,赤井 和憲,小林 鉄也,中西 功太,西脇 みちる,渡邉 謙(KEK) ○Shunto Ogasawara, Kazunori Akai, Tetsuya Kobayashi, Kota Nakanishi, Michiru Nishiwaki, Ken Watanabe (KEK) SuperKEKB加速器は、高ルミノシティを達成するため、2A以上という大電流ビームの蓄積運転を目指している。大電流ビームを十分に加速するために、RFシステムには設計電流において1空洞あたり800kWを超える大電力RFの安定供給が要求される。このような大電力RFを地上のクライストロンから地下の加速空洞へ輸送する立体回路系では、壁面抵抗などによる導波管の発熱で線路長が変化する。結果、空洞到達時のRF位相が導波管の温度に対応して、ある範囲で変化する。現在の立体回路の構成では、その表面温度は最大80℃程度に達すると見込まれ、それによる導波管での位相変化量は70度程度になると予想されている。RFステーションの一部に導入されているデジタルLLRF制御システムは、広帯域特性などを考慮し、空洞電圧制御にRF信号のIQ成分によるフィードバック(FB)制御方式を採用している。この方式では、FBループ内の大きな位相変化に対して安定領域が制限されるという弱点があるため、上記の導波管での位相変化が問題となる可能性がある。この問題に対し、立体回路の冷却で対応することを検討しているが、一方で、LLRF制御系でも対応策を別途準備しておくことが重要である。そこで、デジタル制御システムのRFステーションでは、導波管温度をモニターし、その変化に対しFBループ位相を自動で補償する機能を導入した。これについて、位相変化の評価結果、ループ位相補償方式の詳細などを紹介する。 |
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WEP044 p.733 | 蓄積リング高周波空洞用導波管真空封止窓の開発 Developments of a waveguide-type vacuum window for RF cavities of a storage ring ○山口 博史(高輝度光科学研究センター),稲垣 隆宏(理研),安積 隆夫(高輝度光科学研究センター),早賀 紀久男,森本 理(スプリングエイトサービス) ○Hiroshi Yamaguchi (JASRI), Takahiro Inagaki (Riken), Takao Asaka (JASRI), Kikuo Hayaga, Osamu Morimoto (SES) 次世代放射光光源蓄積リング用に開発したHOM減衰型高周波加速空洞では、導波管での真空封止のために京セラ製の低損失セラミックを用いた真空封止窓を用いている。この真空封止窓は、狭いスペースに設置でき、また故障時の交換が容易なよう、銅製のフランジに矩形のセラミックを接合したコンパクトな構造となっている。この真空封止窓を使用して加速空洞の大電力試験を行った際に、高周波透過時のセラミックの発熱や放電の多発といった問題が発生した。この問題の原因と解決策を検討した。 セラミックの発熱は、セラミックの品質にばらつきがあり、tanδが大きいことが原因である。そこで、セラミック単体で空洞法によりQ値を測定し、tanδが1.5e-4以下であることを確認した。次にセラミックを金属板で挟んで大電力高周波試験を行い、発熱が少ないことを確認した。こうして、品質の確認されたセラミックを接合することで、真空封止窓の信頼性を向上させた。放電に関しては、セラミック真空側表面での一面性マルチパクタ放電であると推測し、窓付近に永久磁石を配置することで、放電を大幅に抑制できることを確認した。現在、実機用の真空封止窓に永久磁石を配置する装置を製作し試験をする準備を進めている。本発表では、これらの解決策の詳細を報告する。 |
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WEP045 p.738 | KEK電子陽電子入射器における大電力高周波源の運転及び維持管理 Operation and Maintenance Activity of RF System in KEK Electron-Positron Linac ○馬場 昌夫,東福 知之,今井 康雄,諸富 哲夫(三菱電機システムサービス(株)),明本 光生,荒川 大,片桐 広明,川村 真人,設楽 哲夫,竹中 たてる,中島 啓光,夏井 拓也,福田 茂樹,本間 博幸,松本 利広,松下 英樹,三浦 孝子,道園 真一郎,矢野 喜治,松本 修二(高エネルギー加速器研究機構) ○Masao Baba, Tomoyuki Toufuku, Yasuo Imai, Tetsuo Morotomi (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd), Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Masato Kawamura, Tetsuo Shidara, Tateru Takenaka, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui, Shigeki Fukuda, Hiroyuki Honma, Toshihiro Matsumoto, Hideki Matsushita, Takako Miura, Shinichiro Michizono, Yoshiharu Yano, Syuji Matsumoto (KEK) KEK電子陽電子入射器は、最大で7GeVの電子および4GeVの陽電子を生成・加速する能力を持つ線形加速器である。2020年度中は約5,500時間運転された。現在この加速器は、入射部とそれに続く60台のRFユニットから構成され、高周波源として総数60台の大電力Sバンドクライストロンが、また高電圧スイッチとして60台のサイラトロンが使用されている。現在設置されているクライストロンの平均運転時間は約72,000時間である。2020年度にはエミッション減少により、1台が交換された。現在設置しているサイラトロンの平均運転時間は約37,000時間である。2020年度はキープアライブ電流低下などのトラブルにより7台が、また停止期間中に実施する重要ユニットの事前交換(2年毎の定期交換)により7台、計14台が交換された。クライストロンから加速管へ至るマイクロ波搬送路の途中に設置されている導波管高周波窓の平均運転時間は約95,000時間である。2013年長期メンテナンス後から2020年までの期間で真空漏れ等のトラブルによる高周波窓の交換は無かった。本稿ではクライストロン,サイラトロン,導波管高周波窓に関する統計及び高周波源に関する不具合事例と運転維持管理について報告する。 |
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WEP046 | クライストロン用モジュレータ 民生/産業応用への展開 ScandiNova Klystron modulator status for industrial usage ○湯城 磨(スカンジノバ・システムズ株式会社) ○Osamu Yushiro (ScandiNova Systems K.K.) スカンジノバ・システムズでは、世界各国の国立研究機関向けのクライストロン用モジュレータ以外に、数多くの民生用のモジュレータを開発・販売している。本発表では、民生/産業応用への展開を中心にスカンジノバ・システムズの実績と開発状況について報告する。 |
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WEP047 p.742 | J-PARCクライストロン用高圧電源のコンデンサバンク監視装置の概要 Overview of capacitor bank monitoring system for high voltage supply for J-PARC klystron ○溝端 仁志,Cicek Ersin,方 志高,福井 佑治,二ツ川 健太(高エネ研),小野 礼人,篠崎 信一,高柳 智弘,不破 康裕(原子力機構),岩間 悠平,佐藤 福克(株式会社NAT) ○Satoshi Mizobata, Ersin Cicek, Zhigao Fang, Yuji Fukui, Kenta Futatsukawa (KEK), Ayato Ono, Shinichi Shinozaki, Tomohiro Takayanagi, Yasuhiro Fuwa (JAEA), Yuhei Iwama, Yoshikatsu Sato (NAT) J-PARCリニアックではクライストロン45台を用いて加速器の運転が行われている。クライストロンの駆動には12台の高圧電源を用いている。高圧電源の構成機器にコンデンサバンクがある。設計寿命を超えるコンデンサがあり、コンデンサバンクの交換作業を進めている。交換が間に合わず、設計寿命を超えるコンデンサを使用している箇所もある。コンデンサの故障により、長期間の加速器運転停止を引き起こす可能性がある。運転停止を最小限にするためにコンデンサ故障の予兆を早期に感知する必要がある。本件では、現在設置しているコンデンサバンクの監視装置の概要について発表する予定である。 |
光源加速器/レーザー (8月11日 会議室P) | |
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WEP048 p.744 | 光共振器を用いたコヒーレントチェレンコフ放射のテラヘルツ発振に関する研究 Study on THz laser utilizing coherent Cherenkov radiation and an optical cavity ○王 鵬,蓼沼 優一,村上 達希,村越 孔太,小柴 裕也,鷲尾 方一(早大理工総研),坂上 和之(早大理工総研、東大光量子研),黒田 隆之助(産総研) ○Peng Wang, Yuichi Tadenuma, Tatsuki Murakami, Kota Murakoshi, Yuya Koshiba, Masakazu Washio (WISE), Kazuyuki Sakaue (WISE, UT-PSC), Ryunosuke Kuroda (AIST) 我々は、フォトカソードrf-gunを用いて生成した電子ビームに対してrf-deflectorによって傾きを制御することで、THz領域におけるコヒーレントチェレンコフ放射の生成を実施してきた。チェレンコフ放射発生用のターゲット媒質には、THz帯で屈折率が一定のTOPASを用いており、広帯域かつ高強度なパルスの生成に成功している。現在は、生成したTHzパルスの大幅な強度増幅を目指して、光蓄積共振器の構築を検討している。我々の保有するrf-gunは繰り返し周波数119MHzのマルチバンチ運転に対応しており、150パルス程度を蓄積させることが可能である。また、共振器による増幅率においては系全体の損失が重要な要素であり、本システムでは共振器内にチェレンコフ放射発生用の媒質における損失が懸念される。そこで、TOPASにおける反射や吸収による損失を加味して共振器ミラーのパラメータを検討することで設計を進めており、最大10倍以上の強度増幅を見込んでいる。本発表では共振器を構成するミラー、チャンバー、媒質の設計状況及びテラヘルツ波の増幅率と今後の展望について報告する。 |
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WEP049 p.748 | 共振器型自由電子レーザーにおける超放射 Superradiance in free-electron laser oscillators ○羽島 良一(量研) ○Ryoichi Hajima (QST) 共振器型自由電子レーザーでは、電子バンチ長、スリップ長、ゲイン、光共振器の損失とデチューニング長が一定の条件を満たす時、光の電場を数周期しか含まない極短パルスが生成される。このようなFEL発振は、超放射FEL(superradiance FEL)と呼ばれる現象で説明される。超放射は、二準位系における準位間の遷移確率を考察したRobert Dicke が理論的に導出し、その後、実験的に確認された現象である。超放射FELは、Rodolf Bonifacio らが、その存在を理論的に示し、これまでに多くの実験が行われてきた。本発表では、Dickeの超放射、超放射FELの原理、両者の類似点と相違点を述べ、極短パルスFEL発振の特長を明らかにする。本研究の一部は、文部科学省の光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP、JPMXS0118070271)によるものである。 |
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WEP050 p.752 | ANALYSYS of UVSOR-III STORAGE RING LATTICE ○Elham Salehi Derakhtanjani, Yoshitaka Taira, Masaki Fujimoto (UVSOR, IMS), Masahiro Katoh (Hiroshima University and UVSOR, IMS) In this study, we investigate the present magnetic lattice of the UVSOR electron storage ring to explore the possibility to get a lower emittance with some minor changes in the configuration of magnets. For this purpose, we surveyed the periodic solutions as drawing a tune diagram to map the emittance and the dynamic aperture. Although, we could not find a solution which has a drastically small emittance, we have found a few solutions which has a small emittance around 10 nm, which is significantly smaller than the present value, 17nm. They may be useful for some special low emittance operation modes dedicated to developments on new light sources technologies and their applications. |
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WEP051 p.756 | 差周波発生のための高非線形性フォトニック結晶ファイバーによる波長シフト Wavelength shifting with high nonlinearity photonics crystal fiber for difference frequency generation ○川瀬 啓悟,羽島 良一,森 道昭,永井 良治(QST) ○Keigo Kawase, Ryoichi Hajima, Michiaki Mori, Ryoji Nagai (QST) 平成30年度光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)次世代レーザー基礎基盤研究「自由電子レーザーで駆動する高繰り返しアト秒光源のための基礎基盤技術の研究(課題番号:JPMXS0118070271)」としてQST、京大、日大、KEKで進めている中赤外自由電子レーザー(FEL)による高次高調波発生(HHG)のための基礎研究において、FELのキャリアエンベロープ位相(CEP)を安定化するためのCEP安定中赤外シード光源を開発している。そのためにファイバーレーザーで発生させた1030 nm中心のパルスを高非線形性フォトニック結晶ファイバー(PCF)に導入し、長波長シフトしたソリトンパルスを発生させ、上流で分岐した1030 nmパルスと差周波発生させる。本発表では、このPCFによる波長シフトについての現状とその詳細を報告する。 |
施設技術報告 (8月11日 会議室P) | |
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WEP052 p.760 | 理研AVFサイクロトロン運転の現状報告 Status report on the operation of RIKEN AVF cyclotron 福澤 聖児(住重加速器サービス),○須田 健嗣,後藤 彰,大西 純一(理研仁科センター),濱仲 誠,石川 盛,小林 清志,小山 亮,仲村 武志,西田 稔,西村 誠,柴田 順翔,月居 憲俊,矢冨 一慎(住重加速器サービス),藤巻 正樹,福西 暢尚,長谷部 裕雄,日暮 祥英,今尾 浩士,上垣外 修一,加瀬 昌之,木寺 正憲,込山 美咲,熊谷 桂子,真家 武士,長友 傑,中川 孝秀,奥野 広樹,大関 和貴,坂本 成彦,内山 暁仁,渡部 秀,渡邉 環,渡邉 裕,山田 一成(理研仁科センター),鎌倉 恵太,小高 康照(東京大学原子核研究センター) Seiji Fukuzawa (SHI Accelerator Service Ltd.), ○Kenji Suda, Akira Goto, Jun-ichi Ohnishi (RIKEN Nishina Center), Makoto Hamanaka, Shigeru Ishikawa, Kiyoshi Kobayashi, Ryo Koyama, Takeshi Nakamura, Minoru Nishida, Makoto Nishimura, Junsho Shibata, Noritoshi Tsukiori, Kazuyoshi Yadomi (SHI Accelerator Service Ltd.), Masaki Fujimaki, Nobuhisa Fukunishi, Hiroo Hasebe, Yoshihide Higurashi, Hiroshi Imao, Osamu Kamigaito, Masayuki Kase, Masanori Kidera, Misaki Komiyama, Keiko Kumagai, Takeshi Maie, Takashi Nagatomo, Takahide Nakagawa, Hiroki Okuno, Kazutaka Ozeki, Naruhiko Sakamoto, Akito Uchiyama, Shu Watanabe, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe, Kazunari Yamada (RIKEN Nishina Center), Keita Kamakura, Yasuteru Kotaka (Center for Nuclear Study, University of Tokyo) 理研AVFサイクロトロンは、理研リングサイクロトロン(RRC)の入射器として使用されるほか東京大学原子核科学研究センターのグループによる原子核実験、及びRI製造に単独使用される。本稿では2020年8月から2021年7月までの期間における加速ビーム種、運転時間と調整時間の集計、発生した故障とその対処、性能改善に向けて行われた取り組みついて報告する。 |
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WEP053 p.765 | 広島大学放射光科学研究センター光源加速器の現状 Present status of HiSOR ○加藤 政博,島田 美帆,宮内 洋司,後藤 公徳(HiSOR) ○Masahiro Katoh, Miho Shimada, Hiroshi Miyauchi, Kiminori Goto (HiSOR) 広島⼤学放射光科学研究センターの光源加速器HiSORは、1996年の稼働以降、約25年にわたり安定に稼働を続けてきた。共同利用のための年間のビームタイムは1500時間に及び、真空紫外・軟X線領域の放射光を国内外の物質・生命科学を中⼼とする研究者に供給している。HiSORの加速器は150MeVの入射用マイクロトロンと700MeVの小型電子シンクロトロンからなる。電子シンクロトロンは周長22mと小型ながら2本の直線部を有し2台のアンジュレータが装着され高輝度真空紫外光を生成できる。また常伝導ながら2.7Tと高磁場の偏向磁石により軟X線領域を広くカバーしている。しかし、最近では、加速器の老朽化や競争力低下が懸念され、一方で、より高輝度な放射光への要望も高まっており、将来計画の検討を急いでいる。本発表では加速器の現状と将来計画に向けた取り組みについて報告する。 |
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WEP054 p.768 | あいちSR光源加速器の現状 Present status of accelerators of Aichi Synchrotron Radiation Center ○高嶋 圭史,石田 孝司,郭 磊(名大SRセンター),藤本 將輝(UVSOR),保坂 将人(NSRL),大熊 春夫(阪大RCNP),金木 公孝,鈴木 遥太,森里 邦彦,平山 英之(スプリングエイトサービス),加藤 政博(HiSOR),竹田 美和,國枝 秀世(あいちSR) ○Yoshifumi Takashima, Takashi Ishida, Lei Guo (Nagoya Univ.), Masaki Fujimoto (UVSOR), Masahito Hosaka (NSRL), Haruo Ohkuma (RCNP), Kimitaka Kaneki, Youta Suzuki, Kunihiko Morisato, Hideyuki Hirayama (SES), Masahiro Katoh (HiSOR), Yoshikazu Takeda, Hideyo Kunieda (AichiSR) あいちシンクロトロン光センター(あいちSR)は、愛知県の科学技術政策である「知の拠点あいち」計画における中核施設として、中部地区を中心とする大学、研究機関、産業界、愛知県の協力によって建設され、あいちSRが運営してきた。2013年3月26日の供用開始から今年で9年目となる。 加速器は、50 MeV直線加速器、1.2 GeVブースターシンクロトロン、1.2 GeV蓄積リングから構成されている。蓄積リングは周長72 m、ラティス構成はTriple-bendの4回対称であり、ユニットセルの3台の偏向電磁石の内、両端の2台は磁場強度1.4T、偏向角39°の常伝導電磁石であるが、中央の1台はピーク磁場5T、偏向角12°の超伝導電磁石であり、25keV程度までの実用強度を持つ放射光が得られるというあいちSRの特徴を担っている。直線部の1カ所にはAPPLE-II型アンジュレータ1台が設置されている。 供用開始当時のビームラインは6本であったが、現在では企業専用および大学によるビームラインそれぞれ1本を含む11本のビームラインが稼働しており、さらに企業専用ビームライン1本を新たに建設中である。2020年度における加速器の総運転時間は1919時間であり放射光ユーザーの利用時間は1360時間であった。計画されたユーザー利用運転時間に対して光源が運転できなかった時間は約18時間であり、稼働率は約98.6 %であった。 本発表では、あいちSR光源加速器の現状について報告する。 |
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WEP055 p.771 | QST高崎イオン照射施設(TIARA)の現状報告 Present status of TIARA facility at QST Takasaki ○倉島 俊,千葉 敦也,吉田 健一,石坂 知久,山田 圭介,湯山 貴裕,平野 貴美,細谷 青児,宮脇 信正,柏木 啓次,百合 庸介,石堀 郁夫,奥村 進,奈良 孝幸(量研 高崎) ○Satoshi Kurashima, Atsuya Chiba, Ken-ichi Yoshida, Tomohisa Ishizaka, Keisuke Yamada, Takahiro Yuyama, Yoshimi Hirano, Seiji Hosoya, Nobumasa Miyawaki, Hirotsugu Kashiwagi, Yosuke Yuri, Ikuo Ishibori, Susumu Okumura, Takayuki Nara (QST Takasaki) 量子科学技術研究開発機構(QST)高崎量子応用研究所のイオン照射施設(TIARA)には4台の加速器が設置されており、主にバイオ技術や材料開発の研究分野へ様々なイオン種のビームを幅広いエネルギー範囲で提供している。AVFサイクロトロン(K110)、3MVタンデム加速器、3MVシングルエンド加速器、400kVイオン注入装置の2020年度運転時間は,それぞれ1879.8h,1629.0h,1637.8h,1555.1hであり,コロナ禍による施設の利用停止措置のため例年よりも短い運転となった。年間を通じて大きな故障はなく,コロナ禍による実験キャンセルを除けば,計画した照射実験はすべて実施した。主な保守・整備としては,サイクロトロンの共振器へ電力を供給するRFアンプの前段増幅部分について,800W真空管アンプから1kWトランジスタアンプへの変更を行った。これまで30年近く使用してきた真空管が製造中止になり,入手不能となっためである。主な技術開発として,タンデム加速器においてC60フラーレン専用イオン源の整備やフラーレン・マイクロビーム形成実験を実施した。本発表では,上記に加え,その他加速器の保守・整備及び技術開発,施設の利用状況について報告する。 |
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WEP056 p.774 | 東北大学電子光理学研究センター加速器施設の現状 Status of accelerator facility in Research Center for Electron Photon Science at Tohoku University ○日出 富士雄,柏木 茂,鹿又 健,柴田 晃太朗,高橋 健,長澤 育郎,南部 健一,三浦 禎雄,武藤 俊哉,濱 広幸(東北大電子光) ○Fujio Hinode, Shigeru Kashiwagi, Ken Kanomata, Kotaro Shibata, Ken Takahashi, Ikuro Nagasawa, Kenichi Nanbu, Sadao Miura, Toshiya Muto, Hiroyuki Hama (ELPH, Tohoku Univ.) 東北大学電子光理学研究センターでは、1.3 GeV の電子シンクロトロン(BSTリング)と3台の線形加速器が稼働中で、クォーク・ハドロン核物理の研究をはじめ、RI製造や放射・核化学の研究、超短パルス電子ビームの生成とこれによるコヒーレントテラヘルツ光源の開発研究などが進められている。電子光理学研究センター加速器施設の現状や課題などについて報告する予定である。 |
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WEP057 p.777 | IFMIF原型加速器の現状 Status of IFMIF prototype accelerator (LIPAc) ○長谷川 和男,春日井 敦,近藤 惠太郎,杉本 昌義(QST),カラ フィリップ(IFMIF/EVEDA プロジェクトチーム),ジッコ ヘルベ,ジェックス ドミニク(F4E) ○Kazuo Hasegawa, Atsushi Kasugai, Keitaro Kondo, Masayoshi Sugimoto (QST), Philippe Cara (IFMIF/EVEDA Project Team), Herve Dzitko, Dominique Gex (F4E) The LIPAc (Linear IFMIF Prototype Accelerator) project, which is under the collaboration framework between Europe and Japan, has entered in the new stage from low duty to validation of high duty (ultimately continuous-wave) cycle operations of a 5 MeV RFQ. In the configuration change and commissioning, some highlights are preparation of a high power beam dump, a new beam transport line, and improvement of RF systems. The COVID-19 restricts the entry of EU experts to Japan. To mitigate these effects, the beam dump and the beam transport line are commissioned with a help of remote connection from EU. Some data sharing tools have been developed to allow experts to participate in the beam operation from Europe. This paper will present a progress and status of the LIPAc. |
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WEP058 p.781 | 放医研サイクロトロン施設の現状報告 Status report of NIRS-930 and HM-18 cyclotron at QST-NIRS ○北條 悟,涌井 崇志,村松 正幸,片桐 健,杉浦 彰則(量研-放医研),岡田 高典,山口 道晴,神谷 隆(加速器エンジニアリング),白井 敏之(量研-放医研) ○Satoru Hojo, Takashi Wakui, Masayuki Muramatsu, Ken Katagiri, Akinori Sugiura (QST-NIRS), Takanori Okada, Michiharu Yamaguchi, Takashi Kamiya (AEC), Toshiyuki Shirai (QST-NIRS) 量⼦科学技術研究開発機構量子医科学研究所(旧放射線医学総合研究所 以下放医研)のサイクロトロン施設では、放射性同位元素の製造を主⽬的とした2台のサイクロトロンが稼働している。1台は、1974年に運転を開始したNIRS-930サイクロトロンで、もう1台は、1994年に運転を開始したPET診断⽤核種製造専⽤のHM-18サイクロトロンである。NIRS-930は、放射性同位元素の製造以外に物理実験や⽣物実験等にも利⽤されており、2020年度も運転を続けている。2020年度は、年度当初に発令された緊急事態宣言により、2か月間の運転停止と、その後1か月間の外部利用の停止といった対応を行った。そのため、総運転時間は例年の運転時間より短く1533時間であった。大きな故障停止などはなく、年間の故障停⽌時間は計6時間で、その要因としては、電源の故障や制御システムの故障などで、復旧までにかかった時間は1時間未満の故障停止がほとんどであった。また、HM-18も緊急事態宣言に対応として運転停止や、実験中止等の対応を行っており、総運転時間は1223時間であった。年間の故障停⽌時間は計5時間で、主にターゲットフォイル破損による真空悪化の影響が大きく、復旧までに4時間を要した。本発表では、放医研のサイクロトロン施設の利⽤状況や運転状況、また、施設設備における修繕の実施内容等について報告する。 |
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WEP059 p.784 | KEK先端加速器施設(ATF)におけるナノビーム技術開発 Development of the nanometer beam technology at the Accelerator Test Facility ○照沼 信浩,久保 浄,黒田 茂,奥木 敏行,内藤 孝,福田 将史,アリュシェフ アレクサンダー,荒木 栄,森川 祐,中村 英滋,大森 恒彦,倉田 正和(高エネ研),阿部 優樹,ポポフ コンスタンティン(総研大) ○Nobuhiro Terunuma, Kiyoshi Kubo, Shigeru Kuroda, Toshiyuki Okugi, Takashi Naito, Masafumi Fukuda, Alexander Aryshev, Sakae Araki, Yu Morikawa, Eiji Nakamura, Tsunehiko Omori, Masakazu Kurata (KEK), Yuki Abe, Konstantin Popov (SOKENDAI) KEKの先端加速器試験施設(ATF)では、国際リニアコライダー(ILC)の衝突ビームであるナノメートルビーム(ナノビーム)の技術開発を、最終収束システム試験ビームライン(ATF2)により進めている。ILCでの衝突ビームサイズ7nm(垂直方向)に対応する37nmの極小ビームの実現、ナノメートルレベルでのビーム位置制御技術開発が目標である。現在までに垂直方向41 nmを達成し、また、ナノメートルでの位置安定化を実現しうる高速位置補正技術を確認した。ATF2ではWakefieldの影響調査も進めている。位置分解能20nmの空洞型BPM、ナノビームを測定するレーザー干渉縞型ビームサイズモニターを有するATF2(1.3GeV)はこの研究に適した施設である。ILC(125GeVビーム)では、ウェイク場の影響は限定的と評価されているが、ATF2での研究は評価の信頼性を上げ、ビームの安定化や高度化を追求する上で重要である。昨年秋にはこれまでの技術開発を総括する国際評価委員会を実施した。ILCの準備段階に応じた開発計画、最終収束ビームライン(ATF2)の高度化改造(ATF3計画)が審議された。現在はコロナ禍により海外から共同研究者が来日できる状況には無い。この状態はしばらく続く事が予想されるが、来たるべき共同開発の再開を想定し、国内研究者でビーム試験を継続、ナノビーム技術の理解を深めている。 |
加速器応用・産業利用/粒子源 (8月12日 会議室P) | |
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THP001 | 原子力電池開発に向けたCIS素子の電子線発電挙動の解明 Investigation of electron beam power generation behavior of CIS devices for development of nuclear energy battery ○奥野 泰希(東北大学),秋吉 優史(大阪府立大学),今泉 充(宇宙機構) ○Yasuki Okuno (Tohoku Univ.), Masafumi Akiyoshi (Oaska Pref. Univ.), Mitsuru Imaizumi (JAXA) 原子力電池は、半導体素子上の放射性物質から放出される放射線により発電するため、電力供給が困難な宇宙環境や、ペースメーカなど人体中のデバイス駆動用 に長時間安定的に電力を供給するために開発が進められている。半導体素子として、先行研究において、太陽電池素子として開発されてきた銅インジウムセレ ン(CIS)素子が有望な素子として期待される。CIS素子は、膜素p-n接合型の大面積の電力用途太陽電池薄子として、既に製品化されている素子である。また、近年、宇宙用電源としての研究も進められており、1 MeV電子線照射においてほとんど劣化せず、高耐放射線性が示されている。エネルギー源となる放射線は、線エネルギー付与効率が高く、素子への照射損傷影響が少ない低エネルギー(500 keV以下)β線放出核種に着目している。しかし、日本では放射性物質の入手・取扱で課題があるため、本研究では、加速器で発生させた放射線により取得した放射線発電挙動をシミュレーション解析することにより原子力電池としての特性を明らかにする開発手法を構築する。CIS素子の電子線発電特性を解明するため、大阪府立大学コッククロフトウォルトン型電子線加速 器にてin-situ測定の装置を整備し、電子線誘起電流を取得できる体型を構築した。また、電子線照射中の放射線誘起電流を取得し、CIS素子の放射線発電特性について取得した。 |
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THP002 p.790 | 日大LEBRA-PXR線源の現状と高度化の検討 Current status of the LEBRA-PXR source at Nihon University and the plan of the evolution ○早川 恭史,早川 建,野上 杏子,境 武志,住友 洋介,高橋 由美子,田中 俊成(日大LEBRA) ○Yasushi Hayakawa, Ken Hayakawa, Kyoko Nogami, Takeshi Sakai, Yoske Sumitomo, Yumiko Takahashi, Toshinari Tanaka (LEBRA, Nihon U.) 日大LEBRAでは125MeV電子リニアックを用いた,パラメトリックX線放射(PXR: parametric X-ray radiation)を放射源とするX線源を運用している。共同利用光源として運用を開始してから約17年経過したが,空間コヒーレンスを利用した先端的なイメージングなどの応用が開拓され,成果が得られている。生成可能なX線エネルギーは放射源に用いる結晶の種類に依存し,シリコン単結晶Si(111)面あるいはSi(220)を用いることで,4~34keVの範囲で発生させた実績がある。ダイヤモンド結晶を用いた試験を実施し,50keV以上のX線ビームの発生を確認してはいるが,線源として安定に運用するためにはSi単結晶を用いる方が現実的である。高次反射面を用いる場合,光子フラックスが低くなる問題はあるが,近年,X線イメージ検出器の性能改善が進んでいるため,Si(311)面あるいはSi(400)面での運用を検討したい。中小規模の加速器で40keV以上の単色X線が得られることの意義は大きいと思われる。また,高エネルギー化だけでなく,PXRビームを集光する手法の開発にも着手したい。PXR線源は時間分解吸収分光などへの応用の可能性を秘めているが,出力窓から引き出された時点で直径100mmに広がり微小な試料を扱うのに不向きであるところが,この様な応用にとって大きな制約となっている。集光する手法が確立されればこの状況を大きく変えることができるため,湾曲結晶の利用などについて検討したい。 |
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THP003 p.795 | 高強度小型サイクロトロンのエネルギー効率向上を目指した要素技術開発 Improvement of energy efficiency of high intensity compact cyclotron ○福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,安田 裕介,武田 佳次朗,原 隆文,大本 恭平,森田 泰之,荘 浚謙,趙 航(阪大RCNP),篠塚 勉,伊藤 正俊(東北大CYRIC),涌井 崇志(量研量医研),倉島 俊,宮脇 信正(量研高崎研),中尾 政夫(群大重医セ),松田 洋平(甲南大) ○Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Yuusuke Yasuda, Keijiro Takeda, Takafumi Hara, Kyohei Omoto, Yasuyuki Morita, Tsun Him Chong, Hang Zhao (RCNP), Tsutomu Shinoduka, Masatoshi Itoh (CYRIC), Takashi Wakui (QST-NIRS), Satoshi Kurashima, Nobumasa Miyawaki (QST-Takasaki), Masao Nakao (GHMC), Yohei Matsuda (Konan Univ.) サイクロトロンは元々、エネルギー効率(運転パワーに対する出力ビームパワーの比率)に優れた加速原理を有する加速器である。このサイクロトロンの特徴を最大限に活かし、陽子・重陽子だけでなく,4He2+、H2+、水素・重水素負イオンなどの大強度ビーム(数~数10mA)を,30%以上のエネルギー効率で供給する省エネルギー高強度小型加速器の実現を目指した要素技術開発に取り組んでいる。具体的には、数10~100mA級正・負イオン源の開発とサイクロトロンにおける負イオン加速の高効率化、空間電荷効果を考慮した透過効率の高い入射ビーム輸送法の開発、mA級の高強度負イオンビームを安定に取り出すための荷電変換引き出しシステムの開発、加速器の消費電力を減らして30%以上のエネルギー効率を達成しうる永久磁石型電磁石と共振空洞の設計などを共同で進めている。この高強度小型加速器の開発により,治療用短寿命RIや従来原子炉で製造されてきたがん検査用RIを加速器で大量に製造・供給することが期待される。本講演では,これらの要素技術開発の進捗状況について報告する。 |
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THP004 p.798 | 小型ECRイオン源の引出電極位置の最適化 Optimization of puller position at compact ECR ion source ○村松 正幸(量研機構),神谷 隆,岡田 高典(加速器エンジニアリング),片桐 健,杉浦 彰則,北條 悟,涌井 崇志(量研機構) ○Masayuki Muramatsu (QST), Takashi Kamiya, Takanori Okada (AEC), Ken Katagiri, Akinori Sugiura, Satoru Hojo, Takashi Wakui (QST) 量子科学技術研究開発機構量子医科学研究所のサイクロトロン(NIRS-930)では、核医学、生物学、物理学分野における基礎科学・応用研究のためにビームの供給を行っている。主に利用されるイオン種は陽子、ヘリウムである。また、炭素、ネオンなどの重イオンの供給も行っている。これらのイオンの生成には、永久磁石のみで閉じ込め磁場を形成するECRイオン源(Kei-source)を使用している。Kei-sourceはNIRS-930の上部に設置されており、イオン源から引き出されたイオンは低エネルギービームラインを通り、NIRS-930に入射される。今後イオン源としては様々なイオン種の多価イオン生成と、ビーム強度の増強が望まれている。 これまでKei-sourceでは十分なビーム電流が得られていたため、引出電極位置の最適化は行われておらず、He2+の場合FC2-FC3の透過効率は60%程度であった。今回は、Kei-sourceの引出電極を可動化し、引出電極位置の最適化を図りサイクロトロン入射系のビーム透過効率を上げ、サイクロトロン出口のビーム強度増強を図った。引出電極間隔はステッピングモーターを使い、本体室の外からの遠隔操作をできるようにした。可動範囲は6-28 mmである。He2+でビーム試験を行った結果、引出電極間隔を変えたときにFC2-FC3の透過効率が86%まで上がった。 |
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THP005 p.801 | 10GHz高温超伝導ECRイオン源のためのミラーコイルの開発 Development of high temperature superconducting mirror coils for 10GHz ECR ion source ○荘 浚謙,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,畑中 吉治,斎藤 高嶺,安田 裕介,Koay Hui Wen,森田 泰之,武田 佳次朗,原 隆文,Zhao Hang(阪大RCNP),石山 敦士(早大),野口 聡(北大),植田 浩士(岡山大),福井 聡(新潟大),松原 雄二,三上 行雄,鶴留 武尚,高橋 伸明,吉田 潤,平山 貴士(住友重),長屋 重夫,渡部 智則(中部電力) ○Tsun Him Chong, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Kichiji Hatanaka, Takane Saitou, Yusuke Yasuda, Hui Wen Koay, Yasuyuki Morita, Keijiro Takeda, Takafumi Hara, Hang Zhao (RCNP), Atsushi Ishiyama (Waseda Univ.), So Noguchi (Hokkaido Univ.), Hiroshi Ueda (Okayama Univ.), Satoshi Fukui (Niigata Univ.), Yuji Matsubara, Yukio Mikami, Takehisa Tsurudome, Nobuaki Takahashi, Jun Yoshida, Takashi Hirayama (Sumitomo Heavy Industries,Ltd.), Shigeo Nagaya, Tomonori Watabe (Chubu Electric Power Co.,Inc) We are now designing a high temperature superconducting (HTS) coil for a skeleton cyclotron, a compact AVF cyclotron applied to mass production of radio-isotopes in medical field. We have developed proto-type HTS compact circular coils using a REBCO wire to test the performance of the HTS coils. The coils were designed as mirror coils of a 10 GHz HTS-ECR ion source with properties of low electric power consumption, low operating cost, high stability and high reliability. The HTS-ECR ion source of 10 GHz will provide doubly charged helium ions for acceleration. This paper presents the current - voltage characteristic of the HTS coils at low temperature in 77K (liquid nitrogen) and 30K. Besides, the magnetic field configuration of the ECR ion source will also be discussed. |
加速器土木・放射線防護/真空 (8月12日 会議室P) | |
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THP006 p.805 | KEK-ATFスキュー六極電磁石への自動位置調整機構の導入とアライメント法の確認 Beam based alignment of skew sextupole magnets in KEK-ATF with motorized mover ○阿部 優樹(総研大),荒木 栄(KEK),奥木 敏行,久保 浄,照沼 信浩(KEK、総研大) ○Yuki Abe (SOKENDAI), Sakae Araki (KEK), Toshiyuki Okugi, Kiyoshi Kubo, Nobuhiro Terunuma (KEK, SOKENDAI) ATFでは国際リニアコライダー(ILC)に求められる極小ビームを実現する最終収束技術の研究開発を進めている。 ATF最終収束ビームラインには極小ビームを実現するために四極電磁石(計23台)、六極電磁石(計4台)、スキュー六極電磁石(計4台)がインストールされている。 六極電磁石、スキュー六極電磁石は非線形ビーム光学系の補正用電磁石として使用されている。 スキュー六極電磁石3台を除く各電磁石にはリモート制御可能な自動位置調整機構が実装されており、 ビーム運転中のビームの応答を基にしたアライメント(Beam Based Alignment;BBA)が可能である。 一方、スキュー六極電磁石3台に対しては手動位置調整機構が取付けられており、 現状、ビームの応答を見ながらのアライメントはできない。 そこで本研究ではATF最終収束ビームラインの全電磁石のBBAができる環境を整えるために、 それらスキュー六極電磁石に対して自動位置調整機構を実装した。 自動位置調整機構としてATFダンピングリングにて使用されていた位置調整機構を活用した。 モーター駆動化と遠隔制御可能なシステムの構築により、自動位置調整機構へと改造した。 ビーム試験を基に自動位置調整機構を用いたスキュー六極電磁石のBBA法の検討も進めている。 本旨では、これら作業の進捗と自動位置調整機構の実装に関してBBAの展望を交えて報告する。 |
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THP007 | ILC候補地域の林産業の活性化に向けた森林資源等解析 Study of Forest Resource Analysis for Forestry Revitalization in ILC Candidate Site ○寺澤 弘陽,高野 裕司(アジア航測株式会社 社会インフラマネジメント事業部 PPP/PFI推進室),川端 康正(アジア航測株式会社 東北インフラ技術部 地域創生一課),多田 宗(前 岩手県 ILC推進局 事業推進課),大平 尚(岩手県 理事),成田 晋也,吉岡 正和(岩手大学) ○Hiroaki Terasawa, Yuji Takano (PPP/PFI Promotion office , Social Infrastructure Management Division, ASIA AIR SURVEY CO., LTD.), Yasumasa Kawabata (Regional Creation Section No.1, Tohoku Infrastructure Management Dept., ASIA AIR SURVEY CO., LTD. ), Takashi Tada (Project Promotion Division, Bureau of ILC Promotion, Iwate Prefectural Government(until march 2021)), Hisashi Odaira (Chair, Iwate Prefectural Government), Shinya Narita, Masakazu Yoshioka (Iwate University) ILCは、全長20㎞におよぶ世界最高、最先端の電子・陽電子衝突型加速器であり、現在、北上山地を候補地として国内誘致が検討されている。ILC建設にあたっては、地域への負荷を最小限にする「グリーンILC」の考え方に基づき、加速器構成設備の徹底的な省エネと高効率化や、再生可能エネルギーの利用、排熱エネルギーの回収と地域産業への活用等が検討されている。本研究では、グリーンILCの実現に向けた方策の一つとして、地域資源を有効活用したコミュニティの創出を検討しており、その具体的な取り組みとして、地域の木材利用の推進や林産業の活性化に向けた森林資源等解析を試行した。対象地は、ILC候補地内のスギ、アカマツを主体とした約10haの森林とし、2019年11月にUAVレーザ計測により取得した3次元点群データを解析に用いた。解析では立木本数、樹高・胸高直径、材積、炭素蓄積量・CO2吸収量を算定し、その結果から対象範囲から得られる木材の経済的価値とバイオマスとしての利用価値について考察した。また、木材利用の推進や地域の林産業の活性化に向け、森林資源等解析による供給量の見える化や効率的な林業運営が可能となる木材流通経路を検討した。なお、本研究は岩手大学、岩手県、アジア航測㈱の共同研究の一環で実施したものである。 |
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THP008 | PF入射部更新改造にともなう入射ビーム軌道の設計とアライメント Design of the injection point and align magnets for the upgrade of PF ring injection section ○長橋 進也,上田 明,内山 隆司,帯名 崇,小林 幸則,高井 良太,高木 宏之,多田野 幹人,谷本 育律,中村 典雄,野上 隆史,原田 健太郎,東 直,本田 融,満田 史織,宮内 洋司(高エネ研),川野 壽美,藤川 雄次(三菱SC) ○Shinya Nagahashi, Akira Ueda, Takashi Uchiyama, Takashi Obina, Yukinori Kobayashi, Ryota Takai, Hiroyuki Takaki, Mikito Tadano, Yasunori Tanimoto, Nnorio Nakamura, Takashi Nogami, Kentaro Harada, Nao Higashi, Tohru Honda, Chikaori Mitsuda, Hiroshi Miyauchi (KEK), Toshimi Kawano, Yuji Fujikawa (MSC) 2.5GeVの放射光源用電子蓄積リングであるPhoton Factory Storage Ring(PFリング)では、2015年に入射セプタム電磁石2用真空チャンバー内で冷却水の漏水が発生し、液体シーラーによる修理を行った。2017年には漏水が悪化したため、冷却水の通水を止め、仮設の放射光アブソーバーを設置する応急処置を行った。また、従来の入射ビーム軌道では、蓄積ビームの入射バンプ軌道と入射ビームとの距離が遠く、物理口径が最も狭い部分でのビームロスが問題となっていた。これらを解決するため、冷却水の漏水が発生したセプタム電磁石2を更新し、入射ビーム軌道を蓄積ビームに近づける改造を行った。 本改造では、長年の建物の変形による電磁石のずれを設計軌道に対してアライメントし直すのではなく、測量によって得られた位置を基に入射ビームの軌道を設計し直し、その軌道に対してアライメントし直す方式を採用した。測量の結果、水平方向のずれは入射点に最も近い偏向電磁石の偏向角を変え、2台のセプタム電磁石の位置を修正することで吸収できることがわかった。また、垂直方向は、電子陽電子入射器(LINAC)の終端部に対して9.1 mmと大きくずれていることがわかったが、入射点近傍のずれは最大でも1.5 mm以内であったため、入射点近傍の電磁石のみをアライメントし直すこととした。 本発表では、測量結果に基づく入射ビーム軌道の再設計と、アライメントの結果について報告する。 |
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THP009 p.810 | J-PARCハドロン実験施設におけるBライン用ビーム窓の設計 Design of a beam window for the B-beamline at J-PARC Hadron Facility ○渡邉 丈晃,上利 恵三,秋山 裕信,青木 和也,家入 正治,加藤 洋二,倉崎 るり,小松 雄哉,里 嘉典,澤田 真也,高橋 仁,田中 万博,豊田 晃久,広瀬 恵里奈,皆川 道文,武藤 史真,森野 雄平,山野井 豊(KEK) ○Hiroaki Watanabe, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Kazuya Aoki, Masaharu Ieiri, Youji Katoh, Ruri Kurasaki, Yusuke Komatsu, Yoshinori Sato, Shinya Sawada, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Akihisa Toyoda, Erina Hirose, Michifumi Minakawa, Fumimasa Muto, Yuhei Morino, Yutaka Yamanoi (KEK) J-PARCハドロン実験施設では、30GeVに加速された陽子ビームを使用して生成されるK中間子等の2次粒子を利用したバラエティーに富んだ原子核・素粒子実験を遂行している。2019年度には1次陽子ビームの1部を分岐して原子核物理実験に利用するBラインの建設が完了し、 2020年度にビーム取り出しに成功している。 Bラインの最下流部には真空区間のビーム輸送パイプと大気中にある実験測定器の境界に大気圧に耐えるビーム窓(真空窓)を設ける必要がある。 2020年度のビームコミッショニングにおいては、これまで実績のある厚さ0.1mm、ビーム有効径260mmのステンレス製薄膜をビーム窓として使用していた。 実際のビーム運転の結果、実験側のバックグランドが想定よりも多く、 ビームロスを減らすためにより物質量の少ないビーム窓が必要となった。 そこで、2021年には厚さ0.1mmは変更せずに素材を純チタンへ変更をすることで低物質量化をはかったビーム窓への交換を行った。 本発表では、純チタン製ビーム窓の有限要素法による設計検討や実機サイズの試験結果について報告を行う。 |
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THP010 p.815 | IFMIF/EVEDA原型加速器超伝導加速器据付位置でのパーティクル測定 Particle measurement in SRF position on the IFMIF Prototype Accelerator ○蛯沢 貴,柳町 太亮,熊谷 公紀,近藤 恵太郎,春日井 敦,長谷川 和男(量研 六ヶ所核融合研究所),加古 永治,阪井 寛志,梅森 健成(KEK),スカンタビューロ フランチェスコ,フィリップス ガイ,ジッコ エルベ,カラ フィリップ(F4E) ○Takashi Ebisawa (QST Rokkasho ), Taisuke Yanagimachi, Koki Kumagai, Keitaro Kondo, Atsushi Kasugai, Kazuo Hasegawa (QST Rokkasho), Eiji Kako, Hiroshi Sakai, Kensei Umemori (KEK), Francesco Scantamburlo, Guy Phillips, Herve Dzitko, Philippe Cara (F4E) 現在、核融合エネルギー分野における日本と欧州による共同事業の一つである、国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証・工学設計活動(EVEDA)の一環として、原型加速器(LIPAc)の建設が量研六ヶ所核融合研究所で進行中である。高周波四重極加速器(RFQ: Radio Frequency Quadrupole accelerator)の長パルスビーム試験のため、超伝導高周波加速器(SRF: Superconducting Radio Frequency accelerator)を将来設置する箇所に新たなビーム輸送系(MEL: MEBT Extension Line)をクリーンな環境下で構築し、準備を進めている。SRFを使用する施設では、ゲートバルブの開閉操作で発生・混入する微粒子によって生じるフィールドエミッション(FE)による性能劣化が問題視されている。LIPAcでは微粒子のサイズ・個数とSRFの性能劣化との関係を定量的に評価するのため、真空下で微粒子の動きを可視化できるパーティクルモニタをMELに導入し、ゲートバルブの開閉操作で発生する微粒子の測定を行った。本発表では微粒子測定の方法と結果について報告する。 |
電磁石と電源 (8月12日 会議室P) | |
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THP011 p.818 | Raspberry piを用いたEPICS対応DCマグネット用バイポーラ電源 EPCIS compatible bipolar DC magnet power supplies using raspberry pi ○榎本 嘉範(高エネ研),草野 史郎,牛本 信二(三菱電機システム・サービス) ○Yoshinori Enomoto (KEK), Shiro Kusano, Shinji Ushimoto (Mitsubishi SC) KEK電子陽電子入射器では約200台のDCステアリングマグネット電源を運用している。既存電源の出力制御はアナログ電圧制御、出力モニターはアナログ電圧出力となっており、それぞれがPLCのDAC、ADCに接続されている。PLCの制御はラダープログラムで行われているが、加速器全体の制御はEPICSが使われている。そのため両者の間を変換するためのソフトウェアが計算機上実行されている。今回これらの電源の置き換えとして、各電源内にraspberry piを搭載し、Linux上でEPICS IOC(input output controller)を動作させる事により、LANケーブル1本で直接EPICS制御可能な電源を開発した。電源はraspberry piに加えて、制御回路、パワー回路、インターロックおよびモニター回路、内部電源回からなる。パワー回路の制御及びモニターは制御回路上の20bit DAC及び24 bit ADCで行い、raspberry piとSPI通信で接続されている。各種内部温度等のモニターとしきい値判定はウィンドウコンパレータやロジック回路を用いた構成となっており、測定値や判定値はArduinoを用いて収集しUART通信にてraspberry piへ送信している。本発表では電源の設計、製作から性能評価、運用についてハードウェアを中心に紹介する。 |
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THP012 | サイリスタのアバランシェモードスイッチを用いたキッカー電源の開発 Development of a kicker pulse power supply using thyristor avalanche mode ○内藤 孝,明本 光生,中村 英滋(高エネルギー加速器研究機構) ○Takashi Naito, Mitsuo Akemoto, Eiji Nakamura (KEK) KEK先端試験加速器で使われている取り出しキッカーのパルス電源は16.7Ωのマッチングパルスマグネットに約400nsのパルスを印加することにより運転されている。通常運転時の電圧電流は17.5kV,1.0kA、繰り返しは3.1Hzである。このパルス電源はサイラトロンスイッチによりパルスを生成しているが、サイラトロンスイッチを半導体スイッチ化することにより、時間ジッターの少ない安定なパルス電源となることが期待される。 我々はサイリスタのアバランシェモードスイッチを用いたキッカー用パルス電源の開発を行っており、テストベンチでキッカー用パルス電源に近い仕様のパルス生成に成功した。本報告では、その開発状況について報告する。 |
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THP013 p.822 | 多段積み重ね式高電圧半導体スイッチのための自己給電型DC-DCコンバータ基板の開発 Development of self-powered DC-DC convertor for multi-stage stackable high-voltage semiconductor switch ○中山 響介,森 均,徳地 明(パルスパワー技術研究所),古川 和弥(大阪大学産業科学研究所) ○Kyosuke Nakayama, Hitoshi Mori, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Lab.), Kazuya Furukawa (Institute of Scientific and Industrial Research, Osaka Univ.) 近年、半導体スイッチ素子の高耐圧化をきっかけとして、複数個の素子を直列に接続した高電圧スイッチの開発が盛んに行われるようになった。直列接続時には各段の基準電位が高電位に浮くため、制御回路への電力供給は一般的に絶縁して行われる。しかし、コロナ放電や絶縁物の劣化、強烈なノイズの発生等の問題が原因で、数十kV以上に浮いた制御回路への給電は大掛かりになることが多かった。我々はこの問題の解決策として、半導体スイッチ部と同じ高圧系から分流して制御電力を供給する、自己給電型DCDCコンバータ基板を開発した。この基板は複数枚の直列接続動作が可能で、電位の浮いた場所にも絶縁せずに使用できる。1枚当たりのサイズは150×85 mm、入力電圧範囲は0.9~3.0 kVで、入力電圧に依らず最大10 Wの一定電圧を出力する。納入実績として、大阪大学産業科学研究所量子ビーム科学研究施設内にて本基板10枚の直列回路を10段の半導体スイッチ装置に取付け、サイラトロンに代替して約20 kV, 10 Hzのスイッチングが行えることを確認した。 |
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THP014 p.826 | J-PARC MRアップグレードのための速い取り出し用新高磁場セプタム電磁石(3) The new high-field septum magnet for upgrading of fast extraction in MR J-PARC(3) ○芝田 達伸,岩田 宗磨,松本 教之,石井 恒次,杉本 拓也,松本 浩(高エネ研) ○Tatsunobu Shibata, Soma Iwata, Noriyuki Matsumoto, Koji Ishii, Takuya Sugimoto, Hiroshi Matsumoto (KEK) J-PARCのMRでは速い取り出しビームパワーを750kWに増強するため今年度の2021年に長期メンテナンス期間を設け、アップグレードを完了させる予定である。MR用入出射電磁石もアップグレードを進めている。4台ある速い取り出し用高磁場セプタム電磁石の内3台が新しいセプタム電磁石に交換する予定である。それぞれSM30、SM31、SM32と呼んでいる。昨年までの発表では新SM30の通電試験について報告した。本発表は2020年に行った新SM31の通電試験と磁場測定結果について報告し、これまでの結果から考案中の磁気遮蔽体の追加についてまとめる。 |
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THP015 p.831 | J-PARCクライストロン短絡保護用半導体クローバースイッチの開発 Development of semiconductor clover switch for short-circuit protection of klystron for J-PARC accelerator ○小野 礼人,高柳 智弘(J-PARC/JAEA),植野 智晶,堀野 光喜(株式会社NAT),山本 風海,金正 倫計(J-PARC/JAEA) ○Ayato Ono, Tomohiro Takayanagi (J-PARC/JAEA), Tomoaki Ueno, Koki Horino (NAT Corporation), Kazami Yamamoto, Michikazu Kinsho (J-PARC/JAEA) J-PARCでは、直線型加速器の高周波加速用クライストロン電源のクライストロン短絡保護装置(クローバー装置)に水銀整流器(イグナイトロン)を用いている。イグナイトロンは、世界的に使用が制限されている水銀を使用しており、将来的に製造中止が見込まれる。そこで、大電力半導体素子(MOSゲートサイリスタ)を用いたクライストロン短絡保護用半導体クローバースイッチを開発している。1枚当たり、3kV、40kA、50usの動作出力を実現するオーバル型基板モジュールを製作した。制御電源供給には、120kVを想定し、各基板モジュールに充電される高電圧を利用する自己給電システムを採用している。このオーバル型基板モジュール10枚を10直列で接続し、既設機器(120kV,40kA)の電圧に対して1/4スケール(30kV,40kA)での動作性能を確認することができた。その出力試験結果について報告する。 |
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THP016 p.835 | g-2/EDM精密計測用ミューオン蓄積超電導磁石の磁気設計の最新化 Updated magnetic design of muon storage magnet for g-2/EDM precision measurements ○阿部 充志,荻津 透,齊藤 直人,佐々木 憲一,三部 勉,中山 久義(高エネ研),飯沼 裕美(茨城大学) ○Mitsushi Abe, Toru Ogitsu, Naohito Saito, Ken-ichi Sasaki, Tsutomu Mibe, Hisayoshi Nakayama (KEK), Hiromi Iinuma (Ibaraki Univ.) ミューオンの磁気・電気モーメント高精度測定に用いる磁石は、ミューオンを周回・蓄積するシリンダー状の領域(断面3cm幅、10cm高で直径66.6cm)に、高磁場(3.0T)で超高均一磁場(磁場振幅±0.1ppm、均一度0.2ppm)を必要とする。これは、MRI磁石の場合に比べ約一桁良い均一度である。また、周辺磁場も螺旋入射を可能とするものが必要である。このような磁場を発生する起磁力配置の設計手法は既に開発し、当時の設計を反映した起磁力配置設計例と共に報告した(加速器学会, 北大, 2017、NIMA, Vol. 890, 2018)。 その後の設計進展で、磁石全体を覆う鉄yokeには、冷凍用と微調整シミング用の貫通穴が運転時にも存在することになった。これらの穴は、上下、及び周回方向の対称性を考慮した配置とするが、コイル配置の見直しを行った結果について報告する。また、入射軌道やミューオン崩壊後のポジトロンの検出器付近の軌道をシミュレーションする2D磁場分布の算出算出方法と、弱集束磁場を発生する傾斜磁場コイルの設計手法についても報告する。 |
ハドロン加速器/ビームダイナミクス・加速器理論 (8月12日 会議室P) | |
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THP018 p.840 | J-PARC RCSの空胴ギャップ電圧モニターの周波数応答評価 Evaluation of the frequency response of the RF gap voltage monitor of the J-PARC RCS ○沖田 英史,田村 文彦,山本 昌亘,野村 昌弘,島田 太平(JAEA J-PARCセンター),吉井 正人,大森 千広,杉山 泰之,原 圭吾,長谷川 豪志,古澤 将司(KEK J-PARCセンター) ○Hidefumi Okita, Fumihiko Tamura, Masanobu Yamamoto, Masahiro Nomura, Taihei Shimada (JAEA J-PARC center), Masahito Yoshii, Chihiro Ohmori, Yasuyuki Sugiyama, Keigo Hara, Katsushi Hasegawa, Masashi Furusawa (KEK J-PARC center) J-PARC RCS では基本波と二倍高調波を用いたデュアルハーモニック運転による大強度ビーム加速を行なっている。各ハーモニックの電圧と位相の安定化にマルチハーモニックベクトルフィードバック制御を採用している。この制御では測定値に各加速空胴の加速ギャップの1つに備え付けられたギャップ電圧モニターからの出力を使用している。デュアルハーモニック運転では、各ハーモニック間の相対的な位相の関係によってバンチ形状が変化するため、ギャップ電圧モニターの周波数応答を正確に把握することが重要となる。本発表では、ギャップ電圧モニターの周波数応答の評価とこれを考慮したビームシミュレーション結果について報告する。 |
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THP019 p.845 | ミュオンサイクロトロンの磁場測定結果の分析 Data analysis of magnetic field measurement of muon cyclotron ○大西 純一(理研仁科センター),後藤 彰,山崎 高幸,永谷 幸則,湯浅 貴裕,安達 利一,三宅 康博(高エネルギー加速器研究機構),筒井 裕士,楠岡 新也,恩田 昂,熊田 幸生(住友重機械工業) ○Jun-ichi Ohnishi (RNC), Akira Goto, Takayuki Yamazaki, Yukinori Nagatani, Takahiro Yuasa, Toshikazu Adachi, Yasuhiro Miyake (KEK), Hiroshi Tsutsui, Shinya Kusuoka, Takashi Onda, Yukio Kumata (SHI) J-PARC MLFでミュオニウムをレーザーイオン化することで生成した超低速ミュオンをサイクロトロンで30 keVから5 MeVまで加速することによって透過型ミュオン顕微鏡の実現をめざしている。このサイクロトロンの取り出し半径は262mmで、電磁石は4セクター、ヒルギャップ52mm、磁極直径φ698mm、平均磁場0.4T、重量約8tである。2020年12月に□5mm、94ターンのサーチコイル(約5Hz連続回転)をモーター駆動ステージに設置してミディアンプレーン上の磁場マッピング測定を行った。本サイクロトロンは等時性磁場を作るためのトリムコイルをもっていないため、この測定によって磁極側面の鉄シムの厚さを調整した。これにより、dB/Bが±3×10-4、加速中の粒子の位相変動がRF加速位相に対して±2°程度の等時性磁場を作成することができた。本発表では設計に用いたopera3d磁場とこの測定で得られた磁場マップを比較し、軌道計算結果の相違についても述べる。磁場測定後、RF空洞(主空洞108MHz、フラットトップ空洞324MHz)、真空容器などの組立を実施し、現在、RF電源およびローレベル制御系の調整を行っている。 |
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THP020 p.850 | J-PARC 3GeVシンクロトロン用荷電変換フォイルの長寿命化に向けたとりくみ Initiatives to address the lifetime improvement of HBC stripper foil for 3GeV synchrotron of J-PARC ○吉本 政弘,仲野谷 孝充,山崎 良雄,サハ プラナブ,金正 倫計(原子力機構・J-PARC),山本 春也,岡崎 宏之,田口 富嗣,山田 尚人,山縣 諒平(量研機構・高崎) ○Masahiro Yoshimoto, Takamitsu Nakanoya, Yoshio Yamazaki, Pranab Saha, Michikazu Kinsho (JAEA/J-PARC), Shunya Yamamoto, Hiroyuki Okazaki, Tomitsugu Taguchi, Naoto Yamada, Ryohei Yamagata (QST/Takasaki) J-PARC 3GeVシンクロトロン加速器(RCS: Rapid Cycling Synchrotron)では、大強度陽子ビームを実現するために荷電変換フォイルを用いた荷電変換ビーム多重入射方式を採用している。RCSでは、ホウ素を添加した炭素電極によるアーク放電法で製膜した薄膜 (Hybrid type thick Boron-doped Carbon: HBC)を荷電変換フォイルとして用いている。HBCフォイルは、ホウ素を添加することで従来の純炭素薄膜と比較してビーム照射に対する寿命の向上に成功し、RCSにおいてもビーム強度700kWでの長期間利用運転及び1MWでの2日間連続運転試験で壊れることなく使用できることを示した。我々は、ホウ素添加によりビーム照射耐久性能が向上するメカニズムを明らかにし、さらなる長寿命化に向けたフォイルの実現を目的とし、QST高崎・イオン照射施設(TIARA: Takasaki Ion Accelerators for Advanced Radiation Application)のイオンビームを用いた照射試験を行ってきた。これまで、ホウ素の添加量やカソード・アノード電極に使用するホウ素添加炭素電極と純炭素電極の組み合わせにより、イオンビーム照射による寿命が異なることが分かってきた。本報告では、ビーム照射試験の結果からHBCフォイル内のホウ素の役割に関する考察について報告する。 |
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THP021 p.855 | 簡易FELOコード Simple FELO code ○尾崎 俊幸(高エネ研 加速器) ○Toshiyuki Ozaki (KEK) 自由電子レーザー(FEL)では、電子ビームと電磁場の相互作用を3元連立1次微分方程式で表し、進行方向に沿って微小間隔のステップで積分する方法が一般的であり、共振器型のFELOコードは充分に完成している。しかしながら、X線領域のXFEOを計算しようとすると、膨大な計算時間と膨大なメモリーを必要とする。 通常、加速器理論では、磁場の中を電子が運動するとき、その運動方程式を計算するよりも、磁石の入口と出口をマトリックスで関係づけてビーム輸送系を設計する。本論文では、アンジュレーターの入口と出口の関係を級数で結び付ける。 多くのテキストで、電場を規格化した変数εで基本方程式を摂動展開し、ε<<1の元でゲインの公式を導いている。本論文では、εを2次で止めれば、ε>1でも近似方程式として利用でき、飽和を説明できることを簡易コードで示す。 本論文では、THz-FELO, IR-FELOで確認し XFELO設計を検討する。 |
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THP022 p.860 | SuperKEKBでのチューンシフトが及ぼす影響について Impact of tune shift in SuperKEKB ○照井 真司,石橋 拓弥,大見 和史,周 徳民,大西 幸喜,古賀 太一朗(高エネ研) ○Shinji Terui, Takuya Ishibashi, Kazuhito Ohmi, Demin Zhou, Yukiyoshi Ohnishi, Taichiro Koga (KEK) 蓄積型円形加速器では、加速器を構成する加速空洞やビームパイプなどの機器からのインピーダンスの影響を繰り返し受けることになる。そして、チューンシフトは、スペースチャージやインピーダンスが原因で、引き起こされることが知られている。 現在、SuperKEKBは、電子リングで2.6 A、陽電子リングで3.6 Aという高いビーム電流への到達過程で、日々の調整でビーム電流の増加を目指している。ルミノシティ増加のためのバンチ電流の増加や、衝突点垂直方向ビームサイズ縮小のためのオプティクス変更に伴うアパーチャーの変化は、チューンシフト量の変化を意味する。このチューンが共鳴線上にシフトした場合、大きなビームロスやビームサイズの増大などの影響がでてくる。SuperKEKBのような大電流加速器でのビームロスは、真空機器や素粒子検出器を損傷させる危険性がある。また、衝突型加速器でのビームサイズの増大は、ルミノシティの減少に直結するため防がなければならない事象である。上で挙げた事象を避けて、安定な加速器運転を実現するためにはチューンシフトの理解は非常に重要である。 本学会では、シングルビームでのチューンサーベ時と、電子ビームと陽電子ビーム衝突状態でのチューンサーベ時のビームサイズや素粒子検出器へのバックグラウンドノイズの相関についての観測事例を報告する。 |
ビーム診断・ビーム制御 (8月12日 会議室P) | |
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THP023 p.866 | J-PARCハドロンhigh-p ビームライン用高感度残留ガスプロファイルモニタの開発(2) Development of high sensitivity residual gas ionization profile monitor for J-PARC hadron high-p beamline(2) ○豊田 晃久,青木 和也,上利 恵三,秋山 裕信,家入 正治,加藤 洋二,倉崎 るり,小松 雄哉,里 嘉典,澤田 真也,白壁 義久,高橋 仁,田中 万博,広瀬 恵理奈,皆川 道文,武藤 史真,森野 雄平,山野井 豊,渡辺 丈晃(KEK) ○Akihisa Toyoda, Kazuya Aoki, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Masaharu Ieiri, Yohji Kato, Ruri Kurasaki, Yusuke Komatsu, Yoshinori Sato, Shinya Sawada, Yoshihisa Shirakabe, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Erina Hirose, Michifumi Minakawa, Fumimasa Muto, Yuhei Morino, Yutaka Yamanoi, Hiroaki Watanabe (KEK) J-PARCハドロン実験施設のBライン(高運動量ビームライン)は、Aラインの一次陽子ビームの一部を分岐させ使用するビームラインである。このビームラインは分岐部で削り出すのでビームロスがあり、放射線レベルは高い。しかし、輸送するビーム強度は比較的低いため、高感度でかつ放射線耐性の高いプロファイルモニタが必要となる。そこでビーム通過により残留ガスで生じた電離電子をバックグランドの低い光に変換し、光増幅してプロファイルを測定するモニタを考案した。現在実用化に向けてR&Dを進めている。今回の発表ではテストチェンバーおよび電子発生装置による電子を利用した発光体の発光効率測定実験、実機設計、および将来の展望などについて発表する。 |
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THP024 p.870 | ビーム診断機器および周辺機器のプロトタイプ製作における内製化 In-house production of prototypes for beam diagnostic equipment and peripherals ○下ヶ橋 秀典,帯名 崇(高エネ研) ○Hidenori Sagehashi, Takashi Obina (KEK) KEK PF ビーム診断・制御グループではこれまで様々なビーム診断機器の開発や改良を行ってきた。開発を進めていく中で造形物の製作や回路基板製作は外部業者やKEK機械工学センターに依頼を行ってきた。試作を繰り返しながら開発を行う場合、製作を外部に依頼すると、費用と時間を要することになる。近年、造形物では3Dプリンタが一般的に利用され、比較的安価な装置でもこちらの求める品質の造形物が出力可能となっている。容易な造形物の製作であればCADと3Dプリンタを使用することにより、試作品(本製作も含めて)を早いサイクルで製作が可能となり、開発のスピードも上がる。一方、回路基板製作でも回路設計CADで自ら設計を行い、Web発注により部品実装まで行える安価で短納期なサービスが充実してきている。本発表では製作した造形物の設計や製造方法、3Dプリンタで製造する上でのコツ等を紹介するとともに、Web発注による回路基板製作について紹介する。 |
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THP025 p.873 | 理研AVFサイクロトロンで加速されたイオンビームの4Dエミッタンス測定器開発の現状 Current status of developing 4D emittance monitor for ion beams accelerated by RIKEN AVF Cyclotron ○小高 康照,鎌倉 惠太,山口 英斉,今井 伸明,酒見 泰寛,下浦 享(原子核科学研究センター),加瀬 昌之,大西 純一,後藤 彰(仁科加速器科学研究センター),畑中 吉治(大阪大学核物理研究センター) ○Yasuteru Kotaka, Keita Kamakura, Hidetoshi Yamaguchi, Nobuaki Imai, Yasuhiro Sakemi, Susumu Shimoura (CNS, University of Tokyo), Masayuki Kase, Jyun-ichi Ohnishi, Akira Goto (RIKEN Nishina center), Kichiji Hatanaka (RCNP, Osaka University) 原子核科学研究センター(CNS)において、世界最高精度の電気双極子能率測定を目指した大強度Fr生成実験が進行中である。Frは理研AVFサイクロトロンで126MeVに加速した酸素イオン(18O6+)ビームを金標的に照射し、核融合反応で生成する。この精度達成のために18eµA以上のビーム強度が必要と見積もられている。この実験装置はAVFサイクロトロンの階下のE7実験室にあり、ここにはCNSの宇宙核物理実験の低エネルギー不安定核生成分離装置(CRIB)があり、最近はRI製造用標的も増設され大強度イオンビームの需要が増している。一方、各実験装置までのビーム輸送率はビーム強度が5eµA超の場合は平均6割と低いので、高Fr収量実現を主として、各実験のためのビーム輸送率の改良が目的である。そこで大強度ビームに対応するために、冷却不要と目されるペッパーポット型エミッタンス測定器を開発し、4次元(x, y, x', y’)エミッタンスを測定し、ビーム軌道を最適化する計画である。4次元エミッタンスが必要な理由は、E7実験室へのビームライン上の四極電磁石や偏向電磁石が回転しているためにビーム横向き成分が結合することと、ビーム損失も考慮したビーム軌道計算のためにビームの(x, y)成分の関係が必要なことである。この測定器はデジタルカメラを使用するので、放射線損傷対策が必要であり、遮蔽材と安価な小型カメラの高頻度交換での対応を検討している。今回はこの開発の進捗状況を報告する。 |
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THP026 p.878 | パルス・モード計測型光位置モニタの高分解能化に向けて Toward higher resolution in pulse-mode x-ray beam position monitor ○青柳 秀樹,大沢 仁志,藤田 貴弘,高橋 直(高輝度光科学研究センター) ○Hideki Aoygai, Hitoshi Osawa, Takahiro Fujita, Sunao Takahashi (JASRI) 大型放射光施設SPring-8の挿入光源ビームラインにおいて大強度放射光ビームのパルス毎の位置計測を可能とするパルス・モード計測型光ビーム位置モニタの実用化に取り組んでいる。本モニタは、ダイヤモンド・ヒートシンクを用いたブレード型検出素子の浮遊電気容量を低減させ、かつ、マイクロ・ストリップライン伝送路を用いてインピーダンスを整合させることにより、単極性パルス信号を発生する。実用化のためには更なる高分解能化が必要である。今回は、ブレード型検出素子の構造、及び、素子ホルダーの改良により耐熱性能を高めることを試みた。これにより、パルス毎の出力信号量(電荷)を増加させることが出来るので、分解能の向上が期待できる。本モニタの基本的な動作試験を偏向電磁石ビームラインにおいて実施した。また、高速アンプや減算回路などを用いることにより、ショット毎の実効的な位置分解能を評価した。今後の展開についても議論する。 |
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THP027 | フレキシブル基板を用いた長尺データケーブルの性能評価 Performance Study on Very-Long Data-Cable based on Flexible Printed Circuits ○蜂谷 崇(奈良女子大理, 理研BNL),秋葉 康之(理研),今井 皓(立教大理),近藤 崇(都産技研),柴田 実香,下村 真弥,高濱 瑠菜(奈良女子大理),中川 格(理研),並本 ゆみか(奈良女子大理),糠塚 元気(理研BNL),長谷川 勝一(原研),森田 美羽(奈良女子大理) ○Takashi Hachiya (Nara Women's Univ., RBRC), Yasuyuki Akiba (RIKEN), Hikaru Imai (Rikkyo Univ.), Takashi Kondo (TIRI), Mika Shibata, Maya Shimomura, Runa Takahama (Nara Women's Univ.), Itaru Nakagawa (RIKEN), Yumika Namimoto (Nara Women's Univ.), Genki Nukazuka (RBRC), Shoichi Hasegawa (JAEA), Miu Morita (Nara Women's Univ.) 高エネルギー重イオン衝突によって高温クォーク新物質・クォーク・グルーオン・プラズマの性質を明らかにするための新実験sPHENIXが米国ブルックヘブン研究所のRHIC加速器において2023年より始まる。我々はsPHENIX実験で用いるシリコン飛跡検出器INTTおよびデータケーブルを開発している。INTTはストリップ型検出器で衝突点から半径6-12㎝を覆っている2層バレル型の検出器である。 INTTで測定された大量のデータは、狭く、まがった経路を通り、1m以上離れた処理回路で処理される。そのためケーブルには、高速信号伝送・長尺・柔軟性が要求される。また、3年以上の実験期間を安定稼働するための、放射線耐性や物理特性が要求される。それらを満たすケーブルは存在しないので、フレキシブル基板(FPC)技術を応用して独自開発を行った。開発したケーブルは、長さ120㎝、幅5㎝の4層FPCで、130um幅の信号線を124本、検出器への電源とグランドを配置している。各信号線は2本1対のLVDSペアを構成し、200Mbpsで信号伝送を行う。開発したケーブルでは、長距離での信号減衰を減らすため誘電体として液晶ポリマー(LCP)を用いており、多層化ではLCPに適応した接着剤を選別して使用している。今回、放射線耐性を調べるため積層FPC試験片にガンマ線を照射し、積層部の接着強度やFPCの曲げ弾性率などの物理特性の変化を調べた。本講演では、これらの結果について報告する。 |
電子加速器 (8月12日 会議室P) | |
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THP028 | cERL赤外自由電子レーザーにおけるテーパーアンジュレータの検討 Undulator tapering for IR-FEL at cERL ○本田 洋介,加藤 龍好,阪井 寛志,土屋 公央,阿達 正浩(高エ研),羽島 良一(量研),島田 美帆,帯名 崇,中村 典雄(高エ研) ○Yosuke Honda, Ryukou Kato, Hiroshi Sakai, Kimichika Tsuchiya, Masahiro Adachi (KEK), Ryoichi Hajima (QST), Miho Shimada, Takashi Obina, Norio Nakamura (KEK) cERLではSASE型の赤外自由電子レーザーの開発を行っている。cERLのビーム条件では、周回路輸送中の空間電荷効果の影響で、電子ビームバンチにエネルギーチャープが生じてエネルギー拡がりが大きくなり、その結果FELゲインが低下してしまう。エネルギーチャープによるFELゲインの低下を、アンジュレータのテーパー化で補償する検討を行った。本発表ではcERLを想定したテーパーアンジュレータによるFELのシミュレーションおよび実験結果との比較について報告する。 |
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THP029 p.882 | STF-2におけるビーム調整とビーム測定 Beam tuning and beam parameter measurement in STF-2 accelerator ○福田 将史,荒木 隼人,アリシェフ アレクサンダー,井藤 隼人,梅森 健成,倉田 正和,阪井 寛志,早野 仁司,本田 洋介,オメット マチュー,松本 利広,森川 祐,山本 康史(高エネ研),栗木 雅夫(広大院先進理工),坂上 和之(東大) ○Masafumi Fukuda, Hayato Araki, Alexander Aryshev, Hayato Ito, Kensei Umemori, Masakazu Kurata, Hiroshi Sakai, Hitoshi Hayano, Yosuke Honda, Mathieu Omet, Toshihiro Matsumoto, Yu Morikawa, Yasuckika Yamamoto (KEK), Masao Kuriki (Hiroshima University ADSE), Kazuyuki Sakaue (Univ. of Tokyo) KEKの超伝導リニアック試験施設棟(STF)では、国際リニアコライダー(ILC)のための超伝導加速空洞の開発を行っている。現在のSTF Phase-2 (STF-2) では、1.3GHz超伝導加速空洞12台を納めたILC仕様のクライオモジュールを用いたビームラインをSTF棟地下トンネルに設置し、要求される加速勾配31.5MV/mの実現を目指している。2019年に、ビーム加速試験を行い、7空洞での33.1MV/mの平均加速勾配をビーム加速にて確認している。ただし、ビームの不安定性や加速後のエミッタンス悪化も確認されたため、この対処を行い、2021年4月に再びビーム加速試験を行った。今回のビーム試験では、最大定格電流を3.0μAと10倍に上げたので、370MeV, 1000bunches/pulse(6us), 360nC/pulse, 5Hzの電子ビームの生成し、漏洩放射線量が問題ないことを確認した。また、9空洞での加速試験では32.9MV/mの平均加速勾配をビーム加速にて確認した。エミッタンスは、40MeVでは以前の約1/10の1-2 mm mradと改善したが、370MeVまで加速後では、この 20-30倍と以前と変わらなかったため、原因調査を行った。本発表では、このビーム調整やビームパラメーター測定の結果について報告する。 |
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THP030 p.887 | KEK電子陽電子入射器高周波源のPCB含有機器交換 Exchange of PCB containing equipments in RF source of KEK electron/positron injector linac ○川村 真人,中島 啓光,松本 修二,本間 博幸(高エネ研) ○Masato Kawamura, Hiromitsu Nakajima, Shuji Matsumoto, Hiroyuki Honma (KEK) ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物について、法令による処分期間は、高濃度含有物が今年度(令和3年度/2021年度)末まで、低濃度含有物が令和8年度/2026年度末まで、と各々決められている。低濃度含有物への対応として、KEKでは1990年以前の製造品を全数検査する。一方コンデンサー等封じ切りの機器は絶縁油の採取のために穿孔すると使用できなくなるため、検査対象品を全て廃棄し、新品等との交換が必要である。KEK電子陽電子入射器はKEKで稼働中の加速器で最も古い施設であり、高周波源を構成する機器には、多数の検査対象品が含まれている。また当入射器はSuperKEKB、KEK-PF、KEK-PF-ARに電子/陽電子を供給しており、毎年長時間の稼働が要求されている。現在、計画的な機器の購入・交換と長時間運転の両立が課題となっている。本報告では、KEK電子陽電子入射器の高周波源について、PCB含有機器の交換の現状を述べる。 |
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THP031 p.890 | SuperKEKB入射器における陽電子用DCソレノイドの測量とBPM、ステアリングコイル設置 Surveying of DC solenoids for positron beam and installation of BPMs and steering coils for SuperKEKB injector linac ○柿原 和久,荒木 栄,岡安 雄一,田中 窓香,横山 和枝,荒木田 是夫,諏訪田 剛,肥後 壽泰,紙谷 琢哉(KEK) ○Kazuhisa Kakihara, Sakae Araki, Yuichi Okayasu, Madoka Tanaka, Kazue Yokoyama, Yoshio Arakida, Tsuyoshi Suwada, Toshiyasu Higo, Takuya Kamitani (KEK) SuperKEKB 入射器の陽電子生成部周辺ビームライン上の機器構成は陽電子生成用タングステン標的、収束用のフラックスコンセントレータ、そして低エネルギー陽電子輸送用 DC ソレノイド 24 台(全長約 15 m)とその内側に大口径 2 m 加速管 6 本である。2019年にはDCソレノイドの電流値を変化させることによりビーム軌道のずれが発生することが判明していた。また陽電子生成用標的以降15 m以上の区間においてビーム位置及びプロファイルを知るためのモニターや軌道調整用の電磁石が無くビーム運転上の困難があった。これらを改善するために2020年8〜9月にDCソレノイドの設置位置測量とBPM、ステアリングコイル各4台の設置を実施した。本会では可搬型三次元測定器(Faro ARM)やレーザートラッカー(Leica AT401)を用いて測定したビームライン上DCソレノイドの設置状態、及びソレノイド内に組み込んだBPM、ステアリングコイルの設置方法・状況について報告する。 |
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THP032 | ILCクライストロン用チョッパ型マルクス電源の現状 Present status of chopper-type marx modulator for ILC klystron ○明本 光生,川村 真人,中島 啓光,夏井 拓也(KEK),徳地 明,澤村 陽(PPJ),江 偉華(Nagaoka University of Technology) ○Mitsuo Akemoto, Masato Kawamura, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui (KEK), Akira Tokuchi, Yo Sawamura (PPJ), Weihua Jiang (Nagaoka University of Technology) Marx電源の利点は規格化されたモジュールを多用できるので量産に向き、また組み立ても容易であること、また使用される電子部品、特に半導体スイッチ、コンデンサ等の耐圧は充電電圧値でよいので、汎用品が利用できることから電源の大幅な低コスト化ができる。一番の大きな利点はパルストランスを使わないことである。これはサイズ、コストを削減するだけでなく、出力パルス立ち上がり、立ち下がり特性も大きく改善し、電源の効率を上げることができる。現在開発中のMARX電源は80段の降圧チョッパ回路で構成され、それぞれ-1.5kVの出力を合成して-120 kV (±0.5 % )、140 A、1.65 ms、5 Hzの長パルスを発生させる。本発表では、この電源の開発状況について報告する。 |
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THP033 p.895 | ニュースバル新入射器におけるCバンド主加速器のコンディショニングと運転状況 Operation status and high power rf conditioning results of C-band main accelerator at NewSUBARU injector ○稲垣 隆宏(理研播磨),安積 隆夫,近藤 力,大島 隆,岩井 瑛人(理研播磨/JASRI),吉岡 正倫,住友 博史,皆川 康幸,鍛冶本 和幸,田中 信一郎(スプリングエイトサービス),橋本 智(兵庫県立大 高度研) ○Takahiro Inagaki (RIKEN SPring-8 Center), Takao Asaka, Chikara Kondo, Takashi Ohshima, Eito Iwai (RIKEN / JASRI), Masamichi Yoshioka, Hiroshi Sumitomo, Yasuyuki Minakawa, Kazuyuki Kajimoto, Shinichiro Tanaka (SES), Satoshi Hashimoto (LASTI, Univ. of Hyogo) ニュースバル放射光施設のビーム入射器として、高電場のCバンド(5.7 GHz)加速器を用いた新しい1 GeVライナックを建設した。クライストロンの台数を減らしRF電力を有効に活用するため、クライストロンからの50 MWの出力をパルス圧縮器で約4倍に増倍し、4本の2 m進行波型加速管に供給して250 MeVの加速エネルギーを得る構成とした。これを4組用いて1 GeVまで加速をする。また、ビーム出射は1 Hzなので発熱による特性変化は無視できるため、パルス圧縮器や電力分配器は極力シンプルな構造とし、また個別の精密温調機構を省略して一律に28℃の冷却水を流すこととした。低電力RF系は、集積性の高いMicro.TCA.4規格の高速デジタイザを用いたデジタル制御を導入し、アナログ機器を極力排してコストダウンと省配線化を図った。2021年1月からRFコンディショニングを開始し、約1か月で定格のRF電力での運転が可能となった。2月中旬からは、電子ビームを出射しての調整を開始し、想定通り1 GeVまで電子ビームが加速されていることを確認した。本発表では、簡略化をしたCバンドRF機器の性能と、RFコンディショニングの経過、および現在の運転状況について、報告をする。 |
加速構造 (8月12日 会議室P) | |
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THP034 p.900 | 超伝導加速空胴の表面インピーダンス整合性 The consistency of the surface impedance for superconducting accelerating cavities ○江木 昌史(高エネ研) ○Masato Egi (KEK) 高周波加速空胴では空洞部分の空間インピーダンスと壁電流が従う表面インピーダンスの二つを定義できる。常伝導空洞の表面インピーダンスと空間インピーダンスは定義そのものが異なるが、超伝導空洞のようにジュール損失が極端に小さいと空間インピーダンスと表面インピーダンスの間に一定の整合性がなくてはならない。この整合性を説明するためのモデル構築の可能性を述べる。 |
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THP035 p.905 | KEKのニオブ空洞横型電解研磨装置向け空洞水冷機構の作製 Manufacture of niobium cavity water cooling systems for the horizontal electropolishing machine in KEK ○仁井 啓介,井田 義明,上田 英貴,早狩 大樹,遠瀬 惇(マルイ鍍金工業),三澤 宏太,水戸谷 剛,村松 吉直,佐々木 明日香(東日本機電開発),姉帯 康則,佐藤 拓也,高橋 福巳(WING),梅森 健成,後藤 剛喜,宍戸 寿郎,早野 仁司(KEK) ○Keisuke Nii (Marui Galvanizing), Yoshiaki Ida, Hideki Ueda, Daiki Hayakari, Atsushi Toose (Marui Galvanizing ), Kouta Misawa, Goh Mitoya, Yoshinao Muramatsu, Asuka Sasaki (Higashi Nihon Kidenkaihatsu ), Yasunori Anetai, Takuya Sato, Fukumi Takahashi (WING ), Kensei Umemori, Takeyoshi Goto, Toshio Shishido, Hitoshi Hayano (KEK) ニオブ空洞の電解研磨においては、空洞表面温度や電解液温度を10℃程度の低温にして実施することにより電解研磨面の仕上がりが大きく改善されるとの報告がなされている。低温で空洞を電解研磨するためには空洞外面に直接冷水をかけて冷却するのが効果的である。これまでKEK-STF棟の横型電解研磨(HEP)装置では空冷による空洞冷却でこの方式を試験していたが、低い温度に維持する能力に限界があった。そこで冷却能力を上げ空洞表面を低温度に維持する能力を改善するために、岩手コラボ(マルイ鍍金工業(株)、東日本機電開発(株)、(株)WINGの三社)とKEKが共同でHEP装置用空洞水冷機構の設計、組立、設置を行った。この水冷機構の仕様、動作確認の結果等について報告する。 |
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THP036 | 円板ニオブサンプルに対する電解研磨処理のための基礎研究 Basic study for electropolishing of a disk-shaped niobium sample ○片山 領,佐伯 学行(高エネルギー加速器研究機構) ○Ryo Katayama, Takayuki Saeki (KEK) 円板形状のニオブサンプルに対する電解研磨処理を行った。このような円板形状のサンプルは、SLAC の半球形の cavity を用いて 11.4 GHz 帯の高周波磁場による平板形状の部材の磁束侵入開始磁場の評価を行う際に必要となる。ただし、KEK で円板形状のサンプルに対する電解研磨処理が行われた例がなく、特殊な電解研磨処理用のジグの開発と適切な電解研磨条件を見出す必要があった。本発表では上記研究の詳細について報告する。 |
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THP037 p.909 | STF-2クライオモジュールの超伝導空洞の放射線量の変遷 Change of radiation level of superconducting cavities in STF-2 cryomodules ○菊池 祐亮,今田 信一(株式会社NAT),山本 康史,加古 永治,梅森 健成(高エネルギー加速器研究機構) ○Yusuke Kikuchi, Shin-ichi Imada (NAT Co., Ltd. ), Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako, Kensei Umemori (High Energy Accelerator Research Organization (KEK) ) 2021年2月から4月までの間KEK内STF棟においてSTF-2クライオモジュールの冷却試験およびビーム運転が行われた。通常、冷却試験の度にクライオモジュールに組み込まれている全14台の超伝導空洞のエージングを行い、それぞれの空洞から放射される放射線量(field emissionの量)を測定する。放射線量は、超伝導空洞の状況を確認するための最適な手段である。これまでの冷却試験で測定されてきた放射線量の変化について、本講演にて報告する。 |
加速器制御 (8月12日 会議室P) | |
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THP038 p.914 | J-PARC LinacおよびRCSにおけるMPSモジュールの更新 (2) Update of MPS modules for J-PARC Linac and RCS (2) ○高橋 博樹(日本原子力研究開発機構),鈴木 隆洋,石山 達也(三菱電機システムサービス(株)),伊藤 雄一((株)トータル・サポート・システム) ○Hiroki Takahashi (JAEA), Takahiro Suzuki, Tatsuya Ishiyama (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Yuichi Ito (TOSS) J-PARC LinacおよびRCSは大強度の加速器である。そのため、加速器を構成する機器に異常が発生した場合、通常の軌道から外れた大強度ビームの機器への衝突や、大きなビームロスが発生する。よって、異常発生における、加速器本体が多大なダメージや放射化を、最小限にすることが重要である。そこで、異常が発生した際にビームを高速で停止させ、ビームによる影響を最小限にすることを目的とした機器保護システム(Machine Protection System: MPS)が構築されている。一方で、MPSを構成する既存MPSモジュールは、J-PARC稼働初期から使用されており、その経年化による動作不具合の発生が懸念されている。よって、加速器の安定した運転を維持するためには、MPSを構成するモジュールの計画的な更新(交換)を行うことが重要である。 そこで2018年より、既存MPSモジュールの基本機能を有し、且つ、既存MPSインターフェースとの互換性を有するMPSモジュールの設計・開発を行い、2019年よりMPS標準モジュールの更新を進めている。さらにMPS信号を集約する特殊モジュール等を開発し、動作確認を進めている。本件では、MPS特殊モジュールの開発状況とLinacおよびRCSにおけるMPSの更新状況について報告する。 |
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THP039 p.918 | Raspberry Piを用いたEPICS対応DCマグネット電源用制御ソフトウェアの開発 Development of control software for EPICS compatible DC magnet power supply using Raspberry Pi ○草野 史郎(三菱電機システムサービス(株)),榎本 嘉範(高エネルギー加速器研究機構),牛本 信二(三菱電機システムサービス(株)) ○Shiro Kusano (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd), Yoshinori Enomoto (KEK), Shinji Ushimoto (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd) DCマグネット電源の制御をEPICSに完全対応するため、メインコントローラにRaspberry Pi4を使用した新しい電源の開発を行った。Raspberry Pi4のOSには、Linuxを採用し、Linux上でEPICS IOCを実行している。電源の監視及び制御には、20ビットのDACと24ビットのADCを使用。これらは、SPIプロトコルを用いてRaspberry Piに直接接続されている。また、インターロックなどの信号を処理するため、Arduinoメガを使用し、UARTプロトコルを用いてRaspberry Piに接続している。本稿では、EPICSを用いたソフトウェアの詳細について報告する。 |
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THP040 | KEK LUCX加速器インテリジェント制御システムの現状 Status of KEK LUCX accelerator intelligent control system ○アリセフ アレクサンダー,荒木 栄,福田 将史,大森 恒彦(高エネルギー加速器研究機構),ポポフ コンスタンチン(総合研究大学院大学),照沼 信浩,浦川 順治(高エネルギー加速器研究機構) ○Alexander Aryshev, Sakae Araki, Masafumi Fukuda, Tsunehiko Omori (KEK), Konstantin Popov (SOKENDAI), Nobuhiro Terunuma, Junji Urakawa (KEK) To increase the brightness and reproducibility of the beam parameters of a modern S-band RF gun-based injector system, fine controls over RF gun laser beam and multi-bunch electron beams are considered. The stabilization of the electron beam parameters requires well-established accelerator diagnostics and control systems which are actively developing at the KEK LUCX facility. Moreover, the available computational resources and developed Artificial Neural Network (ANN) algorithms permit the establishment of real-time optimization routines and enhance the compensation of the beam-loading and space-charge effects along with stabilization of the beam parameters along the beamline. In this presentation, we will report on the current status and future prospects of the development of a new compact linear accelerator control system integrated with ANN. |
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THP041 p.921 | RCNP制御更新とレガシーシステムのEPICS化 Control System Upgrade and Introducing EPICS on Legacy System at RCNP ○依田 哲彦,福田 光宏,神田 浩樹(阪大RCNP) ○Tetsuhiko Yorita, Mitsuhiro Fukuda, Hiroki Kanda (RCNP, Osaka Univ.) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)では現在、K140 AVF サイクロトロンの改造を中心としたサイクロトロン施設の更新が実施された。このAVF サイクロトロンの更新では、加速電極をシングルディーからツーディーに変更する改造、トリムコイルの新規入れ替え、軸入射ラインの新規製作、真空度向上を目指した真空箱改造と排気システムの刷新などが行われた。これに伴い、新しく導入される機器制御の追加や、約 50 年来使用され老朽化の懸念があるリレー制御盤の PLC 化などの制御システムの更新も実施した。RCNPの加速器の制御は現在 SCADA システムである Wonderware InTouch を利用して行われているが、部分的にEPICSへの移行も進められた。これにより、システム拡張をする際に作業が容易になることを期待し、また、機械学習による運転の最適化の仕組みを構築することも考慮している。EPICS導入に際し大量に残存するレガシーシステムが大きな障壁であるが、DEVICE SUPPORT を独自に開発するなどして順次 EPICS 化を図っている。 |
高周波源・LLRF (8月12日 会議室P) | |
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THP043 p.924 | J-PARCリニアックRFダウン事象の解析2 Analysis of the J-PARC linear accelerator RF down phenomena 2 ○佐藤 福克,岩間 悠平(株式会社NAT),篠崎 信一,不破 康裕(日本原子力研究開発機構),Cicek Ersin,方 志高,福井 佑治,二ツ川 健太,溝端 仁志(高エネルギー加速器研究機構) ○Yoshikatsu Sato, Yuhei Iwama (NAT), Shinichi Shinozaki, Yasuhiro Fuwa (JAEA), Ersin Cicek, Zhigao Fang, Yuji Fukui, Kenta Futatsukawa, Satoshi Mizobata (KEK) J-PARCリニアックでは、45台のクライストロン(324 MHzと972 MHz)を用いて加速器の運転が行われている。加速器の運転が停止する要因は様々あるが、リニアック高周波の回数が最も多く、停止時間も長い。このため、高周波ダウンの原因を解析することが安定した運転のためには重要であり、解析した原因を対策することでJ-PARC稼働率の向上につながると期待される。一方でマンパワーは有限であり、解析が追い付かないのが現実である。今回は前回構築した高周波のインターロックをトリガーにした自動画像データの取得システムに加え、高周波のインターロック情報を自動で取得してアーカイバに保存するシステムを構築した。また、画像データとインターロック情報からインターロックの原因を自動で解析するシステムを組み込みダウン現象の解析を行った。本件はそのシステムの紹介と対応したダウン事象の原因の対策に関して発表する予定である。 |
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THP044 p.929 | RFSoCのMTCA規格制御カードへの実装 IMPLEMENTATION TO RFSOC MTCA CONTROL CARD ○漁師 雅次,岩城 孝志,出口 久城,濱洲 竜斗,林 和孝,張替 豊旗(三菱電機特機システム株式会社) ○Masatugu Ryoshi, Takashi Iwaki, Hisakuni Deguchi, Ryuto Hamasu, Kazutaka Hayashi, Toyoki Harigae (Mitsubishi Electric TOKKI Systems) 加速器制御では、高周波信号の振幅や位相をモニタして安定したビームを作るために各種機器を制御している。最新のFPGA(Field Programmable Gate Array)であるRF-MPSoC(Radio Frequency - Multi Processor System on Chip)は、SバンドまでのRF信号を直接A/D(Analog/Digital)変換したり、D/A(Digital/Analog)変換にて出力したりできる。これにより非線形性のある回路を極力なくす構成が可能となる。このRF-MPSoCを使い、高密度実装技術により、基板のサイズが73.5[mm]x180.6[mm]と小さいMTCA規格の制御カードを開発した。さらに、内蔵されているAPU(Application Processor Unit)・RPU(Real-time Processor Unit)に、加速器制御に使われているEPICS IOCを実装した。 |
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THP045 p.933 | STF2加速器の電力分配系の性能評価 Performance of the power distribution system in the STF2 accelerator ○沼田 直人,石本 和也,塙 泰河(NAT),明本 光生,荒川 大,片桐 広明,中島 啓光,松本 修二,松本 利広,三浦 孝子(KEK) ○Naoto Numata, Kazuya Ishimoto, Taiga Hanawa (NAT), Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Hiromitsu Nakajima, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura (KEK) KEKの超伝導RF試験施設(STF)では、国際リニアコライダー(ILC)開発に向けた超伝導空洞を用いた線形加速器(STF2加速器)の建設を進めている。このSTF2加速器は、3台の運転周波数1.3GHz、繰り返し5Hz、RFパルス幅1~1.65msの高周波源を持ち、常伝導のRF電子銃空洞、2台の超伝導空洞、12台の超伝導空洞へマイクロ波を供給する構成となっている。ILCの高周波源は以下のような要求がある。各空洞のクエンチリミット近くまでパワー供給が可能であること、各空洞の加速位相を調整可能とすること、ベクターサムフィードバック制御による振幅と位相の安定化を可能とすることである。これらを実現するために、電力分配系では各種コンポーネント(可変ハイブリッド、移相器等)の開発及びそれらのシステム開発を行ってきた。2021年3月から4月にかけての運転では、はじめて1台の高周波源で12台の超伝導空洞へマイクロ波の供給、ビーム加速試験が行われた。本報告では、電力分配系を中心にシステム構築、調整作業及び実験結果の報告を行う。 |
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THP046 p.937 | J-PARCリニアックにおける低電力高周波制御システムの現状 Present Status of J-PARC Linac LLRF System ○二ツ川 健太,Ersin Cicek,方 志高,福井 佑治,溝端 仁志(高エネルギー加速器研究機構),篠崎 信一(日本原子力研究開発機構),佐藤 福克(株式会社NAT) ○Kenta Futatsukawa, Cicek Ersin, Zhigao Fang, Fuji Fukui, Satoshi Mizobata (High Energy Accelerator Research Organization), Shinichi Shinozaki (Japan Atomic Energy Agency), Yoshikatsu Sato (NAT) J-PARCリニアックの低電力高周波制御(LLRF)システムは、システムの開発期間から既に20年以上経過している。ハードウエアの制御ボードの生産中止やソフトウエアの開発環境の維持が困難になり、安定した運転の継続のためには次世代への速やかな移行が不可欠である。そこで、ADCとDAC及びFPGAを実装したデジタイザを開発して、DTL3とSDTL01~16で運用を開始している。今回、新たにMEBT1のバンチャ空洞2式とチョッパ空洞2式を制御するために、microTCA.4ベースのデジタルフィードバック(DFB)・フィードフォワード(DFF)システムを開発した。既設のデジタイザに実装されているデジタルのAMCボードに加えて、新たに高周波やクロックを生成するアナログのeRTMボード、ダウンコンバータとIQ変調を実装したmicroRTMボードを加えた構成になっている。DESYで開発されたRFバックプレーンを実装したシェルフを採用して高周波やクロックを分配しているため、従来よりも集積度の高いシステムになっている。MEBT1では、精密空調機で恒温恒湿環境を整えた19インチラックに、このDFB・DFFシステムを実装する予定である。 本講演では、開発したDFB・DFFシステムのオフライン試験の結果と今年度に実施するMEBT1の改修の計画について発表する予定である。 |
光源加速器/レーザー (8月12日 会議室P) | |
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THP047 p.942 | 中赤外自由電子レーザーパルス高強度化のための外部蓄積実験に向けて Toward Mid-IR FEL Pulse Stacking for Peak Power Enhancement ○住友 洋介,境 武志,早川 恭史(日大理工),川瀬 啓悟,羽島 良一(量研機構) ○Yoske Sumitomo, Takeshi Sakai, Yasushi Hayakawa (CST, Nihon U.), Keigo Kawase, Ryoichi Hajima (QST) 日本大学理工学部においては、共振器型自由電子レーザーによる中赤外フェムト秒光パルスを光源として用い、希ガス等をターゲットとした高次高調波生成を通じて、高繰り返しアト秒次世代レーザーの基礎技術開発を行っている。この非線形現象である高次高調波生成を引き起こす為にはパルスエネルギーの増大が不可欠であるため、外部共振器において中赤外フェムト秒光パルスを蓄積し、高強度化の為の実験を行っている。この発表においては、試験蓄積として行っていた赤外フェムト秒モードロックファイバーレーザーを用いた蓄積実験の結果や、最近行った中赤外自由電子レーザーを用いた蓄積実験の様子についての報告を行う。 |
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THP048 p.946 | KEK-PFのLLRF系更新の検討状況 Study of LLRF upgrade at KEK-PF ○内藤 大地,坂中 章悟,高橋 毅,山本 尚人(高エ研) ○Daichi Naito, Shogo Sakanaka, Takeshi Takahashi, Naoto Yamamoto (KEK) KEKのPF 2.5 GeVリングではローレベルRF系の更新を計画している。新システムはμTCA.4規格のデジタル制御ボード群で構成する。これらのボードはSPring-8やJ-PARCで開発されたものを採用又は一部変更する事で開発時間の短縮を図る。また、これらのボードの一部はPFで更新予定のビームポジションモニターの読み出し回路と共通であり、コストや運用面での利便性の高さも利点である。ローレベル系のシステム構成や空洞の制御方式についてはSPring-8[1]やSuperKEKB[2]のシステムを参考に検討を進めている。RF信号の取得についてはSPring-8で実績のあるアンダーサンプリング法[1]を採用する。アンダーサンプリングのパラメータに関しては、次世代光源で有用な過渡的電圧変動の補償に適したパラメータを採用する。本発表では新しいローレベル系の構成や空洞およびチューナー制御方式の検討状況について報告する。 [1]T. Ohshima et al., Proc of PASJ2018. [2]T. Kobayashi et al.,Proc of PASJ2014. |
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THP049 p.951 | PF-ARに新設する測定器開発テストビームラインの熱解析 Thermal analysis of the new test beam Line at PF-AR ○佐々木 洋征,本田 融(KEK) ○Hiroyuki Sasaki, Tohru Honda (KEK) 現在KEKの放射光源リングPF-ARでGeVオーダーの電子を供給する測定器開発用テストビームライン建設計画が進行している。AR加速器にターゲットワイヤーを挿入し、ハロー部の電子の制動放射により生成するガンマ線を、リング偏向電磁石チェンバーの端部に配置した無酸素銅製コンバータで電子・陽電子対に変換しテストビームを生成する。この際リングで発生した放射光がターゲット及びコンバータに照射されるため、適切な冷却およびその温度分布のシミュレーションが不可欠である。本発表では、有限要素法解析ソフトウェアANSYSを用いて、本計画におけるターゲットワイヤー、銅合金製アブソーバ、無酸素銅製コンバータへの放射光照射と冷却機構による温度分布をシミュレーションした。さらに今回新造される偏向電磁石チェンバー全体の発熱・冷却と温度分布についても見積もった。これらの結果について網羅的に報告する。 |
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THP050 p.954 | コンパクトERL-FEL用アンジュレータのビーム軌道補正 Beam orbit correction of undulators for compact ERL-FEL ○江口 柊,阿達 正浩,加藤 龍好,塩屋 達郎,土屋 公央(高エネ研) ○Shu Eguchi, Masahiro Adachi, Ryukou Kato, Tatsurou Shioya, Kimichika Tsuchiya (KEK) KEK のエネルギー回収型ライナックの原理実証機, cERLにおいて各種樹脂材料の加工に有用な光源となる2つのアンジュレータ(U01 & U02)の運用を開始している。U01およびU02はともに周期長24mm、全長3mのプラナーアンジュレータであり、タンデムに配置して使用する。放射波長の制御方式には、一般的な磁石列間距離(ギャップ)の調整ではなく、下部磁石列をビーム軌道と平行にスライドして磁石列位相を調整するAPU(adjustable phase undulator)方式を採用した。アンジュレータを運用する上で位相変更時のアンジュレータ内の軌道変動を抑えることは安定したFEL動作を得るために重要である。cERLの電子ビームエネルギーは17.5 MeVと低く、磁石列の誤差磁場や環境磁場等のわずかな磁場によってもアンジュレータ内部で大きな軌道変動が懸念されるため、その抑制は重要な課題である。そこでリングの補正電磁石に加えてアンジュレータ磁石列両側面に、アンジュレータ上流部と下流部に分けて2組の軌道補正用コイルをそれぞれ設置した。これによって各アンジュレータチャンバーに3か所ずつ設置された可動式プロファイルモニターでのビーム位置の補正を目指す。本稿では側面上下流補正コイルの詳細と補正コイルを用いた 軌道補正の手法、および補正コイルを用いた位相変更動作における軌道補正の測定結果について報告する。 |
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THP051 p.957 | UVSOR-IIIにおけるガンマ線誘起陽電子消滅寿命-運動量相関測定法の開発 Development of gamma-ray induced positron age-momentum correlation measurements at UVSOR-III ○山本 涼平(名古屋大学),杉田 健人,平 義隆(分子研),平出 哲也(原子力機構),高嶋 圭史(名古屋大学),加藤 政博(分子研、広島大学) ○Ryohei Yamamoto (Nagoya Univ.), Kento Sugita, Yoshitaka Taira (IMS), Tetsuya Hirade (JAEA), Yoshifumi Takashima (Nagoya Univ.), Masahiro Katoh (IMS, Hiroshima Univ.) 陽電子消滅法はナノスケールの構造欠陥を検出する手法として、材料研究において広く用いられている。陽電子消滅法には、陽電子の消滅寿命と消滅ガンマ線エネルギーに見られるドップラー広がりとの相関を測定するAge-Momentum Correlation(AMOC)と呼ばれる測定法がある。陽電子は存在状態によって消滅率(寿命の逆数)が異なる。そのため、AMOCにより時間分解した消滅ガンマ線のドップラー広がりを測定することで、陽電子が試料中の構造欠陥に捕獲される過程を観測し、欠陥と不純物の関係についての情報を得ることができる。これまで、AMOCでは22Naなどの放射性同位体により試料外部から陽電子を入射する方法が一般的であった。しかし、放射性同位体を陽電子源とした場合、透過力の低さにより、厚さ数cmのバルク材料への適用はできない。また、高温、高圧などの過酷環境下での測定は難しい。そこで、UVSOR-Ⅲにおいて逆トムソン散乱ガンマ線を利用し、試料中で陽電子を生成する測定法であるGiAMOC(Gamma-ray induced AMOC)システムの開発を行った。また、開発した計測システムを利用し、陽電子寿命測定用標準物質の測定を行った。本年会では、開発した計測システムの現状及び、標準物質の測定結果から見出された計測システムの今後の展望について報告する。 |
施設技術報告 (8月12日 会議室P) | |
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THP052 p.961 | 阪大産研量子ビーム科学研究施設の現状報告 Status report of Research Laboratory for Quantum Beam Science, ISIR, Osaka University ○古川 和弥,誉田 義英,磯山 悟朗,福井 宥平,徳地 明,吉田 陽一,楊 金峰,菅 晃一,神戸 正雄,細貝 知直(大阪大学 産業科学研究所) ○Kazuya Furukawa, Yoshihide Honda, Goro Isoyama, Yuhei Fukui, Akira Tokuchi, Yoichi Yoshida, Jinfeng Yang, Koichi Kan, Masao Gohdo, Tomonao Hosokai (ISIR, Osaka University) 阪大産研量子ビーム科学研究施設はLバンド40 MeV電子ライナック、フォトカソードRF電子銃ライナック、Sバンド150 MeV電子ライナック、コバルト60γ線照射装置を有する放射線共同利用施設である。Lバンドライナックはナノ秒とサブピコ秒領域のパルスラジオリシスを用いた放射線化学の研究や、FELによる大強度テラヘルツ波の発生と利用に用いられている。昨年度は電子銃カソードの交換、キッカー電磁石の設置、半導体スイッチに自己給電式回路を搭載するための改修作業、FEL共振器用ステージの交換等を行った。RF電子銃ライナックはピコ秒レーザーの修理を前年より続けながら、フェムト秒レーザーを用いてフェムト秒・アト秒超短パルス電子ビーム発生とTHz計測に関する研究を行った。またRF電子銃を装備したMeV電子顕微鏡を用いてフェムト秒時間分解電子顕微鏡の開発に関する実験を行った。150MeVのSバンドライナックは軌道計算と電磁場の調整により、陽電子ビームを陽電子実験室のリモデレータまで導いた。さらに再放出陽電子の蓄積からパルス化に向けて作業を進めている。本発表では当施設の保守管理・開発の状況に関して報告する。 |
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THP053 p.965 | 筑波大学タンデム加速器施設の現状報告 Status report of the tandem accelerator complex at the University of Tsukuba ○笹 公和,石井 聡,高橋 努,大和 良広,田島 義一,松村 万寿美,森口 哲朗,上殿 明良(筑波大応用加速器) ○Kimikazu Sasa, Satoshi Ishii, Tsutomu Takahashi, Yoshihiro Yamato, Yoshikazu Tajima, Masumi Matsumura, Tetsuaki Moriguchi, Akira Uedono (UTTAC, Univ. of Tsukuba) 筑波大学研究基盤総合センター応用加速器部門(UTTAC)では、6MVタンデム加速器と1MVタンデトロン加速器からなる複合タンデム加速器施設の維持管理と運用、および学内外との共同利用研究を推進している。6MVタンデム加速器は、5台の負イオン源と12本のビームラインを有している。2020年度は、学内課題11件、施設共用課題2件が採択されており、100日間のマシンタイムを実施した。加速器稼働時間は1,054.5時間であり、ビーム加速時間は811.4時間であった。また、2020年度の6MVタンデム加速器の利用者数は延べ647名であった。新型コロナウィルス感染予防のための緊急事態宣言に対応して、2020年4月16日から5月17日を加速器休止期間として、施設の利用停止措置をおこなった。その他にも、学外利用者の来訪自粛による加速器実験の中止などがあり、2019年度と比較して、加速器運転時間は約28%の減少となった。6MVタンデム加速器の主な利用分野は、加速器質量分析(AMS)とマイクロビーム分析、宇宙用素子放射線耐性試験及びラムシフト型偏極負イオン源(PIS)からの偏極陽子ビームを用いた原子核実験となっている。2020年度は、中性子用モニタリングポスト1台と冷却水用チラーの更新をおこなった。本発表では、2020年度の加速器施設の整備および運用状況について報告する。 |
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THP054 p.969 | 放医研HIMACの現状報告 Present status of HIMAC ○松葉 俊哉,楊 叶,水島 康太,稲庭 拓,岩田 佳之,浦田 昌身,片桐 健,北川 敦志,佐藤 眞二,高田 栄一,野田 悦夫,村松 正幸,白井 敏之(量研機構),佐野 悦信,篠崎 直樹,川島 祐洋,甲斐 聡,中島 猛雄,若勇 充司,藤本 哲也(加速器エンジニアリング) ○Shunya Matsuba, Ye Yang, Kota Mizushima, Taku Inaniwa, Yoshiyuki Iwata, Masami Urata, Ken Katagiri, Atsushi Kitagawa, Shinji Sato, Eiichi Takada, Etsuo Noda, Masayuki Muramatsu, Toshiyuki Shirai (QST), Yoshinobu Sano, Naoki Shinozaki, Masahiro Kawashima, Satoshi Kai, Takeo Nakajima, Mitsuji Wakaisami, Tetsuya Fujimoto (AEC) 放射線医学総合研究所(放医研)は、1993年に重粒子線がん治療用加速器HIMACを建設し、炭素イオンを用いた重粒子線がん治療を行ってきた。1994年の治療開始から今年で28年目を迎え、現在までの重粒子がん治療の登録患者数は延べ13000人以上となっている。2010年にはHIMACの既存施設に連結する形で新治療研究棟を建設し、複雑な腫瘍形状や治療期間中における腫瘍形状の変化にも対応可能な三次元スキャニング照射法を適用した治療を2011年から開始している。また、2017年からは超伝導電磁石を用いた回転ガントリー照射装置による治療も開始され、0-360度の角度範囲から任意の方向を選択して照射できるようになり、安定した治療運用がなされている。 放医研は2016年量子科学技術研究開機構となり、現在はレーザー駆動イオン加速技術を用いた入射器やシンクロトロンへの超伝導電磁石技術の適用などによって実現される次世代重粒子線治療装置「量子メス」の研究開発を進めている。量子メスでは、複数のイオン種を組み合わせて照射するマルチイオン照射法の確立による難治性がんの治療成績向上や治療期間の短縮などの治療高度化も目指しており、それに関連した研究開発もあわせて進められている。本発表では、最近の研究開発の概要を紹介するとともに、運用の現状について報告を行う。 |
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THP055 | KEK空洞製造施設(KEK Cavity Fabrication Facility / KEK-CFF)の現状報告 Status report of KEK Cavity Fabrication Facility (KEK-CFF) ○佐伯 学行,阿部 慶子,道前 武,平木 雅彦,井上 均,Kumar Ashish,道園 真一郎,梅森 健成,渡邉 勇一,山中 将(高エネ研) ○Takayuki Saeki, Keiko Abe, Takeshi Dohmae, Masahiko Hiraki, Hitoshi Inoue, Ashish Kumar, Shinichiro Michizono, Kensei Umemori, Yuichi Watanabe, Masashi Yamanaka (KEK) KEK空洞製造施設(KEK Cavity Fabrication Facility、以下 KEK-CFF)は、Nb製超伝導加速空洞(以下、超伝導空洞)の量産製造の技術開発を行っている施設である。KEK-CFFでは,超伝導空洞の製作のために必要な機器,すなわち,プレス機,旋盤,化学研磨室,電子ビーム溶接(Electron Beam Welding / EBW)機などが一ヵ所に集約設置されている。我々は,この施設を使用して,2009年からILCのための超伝導9セル空洞の製作の研究を行っている. この研究は,特にILCでの超伝導9セル空洞の量産における高い歩留まりとコスト削減に焦点を絞って行われている。この発表では、KEK-CFFの現状について報告する。 |
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THP056 p.973 | 京都大学自由電子レーザ施設の現状 Present status of free electron laser facility at Kyoto University ○全 炳俊,紀井 俊輝,大垣 英明(京大エネ研) ○Heishun Zen, To Kii, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.) 京都大学エネルギー理工学研究所では、エネルギー材料開発への応用を主な対象とし、S-band高周波電子銃を電子源とした小型で経済的な中赤外自由電子レーザ(KU-FEL)を開発し、中赤外波長可変レーザの発生とその利用研究を行っている。加えて、2018年度から中赤外自由電子レーザで駆動する高次高調波アト秒パルス光源の実現に向けた基礎基盤技術開発を開始した。また、近年は光陰極高周波電子銃を電子源として用いたコヒーレントアンジュレータ放射光源の開発も行っている。 |
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THP057 p.978 | ニュースバル放射光施設の現状 Present status of the NewSUBARU synchrotron light facility ○橋本 智,藤井 将(兵庫県立大 高度研),濱田 洋輔(高輝度センター),皆川 康幸,鍛治本 和幸,中田 祥太郎,平山 英之,田中 信一郎(スプリングエイトサービス) ○Satoshi Hashimoto, Hitoshi Fujii (LASTI, Univ. of Hyogo), Hamada Yousuke (JASRI), Yasuyuki Minagawa, Kazuyuki Kajimoto, Shoutarou Nakata, Hideyuki Hirayama, Shinichirou Tanaka (SES) 兵庫県立大学高度産業科学技術研究所の運用する、ニュースバル放射光施設加速器の現状を報告する。本施設は、周長118mの電子蓄積リングと9本の放射光ビームラインで構成されている。専用の入射器により電子蓄積リングに電子ビームが入射されており、1GeV/300mA±0.2mAのTopUp 運転 (2021年度からは350mA TopUp運転)、および週に1、2日は1.5GeV/350mAの加速/Decay運転を行なっている。2020年度の前半のみ加速器の運転が行われ、トラブルによる利用運転停止時間は2時間程度になっている。トラブルの主な内容としては、tune補正システムの不具合や入射器のトラブルなどがある。2020年度後半に新しい入射器の設置工事が始まり、理研・JASRIの支援・協力の下、2021年1月より入射器のRFのコンディショニングを開始し、2月中旬より入射器のビーム調整を開始している。3月初めには電子蓄積リングへのビーム入射を確認しており、4月には350mA TopUp運転、加速運転が出来ることを確認している。4月下旬より、利用運転を再開している。 |
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THP058 p.981 | RCNPサイクロトロン施設の現状 Status of the RCNP cyclotron facility ○依田 哲彦,福田 光宏,神田 浩樹,畑中 吉治,斎藤 高嶺,友野 大(阪大RCNP),中尾 政夫(群大重医セ),Koay HuiWen,安田 裕介,田村 仁志,森田 康之,武田 佳次郎,原 隆文,荘 浚謙,Zhao Hang(阪大RCNP) ○Tetsuhiko Yorita, Mitsuhiro Fukuda, Hiroki Kanda, Kichiji Hatanaka, Takane Saito, Dai Tomono (RCNP, Osaka Univ.), Masao Nakao (GHMC), Huiwen Koay, Yuusuke Yasuda, Hitoshi Tamura, Yasuyuki Morita, Keijiro Takeda, Takafumi Hara, Tsunhim Chong, Hang Zhao (RCNP, Osaka Univ.) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)ではK140 AVFサイクロトロンとK400リングサイクロトロンを稼働しており、原子核物理学、加速器科学、情報科学、物性物理学、宇宙物理学、医学等に向けたビームの利用を推進している。ビーム強度をこれまでより10倍に増強する目的で、2019年2月に加速器運転を終了し、2020年度にかけてAVFサイクロトロン本体や付属機器類、施設の老朽化対策および性能の向上を目的とした集中メンテナンス、アップグレードを実施した。AVFサイクロトロンのアップグレードとしては大強度高品質一次ビームの供給を中心とし、近年需要の増えてきたRI製造能力の向上を図るとともに、ミューオンや中性子、RIビームといった二次粒子ビームおよび高分解能ビームの強度の増大を図る。施設のアップグレードとしては、大強度化するビームに対応した遮蔽増強や冷却能力の向上、RI排水施設の更新によるRI取扱い能力の向上を図る。2019年度には施設関連の改修作業を終えた。AVFサイクロトロンのアップグレードは2020年度内にサイクロトロン本体の更新工事が完了した。2021年度は制御や真空・冷却などの配線配管など最終仕上げ作業を実施し、ビームコミッショニングを行い、ユーザーへのビーム供給を開始する予定である。2020年度以降実施してきたAVFサイクロトロンアップグレードの現在の状況に関して報告を行う。 |
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THP059 p.983 | 理研重イオンリニアックの現状報告 Present status of RILAC 大木 智則,小山田 和幸,山内 啓資,田村 匡史,遊佐 陽,金子 健太(住重加速器サービス株式会社),○坂本 成彦,藤巻 正樹,池沢 英二,今尾 浩士,木寺 正憲,長友 傑,大関 和貴,須田 健嗣,内山 暁仁,渡邉 環,渡邉 裕,山田 一成,上垣外 修一(理研 仁科加速器科学研究センター) Tomonori Ohki, Kazuyuki Oyamada, Hiromoto Yamauchi, Masashi Tamura, You Yusa, Kenta Kaneko (SHI Accelerator Service Ltd.), ○Naruhiko Sakamoto, Masaki Fujimaki, Eiji Ikezawa, Hiroshi Imao, Masanori Kidera, Takashi Nagatomo, Kazutaka Ozeki, Kenji Suda, Akito Uchiyama, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe, Kazunari Yamada, Osamu Kamigaito (RIKEN Nishina Center) 理研仁科加速器科学研究センターの理研重イオンリニアック(RILAC)は、1981年に単独運転が開始され、40年以上運転を続けている。2016年よりアップグレードが実施され、実験設備のほかに、超伝導ECRイオン源と超伝導線型加速器SRILACの建設が実施された。 2020年1月28日のファーストビーム以降、ビームコミッショニングを実施、6月からはマシンタイムを開始した。本年1月、6台のDTLのドリフトチューブからの冷媒のリークが急増し、対処するため長期のシャットダウンに入った。この間、超伝導空洞で発生していたカプラー窓からのリークの 対処も進めた。5月の連休明けからのビーム加速再開時には超伝導空洞10台で加速することができた。それ以降安定にビーム供給を続けている。 本発表ではこの加速器の現状報告として、この10年間の運転状況、及びこの1年間における保守作業などについて報告する。 |
萌芽的加速器技術の提案 (8月9日・10日・11日・12日 会議室P) | |
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IPP001 | ミューオンコライダーの中のERL Energy recovery linac in muon collider ○島田 美帆(高エネ研) ○Miho Shimada (KEK) ミューオンは静止質量が電子のおよそ200倍であることから、周長が数kmの蓄積リングに数TeVのエネルギーを周回させることができる。LHCよりエネルギーが低いが、レプトン同士の衝突はシンプルな反応であるため、新しい物理現象が見つかる可能性がある。ミューオン生成には陽子ビームを使うのが主流であるが、45GeVの陽電子による小さなエミッタンスのミューオンビームが提案され、海外で検討されている。変換効率が低く、また陽電子源の粒子数に限界があるため、ターゲットに照射した45GeV陽電子は何度も使いまわす必要がある。本研究では周回エネルギー45GeVで入射エネルギー5GeVのエネルギー線形加速器を用いる案を提案し、レイアウトやバンチ構造について検討した結果を報告する。 |
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IPP002 p.986 | 常伝導電子線型加速器の高繰り返し化に向けて Toward high-repetition normal-conducting electron linear accelerator ○前坂 比呂和(理研),岩井 瑛人(高輝度光科学研究センター/理研),稲垣 隆宏,田中 均(理研) ○Hirokazu Maesaka (RIKEN), Eito Iwai (JASRI / RIKEN), Takahiro Inagaki, Hitoshi Tanaka (RIKEN) CW超伝導線型加速器をベースとした高繰り返しXFELプロジェクトが海外でいくつか進んでいる。一方で常伝導線型加速器の高繰り返し化に向けては、これまで、誘電体補助による高Q値空洞でのマイクロ波領域の定在波による加速や、THz領域の電磁波を用いた誘電体加速などが提案されてきた。ここでは、これらの方向性とは異なる、マイクロ波領域の短パルス進行波による高繰り返し加速の可能性について検討する。一般的な常伝導線型加速器はとくにシングルバンチ運転において高周波電力から電子ビームパワーへの電力移行効率が極めて低いため、この効率を上げることで受電電力を維持したまま高繰り返し化ができるのではないだろうかと考えた。実際、加速管を大電力高周波でマイクロ秒程度の時間にわたって励振しているにもかかわらず、電子ビームが通過するのはそのうちわずか10ナノ秒程度である。加速管を励振する時間を電子ビームが通過する瞬間だけにすれば高周波電力の利用効率が上がるのではないか。また、電子ビームが高周波電力を奪ったあとも大部分の電力が残っている。この高周波電力を次の電子ビームの加速に使えないだろうか。本発表ではこのような発想のもとに新しい高繰り返し高加速勾配常伝導電子線型加速器についての提案を行う。 |
12:50 - 14:50(9日、10日)、13:10 - 15:10(11日、12日) | |
IPP003 p.991 | 大口径・薄板・耐圧を実現する金属積層造形によるTi-6Al-4V合金製ビーム窓の開発 Development of beam window with a large diameter, a thin wall thickness, and a large proof pressure out of Ti-6Al-4V through additive manufacturing ○牧村 俊助(KEK, J-PARC),設楽 弘之,長澤 豊,尾ノ井 正裕(金属技研),深尾 祥紀,亀井 直矢,栗下 裕明(KEK, J-PARC) ○Shunsuke Makimura (KEK, J-PARC), Hiroyuki Shidara, Yutaka Nagasawa, Masahiro Onoi (MTC), Yoshinori Fukao, Naoya Kamei, Hiroaki Kurishita (KEK, J-PARC) 次世代粒子加速器では高輝度な粒子ビームを得るために超伝導電磁石が主要なビーム光学機器になりつつある。しかし、超伝導電磁石に想定しない異常が発生した場合に、電磁石を冷却する液体ヘリウムがビームライン中に急激に放出される重大事故が危惧されている。実際、CERN-LHCでは、2008年9月にQuench incidentが発生し、以後の運転に大きな影響を与えた。粒子加速器の運転においてビーム窓は標的周辺環境の隔離、ビームライン領域の隔壁、二次粒子取り出し口など様々な目的で使用されている。ビーム窓は、透過する粒子のロスを低減するために低密度で薄い材料で製造する事が要求されると同時に、様々な要求から大口径であることが望まれる。一方で、次世代粒子加速器においてはQuench incident時に発生する急激な圧力上昇に対する耐圧も要求されることとなる。内圧を受ける薄板の設計においては、中央部を球殻形状にするとともに端部を厚くすることで、耐圧性能を向上できることが知られている。KEKでは金属技研株式会社との共同研究によって、このような設計思想を応用し、大口径・薄板・耐圧を実現する金属積層造形によるTi-6Al-4V合金製ビーム窓の開発を進めている。本発表では、ビーム窓開発の現状を報告する。 |
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IPP004 p.995 | 大強度陽子リングにおけるElectron Lensの利用についての考察 Study on Usage of Electron Lens for High Intensity Proton Rings ○栗本 佳典(高エネ研) ○Yoshinori Kurimoto (J-PARC Center) Electron Lensは、空間電荷効果による平均的なチューンのずれ(チューンシフト)を補償するためにフェルミ研テバトロンで実用化された。電子レンズとは、円形加速器の一部に設置された電子ビームのことで、陽子バンチがそこを通過した際にこの電子ビームによる電磁ポテンシャルが陽子バンチの発散力をキャンセルする。本講演では、陽子ビームの縦方向プロファイルに合わせたElectron Lensの収束力(電子ビームの強度)制御によるチューンの広がり(チューンスプレッド)を抑えるデバイスとして、陽子数フロンティアであるJ-PARCなどでの利用可能性についてシミュレーションでの検討状況を報告する。 |
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IPP005 | 集束レーザー光を使った低速電子線向け電子レンズの提案 Proposal of electron lenses for low-energy electrons using a focused laser beam ○上杉 祐貴(東北大,JSTさきがけ),小澤 祐市,佐藤 俊一(東北大) ○Yuuki Uesugi (Tohoku U., PRESTO, JST), Yuichi Kozawa, Shunichi Sato (Tohoku U.) 光定在波中に電子を入射すると誘導Compton散乱が生じ,ペタワット級のレーザー光を使用せずとも1電子と2光子の非線形散乱を観測できる. この現象をKapitza-Dirac(KD)効果という. KD効果では数10 keVの電子に対して数10 GW/cm2の光強度で有意なビーム変調作用を実現することが可能であり,近年おもに電子顕微鏡法の分野で電子ビームの波面変調やエネルギー変調,およびアト秒バンチング化を実現した例が相次いで報告されている. 本研究では,ビーム軸に直交する面内に回転対称な光定在波を用いることで,電子ビームを発散または収束させる電子ラウンドレンズ(その形状が回転軸対称なレンズ)として機能することを見い出した.想定する入射レーザー光は径偏光または方位偏光のBessel-Gaussビームであり,これを高NAのレンズで強く集光し,その中心に電子ビームを光学軸と平行に入射する.数値計算により,電子ビームに対してそれぞれ凹/凸レンズとして作用することを確認した.特に凸レンズ作用では,光軸より離れた位置の集束作用のほうが光軸近傍よりも弱い,いわゆる負の球面収差を有することを発見した.これは従来の静電磁界型のラウンドレンズでは原理的に実現しない特性である.ポスターでは上記計算結果の詳細について報告するとともに,より高速の電子線に対する作用の検討について紹介する. |