合同セッション (8月1日 クラーク会館) | |
10:00 - 10:30 | |
TUOLP01 p.1 [Slides] | SACLA軟X線自由電子レーザービームラインのビーム特性 Beam characteristics of the soft x-ray free-electron laser beamline of SACLA ○渡川 和晃,安積 隆夫,安積 則義,原 徹,長谷川 照晃,細田 直康,稲垣 隆宏,金城 良太,近藤 力,前坂 比呂和,松井 佐久夫,大島 隆,大竹 雄次,大和田 成起,田中 隆次,矢橋 牧名,田中 均,石川 哲也(理研 放射光科学総合研究センター),備前 輝彦,木村 洋昭,松原 伸一,中嶋 享,櫻井 辰幸,富樫 格,登野 健介(高輝度光科学研究センター),田尻 泰之,田中 信一郎(株式会社スプリングエイトサービス) ○Kazuaki Togawa, Takao Asaka, Noriyoshi Azumi, Toru Hara, Teruaki Hasegawa, Naoyasu Hosoda, Takahiro Inagaki, Ryota Kinjyo, Chikara Kondo, Hirokazu Maesaka, Sakuo Matsui, Takashi Ohshima, Yuji Otake, Shigeki Owada, Takashi Tanaka, Makina Yabashi, Hitoshi Tanaka, Tetsuya Ishikawa (RIKEN SPring-8 Center), Teruhiko Bizen, Hiroaki Kimura, Shinichi Matsubara, Kyou Nakajima, Tatsuyuki Sakurai, Tadashi Togashi, Kensuke Tono (JASRI), Yasuyuki Tajiri, Shinichiro Tanaka (SES) 理化学研究所が建設したX線自由電子レーザー(FEL)施設SACLAは順調に稼働しており、2本の硬X線ビームラインのパルス毎同時振分け運転も行われるようになった。また、SACLAでは幅広い波長帯域の短波長FEL光の提供を目指しており、SACLAのプロトタイプ機として成果を上げたSCSS試験加速器を2014年にアンジュレータホールに移設し、既設の軟X線ビームライン(BL1)をFEL装置へとアップグレードした。2016年には最大電子ビームエネルギーを500 MeVから800 MeVへと増強し、レーザー発振が可能な最短波長を光子エネルギーで150 eVまで拡張した。最大パルスエネルギーは光子エネルギー100 eVにおいて100 μJ程度、パルスの繰返しは60 Hzである。既にSACLAの供用ビームラインとしてユーザー運転が開始されており、初年度である2016年度には8つの利用課題実験が行われた。本年会では、電子ビームやFEL光の特性評価などSACLA-BL1に関する報告を行う。 |
10:30 - 11:00 | |
TUOLP02 [Slides] | LHCの現状と将来のアップグレード計画 Status of LHC and future upgrade plan ○中本 建志(高エネ研) ○Tatsushi Nakamoto (KEK) 欧州原子核研究機構(CERN)のLarge Hadron Collider(LHC)は、世界最高エネルギーでの陽子・陽子衝突実験を行う、エネルギーフロンティア加速器である。世界最高の重心系衝突エネルギー(7+7=14TeV)を実現するため、トンネル内に定格8.3 Tを発生する15 m長ビーム偏向用NbTi超伝導双極磁石が1232台設置されている。LHCは、2010年から本格的なビーム運転を開始したが、運転初期のRun 1では超伝導磁石間を接続するバスラインのハンダ接続不良から、衝突エネルギーは8 TeV以下に抑えられていた。その後2年間の改修工事を経て、2015年から再開したRun 2では、衝突エネルギーも13 TeVにまで回復し、またピークルミノシティも設計値1.0×1034 cm-2s-1を超えて、順調に運転が続けられている。この間、2013年ノーベル物理学賞をもたらした『ヒッグス粒子の発見』をはじめ、数々の成果をあげている。こうした状況の中、CERNはLHCからの物理成果を将来にわたって最大限に引き出すため、積分ルミノシティを現行の10倍に増大させる『LHC高輝度(高ルミノシティ)化アップグレード(High Luminosity Large Hadron Collider: HL-LHC)』計画を立ち上げた。 本講演では、LHC加速器の現状について報告したのち、HL-LHCアップグレード計画の概要とプロジェクト成功の鍵を握る先端加速器技術開発について紹介する。最後にHL-LHC以降の将来計画について言及する。 |
11:00 - 11:30 | |
TUOLP03 p.5 [Slides] | 超伝導空洞の物理: 高Q値・高加速勾配空洞の実現に向けて Physics of superconducting cavity: towards realizations of high-Q and high gradient cavities ○久保 毅幸(KEK/総研大) ○Takayuki Kubo (KEK/SOKENDAI) The field of superconducting radio-frequency (SRF) cavity is indeed in a golden age. Experimental and theoretical progresses in 2010s, such as N doping, Ti doping, efficient flux expulsion, N infusion, Nb3Sn, and multilayer, are drastically changing the regime of R&D activities in the world. Some of them will be soon equiped and operated in accelerators. In the present talk, we discuss these hottest topic: cutting-edge technologies and proposed next technologies. We start from a brief review of basics of SRF based on the SRF theory. Then introduce the latest technologies and possible theoretical explanation of them. Finally the future SRF technologies are discussed. Throughout the talk, theoretical explanations are emphasized. |
11:30 - 12:00 | |
TUOLP04 p.7 | 重力波検出と技術 Gravitational wave detection and its technologies ○都丸 隆行(高エネルギー加速器研究機構) ○Takayuki Tomaru (High Energy Accelerator Research Organization) 2015年に米国のadvanced LIGO実験により、始めて重力波の直接検出がなされた。 この現象は約13億光年彼方でのブラックホール連星合体から放射された重力波で、検出された信号の大きさは時空間の歪みで10^-21という極微であった。 このような微小な信号を検出するためには、極限まで研ぎ澄まされた技術が必要であり、加速器科学で発展した技術も多く採用されている。 本講演では、重力波検出とその技術、さらには我々が建設を進める大型低温重力波望遠鏡KAGRAについて発表する予定である。 |
高周波加速構造1 (8月1日 講堂(2F)) | |
15:20 - 15:40 | |
TUOL01 p.12 [Slides] | LIU(LHC入射器アップグレード)-RFの現状とCERNメイラン地区加速器の広帯域化 of LIU (LHC Injector Upgrade) RF collaboration and wideband cavities in CERN Meyrin campus acceleraors ○大森 千広(KEK/J-PARC),Paoluzzi Mauro(CERN),田村 文彦(JAEA/J-PARC),長谷川 豪志,杉山 泰之(KEK/J-PARC) ○Chihiro Ohmori (KEK/J-PARC), Mauro Paoluzzi (CERN), Fumihiko Tamura (JAEA/J-PARC), Katsushi Hasegawa, Yasuyuki Sugiyama (KEK/J-PARC) LIUはLHCビームの高輝度化と信頼性向上に向けたLHCの入射器の大改造計画で ある。その主要な改造の一つとして、PS-ブースター加速器の3種類の高周波空洞の すべてを金属磁性体FT3L装填型空洞に置き換える計画が進行している。このFT3L はJ-PARCの性能向上のためにすでに導入されている磁性材料であり、KEK/J-PARC で開発された大型磁場中熱処理炉により製造される。空洞のセル数は120セルで あり、空洞量産が順調に進行している。本発表では本年末に製作が終了する予定 の高周波システムの現状について報告するとともに、すでに稼働しているCERN- PSでの結合バンチ不安定性対策のためのDamper空洞、反陽子減速リングELENAの 減速空洞、鉛イオン加速器LEIRの加速空洞などCERNのスイス側キャンパスの加速 器に設置されている他のFT3L空洞についても報告する。陽子・イオン加速器に 広帯域高性能な空洞を用いる利点についてまとめる |
15:40 - 16:00 | |
TUOL02 p.17 [Slides] | 重イオン線型加速器用λ/4型超伝導空洞共振器プロトタイプシステムの開発 Development of superconducting QWR prototype system for heavy-ion linac ○山田 一成,上垣外 修一,大関 和貴,坂本 成彦,須田 健嗣,渡邉 裕(理研仁科センター),加古 永治,仲井 浩孝,梅森 健成(高エネルギー加速器研究機構),宮本 明啓,仙入 克也,柳澤 剛(三菱重工メカトロシステムズ株式会社) ○Kazunari Yamada, Osamu Kamigaito, Kazutaka Ozeki, Naruhiko Sakamoto, Kenji Suda, Yutaka Watanabe (RIKEN Nishina Center), Eiji Kako, Hirotaka Nakai, Kensei Umemori (KEK), Akihiro Miyamoto, Katsuya Sennyu, Takeshi Yanagisawa (MHI-MS) 理研仁科センターでは、大強度重イオン線型加速器のための要素技術開発として、2014年度よりλ/4型超伝導空洞共振器(超伝導QWR)を含むプロトタイプシステムの開発を行ってきた。プロトタイプシステムでは、超伝導QWR 1台の他、超伝導QWRを2台搭載可能なクライオモジュール、10kW対応の同軸カプラー、共振周波数チューナーの開発・製作を行い、全てをクライオモジュールに組み込んで試験を行うことを目指している。2014年度には超伝導QWRの設計、2015年度には超伝導QWRの部品製作、カプラーの設計、クライオモジュールの基本設計を行った。2016年度前半には引き続き超伝導QWRの組立および表面処理、カプラーの製作、クライオモジュール部品の製作、チューナーの設計を行った。2016年度後半より超伝導QWRの単体試験を行い、ほぼ想定通りの性能を確認することが出来た。またカプラーのコンディショニングも行い、問題なく10kWの電力を入力することが出来た。チューナーの製作後、全コンポーネントのクライオモジュールへの組み込みを完了し、冷却試験を行った。本発表ではプロトタイプシステムの開発状況および今後の予定を報告する。本研究は、総合科学技術・イノベーション会議が主導する 革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一環として実施したものです。 |
16:00 - 16:20 | |
TUOL03 p.22 | ILCに向けたSTF-2クライオモジュールの31MV/mでの運転実証 High gradient operation of the STF-2 cryomodules at 31 MV/m for ILC ○山本 康史,道前 武,江木 昌史,原 和文,本間 輝也,加古 永治,小島 裕二,許斐 太郎,久保 毅幸,松本 利広,三浦 孝子,仲井 浩孝,中西 功太,朴 グンタエ,佐伯 学行,清水 洋孝,宍戸 壽郎,竹中 たてる,梅森 健成(高エネルギー加速器研究機構) ○Yasuchika Yamamoto, Takeshi Dohmae, Masato Egi, Kazufumi Hara, Teruya Homma, Eiji Kako, Yuuji Kojima, Taro Konomi, Takayuki Kubo, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Hirotaka Nakai, Kota Nakanishi, Gunn Tae Park, Takayuki Saeki, Hirotaka Shimizu, Toshio Shishido, Tateru Takenaka, Kensei Umemori (KEK) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)内にある超伝導高周波試験施設(STF)では国際リニアコライダー計画(ILC)にて想定されているものと同タイプのクライオモジュールの冷却試験が2014年から断続的に行われている。このクライオモジュールにはSTFタイプの9セル空洞が12台搭載されており、2015年に行われた冷却試験にて8空洞がILCスペックである31.5MV/m以上に到達していることが確認されている。2016年に行われた3回目の冷却試験では熱負荷測定と共にILCと同様の運転条件による8空洞の同時運転が行われた。本講演では3回目の冷却試験の結果を中心に、STF-2計画にてこれまでに実証された成果を発表する予定である。 |
16:20 - 16:40 | |
TUOL04 p.27 | 三次高調波電圧誘導法による多層膜コーティング超伝導薄膜の評価 Evaluating the multi-layer thin-film superconductor using the third harmonic voltage method ○片山 領,岩下 芳久,頓宮 拓(京大化研),及川 大基(宇都宮大学),加藤 茂樹,久保 毅幸,佐伯 学行,早野 仁司(高エネ研),日野 正裕(京都大学) ○Ryo Katayama, Yoshihisa Iwashita, Hiromu Tongu (Kyoto U., ICR), Hiroki Oikawa (Utsunomiya University), Shigeki Kato, Takayuki Kubo, Takayuki Saeki, Hitoshi Hayano (KEK), Masahiro Hino (Kyoto University) 超伝導加速空胴において近年、ロンドン長以下の厚さの超伝導薄膜を積層することにより、最大加速勾配の増大が図れるとの指摘があった。加速空洞内面を超伝導薄膜の多層膜コーティングを行うことによって母材であるニオブへの到達磁場を大幅に低減出来れば、現在のニオブ製の超伝導加速空洞の最大加速勾配を大幅に向上できる可能性があるため、その実現可能性の詳細な検討が望まれる。本研究では、超伝導薄膜の評価のため、三次高調波電圧誘導法を用いる。絶縁基板上に成膜された超伝導薄膜のサンプルにコイルで発生させた交流磁場を印加し、コイルのインダクタンスの非線形成分を測定することにより、下部臨界磁場を測定する。本講演ではこのシステムの構築について報告する。 |
高周波加速構造2/高周波源 (8月1日 講堂(2F)) | |
16:50 - 17:10 | |
TUOL05 p.30 [Slides] | Cバンド20K冷却高電界RF電子銃による高品質電子ビーム引き出しの可能性 Possibility of high quality electron beam extraction by high electric field in C-band 20-K cooled RF gun ○田中 俊成,境 武志,早川 建,早川 恭史,野上 杏子,住友 洋介,山田 靖征,吉田 昂斗,佐藤 勇(日大電子線利用研究施設) ○Toshinari Tanaka, Takeshi Sakai, Ken Hayakawa, Yasushi Hayakawa, Kyoko Nogami, Yosuke Sumitomo, Yasuyuki Yamada, Takato Yoshida, Isamu Sato (LEBRA, Nihon University) 高周波空洞で発生する電界の実用限界に関してはこの数年間で大きな進展が見られ、KEK、SLAC、CERNを中心としたXバンド加速管の開発においては、100MV/mを超える加速電界が実現している。これらは常温空洞での成果であるが、SLACにおける放電頻度の実験から、低温冷却空洞ではさらに高電界が期待できることが示唆されている。これは空洞表面における放電頻度に関して提唱されている、電界による金属結晶内転移移動に基づくモデルとも定性的に一致する。日大ではKEKとの共同研究により、Cバンド・5712MHzのクライオ光陰極高周波電子銃の研究を進めてきたが、これまでに行なった低電力モデル空洞の特性試験から、高純度銅材による2.6セル電子銃空洞を20Kまで冷却することで空洞損失が低下し、常温の約5.5倍の無負荷Q値が得られることが確かめられた。高電界放電に関する知見の進展と日大における低温特性試験の結果を踏まえ、日大では新たな課題として、2016年より20K冷却銅空洞による数100MV/mの加速電場とそれによる高品質電子ビーム引出しの実現可能性について検討を始めている。低電力試験用2.6セル空洞の結果では、ピーク電力20MWの高周波入力でカソード表面に250MV/mの最大電界が期待できる。発表では、より大電力を入力した場合に対応した加速構造及び引き出し電子ビームの振る舞い、さらに20K冷却Cバンド空洞における高電界放電頻度の調査を展望した検討について報告する予定である。 |
17:10 - 17:30 | |
TUOL06 p.35 [Slides] | SuperKEKB 陽電子ダンピングリングにおける常伝導高周波加速空洞の据付 Installation of normal-conducting RF accelerating cavities into the SuperKEKB positron damping ring ○阿部 哲郎,竹内 保直,坂井 浩,影山 達也,吉野 一男,増澤 美佳,川本 崇(高エネ研) ○Tetsuo Abe, Yasunao Takeuchi, Hiroshi Sakai, Tatsuya Kageyama, Kazuo Yoshino, Mika Masuzawa, Takashi Kawamoto (KEK) SuperKEKB主リングへの低エミッタンス陽電子入射を実現するため、ダンピングリングが建設された。本ダンピングリングには加速のためのRF区間が一カ所あり、そこの限られたスペース(ビーム軸方向に約3.8m)に最大3台のUHF帯減衰型常伝導高周波加速空洞を設置することが可能である。その場合、本ダンピングリングは、2 MVを超える全加速電圧にて運転可能となる。限られたスペースのため、単セル空洞の電磁気的特徴を保ちつつ、各空洞を(ベローズを介さず)直接接続する新しい方式を加速構造として初めて採用した。我々は、2016年秋、この特徴ある加速構造を(空洞2台構成で)ダンピングリングに据え付けた。その組立・アライメントの方法、及び、結果等について報告する。 |
17:30 - 17:50 | |
TUOL07 [Slides] | KEKにおけるILCクライストロン電源開発の現状 Current status of ILC klystron modulator development at KEK ○明本 光生,川村 真人,設楽 哲夫,竹中 たてる,中島 啓光,福田 茂樹,本間 博幸,松本 利広,道園 真一郎(KEK) ○Mitsuo Akemoto, Masato Kawamura, Tetsuo Shidara, Tateru Tkakenaka, Hiromitsu Nakajima, Shigeki Fukuda, Hiroyuki Honma, Toshihiro Matsumoto, Shinichiro Michizono (KEK) KEKではILC計画に向けて10MWクライストロンを駆動するピーク電圧120kV,ピーク電流140A, パルス幅1.7ms, パルス平坦度1%(p-p), 繰り返し5Hzの大電力長パルス電源の開発が進められている。この電源は約440台、トンネル内に設置されることかから、高信頼化、小型軽量化、低価格化を狙って半導体スイッチを使用した電源の開発が求められている。本発表では現在KEKで運用中のバウンサー型パルス電源の状況そして長岡技術科学大学とパルスパワー技術研究所と共同で開発中のマルクス型パルス電源(小電力パルス発生回路を充電時に並列接続して充電し、パルス発生時にはそれを直列接続して放電させて高圧パルスを発生させる)の開発状況について報告する。 |
17:50 - 18:10 | |
TUOL08 p.40 [Slides] | SACLA油密閉型モジュレータに用いる50kV半導体スイッチの開発 Development of a 50 kV solid-state switch for an oil-filled klystron modulator in SACLA ○稲垣 隆宏,近藤 力,大竹 雄次(理化学研究所 放射光科学総合研究センター),安積 隆夫(高輝度光科学研究センター/理化学研究所 放射光科学総合研究センター),益田 邦和(スプリングエイトサービス),徳地 明,天神 薫,木田 保雄(パルスパワー技術研究所) ○Takahiro Inagaki, Chikara Kondo, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center), Takao Asaka (JASRI / RIKEN SPring-8 Center), Kunikazu Masuda (SPring-8 Service), Akira Tokuchi, Kaoru Tenjin, Yasuo Bokuda (Pulsed Power Japan Labo.) X線自由電子レーザー施設SACLAでは、クライストロン駆動用に絶縁油密閉型のモジュレータを79台使用している。モジュレータでは、高電圧スイッチ素子としてサイラトロンを使用しているが、経年劣化による変動や故障がしばしば加速器の運転を中断し、また寿命が短く毎年10本から20本の交換を行うことが問題となっている。そこで、経年変化が少なく長寿命の半導体素子を用いた高電圧スイッチを開発し、サイラトロンに置き換えることを目指した。 高電圧スイッチには、50kVに充電されたPFN回路のコンデンサを数100ns以内に短絡し、5kA、5μsあるいは3kA、8μsのパルス電流を流す動作を、60ppsの繰り返しで行うことが要求される。半導体素子には、3.2 kVの高耐圧かつ許容電流が大きく、高速に導通でき損失が少ない静電誘導型サイリスタ素子を用い、これを24直列8並列に構成したものを高電圧スイッチとした。放熱性を高めるため、素子をアルミ製のヒートシンクに固定し、絶縁油をヒートシンク内で強制対流させている。我々は昨年、スイッチの試作機を完成させ、モジュレータに実装して60ppsにて47時間の運転試験を行った。試験では、高電圧パルス出力も上記の仕様を満足し、内部部品の温度も問題ないことを確認した。その後はLバンド高周波機器の試験にもこのスイッチを使用し、これまで700時間以上の運転を問題なく行っている。 |
電磁石と電源1 (8月1日 小講堂(1F)) | |
15:20 - 15:40 | |
TUOM01 p.45 | SiC-MOSFETのLTD回路を用いたRCSキッカー用新電源の開発 Development of a new power supply for the RCS kicker magnet with the LTD circuit of SiC-MOSFETs ○高柳 智弘,金正 倫計,山本 風海,植野 智晶,堀野 光喜(JAEA/J-PARC),徳地 明,虫邊 陽一(株式会社パルスパワー技術研究所) ○Tomohiro Takayanagi, Michikazu Kinsho, Kazami Yamamoto, Tomoaki Ueno, Koki Horino (JAEA/J-PARC), Akira Tokuti, Yoichi Mushibe (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.) スイッチング損失が小さく高耐圧の次世代パワー半導体の一つであるSiC-MOSFETをLTD(Linear Transformer Drivers)回路に適用した新しいパルス電源の開発を行っている。新しいパルス電源は、SiC-MOSFETの直並列多重化回路に加え、大容量コンデンサと反射波吸収回路を追加した新しいレイアウトのLTDモジュールを直列多段済みにした階層構造としている。サイラトロンスイッチ、PFNケーブル、エンドクリッパを外部回路に必要とせず、J-PARC RCSキッカー電源として必要な電圧40kV、電流4kA、パルス幅1500nsの仕様を25Hz運転で満足する。また、LTDモジュール1段あたりの出力電圧が定格の1/1000の補正LTDモジュールを複数枚追加し、動作トリガの入力タイミングを階層毎に任意に設定することで、矩形波の形成やドループの補正を電圧分解能±0.1%、且つ、ナノ秒オーダーで調整することが可能となる。主LTDモジュール5枚と補正LTDモジュール4枚で構成した最大出力4kA/2kAのプロトタイプ電源の予備試験の結果、RCSキッカー電源の仕様を満足する十分な結果を得ることできた。発表では、回路設計の構造と予備試験結果について報告する。 |
15:40 - 16:00 | |
TUOM02 p.50 | SiC化が進む加速器用高電圧パルス電源の研究 Research on high-voltage pulsed power supplies for accelerator applications with advanced SiC devices ○徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所),内藤 孝,明本 光生(高エネルギー加速器研究機構),岩室 憲幸(筑波大学),江 偉華(長岡技術科学大学),福田 憲司(産業技術総合研究所、先進パワーエレクトロニクス研究センター),高柳 智弘(日本原子力研究開発機構) ○Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd. (PPJ)), Takashi Naito, Mitsuo Akemoto (KEK), Noriyuki Iwamuro (University of Tsukuba), Weihua Jiang (Nagaoka University of Technology), Kenji Fukuda (AIST,ADPERC), Tomohiro Takayanagi (JAEA/J-PARC) 加速器システムの中には、多数の高電圧パルス電源が使用されているが、高電圧(数10kV以上)、大電流(数kA以上)、高速立上り(数10ns以下)と非常に厳しい使用条件の為に、これまで、サイラトロン等の放電管を使用するしか方法がなかった。しかし、これらの放電管は寿命が短い、繰り返し周波数が低い、付帯電源が必要、安定性が悪いなど、多くの欠点があり、加速器の性能を著しく低下させていた。 近年、SiC半導体デバイスの急速な発展などにより、素子の電圧、電流は年々上昇し、又、スイッチング時間の高速化と高周波化も進んできた。加えて、多数の半導体デバイスを直列、並列に安定に動作させる回路構成もMARX回路、LTD回路、マトリックス回路、SOS回路等種々開発が進んできた結果、ほとんど全ての高電圧パルス電源は半導体で実現可能となってきた。 これにより、これまでの放電管の多くの欠点は克服され、加速器の性能も著しく改善されるようになってきた。 近年、半導体化がすすめられてきた当社の実施事例と合わせて、用途に合わせた最適なパルス電源の選定について系統だった研究を行ってきたのでこの研究結果を報告する。 本研究の一部は、共同研究体「つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション(TPEC)」の事業として行われた。 |
16:00 - 16:20 | |
TUOM03 p.55 [Slides] | SACLA高速振り分け電磁石用の大電力・高精度パターン電源の開発 High power and high precision pattern power supply of kicker magnet at SACLA ○近藤 力,原 徹,福井 達,稲垣 隆宏,大竹 雄次,田中 均(理研 放射光科学研究センター),深見 健司(高輝度光科学研究センター/理研 放射光科学研究センター),中澤 伸侯(スプリングエイトサービス),川口 祐介,川口 秀章(ニチコン草津) ○Chikara Kondo, Toru Hara, Toru Fukui, Takahiro Inagaki, Yuji Otake, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center), Kenji Fukami (JASRI / RIKEN SPring-8 Center), Shingo Nakazawa (SPring-8 Service), Yusuke Kawaguchi, Hideaki Kawaguchi (Nichicon Kusatsu) X線自由電子レーザー施設SACLAでは、複数のビームラインにおけるXFEL実験が計画され、2014年より従来のビームライン(BL3)に加えて、第二ビームライン(BL2)でのビーム運転を開始した。しかし、このBL2への輸送ビームラインでは、コヒーレント放射光(CSR)効果によりビーム軌道やバンチ形状が不安定になった。そこで輸送ラインを、CSR効果を打ち消せるようDouble Bend Achromatかつ対称的な光学系に改造した。この改造により、初段のキッカー電磁石におけるビーム偏向角は従来の0.5°から1.5°へ増加し、また偏向磁場には軌道安定化のため10ppm(pk-pk)という高い安定度が要求された。そこで、従来の約6倍のインダクタンスを持つキッカー電磁石と、同じく約6倍の電力容量のパターン電源を開発した。この電源は、最大±299Aの台形状のパターン電流を60Hzで出力し、更にフィードバック制御により平坦部の電流を高精度で整定する。また、大電力化に伴う熱損失の増大や筐体の大型化を抑制するため、高電圧かつ高速スイッチングが可能なSiC MOSFETを用いることや、1A以下の小電流出力でも高精度で安定化できるよう、バイパス回路を用いるなどの新技術を導入した。本電源により磁場安定度は10ppm(pk-pk)を達成した。そしてBL2/BL3の高速ビーム振り分け運転では両ビームラインでのXFEL発振に成功した。 |
16:20 - 16:40 | |
TUOM04 p.60 [Slides] | SPring-8-IIのための永久磁石ベース偏向磁石開発の現状 Status of permanent dipole magnet development for SPring-8-II ○谷内 努,青木 毅,松原 伸一(高輝度光科学研究センター),高野 史郎,深見 健司,渡部 貴宏(高輝度光科学研究センター/理化学研究所放射光科学総合研究センター) ○Tsutomu Taniuchi, Tsuyoshi Aoki, Shinichi Matsubara (JASRI), Shiro Takano, Kenji Fukami, Takahiro Watanabe (JASRI / RIKEN SPring-8 Center) SPring-8のアップグレード計画であるSPring-8-IIでは、偏向磁石として永久磁石を用いることが検討されている。永久磁石を採用することにより電源や冷却水設備が不要となるため、電力削減や故障頻度の低減、無振動などのメリットが得られる。その一方、温度変化による残留磁束密度の変動や隣接する機器への漏洩磁場、経時的あるいは放射線照射による減磁などの永久磁石に特有の課題に対する評価・対策を十分検討しなければならない。我々はこれまでに、シミュレーションによる磁気回路の検討や原理実証機による測定などを行い、実機で必要となる磁場強度調整機構や温度補償磁気回路、階段状の磁場勾配を持つLongitudinal Gradient Bend などの要素開発を行ってきた。本発表では、開発研究の概要及び実機プロトタイプ機の設計・製作及び測定結果等について報告する。 |
電磁石と電源2 (8月1日 小講堂(1F)) | |
16:50 - 17:10 | |
TUOM05 p.64 | SuperKEKBビーム衝突点用超伝導電磁石システムの建設 Construction of the superconducting magnet system at the SuperKEKB IR ○大内 徳人,有本 靖,土屋 清澄,山岡 広,川井 正徳,近藤 良也,宗 占國,王 旭東(高エネ研),金 太炫(三菱電機),河村 郁夫(日立プラントメカニクス) ○Norihito Ohuchi, Yasushi Arimoto, Kiyosumi Tsuchiya, Hiroshi Yamaoka, Masanori Kawai, Yoshinari Kondo, Zhanguo Zong, Xudong Wang (KEK), Tae-hyun Kim (Mitsubishi Electric Corporation), Ikuo Kawamura (Hitachi Plant Mechanics Co., Ltd.) 高エネルギー加速器研究機構で建設中のSuperKEKB加速器は、Phase-1 の運転が終了し、現在はビーム最終収束用超伝導電磁石システムをビーム衝突点に建設している。この超伝導電磁石システムは、総数55台の超伝導電磁石から構成されており、ビーム衝突点を挟んで2台のクライオスタットに組込まれている。55台の超伝導電磁石の内、8台の超伝導4極電磁石、4台の超伝導ソレノイド、43台の超伝導補正磁石から構成されている。このシステムの設計は、2009年から始め、実機の超伝導4極電磁石の製作は2012年から開始した。また、超伝導補正磁石は、米国Brookhaven National Laboratory(BNL)と共同で開発・製作した。2016年8月1日に衝突点左側のクライオスタットをビームラインに据付け、2017年2月13日に右側のクライオスタットの据付けを完了した。本発表では、この超伝導電磁石システムの設計・製作・据付と今後の運転について報告する。 |
17:10 - 17:30 | |
TUOM06 p.68 [Slides] | J-PARC-MRアップグレードのための新しい入射セプタム電磁石の開発(3) The Development of new injection septum magnet for upgrading of J-PARC MR(3) ○芝田 達伸(高エネ研),川口 祐介,中村 健太,濱野 慧(ニチコン),石井 恒次,杉本 拓也,松本 教之,松本 浩(高エネ研) ○Tatsunobu Shibata (KEK), Yusuke Kawaguchi, Kenta Nakamura, Kei Hamano (Nichicon), Koji Ishii, Takuya Sugimoto, Noriyuki Matsumoto, Hiroshi Matsumoto (KEK) JPARC-MRの速い取り出し用ビームパワーの目標値は750kWである。そのため繰返し周期を1.3秒にする必要がありMR用入射電磁石の改修が進行中である。本発表ではその内の高磁場セプタム電磁石(以下入射セプタム)のアップグレードについて報告する。我々は、入射セプタム用電源の出力電流の時間幅が1.5秒であるため1.3秒周期に対応できない事、電磁石については磁極からの漏れ磁場が大きく大強度ビームには対応できない事が理由で電源と電磁石両方の新規製作を行ってきた。新規電源の出力波形の時間幅は0.6秒、電磁石も漏れ磁場が磁極内磁場の10^-4以下になるように製作した。そして2016年夏に新入射セプタムのインストールは無事完了した。 本発表では入射セプタムのインストール時の試験、インストール後の運転におけるトラブルやビームスタディで再確認した漏れ磁場の影響などの結果について報告する。 |
17:30 - 17:50 | |
TUOM07 p.73 [Slides] | J-PARC 主リング高繰り返し化のための主電磁石電源1号機 First new power supply of main magnet for J-PARC main ring upgrade ○下川 哲司,栗本 佳典,三浦 一喜,森田 裕一,内藤 大地(高エネ研),佐川 隆(ユニバーサルエンジニアリング) ○Tetsushi Shimogawa, Yoshinori Kurimoto, Kazuki Miura, Yuichi Morita, Daichi Naito (KEK), Ryu Sagawa (Universal Engineering) J-PARC主リングではビームの大強度化にむけて繰り返し周期を2.5秒から1.3秒に短縮することを計画している。繰り返し周期の短縮に伴い、主電磁石電源では、電磁石に蓄えられたエネルギーを1次側へ回生することによる系統の電力変動および、電源の出力電圧の増加が問題となる。さらに、遅い取り出しビームの時間構造の改善のために、出力電流の低リップル化も課題である。これらの課題に対して、コンデンサによるエネルギー貯蔵方式により、コンデンサと負荷間でエネルギーを受け渡し、抵抗損失分のみを系統から受電することで、系統の電力変動を抑制し、変換器の直列接続による耐圧の担保、負荷の分割による出力電圧の低減により高出力電圧に対応する。また、低リップル化を実現するために、スイッチングリップルを十分に除去できる出力フィルタと高速の変換器による構成を考えている。2016年夏、これまでに得た知見をもとに新電源の1号機を製作し、導入した。新電源1号機の製作にあたり、今後製作する全ての新電源に使用する変換器ユニット、制御装置の開発から行った。そのため、新電源1号機は、今後の新電源製作においての試験機の意味合いも持つ。本稿では、新電源1号機について試験結果を交えて報告する。 |
17:50 - 18:10 | |
TUOM08 p.77 [Slides] | LHC高輝度アップグレード用超伝導磁石の開発(5) - 改造したモデル磁石の励磁試験結果 - Development of superconducting magnets for LHC luminosity upgrade (5) - test results of the modified model magnet - ○榎本 瞬,菅野 未知央,中本 建志,鈴木 研人,川又 弘史,岡田 尚起,池本 由希子,岡田 竜太郎,田中 賢一,大畠 洋克,飯田 真久,高橋 直人,荻津 透,佐々木 憲一,東 憲男,木村 誠宏(高エネルギー加速器研究機構),Musso Andrea,Todesco Ezio(CERN) ○Shun Enomoto, Michinaka Sugano, Tatsushi Nakamoto, Kento Suzuki, Hiroshi Kawamata, Naoki Okada, Yukiko Ikemoto, Ryutaro Okada, Ken-ichi Tanaka, Hirokatsu Ohhata, Masahisa Iida, Naoto Takahashi, Toru Ogitsu, Ken-ichi Sasaki, Norio Higashi, Nobuhiro Kimura (KEK), Andrea Musso, Ezio Todesco (CERN) CERN-LHC加速器のRun2ではピークルミノシティが設計値1.0×10^34 cm-2s-1を超えて、順調に運転が続けられている。しかし、CERNでは測定感度のさらなる向上を目指して、2026年から積分ルミノシティを現行の10倍に増大させる「LHC高輝度化アップグレード(HL-LHC)」計画が進められている。KEKも、日本が参加するATLAS実験の高度化に貢献するため、ビーム最終収束部超伝導磁石の研究開発に参加している。KEKが担当するビーム分離用大口径双極磁石は、コイル内径が150 mmであり、1.9 Kにおいて双極磁場5.6 T(磁場長35 Tm)を発生する。 前回の学会では、KEKで所内開発した2mモデル磁石1号機の製作とその試験結果について報告した。磁石は定格電流12 kAの105%まで到達したものの、トレーニングの進捗が遅く、必ずしも満足行く結果ではなかった。その後、モデル1号機を一旦分解し、コイル予備応力を向上させるための改造を行った。改造された磁石(モデル1b号機)では、超伝導コイルを含む主要な構造部品は再利用されたが、シムをコイル水平面上に挿入することで、コイル予備応力はおよそ35MPa増加された。その結果、モデル1b号機のトレーニングクエンチ特性は格段に向上し、3回目の励磁で定格電流を超え、また受け入れ基準(定格電流108%)には6回目の励磁で到達することできた。本発表では、モデル1b号機での改造の様子と磁場測定を含む励磁試験結果について報告する。 |
特別講演 (8月1日 クラーク会館) | |
18:30 - 20:00 | |
TUOLS01 | え! がん治療も日本刀も電池も...秘密が分かる? ―小型・大型加速器で中性子を作って使って出来ること― Unlocking the secrets of cancer therapy, Japanese swards, batteries,... -What we can do by making and using neutrons with compact or huge accelerators- ○古坂 道弘(北海道大学 特任教授),大沼 正人(北海道大学 教授),佐藤 博隆(北海道大学 助教),鬼柳 善明(名古屋大学 特任教授),米村 雅雄(物質構科学研究所 特別准教授) ○Michihiro Furusaka, Masato Ohnuma, Hirotaka Sato, Yoshiaki Kiyanagi (Hokkaido University), Masao Yonemura (KEK IMSS) 加速器は素粒子・原子核の研究だけに使われているのではありません。加速器がオギャーと誕生した1895年ごろからレントゲン、X線治療など医療との二人三脚の歴史があります。最近では陽子線や重イオン、中性子を使った治療も開発されています。1960年代には東北大学で小型(?)電子加速器中性子源が作られ、中性子線を使った鉄の結晶構造解析を行っています。そんな物質・材料研究という意味では他にも電子顕微鏡とか放射光X線など強力な手段がありますが、玄人筋からは「やっぱり中性子は渋いが良いなー」という声があがっています。そこで世界の研究者がすごい強度の中性子線を取り出そうと、信じられないような技術で加速器中性子源を作っています。大強度陽子加速器施設(J-PARC)はその最先端です。 材料研究に目を向けると、例えばリチウムイオン電池だったらリチウムイオンがどこからどこに行ったのか追いかけたくなります。リチウムは軽い元素なのでそれを見ようと思うと「そこはやはり中性子」となるわけです。他にも日本刀では、切るのに適した構造の結晶が刃先にあり、中心部はしなやかさを出せる構造を持った結晶でできている、だから「あーそれで日本刀はすごいのか」と分かるのもやはり中性子。じゃあもっとすごい鉄鋼材料もできないかなーとミクロのさらに1/1000を調べるのも実は中性子が便利です。 だったら身近に中性子源があったらどんなに便利か。というわけで北大にあるような小型加速器中性子源という発想になるのですが、数年前までは誰もその実現を信じていませんでした。それが今は「へーそんなことまでできるんだ」と世界中の人が「我も我も」状態になっています。 |
ハドロン加速器1 (8月2日 講堂(2F)) | |
8:50 - 9:10 | |
WEOL01 p.81 [Slides] | インバリアント分析技術を活用した加速器システム等の異常に対する予兆検知・診断 Predictive detection & diagnosis of accelerator system using system invariant analysis technology(SIAT) ○相馬 知也(NEC),石井 恒次(J-PARC/KEK),吉岡 正和(東北大学・岩手大学),高城 真弓(日本電気株式会社) ○Tomoya Soma (NEC), Koji Ishii (J-PARC/KEK), Masakazu Yoshioka (Tohoku Univ. Iwate Univ.), Mayumi Takagi (NEC) 加速器システムにおける異常を検知することは、加速器実験を遂行する 上で非常に重要である。近年、AI(人工知能)及びビッグデータ解析の 技術が急速に発達してきた。その応用としてプラント等のインフラを 対象とした異常検知・予兆診断技術が研究・開発されている。この技術を 加速器に応用し、加速器システムの状態を正確にかつ詳細に把握すること により、異常検知や故障予兆を検知したりできる可能性を検討する。本研 究では、NECが開発したAIエンジンであるインバリアント分析技術を使い、 J-PARCに蓄積されたインフラ情報をインバリアント解析することで、 リアルタイム異常検知や故障の予兆診断への活用を目的とした分析を行う。 またビーム運転情報を加味し、未知の関係性を捉えることが可能になれば、加速器運転の安定化のみならず、ビームの性能向上にも役立つものと期待できる。将来、ILC加速器のような大規模プロジェクトでは必須の技術となっている可能性が高く、その可能性についても考察する。 |
9:10 - 9:30 | |
WEOL02 p.85 [Slides] | 国際共同プロジェクトIFMIF原型加速器(LIPAc)の開発 Development of IFMIF prototype accelerator in international project ○春日井 敦,赤木 智哉,蛯沢 貴,平田 洋介,一宮 亮,近藤 恵太郎,前原 直,坂本 慶司,新屋 貴浩,杉本 昌義(量研/六ヶ所),ナスター ホアン(IFMIF/EVEDA PT),カラ フィリップ,ジッコ エルベ,ハイディンガー ローランド,フィリップス ガイ(F4E) ○Atsushi Kasugai, Tomoya Akagi, Takashi Ebisawa, Yosuke Hirata, Ryo Ichimiya, Keitaro Kondo, Sunao Maebara, Keishi Sakamoto, Takahiro Shinya, Masayoshi Sugimoto (QST/Rokkasho), Juan Kaster (IFMIF/EVEDA PT), Philippe Cara, Herve Dzitko, Roland Hidinger, Guy Phillips (F4E) 日本と欧州による核融合エネルギー分野における国際共同プロジェクトの一つとして始まった 強力中性子源である国際核融合材料照射施設の工学実証・工学設計活動(IFMIF/EVEDA) のうち、原型加速器(LIPAc、Linear IFMIF Prototype Accelerator)の製作及び据付調整が本格化し大きく進展した。LIPAcは重水素イオン源-RFQ-MEBT-SRF-診断系-HEBT-BDから構成される重陽子線形加速器である。これまでに加速器本体であるイオン源~MEBTまでの据付調整、RFシステム、SRFのための液体ヘリウム製造設備等が日欧の共同作業によって完了し、RFQのRFコンディショニング及び5MeV-125mAのビームコミッショニングを開始できる段階まで進展した。イオン源については試験の結果RFQへの入射に必要な重陽子ビームの要件をほぼ満たすことが確認できた。さらにRFQについては低電力試験によってチューニングが行われ、設計性能通りであることを実証した。175MHz-200kW-CWのRFシステム8系統が据付調整され、RFシステムの単体調整試験において性能通りの出力が得られることを確認した。SRFにおいても日本の高圧ガスの許認可を取得後に欧州にて超伝導空洞の製作が開始され、単体の高周波特性試験にて良好な特性が得られている。講演ではLIPAcの試験状況及び開発状況について報告する。 |
9:30 - 9:50 | |
WEOL03 p.90 [Slides] | 散乱体設置によるJ-PARC主リングでのビームロス局所化の増強 Beam loss localization with scatterer catcher system in J-PARC main ring ○佐藤 洋一,橋本 義徳,栗本 佳典,白形 政司,魚田 雅彦(高エネ研・J-PARC) ○Yoichi Sato, Yoshinori Hashimoto, Yoshinori Kurimoto, Masashi Shirakata, Masahiko Uota (KEK/J-PARC) 大強度陽子加速器における大強度化の課題は、機器放射化の抑制である。J-PARC主リングでは、入射直線部下流を放射線対策強化区域(コリメータエリア)とし、コリメータ群を設置してビームロスを局所化させることで、区域外の機器の放射化を抑制している。各コリメータは厚いjawブロックでビームハローを捕獲しているが、その際生じる散乱粒子もコリメータエリア内で回収する必要がある。しかし、これは散乱機能と捕獲機能が未分化な状況でコリメータ群を設定しなければならないことも意味し、その最適化には長時間の調整を要する。また、jawでの散乱粒子は約2%におよぶ大きな運動量損失があり、コリメータエリアを抜けたリング曲線部でのビームロスとなることも、調整を困難にしている。本研究では、コリメータエリア上流に薄い散乱体(タングステン板)とモニターシステムを新設し、ビームロス局所化能力を実証した。これは下流コリメータ群を捕獲機能に特化させることで、散乱機能と捕獲機能を独立に操作し、また、散乱粒子の運動量損失を0.05%程度に抑えることを可能にした結果である。今後は、利用運転に適用可能なシステム開発に向けて、散乱体自体の低放射化を目的とした、グラファイトなど低原子番号物質を候補とした素材開発と、散乱体冷却機構の整備を行う。また、散乱機能と捕獲機能の独立化によるビームロス局所化シナリオの構築をシミュレーションベースで進める。 |
9:50 - 10:10 | |
WEOL04 p.95 [Slides] | J-PARC RCSにおけるビームコミッショニングの進捗報告:大強度・低エミッタンスビームの実現へ向けた取り組み Recent progress of J-PARC RCS beam commissioning : Efforts for realizing a high-intensity low-emittance beam ○發知 英明,原田 寛之,加藤 新一,岡部 晃大,サハ プラナブ,菖蒲田 義博,田村 文彦,谷 教夫,渡辺 泰広,吉本 政弘(原子力機構・J-PARCセンター) ○Hideaki Hotchi, Hiroyuki Harada, Shinichi Kato, Kota Okabe, Pranab Saha, Yoshihiro Shobuda, Fumihiko Tamura, Norio Tani, Yasuhiro Watanabe, Masahiro Yoshimoto (J-PARC, JAEA) この一年、J-PARC RCSでは、下流のMRから要求される大強度かつ低エミッタンスのビームを実現するためのビーム調整を精力的に展開してきた。昨夏のビーム試験では、Correlated painting入射を導入し、かつ、そのペイント範囲を最適化することで、入射中のエミッタンス増大を最小化することに成功した。また、引き続き行った昨秋のビーム試験では、加速過程のチューンやクロマティシティを動的に制御することで、入射後の加速前半で発生していたエミッタンス増大を低減させると共に、加速後半で出現したビーム不安定性を抑制することに成功した。こうした一連の取り組みにより、設計値の84%相当の高ビーム強度で、そのビームエミッタンスの大幅な低減を実現した。本発表では、エミッタンス増大の発生メカニズムやその低減に向けた取り組みなど、RCSビームコミッショニングにおける最近の成果を報告する。 |
10:10 - 10:30 | |
WEOL05 p.100 [Slides] | J-PARCでのRFQによるミューオン加速に向けた準備状況と展望 Preparation status and prospects of the muon acceleration with RFQ in J-PARC ○北村 遼(東大理),大谷 将士(KEK),近藤 恭弘(JAEA),Bae Sunghan,Choi Seonho(SNU),深尾 祥紀,二ツ川 健太(KEK),長谷川 和男(JAEA),飯沼 裕美(茨城大),石田 勝彦(理研),河村 成肇(KEK),Kim Bongho(SNU),三部 勉,三宅 康博(KEK),森下 卓俊(JAEA),Razuvaev Gosha(BINP),齊藤 直人(J-PARCセンター),下村 浩一郎,Strasser Patrick(KEK) ○Ryo Kitamura (Univ. of Tokyo), Masashi Otani (KEK), Yasuhiro Kondo (JAEA), Sunghan Bae, Seonho Choi (SNU), Yoshinori Fukao, Kenta Futatsukawa (KEK), Kazuo Hasegawa (JAEA), Hiromi Iinuma (Ibaraki Univ.), Katsuhiko Ishida (RIKEN), Naritoshi Kawamura (KEK), Bongho Kim (SNU), Tsutomu Mibe, Yasuhiro Miyake (KEK), Takatoshi Morishita (JAEA), Gosha Razuvaev (BINP), Naohito Saito (J-PARC Center), Koichiro Shimomura, Patrick Strasser (KEK) J-PARC E34 experiment aims to measure muon g-2 and EDM with the novel techniques. One of the important techniques is the muon linear accelerator (muon linac). The first trial of the muon RF acceleration test with Radio-Frequency Quadrupole linac (RFQ) is planned toward the development of the muon linac. The prototype RFQ for the J-PARC proton linac will be used for the muon acceleration. The several test experiments of the development of the slow muon source was carried out in J-PARC Material and Life science Facility (MLF) muon test beam line (D-line). The slow muon source is required because the input energy of the prototype RFQ is about 5.6 keV. The production of decelerated positive muons and negative muoniums using the thin aluminum foil target were successful by the slow-muon dedicated beam line. The beam profile of the decelerated positive muons was measured by the beam profile monitor for the low energy muons. The beam time of MLF for the muon acceleration test with the prototype RFQ is assigned in this autumn. The setup of the RFQ test is being prepared. This presentation reports the latest status of the preparation and prospects. |
ハドロン加速器2/レーザー (8月2日 講堂(2F)) | |
10:40 - 11:00 | |
WEOL06 p.104 [Slides] | RCNP AVFサイクロトロンのアップグレード計画 Upgrade of RCNP AVF cyclotron ○安田 裕介,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,友野 大,中尾 政夫,畑中 吉治,齋藤 高嶺,森信 俊平,田村 仁志,永山 啓一,鎌倉 恵太,原 周平,Koay Hui Wen,山野下 莉那,森田 泰之(大阪大学RCNP) ○Yusuke Yasuda, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Dai Tomono, Masao Nakao, Kichiji Hatanaka, Takane Saito, Shunpei Morinobu, Hitoshi Tamura, Keiichi Nagayama, Keita Kamakura, Shuhei Hara, Hui Wen Koay, Rina Yamanoshita, Yasuyuki Morita (RCNP, Osaka University) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)では、K140 AVFサイクロトロンとK400リングサイクロトロンが稼働しており、陽子ではAVFサイクロトロンの単独運転で80MeV、さらにリングサイクロトロンの運転で400MeVまで加速して共同利用実験にビームを供給している。RCNPの加速器施設は多種のイオンビームをさまざまなエネルギーで供給することができるため、その利用範囲は原子核物理実験だけでなく、白色中性子を用いた半導体照射、短寿命RIの供給、アルファ線内用療法実用化の研究など幅広い分野に広がっている。また、DCミューオン源とそのビームライン (MuSIC)が整備され、基礎科学、応用研究へのミューオンビームの供給も始まった。 RCNPでは、イオンビームの高強度化と二次粒子・RI生成量の増強により現在の研究利用をより充実させ、さらに発展させるために、AVFサイクロトロンのビーム強度の増強および低エミッタンス化を中心とした加速器施設の高機能化を計画している。この計画では、新しい高輝度イオン源の導入とAVFサイクロトロンへの入射エネルギーの引き上げ、AVF共振器のアップグレード、加速箱および診断機器の更新など、AVFサイクロトロンを中心に改良を検討している。AVFサイクロトロンは建設から40年以上が経過していることから、老朽化箇所の改修と併せて工事を平成30年度から31年度にかけて行う予定である。本発表では、この計画と検討について報告する。 |
11:00 - 11:20 | |
WEOL07 p.107 | 完全電離炭素イオンのFast-Cycling Induction synchrotronへの直接入射・バリアバケットによる閉じ込め Direct injection of fully ionized carbon ions into a fast-cycling induction synchrotron and their capture by the barrier bucket ○宗本 尚也,高野 進,門倉 英一,Taufic Taufic(高エネ研),由元 崇(ミシガン州立大学 FRIB),劉 星光(理研),安達 利一,池田 光男,川久保 忠通,岡村 勝也,高山 健,和気 正芳(高エネ研) ○Naoya Munemoto, Susumu Takano, Eichi Kadokura, Taufic Taufic (High Energy Accelerator Research Organization (KEK), Accelerator Laboratory), Takashi Yoshimoto (Michigan State University, Facility for Rare Isotope Beams), Xingguang Liu (Riken), Toshiikazu Adachi, Mitsuo Ikeda, Tadamichi Kawakubo, Katsuya Okamura, Ken Takayama, Masayoshi Wake (High Energy Accelerator Research Organization (KEK), Accelerator Laboratory) The KEK Laser ablation ion source (KEK-LAIS) has been developed in order to obtain highly ionized metal ions and fully ionized carbon ions since 2012. Recently, the electron cyclotron resonance ion source of the KEK-Distal accelerator (KEK-DA) , which is a small-scale induction synchrotron, has been replaced by the LEK-LAIS A 2 micro sec long fully ionized carbon ion beam with 10^8 ions, which was delivered from the LAIS mounted on the 200 kV high voltage platform, was directly injected into the KEK-DA ring at 0.5 Hz without an injector, as well as C5+ and C4+. They were captured by the barrier bucket to survive until beam intensity life. Beam parameters, such as intensity distribution and emittance in the low energy beam transport line, the momentum spread and beam lifetime in the ring, were measured. It is noted that the first step of the essential characteristics required for a carbon driver of future carbon therapies has been demonstrated. |
11:20 - 11:40 | |
WEOL08 p.112 | レーザー駆動イオン加速用ビーム診断系の開発 Ion beam diagnosis for laser-driven ion acceleration ○榊 泰直,西内 満美子,ドーバー ニコラス(量研),宮原 巧(九州大学),近藤 康太郎,神門 正城(量研) ○Hironao Sakaki, Mamiko Nishiuchi, Nicholas Dover (QST), Takumi Miyahara (Kyusyu Univ.), Kotaro Kondo, Masaki Kando (QST) 量研では、当機構が有する重粒子治療加速器開発技術、超伝導技術、レーザー重イオン加速技術を融合し、”がん死ゼロ”を目指した「量子メスプロジェクト」が走り始めている。関西光科学研究所では、その実現のためにレーザー重イオン加速を担当し、小型インジェクターに向けた基礎技術開発を実施していく予定である。そこで、今回はレーザー駆動重イオン加速で用いられている荷電粒子ビーム診断系の為の様々な取り組みを報告する。 |
11:40 - 12:00 | |
WEOL09 [Slides] | レーザーコンプトン散乱ガンマ線源の中性子応用 Application of neutron by laser Compton scattering gamma-ray source ○宮本 修治,杉田 健人,森本 悠介,橋本 智,天野 荘(兵庫県立大 高度研),有川 安信(阪大 レーザー研),早川 岳人(量子研究機構) ○Shuji Minamoto, Kent Suit, Yusuke Morimoto, Satoshi Hashimoto, Sho Amano (LASTI, Univ. of Hyogo), Yasunobu Arikawa (ILE, Osaka Univ.), Takehito Hayamawa (QST) 現在、原子炉からの中性子に加え、J-PARCなどの加速器を用いた高フラックス中性子源が様々な応用に利用されている。また、最近は小型中性子源開発が検討されており、小型加速器や、静電閉じ込め型、レーザー中性子源等の研究が進められている。 ここでは、放射光施設の電子蓄積リングで発生できる、レーザーコンプトン散乱ガンマ線を用いた光核反応中性子の発生とその制御、および中性子イメージング応用に関して、ガンマ線源と中性子計測の現状を報告する。 |
電子加速器 (8月2日 小講堂(1F)) | |
8:50 - 9:10 | |
WEOM01 p.114 | ミューオン g - 2/EDM 実験のための電子ビーム3次元螺旋軌道入射法の開発 Development of three-dimensional spiral injection by using electron beam for muon g - 2/EDM experiment ○レーマン ムハマド アブドゥル(総研大生),飯沼 裕美(茨城大学),大沢 哲,中山 久義,久松 広美,古川 和朗(加速器),三部 勉(素核研) ○Muhammad Abdul Rehman (SOKENDAI), Hiromi Iinuma (Ibaraki University), Satoshi Ohsawa, Hisayoshi Nakayama, Hiromi Hisamatsu, Kazuro Furukawa, Tsutomu Mibe (KEK) A novel Three-dimensional spiral injection scheme by the use of electron beam is under development for new muon g-2/EDM experiment at J-PARC which aims to measure muon g-2 to the accuracy of 0.1ppm and muon EDM down to 10-21e.cm. Test experiment of spiral injection scheme is a scale down demonstration with the electron beam for the establishment of this newly proposed injection scheme. In the first phase, test experiment is utilizing an 80keV DC beam from Thermionic electron gun and 83 Gauss solenoidal magnet for the storage of electron beam into ~24cm diameter orbit. For the focusing of the electron beam at storage plane, auxiliary coil on main solenoidal magnet have been used to provide weak focusing. Beam Induced fluorescence monitor have been employed to detect electron beam as a light due ionization of N2 gas inside storage chamber. In the second phase of test experiment, electric chopper system is developed to produce the pulsed electron beam. This paper will report our preliminary results from the first phase of experiment and development of electric chopper system for the second stage. |
9:10 - 9:30 | |
WEOM02 p.118 | THz coherent undulator radiation generated from compact accelerator based on photocathode RF gun ○Siriwan Krainara, Sikharin Supakul, Heishun Zen, Toshiteru Kii, Hideaki Ohgaki (Institute of Advanced Energy, Kyoto University) This work presents the measured results of the THz coherent undulator radiation generated by a planar undulator with short electron bunch produced by a photocathode RF gun. This system has been developed at Kyoto University for producing intense THz radiation. The energy spread and emittance of electron bunch decrease the peak intensity of the coherent undulator radiation and broaden its line width. Therefore, these effect should be minimized and optimization of operation condition is important for getting higher THz undulator radiation intensity. The experimental setup and the measured results of radiation intensity related to the undulator characteristics will be discussed and compared with calculated results in this paper. |
9:30 - 9:50 | |
WEOM03 p.122 | 東北大学t-ACTSにおける極短電子ビームを用いた広帯域・狭帯域コヒーレントテラヘルツ放射発生 Generation of coherent THz radiation with wide/narrow bandwidth by an extremely short electron beam at t-ACTS, Tohoku University ○柏木 茂,鹿又 健,齊藤 寛峻,齊藤 悠樹,髙橋 健,長澤 育郎,南部 健一(東北大学電子光セ),西森 信行(東北大学多元研),日出 富士雄,三浦 禎雄,武藤 俊哉,濱 広幸(東北大学電子光セ) ○Shigeru Kashiwagi, Ken Kanomata, Hirotoshi Saito, Yuki Saito, Ken Takahashi, Ikuro Nagasawa, Kenichi Nanbu (ELPH, Tohoku Univ.), Nobuyuki Nishimori (IMRAM, Tohoku Univ.), Fujio Hinode, Sadao Miura, Toshiya Muto, Hiroyuki Hama (ELPH, Tohoku Univ.) 現在、東北大学電子光理学研究センターの試験加速器t-ACTS(test Accelerator as Coherent Terahertz Source)において、フェムト秒時間幅の極短電子ビーム生成とその電子ビームを用いた高輝度コヒーレントテラヘルツ光源の開発が進められている。t-ACTSでは、進行波加速管中での速度集群法(Velocity bunching法)によりフェムト秒時間幅の極短電子ビームを生成することが可能である。これまでにバンチ長およそ100fsの極短電子ビームにより、周波数が約3.5THzに及ぶ広帯域のコヒーレント遷移放射と2THz付近の狭帯域コヒーレントアンジュレータ放射の発生に成功した。帯域の異なる2種類のコヒーレント放射のスペクトル計測は、マイケルソン干渉計を構築することにより行なった。放射の偏光特性についてもワイヤーグリッド偏光子を用いて測定した。本学会では、t-ACTSにおけるコヒーレント放射発生実験の結果について報告する。 |
9:50 - 10:10 | |
WEOM04 p.126 [Slides] | チェレンコフ放射を用いた極短電子バンチ長測定の評価 Evaluation of the extremely short electron bunch length measurement with Cherenkov radiation ○齊藤 悠樹,柏木 茂,日出 富士雄,三浦 禎雄(電子光理学研究センター),西森 信行(東北大学 多元研),武藤 俊哉,南部 健一,柴崎 義信,髙橋 健,長澤 育郎,鹿又 健,齊藤 寛峻,濱 広幸(電子光理学研究センター) ○Yuki Saito, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Sadao Miura (ELPH), Nobuyuki Nishimori (IMRAM), Toshiya Muto, Kenichi Nanbu, Yoshinobu Shibasaki, Ken Takahashi, Ikuro Nagasawa, Ken Kanomata, Hirotoshi Saito, Hiroyuki Hama (ELPH) 極短バンチ長測定において、電子バンチをシリカエアロゲル媒質に入射させたときに発生するチェレンコフ放射をストリークカメラで観測する方法の評価を行った。東北大学に建設された小型試験用加速器(t-ACTS:test Accelerator as Coherent THz Source)ではコヒーレントテラヘルツ光の研究が行われている。コヒーレントテラヘルツ光を得るためにはサブピコ秒程度までバンチを圧縮する必要がある。バンチ長測定の方法の一つとして可視光領域の遷移放射を利用したバンチ長測定が行われてきた。しかし、その光量不足により検出器として用いていたストリークカメラの固有分解能を上げることが難しかった。そこで、遷移放射よりも光量の多い可視光領域でのチェレンコフ放射を利用したバンチ長測定の実験系を構築してその評価を行った。 |
10:10 - 10:30 | |
WEOM05 p.130 | ILCのためのSTF超伝導加速器開発の進展状況 Progress status of STF accelerator development for ILC ○早野 仁司(高エネルギー加速器研究機構) ○Hitoshi Hayano (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) The superconducting RF test facility (STF) in KEK is the facility for developing superconducting Linac technologies of the International Linear Collider (ILC). The STF accelerator is a test accelerator composed of a normal conducting photocathode RF gun, superconducting cavities and cryomodules. In 2016, the selected 8 cavities in the 12m-cryomodule and the 6m-cryomodule were combined by the waveguide system, and tested the accelerating gradient with 2K cold state. The achieved 30.5MV/m average gradient for total 8 cavities was obtained. In parallel, the MARX modulator for the multi-beam-klystron was also developed and tested, and is under improvement of pulse voltage flatness with 5MW klystron connection. In the framework of US-Japan collaboration, cost-down studies on superconducting cavities and superconductor materials aiming for more high gradient, are started mainly between KEK and FNAL. These recent new studies of the STF accelerator will be summarized and discussed in this paper. |
粒子源/真空 (8月2日 小講堂(1F)) | |
10:40 - 11:00 | |
WEOM06 p.134 | ガスターゲットレーザーイオン源開発のための軸流型空力窓特性の検討 Study on characterization of coaxial type aerodynamic window for development of gas-target laser ion source ○高橋 一匡,佐々木 徹,菊池 崇志(長岡技大) ○Kazumasa Takahashi, Toru Sasaki, Takashi Kikuchi (Nagaoka Univ. Tech.) レーザーイオン源は大電流イオンビームが供給でき、レーザーターゲットの交換により容易に発生させるイオン種を変えられることから様々な研究機関で研究開発が行なわれている。これまでのレーザーイオン源で供給されてきたイオン種は金属や炭素など室温で固体の元素に限られているが、室温で気体の元素のレーザーイオン源による供給も検討されている。気体をターゲットとしたレーザーイオン源の構築には高密度の気体を供給しつつ容器内の真空を維持することが課題となる。そこで超音速流の性質を利用して固体壁を介さずに真空と大気を隔てさせることができる空力窓を気体ターゲットに利用することを検討している。本研究では空力窓が保持可能な大気と真空容器内の圧力比や必要となる気体流量などを見積もるため、軸流型の空力窓について流路断面内で一様な流れを仮定したモデルにより気体力学的な特性の評価を行った。その結果、Mach数を大きくし、流路内で超音速流が保たれる最小限の圧力の気体を供給することにより、保持可能な圧力比を増加させることが可能であることが示された。また、この時の流量はMach数の関数として極大値を持つことが示された。さらに、直径1mmの空力窓を構築し、その特性について評価を行った結果、超音速ノズル形状を固定した場合に圧力比を最大化する貯気槽圧力が存在し、見積もりと実験の圧力特性の傾向が一致することが確認された。 |
11:00 - 11:20 | |
WEOM07 p.137 | CsK2Sbマルチアルカリカソードの高耐久性の実証 Experimental evidence of the high robustness of CsK2Sb multi-alkali cathode ○栗木 雅夫,横田 温貴,浦野 正洋,郭 磊(広島大学先端研),根岸 健太郎(岩手大学理工学部),清宮 裕史(高エネ研加速器) ○Masao Kuriki, Atsutaka Yokota, Masahiro Urano, Lei Guo (AdSM, Hiroshima University), Kentaro Negishi (Dept. of Science and Engineering, Iwate University), Yuji Seimiya (Accel. lab, KEK) CsK2Sbマルチアルカリカソードは真空中で薄膜生成される光電陰極物質である。固体レーザーの二倍波による緑色光で励起可能で、かつ10%以上と高い量子効率をもつことから、大電流かつ低エミッタンスの高品質ビームを供給する高性能電子源として期待されている。本発表では、CsK2Sbマルチアルカリカソードにレーザーを照射し、その量子効率の時間的、そして引き出し電荷量についての変化を観測した。その結果、時間的には3500時間というきわめて長い1/e寿命を実証した。また、電荷密度については、28000 C/mm^2という、これもきわめて長い1/e寿命を実証した。また、各々の寿命は真空圧力に逆比例し、残留ガスの吸着、およびイオン逆流による劣化が支配的あることを示唆している。バイアス電圧を上昇させると、電荷密度寿命は上昇することが観測された。この結果は、イオン化断面積の電圧依存性により、矛盾なく説明することができ、電荷密度寿命のイオン逆流仮説を支持する結果である。発表では実験および結果についての詳細、その解釈について説明する。 |
11:20 - 11:40 | |
WEOM08 p.141 [Slides] | アルカリアンチモン光陰極高電圧電子銃からmAビーム生成 High current beam generation from a high voltage dc gun with an alkali antimonide photocathode ○西森 信行(東北大学 多元研),永井 良治,沢村 勝,羽島 良一(量研) ○Nobuyuki Nishimori (Tohoku Univ. IMRAM ), Ryoji Nagai, Masaru Sawamura, Ryoichi Hajima (QST) 次世代ERL放射光源やテラヘルツスミスパーセル放射光源開発のため 50mAビーム生成を目指した250kV光陰極電子銃を開発している。量研で開発したアルカリアンチモン蒸着装置を用いて、量子効率5.8%@530nmをCs3Sbカソードで達成した。このカソードを電子銃に装着し、電圧150kVにて最大4.2mAのビーム生成試験に成功した。開発状況について発表する。 |
11:40 - 12:00 | |
WEOM09 p.145 [Slides] | SuperKEKB LERでの圧力バーストの観測 Observation of pressure bursts in SuperKEKB LER ○照井 真司,石橋 拓弥,末次 祐介,白井 満,久松 広美,柴田 恭,金澤 健一,池田 仁美,船越 義裕(高エネ研) ○Shinji Terui, Takuya Ishibashi, Yusuke Suetsugu, Mitsuru Shirai, Hiromi Hisamatsu, Kyo Shibata, Ken-ichi Kanazawa, Hitomi Ikeda, Yoshihiro Funakoshi (KEK) SuperKEKB のフェーズ1運転は2016年2月から6月にかけて行われた。この運転中に、ビームロスを伴う圧力バーストが陽電子リング(Low Energy Ring :LER)で頻発した。ビームロスの結果、ロスモニターが動作してビームアボートを引き起こし運転に支障をきたした。当初はリングの一部に集中していたが、次第に他の場所でも発生した。また、最大ビーム電流を増やした直後により頻繁に発生する傾向にあった。LER約300台の真空計データを、時間精度10μs以下で100 Hzで収集するシステムを構築して、この現象を分析すると、ほとんどが偏向電磁石内のダクトで起きていることや、圧力バーストがビームロスより先に起きていることがわかった。放電やトラップモードの存在が疑われたが、運転中に、チェンバーを人為的に叩く“ノッカー”を使用したところ、同様の現象が再現されたことから、ダクト内にあるダスト粒子とビームの衝突が原因ではないかと考えられる。本報告では、推定される圧力バースト現象の発生メカニズムと、その究明方法を紹介する。 |
技術研修会1 (8月2日 クラーク会館) | |
15:20 - 16:20 | |
WEOLT01 | 光を使ったビーム計測技術2 Introduction to the optical monitors for particle accelerators2 ○三橋 利行(高エネルギー加速器研究機構) ○Toshiyuki Mitsuhashi (KEK) 講演2では、結像光学系の応用として、ストリーク カメラによるバンチ縦方向分布の測定、ビーム不安定性の測定、また高速ゲートカメラを用いたバンチごとのビームプロファイル計測、入射ビームの振動の様子などの横方向のダイナミカルな計 測についても紹介する。次に、光の干渉性を用いた放射光干渉計によるミクロン領域の微小ビームサイズの計測、強度干渉計によ る縦方向の測定についても簡単に紹介する。最後に特殊な話題と して、コロナグラフによるビームハロー計測など最近の話題につ いて、また陽子加速器において使われる光学的遷移放射を光源と したビームプロファイル計測についても触れる。講演を通して、 数学的な正確さよりもコンセプトの理解に重点を置いて話をする。 |
学会賞受賞講演 (8月2日 クラーク会館) | |
17:30 - 17:50 | |
WEOLA01 | 超高強度レーザーを用いた多価重イオン加速 High intensity laser-driven multi-charged heavy ion acceleration ○西内 満美子(量研・関西研) ○Mamiko Nishiuchi (K.P.S.I., Q.S.T.) 近年におけるレーザー技術の発展により、テーブルトップサイズのレーザーを1018W/cm2 を超える集光強度に集光することは比較的簡単である。この強度におけるレーザー光電場強度は水素内電場をはるかに上回る強度であり、物質をプラズマ化させ、かつ、プラズマ内電子を相対論的速度にまで加速する。さらにプラズマは電磁界によって支配される集団的な挙動をとり、さまざまな非線形過程が起こるが、その中の一つの現象として高エネルギーイオン加速がある。一方、ここ数年の間に比較的高繰り返し稼働が可能な数十フェムト秒のパルス幅を持つペタワット級のレーザーシステムが、世界各国に建設されている。このようなレーザーパルスを空間的にミクロンサイズに絞り込むことが出来れば、レーザー強度は1022 W/cm2となり、ターゲットと相互作用させ100TV/mを超える準静電場をパルス的にコンパクトな領域に立てられる。このような強烈な電場に曝されれば、たとえ重イオンであっても一瞬にして、周りの電子を剥がされて多価電離状態となり同時に加速されるため、コンパクトかつ、軽元素ではなくより重い元素のイオン源あるいはインジェクターへの応用が期待できる。我々はこのレーザー多価重イオン加速の技術の原理実証を行い、鉄をほぼフルストリップに近い状態で16MeV/uにまで加速することに成功した。 |
17:50 - 18:00 | |
WEOLA02 | 加速器用電源の開発製造 R&D and offering of various power supplies for particle accelerator use ○工藤 治夫(工藤電機株式会社 取締役会長) ○Haruo Kudo (KUDO ELECTRIC CO.,LTD) 栄えある日本加速器学会賞(特別功労賞)にお選びいただき、誠にありがとうございます。このような栄誉は縁のないものと思っておりましたので、唯々驚いております。受賞にあたり、加速器関連の関りと想いを述べたいと思います。私は1960年東北大学津屋昇教授ご指導のもとNMR用定電流源(10ppm)の開発等でご指導いただいた技術を基に、1965年からの同大学理学部5MeVバンデグラフと核理研に用いる電流安定度10ppmの分析電磁石用電源を納入したのがはじまりでした。その後大阪大、電総研つくば、KEKつくば・東海、放医研、SP-8など国内のほとんどの加速器施設に各種電源を納入させていただきました。また、技術応用として超高解像度電子顕微鏡の電子レンズ電源開発(0.1ppm)や重粒子線癌治療施設用高精度超伝導電源など実績を積み上げて参りました。弊社では「創造と奉仕で前進」を創業の社是に掲げ、パワーエレクトロニクスと計測技術において、アナログとデジタル技術の融合により、常に未来技術にチャレンジしてきました。今後も蓄積した技術を活かし一層の努力を重ね、加速器科学技術の発展にお役に立ちたいと思っております。最後になりましたが、この受賞は決して自分だけの成果ではありません。ご指導いただきました東北大学等の各機関の先生方と、弊社を支えて下さる各企業の皆様のお蔭です。今後とも弊社を含めご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。 |
加速器応用・産業利用1 (8月3日 講堂(2F)) | |
8:50 - 9:10 | |
THOL01 [Slides] | 極微量放射性核種を超高感度で検出可能な6 MVタンデム加速器質量分析装置の開発 Development of the 6 MV tandem accelerator mass spectrometry system for ultrasensitive detection of trace radionuclides ○笹 公和,高橋 努,細谷 青児,高野 健太,落合 悠太(筑波大学),松中 哲也(金沢大学),末木 啓介(筑波大学) ○Kimikazu Sasa, Tsutomu Takahashi, Seiji Hosoya, Kenta Takano, Yuuta Ochiai (Univ. of Tsukuba), Tetsuya Matsunaka (Kanazawa Univ.), Keisuke Sueki (Univ. of Tsukuba) 加速器質量分析(Accelerator Mass Spectrometry: AMS)は,同位体比10E-10から10E-15レベルの極微量放射性核種の検出が可能であり,その利用が急速に進展している分析手法である.筑波大学では,2016年に完成したペレトロン型タンデムを用いて,国内最大となる6 MVタンデム加速器質量分析装置の開発を進めている。6 MVタンデム加速器質量分析装置には,40試料を装填できるCsスパッタ型負イオン源(MC-SNICS)が2台設置されている.そのうち1台は,CO2ガス供給システムを搭載しており,0.5 ~ 1 mg C 程度のCO2ガス試料からCsスパッタ法により,直接的にC-ビームを引き出すことができる.現在,12C-ビームをCO2ガス試料から12μA引き出すことに成功しており,14Cの迅速ルーチンAMS測定に対応可能となっている.極微量核種検出ラインは,22.5°球面電極型静電分析器と5電極型のガスΔE-E検出器からなっている.14C-AMSでは,加速電圧5.0 MVにより,荷電数q = 4を用いて25 MeVで試験測定をおこなった.14C測定性能として,0.2 %の測定精度と国内最高感度となる約60,000年のマシンバックグラウンド(0.04 pMC)を達成している.また,14C測定の他に,10Be, 26Al, 36Cl, 41Ca, 129I等の長寿命放射性核種が検出可能となっている.本発表では,最新の大型AMSシステムである筑波大学6 MVタンデム加速器質量分析装置の開発状況と多核種AMSによる高精度年代測定研究の展望について報告する。 |
9:10 - 9:30 | |
THOL02 p.150 | 周波数変調型可変エネルギー加速器の提案 Concept of frequency modulated variable-energy accelerator ○青木 孝道,羽江 隆光,堀 知新,関 孝義,中島 裕人,えび名 風太郎(株式会社 日立製作所) ○Takamichi Aoki, Takamitsu Hae, Chishin Hori, Takayoshi Seki, Yuto Nakashima, Futaro Ebina (Hitachi, Ltd.) がん治療の一種である陽子線治療の普及にはシステム全体の小型化が必要である。従来加速器のシンクロトロンは偏向電磁石をパターン運転するため、取り出しビームのエネルギーを照射に用いる70MeV~235MeVの範囲で制御可能である。一方、常伝導のシンクロトロンでは軌道周長が約18mとなり、コンパクト性に課題が有った。そこで、本研究ではシンクロトロンの長所であるエネルギー可変性を持ちながら、主磁場を超伝導電磁石の適用が比較的容易な固定磁場とできる新概念加速器の原理を案出した。新概念の加速器では各エネルギーの周回軌道が同心円ではなく偏心した配置となり、かつ動径方向に磁場が低下する弱収束磁場を用いてビームを安定周回させる。偏心した軌道配置により、各エネルギーの軌道が密に集約した集約領域が形成され、集約領域から照射に用いるエネルギーのビームを取り出すことを目指している。ビームの安定周回が実現する磁場分布を探索した結果、入射点の磁場を5T、235MeVでの磁場を4.94Tとなる磁場分布が発見された。この場合、水平チューンの範囲が0.99以上1未満、鉛直チューンの範囲が0以上0.13未満の範囲で安定周回することが光学計算によって導かれ、加速高周波周波数の変調範囲は76.2MHz~60.1MHzとなる。この場合、最外周軌道の半径が0.5m以下となるコンパクトな加速器が実現できる。 |
9:30 - 9:50 | |
THOL03 p.155 | 量子メス開発に向けた取り組み Toward the development for Quantum Knife ○白井 敏之,岩田 佳之,野田 悦夫,水島 康太,稲庭 拓,近藤 公伯,榊 泰直,西内 満美子,野田 耕司(量研機構) ○Toshiyuki Shirai, Yoshiyuki Iwata, Etsuo Noda, Kota Mizushima, Taku Inaniwa, Kiminori Kondo, Hironao Sakaki, Mamiko Nishiuchi, Koji Noda (QST) 量研機構放医研が推進してきた重粒子線がん治療は、高いQOLを維持でき、放射線抵抗性のがんに対しても高い腫瘍制御を実現するなど、優れた成果を出しており、10,000人以上の治療実績がある。しかしながら、重粒子線治療装置の導入には高額な費用が必要であり、これが高額な治療費の原因にもなっている。また、重粒子線治療は一部疾患においては、手術に匹敵する成績を収めているが、腫瘍によっては、腫瘍塊の除去が完全ではなく、手術の代替を目指すためには、さらなる高度化が必要である。そこで量研機構では、超伝導技術を応用して、シンクロトロンや回転ガントリーを小型化するとともに、レーザーイオン加速技術を応用して、イオン源と入射線形加速器を、レーザー加速器に置き換えることで、大幅な小型化と低価格化を実現する計画を進めている。また、治療成績の向上のため、腫瘍の放射線抵抗性に合わせて生物効果の異なる様々なイオンをミックスして照射するマルチイオン照射を提案している。このように様々な加速・ビーム技術により従来の課題を克服し、高度化・小型化された次世代の重粒子線治療装置を、量子ビームによる腫瘍除去手術になぞらえて、「量子メス(Quantum Knife)」と名付けている。本発表では、この量子メスの基本設計について報告する。 |
9:50 - 10:10 | |
THOL04 p.159 | グラファイト薄膜の加速器分野への応用展開 Graphite thin films for accelerator applications ○多々見 篤,立花 正満,村上 睦明,村島 健介,川島 雄樹(株式会社カネカ Material Solutions Research Institute),長谷部 裕雄,奥野 広樹(国立研究開発法人理化学研究所 仁科加速器研究センター) ○Atsushi Tatami, Masamitsu Tachibana, Mutsuaki Murakami, Kensuke Murashima, Yuki Kawashima (Kaneka Corporation Material Solutions Research Institute), Hiroo Hasebe, Hiroki Okuno (RIKEN Nishina Center) 炭素薄膜は耐熱性が高く、軽元素であることから粒子加速器の荷電変換膜として用いられている。従来から蒸着法により作製した炭素薄膜が用いられていたが、粒子加速器のビームの大強度化に伴い、膜は劣化を早め、寿命はより短くなっている。さらなるビームの大強度化に向け、耐熱性が高く、長寿命の炭素薄膜の開発は必須課題である。 弊社(㈱カネカ)ではポリイミドフィルムを焼成する方法(高分子焼成法)により高熱伝導性のグラファイトシート(厚み:25、40μm)を製造、販売している。本技術を応用することにより上記の課題を解決できると考え、検討を行ったので詳細を報告する。 厚み10~75μmのポリイミドフィルムを1000℃以上で炭素化後、2900℃以上で黒鉛化することにより、厚み4~35μmのカネカグラファイト薄膜(仮称)を作製した。作製したグラファイトのラマンスペクトルを測定したところ、HOPGと同等の高品質なものであった。 作製したグラファイト薄膜をレーザーカッターによりディスク状に加工し、カルシウムイオン、ウランイオンビームの照射試験、荷電変換率評価試験を実施したので、その結果についても合わせて発表する。 |
10:10 - 10:30 | |
THOL05 p.162 | 新型サイクロトロンMP-30 Sumitomo multi-purpose cyclotron MP-30 ○谷口 愛実,筒井 裕士,宇野 浩一,衞藤 晴彦,密本 俊典,日朝 俊一(住友重機械工業株式会社) ○Manami Taniguchi, Hiroshi Tsutsui, Koichi Uno, Haruhiko Etoh, Toshinori Mitsumoto, Toshikazu Hiasa (Sumitomo Heavy Industries, Ltd.) 今や、医療用加速器は診断にとどまらず、治療の分野でもなくてはならないものになった。 住友重機械工業(株)では、大型研究施設で培った加速器設計・製造技術を基盤として、PETを始めとするRI製造やがん治療のために用いられる加速器および周辺技術の開発を精力的に進め上市してきた。 近年では、抗体標識やRI内用療法といった新たな医療用RIの研究開発が盛んになり、金属系RIを製造できる加速器のニーズが高まってきた。 当社ではこの新たなニーズに対応すべく多核種のRI製造を可能にするサイクロトロン(MP-30)を開発した。 MP-30は正負両イオンを入射、加速、引き出しできるユニークなサイクロトロンである。 加速イオンに応じて2種類のイオン源、2種類の引出し機構を搭載し、Proton(15-30MeV可変)、 Deuteron(8-15MeV可変)、α(32MeV固定)を得ることができる。 さらにビーム輸送系では、ターゲットの状態(相)に依らず効率的にRIを製造できる垂直照射システムを採用し、ターゲット自動搬送装置も備えている。 2016年5月、本装置を福島県立医科大学殿に納入し、同年10月には、α線内用療法という新たながん治療法で注目されている211Atの製造に成功した。 本発表では、MP-30の開発概要と性能評価について報告する。 |
加速器応用・産業利用2 (8月3日 講堂(2F)) | |
10:40 - 11:00 | |
THOL06 p.166 | 大強度化運転に向けた水銀ターゲット容器の製作技術に関する最近の研究開発の状況 Recent R&D status in fabrication technology of mercury target vessel (module) for high-intensity operation ○若井 栄一,涌井 隆,粉川 広行,直江 崇,菅 文海,羽賀 勝洋(原子力機構 J-PARCセンター),芹澤 久,森 裕章(大阪大学),堀口 克彦(原子力機構 工作技術部),高田 弘(原子力機構 J-PARCセンター),安 一三,櫛田 豊(原子力機構 工作技術部),李 太玉(インサイト),二川 正敏(原子力機構 J-PARCセンター) ○Eiichi Wakai, Takashi Wakui, Hiroyuki Kogawa, Takashi Naoe, Wenhai Guan, Katsuyoshi Haga (J-PARC Center, JAEA), Hisashi Serizawa, Hiroaki Mori (Osaka Univ.), Katsuhiko Horiguchi (Engineering Services Department, JAEA ), Hiroshi Takada (J-PARC Center, JAEA), Kazumi Yasu, Yutaka Kushida (Engineering Services Department, JAEA ), Taiyu Li (Insight k.k.), Masatoshi Fuatakawa (J-PARC Center, JAEA) 基礎科学や産業の発展のため高エネルギー加速器標的システムで生成される2次粒子によるビーム利用実験が数多く行われていて、従来に比べてビーム強度を数倍高くさせたビーム利用が期待されている。J-PARCセンターの物質生命科学施設(MLF)の中性子源の水銀標的システムはこれまで約100~約300 kWの陽子ビーム強度下で安定運転を実施してきた実績を持ち、1 MWでの大強度運転が期待されている。ところが、2015年に陽子ビーム強度を徐々に500 kWまで上昇させたところ、水銀標的容器の2重保護容器の一部で損傷が発生した。この原因は水銀ターゲット容器の構造に係る溶接部近傍において、運転中に容器内で発生する熱応力や高サイクル疲労などが起因した保護容器内での、き裂進展の損傷によるものと考えられる。このため、水銀ターゲット容器において陽子ビームや核破砕による熱負荷が大きい領域において、容器構造の改良、溶接部の削減や溶接方法の改良を行うとともに、容器の健全性を調べるために最新の超音波検査技術を駆使して溶接部などの欠陥の有無等を調べながら改良型標的容器の製作を進めている。そして、秋以降の運転で段階的に出力を上げて500 kWでの安定運転を行う計画である。本発表では、大強度化運転に向けた水銀ターゲットの製作技術に関するR&Dの最近の状況を報告し、今後の抱負や世界的な動向等を述べ、幅広く議論を行う予定である。 |
11:00 - 11:20 | |
THOL07 p.170 | 名古屋大学加速器中性子源NUANSの構築 Construction of Nagoya University Accelerator-driven Neutron Source(NUANS) ○広田 克也,市川 豪,今城 想平,清水 裕彦,土川 雄介(名大理),瓜谷 章,鬼柳 善明,土田 一輝,釣田 幸雄,山崎 淳,吉橋 幸子,渡辺 賢一(名大工),岩下 芳久(京大化研),山形 豊(理研) ○Katsuya Hirota, Go Ichikawa, Sohei Imajo, Hirohiko Shimizu, Yusuke Tsuchikawa, Akira Uritani, Yoshiaki Kiyanagi, Kazuki Tsuchida, Yukio Tsurita, Atsushi Yamazaki, Sachiko Yoshihashi, Kenichi Watanabe (Nagoya Univ.), Yoshihisa Iwashita (Kyoto Univ.), Yutaka Yamagata (RIKEN) 名古屋大学では現在、静電加速器を利用した加速器駆動中性子源(NUANS)を建設している。陽子加速器としては最大エネルギー2.8MeV、最大電流値15mAのDynamitron加速器を利用し、2つの陽子ビームライン及び中性子発生ターゲットを構築する。1stビームラインではLi(p,n)反応を利用して熱外中性子を発生させ、主としてBNCTシステムの構築のための各種開発を行う。2ndビームラインではBe(p,n)反応を用いて熱中性子(将来は冷中性子)を発生させ、中性子イメージングや検出器開発などを行う。加速器駆動小型中性子源においては中性子発生ターゲットの開発や適切な中性子原則体や遮蔽体の設計、計測する中性子検出器システムの構築などが研究開発の主要な点となる。本発表においてはNUANSプロジェクト及び現状に関して紹介したのちに、特に多目的中性子利用ビームラインとして設計している2ndビームラインに関してその詳細を紹介する。 |
11:20 - 11:40 | |
THOL08 p.172 | 中性子イメージングを活用した蒸発器内における冷媒沸騰挙動の解明 Clarification of refrigerant boiling behavior in an evaporator utilizing neutron imaging ○布施 卓哉,岡村 徹,井上 誠司(株式会社デンソー),松野 孝充(トヨタ自動車株式会社),岩田 隆一,山内 崇史,志満津 孝(株式会社豊田中央研究所),上田 健(アイシン精機株式会社),村尾 浩二(トヨタ紡織株式会社),松本 吉弘(CROSS東海),篠原 武尚,甲斐 哲也(J-PARC) ○Takuya Fuse, Tohru Okamura, Seiji Inoue (DENSO CORPORATION), Takayoshi Matsuno (TOYOTA MOTOR CORPORATION), Ryuichi Iwata, Takafumi Yamauchi, Takashi Shimazu (TOYOTA CENTRAL R&D LABS., INC), Takeshi Ueda (Aisin Seiki Co., Ltd), Koji Murao (TOYOTA BOSHOKU CORPORATION), Yoshihiro Matsumoto (CROSS Tohkai), Takenao Shinohara, Tetsuya Kai (J-PARC) 車両においては、エアコンは欠かせないアイテムとなっており、今後の電動化などの変革に向け、カーエアコンもその性能向上等が要求されている。その中で、カーエアコンを構成する各熱交換器においては、小型化が要求されている。これらの熱交換器のうち、蒸発器では、シミュレーションなどで、内部冷媒が液から気体に、所定の沸騰を経て遷移していくことが理屈づけられている。一般には、これに基づいて蒸発器を設計する場合が多い。他方、実際に内部を可視化した例はほとんどなく、挙動を明確にすることで蒸発器のさらなる小型化の糸口になると考えられる。本プレゼンでは、カーエアコン回路を模した試験装置を用い、蒸発器内部の中性子イメージング結果について報告する。 |
11:40 - 12:00 | |
THOL09 p.176 | 加速器中性子源を用いたソフトエラー試験における電子機器の放射化特性解析 Radioactivation characteristics analysis of electronic equipments in soft error test using accelerator-driven neutron sources ○青柳 健一,森 弘樹,岩下 秀徳,舩津 玄太郎,行田 克俊(NTT),佐藤 博隆,加美山 隆,古坂 道弘(北海道大学),鬼柳 善明(名古屋大学) ○Kenichi Aoyagi, Hiroki Mori, Hidenori Iwashita, Gentaro Funatsu, Katsutoshi Koda (NTT), Hirotaka Sato, Takashi Kamiyama, Michihiro Furusaka (Hokkaido University), Yoshiaki Kiyanagi (Nagoya University) 近年、半導体の高集積化に伴い電子機器におけるソフトエラーの発生リスクが増加している。ソフトエラーは主に宇宙線が大気と衝突することにより発生する中性子線の影響による半導体メモリのビット情報が反転する事象で、電子機器の誤動作を誘発する可能性がある。 今後、ますます顕在化が予想されるソフトエラーに対する電子機器の信頼性を向上させるため、開発段階においてソフトエラー発生時の障害処理を事前確認する手段が必要である。従来、半導体レベルでは、自然界におけるソフトエラー発生率を高精度に見積もるため、数百MeVまでの高エネルギーの中性子を照射するソフトエラー試験が主流であったが、近年、システムレベルでのソフトエラー試験を実施するため、柔軟な試験が可能な、数十MeV程度までの比較的低エネルギーの中性子を照射する小型加速器中性子源の産業利用が開始されている。 システムレベルのソフトエラー試験では、開発中の電子機器を試験終了後、短時間で試験サイトから持ち出し、修正・再試験を実施する必要があり、ソフトエラー発生数に対して放射化を極力抑えた試験方式が要求される。 そのため、本研究では、高エネルギー加速器(~数百MeV)と、低エネルギー加速器(数十MeV)における、ソフトエラー発生数、放射化特性、および冷却時間の関係を解明することを目的とし、本報告では、両者の加速器の放射化特性のシミュレーション結果について報告する。 |
ビーム診断・ビーム制御1 (8月3日 小講堂(1F)) | |
9:10 - 9:30 | |
THOM02 | 超短パルス電子ビーム発生に向けたバンチ圧縮条件の検討 Bunch compression study for generation of ultra-short electron bunches ○野澤 一太,菅 晃一,楊 金峰,近藤 孝文,神戸 正雄,吉田 陽一(阪大産研) ○Itta Nozawa, Koichi Kan, Jinfeng Yang, Takafumi Kondoh, Masao Gohdo, Yoichi Yoshida (ISIR) 阪大産研では、パルスラジオリシス法の時間分解能向上を目指して、超短パルス電子ビーム発生・計測に関する研究を行っており、これまでに電子ビームの放射するコヒーレント遷移放射をマイケルソン干渉計で計測することにより、<10 fsの電子ビームの発生と計測に成功している。本研究では、より短パルスの電子ビームを発生するために、アクロマティックアーク型の磁気パルス圧縮器の圧縮条件について再検討を実施した。当日は、実験・シミュレーションの結果について詳細を報告する。 |
9:30 - 9:50 | |
THOM03 p.179 [Slides] | LバンドRFデフレクタによるSACLA入射部での電子ビーム時間構造測定 Temporal structure measurement of an electron beam at the SACLA injector using an L-band deflector ○前坂 比呂和,大島 隆(理研 放射光科学総合研究センター),松原 伸一(高輝度光科学研究センター),原 徹,田中 均,大竹 雄次(理研 放射光科学総合研究センター) ○Hirokazu Maesaka, Takashi Ohshima (RIKEN SPring-8 Center), Shinichi Matsubara (JASRI), Toru Hara, Hitoshi Tanaka, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center) X線自由電子レーザー施設SACLAにおいて、線型加速器入射部での速度変調バンチング後の電子ビームの時間構造を測定するため、Lバンドデフレクタ空洞を設計・製作・設置した。SACLAでは、熱電子銃からの電子ビームをチョッパとコリメータで1 nsだけ切り出し、238 MHz, 476 MHzの加速空洞で速度変調バンチングをおこなう。速度変調バンチング後のバンチ長は数10 ps、運動エネルギーは約1 MeVである。このビームにLバンドデフレクタにて横方向に時間依存のキックを与え、下流のスクリーンモニタでビームプロファイルを観察することで時間構造を測定する。また、入射部ではビームの収束にソレノイドレンズを使っているため、デフレクタ空洞で与えた横方向キックが回転することになる。以上の条件から、Lバンド(1428 MHz)にてTM110モードを励振するピルボックス空洞を設計することとした。入力ポートを2つ用意して直角に交わるように設けることで、直線偏波と円偏波の選択ができたり、偏波方向を自由に決められたりするようにした。実際にデフレクタ空洞でビームに横方向キックを与えたところ、キック方向を自由に変えられることが確認でき、ソレノイドレンズによる横方向運動量の回転がある条件下でも時間構造が適切に測定することができた。このようにして得られた時間構造は、入射部のビーム調整に役立てられている。 |
9:50 - 10:10 | |
THOM04 p.184 [Slides] | 電子蓄積リングにおける閉軌道補正への機械学習適用の試み ‐あいちSRでの試験例‐ Pilot application of machine learning to COD correction for the electron storage ring at Aichi Synchrotron Radiation Center ○石田 孝司,高嶋 圭史,保坂 将人,持箸 晃,真野 篤志(名古屋大学シンクロトロン光研究センター),大前 良磨(名古屋大学工学研究科),大熊 春夫(高輝度光科学研究センター) ○Takashi Ishida, Yoshifumi Takashima, Masahito Hosaka, Akira Mochihashi, Atsushi Mano (Nagoya University Synchrotron Radiation Research Center), Kazuma Omae (Graduate School of Engineering, Nagoya University), Haruo Ohkuma (Japan Synchrotron Radiation Research Institute) あいちシンクロトロン光センターでは電子蓄積リングを周回する電子ビームに対して固有値分解法に基づいた閉軌道補正を行っている。現在、軌道補正は水平方向と垂直方向は相関がなく独立であると仮定して行っており、さらにそれぞれの方向についても補正に用いるステアリング電磁石に流す電流と軌道の補正量は線形であるとし、2次以上の効果を考慮していない。加えて、軌道補正を行ったのちも電子ビームの軌道は徐々に基準軌道からずれていくことが確認されている。その原因は加速器収納部の気温変化による本体の変形が原因として考えられ、気温の変化は場所により異なり、一様ではない。 周囲の環境をも含んだ加速器全体の精密なモデルは極めて複雑であることから、従来の軌道補正法の置き換えとして、初歩的なニューラルネットワークに、まずは従来の固有値分解法を学習させ、それによる軌道補正を試験的に行った。 今後の展望としては各ステアリング電磁石に流す電流を変えた場合の軌道の応答を実際に測定し、そのデータに基づいた軌道補正が正しく行えるかを検証する予定である。また電子蓄積リング全周に渡って温度分布とその時間変化を取得し、それと軌道変化との相関を、これも機械学習によって得ることを試みる。最終的には相関が複雑、または、現在は不明である軌道補正以外の加速器制御に関わる最適パラメーターの自動取得への応用や自律的な運転システムの構築も考えている。 |
10:10 - 10:30 | |
THOM05 p.187 [Slides] | J-PARC Main Ring 大強度運転のためのビーム位置モニター(BPM)の高度化 Upgrade of the beam position monitor (BPM) at the J-PARC main ring for high intensity operation ○小林 愛音,外山 毅,佐藤 健一郎,久保木 浩功(KEK) ○Aine Kobayashi, Takeshi Toyama, Kenichirou Satou, Hironori Kuboki (KEK) J-PARCの加速器ビームを利用するニュートリノ振動実験では大強度ビームが必要で、1.3 MWを目指している。現在は約470 kWの運転が可能であり、J-PARC Main Ring(MR)加速器ではそのためのアップグレード準備を行っている。加速器のバンチに詰め込める陽子数は、ビームロスにより制限される。ロスを低減するためにはビーム位置モニター(BPM)でビーム位置を精度良く測定し、ビーム軌道の補正を行い、安定した長時間制御・運転をする必要がある。現状の位置分解能は閉軌道歪み(Closed orbit distortion, COD)モードで数10 \mu m、ターン毎モードで数100 \mu mであり、これを数分の1から10分の1程度にすることを目指す。現在、ビーム強度が高いときに入射時のCOD RMSが100~200 \mu m変動するように見える現象があり、BPM応答に強度依存性があるのか、実際に動いているのか原因を追求する必要がある。個々のBPMの信号に異常がないことの確認や、ウェイク場やバンプの影響を考慮しながら軌道解析し、調査している。ビームオプティクスの測定精度向上も目指す。 |
ビーム診断・ビーム制御2/ビームダイナミックス・加速器理論 (8月3日 小講堂(1F)) | |
10:40 - 11:00 | |
THOM06 p.192 | パルス・モード計測型光位置モニタの実証試験 Demonstration of pulse-mode x-ray beam position monitor ○青柳 秀樹,古川 行人,渡辺 篤雄,高橋 直(高輝度光科学研究センター) ○Hideki Aoyagi, Yukito Furukawa, Atsuo Watanabe, Sunao Takahashi (JASRI) 放射光施設の挿入光源ビームラインにおいて、パルス毎に計測することを目指した光位置モニタの開発を進めている。本モニタは、SPring-8独自のアイデアに基づくストリップライン型光電面を用いた光位置モニタの技術を取り採り入れたもので、高い耐熱を持たせるために多結晶ダイヤモンドをヒートシンクとして用いている。プロトタイプを設計・製作し、SPring-8偏向電磁石ビームラインにて実証試験を実施した。その結果、半値全幅が目標である1nsを下回る単極性パルス信号を観測し、パルス毎に位置感度を有することも確認した。本モニタは、パルス・モード計測に特化して設計されているが、直流型の位置モニタとしても使用することが可能で、安定性・分解能において信頼性の高い従来型の位置モニタに比べても遜色のない性能であることを確認した。本モニタは既にユーザー運転中に運用されており、定点観測等に用いられている。本発表では、本モニタのパルス・モードにおける実証試験と直流モードでの性能評価試験の結果報告、及び、パルス・モードでの運用に向けた今後の計画について報告する。 |
11:00 - 11:20 | |
THOM07 p.197 | PyEcloud simulations of the electron cloud for the J-PARC MR ○Bruce Yee-rendon, Takeshi Toyama, Ryotaro Muto, Masashi Okada, Masahito Tomizawa (KEK/J-PARC) Recently electron cloud simulations were done using an updated version of the computational model developed at KEK. The results obtained were consistent with the measurements during the slow extraction operation mode for the J-PARC Main Ring. Additionally, new electron cloud simulations were performed using PyEcloud program. This code was created at CERN and it is the update version of ECLOUD program. The main advantage of the PyEcloud code with respect to the one at KEK is the adjustable numbers of the macro-particles which allowed to manage the large amount of electrons created when the multipactor condition is reached. Indeed, this work used a more accurate model for low energy electrons than the previous simulations, consequently, the electron cloud density simulated has a good agreement with the one measured in the surveys. Additionally, due to the continue upgrade in beam power at fast extraction mode for the Main Ring, the electron cloud could reappear again in this scheme, therefore, PyEcloud simulations were done to estimate the electron cloud density at these beam conditions. |
11:20 - 11:40 | |
THOM08 p.201 [Slides] | 大交差角を有するビーム - ビーム衝突におけるwake fieldおよびHead-Tail不安定性 Wake field and head-tail instability in beam-beam collision with a large crossing angle ○大見 和史,生出 勝宣(高エネルギー加速器研究機構),黒尾 奈未(筑波大学) ○Kazuhito Ohmi, Katsunobu Oide (KEK), Nami Kuroo (University of Tsukuba) 近年の電子・陽電子衝突型加速器設計では大交差角を用いた衝突形式を採用している。SuperKEKB加速器では交差角を大きくした衝突を行い、ルミノシティ向上をめざしており、FCC(周長100km)など将来の衝突加速器は大衝突角をベースに設計され始めている。本報告では、強いwake fieldがビームビーム相互作用によって誘起されることについて議論する。Strong-strong simulationでは非常に強いコヒーレントhead-tail不安定性が報告された。この不安定性は本報告によるwake fieldによって説明できる。 |
11:40 - 12:00 | |
THOM09 p.206 [Slides] | コンパクトERLにおけるビームハローとビームロスのスタディー Beam halo and beam loss studies at the KEK compact ERL ○田中 織雅,中村 典雄,島田 美帆,宮島 司,帯名 崇,高井 良太,布袋 貴大(高エネルギー加速器研究機構(KEK)) ○Olga Tanaka, Norio Nakamura, Miho Shimada, Tsukasa Miyajima, Takashi Obina, Ryota Takai, Takahiro Hotei (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) The beam halo studies are performed at KEK Compact ERL (cERL) systematically since machine commissioning in spring 2015. The beam loss in the recirculating loop of the accelerator was observed during the machine study. Wherein we found that the beam loss can be avoided making use of a collimation system of cERL. Therefore we established a beam halo formation study. Beam halo measurement in spring 2016 commissioning demonstrated a presence of the vertical beam halos at multiple locations of the beam line except the region near the electron gun. We guess that the transverse beam halo could occur from the longitudinal bunch tail arising at the photocathode. The halo formation process should include all the mechanisms transferring the longitudinal bunch tail into the transverse plane. They could be rf field kicks, due to injector line elements misalignments and an effect of the steering on the beam trajectory. In the present study we compare the results of the simulation including effects described above with the measurement results to explain the beam halo and to avoid the beam loss during the machine operation. |
技術研修会2 (8月3日 クラーク会館) | |
13:00 - 14:00 | |
THOLT01 | 光を使ったビーム計測技術1 Introduction to the optical monitors for particle accelerators1 ○三橋 利行(高エネルギー加速器研究機構) ○Toshiyuki Mitsuhashi (KEK) 光学的なビーム計測は、加速器の基本的なパラメータを高い精度 で測定する手段として利用され、そのバラエティーに富む手法が 新たな計測手段として電子加速器はもとより、ハドロン加速器に も導入されている。本講演では、講演1で光学的計測手段を概説 し、重要な光源である放射光についてできるだけ数式を使わずに解説する。次に、光学の基礎として、幾何光学と波動光学についてやさしく解説する。それに続いて、望遠鏡で加速器を覗く、すなわち結像光学系によるビームサイズ、プロファイル計測につい て解説する。 |
光源加速器/LLRF (8月3日 講堂(2F)) | |
14:20 - 14:40 | |
THOL10 p.212 [Slides] | PF-AR直接入射路の建設とコミッショニング Construction and commissioning of direct beam transport line dedicated for PF-AR ○東 直,浅岡 聖二,飯田 直子,岩瀬 広,上田 明,内山 隆司,小川 雄二郎,尾崎 俊幸,小野 正明,帯名 崇,柿原 和久,紙谷 琢哉,菊池 光男,岸本 祐二,工藤 喜久雄,久米 達哉,小玉 恒太,小林 幸則,坂中 章悟,下ヶ橋 秀典,佐藤 政則,佐藤 政行,佐波 俊哉,諏訪田 剛,高井 良太,高木 宏之,鷹崎 誠治,高橋 毅,多田野 幹人,田中 窓香,谷本 育律,田原 俊央,多和田 正文,峠 暢一,長橋 進也,中村 典雄,中村 一,夏井 拓也,濁川 和幸,丹羽 尉博,野上 隆史,芳賀 開一,原田 健太郎,肥後 寿泰,古川 和朗,本田 融,本間 博幸,三川 勝彦,三増 俊広,宮内 洋司,宮原 房史,山田 悠介,山本 尚人,山本 将博,吉田 光宏(KEK) ○Nao Higashi, Seiji Asaoka, Naoko Iida, Hiroshi Iwase, Akira Ueda, Takashi Uchiyama, Yujiro Ogawa, Toshiyuki Ozaki, Masaaki Ono, Takashi Obina, Kazuhisa Kakihara, Takuya Kamitani, Mitsuo Kikuchi, Yuji Kishimoto, Kikuo Kudo, Tatsuya Kume, Kota Kodama, Yukinori Kobayashi, Shogo Sakanaka, Hidenori Sagehashi, Masanori Sato, Masayuki Sato, Toshiya Sanami, Tsuyoshi Suwada, Ryota Takai, Hiroyuki Takaki, Seiji Takasaki, Takeshi Takahashi, Mikito Tadano, Madoka Tanaka, Yasunori Tanimoto, Toshihiro Tahara, Masafumi Tawada, Nobukazu Toge, Shinya Nagahashi, Norio Nakamura, Hajime Nakamura, Takuya Natsui, Kazuyuki Nigorikawa, Yasuhiro Niwa, Takashi Nogami, Kaiichi Haga, Kentaro Harada, Toshiyasu Higo, Kazuro Furukawa, Tohru Honda, Hiroyuki Honma, Katsuhiko Mikawa, Toshihiro Mimashi, Hiroshi Miyauchi, Fusashi Miyahara, Yusuke Yamada, Naoto Yamamoto, Masahiro Yamamoto, Mitsuhiro Yoshida (KEK) KEKの入射器LINACはSuperKEKBのHigh Energy Ring (HER), Low Energy Ring (LER), PF, PF-ARの4つのリングにビームを供給する。これまでPF-ARの入射路はHERと共有されており、それぞれのリングにビームを入射する際は電磁石の初期化のため10分程度の入射停止が必要だった。2017年秋からSuperKEKB Phase 2運転が開始されるが、HERのタウシェック寿命は10分程度とKEKBのときと比べ短くなり、これまでの電磁石初期化を実施すればSuperKEKBの目指すルミノシティを達成することは不可能になる。 そこで今回PF-ARの入射路をHERから分離し、新たな直接入射路を建設した。新しいトンネルの掘削工事は2013年に開始され、設備工事を含む作業は2015年に終了した。電磁石や真空ダクトなどの加速器機器の設置は2017年2月まで行われ、終了後の2月13日より新たな直接入射路を使用したコミッショニング運転が開始された。コミッショニングは順調に行われ、初日からPF-ARリングへのビーム到達が確認された。3月1日に施設検査が実施され合格、2017年4月からユーザー利用運転を再開した。今後は2017年冬AR単独でのトップアップ運転、2018年秋PFとの同時トップアップ入射を目標にし、運転とスタディを重ねる予定である。 |
14:40 - 15:00 | |
THOL11 p.216 | 極短周期アンジュレータの開発と最初の放射の観測実験 Development of a very short period undulator and observation of the first light ○山本 樹(高エネ機構・ 放射光,総研大物質構造科学),浜 広幸,柏木 茂,日出 富士雄,武藤 俊哉,南部 健一(東北大・電子光理学研究センター) ○Shigeru Yamamoto (KEK-PF, SOKENDAI), Hiroyuki Hama, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Toshiya Muto, Kenichi Nanbu (Research Center for Electron Photon Science, Tohoku Univ.) 低いエネルギーの光源加速器において,低次のアンジュレータ放射を用いつつ,より高いエネルギーの放射の実用化を目指して,“極短周期” アンジュレータのための研究開発を行っている。 本研究では周期長4mmを目標に設定し,幅20mm x 厚さ2mm x 長さ100mm(25周期),または長さ152mm(38周期)の板状のNdFeB製磁石素材に,周期的交番磁気回路を高精度・高強度で書き込む方式の開発を行ってきた。着磁後に対向させた一対の磁石板の間の隙間(磁石ギャップ)にアンジュレータ磁場を生成することができる。現在1.6mmの狭小ギャップに約4kGの極短周期磁場(周期長4mm)を生成することが可能になった。実測磁場に基づく評価は,この磁場からの放射光が優れた輝度特性を持つことを示している。 本報告では,アンジュレータ磁石の長尺化に関する最新の成果とその技術を応用した,極短周期アンジュレータ本体の開発について述べる。さらに、東北大学・電子光理学研究センターS-band Linacに導入・設置した,周期長4mmの極短周期アンジュレータからの最初の放射の観測実験について報告する。 |
15:00 - 15:20 | |
THOL12 p.221 [Slides] | 極短周期アンジュレータの設置に最適化した小型電子蓄積リングの設計 Design study of small electron storage ring for installation of very short period undulators ○大熊 春夫(高輝度センター),山本 樹(高エネ機構・放射光) ○Haruo Ohkuma (JASRI), Shigeru Yamamoto (KEK-PF) 幅20mm x 厚さ2mm x 長さ100mmのNdFeB板に多極着磁法により高精度かつ高強度の周期2mm~4mmの磁気回路を形成し、これを用いた極短周期アンジュレータ開発の研究を行ってきた。このアンジュレータを低エネルギー電子蓄積リングに設置して、低次アンジュレータ放射による高エネルギー放射光を生成する検討をしている。既存のリングでは直線部のベータ関数により最小ギャップに制限があり、直線部の長さも極短周期アンジュレータには最適化されていない。そこで、設計段階から周期長2~4mm、アンジュレータ長0.8m程度(複数の磁石板を長手方向に接続。周期長2mmで400周期)を10台以上(= BL数)設置する事を前提としたリングの設計検討を以下の条件で行った。(1)電子エネルギー:1.5GeV(周期長2 mmでの基本波:約10keV)、(2)周長:70m以下、(3)セル数:12~16、(4)直線部:0.8m以上、(5) 超伝導偏向電磁石の使用は可、(6)実効エミッタンス:40nmrad以下。現時点では未検討事項もあるが、1台の3.8T超伝導偏向電磁石と各々4台の四極および六極電磁石により4m長のユニットセルを組んだ14セルのラティスの設計が出来た。アンジュレータ設置部の12箇所の1m直線部(垂直ベータ = 0.24m)と、入射と加速空洞設置のために拡張した2箇所の2.5m直線部により、エネルギー1.5GeV、周長60m、自然エミッタンス24nmrad(実効エミッタンス36nmrad)となった。これまでの検討結果と今後の展望について述べる。 |
15:20 - 15:40 | |
THOL13 p.226 [Slides] | SPring-8-IIに向けた挿入光源開発 Insertion device development for SPring-8-II ○金城 良太(理化学研究所),備前 輝彦(JASRI),貴田 祐一郎(理化学研究所),清家 隆光(JASRI),長谷川 照晃(理化学研究所),鏡畑 暁裕,久間 正之,岸本 輝,大橋 治彦(JASRI),山本 樹(KEK-PF),田中 隆次(理化学研究所) ○Ryota Kinjo (RIKEN SPring-8 Center), Teruhiko Bizen (JASRI), Yuichiro Kida (RIKEN SPring-8 Center), Takamitsu Seike (JASRI), Teruaki Hasegawa (RIKEN SPring-8 Center), Akihiro Kagamihata, Masayuki Kuma, Hikaru Kishimoto, Haruhiko Ohashi (JASRI), Shigeru Yamamoto (KEK-PF), Takashi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) SPring-8のアップグレード計画であるSPring-8-IIでは、エミッタンスを小さくし高い輝度を得るために、電子ビームエネルギーが6 GeVになるとともに、偏向電磁石の数が増えアンジュレータを設置する直線部の長さが短くなる。これに対応し、これまで20年にわたり設置してきた約40台ものアンジュレータを1年間の停止期間の間に入れ替える必要がある。このためのアンジュレータの構造改革の一つとして、多極着磁ブロックを用いた吸引力相殺機構に基づく軽量コンパクトなアンジュレータを開発している。この吸引力相殺機構の実証実験、および吸引力相殺機構を搭載した試作機の実証実験の結果について報告する。また特殊なビームライン向けアンジュレータとして、軟X線ビームラインにおいて問題となる光学系への熱負荷をあらゆる偏光状態で低減するアンジュレータや、高速で偏光を切り替え可能かつ電子ビームへ与える揺動が小さい手法について報告する。 |
15:40 - 16:00 | |
THOL14 p.231 [Slides] | DBAを用いたCSR効果の抑制 Suppression of the CSR effects using DBA lattice ○原 徹,稲垣 隆宏(理研),近藤 力(高輝度光科学研究センター),渡川 和晃(理研),深見 健司(高輝度光科学研究センター),中澤 伸侯,長谷川 太一,森本 理,吉岡 正倫(スプリングエイトサービス),前坂 比呂和,大竹 雄次,田中 均(理研) ○Toru Hara, Takahiro Inagaki (RIKEN), Chikara Kondo (JASRI), Kazuaki Togawa (RIKEN), Kenji Fukami (JASRI), Shingo Nakazawa, Taichi Hasegawa, Osamu Morimoto, Masamichi Yoshioka (SES), Hirokazu Maesaka, Yuji Otake, Hitoshi Tanaka (RIKEN) SACLAでは、2015年1月に線型加速器出口にキッカーとセプタム電磁石を設置し、BL2/BL3の2本のXFELビームラインを用いたマルチビームライン運転を行ってきた。しかし、加速器出口とBL2アンジュレータ間にあるドッグレッグ電子ビーム輸送路におけるCSR効果の影響でビーム軌道や電子バンチ形状が不安定になることから、安定なレーザー発振を得るためには、通常10 kAのピーク電流を3 kA程度に制限する必要があった。そこでCSR効果を抑制すべく、2017年1月にドッグレッグ部に新たな電子ビーム光学系を導入した。新ビーム光学系では、偏向電磁石2台とその間の四極電磁石1台を用いたDBAをドッグレッグ部の出入口で各々組み、各偏向電磁石で電子ビームを水平方向に1.5°曲げる。更に出入口の2つのDBA間の水平ベータトロン振動の位相差をπとすることで、ドッグレッグ部にある4台の偏向電磁石間でCSR効果による水平キックをキャンセルさせる。また電子ビームを、DBAの四極電磁石のオフセンターを通すことにより、ドッグレッグ部のR56を調整することも可能である。 今回導入した新ビーム光学系により、通常BL3単独運転で用いている10 kAの電子ビームバンチでもBL2で安定なレーザー発振が得られるようになった。SACLAでは、BL2/BL3を用いた本格的なマルチビームライン運転を2017年秋から開始する予定である。 |
16:00 - 16:20 | |
THOL15 p.236 [Slides] | あいちSRにおけるパルス6極電磁石による蓄積ビームへの影響 Perturbation to the stored beam by pulsed sextupole magnet in Aichi SR ○持箸 晃(名大SRセンター),山村 光平(名大院工),保坂 将人,高嶋 圭史,眞野 篤志,石田 孝司(名大SRセンター),加藤 政博,藤本 將輝(分子研UVSOR),大熊 春夫((公財)高輝度光科学研究センター) ○Akira Mochihashi (Nagoya University SR Center), Kouhei Yamamura (Nagoya University Graduate School of Engineering), Masahito Hosaka, Yoshifumi Takashima, Atsushi Mano, Takashi Ishida (Nagoya University SR Center), Masahiro Katoh, Masaki Fujimoto (UVSOR, Institute for Molecular Science), Haruo Ohkuma (JASRI) あいちSR光源加速器は1.2GeVの電子蓄積リングであり周長は72mと比較的小型である。このため、電子蓄積リングへのビーム入射の際に生成する入射バンプ軌道のリング一周に占める割合は大きく、現状のバンプ軌道によるビーム入射法では複数の放射光ビームラインがトップアップ運転時のビーム入射の影響を受けている。この状況を打開するため、あいちSRでは入射バンプを必要としないパルス6極電磁石入射法の研究開発を進めている。これまでに、パルス6極電磁石を電子蓄積リングに設置しビーム入射が問題なく出来る事を確認している。通常のバンプ軌道法と比較して遜色ない入射効率を実現しているが、一方で、パルス6極電磁石励磁により蓄積ビームが振動することも明らかとなった。放射光によるビームプロファイルのターン毎観測及びピックアップ信号によるビーム振動観測の結果を踏まえ、パルス6極電磁石の蓄積ビームに対する影響を詳細に理解すべく、パルス6極電磁石の影響下にある蓄積ビームのトラッキング計算を行った。結果、パルス6極電磁石の誤差磁場による蓄積ビームへの影響はダイポールキックとして取り扱えることが示唆された。発表では、あいちSRのパルス6極電磁石システムの概要、蓄積ビームへの影響のビーム診断実験結果、トラッキングシミュレーションと実験結果との比較、及び渦電流起因と見られる誤差磁場の解析結果、今後の展望について述べる。 |
16:20 - 16:40 | |
THOL16 p.241 | J-PARC RCS のためのベクトル rf 電圧制御システムの開発 Development of a vector rf voltage control system for the J-PARC RCS ○田村 文彦,杉山 泰之,吉井 正人,大森 千広,山本 昌亘,島田 太平,長谷川 豪志,原 圭吾,古澤 将司(J-PARCセンター) ○Fumihiko Tamura, Yasuyuki Sugiyama, Masahito Yoshii, Chihiro Ohmori, Masanobu Yamamoto, Taihei Shimada, Katsushi Hasegawa, Keigo Hara, Masashi Furusawa (J-PARC Center) J-PARC 3GeV シンクロトロン (RCS) では、大強度の陽子ビームを加速する際に金属磁性体 (MA) 空胴に生じるビームローディングを補償することが必須である。RCS で用いられる MA 空胴は広帯域の周波数特性を持ち、陽子ビーム加速に伴なう加速周波数変化に対して空胴の同調を必要とせずに加速電圧を発生できるほか、1台の空胴に加速周波数および2倍高調波を重畳したデュアルハーモニック運転を可能としている。一方、その広帯域の特性によりウェーク電圧も高調波を含むために、マルチハーモニックのビームローディング補償が必要である。RCS では、マルチハーモニックフィードフォワードシステムによるビームローディング補償で、設計ビームパワー1MW までのビーム加速試験を成功裏に遂行してきたが、その過程で、フィードフォワード法が持つオープンループ系であることに起因する弱点もわかってきた。J-PARC シンクロトロンの次世代LLRF 制御システムでは、フィードフォワードに加え、ベクトルrf電圧制御によるビームローディング補償の採用を検討している。本発表では、2016年度に製作したベクトルrf電圧制御システムのプロトタイプについて、概要、調整手法および試験結果について報告する。 |
加速器制御/ 加速器土木・放射線防護 (8月3日 小講堂(1F)) | |
14:20 - 14:40 | |
THOM10 p.246 | MTCA.4による高速大容量データハンドリング High-bandwidth data handling system with MTCA.4 ○漁師 雅次,岩城 孝志,出口 久城,林 和孝,松本 隆太郎,山崎 伸一(三菱電機特機システム) ○Masatsugu Ryoshi, Takashi Iwaki, Hisakuni Deguchi, Kazutaka Hayashi, Ryuutarou Matsumoto, Shinichi Yamazaki (Mitsubishi Electric TOKKI Systems) MTCA(Micro Telecommunications Computing Architecture)に対応した様々なモジュールを開発し、加速器制御およびモニタに適用してきた。SuperKEKB・cERL・STFのLLRFやBPMなどでは、FPGA(Virtex5FXT、Zynq)内蔵のCPU(PowerPC440、Cortex-A9)上にLinuxを組み込みEPICS IOCとして利用してきた。そのため、MTCAのバックプレーンでは、Giga-bit Ethernetを主に使っていた。さらに、取り扱うデータ容量の多くなるカメラを用いた光学モニタ装置では、'100MB/sec'を越えるデータ伝送が必要になるため、バックプレーンではPCI-Express Gen2x4のDMAでデータを伝送した。 さらに、LLRFやBPMを始めMPCCDや実験装置において、入力チャンネル数の増加やセンサの高精細化により、高速大容量のデータ伝送が必要になると考えられる。それらにMTCAを適用し小型化および保守性向上をするため、MTCA上でPCI-Express Gen3および40 Giga-bit Ethernetを使ったシステムの実現方法の確認および性能評価を行った。 |
14:40 - 15:00 | |
THOM11 p.251 | EPICSとCSSを用いた偏極イオン源制御システムの開発 Development of the polarized ion source control system using EPICS and CSS ○大和 良広(筑波大学 研究基盤総合センター) ○Yoshihiro Yamato (UTTAC) 筑波大学の偏極イオン源(PIS)も2011.3.11の東日本大震災により甚大な被害を受けた。 本発表では、PISの概要と復旧作業作業を簡単に説明し、F3RP61, EPICS, CSS を用いた制御システムの開発について報告する。 |
15:00 - 15:20 | |
THOM12 p.255 [Slides] | 加速器制御システム用コルーチンベース非同期ブリッジ Coroutine based asynchronous bridge for accelerator control systems ○ジメネズ アレクシャンドレ(理化学研究所) ○Alexandre Gimenez (Riken) 加速器制御システムで使用されるGUIに対応した新コンセプトとして「コルーチンベース非同期ブリッジ」の構想を発表します。 コルーチンは比較的に旧技術ですが、下記のメリットがあって最近よく利用されています ア)プログラムフローのシンプル化と生産性の改善 イ)多くのプログラミング言語での対応(C#, Python, Perl, 近々C++も) 尚、下記のハードルがあって、コルーチンはまだ主流になっていません ア)コルーチンとの互換性のないソフトウェアライブラリが多く存在します イ)そのライブラリをすべてコルーチン対応に作り直すことが非現実的である。 また、下記のインターフェイススタイルはコルーチンから参照しにくいとされています。 ア)ブロッキング・同期インターフェイス イ)コールバック・非同期インターフェイス ウ)イベント・キュー/非同期インターフェイス 本論文では、上記の三つインターフェイススタイルをコルーチン対応層の下に隠蔽する方法について説明します。 コルーチンベース非同期ブリッジのサンプル C++ 実装を開発し、いくつかの既存ソフトウェアライブラリを コルーチンで操作できるように隠蔽するケーススタディを行った結果も紹介します。 |
15:20 - 15:40 | |
THOM13 p.259 [Slides] | ILC誘致を円滑に推進するためのAAA・CIVIL部会における検討(その3) Study on civil-related works by AAA・CIVIL subcommittee to smoothly host ILC(No.3) ○武内 邦文(大林組),大西 有三(関西大学),吉岡 正和(東北大学 岩手大学),関根 一郎(戸田建設),河上 清和(五洋建設),濱嶋 博文(大成建設),福田 和寛(清水建設),下河内 隆文(竹中工務店),川端 康夫(飛島建設),大山 寛夫(鹿島建設),福田 和人(前田建設工業) ○Kunifumi Takeuchi (Obayashi Corporation), Yuzo Ohnishi (Kansai University), Masakazu Yoshioka (Tohoku University Iwate University), Ichiro Sekine (Toda Corporation), Kiyokazu Kawakami (Penta-Ocean Construction Co.,Ltd.), Hirofumi Hamajima (Taisei Corporation), Kazuhiro Fukuda (Shimizu Corporation), Takafumi Shimogochi (Takenaka Corporation), Yasuo Kawabata (Tobishima Construction), Hiroo Ohyama (Kajima Corporation), Kazuto Fukuda (Maeda Construction) 先端加速器科学技術推進協議会(AAA)とは,最先端の加速器開発による科学技術の飛躍を目指して設立された産官学の連携組織で,国際リニアコライダー(ILC)の日本誘致に向けて2014年12月にCIVIL部会を設置し,主にその施設建設に関する調査等を実施している.本報告では,昨年度の活動として,ILC施設建設上の重要課題を検討するWG1,法規制・権利関係を調査するWG2,まちづくりを調査するWG3,および,各種の調査を支援するWG4に分かれ活動を行った成果を報告する. 具体的には,昨年度の成果として,WG1ではILC候補地である北上山地を現地調査した結果を踏まえて,トンネルの戦略的な地質調査について検討し,提言をまとめた.WG2では,法規制および権利関係の調査を実施し,過去の類似大規模プロジェクトでの実績等を踏まえてILC着工までの手順について知見をまとめた.WG3では,ILC施設からの排熱利用とエネルギーマネジメントおよび自動運転に関する技術動向を踏まえた今後のILCに関する交通問題対策を調査し,提言をまとめた.そして,WG4では,平成28年12月に盛岡で開催された国際会議LCWS2016でのCIVIL部会としての展示を支援した.今後,これらの成果等を適宜公表し,日本への正式誘致に向けた活動に対して,協議会という民間の立場からの支援や提言等を進めていく予定である. |
15:40 - 16:00 | |
THOM14 p.264 [Slides] | KEKB入射器トンネルにおける微小床面変動とATL則の検証 Minute floor motion and test of the ATL law at the KEKB injector linac tunnel ○諏訪田 剛(高エ研加速器) ○Tsuyoshi Suwada (KEK, Acc. Lab.) 遠隔制御が可能なレーザー光軸変位センサー(自動センサー)10台を入射器の500m長直線部の建屋継目を挟んだ上下流の加速ユニットに分散設置し、計算機によるデータ収集システムの構築を経て2016年1月から加速ユニットの動的変位の観測を本格的に開始した. 昨年の本学会では、2016年1-7月までに及ぶ入射器トンネルの床面変動の連続観測、特に500m長に渡る床面の複雑な動的変動とその相関解析について報告した. この結果、入射器トンネルの床面変動は500m長に渡り不規則かつ複雑に変動していることがわかった. その後、同データを用いて普遍的な法則として知られているATL則の検証を行った. ATL則は古典的な拡散運動で記述されるが、入射器トンネルの床面変動に関しては、このような描像が成り立たず、変動分散が<x^2> ~ AT^αL^β (T:経過時間, L:二点間距離, α~0.3, β~1)というATL則でうまく記述できることがわかった. 抵抗の無い古典的拡散運動の場合はα ~ 1となるが、α < 1の場合は有限な抵抗が働き拡散速度が抑制されることを示している. 変動量が微小なのでATL則の検証は困難であったが、ようやくその挙動を捉えることに成功し、ATL則の検証が可能となった. 本学会では、入射器におけるレーザー光軸変位センサーシステムを簡単に紹介し、ATL則とは何か、また変動分散<x2>の導出法、ATL則の解析法、検証結果の妥当性を報告する. |
16:00 - 16:20 | |
THOM15 p.269 | SuperKEKB衝突点建設:測量とアラインメント Consctuction of SuperKEKB interaction region: survey and alignment 増澤 美佳,植木 竜一,大澤 康伸,川本 崇,山岡 広(KEK),○阿部 直宏,有山 至高,田邊 晃規,三島 研二(株式会社 パスコ) Mika Masuzawa, Ryuichi Ueki, Yasunobu Ohsawa, Takashi Kawamoto, Hiroshi Yamaoka (KEK), ○Naohiro Abe, Takashi Ariyama, Akinori Tanabe, Kenji Mishima (PASCO) SuperKEKB加速器では、現在来年2月からの衝突実験開始へ向けて建設工事が進められている。昨年8月には衝突点最終収束系超伝導電磁石システム(QCS)のうちの片側のクライオスタット(QCSL)が、また今年2月にはもう片側のQCSRがビームラインへ据え付けられ、レーザートラッカーを用いてアラインメントされた。QCSL/Rはビームライン上をなめらかに前進・後退する移動架台の上に据付けられているが、移動架台の前進・後退時のQCSL/Rの動きの再現性、動きのスムースさについても測量した。4月には総重量1400トンのBELLE II検出器がおよそ13m移動し加速器ビームラインへロールインしたが、ロールイン中のビームラインの床変動について測量を行っている。ロールイン後には検出器とビームラインとの整合性について確認測量も行いBELLE II 検出器を固定している。また、ロールイン後のQCS前進後にはクライオスタットの測量を行い、ロールインによる床の沈み込み等の影響についての評価も行っている。今回、衝突点回りの一連の測量作業について手法を簡単に説明し、測量結果及び床変動について報告する。 |
16:20 - 16:40 | |
THOM16 p.274 [Slides] | 地震時架台等で増幅された機器振動の強震計ITK002による測定 Amplified vibration measurement of instruments on the girder at earthquakes with a seismometer ITK002 ○松井 佐久夫(理研),木内 淳,甲斐 智也(スプリングエイトサービス(株)),岡安 雄一,安積 則義,木村 洋昭(高輝度光科学研究センター) ○Sakuo Matsui (RIKEN), Jun Kiuchi, Tomoya Kai (SPring-8 Service Co.,Ltd), Yuichi Okayasu, Noriyoshi Azumi, Hiroaki Kimura (JASRI) 1995年の阪神淡路大震災時SPring-8ではまだ床工事中で被害は無かったが、関西では近い将来東南海地震の発生が予測されている。2011年の東日本大震災時KEKの加速器では架台が揺れ機器は大きな被害を受けた。住宅等の揺れを小さな地震時に測定、弱点を把握し効果的な耐震策に役立てるためのコンソーシアムが設立され、安価な強震計が開発されている。加速器機器も加振での地震時の模擬は簡単でない場合も多い。最大床振動は0.3Gとして架台や固定は設計しても、架台上機器は、かなり増幅される場合もある。そこで今回、GMR(巨大磁気抵抗効果)センサー使用の3次元100Hzの加速度データが連続3ヶ月(16GB SDカード使用時)取得できる強震計ITK002 を用い、架台の上と下、SPring8サイトの床上4カ所で4年間測定した。地震時、架台上で床の3~4倍の加速度や、意外に増幅していない場合とか、卓越周波数や振幅の地盤による差等観測されている。まだ震度3程度を越したことがなく、測定箇所も少ないため補強が必要という例は見つかっていないが、今後は重心が高く、より振動が増幅されやすいと思われる、放射光ビームライン機器の測定を考えている。ITK002は測定範囲±2900Galで大きさ10×14×4cm、重さ620g、と小型でDC6Vで駆動でき、小さなバッテリーを接続しておけば停電後も数時間は余震の測定もできる (通常の電流0.5A)。高感度地震計STS2との比較、心配な外部磁場の影響についても報告する。 |
電子加速器 (8月1日 第1,2,3,4会議室他) | |
13:00 - 15:00 | |
TUP001 p.279 | SuperKEKB 電子リングのビームアボートシステム The abort system of SuperKEKB high energy ring ○三増 俊広(KEK) ○Toshihiro Mimashi (KEK) SuperKEKBの電子リングに、新しいビームアボートシステムが導入され、2016年のPHASE I で、動作が確認された。SuperKEKBは、2.6Aの大電流かつ低エミッタンスの電子リングであるため、アボートシステムには、以下のような、要求がなされた。 1:ビームを蹴り出すキッカー電磁石の立ち上がり時間は、200ナノ秒以下であること。2:使用する電磁石電源は、1台で全てのキッカー電磁石に電力を供給すること。3:ビーム取り出し窓を保護するために、取り出し窓での電流密度を低く抑えること。 この3つを満たすビームアボートシステムが、考案され、制作され、最後に実際のビームで、その性能が確認された。 |
13:00 - 15:00 | |
TUP002 p.283 | SuperKEKB 電子リングのビームアボートシステム用水冷セラミックチェンバー Water-cooled ceramic chamber for SuperKEKB HER beam abort system ○三増 俊広(KEK) ○Toshihiro Mimashi (KEK) SuperKEKBでは、大電流を取り扱うため、キッカー電磁石のためのセラミックチェンバーは、空冷では、不十分で、水冷のものが必要になる。今回発表するのは、ビームアボートキッカーように製作されたセラミックチェンバーについてである。アボートキッカーは、200nsec以下の早い立ち上がりを要求されるため、キッカー電磁石のギャップを最小限にしたい。そのため、開発された水冷セラミックチェンバーは、KEKBで使用されていたものより、30パーセント程度 上下方向に小さくすることに成功したものである。これらは、2016年の運転時に使用され、十分な冷却能力を示した。 |
13:00 - 15:00 | |
TUP003 p.287 | SuperKEKB入射器におけるビーム変動とエミッタンス成長シミュレーション Beam variation and emittance growth simulation for SuperKEKB injector linac ○清宮 裕史,佐藤 政則,肥後 寿泰(KEK) ○Yuji Seimiya, Masanori Satoh, Toshiharu Higo (KEK) SuperKEKB injector linac is required to transport low emittance high-charged electron beam (5nC) and positron beam (4nC) to SuperKEKB ring for high luminosity. A charged beam with an offset from a center of cavity is kicked by the wakefield depending on both the offset size in the cavity and longitudinal position of the beam. The wakefield cause emittance growth. This growth can be corrected by appropriate orbit control so as to cancel the wakefield effect of the cavities in total. On the other hands, 6-dimensional beam jitter induce statistical emittance growth. Emittance growth by both measured misalignments and measured beam jitter is evaluated by particle tracking simulation. Beam jitter investigation is also performed by correlation analysis between beam position and some measured parameters, for example, RF timing and temperature. |
13:00 - 15:00 | |
TUP004 p.292 | SuperKEKB用RF gunの開発状況 RF gun development for SuperKEKB ○夏井 拓也,吉田 光宏,周 翔宇,張 叡(KEK) ○Takuya Natsui, Mitsuhiro Yoshida, Xiangyu Zhou, Rui Zhang (KEK) 現在,KEKではSuperKEKBに向けた加速器全体のアップグレードが行われている.SuperKEKBでは非常に高いルミノシティを得るための低エミッタンス化によりダイナミックアパーチャーの減少とビーム寿命の減少が起こる.特に電子ビームはダンピングリングなしで5 nC, 20 mm-mradという高電荷低エミッタンスのビームが求められる.そのため新たにフォトカソードS-band RF gunの開発が進められている.現在は,2017年度に予定されているSuperKEKB Phase2の電子ビーム入射にむけて様々なStudyが行われている.Phase2では安定したNd:YAG Laserを使用する予定であり,現在のRF gunのStudy状況を報告する. |
13:00 - 15:00 | |
TUP005 p.295 | SuperKEKB入射器コミッショニングの現状 (IV) Present status of SuperKEKB injector linac commissioning (IV) ○佐藤 政則(KEK加速器) ○Masanori Satoh (KEK, Acc. Lab.) 昨年6月には5か月間続いたSuperKEKB加速器Phase Iコミッショニングが無事終了し,その後,Phase IIコミッショニングに向けた入射器の機器開発およびビームコミッショニングが精力的に進められている.この間,放射光リングであるPF-ARの新規ビーム輸送路を用いた6.5 GeVフルエネルギー入射のコミッショニングの成功は,将来のPF-ARトップアップユーザー運転ひいてはSuperKEKB, PF, PF-ARの同時トップアップ運転に向けた大きなマイルストーンとなった. 入射器は,5月15日の運転休止から約5ヶ月間の保守期間に入る.この間,Phase IIコミッショニング運転に向けて,入射器後半部へのパルス四極および二極電磁石の設置,陽電子収集系の改造,入射部合流用偏向電磁石のパルス化を始めとした大規模なビームライン改造とそれに付随した制御システムなどの更新が予定されている.本年会では,これまでの入射器ビームコミッショニングの成果とともに,これらのビームライン改造,およびPhase IIIに向けた取り組みについて詳しく報告する予定である. |
13:00 - 15:00 | |
TUP006 p.300 | KEK 7-GeV 電子陽電子入射器と複数の蓄積リングへの入射運転 (II) Injection operation into multiple storage rings at KEK electron/positron 7-GeV injector linac (II) ○古川 和朗,明本 光生,荒川 大,荒木田 是夫,池田 光男,惠郷 博文,榎本 收志,榎本 嘉範,大沢 哲,小川 雄二郎,柿原 和久,片桐 広明,紙谷 琢哉,川村 真人,倉品 美帆 ,佐武 いつか,佐藤 大輔,佐藤 政則 ,設楽 哲夫,周 翔宇,白川 明広,杉村 仁志 ,諏訪田 剛,清宮 裕史 ,竹中 たてる,田中 窓香,張 叡,邱 処ォ,峠 暢一,中尾 克巳,中島 啓光,夏井 拓也 ,西田 麻耶,肥後 寿泰,福田 茂樹,舟橋 義聖,本間 博幸,松下 英樹,松本 修二,松本 利広,三浦 孝子,三川 勝彦,道園 真一郎,宮原 房史,矢野 喜治,横山 和枝,吉田 光宏(KEK/SOKENDAI) ○Kazuro Furukawa, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Yoshio Arakida, Mitsuo Ikeda, Hiroyasu Ego, Atsushi Enomoto, Yoshinori Enomoto, Satoshi Ohsawa, Yujiro Ogawa, Kazuhisa Kakihara, Hiroaki Katagiri, Takuya Kamitani, Masato Kawamura, Miho Kurashina, Itsuka Satake, Daisuke Satoh, Masanori Satoh, Tetsuo Shidara, Xiangyu Zhou, Akihiro Shirakawa, Hitoshi Sugimura, Tsuyoshi Suwada, Yuji Seimiya, Tateru Takenaka, Madoka Tanaka, Rui Zhang, Feng Qiu, Nobukazu Toge, Katsumi Nakao, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui, Maya Nishida, Toshiyasu Higo, Shigeki Fukuda, Yoshisato Funahashi, Hiroyuki Honma, Hideki Matsushita, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Katsuhiko Mikawa, Shinichiro Michizono, Fusashi Miyahara, Yoshiharu Yano, Kazue Yokoyama, Mitsuhiro Yoshida (KEK/SOKENDAI) KEK の電子陽電子入射器は、コミッショニング中の SuperKEKB 衝突型加速器や 2 つの放射光光源に性質の異なる電子や陽電子のビームを入射する。そのビームのエネルギーは 2.5 GeV から 7 GeV、バンチあたりの電荷は 0.2 nC から 10 nC など、ビーム特性や安定性についての仕様は対象となる蓄積リングによって大きく異なる。入射器は 50 Hz でビームを生成することが可能であるが、必要に応じて、パルス毎に対象蓄積リングを替えて入射を行わなくてはならない。特に SuperKEKB 向けのエミッタンスに関しては厳しい管理が必要となると考えられる。また、入射器の各区間に配置されている 60 台のマイクロ波源について、安定性や故障に備えた冗長性を考慮しながら、適切に役割を与える必要がある。このようなビーム特性管理には、高速同期イベント制御システムの整備と、各加速器装置の特性管理や、ビームを使った較正作業、日々の最適化が必要となる。これらについて、機器運転制御やオンラインシミュレーションを含めた現実的な方策について検討する。 |
13:00 - 15:00 | |
TUP007 p.304 | 東北放射光(SLIT-J)入射器の設計検討 Design study of the injector of SLIT-J ○三浦 禎雄(東北大学電子光理学研究センター),SLIT-J デザインチーム(SLiT-J デザインチーム) ○Sadao Miura (Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University), Design Team Slit-j (SLiT-J Design Team) 東北放射光施設(SLiT-J)はエネルギー3GeV,周長354m、水平自然エミッタンス0.92nmのコンパクトで省エネルギー設計の次世代高輝度放射光源であり、宮城県内に2020年までの建設を目指している。本リングの入射器は、省エネルギーを考慮し、ライナックによるフルエナジー入射を計画している。ライナックの主加速器は理研SACLAで開発されたCバンド加速器を採用し、電子銃は東北大学で開発しシンクロトロンリング入射器として運転されている熱カソード型の ITC(Independently tunable cells)-RF電子銃を採用し、安定でコンパクトなライナックを計画している。本ライナックの計画について報告する。 |
13:00 - 15:00 | |
TUP008 p.309 | 60 MeV電子加速器を用いた光核反応による放射性同位体製造のための照射システムの評価 Evaluation of the irradiation system for radioactive isotope production via photonuclear reaction using a 60 MeV electron linac ○髙橋 健,菊永 英寿,塚田 暁,武藤 俊哉,柏木 茂,須田 利美,日出 富士雄,南部 健一,長澤 育郎,濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Ken Takahashi, Hidetoshi Kikunaga, Kyo Tsukada, Toshiya Muto, Shigeru Kashiwagi, Toshimi Suda, Fujio Hinode, Kenichi Nanbu, Ikuro Nagasawa, Hiroyuki Hama (Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University) 電子光理学研究センターでは電子ビームを用いた光核反応による放射性同位体製造を行っている。大気中でビームをコンバータであるタングステンに入射して生成した制動放射線を標的に照射するシステムには、照射効率の向上や照射室内の放射化軽減、標的への熱負荷低減が求められている。しかし、照射効率は装置依存性が高いため、照射システム全体の高度化を図るには、電子ビームパラメータや制動放射線の特性を十分に把握する必要がある。これまでに、電子ビームについてはビームエミッタンス及びTwiss parameterの測定を行い、コンバータに入射する電子ビームのパラメータを明らかにした。また、制動放射線についてはニッケル箔を照射して、Ni-57の放射能強度分布から制動放射線の空間プロファイルの測定などを行った。今回は生成した制動放射線すべてを標的に照射することで制動放射線の照射効率と光子束を定量的に評価した。本発表では評価した制動放射線の特性などについて報告する。 |
光源加速器 (8月1日 第1,2,3,4会議室他) | |
13:00 - 15:00 | |
TUP009 p.313 | 広島大学放射光科学研究センターの将来光源の検討 Future plan for light source at Hiroshima Synchrotron Radiation Center, Hiroshima University ○川瀬 啓悟,松葉 俊哉(広大放射光) ○Keigo Kawase, Shunya Matsuba (HSRC, Hiroshima Univ. ) 広島大学放射光科学研究センターでは1996年より現在のレーストラック型シンクロトロンによる放射光源を供用している。本光源は小型ではあるが、その形状からビームエミッタンスが大きく、利用者から長年高輝度化への要望が強い。そのため長年、本センターの光源研究のグループでは将来光源の設計研究が詳細に実施されてきた。本発表ではこれまでの研究についての概要と、今後の将来光源についての検討についての現状を報告する。 |
13:00 - 15:00 | |
TUP010 p.316 | タンデムアンジュレータ放射の偏光特性 Polarization characteristics of synchrotron radiation from tandem undulator ○松葉 俊哉,川瀬 啓悟(広大放射光),藤本 將輝(UVSOR),保坂 将人(名大SR),加藤 政博(UVSOR) ○Shunya Matsuba, Keigo Kawase (HSRC, Hiroshima Univ.), Masaki Fujimoto (UVSOR), Masato Hosaka (SR Center, Nagoya Univ.), Masahiro Kato (UVSOR) 円偏光アンジュレータ放射の高次光が軌道角運動量を運ぶことが知られている。この、光渦と呼ばれる光の光学的性質を調べるための様々な実験が、UVSOR-IIIのBL-1に並んだ2台の円偏光APPLE-IIアンジュレータを用いて行われてきた。上流と下流のアンジュレータの偏光状態を円偏光高次光やその他の互いに異なる偏光状態に設定するとそれらの干渉光が観測されるが、この時の干渉光の偏光状態を実験及びシミュレーションによって調べた。その結果について報告する。 |
13:00 - 15:00 | |
TUP011 p.319 | KEK-PFリングにおけるビーム損失改善のための入射シミュレーション Simulation study for improving the injection efficiency at KEK-PF ○平野 広太(広島大学院理学研究科),松葉 俊哉(放射光科学研究センター),原田 健太郎(物質構造科学研究所) ○Kota Hirano (Hiroshima University), Shunya Matsuba (Hiroshima Synchrotron Radiation Center(HSRC)), Kentaro Harada (High Energy Accelerator Research Organization(KEK)) 近年、KEK-PFの入射効率が以前と比べて低下しているため、電流の積み上げ中に実験ステーションに立ち入れない程度に放射線レベルが上昇し、解決が望まれている。これは2011年3月11日の地震の影響で、ビーム輸送路の電磁石や入射セプタム電磁石等の設置誤差が大きくなったため、入射パラメタが変わったことが原因だと考えられているが、はっきりとわかっていない。通常キッカー入射では、入射ビームはセプタム電磁石によって最適な角度に向けられ、同時に入射の瞬間だけ蓄積ビームの中心軌道に対してバンプ軌道を立てることでベータトロン振動の初期振幅を抑え、後は放射減衰に任せてリングに捕獲される。加速器シミュレーションコードSAD(Strategic Accelerator Design)を用いキッカー入射のシミュレーションを行った。その結果を報告する。 |
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TUP012 p.322 | PF-ARのためのHMBAラティスの研究 The study of a new HMBA lattice for PF-AR ○東 直,原田 健太郎,小林 幸則,長橋 進也,中村 典雄,上田 明(KEK) ○Nao Higashi, Kentaro Harada, Yukinori Kobayashi, Shinya Nagahashi, Norio Nakamura, Akira Ueda (KEK) Photon Factory Advanced Ring (PF-AR) は1987年からおよそ30年間ユーザー運転を行ってきた。1984年にTRISTANのブースター・リングとして建設された当初からラティス及び光学関数はほとんど変わっていない。ラティスはFODOを採用しており、水平エミッタンスは6.5 GeV ユーザー運転でおよそ300 nmradである。PF-ARの性能を劇的に向上させるため、今回ESRF型のHMBA (Hybrid multi bend achromat) ラティスの採用を検討した。既存のPF-ARトンネルに新たなラティスを組み込むため、4本の長直線部を持つ12セル構造を設計した。この結果エミッタンスは3 GeVで500 pmradを達成することとなった。リングの北半分に位置する既存の実験棟を利用すれば少なくとも8本のアンジュレーターを建設できる。現実的な磁場誤差とCOD補正を想定すると、ダイナミック・アパーチャーは長直線部においておよそ1.5 cmとなる。タウシェック寿命はおよそ6時間となる。ビーム入射については従来型の入射器を利用することができ、ビーム寿命も十分に長い。 |
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TUP013 p.325 | PF-ARの低エミッタンス化 Low emittance optics for PF-AR ○東 直,原田 健太郎,長橋 進也,宮島 司,小林 幸則,中村 典雄(KEK) ○Nao Higashi, Kentaro Harada, Shinya Nagahashi, Tsukasa Miyajima, Yukinori Kobayashi, Norio Nakamura (KEK) PF-ARでは、直接入射路が完成し、6.5GeVフルエネルギー入射が可能になった。それに伴い、3GeV入射では不安定性の影響でほぼ不可能に近かったオプティクスの変更が可能になり、ノーマルセルの位相の進みを大きくすることで、エミッタンスを現在の約半分の160nmradまで小さくすることが可能である。実際のスタディは、機器の破壊を防ぎながら慎重に進める必要があるが、ここでは、今までのスタディの結果の概略を含めて、これからの見通しについて発表を行う。 |
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TUP014 p.329 | PF-ARでのLow Emittance Tuningの検討 Study on low emittance tuning at PF-AR ○尾崎 俊幸(高エネルギー加速器機構) ○Toshiyuki Ozaki (KEK) 近年、多くの研究施設で’Low Emittance Tuning’が検討されている。 これはXYカップリングを、スキュー4極電磁石を用いて補正し、垂直方向エミッタンスを最小にする方法である。 現在のPF-AR運転で、垂直エミッタンスを下げることができれば、アンジュレーターのギャップを狭くしても、ビーム・ロスが起きなくなるだろう。また、Top-up運転を可能にするための解決策でもあると思われる。 本論文は、SPEAR3、Australian Synchrotron、CesrTAなどで開発された方法論が、PF-ARで可能かどうかを検討するものである。 Accelerator Toolbox コードで、PF-ARモデルを作成し、XYカップリングの発生源(電磁石の傾き・変位、アンジュレーター)を仮定し、これをスキュー4極電磁石で補正することを調べる。 |
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TUP015 | 1.5GHzTM020型空洞を用いたダブルRFシステムの検討 Feasibility study of the double rf system with 1.5GHz TM020 harmonic cavity ○山本 尚人,高橋 毅,坂中 章悟(KEK) ○Naoto Yamamoto, Takeshi Takahashi, Shogo Sakanaka (KEK) 3GeVクラスの回折限界放射光リングへの応用を目指しダブルRFシステムの検討を行っている。3GeVもしくはより低エネルギーの極低エミッタンス放射光リングではバンチ内散乱の影響が大きく、バンチ伸張によるピーク電荷の低減がエミッタンス性能実現のために重要となる。主加速空洞と高調波空洞を組み合わせることにより、バンチ長を操作することが可能となる。しかし、イオントラッピング等の問題を避けるためにバンチトレイン間に設けられるバンチギャップはRF空洞に過渡的なビーム電圧を誘起するため、ダブルRFシステムの運転を乱すことが知られている。この影響は蓄積電流が大きくなるにつれて増大し、特に体積の小さい高調波空洞はこの影響を受けやすい。 我々は、この問題を緩和するには使用台数分の空洞R/Qを合算したtotal R/Qを下げることが重要であることを数値的に明らかにした。さらに近年恵郷氏らが提案したTM020空洞の特徴(R/QがTM010空洞より小さく、無負荷Q値も高い)に着目し、これをダブルRFシステムの高調波空洞として採用することを検討している。 本発表では1.5GHzTM020高調波空洞の優位性について数値的に示すとともに、ダブルRFシステムとして運用した場合に期待できるバンチ伸張性能を紹介する。さらに入力RFの制御によるダブルRFシステムの性能補償についても検討結果を報告する。 |
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TUP016 p.334 | 半導体リソグラフィのためのERLを用いたEUV FEL光源のS2Eシミュレーション S2E simulation of an ERL-based EUV-FEL source for lithography ○中村 典雄,加藤 龍好,宮島 司,島田 美帆(KEK),布袋 貴大(総研大),羽島 良一(QST) ○Norio Nakamura, Ryukou Kato, Tsukasa Miyajima, Miho Shimada (KEK), Takahiro Hotei (SOKENDAI), Ryoichi Hajima (QST) エネルギー回収型リニアック(ERL)を用いた極紫外線自由電子レーザー(EUV-FEL)は、半導体リソグラフィにおいて将来必要な1kW級のEUV光を複数の露光装置に同時供給できる可能性を持つ。また、エネルギー回収を行うことで廃棄ビームパワーとそれによる放射線の発生を大幅に低減できるという利点も有する。このような点から、ERLを用いたEUV-FEL光源は半導体EUVリソグラフィの有力な次世代光源候補であり、日本においてもKEKを中心とした国内の研究者グループが企業と共同で10kW級のEUV光の発生と近い将来での利用を目標にして設計・検討を行ってきた。このEUV-FEL光源の性能と実現可能性を評価するために、電子銃からFEL発振後のエネルギー回収までを含む電子ビームのStart-to-End(S2E)シミュレーションを行った。本発表ではこのS2Eシミュレーションとその結果について報告する。 |
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TUP017 | IBSと高調波空洞に関するKEK-LS計画のビームシミュレーション Beam simulation including effects of IBS and higher harmonic cavities for KEK-LS ring ○島田 美帆,中村 典雄,原田 健太郎(高エネ研) ○Miho Shimada, Norio Nakamura, Kentaro Harada (KEK) 将来放射光源として、3 GeVの蓄積リングであるKEK-LS計画を進めている。これまでの設計では、シミュレーションコードとしてKEKで開発されたコード、SADを主に用いていた。本研究ではAPSで放射光源用に開発されたコード、elegantでビームシミュレーションを行い、これまでの計算結果のクロスチェックや補強をするために実施した。 蓄積リングのエミッタンスを決める要因のひとつにイントラ・ビーム散乱(IBS)がある。これは、バンチ電荷量が大きいときに顕著になり、解析的に得られるゼロ電流の平衡エミッタンスやバンチ長に依存する。時にはゼロ電流の結果と大小関係が逆になるケースもある。これまで、分散関数が有限の値を持つ場所に挿入光源を設置するとエミッタンスが増加してしまうという懸念があったため、IBSの効果も含めた上で再度評価を行った。また、高次高調波空洞によってバンチ長を伸長させたときのエミッタンスの改善や輝度に対する影響を調べた結果についても報告する。 |
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TUP018 p.338 | SPring-8蓄積リングにおけるTouschek散乱によるビーム損失について The beam loss by Touschek scattering at the SPring-8 storage ring ○高雄 勝,早乙女 光一,下崎 義人((公財)高輝度光科学研究センター),田中 均(理化学研究所) ○Masaru Takao, Kouichi Soutome, Yoshito Shimosaki (JASRI), Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) 高輝度放射光リングなど低エミッタンス電子蓄積リングでは、バンチ内電子電子散乱即ちTouschek散乱がビーム寿命に対して支配的な影響を与える。元来、Touschek散乱は衝突によりエネルギー交換した電子がRFバケットから逸れて失われることを指すが、ディスパージョンがあるところで散乱した電子は横方向に大振幅で振動を始め、RFバケット内であってもビーム損失に至ることもある。リング加速器は水平方向にディスパージョンを持つため、水平方向に大振幅を持って振動を始めるが、これがベータトロン結合により垂直方向に回り込み、垂直口径制限によりビーム損失に至ることになり得る。最近の放射光源は、より高強度の放射光を得るため狭ギャップの真空封止の挿入光源を採用することが普及しており、Touschek散乱した電子による挿入光源磁石の減磁が懸念される。この対策としてビームスクレーパーの導入が図られており、その効果を検証するため、Touschek散乱によるビーム損失について数値計算による検討を行った。Touschek散乱電子の挙動を詳しく調べた結果、モーメンタム偏差がアクセプタンス近傍にあり、数100ターンかけて垂直振動が成長し失われる電子に加えて、大きなモーメンタム偏差の電子でも数ターンで垂直口径制限に達して失われることが認められた。この結果を踏まえ、有効なスクレーパー配置についての検討結果を報告する。 |
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TUP019 p.343 | DQBA型ラティスによるKEK-LS計画の加速器の改善 Improvement of KEK-LS accelerator by DQBA type lattice ○原田 健太郎,東 直,中村 典雄,長橋 進也,上田 明(KEK),Simone Liuzzo(ESRF) ○Kentaro Harada, Nao Higashi, Norio Nakamura, Shinya Nagahashi, Akira Ueda (KEK), Liuzzo Simone (ESRF) KEK-LS計画ではESRFで開発されたHMBA型ラティスに短直線部を追加したラティスをベースに検討を進めているが、短直線部の追加に伴い、運動量方向のアパーチャが減少し、タウシェック寿命が2時間程度と比較的短い。また、短直線部が色消しではない為、挿入光源による自然エミッタンス増大の効果も無視できない。現在のラティスの短直線部に4極を追加し、オプティクスの柔軟性を改善すればそれらの問題を解決できることが分かった。短直線部に4極を追加したラティス(DQBAと呼ぶことにする)の詳細とパラメータの改善について発表を行う。 |
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TUP020 p.347 | バルクMgB2超伝導体によるバルク超伝導体スタガードアレイアンジュレータ高精度化の検討 Potential of bulk MgB2 superconductor for bulk superconductor staggared array undulator ○紀井 俊輝(京大エネ研) ○Toshiteru Kii (IAE, KU) バルク超伝導体で発生可能な強磁場をアンジュレータに活用することで、従来からの永久磁石や超伝導線材を大幅に超える短周期・強磁場アンジュレータの実現が期待できる。 京都大学では、バルク超伝導体をソレノイドコイル中に周期的に配置してバルク体内部に超伝導電流を誘起することで 短周期・強磁場を実現する超伝導バルクスタガードアレイアンジュレータを提案し開発を進めてきた。これまで、磁場強度を重視し希土類銅酸化物バルク超伝導体を用いたプロトタイプ開発を行ってきたが、種結晶を用いた結晶成長が不可欠な希土類銅酸化物系バルク超伝導体を用いた場合、個体間の性能差が大きく磁場分布の高度な制御に課題が残っていた。 本研究では、個体間性能差を大幅に小さくすることで磁場分布制御性を向上させることを目的とし、超伝導結晶粒界間の超伝導弱結合のないMgB2バルク超伝導に着目し、到達可能な磁場精度について数値評価を行った。 講演ではMgB2バルク超伝導体を用いたアンジュレータにおける予測性能について報告を行う。 |
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TUP021 p.351 | SAGA-LS蓄積リングRF周波数変更に伴うランプアップスタディー A Study of energy ramp-up for changing RF frequency at the SAGA-LS storage ring ○岩崎 能尊,高林 雄一,金安 達夫,江田 茂(九州シンクロトロン光研究センター) ○Yoshitaka Iwasaki, Yuichi Takabayashi, Tatsuo Kaneyasu, Shigeru Koda (SAGA-LS) SAGA-LS電子蓄積リングは入射エネルギー255 MeV、最大エネルギー1.4 GeVの低エネルギー入射方式の放射光用加速器である。約300 mAまで蓄積後、約4分間で1.4 GeVまで加速する。超伝導ウィグラーの2台運用開始後より、ビーム軌道補正に必要なステアリング強度が増加し、一部のステアリング電源は定格に達する状況となった。そこで、ステアリング強度の減少を目的として、RF周波数の最適化スタディーを行った。約22 kHz周波数を下げた場合にステアリング強度が最小化された。しかし、RF周波数を変更すると、大電流のランプアップに成功しなかったため、問題を解決すべくマシンスタディーを継続している。ビームロスは、加速開始直後、あるいは400 MeVもしくは900 MeV付近で生じる。ランプアップパターンの修正により、300 mAの加速に成功するケースもあったが、再現性に乏しかった。本学会において、ランプアップのビーム電流依存性、空洞電圧依存性、ランプアップを途中で停止させて計測したチューン測定結果等のスタディー結果を示す。また、ステアリング強度増大の一要因は超伝導ウィグラーの運用であるが、超伝導ウィグラーを励磁しない状態でのステアリング強度がここ数年で増大していた。軌道補正に必要なステアリング強度の経年変化の状況についても概要を報告する。 |
ハドロン加速器 (8月1日 第1,2,3,4会議室他) | |
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TUP022 p.355 | RCNP AVFサイクロトロンの中心領域の改良の検討 Study of improvement of central region of the RCNP AVF cyclotron ○中尾 政夫,福田 光宏,安田 裕介,依田 哲彦,畑中 吉治,神田 浩樹,田村 仁志,鎌倉 恵太,森信 俊平,斎藤 高嶺(阪大RCNP),涌井 崇志(量研機構 放医研),Smirnov Victor,Vorozhtsov Sergey(JINR),原 周平,Koay Hui Wen,山野下 莉那,森田 泰之(阪大RCNP) ○Masao Nakao, Mitsuhiro Fukuda, Yuusuke Yasuda, Tetsuhiko Yorita, Kichiji Hatanaka, Hiroki Kanda, Hitoshi Tamura, Keita Kamakura, Shunpei Morinobu, Takane Saito (RCNP, Osaka Univ.), Takashi Wakui (NIRS, QST), Victor Smirnov, Sergey Vorozhtsov (JINR), Shuhei Hara, Hui Wen Koay, Rina Yamanoshita, Yasuyuki Morita (RCNP, Osaka Univ.) 大阪大学RCNPのAVFサイクロトロン(K=140MeV)の高品質かつ高強度のビームは原子核科学の研究と同時に様々な応用研究のために利用されている。今後の核医学等の需要を満たすために高品質を維持しつつビームを高強度化することが求められている。ビームの高強度化を実現するためには、イオン源の強度を増加すると同時に、それに伴って増大する空間電荷効果によるビームの広がりを低減する必要があり、イオン源から引き出されるビームの低エミッタンス化が必須となることからイオン源の引き出し電圧を上げることが必要となる。それに伴って改良すべき入射系、インフレクター、ディー電極の中心領域についてシミュレーションによる解析を行った。 シミュレーションプログラムとしてはロシアJINRのSmirnov氏らが開発したSNOPコードを用いた。SNOPはOPERA-3d等によって計算された3次元電場・磁場分布データを利用して軌道計算を行い、さらに空間電荷効果を考慮に入れた多粒子の計算も行うことができる。 本発表では100μA~10mAの高強度入射ビームを仮定した場合に、入射効率を最大化するようなグレーザーコイル、インフレクター、ディー電極の形状や電流・電圧パラメータをシミュレーションによって解析した結果を報告する。 |
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TUP023 p.359 | フラーレンイオン誘導加速マイクロトロンのリングラティスとビーム力学 Lattice of the 144 MeV induction microtron for C-60 and its beam dynamics ○ターフィック ターフィック(総研大) ○Taufik Taufik (SOKENDAI) A recently proposed racetrack-shape fixed field induction accelerator [1] has been more specifically refined as the 144 MeV Induction Microtron for C-60. Two approaches of tracking simulation taking into account of 3D magnetic fields of a 90 degree bending magnet and linear optics calculation have been employed for the refined design. It turned out that an inherent feature originated from a finite magnet length and the incidence/exit angle of 45 degree produces a kind of systematic closed orbit distortion that varies with particle energy. The orbit stability in the horizontal direction is not achieved without its correction. At the conference, other basic features that are more popular in any synchrotron, such as the momentum dispersion function or dynamic aperture, will be discussed. [1] K.Takayama, T.Adachi, T.Kwakubo, and K. Okamura, “A Racetrack-shape Fixed Field Induction Accelerator for Giant Cluster Ions”, Phys. Rev. ST-AB 18, 050101 (2015). |
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TUP024 p.364 | ミューオンDTLの設計 DTL design for muon linac ○大谷 将士,二ツ川 健太(高エネ研),長谷川 和男,近藤 恭弘(原研),北村 遼(東大),Kurennoy Sergey(Los Alamos) ○Masashi Otani, Kenta Futatsukawa (KEK), Kazuo Hasegawa, Yasuhiro Kondo (JAEA), Ryo Kitamura (Univ. of Tokyo), Sergey Kurennoy (Los Alamos) We have developed a drift-tube linac (DTL) design for a muon linac, in order to measure the anomalous magnetic moment and electric dipole moment (EDM) of muons at J-PARC. The DTL accelerates muons from beta = 0.08 to 0.28 at an operational frequency of 324 MHz. The design and results are described in this paper. |
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TUP025 p.367 | 重粒子線治療向け後段DTL の設計 Design of post DTL for heavy-ion radiotherapy ○岡屋 慶子,山口 晶子,竹内 猛,渡辺 順子,佐藤 耕輔,中山 光一(東芝),林崎 規託(東工大) ○Keiko Okaya, Akiko Yamaguchi, Takeshi Takeuchi, Junko Watanabe, Kosuke Sato, Koichi Nakayama (Toshiba), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Tech.) An Injector which consisted of a Radio Frequency Quadrupole (RFQ) and Drift Tube Linacs (DTLs) were applied for heavy ion radiotherapy system. In Japanese conventional facilities, a C4+ beam is accelerated to 4 MeV/u by the injector. The extraction energy is needed higher than 4 MeV/u to accelerate a greater variety of heavy ions. We designed the post DTL which can accelerate the beam from 4MeV/u to 6MeV/u and optimized shape of ridges to promote uniformity of electric field on beam axis. |
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TUP026 p.370 | 超冷中性子リバンチャー改良機による UCN 時間集束 Time focus of ultracold neutrons by improved ultracold neutron rebuncher ○今城 想平(名大理),岩下 芳久(京大化研),三島 賢二(KEK),北口 雅暁,清水 裕彦(名大理),猪野 隆(KEK),山下 了(東大ICEPP),広田 克也,後藤 文也(名大理),不破 康裕(京大炉),片山 領(京大化研) ○Sohei Imajo (Dep. of Phys., Nagoya Univ.), Yoshihisa Iwashita (ICR, Kyoto Univ.), Kenji Mishima (KEK), Masaaki Kitaguchi, Hirohiko. M Shimizu (Dep. of Phys., Nagoya Univ.), Takashi Ino (KEK), Satoru Yamashita (ICEPP, Univ. of Tokyo), Katsuya Hirota, Fumiya Goto (Dep. of Phys., Nagoya Univ.), Yasuhiro Fuwa (KURRI), Ryo Katayama (ICR, Kyoto Univ.) 我々はJ-PARCにおいて中性子の電気双極子能率(EDM)を探索する実験を計画している。中性子EDMの探索は運動エネルギーを200neV以下に減速させた超冷中性子(UCN)を小容器に貯蔵して行うため、体積密度の高いUCNが必要とされる。J-PARCの陽子ビームは極めて大きなピークパワーを持つが繰り返し周波数が低いために時間平均では生成されるUCNの体積密度が低下し、そのピークパワーの大きさを十分に利用できない。そこで我々は、中性子の運動エネルギーを輸送中に約100neVの範囲で減速・制御し、実験容器地点にUCNを時間的に集束させる中性子加速器「超冷中性子リバンチャー」を開発した。本装置は静磁場勾配中でポテンシャルエネルギーを得たUCNに高周波磁場を印加し、AFP-NMR法によってそのスピンを反転させ静磁場通過前後の中性子の運動エネルギーに収支差を生じさせることで中性子を加減速する。勾配磁場全域に高周波磁場を印加し、その周波数をスイープさせることで共鳴点の位置を移動させ、任意の大きさの運動エネルギー制御を実現する。2011年に原理実証実験を成功させた我々は、運動エネルギーの制御幅を拡大し減速のタイミング調整を最適化した2号機を開発し、本年4月にJ-PARC/MLFにおいて、原理実証実験時の1/5程度にピーク時間幅が鋭くかつリバンチャー未使用時と比して2.3倍の計数率上昇を伴う集束ピークの発生を確認した。本発表ではこの実験および解析結果について報告する。 |
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TUP027 p.374 | J-PARC 3 GeVシンクロトロンの新しい入射システムの設計 New injection system design of the J-PARC rapid cycling synchrotron ○山本 風海(日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター) ○Kazami Yamamoto (J-PARC Center, JAEA) J-PARC 3GeV シンクロトロン (RCS) は、1 MW の大強度ビームを物質生命科学実験施設および主リングシンクロトロンに供給するために設計され、調整が進められている。現在の所、RCS では設計値の半分である 500 kWでの連続運転に成功しているが、今後さらにビーム出力を向上するためには、入射点付近の残留放射能による被ばく対策が重要となってくる。これまでのビーム試験やシミュレーション、残留線量の測定結果等から、入射点周辺の残留放射能は入射で使用する荷電変換用カーボンフォイルに入射及び周回ビームが当たった際に発生する二次粒子 (散乱陽子や中性子) が原因であることが判った。現状では、RCS の入射にはフォイルが必須であり、これらの二次粒子を完全に無くす事はできない。そこで、これら二次粒子によって放射化された機器の周辺に遮蔽体を置けるように、より大きなスペースが確保できる新しい入射システムの検討を開始した。予備検討の結果、機器配置は成立するが、入射用バンプ電磁石磁場が作る渦電流による発熱が問題となる事が判った。 |
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TUP028 | 荷電変換リングの設計 Design of charge stripper ring ○今尾 浩士,上垣外 修一,奥野 広樹,福西 暢尚,須田 健嗣,坂本 成彦,山田 一成,矢野 安重(理研仁科センター) ○Hiroshi Imao, Osamu Kamigaito, Hiroki Okuno, Nobuhisa Fukunishi, Kenji Suda, Naruhiko Sakamoto, Kazunari Yamada, Yasushige Yano (RIKEN Nishina center) 理研RIビームファクトリー(RIBF)の様な重イオン加速器において、加速途中での荷電変換は効率的加速の為に必要不可欠なプロセスである。我々はこれまで多段リング加速器においても使用可能な2種類の高効率荷電変換リングのコンセプトを提案し、基本ラティスデザインの為の計算手法について考察を進めてきた。本講演では、より現実的な軌道計算、各コンポーネント設計、縦方向のエミッタンスグロースやロバスト性などの検討結果について述べる。 |
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TUP029 | 理研超伝導リニアックのためのLEBTの設計 Design of LEBT for RIKEN superconducting linac ○長友 傑,大西 純一,日暮 祥英,中川 孝秀,奥野 広樹,生駒 直弥,今尾 浩士,渡邉 裕,藤巻 正樹,熊谷 桂子,内山 暁仁,坂本 成彦,大関 和貴,須田 健嗣,山田 一成,渡邉 環,込山 美咲,加瀬 昌之,福西 暢尚,上垣外 修一(理研仁科センター) ○Takashi Nagatomo, Jun-ichi Ohnishi, Yoshihide Higurashi, Takahide Nakagawa, Hiroki Okuno, Naoya Ikoma, Hiroshi Imao, Yutaka Watanabe, Masaki Fujimaki, Keiko Kumagai, Akito Uchiyama, Naruhiko Sakamoto, Kazutaka Ozeki, Kenji Suda, Kazunari Yamada, Tamaki Watanabe, Misaki Komiyama, Masayuki Kase, Nobuhisa Fukunishi, Osamu Kamigaito (RIKEN Nishina Center) 理研仁科加速器研究センターでは、常伝導ECRイオン源と常伝導リニアックの一部を超伝導化することによる、重イオンビームの大強度化プロジェクトが推進されている。新規製造するECRイオン源では、ソレノイド磁石と六極磁石を超伝導化することでミラー磁場を大幅に強化し、最大10kW出力の大強度28GHzジャイロトロンとの組み合わせにより、現在の常伝導イオン源の重イオンビーム強度の約10倍のビーム強度を目指す。また、リニアックの超伝導化に伴い、ビームの加速・輸送中のビームロスが超伝導空洞にとってクリティカルな問題を引き起こす可能性がある。このため、今回設計するLEBTでは、質の良いビームを加速器に入射できるように、エミッタンスを規定するビーム光学系を採用した。また、分析磁石や収束磁石の空間的収差によるビームの質の悪化を防ぐために、磁場分布の高次ハーモニクス成分を三次元計算により評価し、分析電磁石及び四重極電磁石の磁極の形状を決定した。本発表では、ビーム輸送のシミュレーションの結果と伴に、LEBTの設計の詳細を報告する。 |
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TUP030 p.379 | IFMIF/EVEDA原型加速器のLEBTにおける空間電荷効果の評価と抑制策 Study and reduction method of space charge effect in the LEBT of the IFMIF/EVEDA prototype accelerator ○一宮 亮,杉本 昌義,春日井 敦(量研) ○Ryo Ichimiya, Masayoshi Sugimoto, Atsushi Kasugai (QST) 国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証工学設計活動(EVEDA)として大電流重水素イオンビームを発生させる加速器の設計製作技術を実証するため、原型加速器(9MeV/125mA/CW)を六ヶ所村の国際核融合研究センターに段階的に建設し、性能実証試験を順次実施している。2015年4月に本格的にイオン源のコミッショニングが開始され、100keV/120mA/CWの重水素イオンビームを生成し、0.3πmm・mrad以下の規格化rmsエミッタンスを達成した。これまでの試験においてRFQ入射点付近とLEBT中央の2箇所にエミッタンスメータを設置しビーム特性(rmsエミッタンス、Twissパラメータ、電流値)を評価してきた。低エネルギー・大電流のハドロンビームではビーム電荷による電場でビーム自身を発散させてしまう空間電荷効果が大きい事が知られており、これによるエミッタンス増加は深刻な問題である。そのため、Krガスをチェンバー内に導入し、ビームがKrガスを電離させる事で発生する電子によって空間電位を低減させる事を試みた。空間電位は4グリッド・アナライザにて計測した。結果、Krガス導入により空間電位が下がり、エミッタンスも低減された事が確認出来た。また、RFQ入射点付近のエミッタンスを計測するための仮設診断チェンバーにもKrガスを導入することで、同チェンバー内での空間電荷効果によるエミッタンスの過大評価も抑制する事が出来た。本報告では、これらの評価結果について報告する。 |
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TUP031 p.384 | TIARA AVF サイクロトロンの取出しビームに対する中心領域の位相バンチングの効果 Effect of phase bunching of the central region on extracted beam from the TIARA AVF cyclotron ○宮脇 信正(量研 高崎),福田 光宏(大阪大学 核物理研究センター),倉島 俊,柏木 啓次(量研 高崎) ○Nobumasa Miyawaki (QST Takasaki), Mitsuhiro Fukuda (RCNP, Osaka Univ.), Satoshi Kurashima, Hirotsugu Kashiwagi (QST Takasaki) 従来、サイクロトロンの入射ビームラインに設置されたバンチャーでイオン源からのDCビームをバンチングするのが一般的であったが、TIARAサイクロトロンでは更に、最初の加速ギャップ通過時の時間差で生じるエネルギー利得の差によって、次の加速ギャップでのビームバンチの時間幅を縮小させる位相バンチング法を実現し、ビームの高品質化と透過効率向上に成功した。位相バンチングの発生条件は、ディー電極の開き角やプラー電極の位置等の幾何学的条件と入射ビームのエネルギーと加速電圧の関係や加速ハーモニックス(h)等の加速条件で決まる。TIARA AVFサイクロトロンのh=1と2の中心領域の幾何学的条件は等しいが、位相バンチングはh=2では発生し、h=1では発生しないことをサイクロトロン内部での測定と幾何学的理論モデルにより実証した。今回、位相バンチングの取出しビームに対する効果を明らかにするため、取り出し前後のビームの透過効率やエミッタンスを測定した。入射前のバンチャーを使用した場合、h=2が97%、h=1が43%、バンチャーを稼働しない場合、h=2が67%、h=1が21%であった。またh=2の水平方向エミッタンスは、h=1の約1/3となり、位相バンチングは取り出しビームの質の向上に寄与していることを示した。本発表では、位相バンチングの発生原理とモデル計算及び測定結果について報告する。 |
ビームダイナミクス・加速器理論 (8月1日 第1,2,3,4会議室他) | |
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TUP032 | サイクロトロンの高強度化のためのハーモニック加速システムの概念検討 Conceptual design of a harmonic acceleration system for a high-intensity compact cyclotron ○福田 光宏(阪大RCNP),宮脇 信正,倉島 俊(量子機構高崎研),依田 哲彦,神田 浩樹,安田 裕介,中尾 政夫,土岐 博,関 亮一,畑中 吉治,齋藤 高嶺,森信 俊平,鎌倉 恵太,原 周平,山野下 莉那,Koay Huiwen,森田 泰之(阪大RCNP),篠塚 勉,伊藤 正俊,松田 洋平(東北大CYRIC),涌井 崇志(量子機構放医研) ○Mitsuhiro Fukuda (RCNP, Osaka University), Nobumasa Miyawaki, Satoshi Kurashima (QST, Takasaki), Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Yusuke Yasuda, Masao Nakao, Hiroshi Toki, Ryoichi Seki, Kichiji Hatanaka, Takane Saito, Shunpei Morinobu, Keita Kamakura, Shuhei Hara, Rina Yamanoshita, Huiwen Koay, Yasuyuki Morita (RCNP, Osaka University), Tsutomu Shinoduka, Masatoshi Itoh, Youhei Matsuda (CYRIC, Tohoku University), Takashi Wakui (QST, NIRS) 進行がん治療を可能にするアルファ線内用療法のためのアルファ線放出核種の大量生成や加速器ベースのBNCTのための大強度中性子生成に必要とされる小型加速器の高強度化を実現するためには、初期加速段階での空間電荷効果によるビーム発散を如何に抑制するかが重要な鍵を握る。サイクロトロンの場合には、入射部や中心領域に集束レンズを配置して横方向のビームの拡がりを抑え込むことは可能である。しかしながら、進行方向の発散に対しては入射部に設置したバンチャー以外に縦方向の集束力を得ることは困難であった。そこで、入射直後の初期加速段階の加速電圧波形の勾配を調整して縦方向の加減速効果を発現する新しい位相バンチングシステムの開発を進めている。加速電圧波形の勾配は、基本波正弦波にその整数倍の周波数を持つ高調波(ハーモニック)電圧を複数重ね合わせ、その振幅と相対位相を変えることによって調整可能である。縦方向の空間電荷効果に応じて第1加速ギャップでのエネルギー利得に変調を加えることにより位相バンチングを実現する。具体的には、中心領域に高調波励振用の加速電極を独立して配置し、ハーモニック加速電圧を生成する。この時、第2加速ギャップでの加速RF位相を調整することにより、継続した位相バンチング効果を得ることも可能である。本発表においては、ハーモニック加速手法の原理とシステムの概要について報告する。 |
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TUP033 p.386 | 光陰極電子銃により生成された高電荷ビームへのレーザーミラーの影響 Influence of laser mirror on high charge beam generated by photocathode electron gun ○布袋 貴大(総研大),宮島 司(高エネ研) ○Takahiro Hotei (SOKENDAI), Tsukasa Miyajima (KEK) cERLではフォトカソード電子銃を用いている。カソード励起用のレーザーはピンホールを通して円形の空間プロファイルを持っているので、出射されるビームの横方向のプロファイルも円形である。しかしながら2017年3月に行われた高電荷ビーム試験において電子銃以外の外部電磁場の寄与なく、ビームプロファイルの対称性が崩れた形で観測された。これは低電荷のときには観測されず40 pC以上の高電荷ビームで観測される現象である。これまで空間電荷効果の計算には半導体カソードの影響を鏡像電荷として含めていたが、ビームプロファイルが歪むという結果は得られていなかった。ビームパイプは十分に遠いとしてその効果を含めた計算は行っていないが、大きく対称性を崩すような形状にはなっていない。対称性を崩す原因の1つとして、カソード励起用のレーザー光をカソード面まで輸送するための金属ミラーが考えられる。特に生成直後の高電荷ビームは空間電荷効果によりビームサイズが増大するので、ミラーとの距離が縮まり、その影響は大きくなると考えられる。我々はこの効果を定量的に評価するため、ビーム輸送路内に存在する導体の効果を含めた空間電荷効果を計算している。本発表では導体の存在による空間電荷効果への影響、及びそれに伴うビームへの影響について報告する。 |
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TUP034 p.391 | 共振器型自由電子レーザー高輝度THz帯発振のための速度集群最適化シミュレーション Simulation of velocity bunching optimization for bright THz light source from oscillator FEL ○住友 洋介,早川 建,早川 恭史,野上 杏子,境 武志,田中 俊成(日本大学量子科学研究所) ○Yoske Sumitomo, Ken Hayakawa, Yasushi Hayakawa, Kyoko Nogami, Takeshi Sakai, Toshinari Tanaka (IQS, Nihon U.) 近年の技術発展によりTHz帯光源の開発が盛んに行われており、物性現象などの研究に活用されている。特に高輝度のTHz光源は物質の性質変化を探るために役に立つ。小・中規模線形加速器と共振器型自由電子レーザーを用いたTHz帯の高輝度光源開発により、光源の入手が容易となり関連研究分野の飛躍的な発展を促進すると期待される。 本発表においては日本大学電子線利用施設における線形加速器の利用を想定する。電子ビームのプレバンチ化により、全長2.4 m程度のアンジュレーターにおいて非線形的に発振が行われ、効率的なTHz帯高輝度光生成が期待できる。日本大学には3本の4 m進行波加速管が有り、またアンジュレーター前にある2つの45度偏向磁石も踏まえると、速度集群を含めた様々なバンチ化の組み合わせが考えられる。このうちTHz帯高輝度発振が効率良く行えるような条件を見出すためには、電子銃からのシミュレーションが大きな助けとなる。特に、輸送する電子は25 MeVよりも低いエネルギーであるので、加速管における空間電荷効果を含めた速度集群のシミュレーションは重要である。 本発表においては、3本の4 m進行波加速管における速度集群シミュレーションを中心に最適化条件の報告を行う。 |
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TUP035 p.395 | IFMIF RFQ ライナック用175MHz入力カプラーの電界強度解析 Analyses of electric field strength in the 175MHz RF input coupler for the IFMIF RFQ linac ○前原 直,新屋 貴浩,蛯沢 貴,近藤 恵太郎,春日井 敦,杉本 昌義(量研六ヶ所) ○Sunao Maebara, Takahiro Shinya, Takashi Ebisawa, Keitaro Kondo, Atsushi Kasugai, Masayoshi Sugimoto (QST) 国際核融合中性子照射施設(IFMIF)加速器系の工学設計工学実証活動(EVEDA)では、重陽子イオンビーム125mAを9MeVまで定常運転で加速するためにInjector(100kV-140mA)、運転周波数175MHzを採用したRFQライナック(0.1-5.0MeV-130mA)と超伝導RFライナック(5.0MeV-9MeV-125mA)の開発を進めている。RFQライナックでは8つのRFインプットカプラーを用いて1.28MWレベルのRF電力入射が必要であり、1台当たりRF電力として定格160kW、最大200kWのRFカプラー開発が要求されている。このために6 1/8インチ同軸導波管をベースにループアンテナを採用した定常運転用RFカプラーを開発した。このRFカプラーのビームローディング及び真空ローディングに対して電磁界解析を行った。ビームローディングの無反射の場合には、カプラーポート挿入口で最大電界強度3.61[kV/cm]、また高周波窓近辺では1.59[kV/cm]に達することが判明した。真空ローディングでは、最大電力反射率44.7%の反射率となるため、電界強度分布の反射率に対する依存性について解析を進めている。本講演ではRFカプラーのビームローディング及び真空ローディング時における電磁界解析結果について詳細に発表する。 |
高周波加速構造 (8月1日 第1,2,3,4会議室他) | |
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TUP036 p.398 | J-PARCにおけるg-2/EDM精密測定実験用ミューオンリニアックの高ベータセクション High-beta section of a muon linac for the measurement of the g-2/EDM at J-PARC ○近藤 恭弘,長谷川 和男(JAEA),大谷 将士,三部 勉,吉田 光宏(KEK),北村 遼(東大) ○Yasuhiro Kondo, Kazuo Hasegawa (JAEA), Masashi Otani, Tsutomu Mibe, Mitsuhiro Yoshida (KEK), Ryo Kitamura (U. Tokyo) J-PARCにおいて、新たなg-2/EDM精密測定実験のためのミューオンリニアックを開発中である。J-PARC MLF のミューオンビームライン(H-line)からのミューオンビームはエアロジェル標的中で一度停止され、室温のミューオニウムを生成する。このミューオニウムをレーザー電離した超低速ミューオンを、ミューオンリニアックによって212 MeVまで加速する。40 MeV以降の加速構造には、円盤装荷型進行波加速管を用いる。このエネルギーのβは0.7であり、電子リニアックと同様の技術を利用できる。しかしながら、ミューオンではセル長がエネルギーの増加によって長くなっていくので、これに同調した設計が必要となる。本論文では、このミューオン加速用の加速構造のビーム力学設計について述べる。 |
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TUP037 p.401 | アルバックにおける超伝導加速空洞の開発 Development of superconducting cavity in ULVAC ○永田 智啓,増居 浩明,篠澤 精一,村上 裕彦(アルバック),井上 均,山中 将,加古 永治(KEK) ○Tomohiro Nagata, Hiroaki Masui, Seiichi Shinozawa, Hirohiko Murakami (ULVAC), Hitoshi Inoue, Masashi Yamanaka, Eiji Kako (KEK) 超伝導加速空洞の製造方法において現在主流である方式は、高純度ニオブの板材をプレス加工し、それぞれのパーツを電子ビーム溶接により接合する手法であり、この方式で製作された超伝導空洞で高い加速性能も得られている。しかしながら、高い生産性と低コストを両立する空洞製造技術については、未だ検討の余地が残されている。我々は、このような課題を解決するべく空洞本体に溶接を用いないシームレス空洞の開発を進めている。今回、単セルのシームレス空洞を液圧成形法により試作し、最大加速勾配41MV/mが得られた。これは溶接型の空洞と比較して遜色ないものである。また、スケールアップとして取り組んだ3連セルの空洞成形にも成功した。成形前のシームレス管の製造において、結晶粒径をより均一に小さくするよう工程改良(スピニング装置の改造や熱処理条件の精査)したことにより、これに起因する表面荒れを抑制できたと共に、寸法精度も向上したことから研削工程を省くことができ、材料歩留りも24%向上した。 |
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TUP038 p.404 | フッ酸を用いないニオブ電解研磨法の探索 Search of niobium electropolishing method without hydrofluoric acid ○仁井 啓介,井田 義明(マルイ鍍金工業),文珠四郎 秀昭(KEK),八代 仁,川村 翔磨(岩手大学) ○Keisuke Nii, Yoshiaki Ida (Marui Galvanizing Co., Ltd.), Hideaki Monjushiro (KEK), Hitoshi Yashiro, Shoma Kawamura (Iwate University) 超伝導加速器に使用されるニオブ製加速空洞は、性能向上のために内面の電解研磨が行われる。現在は濃硫酸とフッ酸の混合液を用いて電解研磨されているが、人体への有害性が大きいため、安全対策やそのためのコストが問題となっていた。この問題を解決するためマルイ鍍金工業では、KEK、岩手大学と共同でフッ酸を用いない、安全性の高いニオブ電解研磨液、手法の探索をスタートした。今回は代替薬品の検討や、パルス反転波形を用いた電解研磨の検討状況を報告する。 |
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TUP039 p.408 | マルイ鍍金-KEK-コーネル大学で実施したNinjaカソードを用いたニオブ単セル空洞縦型電解研磨と加速性能評価 Nb single cell cavity vertical electropolishing and evaluation of accelerating gradient in collaboration with Marui Galvanizing-KEK-Cornell University ○仁井 啓介,Chouhan Vijay,井田 義明,山口 隆宣(マルイ鍍金工業),早野 仁司,加藤 茂樹,佐伯 学行(KEK),古田 史生,Ge Mingqi,Gruber Terri,Kaufman John,Liepe Matthias,Sears James(コーネル大学) ○Keisuke Nii, Vijay Chouhan, Yoshiaki Ida, Takanori Yamaguchi (Marui Galvanizing Co., Ltd.), Hitoshi Hayano, Shigeki Kato, Takayuki Saeki (KEK), Fumio Furuta, Mingqi Ge, Terri Gruber, John Kaufman, Matthias Liepe, James Sears (Cornell University) マルイ鍍金工業では、KEKと共同でニオブ製超伝導加速空洞の縦型電解研磨(VEP)技術を開発してきた。今回、同じくVEPの開発を行っているコーネル大学と共同で実験を行った。ニオブ製単セル空洞をコーネル大学のVEP設備で、マルイ鍍金のNinjaカソードを用いてVEPを行い、研磨状態と空洞加速性能をコーネル大学にて評価した。結果、研磨表面に特に問題はなく、加速勾配35MV/m、空洞Q値9e9@2Kという良好な加速性能が得られた。 |
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TUP040 p.411 | ERL用超伝導加速空洞のHOMダンパーの開発 Development of HOM absorbers for CW superconducting cavities in energy recovery linac ○太田 智子,高崎 正浩,山田 正博,宮本 篤,佐藤 潔和(㈱東芝),許斐 太郎,梅森 健成,阪井 寛志,加古 永治(高エネ研) ○Tomoko Ota, Masahiro Takasaki, Masahiro Yamada, Atsushi Miyamoto, Kiyokazu Sato (Toshiba Corporation), Taro Konomi, Kensei Umemori, Hiroshi Sakai, Eiji Kako (KEK) 東芝は、2015年度より、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)との共同研究を開始し、ERL(エネルギー回収型ライナック)用超伝導加速空洞のHOM(High Order Modes)ダンパーの開発に着手した。高周波吸収材の窒化アルミ系セラミックスと銅のろう付と、銅の円筒とSUSフランジの溶接についてR&Dを実施した。これらの結果を基にして、1.3GHzの超伝導空洞用HOMダンパーのプロトタイプを試作した。また、このHOMダンパーについて、室温におけるRF特性を測定した。超伝導空洞用HOMダンパーのプロトタイプ試作と室温におけるRF測定結果について報告する。 |
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TUP041 p.415 | ニオブの超伝導状態における磁束トラップの測定 The measurement on magnetic flux trapping of superconductive Nb ○Deng Weichao,岩下 芳久,頓宮 拓,片山 領,宮脇 瑛介,山崎 祐希,竹内 佑甫(京大化研) ○Weichao Deng, Yoshihisa Iwashita, Hiromu Tongu, Ryo Katayama, Eisuke Miyawaki, Yuki Yamazaki, Yusuke Takeuchi (Kyoto University Institute for Chemical Research) ニオブは第二種超伝導材であるため、超伝導遷移のとき、周辺の磁束をトラップする。これは超伝導加速空胴のQ値低下を招く。クライオスタット内に設置したニオブカップをその縁から液体ヘリウムで冷却するとカップ周辺の磁束がカップの底にトラップされる。ニオブカップ内に微少磁場を計測可能なBartington Instrument社製Flux Gate磁場センサーを入れ、カップ入り口付近の磁場を近傍のコイルに流す電流を変えながら、転移温度近辺におけるカップ内の磁場の読みの変化を計測した。ニオブカップ(内径41mm、高さ55mm程度)には9セル空胴のHOMカプラーに用いる素材を用いた。測定されたニオブの磁束トラップ効果について報告する。 |
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TUP042 p.419 | ILC超伝導加速管のためのX-map非破壊検査の開発 Development of x-map nondestructive inspections for ILC cavity ○頓宮 拓,岩下 芳久,鉾之原 久雄(京大化研),早野 仁司,佐伯 学行,山本 康史,久保 毅幸(高エネ研/総研大),及川 大基(宇都宮大学) ○Hiromu Tongu, Yoshihisa Iwashita, Hisao Hokonohara (ICR, Kyoto Univ.), Hitoshi Hayano, Takayuki Saeki, Yasuckika Yamamoto, Yoshiyuki Kubo (KEK/SOKENDAI), Hiroki Oikawa (Utsunomiya Univ.) 京都大学では高エネルギー加速器研究機構との共同研究でILC超伝導加速空胴の非破壊検査の装置開発を行なってきた。超伝導加速管の性能測定(縦測定)時における発熱箇所の検出、及び、フィールドエミッションにより発生したX線検出マッピングによる局所的欠陥の探索、は有効な非破壊検査方法であり、他研究施設でも運用されている。 ILC加速空胴はアイリス部に構造補強のためのスティフナーリングが溶接されているため、X線センサーをその外に設置すると、アイリス部で発生したX線は検出器到達までに、キャビティとスティフナーリングの2枚のニオブ板を通過するため大きく減衰し、空胴内壁の欠陥位置探索が不正確になる。steffener-X-mapは、X線センサーとして市販の赤外線ホトダイオードの採用および、フレキシブルプリント基板への実装により、センサー基板が小型化し、キャビティとスティフナーリングの間にX線センサーの設置を可能としなっている。また、各センサーの出力は極低温下で動作する回路を採用した信号多重化によるスキャニング、および、各基板のデイジーチェーン接続により必要な信号線の数が激減しているので、実装の簡略化に成功している。steffener-X-mapシステムの運用テストはKEKとJLabのILC加速空洞の縦測定時に行っており、これまでに検出感度、高分解能など良い結果を得ることができた。steffener-X-mapの開発状況と運用テストの結果について報告する。 |
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TUP043 p.422 | ILCのためのSTFタイプ入力結合器に関する基礎的研究 Fundamental studies for STF-type power coupler for ILC ○山本 康史,加古 永治,道園 真一郎,松本 利広,山本 明(高エネルギー加速器研究機構),入倉 正男,安武 浩人,石橋 誠(東芝電子管デバイス) ○Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako, Shinichiro Michizono, Toshihiro Matsumoto, Akira Yamamoto (KEK), Masao Irikura, Hiroto Yasutake, Makoto Ishibashi (TETD) 国際リニアコライダー(ILC)の建設時には超伝導空洞やクライオモジュールなどを大量に製造する必要がある。空洞に大電力の高周波を送り込むための入力結合器(カプラ)もその一つで、大量生産時にいかに効率よく様々なプロセスを進めていくのかが一つの鍵となる。本研究では、カプラに関する様々な表面洗浄の効果を、銅鍍金やセラミックのテストサンプルを用いて明らかにすると共に、テストベンチにおけるカプラの大電力試験を通じて評価することを目的とする。本学会ではその進捗を発表する予定である。 |
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TUP044 | ILC超伝導加速空洞用ニオブ材のコスト低減 Cost reduction of niobium material for ILC SRF cavities ○山中 将,渡辺 勇一,道前 武,梅森 健成,道園 真一郎(高エネ研) ○Masashi Yamanaka, Yuichi Watanabe, Takeshi Dohmae, Kensei Umemori, Sinichiro Michizono (KEK) ILC実現のためには、コスト低減が必須の課題であり、様々な取り組みがなされている。ILCのTDR(技術設計報告書)では、空洞用材料とRRR>300の純ニオブ材を使うことが規定されている。RRRを上げるためには、ニオブインゴットの電子ビーム溶解を繰り返す必要がありコスト上昇の主要因となっている。TDRに規定された最大加速勾配35MV/mを維持しつつ、ニオブ材料コストの低減を図る研究を行っている。Taの含有量が多く、RRRが100~200程度の材料を用いて、3セル空洞を製造し、ILC仕様を満たすかを検討している。また、空洞の部位ごとに材料のグレードを使い分け、空洞全体として性能を得つつ、コスト低減を図る方法も検討した。さらに、ニオブインゴットを板やパイプ形状にする二次加工のコスト低減についても検討した。 |
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TUP045 | 液圧成形による超伝導加速空洞の製造技術開発 Hydroforming SRF cavities from seamless niobium tubes ○山中 将,井上 均,道前 武,江並 和宏,梅森 健成,清水 洋孝(高エネ研),Hocker Andy(FNAL),Tajima Tsuyoshi(LANL),増居 浩明,永田 智啓,阿部 知行,篠沢 精一(アルバック) ○Masashi Yamanama, Hitoshi Inoue, Takeshi Dohmae, Kazuhiro Enami, Kensei Umemori, Hirotaka Shimizu (KEK), Andy Hocker (FNAL), Tsuyoshi Tajima (LANL), Hiroaki Masui, Tomohiro Nagata, Tomoyuki Abe, Seiichi Shinozawa (ULVAC) 超伝導加速空洞について、現在主流である電子ビーム溶接を用いる製造方法に対して、液圧成形を用いる製造技術の開発を行っている。大幅なコスト低減と信頼性向上を期待している。本開発のためには、『成形性が優れた高品質なシームレスニオブパイプの入手』と『液圧成形技術の高度化』が必要である。これまでに、米国ATI Wah Chang社製とアルバック社製のシームレスパイプを使って、1セル空洞3セル空洞の製造を行った。これらの製造方法の詳細と、たて測定結果を紹介する。また、今後の研究の展望についても述べる。 |
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TUP046 p.428 | 定在波加速管におけるビームローディングの取り扱い Treatment of beam loading effects in a standing wave accelerator ○栗木 雅夫,名越 久泰,高橋 徹(広島大学先端研),根岸 健太郎(岩手大学理工学部),清宮 裕史,横谷 馨(高エネ研加速器),浦川 順治(高エネ研国際連携推進室),佐藤 正則(高エネ研加速器),大森 恒彦(高エネ研素核研) ○Masao Kuriki, Hisayasu Nagoshi, Tohru Takahashi (AdSM, Hiroshima University), Kentaro Negishi (Dept. Science and Engineering, Iwate University), Yuji Seimiya, Kaoru Yokoya (Accel. Lab. KEK), Junji Urakawa (Research Administration Department, KEK), Masanori Satoh (Accel. Lab. KEK), Tsunehiko Omori (IPNS, KEK) 現在、国際リニアコライダー計画(International Linear Collider, ILC)が、日本の岩手県を建設候補地として、文部科学省による検討がすすめられている。ILCでは低いビーム電流で、高いルミノシティを実現するが、線形加速器であることから、加速器のビーム電流と、入射器のビーム電流とが、原理的に等しくなり、従来の入射器と比べて数桁程度大きなビーム電流が要求される。陽電子生成にはアンジュレーターのガンマ線からの対生成を使用する方式が基本設計となっている一方で、従来型の電子ビームドライブによる陽電子生成も検討されている。いずれの方式でも、より高い陽電子生成効率を実現する必要がある。陽電子標的直後には、大口径の定在波L-band加速管が置かれるが、大量の陽電子に加え、電子も大量に存在し、かつ大きな横方向運動量に起因するデバンチング効果によりバンチ長が極めて長くなる。すなわち、長いバンチ長をもった、異電荷の粒子が混在し、かつビームローディングが深刻な状況で加速を行う必要がある。通常のビームローディングの取り扱いでは、空洞を単セルとして近似し、かつ粒子の進行方向広がりをフォームファクターとして取り扱うが、このような重いローディング条件では、近似の精度が悪くなってしまう。今回、マルチセルによるビームローディングモデルを構築し、広がったビームが存在する場合の加速勾配の評価をおこなったので、その結果について報告する。 |
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TUP047 | KEKにおける薄膜サンプル超伝導特性測定システムの構築とその冷却試験 Construction and cooling test of measurement system for superconducting coupon-samples at KEK ○佐伯 学行,早野 仁司,久保 毅幸(KEK),岩下 芳久(京大化研),及川 大基(宇都宮大学) ○Takayuki Saeki, Hitoshi Hayano, Takayuki Kubo (KEK), Yoshihisa Iwashita (Kyoto University ICR), Hiroki Oikawa (Utsunomiya University) 近年、超伝導加速空洞の内面に超伝導体の薄膜層を作ることによって、 その加速電界を著しく向上させることができる可能性について盛んに 議論されており、いくつかの実験も行われている。このような 状況において、KEKでも超伝導加速空洞の薄膜技術を研究するために、 薄膜サンプル用の超伝導特性測定システムの構築を行ってきた。 このシステムの中で、小型冷凍機ユニット2本を備えた中型クライオ スタットを整備した。この中型クライオスタットを使用すると、 様々な実験セットアップと実験サンプルを液体ヘリウムによって 絶対温度4K以下に冷却し、超伝導臨界温度、残留抵抗、残留抵抗比(RRR)、 磁化特性、交流やRFでの超伝導特性等を測定することができる。 この発表では、この中型クライオスタットの液体ヘリウムによる 冷却試験の詳細について報告する。 |
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TUP048 p.433 | 音響センサによる加速管の放電検出 Acoustic detection of RF breakdown in RF structures ○荒木田 是夫,榎本 嘉範,肥後 寿泰,松本 修二(KEK) ○Yoshio Arakida, Yoshinori Enomoto, Toshiyasu Higo, Shuji Matsumoto (KEK) 加速管の外部に音響センサを当て、その音声帯域信号により加速管の状態判断を行った。 KEK e-, e+ Linac において多数の加速管が長期間にわたり運転に使われており各加速管に加えられる現状の電力を知ることが要請されている。 加速管や伝送系に放電などの異常があればクライストロン出力側の測定系で検出される。 しかし1台のクライストロンより4本の加速管に供給される加速ユニットであるために、現在の測定系では4本中のどの加速管が異常か特定できない。 そこで加速ユニットの高周波系、真空系に手を加える必要がなく、4本中で最も放電限界の低い加速管を特定する実務上の手段として音響センサ-を選び各機器の外側に当てて音声信号測定を行った。 加速管の定常時運転時は加えられた高周波電力はおおよそ加速管と終端抵抗で半々消費される。 形状の小さい終端抵抗内でパルス状の高周波電力が短時間で熱に変換されれば機械的に変形して何らかの音も発生する。 導波管系から加速管にかけて、主に加速管の放電であるが、異常が起これば終端まで電力は届かず音は発生しない。 |
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TUP049 p.435 | 放射光源用超伝導高調波空洞の設計検討 Design study on superconducting harmonic cavity for synchrotron light sources ○岡田 貴文(総研大),許斐 太郎,梅森 健成,阪井 寛志,加古 永治(高エネルギー加速器研究機構) ○Takafumi Okada (SOKENDAI), Taro Konomi, Kensei Umemori, Hiroshi Sakai, Eiji Kako (KEK) 低エミッタンスの放射光源では,バンチ内散乱によるエミッタンス増大とTouschek寿命の低下が問題となる。 解決する方法として,加速RFに対して高次の電圧を付加するような高調波空洞を導入しバンチ長を伸長することがあげられる。 高調波空洞の種類には外部RFソースからパワーを供給するアクティブモードとビームによって誘起された高調波を使うパッシブモード,超伝導空洞を使用するものと常伝導空洞を使用するものがある。それぞれ運転の安定性,コスト面での違いがあり,世界の計画,建設されている放射光源では状況を踏まえ,選ばれている。発表では,現在KEKで計画されている3 GeVリングを例にして,すでに検討されている常伝導空洞に対して超伝導空洞を使用した際の比較検討を報告する。 |
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TUP050 p.439 | 無酸素銅加速管の高電界特性に対する真空ベーキング処理の影響 Effect of vacuum baking on high-gradient characteristics of accelerator structure made of oxygen-free copper ○肥後 寿泰(高エネルギー加速器研究機構) ○Toshiyasu Higo (High energy accelerator research organization) 100MV/m級を目標とするリニアコライダーの加速構造の開発研究は、1990年代より既に30年近く継続されてきている。2000年初頭までは、1m級の加速管で50MV/mの加速電界を目指し、ほぼその目標に到達したが、その当時数十を越えるディスク状に精密加工したディスクをスタックして、これを高温の拡散接合とロウ付けにより、組立製作し、実現した。最近の10年では、30セル、30㎝程度の加速管を用いて100MV/mを目標に、同じ製造方法を基本として開発を進めてきている。当初より水素炉による高温組立をベースにしてきたので、組立後に650℃の真空ベーキングを行っているが、この工程は長時間の高温処理で、量産でのコスト増につながる。そこでこの工程が必要なのかを評価するため、CLICの標準プロトタイプ加速管を製造し、高温真空処理有無の1対の加速管を製作し、高電界試験を行った。この比較から、顕著な差が認められないことが見えてきている。本稿では比較実験の詳細と高電界特性の差に関する実験的比較結果を報告する。 |
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TUP051 p.444 | Field emission抑制のための超伝導空洞組立のクリーン作業改善に向けて Improvement for clean assembly work about superconducting RF cavity & cryomodule to suppress field emission ○阪井 寛志,梅森 健成,加古 永治,許斐 太郎(高エネルギー加速器研究機構),沢村 勝(量子科学技術研究開発機構),篠江 憲治,野上 隆史,古屋 貴章,本田 融(高エネルギー加速器研究機構) ○Hiroshi Sakai, Kensei Umemori, Eiji Kako, Taro Konomi (KEK), Masaru Sawamura (QST), Kenji Shinoe, Takashi Nogami, Takaaki Furuya, Tohru Honda (KEK) We usually encountered the degradation of the superconducting RF cavities on the cryomodule test even though the performance of these cavities was good on the vertical test. In reality, the degradation of Q-values of two cavities of cERL main-linac were observed after cryomodule assembly in KEK [1]. Some dust and invisible particles might enter the cavity and generate field emission during the assembly work. Field emission is the most important cause of this degradation. It is crucially important not to degrade the cavity performance for not only vertical test but also the cryomodule operation after string assembly work of the cryomodule. In this paper, first we show what work produces the field emission source during assembly work of the cryomodule construction in detail from our experience. Next we introduce some trials for the improved clean assembly work to SRF cavity by re-examining our clean assembly work and considering the elaborated clean work in the other laboratory, like EURO-XFEL in DESY, to overcome the degradation by field emission. [1] H.Sakai et al., Proc. of SRF2013, Paris, 2013, p. 678, paper TUP019. |
高周波源 (8月1日 第1,2,3,4会議室他) | |
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TUP052 p.449 | 3.3kVSiCによるILC用チョッパー型MARX電源の高耐圧化 Chopper type MARX power supply for ILC improved by 3.3kV high voltage SiC devices ○澤村 陽,徳地 明(株式会社パスルパワー技術研究所),明本 光生,中島 啓光,川村 真人(高エネルギー加速器研究機構),佐々木 尋章,江 偉華(長岡技術科学大学),福田 憲司(産業技術総合研究所、先進パワーエレクトロニクス研究センター) ○Yo Sawamura, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd. (PPJ)), Mitsuo Akemoto, Hiromitsu Nakajima, Masato Kawamura (High Energy Accelerator Reserch Organization (KEK)), Hirofumi Sasaki, Weihua Jiang (Nagaoka University of Technology), Kenji Fukuda (AIST,ADPERC) ILC(国際リニアコライダー)計画のクライストロン電源はMARX変調器と呼ばれ、120kV 140A 1.65msのパルス電圧を生成し、マルチビームクライストロンのカソードに供給する。 本稿は、ILC加速器に設置されるクライストロン用モジュレータ電源の開発に関するものである。 搭載される電源は、小型化、低コスト化、高信頼性が強く望まれ、また電源が出力するパルスはフラットトップが1.65msの非常に長いパルス幅と電圧変動率1%以内という高精度の出力が要求される。 本研究では、MARX電源の構成とチョッパー回路を組み合わせた小型で安価なパルスパワー電源を80ユニット構成する提案でPWM制御によるドループの補償と位相制御によるリップルの低減を行っている。試作電源は、SiC MOS-FET、SiCダイオードを耐圧1.2kV素子を2シリーズ構成とし2.4kV耐圧で構成している。 ここでさらにデバイスの高耐圧化をはかり、より信頼性を増すために、今回、3.3kV耐圧SiCデバイスで高耐圧化の実装実験を行ったので報告する。 本研究の一部は、共同研究体「つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション(TPEC)」の事業として行われた。 |
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TUP053 p.453 | クライストロンモジュレータ用高電圧半導体スイッチの開発 Development of semiconductor high-voltage switch for klystron modulator ○森 均,黄瀬 圭祐,澤村 陽,徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所) ○Hitoshi Mori, Keisuke Kise, Yo Sawamura, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.) 産業用電子線滅菌用途のクライストロンモジュレータ用高電圧半導体スイッチを開発した。従来、これらの高電圧スイッチには水素サイラトロンが多用されてきたが、寿命が短い、高繰返し運転ができない、付帯電源が必要など、特に産業応用向けのスイッチとしては欠点が多かった。我々はこれまで、各種半導体スイッチを使用した高電圧スイッチを開発してきたが、今回、新たにMOSゲートサイリスタを使用した高電圧半導体スイッチを開発した。MOSゲートサイリスタはIGBT等の大電力素子に比べ短時間過電流許容値が非常に大きく、非常に小型で高電圧、大電流のスイッチを実現できる。飽和動作をするタイプの半導体スイッチであるサイリスタは一般的には点弧時のdi/dt許容値が低く制限されるが、MOSゲートサイリスタは静電的点弧機構を有しており、高いdi/dt値に耐えられるという特徴があり、半導体素子における高耐電圧と高速動作という相反する性能を短パルス領域において同時に実現できる。本開発においてはMOSゲートサイリスタを直列接続して高電圧スイッチを構成したPFN回路方式のモジュレータを製作し、評価試験を行ったのでその結果について報告する。 |
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TUP054 p.457 | スイッチ型クライストロンモジュレータへの出力電圧補償回路の適用に関する検討 Study on a voltage compensator applied to switch-type klystron modulator 髙橋 勇紀,飯嶋 竜司,磯部 高範,只野 博(筑波大学),○山﨑 長治,長谷川 智宏(東芝三菱電機産業システム) Yuki Takahashi, Ryuji Iijima, Takanori Isobe, Hiroshi Tadano (University of Tsukuba), ○Choji Yamazaki, Chihiro Hasegawa (Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial Systems Corporation) 国際リニアコライダー計画(ILC)で高周波源として検討されている10 MWマルチビームクライストロン用のパルス電源では、ピーク電圧-120 kV、ピーク電流140 A、パルス幅1.65 ms、繰り返し周波数5Hzのパルス電源が必要である。 我々は、実際の製作が380台であることから、よりシンプルな構成が良いと考え、このパルス電源にメインの半導体スイッチと直列電圧補償回路を組み合わせた回路方式を提案する。 現在は半導体スイッチとコンデンサを多段に組み合わせたマルクス電源の提案が報告されているが、これに比べてシンプルな構成となる。 新提案の回路構成は、直流源に対してメインの半導体スイッチを設け、さらに電圧補償回路用の電圧型フルブリッジ回路を多段に直列接続したものである。 メインの半導体スイッチは、パルスに応じてオン/オフを繰り返し、さらに電圧補償回路ではブリッジ回路内コンデンサの充放電を半導体スイッチで切り換えることで、メイン電圧の電圧降下を補償するようにしたものである。 本報告では、原理実証のための小型モデル実験を実施し、さらに実機レベルでの回路シミュレーションをして、適用可能であることを確認したので報告する。 |
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TUP055 p.462 | 50kV半導体スイッチの開発報告 Development of 50kV semi-conductor switch ○原田 瞬(日新パルス電子株式会社) ○Shunn Harada (Nissin Pulse Electronics co.,ltd) 現在我々日新パルス電子は、サイラトロン代替の半導体スイッチを開発している。 今回50kV用のスイッチを開発したので、その現状について報告する。 |
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TUP056 p.465 | 10MWマルチビームクライストロン試験の為の導波管系構築 Construction of waveguide system for testing of 10 MW multi-beam klystron ○石本 和也,沼田 直人,花香 宣彦(日本アドバンストテクノロジー株式会社),明本 光生,荒川 大,江木 昌史,片桐 広明,竹中 たてる,中島 啓光,松本 利広,三浦 孝子(高エネルギー加速器研究機構) ○Kazuya Ishimoto, Naoto Numata, Norihiko Hanaka (NAT), Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Masato Egi, Hiroaki Katagiri, Tateru Takenaka, Hiromitsu Nakajima, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura (KEK) 国際リニアコライダー(ILC)での超伝導空洞への高周波源として10MWマルチビームクライストロン(MBK)の使用を予定しており、その仕様は運転周波数1300MHz、パルス幅1.65ms、繰り返し5Hz、印加電圧120kV、ビーム電流140A、最大出力5MW×2である。 昨年までMBKの2ポート出力導波管各々に5MWサーキュレータと5MW固体ダミーロードを接続して実証試験を行い、仕様に近いパービアンスなどのデータを取得してきた。しかし、最大出力試験を行う段階でサーキュレータ及び固体ダミーロード内部での放電が頻発した。このため、安全係数を考慮して各々の出力導波管にY型導波管を取り付けて2分割し、合計4台の5MW固体ロードを組み込んだ導波管系の構築を行った。 現在、パルス幅1.6msで5MW×2の出力を維持しており、各固体ロードの出力値傾向も冷却水の温度差を参照にカロリー計算で値を算出するとY型導波管をネットワークアナライザーで測定した数値とほぼ同じである。今後パルス幅を1.65msまで伸ばして5MW×2迄出力し、MBKの諸特性の測定を行う予定である。 |
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TUP057 p.469 | SPring-8蓄積リングクライストロン用90kV直流高圧電源の更新2 Completion of the renewal of the 90 kV DC power supplies for the klystron of the SPring-8 storage ring ○惠郷 博文(理化学研究所、高エネルギー加速器研究機構),田中 均,福井 達(理化学研究所),安積 隆夫,石井 美保,大島 隆,大橋 裕二,小林 和生,近藤 力,佐々木 茂樹,高嶋 武雄,熊谷 教孝(高輝度光科学研究センター),勝部 貴光(スプリングエイトサービス),齊藤 寛典,溝田 樹容子(東芝),今野 修二,山﨑 長治(東芝三菱電機産業システム) ○Hiroyasu Ego (RIKEN, KEK), Hitoshi Tanaka, Toru Fukui (RIKEN), Takao Asaka, Miho Ishii, Takashi Oshima, Yuji Ohashi, Kazuo Kobayashi, Chikara Kondo, Shigeki Sasaki, Takeo Takashima, Noritaka Kumagai (JASRI), Takamitsu Katsube (SES), Hironori Saito, Kiyoko Mizota (TOSHIBA), Shuji Konno, Choji Yamazaki (TMEIC) SPring-8蓄積リングでは508.58MHz定在波型空胴を32台用いて16 MV加速を行っている。この空胴用大電力高周波源として東芝製クライストロンE3732(定格出力1.2MW)を使用している。 このクライストロンを駆動するためサイリスタ式90kV直流高圧電源を用いてきたが、20年以上の大電力運転によって構成部品の寿命超過、老朽化等による動作不良が発生するようになったため、高圧電源の更新を2014年から行ってきた。更新電源はサイリスタ式ではなく12相全波整流方式で、6.6kV-VCB付受電盤、3タップ電圧切換整流変圧器、直流高圧盤、80kV変調アノード電源、ヒータ電源から構成される。放射光ユーザー利用運転と工期の関係より2年にかけて、この新作高圧電源を蓄積リング4ステーションへ実装した。2015年度には2ステーションの更新を行い、約700kWでの5000時間運転において安定に動作することが実証された。2016年度には残り2ステーションの更新設置工事を行った。本発表では、更新済み高圧電源の大電力運転状況、2016年度に更新した高圧電源の調整運転、その際に生じたクライストロン短絡事象と電源保護状態等について報告する。 |
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TUP058 p.472 | TE011モード高周波空胴電力合成器を使用した100 kW 半導体パルス高周波増幅器の設計 Design of a 100 kW solid-state pulsed RF amplifier using a TE011 mode RF combiner ○大竹 雄次,安積 隆夫,稲垣 隆宏(理化学研究所・放射光科学総合研究センター) ○Yuji Otake, Takao Asaka, Takahiro Inagaki (RIKEN SPring-8 Center) 半導体増幅器は、長寿命で低故障率から粒子加速器の中電力高周波源として使用されつつある。従来から使用されていたIOTは、半導体化の波からメーカーからの供給が細くなってきた。また、高周波半導体素子の出力は連続波で1kWに達するものもある。このような理由から理化学研究所のSACLAでは、現在使用している476MHzのブースター加速空洞用の高周波源である100kW, 50 us出力のIOTから半導体増幅器への置き換えを検討している。今回我々は、素子が高価である理由からその数を減らすために、超低損失のTE011モード空胴電力合成器(Q0=100,000)を出力段に使用した半導体増幅器を設計した。設計では、空胴電力合成器が今までに無いので、シミュレーションによってその低損失も含めた実現可能性を確認した。その時に、1入力・4出力の電力分配器として使用された合成器は、理想的電力分配比に近い+6.0054dBの低損失を示した。また我々は、それに電力を供給する高周波半導体増幅器モジュールも試作して、その実現性も確認した。モジュールでは、現状で手に入る、1 kW出力で効率が周波数によって最大80%にもなる素子を使用した。試験的な実験では、476MHzで1 kW,50usのパルス出力を得、効率が60%にも達した。以上の結果は、次の段階のこの素子を100個使用した実機製作が実現可能な範囲であることを示した。 |
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TUP059 p.476 | 3.3 kV SiC-MOSFETを用いた誘導加速セルドライバーの開発 Development of an induction accelerator cell driver utilizing 3.3 kV SiC-MOSFETs ○岡村 勝也(高エネ研) ○Katsuya Okamura (KEK) KEKデジタル加速器(DA)は線形加速器やブースターなどの入射装置を必要としない誘導加速シンクロトロン(IS)である 。ISはKEKにおいて2000年にその概念が提案され、2006年に原理実証された誘導加速を前提にしたシンクロトロンであり、誘導加速セルと呼ばれる1:1トランスを介して矩形パルス電圧によって荷電粒子の加速と閉じ込めを行う。誘導加速シンクロトロンにおいて加速電圧を発生するスイッチング電源(Switching Power Supply: SPS)の主要な定格は2.5 kV-20 A-1 MHzという過酷なものであり、誘導加速における重要なコンポーネントである。 従来、我々はSPSのスイッチングデバイスとしてSiのMOSFETを7直列にして用いていたが、現在これをSiよりも高電圧に適したSiCのデバイスに置き換えるべく研究を進めている。これまで既にSiC-JFETを用いたSPSを開発し、KEKデジタルアクセラレータに投入することで実際のイオン加速にも成功している。今回の報告ではローム株式会社により開発された3.3 kV耐圧のSiC-MOSFETを用いて試作したSPSの特性について報告する。 |
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TUP060 p.481 | KEK電子陽電子入射器モジュレータ用インバータ電源の現状 (2) Present status of inverter power supplies for modulators in KEK electron-positron linac (2) ○川村 真人,明本 光生,中島 啓光(高エネ研),今井 康雄,東福 知之,馬場 昌夫,諸富 哲夫(三菱電機システムサービス(株)),遠藤 治,秋川 藤志,佐藤 和行(日本高周波(株)),高山 智也(東芝電波プロダクツ(株)) ○Masato Kawamura, Mitsuo Akemoto, Hiromitsu Nakajima (KEK), Yasuo Imai, Tomoyuki Toufuku, Masao Baba, Tetsuo Morotomi (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Osamu Endo, Hisashi Akikawa, Kazuyuki Sato (Nihon koushuha Co.,Ltd.), Tomoya Takayama (Toshiba Electro-wave Products Co., Ltd.) KEK電子陽電子入射器モジュレータ用インバータ電源について、過去1年間の状況を中心に報告する。 本インバータ電源は、電子陽電子入射器用に12台、低速陽電子用に1台、他にテストスタンド等で使用されている。今年度ダンピングリングの立上げが予定されているが、そのために増強するクライストロンモジュレータでも本インバータ電源を使用する予定である。 |
LLRF (8月1日 第1,2,3,4会議室他) | |
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TUP061 p.486 | J-PARCリニアックLLRFシステムの現状 Status of the J-PARC linac LLRF system ○二ツ川 健太,方 志高,福井 佑治(高エネルギー加速器研究機構),篠崎 信一,溝端 仁志(日本原子力研究開発機構),佐藤 福克(日本アドバンストテクノロジー株式会社) ○Kenta Futatsukawa, Zhigao Fang, Yuji Fukui (KEK), Shinichi Shinozaki, Satoshi Mizobata (JAEA), Yoshikatsu Sato (NAT) J-PARCリニアックのLLRFは, 周波数324MHzのシステムと972MHzのシステムに大別される。周波数324MHzのシステムは, J-PARCリニアックの建設当初から使用されており, その開発から10年以上が経過している。そのため, 経年劣化での故障頻度の増加してくることが予想され, 実際に予備交換などの対策を検討し始めている。また, フィードバック(FB)やフィードフォワード(FF)を担っているcPCIのボードの一部が製造中止になり, 更に開発環境をインストールできるOSを維持することが厳しくなってきている。そこで, 次世代のFB&FFシステムへの移行の検討している。現在のシステムは50式近くあり全式を一遍に交換することは厳しいため, 新システムと現在のシステムとの両立できる必要がある。開発のための制約が厳しい中でも, 現在のシステムの改善点を洗い出して検討を進めている。本件では, 現在検討を進めているシステムと現状のシステムを比較するかたちで紹介する予定である。 |
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TUP062 p.490 | ILCのための繰り返し学習制御と外乱オブザーバー制御によるLLRF系の開発 Development of iterative learning and disturbance observer-based LLRF control system for ILC ○チュウ フェン,道園 真一郎,松本 利宏,三浦 孝子,リェウ ナ,シギト バスキ ウィボヲ(高エネルギー加速器研究機構(KEK)) ○Feng Qiu, Shinichiro Michizono, Toshihiro Matsumoyo, Takako Miura, Na Liu, Basuki Wibowo Sigit (1 High Energy Accelerator Research Organization, KEK) This paper shows the development of a iterative learning control and disturbance observer (DOB)-based control for international linear collider (ILC). The motivation of this study is to compensate for the disturbance signal in the rf system such as beam loading, Lorentz force detuning and microphoics. Results in a cavity simulator-based RF system demonstrate the possibility of these approaches to the low level radio frequency (LLRF) control which controls the beam acceleration |
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TUP063 p.493 | 直接サンプリング検出技術を用いたRF信号とLO信号の同時測定 Simultaneous measurement of RF signal and LO signal using direct sampling detection technique ○松本 利広,三浦 孝子,チュウ フェン,道園 真一郎(高エネ研, 総研大),リュウ ナ,ウィボウ シギット バスキ(総研大) ○Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Feng Qiu, Shinichiro Michizono (KEK, SOUKENDAI), Na Liu, Sigit Basuki Wibowo (SOUKENDAI) ADCの最大入力周波数は加速器の運転周波数(RF周波数)より低い場合が多いため、(RF+IF)周波数を持つLO信号とミキサーを用いて振幅・位相を保存しつつIF周波数へ周波数変換を行い、ADCでオーバーサンプリング後、デジタル信号処理で振幅・位相情報を引き出す構成が低電力RF系では一般的である。他の手段として、運転周波数より広い帯域を持つADCを用いて、アンダーサンプリング技術を使い、同様に振幅・位相を求める手段もある。この場合、ミキサーで起きる温度依存性や非線形効果の影響は無くなるが、クロックのジッターの影響が大きくなること、ADCの消費電力が大きくなる傾向があることから、波形モニターとして一般的になっていない。 KEKのcERL/STFでは運転周波数1.3GHzの超伝導空洞のデジタル処理を用いた高周波の制御を進めてきたが、運転時にIF周波数をリファレンスとしてモニターした場合に振幅や位相が変動する場合があり、RF信号やLO信号を直接モニターする必要性が出ていた。今回、cERL/STFで開発した帯域1.4GHzのADC(ADS5474)を2チャンネル持つモニターボードを用いてRF信号とLO信号の同時測定を行った。 今回、同時測定のアルゴリズムや測定結果について報告を行う。 |
電磁石と電源 (8月1日 第1,2,3,4会議室他) | |
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TUP064 p.496 | SuperKEKBビーム最終収束用QCS-L超伝導電磁石クライオスタットの冷却試験 Cold tests of the QCS-L cryostat of the SuperKEKB final focusing system at the experimental laboratory ○宗 占国,大内 徳人,川井 正徳,近藤 良也,有本 靖,王 旭東,山岡 広,土屋 清澄(高エネ研) ○Zhanguo Zong, Norihito Ohuchi, Masanori Kawai, Yoshinari Kondou, Yasushi Arimoto, Xudong Wang, Hiroshi Yamaoka, Kiyosumi Tsuchiya (KEK) SuperKEKB加速器ビーム衝突点では、電子・陽電子ビームを収束させビームの衝突頻度を上げるための最終収束用超伝導電磁石QCS-L・QCS-Rシステムが設置された。QCSクライオスタット内には、各々4台の超電導4極電磁石、20台/23台(L/R)の超電導補正磁石及び1台/3台(L/R)の超電導補償ソレノイドが組み込まれている。QCS-Lクライオスタットは2015年12月に納品され、SuperKEKBビームラインへの設置(2016年8月)される前に、KEKの超電導低温真空実験棟(低真棟)において、2月始から7月末にかけて冷却・断熱性能・励磁・磁場測定が行われた。本発表では、低真棟で行ったQCS-Lクライオスタットの冷却システムの設計、QCS-Lクライオスタット中の冷却状態と熱負荷測定について報告する。 |
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TUP065 | SuperKEKB衝突点軌道制御システムにおける真空ダクトの磁場減衰 Damping of magnetic field due to beam pipe on orbit feedback system at interaction region for SuperKEKB ○中村 衆,大木 俊征,川本 崇,増澤 美佳,福間 均,船越 義裕(高エネ研) ○Shu Nakamura, Toshiyuki Oki, Takashi Kawamoto, Mika Masuzawa, Hitoshi Fukuma, Yoshihiro Funakoshi (KEK) SuperKEKBの衝突点付近には、電子・陽電子ビームの衝突を積極的に保持するための軌道制御用電磁石群を設置している。 垂直方向の制御はKEKBでも使用した軌道フィードバックシステム(iBumpシステム)を用い、水平方向はPEP-IIで用いられたDitheringシステムをSuperKEKB用に組み立てている。 KEKBにおける衝突点軌道フィードバックの応答周波数は1Hz程度であり、銅製の真空ダクトによる磁場の減衰は大きな問題とならなかった。 しかし、SuperKEKBのおいてはルミノシティ増強のために衝突点でのビームサイズを非常に小さくするため、iBumpシステムの応答周波数を1kHz程度に上げる必要がある。 この周波数では真空ダクトによる減衰の影響が無視できないため、軌道フィードバックを行う電磁石部分の真空ダクトはステンレス製に変更している。 Ditheringシステム用の電磁石と電源及びその配線は、2016年2月から始まった試験運転時に完了していたため、軌道のフィードバック制御はできないものの一定の磁場強度で周波数を変数とすることで、ビームに対する磁場減衰の影響を実際に確認した。 また、真空ダクトと同じ形状のパイプを製作し、iBumpシステム用の電磁石を用いてパイプ内での磁場の減衰率測定も実施した。 |
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TUP066 p.500 | SuperKEKB超伝導電磁石用電源の開発―中点のある系の電流制御方式― Development of SuperKEKB superconducting magnet power supply -current control for positive/middle/negative output system- ○大木 俊征,中村 衆,安達 利一(高エネ研) ○Toshiyuki Oki, Shu Nakamura, Toshikazu Adachi (KEK) 世界最高のルミノシティを達成したKEKB電子・陽電子衝突型加速器の高度化計画として、SuperKEKB加速器の建設が進められてきた。2016年2月から始まった試験運転は6月まで行われ(Phase 1)、2016年12月から2017年5月にかけて衝突点にBelle II検出器と、その近傍に配置される超伝導電磁石を導入し、2017年度末にビーム衝突運転(Phase 2)を開始する予定である。複数ある超電導電磁石の内、Belleソレノイドによる磁場を打ち消すためのアンタイソレノイド―ESLあるいはESR1―は、コイル両端の間に中間タップを有しており、中間タップで分割される2区間のコイルに流す電流に差を付け、微調整できるようにしてある。このアンタイソレノイドを励磁するための電源には、正極、負極の他、中間極を設け、コイルの3極にそれぞれ接続される。電源の接地極は、中間極と別に、超電導電磁石用クライオスタットへ直接接続してある。本発表では、この中点のある系の電流制御方式について紹介する。 |
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TUP067 p.504 | SuperKEKB用フラックスコンセントレータ電源の現状 Present status of flux concentrator modulator for SuperKEKB ○明本 光生,榎本 嘉範,紙谷 琢哉,川村 真人,中島 啓光,福田 茂樹,横山 和枝(KEK) ○Mitsuo Akemoto, Yoshinori Enomoto, Takuya Kamitani, Masato Kawamura, Hiromitsu Nakajima, Shigeki Fukuda, Kazue Yokoyama (KEK) SuperKEKB計画に向けて電子陽電子入射器の改造が進められている。本発表ではこれに向けた陽電子生成標的直後においてビームを強く収束するためのフラックスコンセントレータ型パルスソレノイドにパルス電流を供給する電源について報告する。負荷コイルのインダクタンスは約1μHで、このパルス電源のパルス出力仕様は約6μs幅の半正弦波形でピーク電流12kA、繰返し50Hz、安定度0.3%(P-P)である。パルス電源はコンデンサバンクとサイラトロンからなる放電回路を2並列で構成し、サイズは1.8m(W)x1.5m(D)x2.3m(H)である。サイラトロンをはじめ、電源に使用されるユニット類すべて入射器で使用されるクライストロンパルス電源のものを使用して、電源の保守費用や製作費用を削減した。電源の信頼性向上のため、サイラトロンを半導体スイッチに置き換えることを検討している。 |
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TUP068 p.507 | PF-AR直接入射路の電磁石システムとそのアライメント The magnet system and the alignment for the PF-AR direct beam transport line ○長橋 進也,高木 宏之,上田 明,原田 健太郎,東 直,中村 典雄(高エネ研) ○Shinya Nagahashi, Hiroyuki Takaki, Akira Ueda, Kentaro Harada, Nao Higashi, Norio Nakamura (KEK) PF-AR直接入射路は、電子陽電子入射器(LINAC)最下流部に設置されたパルス偏向電磁石からPF-AR入射点までの約320mの区間であり、2017年2月までに建設を行い、翌3月にビームコミッショニングを完了、4月よりユーザー運転を開始した。電磁石は、偏向電磁石30台、四極電磁石21台、垂直偏向電磁石4台、補正電磁石15台、セプタム電磁石2台であり、これらの電磁石は、直径20cm程度の貫通口で接続された5つの領域(LINAC第3スイッチヤード、PF-AR直接入射路トンネル上流部と下流部、SuperKEKB-BT交差部、PF-ARリングトンネル)に分かれ設置されている。測量およびアライメントには、半径160m において±15μm+6μm/mの公称精度で測定可能な三次元測定器(Leica 製AT402)と1 km 往復測量の標準偏差0.2mmの公称精度を持つ水準儀(Wild製N3)を使用した。真空チャンバーと干渉のあったセプタム電磁石2台を除き、水平垂直ともに、全て目標値の±0.1mm以内に設置することができた。 |
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TUP069 p.512 | あいちSRにおける永久磁石型モデル偏向磁石の開発と精密磁場測定 Development and precise measurement of permanent dipole model magnet for Aichi SR storage ring ○濱田 涼,福江 修平(名大院工),保坂 将人,持箸 晃(名大SR),高嶋 圭史(大学院工),真野 篤志(名大SR),林 憲志,藤本 將輝,加藤 政博(分子研) ○Ryo Hamada, Shuhei Fukue (Graduate School of Eng. Nagoya Univ.), Masato Hosaka, Akira Mochihashi (SR Center, Nagoya Univ.), Yoshifumi Takashima (Graduate School of Eng. Nagoya Univ.), Atsushi Mano (SR Center, Nagoya Univ.), Kenji Hayashi, Masaki Fujimoto, Masahiro Kato (UVSOR IMS) あいちSRでは、4台の超伝導偏向電磁石と8台の常伝導偏向電磁石を用いており、そのうち常伝導偏向電磁石の冷却システムも含めた消費電力は、あいちSR加速器システムの消費電力の3割程度を占めている。電磁石に比べ、永久磁石は磁場の発生に電力を要さず、付帯設備(電源、コイル、冷却システム)が不要なため、省エネ効果が期待されることに加え、コンパクト化・メンテナンスフリーなどの利点も挙げられる。そこで、我々は、あいちSR光源加速器への応用を目指して、永久磁石型偏向磁石の設計・開発を行った。設計では、静磁場解析ソフトを用いたシミュレーションにより、磁束密度や有効範囲を定量的に評価しながら偏向磁石の形状の最適化を試みた。シミュレーション結果に基づき、1/5スケールの縮小モデルを試作した。磁場測定により、必要とされる1.4[T]の磁場強度と1/5スケールで要求される有効範囲(磁場均一度0.1[%]以内で±6[mm])が確認できた。また、永久磁石テストピースを用いた試験では、磁束密度の温度係数によく一致する磁束密度の温度変化が確認できた。発表では、モデル磁石の精密磁場測定の結果及び今後の展望を報告する。 |
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TUP070 p.515 | 永久磁石によるDCセプタムの開発 Development of permanent magnet based DC septum ○高野 史郎,渡部 貴宏,深見 健司(高輝度光科学研究センター/理化学研究所放射光科学総合研究センター),谷内 努(高輝度光科学研究センター),原 徹,田中 均(理化学研究所放射光科学総合研究センター),草野 邦宏,濱登 一広,尾形 敢一郎,齋藤 喜之,片岡 淳(トーキン) ○Shiro Takano, Takahiro Watanabe, Kenji Fukami (JASRI/RIKEN SPring-8 Center), Tsutomu Taniuchi (JASRI), Toru Hara, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center), Kunihiro Kusano, Kazuhiro Hamato, Kanichiro Ogata, Yoshiyuki Saito, Jun Kataoka (TOKIN Co.) 我々は、次世代光源として検討を進めているSPring-8-IIへの適用を視野に、i)ビーム入射振幅の抑制(小振幅入射)、ii) 蓄積ビームの基本性能への影響の抑制(入射の透明性)、iii) トップアップ運転(積上げ自在な繰返し入射)を可能とする、新しいoff-axis入射システム(真空封止無摂動off-axis入射システム)を提案している。永久磁石によるDCセプタムは、これを構成する主要磁石の一つであり、省エネルギー化にもつながる。我々は、昨年9月より「次世代加速器要素技術開発プログラム」からの委託により、次世代リング型光源実現のための共通の要素技術開発として、永久磁石によるDCセプタムのプロトタイプ機の開発を開始した。SPring-8での永久磁石ベース偏向磁石の開発で得た、磁場調整機構、 温度補償、放射線減磁対策に関する知見をもとに基本設計を行い、入射ビームの偏向に必要な磁場強度の実現と蓄積ビーム軌道への漏れ磁場抑制を両立させる磁気回路を設計した。磁気回路は、磁場調整用プレート、温度補償用整磁合金、漏れ磁場打ち消し用磁石、磁気遮蔽用セプタム板などから構成される。放射線減磁対策の観点から、サマリウムコバルト磁石を選択し、パーミアンス係数を極力高くするよう留意した。2016年度に試作機が完成し、引き続き、漏れ磁場等も含めた詳細な磁場測定により性能評価を行う計画である。 |
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TUP071 p.519 | 東北放射光蓄積リングのための電磁石設計 Design of electro-magnets for project of the synchrotron light in Tohoku, Japan ○西森 信行(東北大学 多元研),SLiT-J デザインチーム(SLiT-J デザインチーム) ○Nobuyuki Nishimori (Tohoku Univ. IMRAM), Slit-j Design Team (SLiT-J Design Team) 東北放射光施設(SLiT-J)は軽元素を中心とした物質・材料研究に適する軟X線ナノビーム光源として3GeV高輝度放射光源の実現を目指すものである。double double-bend achromat(DDBA)ラティスを採用して偏向部での分散を抑制し、低エミッタンス化を目指す先端的な設計となっている。16個のDDBAラティスで構成される蓄積リングは周長約350mであり、5.4mの長直線部16本、1.5mの短直線部16本、水平自然エミッタンス0.92nmで設計されている。約22m長のラティスに機能複合型偏向磁石4個、四極磁石10個、六極磁石10個、八極磁石2個と多数の電磁石が配置される。偏向磁石のギャップ長は28mm、四極磁石のボア径は34mmであり、コンパクトな電磁石設計が求められる。これらの電磁石群について磁場計算コードRADIAを用いて、有効磁場範囲、漏洩磁場、多極成分などを求め詳細設計を行っている。検討状況について報告する。 |
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TUP072 p.524 | 磁場強度調整可能な永久磁石型偏向磁石の開発 Development of magnetic field adjustable permanent magnet dipole ○目黒 和幸(岩手県工業技術センター),菊地 晋也(株式会社サンアイ精機),今 健一(いわて産業振興センター),松本 教之(高エネルギー加速器研究機構) ○Kazuyuki Meguro (IIRI), Shinya Kikuchi (SunAi), Kenichi Kon (IIPC), Noriyuki Matsumoto (KEK) 次世代加速器において、従来の偏向電磁石に替わり永久磁石を用いた偏向磁石が検討されている。これは、永久磁石を用いると消費電力の削減になるだけでなく、冷却に関係する機械的振動や電圧変動によるリップルを低減させる効果が期待されるためである。我々はこれまで、機械的動作によってネオジム磁石の配列を切り替えることで磁場をON/OFFできる磁気応用製品の設計・製造に取り組んできた。本発表では、ギャップ間の磁場強度を調整可能な永久磁石型偏向磁石の設計と試作品を評価した結果について報告する。 |
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TUP073 p.527 | ヒステリシスを考慮した輸送系に用いられる偏向電磁石の磁場測定 Measurement of magnetic fields with hysteresis effects in bending magnet for beam transport ○保富 立樹,菅原 賢悟(近大 大学院),石 禎浩,上杉 智教,栗山 靖敏(京大原子炉) ○Ritsuki Yasutomi, Kengo Sugahara (Kindai University), Yoshihiro Ishi, Tomonori Uesugi, Yasutoshi Kuriyama (KURRI) これまで加速器用電磁石の磁場設計には、TOSCAによる磁場解析が用いられてきたが、ヒステリシスの効果を取り入れた磁場設計はなされてこなかった。 しかし、近年ヒステリシスモデルの一つであるプレイモデルを組み込んだ有限要素磁場解析が開発され、ヒステリシスの影響を有限要素磁場解析に取り込むことが可能となりつつある。我々は、この手法を加速器用電磁石の設計に適用することで設計精度の向上を図ろうとしている。ところが、プレイモデルは直流ヒステリシスの考えに基づいたモデルであり、一方で、磁気余効や渦電流の影響は、時間に依存する。本研究の目的は、加速器用電磁石のヒステリシスに電流励磁パターンが与える影響を定量評価し、磁気余効や渦電流の影響を分離して、直流ヒステリシスモデルの加速器用電磁石磁場設計への適用可否を判断することである。 我々は、上記検討をすすめる上での第一歩として輸送系に用いられる偏向電磁石を例に扱い、Lake Shore製のガウスメータを用いた磁場測定システムを構築した。本測定システムを用いて、異なる複数の電流励磁パターンにおけるヒステリシスループの測定を行った。本報告では、その結果について報告する。 |
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TUP074 p.532 | 室温変動による粒子線治療用シンクロトロン偏向電磁石磁場への影響 Effect of room temperature variation on magnetic field induced by a bending magnet of synchrotron for ion therapy ○岩井 岳夫(山形大学学術研究院),横山 淳也,小関 悠里(山形大学理学部),門叶 冬樹(山形大学学術研究院) ○Takeo Iwai (Research Institute, Yamagata University), Junya Yokoyama, Yuri Koseki (Faculty of Science, Yamagata University), Fuyuki Tokanai (Research Institute, Yamagata University) 加速器施設においては、ビームの安定性を担保するために室温をできるだけ一定にすることが理想的であるが、そのためには空調管理に大きなエネルギーが必要である。近年急激に増えている粒子線治療施設では、経済性という観点からエネルギー消費を減らすような検討が進められつつあり、空調管理にかかるエネルギー消費も例外ではない。本研究では、加速器室の空調条件を最適化するための基礎データとして、加速器室の温度変化が二極電磁石の磁場に及ぼす影響を定量的に評価することを目的とする。16℃~28℃の間で室温を変化させ、二極電磁石の中心磁場の変動をNMRプローブで測定した結果、磁場は温度上昇によって直線的に減少すること、およびその減少の傾きは最大磁場に近いところでは大きくなるが、それより低い磁場ではほぼ磁場によらず一定になることなどがわかった。 |
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TUP075 | 高熱伝導樹脂を用いたkWクラス間接冷却コイルの開発 Development of kW class indirectly cooled solenoids using high thermal conductive resin ○栗原 俊一(高エネ機構),影島 隆一,佐々木 彰(日本電磁工業) ○Toshikazu Kurihara (KEK), Ryuichi Kageshima, Akira Sasaki (NDK) 昨今の携帯端末、パソコンその他の熱管理に関しては、その開発が著しい。CPUの線幅の微細化に伴い電流密度の増大が、エレクトロマイグレーションの問題とともに発熱をいかに逃がすか、熱管理が関心を集めている。一方、電子機器の筐体等は金属が使われてきた。高い熱伝導率と機械的な強度、さらに加工性など様々な利点があるからである。しかし、金属から樹脂へという流れがコスト削減の面からここでも起きている。高熱伝導樹脂の開発は熱伝導性のフィラーを樹脂中に添加することによってなされている。こういった試みは2000年代に様々な開発の試みが行われ、2000年代末には試作から材料が市販されるようになった。半導体のヒートシンクとの接合、あるいは部品のポッティング等に用いられている。通常の樹脂の熱伝導率は0.2W/m・K 程度である。一方、1桁ないし2桁の熱伝導率の樹脂が利用できる状況となってきている。われわれは手始めに4W/m・K の高熱伝導樹脂を用いて空芯コイルを試作してみた。現在入手できる高熱伝導樹脂は平面に塗布して一層を形成するか、樹脂だけを形成して構造材料部品として用いるかが主眼となっているようで、線材を巻きながら充填していくことを目的としたものでは無く工夫を要する。1200Wから2000W程度の間接冷却空芯コイルが水量0.9L/min~2.0L/min で実現できた。 |
ビーム診断・ビーム制御 (8月1日 第1,2,3,4会議室他) | |
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TUP076 p.535 | J-PARCリニアックにおけるバンチ形状モニターの開発及び縦方向ビームマッチングの研究 Development of bunch shape monitor and study of longitudinal beam matching at J-PARC linac ○福岡 翔太(筑波大学),二ツ川 健太,劉 勇,宮尾 智章(高エネルギー加速器研究機構),林 直樹,川根 祐輔,三浦 昭彦(日本原子力研究開発機構) ○Shota Fukuoka (University of Tsukuba), Kenta Futatsukawa, Yong Liu, Tomoaki Miyao (KEK), Naoki Hayashi, Yusuke Kawane, Akihiko Miura (JAEA) J-PARCリニアックではビーム強度向上のためにビーム損失の低減を目指しているが、負水素イオンビームバンチの縦方向にビームを溢していることがビーム損失の一因であると疑われている。従来は、縦方向のビーム形状を測定するモニターが設置されていなかったため、バンチャー空洞のRF電圧振幅値は数値シミュレーションに基づいて決定されていた。そこで、縦方向のバンチ形状を測定するためのバンチ・シェイプ・モニター(BSM)を新規に設計・製作し、RFQ (Radio Frequency Quadrupole linac)加速空洞とDTL (drift-tube linac)の間の MEBT1 (Medium-Energy Beam Transport 1))に、タングステンワイヤーに対するエネルギー損失や設置スペース等を考慮し改修を施した上で設置した。本研究の目的は、MEBT1に設置するBSMを用いて縦方向のバンチ形状を測定し、バンチャー空洞のRF電圧振幅値を最適化することである。本発表では、ビーム試験でのバンチ形状の測定結果、及びビームダイナミクスコード(IMPACT)の計算結果に関して報告する予定である。 |
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TUP077 p.540 | J-PARCリニアックのビームロスモニタによるインターロックイベント Interlocked events of beam loss monitors at the J-PARC linac ○林 直樹,菊澤 信宏,三浦 明彦(JAEA/J-PARC),二ツ川 健太,宮尾 智章(KEK/J-PARC) ○Naoki Hayashi, Nobuhiro Kikuzawa, Akihiko Miura (JAEA/J-PARC), Kenta Futatsukawa, Tomoaki Miyao (KEK/J-PARC) J-PARCリニアックでは、一般的なビームロスモニタによるビーム停止インターロックを設けている。但し、J-PARCの他のリングシンクロトロンとは異なり、時間分解能重視のため、50Ω受け、生信号での閾値・幅を条件とした設定で使用している。最近のユーザ向け利用運転では、単独1台のみでのインターロック発報が目立っている。そこで、各事象を波形単位で記録し、解析を行った。本論文では、インターロックの発報状況と事象毎の分類した結果について述べる。 |
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TUP078 p.545 | J-PARC 400 MeV リニアックにおけるビームロス陽子飛跡の観測 Observation of beam loss proton tracks at 400 MeV J-PARC linac ○佐甲 博之,三浦 昭彦(原子力機構),宮尾 智明,丸田 朋史(高エネ研) ○Hiroyuki Sako, Akihiko Miura (JAEA), Tomoaki Miyao, Tomofumi Maruta (KEK) J-PARCの180MeVリニアックのACS部において、一次ビームであるH-がビームダクト内の残留ガスとの反応によってH0に変換し、さらにH0がダクト壁を透過する際にH+に変換され、ダクト外で陽子の飛跡となって観測可能である。このような陽子の飛跡をアップグレード前の180MeVリニアックにおいて、2013年までにファイバーシンチレーション測定器を用いて初めて観測し、そのビームロスレートを評価した。 2017年4月に、リニアックが400MeVにアップグレードされて以降初めて、上記の陽子の飛跡の測定実験を行った。 本発表では、400MeVリニアック下流部における陽子飛跡の測定実験の概要と、陽子飛跡の観測に関する初期の結果を示す。 |
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TUP079 p.548 | RCNPにおけるペッパーポット型エミッタンス測定装置のリアルタイム化 Real time-ization of pepper pot emittance measuring device in RCNP ○森田 泰之,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,畑中 吉治,安田 裕介,鎌倉 恵太,原 周平,山野下 莉奈,Koay Huiwen(RCNP) ○Yasuyuki Morita, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Kichiji Hatanaka, Yusuke Yasuda, Keita Kamakura, Syuhei Hara, Rina Yamanoshita, Huiwen Koay (RCNP) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)サイクロトロン施設では、大立体角のパイオン捕獲システムとパイオン/ミューオン輸送ラインを組み合わせた大強度ミューオン源MuSICの開発における陽子ビームや211At生成のためのHeビーム、2次RI生成のためのKr等の重イオンビームなど幅広いイオンビームの供給を行っている。これらの実験において、二次粒子の生成量はサイクロトロンで加速される1次ビーム強度に比例するため、実験データの精度、信頼性を向上させるためには陽子から重イオンまで幅広い種類の加速ビームの強度と質を高める必要がある。そのためのビーム開発の一つとしてイオン源からサイクロトロンに入射されるビームのエミッタンスの測定を行い、得られたデータを基にイオン源を最適化させることでサイクロトロンのアクセプタンスにマッチした高輝度イオンビームの開発を行っている。ここで従来一般的に使用されてきたスリットとプロファイルモニターを組み合わせたエミッタンス測定法は数分~数十分もの測定時間がかかり、全く効率的ではなかった。そこで2次元スリットとMCPを組み合わせたペッパーポット法を用いたエミッタンス測定法を導入し、これにより数秒で測定することに成功した。今回、このペッパーポット法を用いたエミッタンス測定の制御解析をLabVIEWで行うことにより測定のリアルタイム化を実現し、ビーム開発効率の向上を目指した。 |
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TUP080 p.552 | 2次元ビームスキャニングのためのリアルタイム線量分布蛍光モニターの開発 Development of a real-time dose-distribution fluorescence monitor for two-dimensional beam scanning ○山野下 莉那,福田 光宏,畑中 吉次,依田 哲彦,安田 裕介,鎌倉 恵太,原 周平,koay hui wen(大阪大学 RCNP),小泉 雅彦,高階 正彰,岸上 祐加子(大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻),神田 浩樹,中尾 正夫(大阪大学 RCNP),佐川 友啓(大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻) ○Rina Yamanoshita, Mitsuhiro Fukuda, Kichiji Hatanaka, Tetsuhoko Yorita, Yuusuke Yasuda, Keita Kamakura, Shuhei Hara, Hui Wen Koay (rcnp,osaka university), Masahiko Koizumi, Masaaki Takashina, Yukako Kishigami (Department of Medical Physics & Engineering,Graduate School of Medicine and Health Science,Osaka Unive), Hiroki Kanda, Masao Nakao (rcnp,osaka university), Tomohiro Sagawa (Department of Medical Physics & Engineering,Graduate School of Medicine and Health Science,Osaka Unive) 粒子線治療においてビームスキャニング法により腫瘍患部に照射を行う際には、治療計画通りにレイヤー毎の横方向の二次元線量分布を形成し、各レイヤーで線量分布の均一化を図る必要がある。これまでは、2次元的な線量分布の詳細な評価には、ガフクロミックフィルムを用いてオフラインで解析していた。この方法ではフィルムの黒化度が安定するまで、照射後24時間以上待つ必要があり、ビームスキャニングシステムのパラメータを変えた時の線量分布の均一性を評価するには不向きであることから、均一な線量分布形成のためには、その場でスキャニングシステムの最適化調整を行い、リアルタイムで形成された線量分布の均一性や照射野辺縁部のはみ出し精度を把握する必要がある。そこで、本研究では、リアルタイムでビームスポットの変位を画像で記録し、粒子密度分布に比例した蛍光量を逐次積分していくことによって線量分布評価が可能なリアルタイム蛍光モニターの開発を目指す。同モニターの蛍光体には、DRZ蛍光体を用いる。これは残光が数msと短く、また発光感度が高いため、リアルタイム計測には非常に有用である。また、残光時間より長い周期でCCDカメラの取得画像を解析することにより、誤差やバックグラウンドの少ない分布を得る。本発表では、このシステムの開発状況および、照射試験の結果などについて報告する。 |
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TUP081 p.557 | HIBMCにおける遅い取り出しビームの横方向ビームプロファイル測定 Transverse beam profile measurement for slow extracted beam in HIBMC ○栗山 靖敏,石 禎浩,上杉 智教,不破 康裕(京大炉),須賀 大作,赤城 卓,清水 勝一,原田 秀一(ひょうご粒子線メディカルサポート),沖本 智昭(兵庫県立粒子線医療センター) ○Yasutoshi Kuriyama, Yoshihiro Ishi, Tomonori Uesugi, Yasuhiro Fuwa (KURRI), Daisaku Suga, Takashi Akagi, Masakazu Shimizu, Shuichi Harada (HIBMS), Tomoaki Okimoto (HIBMC) 兵庫県立粒子線医療センター(以下、HIBMCとする)では、シンクロトロンで加速された陽子および炭素ビームを遅い取り出しで取り出し、粒子線治療に利用している。現在、HIBMCでは治療の高度化を目指した新しいビーム利用手法の開発を行っており、この新しいビーム利用手法の立ち上げ及びビーム利用の最適化を目的として、遅い取り出しビームの横方向プロファイル測定を実施した。本発表では、この横方向ビームプロファイル測定の詳細について報告を行う。 |
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TUP082 | チャネリングを利用したビーム操作技術の開発 Development of beam manipulation techniques using channeling phenomena ○高林 雄一(九州シンクロトロン光研究センター) ○Yuichi Takabayashi (SAGA Light Source) 高速の荷電粒子が湾曲結晶を面チャネリングする場合,荷電粒子は湾曲した原子面に沿ってチャネリングするため,荷電粒子は偏向されることになる.この現象を利用したビーム偏向のアイデアは,1976年に提案されて以来,主に陽子等のイオンビームに関して研究が行われてきた.最近では,CERNのLHCでビームのコリメーションを目的とし,6.5 TeV陽子の湾曲結晶チャネリングの実験が開始された.一方,最近になり,ドイツのMAMI(855 MeV)とアメリカのSLAC(数GeV)で,電子ビームを用いた研究も行われるようになってきた.電子ビームのエネルギーが下がると,結晶中における多重散乱の効果と量子論的効果が大きくなることが知られており,今後の研究の方向性として,より低エネルギー領域での研究が興味深いと考えられる.そこで,本研究では,255 MeVの電子ビームを用いて湾曲結晶チャネリングの研究を行うこととした.実験は,SAGA-LSのリニアックからの255 MeV電子ビームを利用して行った.標的として,厚さ40ミクロンの湾曲Si結晶を用いた.quasi-mosaic効果を利用して,結晶の(111)面を曲率半径約35 mmに湾曲させた.結晶から5.12 m下流にあるスクリーンモニタを用いてビームの角度分布を観測したところ,ビームの一部が1.4 mrad偏向されていることが確認された.この手法を用いれば,ビームの一部だけを偏向させることができるので,ビームスプリッターとして応用できる可能性がある. |
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TUP083 p.560 | ビームプロファイルモニタ用金属製ワイヤの耐久性評価試験 Tensile fracture test of metric wire of beam profile monitors ○三浦 昭彦(原子力機構),福岡 翔太(筑波大学),宮尾 智章(高エネルギー加速器研究機構),川根 祐輔(原子力機構) ○Akihiko Miura (JAEA), Shota Fukuoka (Univ. of Tsukuba), Tomoaki Miyao (KEK), Yusuke Kawane (JAEA) J-PARCリニアックでは、高周波加速空洞を用いて、負水素イオンビームを400MeVまで加速している。ビーム輸送中のビームロスを抑制するため、ワイヤスキャナモニタを用いて、ビームの進行方向に鉛直な方向のプロファイルを測定するとともに、位相方向の拡がりを測定するため、バンチ・シェイプ・モニタを開発し、チューニング用加速空洞の振幅設定のチューニングに使用している。これらのモニタでは、加速したビームと金属ワイヤを直接相互作用させ、ワイヤ内に発生した電流や、ビームとワイヤの衝突により発生した2次電子を計測している。このため、モニタを設計する際、ビームの熱負荷による温度上昇を考慮して融点の高いタングステンを選定した。また、ワイヤを金属製のフレームに固定する際、重力によるたわみをばねによる引張りにより除去している。リニアックでのピークビーム電流を大きくする際には、溶融及び温度上昇に対する引張り強さの耐久性を確保しなければならない。そこで、ワイヤの熱、引張強さに対する耐久性を評価するため、小型の真空チャンバを製作し、ビームによる熱負荷を印加電流で模擬し、ワイヤにかける荷重とワイヤ径をパラメータとした試験を実施した。この結果、太さ0.020、0.030、0.100mmのタングステンワイヤに対し、10gN、20gN、30gNの荷重における破断に至る電流値との関係が得られた。 |
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TUP084 p.563 | 非破壊2次元プロファイルモニター用ガスシートターゲットの開発 Development of a gas-sheet target for a non-destructive profile monitor ○荻原 徳男,引地 裕輔,神谷 潤一郎,山本 風海,金正 倫計(原子力機構J-PARC) ○Norio Ogiwara, Yusuke Hikichi, Junichiro Kamiya, Kazami Yamamoto, Michikazu Kinsho (JAEA/J-PARC) 現在、我々は、J-PARC 3 GeVシンクロトンにおいて、2次元ビームプロファイルを非破壊で可能にするため、真空中に高濃度のガスシートターゲット形成を可能にするための技術開発を行っているところである。これにより、ガスシートと加速ビームとの相互作用により生じたイオンないしは蛍光を観測することにより、高速かつ非破壊なビームプロファイルの測定が可能となる。真空技術を応用することにより、厚さ~1 mm、50 - 100 mmφの規模のガスシートを生成しうる簡便な装置の実現を目指している。具体的には、「行路長が十分長く、かつ、幅の十分狭いスリットを通過する気体分子がスリットを横切る平面に収束する」効果を利用したガスシートの生成を試みている。講演においては、シミュレーション計算の結果および試作したガスシート発生器によって得られたガスシートの性能を紹介する。 |
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TUP085 p.568 | RF-Deflectorを用いた電子ビームの3次元分布計測 Measurement of three-dimensional bunch profile using RF deflecting cavity ○佐々木 智則,中里 佑介(早稲田大学理工学研究所),坂上 和之(早稲田大学高等研究所),鷲尾 方一(早稲田大学理工学研究所) ○Tomonori Sasaki, Yusuke Nakazato (Faculty of Science and Engineering, Waseda University), Kazuyuki Sakaue (Waseda Institute for Advanced Study, Waseda University), Masakazu Washio (Faculty of Science and Engineering, Waseda University) 早稲田大学鷲尾研究室では,フォトカソードを用いたRF電子銃によって高品質な電子ビームを生成し様々な応用研究を行っている.電子ビームを応用するにあたり,その詳細な構造(3次元分布やエミッタンス等)の測定は非常に重要である.我々はRF-Deflector(高周波偏向空洞)と呼ばれる装置を用いることで,これまでに電子ビームの持つ傾き角の計測に成功しており,その知見にCT技術を適用することで,ビームの3次元分布再構成に成功した.RF-Deflectorは空洞内に共振させた磁場によって電子ビームを偏向させる装置であり,供給する電力を変化させることで電子ビームの回転角を調節することが出来る.一方,医療分野で用いられているようなX線CTでは,物体の側面データ(X線透過像)を180度分計測することで物体の内部構造の3次元分布を取得できる(投影定理).本研究も全く同様の原理を用いた.即ち,RF-Deflectorによって電子ビームに様々な傾き角を付与し,スクリーン上で電子ビームの側面データを多方向から計測することで,その3次元分布を取得した.本発表では電子銃の様々なパラメータ変化がビームの3次元分布に与える影響の評価・考察,及び今後予定しているスライスエミッタンス測定について報告する. |
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TUP086 p.572 | カーボンナノチューブワイヤーを用いたビームプロファイル測定試験 Beam profile measurement using carbon nanotube wires ○宮尾 智章(高エネルギー加速器研究機構),三浦 昭彦(日本原子力研究開発機構) ○Tomoaki Miyao (KEK, J-PARC), Akihiko Miura (JAEA) J-PARCリニアックではピークビーム電流を40mAから50mAへ上昇する準備が進められており、ビームからの負荷によるビーム診断系への影響を考慮する必要がある。この一つとして、ビームプロファイル測定に使用しているワイヤスキャナモニタ(WSM)のワイヤについて、ビームからの熱負荷に耐えうる材料の検討を開始した。 カーボンナノチューブ(CNT)はグラファイトを円筒状に形成したもので、鋼鉄の100倍以上の引張強度を持ち、電気伝導度は銅、銀などの金属以上の高さを有し、熱的に無酸素状態で3000℃まで耐えられる物質として知られている。そこで、我々はWSMにCNTを適用し、3MeVの負水素イオンビームのビームプロファイル測定を行った。この結果、従来使用してきた炭素繊維によるプロファイル測定と同等の信号利得が得られ、測定したプロファイルも同等であることが確認された。本発表ではCNTに負水素イオンを照射したときのパルス波形と、ビームプロファイル測定の結果について報告する。合わせて、3MeVビーム照射後の表面の観察を実施した結果について報告する。 |
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TUP087 p.577 | PF-AR 直接入射路用ビームロスモニタの開発 Development of beam loss monitor for PF-AR direct BT ○下ヶ橋 秀典,帯名 崇,多田野 幹人(高エネ研) ○Hidenori Sagehashi, Takashi Obina, Mikito Tadano (KEK) KEK PF-ARでは6.5GeVの電子ビームを直接入射するための新しい輸送路(PF-AR 直接入射路用)を建設してきた。2017年2月に新入射路の立ち上げと調整運転を開始し、現在は順調にその機能を果たしている。モニタグループでは新入射路の立ち上げと調整運転を行うにあたり、ロスモニタの整備を行ってきた。今回設置したロスモニタは、光電子増倍管と高電圧電源回路を内蔵した光センサモジュールに固体式シンチレータ(CsI(Tl))を組み合わせたものを検出部(センサ)として使用している。モジュール用電源とゲインを設定するコントロール電圧は遠隔操作可能となっている。PF-AR 直接入射路への設置に先立ち、PF Ringの入射点付近にセンサを設置し、ビーム入射時のロス検出信号の波形観測を行った。その後、7台のロスモニタをPF-AR直接入射路に設置し、ビームコミッショニング時及び通常運転時のロス低減調整に役立っている。本発表では、検出部の構成、PF Ring入射点でのテスト結果、PF-AR 直接入射路でのシステム構成、検出部の設置状況について報告を行う。 |
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TUP088 p.580 | シングルショットBPM信号処理回路におけるバンドパスフィルタバンド幅のばらつきによる測定誤差 Measurement error due to bandwidth variations of bandpass filter in single-shot BPM signal processor ○柳田 謙一,鈴木 伸介,花木 博文(公益財団法人高輝度光科学研究センター) ○Kenichi Yanagida, Shinsuke Suzuki, Hirofumi Hanaki (Japan Synchrotron Radiation Research Institute) SPring-8線型加速器のシングルショットビーム位置モニタ(BPM)では、4台(若しくは6台)のバンドパスフィルタ(BPF)を使用した平行の信号処理が行われる。ビーム位置の計算にはBPF出力のピーク電圧(振幅)を用いているが、4台あるBPFのバンド幅にばらつきがある場合、ビームマクロパルス幅(長手方向時間幅)に依存して観測されるビーム位置がずれる事が2000年当時の試験結果から判明していた。ビームマクロパルス幅及びBPFバンド幅の変化によるBPF出力変化を見積もるために、BPM出力電圧(パルス波形)をフーリエ変換により周波数領域スペクトルへ変換し、BPFによりスペクトルを加工、加工後のスペクトルをフーリエ逆変換によりパルス波形へ変換するシミュレーション手法を確立し、定量的に評価した。シミュレーションの結果、BPF出力波形の振幅及び形状が実ビームによる測定によるものとほぼ一致した。また、BPFユニットの中心周波数を加速周波数(2856MHz)、円形開口BPMの開口半径を16mm、2電極でビーム位置を測定すると仮定し、2台あるBPFバンド幅がそれぞれ9.5MHz(-5%)及び10.5MHz(+5%)とした場合、ビームマクロパルス幅が1nsと1μsではビーム位置が0.4mmずれて計算される事が判明した。ビームマクロパルス幅が1nsと40nsの場合では、ビーム位置のずれは0.1mm程度となる。 |
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TUP089 p.585 | SPring-8線型加速器BPM用バンドパスフィルタのバンド幅についての考察 Study on bandwidth of bandpass filter used for SPring-8 linac BPM ○柳田 謙一,鈴木 伸介,花木 博文(公益財団法人高輝度光科学研究センター) ○Kenichi Yanagida, Shinsuke Suzuki, Hirofumi Hanaki (Japan Synchrotron Radiation Research Institute) SPring-8線型加速器のビーム位置モニタでは、4台(or 6台)のバンドパスフィルタ(BPF)を使用した平行信号処理が行われる。2000年頃に複数のBPFを用いて試験した結果、4台あるBPFのバンド幅にばらつきがある場合、ビームのマクロバンチ幅(長手方向時間幅)に依存して観測されるビーム位置がずれる事が判明していた(本年会別発表参照)。実際に製作したBPFでは、中心周波数は2856±0.01MHzに揃える事が出来たが、バンド幅は9.7±0.4MHz(標準偏差)とばらつきが大きく、空胴の機械加工精度(0.1%程度)では説明が付かなかった。BPFは同軸構造を有する2つの共振空胴から成る。各空胴には入力と出力の結合ループがあり、1段目の出力ループが2段目の入力ループに繋がる。BPF構造を詳細に解析し、LCR直列共振回路の等価回路を描き、周波数領域でのCW入出力特性を解析し、入力に対する出力の減衰率及び位相の遅れ・進みを表す式を導出した。その式は測定とほぼ一致することを確認した。また、バンド幅に影響を与える支配的な要因は各空胴入出力ループの幾何学的寸法である事が判明した。共振空胴内の入出力ループ形状は0.75(W)x10(H)mm程度の矩形であり、仮に4つあるWが0.05mm大きくなった場合、バンド幅が1.3MHz増加する関係になっている。各空胴の入出力ループに関して、製作誤差(ばらつき)が最小となる設計を行い、製作を行う事によりバンド幅のばらつきを抑えることが可能と思われる。 |
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TUP090 p.590 | 複数BPMによる横方向フィードバックの安定化とその特性 Stabilization of high gain transverse feedback by multiple BPMs ○中村 剛(高輝度光科学研究センター) ○Takeshi Nakamura (JASRI) 横方向(ベータトロン振動) に対するフィードバックは、ビーム不安定性の抑制や、入射時のビーム振動の素早い減衰に用いられている。通常、このようなフィードバックでは、リングの一つのビーム位置モニタ(BPM)のターン毎のビーム位置の履歴から必要なキックを計算し、それをビームに与えて振動を減衰させている。しかし、この履歴には、フィードバックのキックの影響による位置の変動が含まれているのでフィードバックが発生したキックをフィードバックが検知するというループが生じ、高い減衰率で駆動する際には安定性を悪化させ、外乱に対するビームの脆弱性や、ビームの振動を励起する[1]。これに対して、複数個のBPMを用いて1ターンでの複数のビーム位置からキックを計算することによりこのループを除去する手法を提案し、シミュレーションを用いて有効性を示した[1]。アナログフィードバックでは、2つのBPMを用いてキックを発生させているが、ここではデジタル信号処理により、アナログフィードバックでは困難な、多数のBPMを用いての低ノイズ化や飽和をもたらすBPMのビーム振動成分以外の信号の除去の手法を示す。論文[1]では特性を示すためにシミュレーションを用いたが、ここではこれを解析的に扱い、また、より詳細な検討を行う。 [1] 中村剛, "横方向フィードバックの安定性の解析と複数BPMによるその向上", 19aAQ-4, 日本物理学会講演概要集 71(1), 556, 2016-03-19. |
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TUP091 p.595 | UVSORにおけるシングルバンチ運転時のビーム不安定性の測定 Measurement of beam instability in single bunch operation in UVSOR electron storage ring ○高橋 和義(名大院工),持箸 晃,保坂 将人(名大SR),長谷川 純(名大院工),藤本 將輝(UVSOR 分子研),高嶋 圭史(名大SR),加藤 政博(UVSOR 分子研) ○Kazuyoshi Takahashi (Graduate School of Eng. Nagoya Univ.), Akira Mochihashi, Masahito Hosaka (SR Center, Nagoya Univ.), Jun Hasegawa (Graduate School of Eng. Nagoya Univ.), Masaki Fujimoto (UVSOR IMS), Yoshifumi Takashima (SR Center, Nagoya Univ.), Masahiro Katoh (UVSOR IMS) 分子科学研究所極端紫外光研究施設(以下UVSOR)はビームエネルギー750MeV、周長53.2m、ハーモニック数16の放射光源用電子蓄積型加速器であり、通常はマルチバンチ運転を行っているが、パルス光利用者のためシングルバンチ運転も行っている。UVSORでは光源加速器の高度化改造がなされているが、シングルバンチ運転時の蓄積ビーム電流が従来と比較して低下する傾向が見られており、何らかのビーム不安定性に起因しているものと推測される。そこで、本研究ではまず進行方向のビーム不安定性に着目し、シングルバンチ運転時における進行方向の電子バンチの挙動を診断するべく、可視光ストリークカメラを用いて電子バンチの時間構造及び運動の様子の観測を試みている。発表では、ストリークカメラによる電子バンチ長のビーム電流依存性及びコヒーレントシンクロトロン振動の測定についての結果を報告し、また実験結果からシングルバンチ運転時に見られるビーム不安定性の原因について考察を行い、今後の展望について述べる。 |
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TUP092 p.599 | cERLの入射超伝導空洞のHOMを使ったビームタイミング測定 Beam timing measurement using HOMs in injector superconducting cavity at cERL ○岡田 貴文(総研大),許斐 太郎,梅森 健成,加古 永治,阪井 寛志(高エネルギー加速器研究機構) ○Takafumi Okada (SOKENDAI), Taro Konomi, Kensei Umemori, Eiji Kako, Hiroshi Sakai (KEK) KEKのcERLでは,ビームが乗るRF位相をビームエネルギーを測定することで決定している。ビームが空洞を通過する際にはHOMを誘起する。ダイポールモードはビームの位置に依存した情報を持ち,HOMBPMとして使われている。対してモノポールモードはビームのタイミングに依存した情報を持つため,空洞からのHOMを測定すればビームタイミングを知ることが出来ると予想される。これを使うことが出来れば,LLRFに干渉せずまた,オンラインでビームタイミングを知ることが出来る。本発表では3月に運転されたcERLを使用し,空洞のHOMカプラーからの信号を測定することで,ビームタイミングに依存した情報を確認したことを報告する。また将来的にモニターとして使用することを見据え,今後の課題についても触れる。 |
加速器制御 (8月1日 第1,2,3,4会議室他) | |
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TUP093 p.602 | SuperKEKBへのCSS V4 アラームシステム導入における性能評価 Evaluation of the CSS V4 alarm system for SuperKEKB ○廣瀬 雅哉(関東情報サービス(株)),中村 達郎,佐々木 信哉(高エネルギー加速器研究機構),中村 卓也(三菱電機システムサービス(株)),浅野 和哉(関東情報サービス(株)) ○Masaya Hirose (Kanto Information Service Co.,Ltd.), Tatsuro Nakamura, Shinya Sasaki (KEK), Takuya Nakamura (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Kazuya Asano (Kanto Information Service Co.,Ltd.) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、KEKB電子・陽電子ビーム衝突型加速器を用いたBelle実験が行われてきた。現在、KEKB加速器の更なる高輝度化を目的 として、SuperKEKB加速器の建設が進められており、2016年2月から2016年6月には試験運転が行われた(Phase-1)。 SuperKEKBでは、KEKBでの電子・陽電子衝突頻度を約40倍に高めることを目指しており、このような高輝度加速器の運転下において、安定して動作可能なアラームシステムの構築が重要である。SuperKEKBのアラームシステムとして、Phase-1ではCSS 3.1.2を正式運用、CSS 3.2.16を試験運用として、2 つのバージョンの並行運用を行った。これらのアラームシステムは概ね順調に動作していたが、レコードとの接続に関するトラブルがしばしば発生した。この症状はアラームサーバを再起動するなどして対処していたが、より安定したアラームシステムを実現するためには、レコードとの接続に関する問題点を改善する必要がある。CSSの最新安定版は4.4であり、4.0以降はPV接続レイヤーにvtype.pvが使われているが、CAライブラリ(CAJ)のバージョンは4.3以前は1.1.14、4.4は1.1.15が使われているといった違いがあることが分かった。そこで我々は、CSS 4.3/4.4 アラームシステムの性能評価を行った。この詳細について報告する。 |
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TUP094 p.607 | SuperKEKBダンピングリングでのEventTimingSystemの開発状況 Status of event timing system at damping ring SuperKEKB ○杉村 仁志,梶 裕志(高エネルギー加速器研究機構),飯塚 祐一(東日本技術研究所),佐々木 信哉(高エネルギー加速器研究機構),工藤 拓弥(三菱電機システムサービス),大西 幸喜,古川 和朗,中村 達郎,宮原 房史,佐藤 政則(高エネルギー加速器研究機構) ○Hitoshi Sugimura, Hiroshi Kaji (KEK), Yuuichi Iitsuka (East Japan Institute of Technology Co.Ltd), Shinya Sasaki (KEK), Takuya Kudou (MITSUBISHI Electric System & Service Co.Ltd), Yukiyoshi Onishi, Kazuro Furukawa, Tatsuro Nakamura, Fusashi Miyahara, Masanori Sato (KEK) SuperKEKB加速器はBelleII本格実験へ向けて衝突点でのルミノシティを KEKB加速器の時に比べて40倍に上がるように設計されている。 これを実現するためにはビームの低エミッタンス化が必要であり、 特に陽電子ビームのエミッタンスを小さくするためにSuperKEKB 主リングへの入射の前にダンピングリングを設置することによって 実現しようと試みている。 SuperKEKBダンピングリングは2017年12月より稼働予定であり、 ここで用いる加速器制御システムを現在開発している。 入射器のビーム繰り返しは50Hz(20ms)であり、 入射より15ms前に入射キッカーの充電をするタイミング(pre-trigger) を10μsの精度で生成しなければならない。 また、キッカーの放電タイミングは1nsの精度で生成しなければならない。 これらの精度はビームのジッターを抑えるために重要であり、 VME規格のEvent信号発行モジュールであるEventGenerator(EVG) とEventReceiver(EVR)を用いてタイミング信号の発行を行う。 本講演ではEVG、EVRを用いた高精度のタイミング信号の発行 に関する技術開発の状況を報告する。 |
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TUP095 | SuperKEKBのデータアーカイブシステムKEKBLogの更新 Upgrade of the data archive system KEKBLog for SuperKEKB ○中村 達郎(高エネ研),廣瀬 雅哉(関東情報サービス(株)),中村 卓也(三菱電機システムサービス(株)) ○Tatsuro Nakamura (KEK), Masaya Hirose (Kanto Information Service Co.,Ltd.), Takuya Nakamura (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.) SuperKEKBの制御システムではKEKBLogと呼ばれるデータアーカイブシステムが、KEKB時代から長年に渡って使われて来た。大きなトラブルもなく稼働し続けて来たが、老朽化もありシステムの更新を進めている。加速器の運転調整のためにもアーカイブデータの効率的な利用は重要であり、より多くのデータをより安定に収集することが求められている。今回の更新では、データ収集専用のサーバー計算機群を一新し、二重化したストレージシステムを導入する。本発表では更新したシステムを紹介すると共に、システムの設計方針や運用方針、特にデータの管理方針について議論する。 |
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TUP096 p.610 | SuperKEKB用アボート・トリガー・システムのタイムスタンプ記録システムの開発 Development of time stamp recording system for SuperKEKB abort trigger system ○佐々木 信哉,秋山 篤美,内藤 孝,中村 達郎(高エネ研) ○Shinya Sasaki, Atsuyoshi Akiyama, Takashi Naito, Tatsuro Nakamura (KEK) SuperKEKB加速器ではロスモニターなどの種々の機器から送信されるアボートリクエスト信号がアボート・トリガー・システムによって集約され、アボートキッカー等へ送信される。SuperKEKBのために開発したアボート・トリガー・システムでは、アボートリクエスト信号を光信号によって伝送・集約することによって応答速度の改善を行った他に、信号を受信した時間をタイムスタンプとして記録することを可能とした。開発したタイムスタンプ記録システムでは、EPICSレコードとして保持されるタイムスタンプの情報を、発生したビームアボート毎にファイルに記録する。記録されたタイムスタンプの情報は日付ごとにWeb上から確認することが出来るようにした。本稿ではアボート・トリガー・システムとタイムスタンプ記録システムの詳細について報告する。 |
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TUP097 p.613 | SuperKEKBでの真空制御ソフトウェアの現状 Present status of vacuum control software system for SuperKEKB ○芳藤 直樹(東日本技術研究所),石橋 拓弥,小田切 淳一,照井 真司,中村 達郎,久松 広美(高エネルギー加速器研究機構) ○Naoki Yoshifuji (e-JAPAN IT Co.,Ltd.), Takuya Ishibashi, Jun-ichi Odagiri, Shinji Terui, Tatsuro Nakamura, Hiromi Hisamatsu (KEK) SuperKEKB加速器のPhase-Iのコミッショニングが問題なく完了し、Phase-II運転に向けて、加速器の様々なサブシステムの改修が現在進行中である。KEKBの真空制御システムでは、VME、CAMAC、PLC、データロガーが使用されていた。しかし現状、CAMACのI/Oモジュールの入手性が困難になりつつある。SuperKEKBでは、VMEとCAMACを、可用性、保守性、信頼性のある横河電機社製FA-M3(PLC)のCPUモジュールであるF3RP61とNational Instruments社製のcompactRIO、及びサーバ計算機に置き換えた。被制御機器として、Gate Valve、Vacuum Switch、Ion Pump 電源、Non-Evaporable Getter(NEG)ポンプ電源、真空圧力計、温度計、冷却水流計、コリメータ及び残留ガス分析計等がある。真空制御ソフトウェアの開発について、メインリングでは制御方法の修正やパラメータ変更が稀に発生しているが、これらの要望に対して柔軟に対応できている。現在は、ダンピングリングとビーム輸送路(Beam transport line: BT Line)に軸足を移しつつある。Phase-I終了時から現在まで大きな問題は無く順調に開発が進んでいる。本稿では、真空制御システムのソフトウェア開発の現状と、Phase-II運転までの課題について報告する。 |
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TUP098 p.617 | YOKOGAWA F3HA12を使用した高速サンプリングシステムの開発 Development of high speed sampling system using Yokogawa F3HA12 ○亀田 吉郎(東日技研),帯名 崇(高エネ研) ○Yoshiro Kameta (e-JAPAN IT Co., Ltd.), Takashi Obina (KEK) 加速器を制御するにあたって様々な機器を遠隔から監視/制御することが重要である。アナログ電圧値や温度等を記録する目的にはペンレコーダやペーパーレスレコーダなどがよく使用されるが、アナログ帯域とサンプリング速度との兼ね合いで“高速な信号変化をとらえる”ことと“平均的なデータを長時間にわたって保存・表示する”ことを両立させることは容易ではなかった。そこで本件ではEPICSとYOKOGAWA製F3HA12(高速データ収集モジュール)の組み合わせで高速サンプリングシステムを開発した。開発目標としてサンプリング速度は数100Hz以上で1Hz程度の一定周期間隔でその区間の開始・最高・最低・最終データを転送するシステムとした。装置/制御としてはF3RP61(CPUモジュール)を使用してF3HA12を制御する構成としている。これにはOSとしてLinuxを使用しEPICSを用いて制御ソフトウェアを動作させている。Linuxにおいてリアルタイム性を向上させるためにカーネルのconfigurationであるPREEMPT_RTを適用し、システムにおいては安定して動作させるために不要なサービス停止やパラメータの調整を行っている。また、測定データ転送の遅れによって生じるF3HA12のFIFOエラーをリカバリする処理も実装している。これらを踏まえ、F3HA12/F3RP61を使用して12CH/170Hzで測定可能な高速サンプリングシステムを開発した。本発表では装置に関する詳細および性能試験で得られた結果について報告する。 |
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TUP099 p.622 | EPICS Portable Archiverの開発 Development of EPICS portable archiver ○路川 徹也(東日本技術研究所),帯名 崇(高エネルギー加速器研究機構) ○Tetsuya Michikawa (e-JAPAN IT Co.,Ltd.), Takashi Obina (KEK) EPICSを使用した大/中規模の加速器制御システムでは、膨大なデータを収集・閲覧するシステムの1つとしてCSS ArchiverやChannel Archiver, KBlog等が使われることが多い。しかし、これらのデータ収集システムを構築/整備/運用するためには、人的資源や作業時間、サーバPC等必要であるため、小規模/試験用制御システムでは導入が容易とは言い難かった。そこで、インストールから設定・運用が容易で、他のEPICSを使用したシステムと共通のプログラムが使用可能なデータ収集システムをとして、python2系を使用したPortableArchiverを開発した。特徴としては、(1)python2.7であれば、PythonCA、dateutil 以外の外部パッケージを必要としない、(2)プログラムのインストールはpythonプログラムファイルのコピーのみ、(3)PVリストはCSS Archiver、ChannelArchiverと共通のxml形式を使用、(4)DBはpython標準のsqlite3を使用しているので、データのバックアップ等が簡便に行える、(5)CSS DataBrowserからのデータ参照が可能、等が挙げられる。 |
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TUP100 p.627 | トリガ付きスケーラの開発とトリガ抜け検知 Development of triggered scaler to detect missing trigger ○佐藤 健一,上窪田 紀彦(高エネ研),田島 佑斗,吉田 奨(関東情報システムサービス) ○Kenichi Sato, Norihiko Kamikubota (KEK), Yuto Tajima, Susumu Yoshida (KIS) J-PARC MRのタイミングシステムは、MR周期(2.48s/FX mode or 5.52s/SX mode)を基にしたトリガ信号を周期の中で1発ごとに生成し、MR全体では300点を超えるトリガ信号を配信している。各機器は電源やモニタが必要とするDelay値を設定しておき、それぞれのタイミングを使って運転・計測を開始する。一般的に機器の不調が発生したとき、それによりトリガ信号が抜けたかどうかをあとから知ることは難しい。現在のタイミングシステムではその設定を確認することはできるが、全トリガ信号(アナログ信号)が末端まで届いたかどうかを調べる手段はない。 今回開発した「トリガ付きスケーラ」は、現在のタイミングシステムに対するReadback系として、別に配信している25Hz信号を入力としてトリガ信号を周期的に次々に計数する装置である。例えばMR周期2.48sの時には62個、5.52sの時には138個の計数結果の配列を取得する。正常時には62個のどこかが1でそれ以外は0の配列になるが、トリガ抜けが発生すると配列の全要素が0となる。このように現在のタイミングシステムに対するReadback系の構築を想定している。 本発表では試作品の状況と、MR加速器の実トリガ信号を入力したデモの結果を報告する。 |
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TUP101 p.631 | 数値解析ソフトウェアGNU Octave/MATLABとMADOCA制御システムとの連携 Building MADOCA interface libraries for numerical analysis software GNU Octave and MATLAB 石塚 規友紀(理研 放射光科学総合研究センター),○増田 剛正(高輝度光科学研究センター) Miyuki Ishizuka (RIKEN), ○Takemasa Masuda (JASRI) SPring-8加速器制御系では、MADOCA(Message And Database Oriented Control Architecture)と呼ばれる制御フレームワークを使用している。MADOCA制御システムでは、これまでは世の中で広く使われているMATLABやGNU Octaveといった数値解析ソフトウェアとの連携が取れていなかった。そのため、解析用の演算コードを自前で作成するか、あるいはMADOCAのデータベースに蓄積されたデータをファイルに落として解析ソフトウェアに取り込み、その結果をやはりファイル等を用いて制御システムに反映させる必要があった。そこで利用者の利便性の向上を目指して、オペレータコンソールにおいてGNU OctaveおよびMATLABと直接連携が取れるよう、MADOCA制御システム並びにデータベースアクセス用のoct形式とmex形式のwrapper関数を整備した。これによりGNU Octave/MATLABをMADOCA制御システムのクライアントとして利用できるようになった。 本発表では、MADOCA制御システムと主にGNU Octaveとの連携整備について報告する。 |
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TUP102 p.636 | SPring-8とSACLAにおけるBPM信号処理システムへのMADOCA-to-EPICS ゲートウェイの適用 Application of MADOCA-to-EPICS gateway for BPM signal processing system at SPring-8 and SACLA ○清道 明男,藤田 貴弘,増田 剛正(高輝度光科学研究センター),前坂 比呂和(理研 放射光科学総合研究センター) ○Akio Kiyomichi, Takahiro Fujita, Takemasa Masuda (JASRI), Hirokazu Maesaka (RIKEN SPring-8 Center) SPring-8とSACLAの制御ソフトウェアフレームワークであるMADOCAにEPICS準拠デバイスを簡便かつ迅速に組み込めるようMADOCA-to-EPICSゲートウェイを開発した。MADOCAは機器制御レイヤーにEquipment Manager (EM) と呼ばれる機器制御ソフトウェアを使用しているが、本ゲートウェイはEPICS Channel Access (CA) プロトコルを使用した汎用EM関数群として実装している。これまではMADOCAとEPICSの処理方法の違いを吸収するCAの再接続処理で1アクセスあたり30ms程度のオーバヘッドが生じていたため、高速なデータ収集で限界があったが、オーバヘッドを1ms以下に削減して処理の高速化を実現した。SPring-8-IIに向けたBPM信号処理システムの評価のためにSPring-8蓄積リングへ導入したLibera Brilliance+はEPICS準拠デバイスであり、これをMADOCA 制御システムで読み出すために本ゲートウェイを適用した。また、SSBTビーム輸送ラインに設置したBPM信号処理システムLibera Brilliance SinglePassとLibera Spark、そしてSACLAに設置したLibera Spark とLibera Cavityの制御にも適用した。これらのデバイスはCPUやOSが異なるため、それぞれのプラットフォーム用のEMを開発すると多くの時間と労力を必要とするが、ゲートウェイを用いることでそれらを最小限に抑えることができた。本発表ではMADOCA-to-EPICSゲートウェイの開発と性能改善、ならびにBPM信号処理システムでの運用状況について報告する。 |
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TUP103 p.640 | 電子光理学研究センター加速器制御系の現状 Status of accelerator control system in Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University ○長澤 育郎,南部 健一,柏木 茂,日出 富士雄,武藤 俊哉,髙橋 健,鹿又 健,濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Ikuro Nagasawa, Kenichi Nanbu, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Toshiya Muto, Ken Takahashi, Ken Kanomata, Hiroyuki Hama (Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University) 東北大学電子光理学研究センターの1.3GeV電子シンクロトロンであるBSTリングとその入射用電子線形加速器では、拡張性やメンテナンス性の向上を鑑みて、一部の例外を除き加速器運用に必要な全ての装置をEPICS Channel Access経由で操作・監視可能となるように制御系を構築した。少数でも迅速な開発を実現するためオペレーター用の制御プログラムからInput/Output Controllerまで制御系内の各種プログラムはほぼ全てがLabVIEWで作成されている。今回、電子光理学研究センターの制御系の現状と今後の課題などを報告する。 |
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TUP104 p.644 | RIBFアーカイブシステムの高性能化 Improvement of data archive system at RIBF ○内山 暁仁,込山 美咲(理研仁科センター) ○Akito Uchiyama, Misaki Komiyama (RIKEN Nishina Center) 2011年よりRIBFでは独自に開発されたPostgreSQLベースのアーカイブシステムが運用されている。[1]アーカイブされたデータは加速器運転中のトラブルシューティングやオペレーションの状態を確認するために利用されている。システム構築当初、読み出し速度を最重要視したためにインターフェースにPCI-Expressを持つSSDをアーカイブシステムのメインストレージとしたが、冗長性に問題を持ち、仮にディスク障害が起きた際復旧に時間を要するシステムであった。2017年アーカイブシステムのハードウェアを更新するにあたり、アーカイブシステムの書込と読込のサーバを分け、PostgreSQLのレプリケーション機能を用いる事で、冗長性を確保しながらデータの読出速度の向上も実現する事ができた。本報告では、そのシステムデザインと運用状況を報告する。 [1] M. Komiyama, et al., Proc. PASJ2011, Tsukuba, Japan, P. 225. |
粒子源 (8月1日 第1,2,3,4会議室他) | |
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TUP105 p.648 | 大強度負水素イオン源の高周波放電による引き出されたビームへの影響 Effect of RF discharge for a high intensity H- ion source on the extracted beam ○神藤 勝啓(J-PARC/原子力機構),柴田 崇統(J-PARC/高エネ研),和田 元(同志社大) ○Katsuhiro Shinto (J-PARC/JAEA), Takanori Shibata (J-PARC/KEK), Motoi Wada (Doshisha Univ.) J-PARCやSNSなどの大強度陽子加速器施設で用いられている負水素イオン源(H-イオン源)では、2MHzの高周波(RF)を用いてプラズマを点火し、ピーク電流で数10 mAのH-ビームを生成している。このような大強度RF H-イオン源では、イオン源内のイオン密度が高いためビーム引出領域近傍のイオンシースがRFに追随し、プラズマの電位搖動が生じ、その結果イオン源より引き出されたH-ビームは揺らぎを持つ可能性がある。これまでにJ-PARCの大強度RF H-イオン源より引き出されたH-ビーム電流をファラデーカップで測定すると、45 mAの平均ピーク電流に対して1 mA程度のビーム電流の揺らぎが観測され、その周波数が2MHz程度であった。そこで、イオン源内で生じているプラズマ波動現象が引き出されたH-ビームにどのような影響を与えているかを調べる一環として、大強度RF H-イオン源より引き出されたH-ビームエミッタンスの揺らぎの有無を観測することを開始した。本発表では、J-PARC内にあるイオン源テストスタンドで開始するエミッタンスの揺らぎを観測するための準備状況について報告する。 |
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TUP106 p.651 | J-PARC負水素イオン源の運転状況 Operation status of the J-PARC H- ion source ○大越 清紀,神藤 勝啓,池上 清,柴田 崇統,高木 昭,南茂 今朝雄,上野 彰,小栗 英知(J-PARCセンター) ○Kiyonori Ohkoshi, Katsuhiro Shinto, Kiyoshi Ikegami, Takanori Shibata, Akira Takagi, Kesao Nanmo, Akira Ueno, Hidetomo Oguri (J-PARC Center) 大強度陽子加速施設(J-PARC)リニアックのセシウム添加高周波駆動型(RF)負水素イオン源は、2014年9月から運転を開始して約2年半が経過した。運転開始当初、RF負水素イオン源はピークビーム電流33mAで約700hの運転サイクル(RUN)でビーム供給を行っていたが、昨年のRUN#72(2016年1月~3月)では45mAのビーム条件下で、当初の約2倍の1,451hの連続運転に成功している。イオン源は、2014年10月にアンテナ破損が1回発生した以降は特に深刻なトラブルはなく、安定に稼働している。 また、J-PARCでは現在、SNS (Spallation Neutron Source)と同型のRFアンテナを使用しているが、アンテナの自主開発にも着手している。現在までに自主開発のアンテナの真空試験は完了し、到達真空度やアンテナからの不純物ガス放出等に問題ないことを確認した。今後、プラズマ生成やビーム引き出し試験を行う予定である。本発表では、RF負水素イオン源の最近一年間の運転実績及び整備状況の他、アンテナ開発試験の進捗状況等について報告する。 |
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TUP107 p.655 | J-PARCハドロン実験施設における2次粒子生成標的用耐放射線回転センサの開発 Development of a radiation-resistant rotation sensor for a new production target at J-PARC hadron facility ○渡邉 丈晃,上利 恵三,秋山 裕信,青木 和也,家入 正治,加藤 洋二,倉崎 るり,里 嘉典,澤田 真也,高橋 仁,田中 万博,豊田 晃久,広瀬 恵里奈,皆川 道文,武藤 良太郎,森野 雄平,山野井 豊(KEK) ○Hiroaki Watanabe, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Kazuya Aoki, Masaharu Ieiri, Yohji Katoh, Ruri Kurasaki, Yoshinori Sato, Shinya Sawada, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Akihisa Toyoda, Erina Hirose, Michifumi Minakawa, Ryotaro Muto, Yuhei Morino, Yutaka Yamanoi (KEK) J-PARCハドロン施設における将来の大強度対応2次粒子生成標的の1つとして、回転円板型標的の開発を進めている。円板形状の標的は放射性物質の閉じ込めのために気密容器中に設置されるが、通常であれば放射線に弱い電動機や回転センサ類を気密容器の外部において気密性のある回転導入機を介して容器内へ回転動力を伝達させる。しかしながら、この場合は回転導入機の寿命などの点で課題が多く、遮蔽体も含めて標的システムの構成が大規模でコストが高い。そこで電動機を使わずに、元々使用する予定の冷却用ヘリウムガスの一部を分岐して回転させる風車方式とすると、容器外部の機構が不要となりコンパクトで堅牢な全体設計が可能となる。 ただし、風車方式の場合は回転速度を検知する回転センサが標的容器内部に必要となるが、標的近傍のため放射線が極めて強く既存のセンサは適用できない。 そこでセラミック絶縁ケーブルを使用した耐放射線型回転センサの設計を行い試作機による基本特性の評価を実施した。 ここでは主に回転型標的の概念案、回転センサの設計および試作機による評価結果について報告を行う。 |
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TUP109 p.660 | J-PARCハドロン実験施設における新しい二次粒子生成標的の開発 Development of new production target at J-PARC hadron experimental facility ○高橋 仁,上利 恵三,秋山 裕信,青木 和也,広瀬 恵理奈,家入 正治,加藤 洋二,倉崎 るり,皆川 道文,森野 雄平,武藤 亮太郎,里 嘉典,澤田 真也,田中 万博,豊田 晃久,渡邉 丈晃,山野井 豊(高エネ研) ○Hitoshi Takahashi, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Kazuya Aoki, Erina Hirose, Masaharu Ieiri, Yoji Katoh, Ruri Kurasaki, Michifumi Minakawa, Yuhei Morino, Ryotaro Muto, Yoshinori Sato, Shin'ya Sawada, Kazuhiro Tanaka, Akihisa Toyoda, Hiroaki Watanabe, Yutaka Yamanoi (KEK) J-PARCハドロン実験施設では、30GeVまで加速された陽子ビームを二次粒子生成標的 (T1) に照射し、生成されるK中間子などの二次ビームを用いて、様々な素粒子・原子核実験を行っている。現在使用している標的は最大50kWまでの陽子ビーム強度に耐えられるように設計されているが、連続運転でのビーム強度はすでに44kWに達しているため、より高いビーム強度に耐えられる新しい標的の開発が急務となっている。 現在使用中の標的は、標的本体である金に、水配管を埋め込んだ銅の冷却ブロックを接合した間接水冷方式のものである。開発している新標的は、基本的な構造はそれと同じであるが、冷却ブロックの数を増やして冷却効率を上げることにより、最大ビーム強度を80kWもしくはそれ以上まで上げることを目指している。 本発表では、この新標的の熱解析の結果について報告する。 |
13:00 - 15:00 | |
TUP110 p.664 | ZrH2を用いたレーザーイオン源からの陽子ビームの生成 Proton beam generation with a laser ion source using ZrH2 target ○齋藤 嘉人(総研大),岡村 昌宏,金末 猛,池田 峻輔(BNL),吉田 光宏(高エネ研) ○Yoshito Saito (Sokendai), Masahiro Okamura, Takeshi Kanesue, Shunsuke Ikeda (BNL), Mitsuhiro Yoshida (KEK) Laser ion source (LIS) could be a potential high current pulsed proton beam source, although it has been known as heavy ion beam provider. In the past, we have confirmed capability of generating proton beam from a LIS using compressed hydride metal targets[1]. ZrH2 target showed clearly separated peak current between hydrogen and Zr ions in the research. In the presentation, we will describe detailed laser irradiation technique and will report acceleration test result using the radio frequency quadruple (RFQ) and a TE mode linear accelerator up to 2 MeV. [1] M.Sekine et. al., Review of Scientific Instruments, 2012, p. 83. |
13:00 - 15:00 | |
TUP111 p.667 | 極短パルスレーザーを用いた高周波同期型レーザーイオン源 RF synchronized laser ion source using ultra short pulse laser ○宮脇 瑛介(京大化研),不破 康裕(京大原子炉),頓宮 拓,岩下 芳久,井上 峻介,中宮 義英,橋田 昌樹,阪部 周二(京大化研) ○Eisuke Miyawaki (Kyoto University Institute for Chemical Research), Yasuhiro Fuwa (Kyoto University Research Reactor Institute), Hiromu Tonguu, Yoshihisa Iwashita, Shunsuke Inoue, Yoshihide Nakamiya, Masaki Hashida, Shuji Sakabe (Kyoto University Institute for Chemical Research) 従来のレーザーイオン源では、ナノ秒レーザーパルスを固体ターゲットに照射してプラズマを生成し、その膨張プラズマからイオンを引き出している。このようなレーザーイオン源においては、イオンビームのパルス幅の制御範囲が限られるという課題がある。そこで我々はプロトンビームのレーザーイオン源として、高周波電場中でパルス幅が30 fs、レーザー強度が~10^15 W/cm^2の極短パルスレーザーと水素ガスを相互作用させることによりプラズマを生成させ、そのプラズマが膨張する前に短パルスのイオンバンチを引き出すという方式を提案している。これまでの研究で短パルスの単一バンチ構造のイオンが引き出し可能であることと、このイオン電流の時間分布が明らかとなった。今回はガス密度の測定、加速電場の測定とイオンの価数分析を行ったので、その結果について報告する。 |
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TUP112 p.670 | 永久磁石を用いた高速スキャン可能なイオン種分析システムの開発 Development of high speed ion species analysis system with permanent magnet ○竹内 佑甫,岩下 芳久,頓宮 拓,片山 領,宮脇 瑛介,山崎 祐希(京大化研),不破 康裕(京大原子炉実験所) ○Yusuke Takeuchi, Yoshihisa Iwashita, Hiromu Tongu, Ryo Katayama, Eisuke Miyawaki, Yuki Yamazaki (KUICR), Yasuhiro Fuwa (KURRI) 我々は陽子線形加速器ベースの小型中性子源開発の第一歩として、陽子ビームを引き出すための小型ECR H+イオン源の開発を進めてきた。一般に水素プラズマからイオンを取り出すH+イオン源の場合プラズマ中には、分子状のイオンH2+やH3+も同時に生成される。そのため引き出されるビームの構成イオン種の比率を分析する必要がある。これまでイオン種の比率の分析に磁場のみまたはWien filter を用いてきたが、掃引による各イオン種毎の計測が必要であった。この問題を改善するために永久磁石を用いた高速スキャン可能なイオン種分析システムの開発を行っている。本ECR H+イオン源における種々の実験結果について報告する予定である。 |
レーザー (8月1日 第1,2,3,4会議室他) | |
13:00 - 15:00 | |
TUP114 p.674 | Ybファイバレーザーを用いたテラヘルツパルスの時間領域分光 Time domain spectroscopy of THz pulse using Yb fiber laser system ○坂上 和之(早大高等研),ブラメルド 真理,蓼沼 優一,柳沢 稜,鷲尾 方一(早大理工研),東口 武史(宇大),平 義隆,黒田 隆之助(産総研),浦川 順治(高エネ研) ○Kazuyuki Sakaue (WIAS, Waseda University), Mari Brameld, Yuichi Tadenuma, Ryo Yanagisawa, Masakazu Washio (RISE, Waseda University), Takeshi Higashiguchi (Utsunomiya University), Yoshitaka Taira, Ryunosuke Kuroda (AIST), Junji Urakawa (KEK) 早稲田大学では、電子線の傾きを制御することによって、テラヘルツ領域のチェレンコフ光をコヒーレントに生成しその高度化及び利用研究を行っている。テラヘルツ光を評価する際に非常に有用な手法として時間領域分光が挙げられる。テラヘルツパルスの電場を直接計測することにより波形を得て、さらにそれをフーリエ変換することによって周波数スペクトルを得ることが可能である。周波数スペクトルを得られることはもちろん、パルス幅や電場強度等も計測できることから、テラヘルツパルスのピーク強度なども評価することが可能なシステムとなる。我々は時間領域分光システムのためのYbファイバレーザーシステムを構築し、EO (Electro-Optic)サンプリング用の結晶としてZnTeを用いることで、その計測に成功した。本講演では、電子線の傾き制御によるコヒーレントチェレンコフ放射の現状、その時間領域分光による評価結果、及び今後の展望に関して報告する。 |
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TUP115 p.677 | 非相対論的エネルギー領域で電子の共振器型レーザー駆動誘電体加速 Resonant dielectric laser acceleration of nonrelativistic electrons ○陳 昭福,小山 和義,上坂 充(東大),吉田 光宏(高エネ研) ○Zhaofu Chen, Kazuyoshi Koyama, Mitsuru Uesaka (UTokyo), Mitsuhiro Yoshida (KEK) We describe a resonant slab-symmetric dielectric laser accelerator for subrelativistic electrons. The structure consists of high refractive index alternating dielectric layers separated by a vacuum channel where the electrons travel through. The dielectric layer adjacent to the vacuum channel serves as a matching layer to support an accelerating mode with a phase velocity equals the speed of electron, while the outer layers form a Bragg reflector. The mode is excited by a laser side-coupled into the vacuum gap through periodic slots. Three-dimensional simulation were conducted to verify the field patterns. Acceleration gradient of 200 MeV/m for could be achieved without damage. |
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TUP116 p.681 | NewSUBARUにおけるレーザーコンプトン散乱ガンマ線の生成と対生成陽電子を用いた応用研究 Laser Compton scattering gamma rays generated in NewSUBARU and to use applied research in pair production positrons ○杉田 健人,森本 悠介(兵庫県立大学高度研),上野 陽平,角倉 優雅,堀 史説,岩瀬 彰宏(大阪府立大学),橋本 智,天野 壮,寺澤 倫孝,宮本 修治(兵庫県立大学高度研) ○Kento Sugita, Yuusuke Morimoto (LASTI, University of Hyogo), Youhei Ueno, Yuuga Sumikura, Fuminobu Hori, Akihiro Iwase (Osaka Prefecture University), Satoshi Hashimoto, Sho Amano, Mititaka Terasawa, Shuji Miyamoto (LASTI, University of Hyogo) NewSUBARU放射光施設BL01ではレーザーコンプトン散乱を利用したガンマ線源開発と利用研究を行っている。レーザーコンプトン散乱ガンマ線はエネルギーがレーザー波長と散乱電子のエネルギーによって決まり、エネルギー選択性が高く安定した線源である。NewSUBARUでは使用するレーザー波長の変更または蓄積リング中を周回する電子の加速減速によりガンマ線のエネルギーを変えている。今回新たに波長1064nm,2000nmのファイバーレーザーを導入したので、これらを含めたガンマ線生成システムについて報告する。ガンマ線の応用研究として我々の研究グループでは高エネルギーガンマ線を利用し電子陽電子対生成によって高エネルギー陽電子を生成し、これを利用した電子運動量測定、対消滅時間測定システムの開発を行っている。これらについても合わせて報告する。 |
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TUP117 p.684 | レーザー荷電変換入射実現に向けた高出力レーザー蓄積リング Laser storage ring with high power for realization of laser stripping injection ○原田 寛之,サハ プラナブ,菅沼 和明,加藤 新一,金正 倫計(原子力機構),山根 功,入江 吉郎(高エネ研) ○Hiroyuki Harada, Pranab Saha, Kazuaki Suganuma, Shinichi Kato, Michikazu Kinsho (JAEA), Isao Yamane, Yoshiro Irie (KEK) 大強度陽子加速器では、線形加速器で加速された負水素イオンの2つの電子を円形加速器の入射点に設置された荷電変換用炭素膜にて剥ぎ取り、陽子へと変換しながら多周回にわたり入射することで、大強度陽子ビームを形成している。この入射手法は、大強度の陽子ビームを生成できる反面、周回する陽子ビームが膜への衝突を繰り返すことで、ビーム自身が散乱され制御不能なビーム損失が原理的に発生する。加えて、大強度出力ではビームの衝突時の熱や衝撃による膜の破壊が生じる。大強度陽子ビームの出力や運転効率は、このビーム損失による残留線量や膜の寿命による制限が懸念される。そのため、さらなる大強度出力には炭素膜を用いた荷電変換入射に代わる新たな入射手法が必須となる。J-PARC 3GeVシンクロトロンでの設計出力を超える大強度化に向けて、レーザーにて電子剥離を行う「レーザー荷電変換入射」を新たに考案し研究開発を進めている。入射パルス長0.5msに324MHzで入射されるビームへのレーザー照射には既存のレーザーの2桁以上の出力が必要となる。この大きな課題を克服すべく、レーザーを再利用する形で連続的にビームへの照射を可能とする「高出力レーザー蓄積リング」の開発を目指している。本発表では、レーザー荷電変換入射の概要を紹介し、開発を行う高出力レーザー蓄積リングを説明する。加えて、現在の開発状況を報告する。 |
真空 (8月1日 第1,2,3,4会議室他) | |
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TUP118 p.689 | SuperKEKB LERウィグラー部電子クリアリング電極の特性 Properties of electron clearing electrodes in the SuperKEKB LER wiggler sections ○末次 祐介,福間 均,飛山 真理,石橋 拓弥,照井 真司(高エネ研) ○Yusuke Suetsugu, Hitoshi Fukuma, Makoto Tobiyama, Takuya Ishibashi, Shinji Terui (KEK) SuperKEKB陽電子リング(Low Energy Ring, LER)では、電子雲不安定性対策として、ウィグラー部に長さ1670 mm、幅40 mmの電子クリアリング電極を計116本装備している。2016年2月~6月間のPhase-1運転時には、電極にDC500Vを印加し、ビーム電流約1 Aにて安定に動作した。運転中、電極に流れる電流(電極電流と呼ぶ)および近傍圧力のビーム電流依存性、電極電圧依存性を測定した。ウィグラー電磁石内にあるビームパイプ内の電子密度や電極電流について、シミュレーションソフトCLOUDLANDを使って解析を行い、測定結果と比較検討した。電極電流の電極電圧依存性はシミュレーション結果と良く一致した。すなわち、約100 Vまでは電極電圧とともに増大するがそれ以上の電圧ではほぼ一定となった。シミュレーション結果から、これは高い電極電圧では電極電流がほぼ光電子による電流になるためとわかった。また、電極電流のビーム電流依存性は、電源の測定電流のバイアス、およびビームに起因して電極に流れるDC電流成分の補正を加えると測定結果と良く一致した。電極電流の大きさも、長いウィグラー部での放射光の散乱を考慮すると測定値に近い値となった。講演では、電子クリアリング電極に関する測定結果とシミュレーション結果を比較検討し報告する。 |
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TUP119 p.694 | SuperKEKB真空システムの近況 - Phase-2運転に向けて - Recent status of SuperKEKB vacuum system - updates toward Phase-2 commissioning - ○末次 祐介,柴田 恭,石橋 拓弥,白井 満,照井 真司,金澤 健一,久松 広美(高エネ研) ○Yusuke Suetsugu, Kyo Shibata, Takuya Ishibashi, Mitsuru Shirai, Shinji Terui, Ken-ichi Kanazawa, Hiromi Hisamatsu (KEK) SuperKEKBは2016年2月から6月にかけてPhase-1運転を行い、主リングでは約1 Aのビーム蓄積に成功した。この運転の間、真空システムは概ね順調に稼働した。運転中の圧力も予定通り下がり、また、新規に採用した機器もほぼ問題なく稼働した。しかし一方、ビーム電流が増える次期Phase-2運転向けて様々な課題も見つかった。例えば、陽電子リングでは、電子雲不安定性対策として建設時に採用したアンテチェンバー付きビームパイプやその内面の窒化チタン(TiN)コーティングの効果は確認されたものの、運転終盤にビーム電流約900 mA以上で電子雲不安定性が観測された。また、ビームパイプ内のダスト粒子とビームとの衝突が原因と考えられる、ビームロスを伴う圧力のバースト(突出)が観測された。さらに、ウィグラー部では、一部のビームパイプやフランジにおいて、放射光照射による軌道に依存した温度上昇も確認された。その他、ビーム衝突が原因と思われるフランジからの大気リーク等もあった。現在、これらの問題について、ビームパイプに永久磁石を使ってビーム方向の磁場を印加する、運転前にビームパイプ内のダストを衝撃で振り落とす、ウィグラー部に放射光マスク付のベローズチェンバーを設置するなどの対処を行っている。本講演では、Phase-1で確認された様々な課題と、Phase-2に向けたそれらへの対応策についてまとめる。 |
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TUP120 p.699 | SuperKEKB陽電子ダンピングリングの真空制御システム Vacuum control system of positron damping ring for SuperKEKB ○照井 真司,石橋 拓弥,小田切 淳一,金澤 健一,柴田 恭,白井 満,末次 祐介,中村 達郎,久松 広美(高エネ研),芳藤 直樹(東日技研) ○Shinji Terui, Takuya Ishibashi, Jun-ichi Odagiri, Ken-ichi Kanazawa, Kyo Shibata, Mitsuru Shirai, Yusuke Suetsugu, Tatsuro Nakamura, Hiromi Hisamatsu (KEK), Naoki Yoshifuji (East Japan Institute of Technology Co., Ltd.) SuperKEKBでは、高いルミノシティを実現するためにナノ・ビーム方式と呼ばれる衝突方式が採用される。この方式では、衝突点でのビームサイズを垂直方向:60 nm、水平方向:10 μmまで絞り込む必要があり、力学口径とビーム寿命の減少は避けらない。そのため、低エミッタンスかつ強度の高い入射ビームを供給する必要がある。陽電子に関しては、入射ビームのエミッタンスを下げるためにダンピングリング(DR)が入射器の途中に新設される。DRは周長約135.5 mの蓄積リングで、ビームエネルギーは1.1 GeV、最大蓄積電流は約70 mA、バンチ数は4、バンチ長は約7 mmである。物理実験を円滑に進めていくためには、チャネル数の変更等が容易に可能であると共に、堅牢な真空制御システムを構築する必要がある。DRでは必要圧力とスペースの制限等から、排気システムにはカートリッジ型NEGポンプを採用している。一方、マグネットのボア半径が小さく、ビームダクトのコンダクタンスが小さいという問題がある。本発表では、DRの真空制御システムの概要、コンダクタンスが小さい中で安全かつ確実にNEGポンプの活性化する工夫、真空立ち上げ試験結果等について報告する。 |
13:00 - 15:00 | |
TUP121 p.704 | SuperKEKBのためのHOM吸収体の開発 Development of HOM absorbers for SuperKEKB ○照井 真司,石橋 拓弥,末次 祐介,竹内 保直,渡邉 謙(高エネ研),石崎 博之,木村 惇郎,澤畠 孝博(金属技研) ○Shinji Terui, Takuya Ishibashi, Yusuke Suetsugu, Yasunao Takeuchi, Ken Watanabe (KEK), Hiroyuki Ishizaki, Atsurou Kimura, Takahiro Sawahata (MTC) SuperKEKBでは、バンチ長が約6㎜と短く、かつ、バンチ電荷が10 nC以上と大きい。その結果、リングに設置された様々な真空機器では、通過するバンチによって高次高周波(Higher Order Modes, HOM)が励起されやすい。例えば、素粒子検出器(BELLE II)のバックグラウンドを低減するために設置されるコリメータでは、ビームの軌道から数~十数mmの位置まで、金属製ブロックを水平、あるいは垂直方向から近づける。そのため他の機器に比べて強いHOMが励起され、コリメータ本体や近傍の真空機器の発熱、ビーム不安定性等を誘発する可能性がある。SuperKEKBでは各種真空機器で発生するHOMへの対策がこれまでになく重要な課題となっている。対策としては、機器をHOMが発生し難い構造にすることはもちろんであるが、機器の近傍にHOMを吸収する装置を設置するのも有効である。我々は、コンパクトで効率が良いHOM吸収体材料として知られているフェライトの採用を考えている。昨年報告したスパークプラズマ焼結(Spark Plasma Sintering, SPS)で製作したフェライト-銅ブロックの特性の続報として、ベーキング後のガス放出、2次電子放出率、ハイパワー高周波源を使った耐久試験の結果等を今回紹介する。 |
加速器応用・産業利用 (8月1日 第1,2,3,4会議室他) | |
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TUP122 p.709 | ネオニコチノイド系農薬イミダクロプリド水溶液への パルス大強度相対論的電子ビーム照射による分解効果の検討 Study on decomposition effect by pulsed intense relativistic electron beam irradiation on neonicotinoid pesticides imidacloprid solution ○林 直也,菊池 崇志(長岡技術科学大学),原田 信弘(北九州工業高等専門学校),佐々木 徹,高橋 一匡(長岡技術科学大学),今田 剛(長岡技術科学大学,新潟工科大学),森脇 洋(信州大学) ○Naoya Hayashi, Takashi Kikuchi (Nagaoka university of technology), Nobuhiro Harada (National Institute of Technology, Kitakyushu Colleg), Toru Sasaki, Kazumasa Takahashi (Nagaoka university of technology), Go Imada (Nagaoka university of technology,Niigata institute of technology), Hiroshi Moriwaki (Shinshu university) 近年、産業排水に含まれる汚染有機物質による水質汚染が問題となっており、これらは、従来の下水処理方法では処理が困難であることが問題となっている。その為、様々な汚染物質の処理方法が検討されており、その中に電子ビーム処理がある。本研究では、パルス大強度相対論的電子ビーム(PIREB)照射による難分解性有機物質処理効果に着目し、その処理効果を検討した。PIREBは大電流の電子ビームで、先行研究によりコンゴーレッドやNOxなどの様々な物質への処理効果が確認されている。PIREB発生装置は、長岡技科大・極限エネルギー密度工学研究センターに設置されているETIGO-Ⅲを用いた。照射するPIREBは、最大加速電圧2MVで加速され、最大ビーム電流1kAである。厚さ40μmのチタン箔を通して、大気中に設置された照射容器へと照射される。処理対象には近年問題視されているネオニコチノイド系農薬イミダクロプリドを用いた。ネオニコチノイド系農薬とは、その高浸透性と残留性から、世界で広く使われている農薬であるが、蜂に代表される非標的毒性が問題となっている。まず、試料作成場所の蛍光灯下に放置し、一定時間毎に紫外吸収分光光度計で吸光度を計測、蛍光灯の光分解による半減期を算出した。次に、PIREBを照射し、未照射の試料と共に液体クロマトグラフィー質量分析法を用いて分析を行った。その後、試料作成中の光分解による分解率を考慮して、PIREB照射による分解率を算出した。 |
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TUP123 p.713 | 水環境保全のためのパルス大強度相対論的電子ビームの運動エネルギー計測 Kinetic energy measurement of pulsed intense relativistic electron beam for aquatic conservation ○佐竹 勇人(長岡技術科学大学),梅村 将太(富山高等専門学校),庄司 健太(長岡技術科学大学),阿蘇 司(富山高等専門学校),今田 剛(新潟工科大学,長岡技術科学大学),高橋 一匡,佐々木 徹,菊池 崇志(長岡技術科学大学) ○Hayato Satake (Nagaoka University of Technology), Shota Umemura (National Institute of Technology, Toyama College), Kenta Shoji (Nagaoka University of Technology), Tsukasa Aso (National Institute of Technology, Toyama College), Go Imada (Niigata Institute of Technology, Nagaoka University of Technology), Kazumasa Takahashi, Toru Sasaki, Takashi Kikuchi (Nagaoka University of Technology) 船舶の安定航行のために使われるバラスト水の放出による外来水棲微生物や難分解性化学物質の流出による水環境汚染が進んでおり,その対策のため放射線を用いた処理方法が検討・実施されている.本研究グループでは,これまでにパルス大強度相対論的電子ビーム(Pulsed Intense Relativistic Electron Beam: PIREB)を用いた処理方法を検討してきている.PIREBの処理効果としては,電子線・制動放射による直接作用,放射線分解によって生じた活性種による間接作用が期待できる.処理効果を検討するための指標としてエネルギー効率を明らかにすることは重要であるが,これまでの研究ではPIREBのエネルギーを評価していない.このため,本研究ではPIREBの処理効率を明らかにするため,運動エネルギーの評価を検討する.長岡技術科学大学・極限エネルギー密度工学研究センターに設置されている大電流線形誘導加速器ETIGO-IIIをPIREB発生装置として用いた.大気中に取り出したPIREBを,ネオジウム磁石を用いて偏向し,フィルム線量計によって測定する.線量測定結果から,PIREBの磁場による偏向距離を算出し,運動エネルギーを評価する. |
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TUP124 p.717 | 核融合プラズマ対向材の損傷評価に向けたタンデム加速器によるタングステンへの4MeVヘリウムビーム照射と内部拡散の検討 Irradiation of 4MeV helium beam and internal scattering in tungsten using tandem accelerator to evaluate erosion for plasma facing material in nuclear fusion ○内田 雄大(長岡技術科学大学),斎藤 誠紀(釧路高専),齋藤 信雄,鈴木 常生,髙橋 一匡,佐々木 徹,菊池 崇志(長岡技術科学大学) ○Yuki Uchida (Nagaoka University of Technology), Seiki Saito (National Institute of Technology, Kushiro College), Nobuo Saito, Tsuneo Suzuki, Kazumasa Takahashi, Toru Sasaki, Takashi Kikuchi (Nagaoka University of Technology) 磁場閉じ込め核融合装置のプラズマ対向材にタングステンが検討されている。タングステンへの低速(<keV)のヘリウム照射により、ヘリウムバブルや再結晶脆化などの損傷が確認されている。一方で、リップルロスなどにより高速(~MeV)のヘリウムイオンが第一壁へ入射するため、深部での欠陥層の生成が予測されている。本研究は4MeVヘリウム照射によりタングステンの深さ方向におけるバブル生成と再結晶化の可能性を検討した。また、深さ方向の損傷を評価するため、ヘリウムの内部散乱を計算した。タンデム型静電加速器を用いて4MeVのヘリウムイオンビームを10^22 個/m^2のフルエンスで照射し、照射・未照射箇所をTEMで観察した。明視野像からバブルに相当する欠陥は確認できなかった。一方で、電子回折像からヘリウム未照射ではデバイリング、照射箇所では疎らな回折点を確認した。ヘリウム照射により再結晶化が発生し、粒径が増加した可能性を示す。さらに、TRIMコードを用いてタングステン内に侵入したヘリウムの空間分布から散乱による拡がりを計算した。その結果250eV、4MeVの照射においてFWHMはそれぞれ深さ方向に0.4×10^-10m、0.4μm、半径方向に0.5×10^-10m、1μmであった。250eVよりも4MeVの方が深さ方向の拡がりが大きく、内部でのヘリウムの密度が小さくなると考えられる。一方で、半径方向の拡がりは、実験時のヘリウム照射範囲2×2mmと比較して小さく、影響は少ないと考えられる。 |
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TUP125 p.720 | TIARAサイクロトロンにおける重イオンビームの連続均一照射技術の開発 Development of a continuous uniform irradiation technique of heavy-ion beams at the TIARA cyclotron ○百合 庸介,湯山 貴裕,吉田 健一,石坂 知久,石堀 郁夫(量研機構高崎研),山本 元(日東電工) ○Yosuke Yuri, Takahiro Yuyama, Ken-ichi Yoshida, Tomohisa Ishizaka, Ikuo Ishibori (QST Takasaki), Hajime Yamamoto (Nitto Denko) 量研機構高崎研のイオン照射研究施設TIARAでは、低フルエンスの均一照射等を効率的に行う手法として、サイクロトロンから引き出されたイオンビームを多重極電磁石を用いて非線形集束し大面積均一化する手法を開発した。そこで、将来の産業利用への展開を目指し、この手法に基づいた、数100MeV級重イオンの幅広均一ビームの形成とロールtoロール方式による長尺試料の連続照射の技術開発を進めている。発表では、ビーム均一化の原理、照射装置のレイアウト、ビーム計測、長尺高分子フィルムのイオン穿孔膜形成等について現状を報告する。 |
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TUP126 p.724 | 加速器標的分野における照射損傷研究の重要性と国際協力 Importance and international collaboration of radiation damage research in accelerator-target field ○若井 栄一(原子力機構 J-PARCセンター),牧村 俊助,石田 卓(高エネ研 J-PARCセンター),勅使河原 誠(原子力機構 J-PARCセンター) ○Eiichi Wakai (J-PARC Center, JAEA), Shunsuke Makimura, Taku Ishida (J-PARC Center, KEK), Makoto Teshigawara (J-PARC Center, JAEA) 大強度粒子加速器標的施設を利用した科学や産業の発展のためには、生成標的やその収納容器、陽子ビーム窓等の機器が長期に安定した性能を保つとともに、より高い加速器出力に対応していく必要がある。これらの機器は、高エネルギー粒子の通過や反応によってもたらされる損傷の蓄積により、材料特性が徐々に劣化していくと推測されるが、その挙動を正確に把握するためには、照射損傷のデータの拡充や定量的評価方法の確立などが必要であり、各国の施設において急務の共通課題であると認識され始めた。このため、世界の大強度粒子加速器の標的や窓材料の照射損傷の研究を推進するため、各国の機関が有する加速器施設や照射後試験施設を相互に利用・活用し、技術者や研究者が施設横断的に協力することを目的として、加速器標的環境下における照射損傷に関する国際協力活動の構築等を進めている現状の活動の内容を報告する。 |
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TUP127 p.729 | SiC半導体を用いた超短パルス高電圧電源の開発 Development of a very short and high voltage pulser using SIC-DSRD ○内藤 孝(高エネルギー加速器研究機構),福田 憲司(産業技術総合研究所),岩室 憲幸(筑波大学),徳地 明((株)パルスパワー技術研究所) ○Takashi Naito (KEK), Kenji Fukuda (AIST), Noriyuki Iwamuro (Tsukuba Univ), Akira Tokuchi (PPJ) 超短パルスによる粒子加速や高速キッカーに用いるためにSIC半導体を用いた超短パルス高電圧電源の開発を行っている。高電圧の超短パルスを得る技術は、半導体のオンスイッチを使った技術では電圧が上昇すると立上がり速度が遅くなり、高電圧化した時に短パルスを得ることが難しい。我々は誘導性エネルギーを半導体のオフスイッチ動作によって遮断する時の高速スイッチング特性を用いたパルス電源はオンスイッチによるパルス生成より高速のスイッチングが期待される。この動作原理によるパルス電源はDSRDと呼ばれるSi半導体を用いて開発されている。パルスが高電圧、大電流化した時に問題となる耐圧、電力ロスの観点から高耐圧性、熱耐久性に優れたSIC半導体を用いてパルス電源を開発することとした。現在までに11kV, 220A, 立ち上がり2.3ns, パルス幅10nsが実現出来ており、その開発状況について報告する。 |
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TUP128 p.733 | バイメタルを用いた極低温用光ファイバ温度計の開発 R&D of optical fiber thermometer for very low temperature with bimetal ○清水 洋孝,小島 裕二,仲井 浩孝,中西 功太,原 和文,本間 輝也(高エネ研) ○Hirotaka Shimizu, Yuji Kojima, Hirotaka Nakai, Kota Nakanishi, Kazufumi Hara, Teruya Honma (KEK) 超伝導加速方式を利用した加速器施設の運転には、液体状態のヘリウムや窒素を含む、大量の冷媒を使用する冷凍サイクルを連続的且つ安定的に制御・運用する事が必要である。この目的を達成する為には、サイクルの各段階における冷媒の温度を正しく測定して、制御に反映させる必要がある。しかし通常使われている様な測温抵抗体を用いた場合では、測定点を増やす事に伴う費用の増加や、断熱シールド内へ大量の金属製の信号線を持ち込む事による熱侵入の問題が生じる。これらの問題を克服する事を目的として現在行っている、光ファイバを用いた極低温用温度計の開発について、報告を行う。通信用の光ファイバにブラッググレーティングと呼ばれる格子構造を持たせたものが、その格子間隔の変化を捉えて波長の変化として検出出来る事から、優れた応力センサや温度計として既に用いられている。我々はこのグレーティングファイバの特性を活かし、極低温領域で使える温度計の開発に取り組んでいる。今回は特に、極低温領域におけるグレーティングファイバの波長変化の鈍化を補い、温度計としての機能を保持する為に必要な補助治具の開発に関して報告を行う予定である。 |
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TUP129 p.737 | 電子ビームの傾き角制御によるコヒーレントテラヘルツ光の生成と性質の評価 Generation and evaluation of coherent terahertz waves using tilted electron beams ○ブラメルド 真理,柳沢 稜,蓼沼 優一,鷲尾 方一(早稲田大学理工学術院総合研究所),坂上 和之(早稲田大学高等研究所),黒田 隆之助,平 義隆(産業技術総合研究所) ○Mari Brameld, Ryo Yanagisawa, Yuichi Tadenuma, Masakazu Washio (Waseda Univ. Research Institute of Science and Engineering), Kazuyuki Sakaue (Waseda Univ. Institute for Advanced Study), Ryunosuke Kuroda, Yoshitaka Taira (National Institute of Advanced Industrial Science and Technology) 相対論的速度の電子ビームをターゲット媒質に照射するとチェレンコフ放射によってテラヘルツ光が生成される。チェレンコフ放射は電子ビームの進行方向と異なる角度で放射され、電子ビームをこの角度に傾けることでコヒーレントに放射させることが可能である。この角度はターゲット媒質の屈折率によって異なるため、用いる媒質によって電子ビームの傾き角を制御する必要がある。 早稲田大学ではCs-TeフォトカソードRF電子銃を使用した高品質電子ビームの生成についての研究を行っている。電子ビームのバンチ長計測用に開発された高周波偏向空洞を応用することで、傾き角を制御することが可能である。電子ビームの傾き角をチェレンコフ放射と一致させることでテラヘルツ光強度を増大することに成功した。また、周波数スペクトルの測定や、イメージング応用にむけた空間分解能測定を行うことで生成されたテラヘルツ光の性質の評価も行った。さらに、テラヘルツ光を生成するにあたりターゲット媒質にTOPASと呼ばれる高分子材料を用いているが、各種ターゲット媒質を導入してテラヘルツ光の生成を試みた。媒質によって異なるチェレンコフ放射角や飛程距離を検討し、テラヘルツ光強度を比較検討した。これらの測定結果は今後のTHz光源の高強度化に向けての重要な指針となる。 本発表ではRF電子銃を用いたコヒーレントテラヘルツ光の生成の原理とその特性評価結果及び今後の展望について報告する。 |
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TUP130 | フォトカソード高周波電子銃を用いた超高速電子顕微鏡の開発 Ultrafast electron microscopy using photocathode RF gun ○楊 金峰,浅川 稜,菅 晃一,近藤 孝文,神戸 正雄,吉田 陽一(阪大産研),谷村 克己(阪大工) ○Jinfeng Yang, Ryo Asakawa, Koichi Kan, Takafumi Kondoh, Masao Gohdo, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka Univ.), Katsumi Tanimura (Osaka Univ.) 超高速の物質構造変化ダイナミクスや構造相転移現象の観察は、新しい物質の創製・機能の発見に非常に重要である。我々は、フェムト秒短パルスレーザーが駆動するフォトカソード高周波(RF)電子銃を用いた相対論的エネルギーの超高速電子顕微鏡の開発を推進している。今まで、RF電子銃からエネルギーが3.1MeV、パルス幅が100fs、規格化エミッタンスが0.14mm-mradの超短パルス電子ビームを発生し、これを用いた結晶構造物質の電子回折図形の観測とポリスチレンや金のナノ微粒子の透過電子顕微鏡像の測定に成功した。本年会では、超高速電子顕微鏡の開発現状、今まで得た成果および今後の課題について報告する。 本研究は、文部科学省科学研究費補助金「基盤研究(A)No. 22246127(H22-24)、No. 26246026(H26-28)、No. 17H01060(H29-31)」と「挑戦的萌芽研究No. 16K13687(H28~29)」によって遂行可能となった。 |
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TUP131 | 電子加速器を用いた薄膜パルスラジオリシスの検討 Consideration of thin-film pulse radiolysis using electron accelerators ○近藤 孝文,神戸 正雄,大島 明博,菅 晃一,楊 金峰,吉田 陽一(阪大産研) ○Takafumi Kondoh, Masao Gohdo, Akihiro Ooshima, Koichi Kan, Jinfeng Yang, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka Univ.) 加速器が発生する電子線を用いた材料の改質やグラフト重合による機能化、高解像度レジストにおけるパターン描画は、材料の表面近傍や薄膜中の放射線化学反応を基にしている。従って、本研究では実際の薄膜や表面近傍における放射線化学反応を直接観測することを目的として、ビームおよび測定系の開発を行っている。しかしながら、高エネルギー電子線と薄膜の相互作用は小さいので、非常に困難である。薄膜を用いた電子線パルスラジオリシスについて幾つかの試みを報告する。昨年、①高品質ビームを強く集束する方法で70μm以下、②ビーム電荷量を増やす方法で7μm以下の水試料であればピーク波長で測定可能であることを示したが、吸光度の大きな水であったこと、液体なので照射効果の蓄積が少ない等条件が甘かった。今回、他の有機材料を用いた場合、固体試料を用いた場合について報告する。 |
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TUP132 p.741 | KURRIライナック電子ビームからのコヒーレント遷移放射の特性と生物への照射効果 Characteristics and biological effects of the coherent transition radiation from the electron beams of the KURRI linac ○奥田 修一,田中 良晴(阪府大),高橋 俊晴(京大) ○Shuichi Okuda, Yoshiharu Tanaka (Osaka Prefect. Univ.), Toshiharu Takahashi (Kyoto Univ.) 加速電子バンチからのコヒーレント放射は、THz域の光成分を持っており、他にない強力なピコ秒パルス光の生成が可能である。このTHz光量子ビームの作用で、新たな研究領域を開拓するために研究を行った。京大原子炉実験所45 MeV Lバンド電子ライナックにおいて、申請者らが独自に開発したコヒーレント遷移放射光源と吸収分光計測系で光照射および吸収分光実験を行った。アルミニウム箔からの後方への遷移放射を加速器室外に導き、集束して試料に照射した。Martin-Puplett型干渉計で、THz領域(ミリ波、サブミリ波領域)における透過光のスペクトルを測定した。加速器条件を変えて光源の特性を詳細に調べるとともに、最適な光の生成条件を求めた。非線形現象を探索するために、光の強度、パルス幅、パルス形状、パルス繰り返しを変化させた。水および生理食塩水を対象に光の吸収を調べ、新たな物性の探索に向けての実験を行った結果、両者における吸収挙動の差や非線形現象の可能性が明らかになった。さらに、標準的な菌および微生物、細胞への光照射実験を開始した。 |
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TUP133 p.744 | Photonuclear production of self-targeting medical radionuclides using an X-band electron linear accelerator: a feasibility study ○Jaewoong Jang, Mitsuru Uesaka (Univ. of Tokyo), Masashi Yamamoto (Accuthera Inc.) Radiopharmaceuticals provide means of functional tests and treatment of body organs in a non-invasive fashion. To formulate a radiopharmaceutical, an active pharmaceutical ingredient (API) is labeled with a radionuclide. In most cases, it is the API to have the radiopharmaceutical accumulated in a specific organ, and the involved radionuclide merely plays the positioning role. Because developing an API requires a substantial research budget and a long period of time, radiopharmaceutical development remains a challenging task. To ease developing novel radiopharmaceuticals, therefore, we propose producing radionuclides which themselves target and accumulate in organs of the human body, by utilizing photonuclear reactions and a high-energy electron linear accelerator. Of particular interest are Mn-54 and Sr-87m. Presently we are optimizing the respective target assemblies, and will conduct research on chromatographic methods of seperating the product radionuclides. |
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TUP134 | 構造材料解析用中性子源のための電子線形加速器の開発 Development of a linear electron accelerator based neutron source for analysis of structural materials ○O'Rourke Brian,藤原 健(産総研、新構造材料技術研究組合),林崎 規託(東工大),木野 幸一,黒田 隆之助,満汐 孝治,大島 永康,小川 博嗣,清 紀弘,鈴木 良一,田中 真人,豊川 弘之,渡津 章(産総研、新構造材料技術研究組合) ○Brian O'rourke, Takeshi Fujiwara (AIST, ISMA), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Ins. Tech.), Koichi Kino, Ryunosuke Kuroda, Koji Michishio, Nagayasu Oshima, Hiroshi Ogawa, Norihiro Sei, Ryoichi Suzuki, Masahito Tanaka, Hiroyuki Toyokawa, Akira Watazu (AIST, ISMA) 透過力が高い中性子は、構造材料内部の様々な組織を直接観察できる強力なプローブである。産総研は新構造材料技術研究組合(ISMA)の組合員として、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「革新的新構造材料等研究開発」の新規研究開発テーマ「中性子等量子ビームを用いた構造材料等解析技術の開発」の一環で小型加速器中性子源を開発する。本発表は新規加速器施設の設計や構築スケジュールについて紹介する。※この成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業 革新的新構造材料等研究開発の結果により得られたものです。 |
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TUP135 | 小型電子加速器中性子源における中性子ターゲットの設計 Design study of a neutron target for a compact electron accelerator based neutron source ○小川 博嗣,木野 幸一,大島 永康,豊川 弘之,O'Rourke Brian,鈴木 良一,清 紀弘,黒田 隆之助,田中 真人,藤原 健,満汐 孝治,渡津 章(産総研, 新構造材料技術研究組合),林崎 規託(東工大) ○Hiroshi Ogawa, Koichi Kino, Nagayasu Oshima, Hiroyuki Toyokawa, Brian O'rourke, Ryoichi Suzuki, Norihiro Sei, Ryunosuke Kuroda, Masahito Tanaka, Takeshi Fujiwara, Koji Michishio, Akira Watazu (AIST, ISMA), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Ins. Tech.) 電子加速器を用いた中性子源では、電子ビームを重金属に照射し制動放射により生成した光子の光核反応により中性子を発生させる。高強度小型中性子源の開発は、中性子ビームを用いた材料解析技術の産業利用を促進させるために重要であるが、その主要な技術開発要素の一つとして高強度電子ビームの熱負荷に耐えられる中性子ターゲットが挙げられる。本研究では、高強度電子ビーム(ビームパワー10kW)の高熱負荷に対応できる水冷式固体ターゲットの設計を行った。固体ターゲットは冷却効率を上げるため分割し、ターゲット間に冷却水路を設ける構造とした。PHITSコード等を用いてターゲットの熱分布を評価し、解析した結果について報告する。※この成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業 革新的新構造材料等研究開発の結果により得られたものです。 |
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TUP136 p.747 | エネルギー可変中性子発生ターゲットの基礎的設計 Preliminary design study of a variable energy neutoron generation target ○宮原 信幸,片桐 健,北條 悟,涌井 崇志,野田 章(放医研) ○Nobuyuki Miyahara, Ken Katagiri, Satoru Hojyo, Takashi Wakui, Akira Noda (NIRS) 中性子ビームは、材料科学における分析、工業的な中性子イメージング ならびに医療用RI製剤、BNCT(ホウ素中性子捕獲療法)等への応用に広 く用いられている。 当該中性子ターゲットにおいては主に単色エネルギーを利用する設計の ものが多く見受けられ、中性子エネルギーの変更に当たってはターゲッ トその物を交換する必要があるものがほとんどで、ターゲット自身なら びにターゲットステーションの放射減衰を待つために数週間の休止期間 を置いたのち、ターゲット交換を行い中性子ビームのエネルギーや Dose rateを確認し、再びビーム提供を行うため、放射減衰のための 休止―ターゲット交換―ビーム確認に月のオーダーを要する場合も珍し くない。 本報では、新規に着想したオンデマンド可変エネルギー中性子発生の ためのターゲットの基礎的な技術検討を紹介し、会員諸兄と議論を深 めたい。 |
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TUP137 p.750 | 中性子反射率法を用いた金属磁性体コア防水膜の構造解析 Structural study of waterproof thin-layers for the magnetic alloy core by neutron reflectivity ○阿久津 和宏,佐原 雅恵(総合科学研究機構),新関 智丈,永山 紗智子,長谷川 良雄(アート科学),吉井 正人(KEK),下村 昭夫(下村漆器店) ○Kazuhiro Akutsu, Masae Sahara (CROSS), Tomotake Niizeki, Sachiko Nagayama, Yoshio Hasegawa (ART KAGAKU), Masato Yoshii (KEK), Akio Shimomura (Shimomurashikkiten) J-PARCメインリングの加速器空胴に用いられる金属磁性体カットコアは、J-PARC陽子加速システム性能を飛躍的に高めるための重要な役割を担っている。本磁性体コアは水冷方式により冷却されているため、perhydropolysilazane (PHPS) 表面シリカコーティングによる防錆加工を施し、腐食劣化を抑制している。PHPSは簡易かつ効率的にコーティング膜を形成できる優れた材料であるが、そのコーティング膜の成膜メカニズムに関する詳細は明らかとなっていない。本研究では、様々な基板材料の上にPHPSコーティング膜を作製しその膜構造を中性子反射率法により調べることで、PHPS成膜メカニズムを考察した。 中性子反射率の測定は、J-PARC MLF BL17に設置された偏極中性子反射率計「写楽」で行った。中性子反射率データ解析の結果、基板材料が変わるとPHPS膜の厚みと密度は大きく変化することが見出された。特に、Feなどの金属材料上に成膜したPHPS膜は密度が低くなる傾向があり、コーティングされる材料とPHPSの間の親和性の違いがPHPS膜の構造に影響を及ぼしているものと考えられる。発表では、中性子反射率解析結果の詳細について示しながら、PHPS成膜メカニズムについて詳しく議論する。 |
加速器土木・放射線防護 (8月1日 第1,2,3,4会議室他) | |
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TUP139 p.753 | ATFダンピングリングの周長アライメント及び周長変動の安定化 Alignment of the ATF damping ring and the reduction of the circumference change ○荒木 栄,内藤 孝,奥木 敏行,久保 浄,黒田 茂,田内 利明,照沼 信浩,福田 将史,森川 祐(高エネルギー加速器研究機構),清水 健一((有)エスケーサービス) ○Sakae Araki, Takashi Naito, Toshiyuki Okugi, Kiyoshi Kubo, Shigeru Kuroda, Toshiaki Tauchi, Nobuhiro Terunuma, Masafumi Fukuda, Yu Morikawa (KEK), Kenichi Shimizu (SK-service INC.) 高エネルギー加速器研究機構先端試験加速器ATF/ATF2では超低エミッタンス電子ビームによる最終収束系の試験が進められている。ATFダンピングリング(ATF-DR)のアライメントは最終収束系のビーム調整に大きく影響するため、設計値に近づくよう頻繁に努力が続けられて来た。しかし、ATF-DRは加速器建屋ホールに空調がないため運転時に電磁石電源の発熱等によるゆっくりとした周長の変動が観測されている。周長の変化は、ATF-DRではアーク部にコンバインドベンドを採用しているためTuneの変化を引き起こす。そのため加速器の特性が変わってしまい問題になっている。この周長変動をおさえるため行った対策や測定について報告する。 |
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TUP140 p.757 | KEK放射光計画における建物・設備の検討状況 Study situation on buildings and facilities of KEK-LS project ○芳賀 開一,中村 典雄,多田野 幹人,小山 篤,豊島 章雄,松岡 亜衣,五十嵐 教之(高エネルギー加速器研究機構) ○Kaiichi Haga, Norio Nakamura, Mikito Tadano, Atsushi Koyama, Akio Toyoshima, Ai Matsuoka, Noriyuki Igarashi (KEK) KEKにおいては、PFリングとPF-ARリングの後継として3GeVクラスの蓄積リング型高輝度光源施設(「KEK放射光」, KEK-LS)の実現を掲げ、その具体化の第一歩として概念設計書(CDR)が昨年発表された。 現在、リングの詳細やビームラインの配置、入射器などまだ完全には定まっていない点も多いが、CDRにおいては建屋の第一次案が提示され、この案をもとに様々な検討が開始されている。主な検討項目としては、建物に関してはその基礎構造、加速器運転および実験遂行の維持のためのスペースの見積りと配置、機器の搬入方法などがある。また、設備類に関する検討項目には、電力、冷却水、空調、給排水やクレーンなどがあり、各設備の容量・安定度・設置場所などが含まれる。これら建物・設備の検討は、KEK-LSの持つ性能を十分に発揮させるために不可欠であり、建物の変形や振動に対する安定性や冷却水・空調温度の安定度を確保するうえでも重要である。 本発表では、これらの最新の検討状況に関し報告する。 |
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TUP141 p.762 | 最終収束超伝導電磁石(QCS)の振動測定と解析 Vibration measurements and analysis of the final focusing superconducting magnet system(QCS) ○山岡 広,大内 徳人,大澤 康伸,増澤 美佳,植木 竜一(高エネ研) ○Hiroshi Yamaoka, Norihito Ohuchi, Yasunobu Ohsawa, Mika Masuzawa, Ryuichi Ueki (KEK) 現在本所では、KEKB加速器の40倍のルミノシティを目指してSuperKEKB計画が進行している。このルミノシティを実現するための1つの手段として、衝突点でのビームを垂直方向に50nmまで絞り込むための最終収束超伝導電磁石が衝突点を挟んで左右に2台設置される。 電磁石のビームラインへのインストールは既に終了し、1台は性能試験を終えもう1台は試験準備中である。QCSでの振動レベルはルミノシティ向上に非常に重要な要素である事から、設置後それぞれの振動測定がおこなわれた。一方でQCSの振動レベルを床面の常時微動のデータを基に予め計算で予測した。 本報告では、QCSの振動測定結果と計算との比較及び考察について報告する。 |
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TUP142 p.766 | SPring-8蓄積リング棟の収納部内と光学ハッチ内機器の相対位置関係調査 Investigation for relative positions of components inside and outside of the storage ring tunnel at SPring-8 ○木村 洋昭,岡安 雄一,青柳 秀樹(JASRI),玉作 賢治(理研RSC),鈴木 基寛,寺田 靖子(JASRI) ○Hiroaki Kimura, Yuichi Okayasu, Hideki Aoyagi (JASRI), Kenji Tamasaku (RIKEN RSC), Motohiro Suzuki, Yasuko Terada (JASRI) SPring-8のような大きな放射光施設建屋では、加速器が設置された収納部(遮蔽厚さ1m)と実験ホール床部(厚さ40cm)はイクスパンションジョイントで縁切りされている。これまで、収納部内に設置された加速器機器の位置を定期的に測量しその変位を計測してきたが、実験ホールの方も収納部と同様に20年が経過している事から、できる範囲で収納部内と実験ホールの相対位置関係を調査することになった。 SPring-8蓄積リング棟では、加速器収納部と実験ホールの間の測量で使える開口は、幅1m程度の扉4カ所だけである。この状況では、上下方向の計測はできるが、水平方向に関してはネットワーク解析を使用した測量で十分な精度は確保できないので、実験ホールに設置されている光学ハッチ内でのSRビーム位置を計測し、BL設置時の床基準点と比較する事とした。 行った計測と結果は、(1)光学ハッチ内の収納壁面のビーム取出部に張られた高さ基準シールは1mm以内で収納部内機器高さと一致、(2)BL建設時に光学ハッチ最上流部に設置されたフロントエンド架台の高さは平均で1.5mm高く(最大5mm)なり、Rolling角は主にホール側に平均1mrad傾斜、(3)3つのBLで行った光学ハッチ内Be窓部のSRビーム軸と設置時のビーム軸方向基準点との差は約2mm、高さ基準シールとの差は約1.5mm以内、であった。 |
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TUP143 p.771 | SPring-8 蓄積リング水平方向変位の解析 Analysis for horizontal displacements of SPring-8 storage ring ○岡安 雄一,木村 洋昭,張 超(高輝度研),松井 佐久夫(理研播磨) ○Yuichi Okayasu, Hiroaki Kimura, Chao Zhang (JASRI), Sakuo Matsui (RIKEN) SPring-8 蓄積リングに配置されている四極電磁石の座標は、1997 年の供用開始以来、20 年にわたって継続的に測量されてきた。測量結果の鉛直成分については、昨年の年会で既に報告した。本年会では、水平成分の解析について報告する。 蓄積リングに全ての電磁石が据付完了した 1996 年から、2017 年までに実施された蓄積リングの測量・解析方法は、大きく分けて 3 つのフェーズに大別される。すなわち据付開始から主に長直線部の機器配置が定常化した 1996 - 2003 年 (Phase I)、測量手法が確立した 2005 - 2013 年 (Phase II)、測量手法の改良がなされた 2014 - 2017 年 (Phase III) である。Phase I 及び Phase II では、Leica 製レーザートラッカー SMART310 が使用され、後に Wild 製セオドライト T3000 による角度データの測量が加わり測量精度の向上が図られた。Phase III では Leica 製レーザートラッカー AT-402 で 3 次元測量を実施している。ネットワーク解析については、Phase I/II では自作の解析ソフトを使用し、Phase III では商用のソフトを使用している。 蓄積リング全周に亘る四極電磁石の座標 (平均値を差し引いた動径成分 : rと方位角成分 : s) と設計値からの差分を Phase I / III で比較した結果、標準偏差で dr 及び ds はそれぞれ 40%、60% 小さくなった。直近の Phase III の解析結果では、dr は ±1.5 mm 程度で経年変化を上回る季節変位は確認されなかった。 |
電子加速器 (8月2日 第1,2,3,4会議室他) | |
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WEP001 p.776 | ILCに向けたSTFタイプの入力結合器の大電力試験および新型セラミックの性能評価 High power test for plug-compatible STF-type power coupler with TiN coating ceramic and coating-free ceramic for ILC ○山本 康史,加古 永治,松本 利広,道園 真一郎,山本 明(高エネルギー加速器研究機構),モンテジーノ エリック,ジュリー チャールズ(欧州原子核研究機構) ○Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako, Toshihiro Matsumoto, Shinichiro Michizono, Akira Yamamoto (KEK), Eric Montesinos, Charles Julie (CERN) 2013年にリニアコライダーコラボレーション(LCC)による勧告に従い、ILC用超伝導空洞と互換性のあるSTFタイプの入力結合器が新たに設計・製作された。これに伴い、コストダウンを目指した窒化チタンコーティングの無い新型セラミックを用いた入力結合器も製作され、KEK内にある超伝導高周波試験施設(STF)内にあるテストベンチにて共に大電力試験が行われた。本学会では大電力試験の結果および新型セラミックの性能評価を詳細に報告する予定である。 |
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WEP002 p.781 | ILC入射部と放射光源のCW超伝導加速器共有の提案 Proposal of sharing of CW superconducting linac with ILC injector and photon light source ○島田 美帆(高エネ研) ○Miho Shimada (KEK) ILCで技術的に困難とされている課題に陽電子源ターゲットが熱負荷に耐えられないという問題がある。そこで、バックアップとして、常伝導空洞を使ってターゲット付近のみ1msのパルス長を数十倍に伸長する方法が採用されている。本発表では、CWの超伝導空洞で行うことを提案する。この方法では、複数のビームを同時に加速することが可能なため、陽電子を生成するための電子だけでなく、陽電子や偏極電子をダンピングリングのエネルギー、5 GeVまで加速することも可能である。これらとダンピングリングを含めて、ILC入射部と呼ばれる部分を担う。超伝導加速器のオプティクスは、規格化エミッタンスが0.01mrad程度と他のビームに比べて非常に大きい陽電子に最適化する。 ILCのビームをすべて合わせても平均電流が500uA以下と低く、空洞に対する熱負荷も深刻でないため、ERL放射光源やCW XFELの電子ビームを加速・減速できる余裕がある。超伝導空洞のオプティクスは陽電子に最適化しているため、同時運転をスムーズに行うには、放射光源の電子ビームのエネルギーを陽電子より大きいほうが望ましい。ERL放射光源では6.5 GeV付近で10keV付近の硬X線領域で高輝度を目指す。また、追加の0.5GeVの超伝導空洞を用いて、ERLとXFELの同時運転の可能性も探る。 |
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WEP003 p.785 | 光ファイバビームロスモニタとワイヤスキャナ-3 Optical fiber beam loss monitor and wire scanner-3 ○矢野 喜治,福田 茂樹,道園 真一郎,明本 光生(高エ研) ○Yoshiharu Yano, Shigeki Fukuda, Shinichiro Michizono, Mitsuo Akemoto (KEK) 2010年に実験が終了したKEKB Ringは、より高いルミノシティを目指したSuper KEKB Ringに改造された。2016年2月にSuper KEKB Phase-1がスタートし、Linacからの電子、陽電子のビーム入射が始まった。新しく立上げたMain Ringは各種パラメーターが確定していないため初めて入射したビームが何処まで届いて何処でビームロスしているかの情報は非常に有益である。そこでHER RingとLER Ringの入射部に光ファイバを布設し入射部近傍のビームロスを観測した。Ringの運転が進み入射部以外のビームロスを観測する必要があり、新設したLER Ringのコリメータ下流とHER Ring入射部の上流部に光ファイバを布設した。 電子陽電子入射器では電子銃直後のAセクタのワイヤスキャナ(WS)の移設が必要になった。ワイヤ駆動部の移設に伴い検出器である光電子増倍管の移設場所の確保が難しいため光ファイバを使用する。そのためのシミュレーションと最適な設置場所の調査を行った。 ここではKEKB-Ringへのビーム入射時のビームロスとビームダンプ時のビームロスの様子と、電子陽電子入射器のAセクタWS移設について報告する。 |
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WEP004 p.790 | 共振器型CDRによる広帯域THz光源 Broadband THz source by means of resonant CDR system ○本田 洋介,アリシェフ アレクサンダー,島田 美帆,加藤 龍好,宮島 司,高井 良太,帯名 崇,山本 尚人(高エ研) ○Yosuke Honda, Alexander Aryshev, Miho Shimada, Ryukou Kato, Tsukasa Miyajima, Ryota Takai, Takashi Obina, Naoto Yamamoto (KEK) 短バンチ電子ビームが標的の近傍を通過する際にCDR(コヒーレント回折放射)が発生する。これを高繰り返し多バンチビームで、バンチ間隔に同期した光学共振器内部で、発生させる場合、放射がバンチ間でコヒーレント加算し、効率的に放射パワーを取り出す事ができる。また、共振器をうまく設計すると、モードロックレーザーのような広帯域の縦モードの同時発振が実現し、特徴的なテラヘルツ光源になると考えられる。 cERL周回部ではこの広帯域テラヘルツ源に適した、低エミッタンス、高繰り返し、短バンチのビームが得られ、実証実験を計画している。装置開発の検討状況について報告する。 |
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WEP005 | 中空誘電体管における多モードテラヘルツ波発生と電子ビーム加速の理論的研究 Theoretical study on electron beam acceleration and multimode THz-wave generation in hollow dielectric tube ○菅 晃一,楊 金峰,近藤 孝文,神戸 正雄,野澤 一太,吉田 陽一(阪大産研) ○Koichi Kan, Jinfeng Yang, Takafumi Kondoh, Masao Gohdo, Itta Nozawa, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka Univ.) 阪大産研では、レーザーフォトカソード RF 電子銃ライナックを導入し、高時間分解能パルスラジオリシスの開発を行っている。これまでに、短パルス電子ビームと中空誘電体管を用いた多モードテラヘルツ波発生の研究を行ってきた。同時に、幾つかのグループでは、中空誘電体管は次世代加速器開発のために(陽)電子ビーム加速への応用が研究されている。そこで、本研究では、このようなテラヘルツ波(電磁波)の電子ビーム加速への応用について研究を行った。当日は、電子ビーム加速の電子ビーム特性(電荷量、ビーム径、パルス幅)や管の条件(内径、外径)依存性の計算結果について報告する。 |
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WEP006 p.793 | CsK2Sbフォトカソード性能の基板依存性 Substrate dependence of CsK2Sb photo-cathodes performance ○郭 磊,栗木 雅夫(広島大学大学院 先端物質科学研究科),根岸 健太郎(岩手大学) ○Lei Guo, Masao Kuriki (Graduate School for Advanced Sciences of Matters, Hiroshima University), Kentaro Negishi (Iwate University) 電子ビーム利用の高度化にともない、短パルス性、コヒーレンス、 低エミッタンス、高いスピン偏極など、高性能電子ビーム源が求められている。短パルスレーザーとフォトカソードによる電子ビーム生成はこのような要望にこたえるものとして、注目されている。 CsK2Sbは多アルカリ陰極の一つであり、低エミッタンス、高耐久性、高量子効率など、最先端光源である連続大電流FEL(Free Electron Laser)などの実現に必要な、多くの特長を持っている。CsK2Sbカソード性能は、基板の表面状態(酸化など)に依存することはよく知られている。この結果は、基板材料やその他の特性がカソード性能に影響することを示唆している。本研究では、カソード性能の基板材料および面方位依存性に注目し、Si(100)、Si(111)、GaAs(100)基板に生成したカソード性能を評価した。結果、すべての材料において、cleaned表面に生成したカソードの性能は、as-received表面に生成したものに比べて高い性能を示した。また、Si(111)面上に生成したカソード は、Si(100)及びGaAs(100)基板上に生成したカソードに比べて有意に性能が劣っていることを確認した。この成果は、世界で始めてカソード性 能が結晶基板の面方位に依存することを示したものであり、電子加速器を使用した物理研究全体に、相応のインパクトが期待される。 |
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WEP007 p.797 | ILC 用 9 cell TESLA 空洞の性能評価 Performance evaluation of 9 cell TESLA cavity for ILC ○井藤 隼人(総合研究大学院大学),及川 大基(宇都宮大学),佐伯 学行,早野 仁司(高エネルギー加速器研究機構) ○Hayato Ito (SOKENDAI ( The Graduate University for Advanced Studies ) ), Hiroki Oikawa (Utsunomiya University), Takayuki Saeki, Hitoshi Hayano (KEK) 国際リニアコライダー計画 ( ILC ) では、約16000台の 9 cell 超伝導加速空洞を使用する予定である。Technical Design Report ( TDR ) では、加速空洞に 9 cell TESLA 空洞を使用することになっており、今回、国内製造メーカーにより初めて国産の 9 cell TESLA 空洞を4台製造した。 本研究では、そのうちの1台の TESLA 空洞について ILC で採用されている表面処理プロセス、空洞チューニング装置、内面検査装置及び局所研磨装置を適用し、液体ヘリウムにより2Kまで冷却して加速電界性能試験を行った。そこで、その表面処理プロセスと内表面欠陥の検査方法について詳細を説明する。 また加速電界性能試験の結果として、29MV/mの性能を達成したが ILC の目標値である35MV/mまでは到達できなかったため、その原因を解明する研究を行った。 温度マップ装置により29MV/mのときに発熱が観測されたが、その解析と内面検査の結果を比較し原因を推定する。同時にX線マップ装置により発生したX線の分布も解析し、内面検査の結果と比較してフィールドエミッターの場所を推定する これらの詳細について報告する。 |
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WEP008 | 液圧成形による超伝導加速空洞に於けるLorentz Force Detuningの影響の評価 Study of Lorentz force detuning effect of hydroforming SRF cavity ○道前 武,山中 将,江並 和宏(KEK) ○Takeshi Dohmae, Masashi Yamanaka, Kazuhiro Enami (KEK) KEKでは液圧成形による楕円形状の超伝導加速空洞の製造研究を行っている。通常、楕円形状空洞のセル間にはLorentz Force Detuningによる空洞の変形を抑えるため、強め輪と呼ばれるリング状の板をはめ込むが、液圧成形による空洞の場合はこれをつけていない。この強め輪のついていない3セルの液圧成形空洞の性能評価を行った結果、加速勾配当たりの周波数変化量が通常の強め輪を用いた同形状の空洞より小さかった。この結果は、空洞製造時に強め輪を省略することによってコストを削減できる可能性を秘めている。性能評価では空洞両端は固定されているため、空洞の伸縮よりも空洞形状自体の変形がこの結果に影響していると考えられる。本研究では、どの様な条件でこの様な結果が得られるのかシミュレーションを用いて調査を行い、強め輪を省略できる可能性を探った。 |
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WEP009 p.802 | 薄膜超伝導体の高周波臨界磁場測定のためのマッシュルーム型空洞の設計研究 Design study of mushroom shaped cavity for evaluation of RF critical magnetic field of thin-film superconductor ○及川 大基,東口 武史(宇都宮大学),早野 仁司(高エネ研) ○Hiroki Oikawa, Takeshi Higashiguchi (Utsunomiya University), Hitoshi Hayano (KEK) For more higher energy accelerator, we demand superconducting RF cavity that has high gradient of 45 MV/m or more. To obtain such a higher gradient, there has been proposed a method of increasing an RF critical magnetic field of the cavity inner surface by coating of multi-layer thin-film superconductor that has thickness close to the London penetration depth. By producing a multilayer film structure in cavity inner surface, it is believed to improve the RF critical magnetic field, and to connect directly to high gradient. To demonstrate a creation of a thin film on a surface of Nb samples, an RF cavity with a thin film coated Nb sample is needed to measure the RF critical field of the sample. To adapt it to the cavity, to cool to cryogenic temperature and to establish the sample to supply the RF power, it is necessary to design a cavity to produce a strong RF magnetic field parallel to the surface of the thin film sample. We designed a mushroom shaped cavity made of Nb and input coupler. Resonant frequency is 5.2 GHz by calculation. We calculated the resonant frequency and the field distribution, compared with the measured values for the model cavity. |
光源加速器 (8月2日 第1,2,3,4会議室他) | |
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WEP010 p.805 | KEKにおける"その場"挿入光源磁場分布測定器開発の現状 Present status of "in-situ" ID magnetic field measurement system development at KEK ○阿達 正浩,土屋 公央(高エネ研、総研大),塩屋 達郎,江口 柊(高エネ研),加藤 龍好(高エネ研、総研大) ○Masahiro Adachi, Kimichika Tsuchiya (KEK, SOKENDAI), Tatsuro Shioya, Shu Eguchi (KEK), Ryukou Kato (KEK, SOKENDAI) KEKではPFリングおよびPF-ARを稼働し、47箇所ある実験ステーションに安定した放射光を供給している。PFリングおよびPF-ARの稼働開始からそれぞれ35年と30年を迎え、次期リング型光源加速器KEK-LS計画の検討を進めている。これまでに、Hybrid Multi-Bend Achromaticラティスを採用して、電子エネルギー3 GeV、周長約570 mで、自然エミッタンスが132.5 pm radに達するリングを設計し、Conceptual Design Reportのv.1として公開している。挿入光源(ID)が設置可能な18箇所の5.6-m長直線部と20箇所の1.6m短直線部に加えて、放射光を取り出し可能な20箇所の偏向電磁石を有するリングにより、現在フォトンファクトリーで展開されている多様なサイエンスを引き継ぐとともにさらに発展させることを目指している。 IDグループでは、KEK-LSのエミッタンス性能を損なわないIDを実現するためのR&Dを進めている。KEK-LSのIDの一つとして提案している真空封止型アンジュレータ(IVU)が生成する放射光の高次成分は、利用可能な高輝度光のスペクトル範囲をより高エネルギー側で拡げるために重要であるが、高次成分ではIDの周期磁場分布の誤差を可能な限り低く抑えなければ期待する輝度は得られない。そこで我々は、主にIVUの周期磁場分布調整時におけるこのような課題を克服するための「その場」磁場分布測定器の開発を進めている。本発表では、本測定器開発の現状を報告する。 |
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WEP011 p.809 | 次世代リング型光源のための新しいoff-axis入射スキームの開発 Novel off-axis beam injection scheme for next-generation storage ring light sources ○高野 史郎,渡部 貴宏,深見 健司,近藤 力,大石 真也(高輝度光科学研究センター/理化学研究所放射光科学総合研究センター),谷内 努,田村 和宏,小路 正純(高輝度光科学研究センター),稲垣 隆宏,原 徹,田中 均(理化学研究所放射光科学総合研究センター) ○Shiro Takano, Takahiro Watanabe, Kenji Fukami, Chikara Kondo, Masaya Oishi (JASRI/RIKEN SPring-8 Center), Tsutomu Taniuchi, Kazuhiro Tamura, Masazumi Shoji (JASRI), Takahiro Inagaki, Toru Hara, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) 次世代のリング型光源では、更なる高輝度を実現する低エミッタンス化に向け克服すべき大きな課題として、動的安定領域が狭小なリングへのビーム入射の問題がある。我々は、次世代光源として検討を進めているSPring-8-IIへの適用を視野に、i)ビーム入射振幅の抑制(小振幅入射)、ii) 蓄積ビームの基本性能への影響の抑制(入射の透明性)、iii) トップアップ運転(積上げ自在な繰り返し入射)を可能とするため、従来のoff-axis入射システムを構成要素から徹底的に見直した新しいoff-axis入射スキーム(真空封止無摂動off-axis入射スキーム)を提案している。同時に新しい技術や材料を導入して建設コスト並びに運転コストの圧縮(省エネルギー化)も図る。新しいoff-axis入射スキームでは、1)永久磁石によるDCセプタム磁石、2)真空封止パルスセプタム磁石、3)高精度固体パルス電源駆動ツインキッカー磁石が、それぞれ、省エネルギー化、小振幅入射、入射の透明性の鍵を握る主要開発項目となる。我々は、昨年9月より「次世代加速器要素技術開発プログラム」からの委託により、次世代リング型光源実現のための共通の要素技術開発として、これら3項目のプロトタイプ機の開発を開始した。新しいoff-axis入射スキームとともに、開発の全体のコンセプト並びに計画を報告する。 |
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WEP012 p.813 | 東北放射光(SLiT-J)計画の進捗状況 Progress of SLiT-J project ○濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Hiroyuki Hama (ELPH, Tohoku University) 東北放射光計画(SLiT-J; Synchrotron Light in Tohoku, Japan)は放射光科学の研究開発成果を先端計測基盤とすることでイノベーションを産み出すオープンプラットフォームを目指した3GeV高輝度光源計画である。SLiT-J蓄積リングは建設経費や運転経費を抑えながらも安定に使えるワールドクラスの低エミッタンスリングを目標とした詳細設計中である。周長は354mとフランスの第三世代光源SOLEILとほぼ同じであるが、水平エミッタンスは約1/3の0.92nmradであり、数keV付近の輝度は10E21に達すると見込んでいる。ユニットセルは4つの偏向磁石からなるDDBA(Double-Double Bends Achromat)であり、セル間の挿入光源用長直線部の長さは5.4m、セル中央の短直線部は1.8mであり高エネルギー連続放射光源として多極ウィグラーを挿入する予定である。高周波加速空洞はSPring-8で開発しているTM020空洞を用いることでRFステーションを一カ所の直線部のみにしている。全長約120mのフルエネルギーCバンド入射器を用いることとし、消費電力を抑えるだけでなく将来は軟X線FELを実現したいと考えている。光源性能と加速器システムの概要に加え、産業利用のために設立した一般財団法人「光科学イノベーションセンター」について報告する。 |
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WEP013 p.817 | 交叉型アンジュレータを用いた偏光可変テラヘルツ超放射生成の検討 A study of generation of variable polarized THz superradiance using a crossed undulator ○齊藤 寛峻,柏木 茂,日出 富士雄,三浦 禎雄(東北大学電子光理学研究センター),西森 信行(東北大学多元物質科学研究所),武藤 俊哉,南部 健一,柴崎 義信,髙橋 健,長澤 育郎,鹿又 健,齊藤 悠樹,濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Hirotoshi Saito, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Sadao Miura (Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University), Nobuyuki Nishimori (Institute of Multidisciplinary Research for Advanced Materials, Tohoku University), Toshiya Muto, Kenichi Nanbu, Yoshinobu Shibasaki, Ken Takahashi, Ikuro Nagasawa, Ken Kanomata, Yuki Saito, Hiroyuki Hama (Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University) 東北大学電子光理学研究センターでは加速器ベースのコヒーレントテラヘルツ光源の研究開発が進められている。 これまでに小型試験加速器(t-ACTS: test Accelerator as Coherent THz Source)を建設、velocity bunching法による極短パルス電子ビーム生成実験を行い、コヒーレントテラヘルツ放射の生成に必要となるバンチ長およそ100 fsの極短パルス電子ビームの生成を確認した。 現在は交叉型アンジュレータを用いた偏光可変コヒーレントテラヘルツアンジュレータ放射(超放射)生成の実験計画を行っている。 本計画では、1台目のアンジュレータから放出される直線偏光の放射を光学移相器により遅延させ、2台目のアンジュレータからの直交する直線偏光の放射と重ね合わせることにより任意の偏光を持つ超放射を生成することを検討している。 本発表ではt-ACTSにおける極短パルス電子ビーム生成および計画中の偏光可変テラヘルツ光源の概要について報告する。 |
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WEP014 p.821 | 日本大学LEBRAにおける高強度THz波光源の開発 Research and development of the high power THz light sources at LEBRA in Nihon University ○境 武志,田中 俊成,早川 恭史,住友 洋介,早川 建,野上 杏子(日大量科研),清 紀弘,小川 博嗣(産総研) ○Takeshi Sakai, Toshinari Tanaka, Yasushi Hayakawa, Yoske Sumitomo, Ken Hayakawa, Kyoko Nogami (LEBRA, Nihon University), Norihiro Sei, Hiroshi Ogawa (AIST) 日本大学量子科学研究所電子線利用研究施設LEBRAでは、産業技術総合研究所との共同研究として、2011年からTHz光源の開発を行っている。また、2013年度からはパラメトリックX線放射(PXR)のビームラインにおいてTHz領域のコヒーレント遷移放射(CTR)、偏向電磁石からのエッジ放射(CER)等の基礎測定を行っている。2016年には、管理区域内常時立入可能な実験室へ輸送する光学系を製作し、X線ビームラインに設置し、輸送試験を始めた。設置した輸送機構を用いて実験室へ輸送されたCER光の出力パワーは1mWを達成し、CERの輸送系はほぼ問題ないことが確認できた。しかし、CTRは発生源近傍ではマクロパルス(5 us)当り1 mJあったが、輸送途中で大きく減衰が発生していることがわかり、光学系の改良等を行っている。本発表では輸送光学系と各測定結果に関して報告する。 |
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WEP015 p.825 | ニュースバル電子蓄積リングのupgradeに向けた検討 Upgrade design for NewSUBARU-2.0 storage ring ○橋本 智,宮本 修治(兵庫県大高度研) ○Satoshi Hashimoto, Shuji Miyamoto (Univ. of Hyogo, LASTI) 兵庫県立大学ニュースバル電子蓄積リングは1.0GeV電子ビームエミッタンス37nm-radで、15m直線部を二つ持つレーストラック型のリングである。建設から約20年が経過し近年は機器の老朽化(特に電源の故障)が著しく大規模な更新の必要性があるのに加えて、ユーザーから放射光高輝度化の要望があり、我々は将来の放射光リングの高度化に向けた検討に着手した。先ずは既存の建屋と遮蔽トンネルの流用を前提として、現在の周長118mおよびリング形状をほぼ保ちつつ、どの程度までエミッタンスを低減できるか、TBAおよびQBAラティスについて検討した。MADX等のコードによる評価の結果、TBAでは5.5nm-rad、QBAでは2.5nm-rad程度まで低減できることがわかった。しかしセル当たりの距離が短いためQBAでは機器設置の空間が非常に狭く、実現にはかなりの工夫を要する。本発表ではニュースバルリングの低エミッタンス化アップグレードであるNewSUBARU-2.0(仮称)の検討状況について報告する。低エミッタンス化は並行して検討している蓄積リングによる大強度EUV光源[1,2]においても必要なものである。( [1]C.Feng et al., "Storage ring based PEHG FEL for EUV lithograph", OSA(2016)、 [2]宮本他、第13回日本加速器学会年会(2016)) |
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WEP016 p.830 | UVSORにおける高調波空洞を用いたビーム不安定の抑制 Suppression of beam instability with harmonic cavity in UVSOR ○長谷川 純(名大院工),持箸 晃,保坂 将人(名大SR),林 憲志,藤本 將輝(UVSOR 分子研),今尾 健太,高橋 和義(名大院工),高嶋 圭史(名大SR),加藤 政博(UVSOR 分子研) ○Jun Hasegawa (Graduate School of Eng. Nagoya Univ.), Akira Mochihashi, Masahito Hosaka (SR Center, Nagoya Univ.), Kenji Hayashi, Masaki Fujimoto (UVSOR IMS), Kenta Imao, Kazuyoshi Takahashi (Graduate School of Eng. Nagoya Univ.), Yoshifumi Takashima (SR Center, Nagoya Univ.), Masahiro Katoh (UVSOR IMS) 現在UVSORの電子蓄積リングでは、進行方向結合バンチ不安定性が確認されており、このビーム不安定性を抑制するため、高調波空洞(以下、HCV)が運用されている。HCVによって電子バンチの固有振動(シンクロトロン振動)に非線形が導入され、その結果振動周波数に広がりが生じることによりビーム不安定性が抑制される。しかし、現存のHCVは老朽化によるトラブルが散見されるようになってきているため、本研究では現HCVを新HCVに更新し、UVSORの長期的な安定運転、加えて更なる高品位ビームの実現に貢献することを目標としている。 新しく開発するHCVは、現在UVSORで確認されている結合バンチ不安定性を抑制することが可能な空洞であることが求められるため、新空洞の開発には結合バンチ不安定性の理解が必要である。そこで、HCVの設計に先立ち、我々は結合バンチ不安定性の発生原因の解明を進めている。ビーム不安定性の成長と非線形振動による不安定性の抑制が均衡する条件を見出し、理論的考察によりビーム不安定性の原因を追究する。 本年会では、現HCVの基本パラメータの精密測定結果について報告し、その条件下において発生している結合バンチ不安定性の観測に関する実験概要と、実験データの解析内容について述べ、実験から不安定性の原因を特定する過程とその結果について報告する。 |
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WEP017 p.835 | あいちSRにおけるRF位相変調法を用いた電子ビーム安定化 Stabilization of electron beam by an rf phase modulation at Aichi SR storage ring ○今尾 健太(名古屋大学工学研究科),保坂 将人,高嶋 圭史,持箸 晃,真野 篤志,石田 孝司(名古屋大学シンクロトロン光研究センター),加藤 政博,藤本 將輝(分子科学研究所極端紫外光研究施設) ○Kenta Imao (Nagoya University), Masato Hosaka, Yoshihumi Takashima, Akira Motihashi, Atsushi Mano, Takashi Ishida (Nagoya University Synchrotron radiation Research center), Masahiro Kato, Masaki Fujimoto (National Institute of Natural Sciences UVSOR Facility) あいちSRの光源加速器は、1.2GeVの電子蓄積リングであり、500MHz RF加速空洞が用いられている。現在、あいちSR電子蓄積リングでは縦方向にビーム不安定性が生じており、不安定性は加速空洞の温度などの状態に強く影響を受けることから、加速空洞起因の結合バンチ不安定性であると考えられる。KEK‐PFおよびドルトムント大学のDELTAでは、RF加速電場をシンクロトロン振動周波数の2倍の周波数で位相変調させることにより、電子ビームの安定化に成功している。そこで、我々もあいちSRにおいて位相変調法によるビーム安定化の試験を行った。 本研究では位相変調させた大電力高周波を加速空洞に出力するため、マスターオスシレータとして、位相変調機能が付属したシグナルジェネレーターを用いた。位相変調の振幅および周波数を変更し、電子ビーム安定化の最適条件を調べた。電子蓄積リングに設置されている、ビーム位置検出器用のボタン電極からのビーム信号をスペクトラムアナライザで周波数分析し、ビームの安定性を観測したところ、シンクロトロン振動周波数2倍近傍の周波数で位相変調を設定することで、結合バンチ不安定性が抑制されることを確認した。 本発表では、あいちSRの縦方向ビーム不安定性についての詳細、位相変調における電子ビーム安定化、およびその最適条件、すなわち変調周波数および変調振幅について報告する。 |
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WEP018 p.839 | SPring-8-IIにおける再利用を想定した真空封止型アンジュレータの大規模改造 Major refurbishment of an in-vacuum undulator for reuse in SPring-8-II ○長谷川 照晃,田中 隆次,金城 良太,貴田 祐一郎(理化学研究所 放射光科学総合研究センター),備前 輝彦,清家 隆光,久間 正之,鏡畑 暁裕(高輝度光科学研究センター) ○Teruaki Hasegawa, Takashi Tanaka, Ryota Kinjo, Yuichiro Kida (RIKEN SPring-8 Center), Teruhiko Bizen, Takamitsu Seike, Masayuki Kuma, Akihiro Kagamihata (JASRI) 2017年4月よりSPring-8 BL05を加速器診断ビームラインから硬エックス線領域の実験ビームラインへと用途を変更し、ユーザー利用を開始した。挿入光源はBL35XUで1999年8月から2010年3月まで利用した後、短周期型アンジュレータへの交換を機に撤去し、保管していた標準型アンジュレータ(長さ4.5m)を改造して再利用した。磁石列を支持する3つのユニットを保持する共通ベースを、ダイヤモンドワイヤーソーを用いて長手方向2/3の位置で2つに切り分け、真空チャンバや駆動軸などの機械連結部を外して分離した。このうち、2つのユニットが乗る架台を再利用して、長さ4.5mから3mへと短尺化した。これはSPring-8アップグレード(SPring-8-II)で直線部が短縮された後でも継続して利用できる寸法である。磁石列も、端部磁石を再配置してから磁場積分と磁場分布を再調整することにより、2ユニット分を再利用し、さらに、電気配線や冷却水配管も、整理して再構築した。これらの改造には約2カ月を要するが、新規に製作する場合と比較してコストは約1/10まで安価になる。しかし、磁石周期22mm、磁石列長さ3.6mの最適設計に比べて、ユーザーが利用する光フラックスは1/3まで低下するデメリットもある。本稿では、既存のアンジュレータを再利用するための改造について述べる。 |
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WEP019 p.843 | 数サイクル光パルス発生のためのFELシミュレーション FEL simulations for few-cycle pulse generation ○羽島 良一,永井 良治(量研) ○Ryoichi Hajima, Ryoji Nagai (QST) 共振器型自由電子レーザーでは、光共振器の完全同期長条件下で数サイクルの超短光パルスを発生できることが実験およびシミュレーションにて確認されている。われわれは、これを高次高調波発生と組み合わせることで、アト秒からゼプト秒の超短X線パルスの発生と利用の可能性を提案している。数サイクル光パルスのFEL相互作用をシミュレーションする場合、Slowly Varying Envelope Approximation(SVEA)が成り立たないこと、電子の位相を波長にわたって平均化する操作が正しい近似を与えないことなどに注意しなければならない。本報告では、数サイクル光パルス発生のためのFELシミュレーション技法について、これまでの考察結果をまとめる。 |
ハドロン加速器 (8月2日 第1,2,3,4会議室他) | |
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WEP020 p.847 | J-PARC 3MeV LINACを用いたビームスクレーパの負水素ビーム照射試験 Negative hydrogen ion beam irradiation experiments of beam scrapers using the J-PARC 3MeV-linac ○平野 耕一郎,石山 達也(J-PARC/原子力機構),杉村 高志,丸田 朋史(J-PARC/高エネ研),栗原 俊一(高エネ研) ○Koichiro Hirano, Tatsuya Ishiyama (J-PARC/JAEA), Takashi Sugimura, Tomofumi Maruta (J-PARC/KEK), Toshikazu Kurihara (KEK) パルス幅500μsのマクロパルスビームは、RFQ下流のMEBT領域にあるRFチョッパ空洞の電界によって、その一部が蹴りだされ、パルス幅456nsの中間パルスが815nsの周期で並んだ構造を持つビームに整形される。蹴りだされたビームは、RFチョッパ空洞から約70cm離れた場所にあるビームスクレーパに負荷される。これまで、炭素複合材を用いたビームスクレーパの表面最大温度は2500℃、損傷による深さは300μmであった。今後、ビーム電流が増強されるため、負水素イオンビーム照射による化学的な変化や昇華などにより、ビームスクレーパの損傷が増大することが懸念される。そこで、J-PARCリニアックとは別に、3MeVリニアックを構築し、ビームスクレーパの照射試験を実施している。運転条件は、ビームエネルギー3MeV、ビーム電流30mA、最大パルス幅1ms、最大繰り返し5Hz、ビームサイズ(σx 3.3mm、σy 2 mm)、1σ当たりの最大電力密度15MW /m^2である。今回は、ビームスクレーパの照射試験について報告する。 |
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WEP021 p.853 | J-PARC 3 GeVシンクロトロンビームコリメータの故障原因究明作業 A failure investigation of the beam collimator system in the J-PARC 3 GeV rapid cycling synchrotron ○岡部 晃大,山本 風海,神谷 潤一郎,高柳 智弘,山本 昌亘,吉本 政弘(J-PARCセンター加速器ディビジョン),竹田 修(日本アドバンストテクノロジー株式会社(NAT)),堀野 光喜,植野 智晶(J-PARCセンター加速器ディビジョン),柳橋 亨(日本アドバンストテクノロジー株式会社(NAT)),武石 健一,滑川 裕矢(J-PARCセンター加速器ディビジョン),引地 裕輔(日本アドバンストテクノロジー株式会社(NAT)),加藤 新一,高橋 博樹(J-PARCセンター加速器ディビジョン) ○Kota Okabe, Kazami Ymamoto, Junichiro Kamiya, Tomohiro Takayanagi, Masanobu Yamamoto, Masahiro Yoshimoto (Accelerator Division, J-PARC Center, Japan Atomic Energy Agency (JAEA) ), Osamu Takada (Nippon Advanced Technology Co.,Ltd.), Koki Horino, Tomoaki Ueno (Accelerator Division, J-PARC Center, Japan Atomic Energy Agency (JAEA) ), Toru Yanagibashi (Nippon Advanced Technology Co.,Ltd.), Kenichi Takeishi, Yuya Namekawa (Accelerator Division, J-PARC Center, Japan Atomic Energy Agency (JAEA) ), Yusuke Hikichi (Nippon Advanced Technology Co.,Ltd.), Shinichi Kato, Hiroki Takahashi (Accelerator Division, J-PARC Center, Japan Atomic Energy Agency (JAEA) ) J-PARC 3 GeVシンクロトロン(RCS)は、物質生命科学実験施設と主リングシンクロトロンに、最大1 MWの大強度陽子ビームを供給している。RCSには、ビーム損失を局所化し、機器の放射化を抑制するためにビームコリメータが設置されている。このコリメータシステムは、1つのビームハロー散乱体部と5つの散乱したハローを回収する吸収体部とで構成されている。散乱体部は他の加速器真空容器と比べて駆動装置にて口径を狭められるように設計されており、加速中に広がったビームハローはすべてコリメータ散乱体で散乱され、吸収体部にて回収される。2016年4月のコリメータ保守作業時に吸収体部の1つで大規模な真空漏れが発生したため、故障したコリメータ吸収体を取り外して代替の真空ダクトを設置することで応急的な対処を行い、ビーム利用運転を継続した。 取り外したコリメータの故障原因を特定するためには、遮蔽体を解体し、駆動部分をあらわにする必要がある。しかし、故障したコリメータ吸収体部はその機能上非常に放射化しており、ビームが直接当たる真空ダクト内コリメータ本体では40 mSv/hという非常に高い表面線量が測定された。従って、作業員の被ばく線量管理、及び被ばく線量の低減措置をしながら解体作業を行い、真空リーク箇所の特定に成功した。本発表では、コリメータの故障原因究明作業について報告する。 |
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WEP022 p.858 | J-PARCマルチMW化のためのバンチ操作 A bunch manipulation for multi-MW J-PARC ○大森 千広,杉山 泰之,長谷川 豪志,原 圭吾,古澤 将司,吉井 正人(KEK/J-PARC),島田 太平,田村 文彦,山本 昌亘(JAEA/J-PARC) ○Chihiro Ohmori, Yasuyuki Sugiyama, Katsushi Hasegawa, Keigo Hara, Masashi Furusawa, Masahito Yoshii (KEK/J-PARC), Taihei Shimada, Fumihiko Tamura, Masanobu Yamamoto (JAEA/J-PARC) J-PARC MRはT2Kニュートリノ実験のために470kW、ハドロン実験に45kWのビームを供給している。2019年に高繰り返し運転のために新しい電磁石電源が導入される予定である。これに加え加速システムの電源を強化することで、1.3MWのビーム供給を目指している。MRでは空間電荷効果に関するビームスタディの結果から、更なるビーム強度を実現するためには入射エネルギーを上げることが必要となり、新ブースターが検討されている。このブースターは6-8GeVの加速器であるため、強度の高いビームバンチをMRに入射することができる。しかし、通常の入射では入射できるバンチ数に制限がある。これに対し、CERNのLHC実験のためにPS加速器で使われているバッチコンプレッションと呼ばれるバンチ操作をMRでも行うことでバンチ数を増やすことができる。このバンチ操作を用いた3MWのビーム供給の可能性について検討をおこなう。 |
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WEP023 p.863 | 加速器駆動核変換システムのための高繰り返しシンクロトロンの設計 Design study of rapid cycle synchrotron for accelerator driven system ○不破 康裕,栗山 靖敏,上杉 智教,石 禎浩(京大原子炉),雨宮 尚之(京大工) ○Yasuhiro Fuwa, Yasutoshi Kuriyama, Tomonori Uesugi, Yoshihiro Ishi (KURRI), Naoyuki Amemiya (Graduate School of Engineering, Kyoto University) 核変換により放射性廃棄物の有害度を低減する ADS (Accelerator Driven System) の実用化に向けて、安定した陽子ビームを原子炉に供給できる加速器としてシンクロトロンを用いるコンパクトな加速器の開発を検討している。この計画では、交流高温超伝導マグネットと共鳴ビーム取り出しを応用した高繰り返しシンクロトロンの採用により小型化・高信頼化の実現を目指している。本発表では、このシンクロトロンの光学系及び共鳴ビーム取り出し系の基本設計について報告する。 |
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WEP024 p.866 | J-PARC 3GeVシンクロトロンにおけるレーザー荷電変換入射実現に向けた原理検証実験の現状 Status of proof-of-principle experiment for 400 MeV H- stripping to protons by using only lasers in the 3-GeV RCS of J-PARC ○サハ プラナブ,原田 寛之,加藤 新一,三浦 昭彦,岡部 晃大,吉本 政弘,金正 倫計(原子力機構),山根 功,入江 吉郎,劉 勇(高エネ研) ○Pranab Saha, Hiroyuki Harada, Shinichi Kato, Akihiko Miura, Kota Okabe, Masahiro Yoshimoto, Michikazu Kinsho (JAEA), Isao Yamane, Yoshiro Irie, Yong Liu (KEK) In the 3-GeV RCS (Rapid Cycling Synchrotron) of J-PARC (Japan Proton Accelerator Research Complex), we propose for experimental studies for POP (proof-of-principle) demonstration of 400 MeV H- stripping to protons by using only lasers. The advantages of this method are not only to overcome the lifetime problem of the stripper foil but also to solve the high residual radiation at the injection area due to the interactions of foil with the beam. The method consists of 3 steps. The H- is first neutralized to H0 by using a Nd:YAG laser of 1064 nm. The ground state (n=1) H0 is excited to two level higher states (n=3) producing H0* by using an Excimer laser of 193 nm in the 2nd step. The H0* is then stripped to proton in the 3rd step by using another Nd:YAG laser of 1064 nm. The characteristic feature of this method is that no magnetic field is used, which requires extremely high magnetic field at lower H- energy. The POP experimental studies will be conducted at the L-3BT (Linac to 3-GeV Beam Transport) of J-PARC. The present status and plan for the POP experiment of 400 MeV H- stripping to protons are presented in this paper. |
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WEP025 p.871 | リニアック加速空洞用冷却水設備の現状2017 Present status of water cooling system at J-PARC linac 2017 ○菅沼 和明,廣木 文雄,伊藤 崇,山﨑 良雄(原子力機構 J-PARC) ○Kazuaki Suganuma, Fumio Hiroki, Takashi Ito, Yoshio Yamazaki (JAEA J-PARC) 2016年の本年会の報告では、 J-PARCのリニアック冷却水設備のひとつである 設備名称RI4の全体流量の減少原因について 水の汚濁と汚濁によるポンプ性能の変化であるとの仮説を立てた。 この一年の全体流量の減少対策として、 循環ポンプの追加設置による南北配管の送水分離を実施した。 同様に、冷却水中の浮遊物の調査を開始した。 ポンプの追加により全体流量は以前より安定している。 また既存のポンプの構成でも流量の変動は現れていない。 これは冷却水の入れ替えが汚濁を薄めたと考えられ、 昨年発表の仮説を裏付けるものと考えている。 浮遊物の調査では、Cu,Fe,Ni,Cuなどを検出し、Cuのメジアン径を測定した。 本発表では、冷却水中の浮遊物の調査報告および安定運転のために行うべき対策を提案する。 |
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WEP026 p.874 | J-PARC RCS 冷却水設備冷却塔ファン不具合ベアリングユニットの振動解析 Vibration analysis of water cooling towers' defective fan bearing units at J-PARC RCS ○藤来 洸裕,菅沼 和明,山崎 良雄(原子力機構 J-PARC) ○Kosuke Fujirai, Kazuaki Suganuma, Yoshio Yamazaki (JAEA J-PARC) J-PARC 3GeVシンクロトロン加速器(RCS)は、RF装置、電磁石および電磁石電源などの装置が数多くある。これらの装置は、運転時に17MWの電力を使い、そのうち多くは熱エネルギーとなっている。よって、加速器の運転には、冷却水設備が必要不可欠であり、その安定性は、加速器の稼働率を左右する。最近の運転経験から、冷却水設備の重要な部品ともいえる冷却塔ファンのベアリングユニットが故障した。今回の事象はJ-PARC全体の運転停止につながる。冷却水設備の安定運転に資するため、今回、故障の原因を調べ、ベアリングユニットの振動測定およびベアリングを切断し観察した。振動測定の結果、ベアリングの傷の有無で振動周波数に違いがあることが分かった。また、ベアリングを分解した際、外輪に傷がついていた。調査したところ、傷はフレーキング痕という傷だと思われる。本発表では、測定した振動データの値とベアリングについたフレーキング痕について報告する。 |
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WEP027 p.877 | 荷電変換薄膜を用いた荷電変換ビーム多重入射に由来する放射化の抑制に向けた取り組みと課題 Struggle to suppress radio-activation due to multi-turn charge exchange beam injection with stripper foil and its issues ○吉本 政弘,加藤 新一,岡部 晃大,原田 寛之,金正 倫計(原子力機構/J-PARCセンター) ○Masahiro Yoshimoto, Shinichi Kato, Kota Okabe, Hiroyuki Harada, Michikazu Kinsho (JAEA/J-PARC) MW級の大強度陽子ビームの利用運転を実現するためには、機器の放射化の抑制が重要な課題となる。J-PARC 3GeVシンクロトロン加速器(RCS)では、入射直線部にコリメータシステムを導入しビーム損失を局所化することでそれ以外の機器の放射化を抑制する思想で設計されている。しかし、コリメータ部の他に荷電変換薄膜の周辺部においてきわめて高い残留線量が観測されている。これまでの詳細な残留線量分布測定とPHITSを用いたシミュレーション結果から、この放射化の原因はビーム入射期間中に入射ビーム及び周回ビームの荷電変換薄膜への衝突による核反応によって生成された2次粒子(陽子及び中性子)であると強く示唆されてきた。さらに詳細な調査を進めるべく、Ge半導体検出器を用いた放射化分析を実施し、2次粒子による影響評価を行った。また入射部機器の放射化抑制を実現するために、周回ビームの薄膜への衝突回数を減らすことで2次粒子の発生を抑制する努力を続けてきた。同時に衝突回数を計測するための新たなビーム損失モニタの開発も行った。本発表では放射化分析による2次粒子の影響評価と薄膜への衝突回数の減少による放射化抑制について報告する。また現在100度ダンプラインに新たに設置を計画している薄膜からの2次粒子測定を目的とした荷電変換薄膜ビーム照射装置についても報告する。(本研究はJSPS科研費 JP16K05027の助成を受けたものである。) |
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WEP028 p.882 | J-PARC MRトンネル内監視カメラの運用状況、及び耐放射線性能について Operation status and radiation resistant performance of surveillance camera in J-PARC MR tunnel ○仁木 和昭,山本 昇(高エネ研),足立 昌俊,渡邉 和彦(三菱電機システムサービス株式会社) ○Kazuaki Niki, Noboru Yamamoto (KEK J-PARC), Masatoshi Adatchi, Kazuhiko Watanabe (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd) J-PARC 主リング(MR)の加速器トンネルには2008年のMR運転当初から38台(入射及び取り出しのビームライン部は除く)のCCDカメラが設置され主にトンネル内の非常停止ボタンやトンネル作業の監視に用いられている。これらCCDカメラは 放射線の影響を軽減するために鉛ブロックや鉛ガラスのケースに入れられているが、ビームロスが大きい入射直線部や取り出し部に設置されているカメラは運転時の放射線によりCCDがダメージを受け、夏のメンテナンス時に交換することで対応してきた。しかし近年ビームパワーの増強と共に僅か1ヶ月以下で故障するカメラも出てきた。このため入射直線部に設置された特にビームロスが多く放射線の強い影響を受けるカメラを2014年にCCDからCID(Charge Injection Device)タイプに変えて試験を始めた。本論文ではこれまでの経緯や2017年夏までにビーム運転により約1000GyがCIDカメラに照射されたのでその影響やその他問題点について報告し、さらに今後の検討課題等について述べる。 |
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WEP029 p.885 | J-PARCリニアックコミッショニングの進歩 Progresses of J-PARC linac commissioning ○劉 勇(高エネ研) ○Yong Liu (KEK) In the past year J-PARC linac accomplished many upgrades. Separated amplifiers were ready for the chopper cavities, and the ringing effects due to previous connection in series were cured. Newly designed bunch shape monitors for MEBT1 (3 MeV) and MEBT2-ACS(~200MeV) were tested on-line, which will work for the longitudinal measurement and 3D matching to DTL and ACS. Lattices in the 200~400MeV part (ACS section) with actually redesigned both in transverse and longitudinal planes were studied and tested. Results of successfully mitigated beam loss from the intra-beam stripping effect were obtained. |
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WEP030 p.889 | J-PARC MR における横方向共鳴とその補正 Transverse resonances and corrections in J-PARC MR ○五十嵐 進,大見 和史,佐藤 健一,下川 哲司,山田 秀衛(高エネ研) ○Susumu Igarashi, Kazuhito Ohmi, Kenichi Sato, Tetsushi Shimogawa, Shuei Yamada (KEK) 大強度陽子加速器施設(J-PARC)の主リング(MR)での大強度運転において、空間電荷効果によりチューンは大きな広がりを持つ。そのチューンの広がりが電磁石のばらつき・誤差磁場などから生じる横方向共鳴を横切り、ビームロスの原因となっている。共鳴としては、半整数共鳴、三次共鳴などがあり、それぞれの共鳴を補正することにより、ビームロスを改善している。さらなる改善のために、四次共鳴 2νx - 2νy = 0 などについて粒子トラッキングシミュレーションを行い、その補正方法を検討した。クロマティシティ補正のための六極電磁石を多数使用しており、その高次効果により四次共鳴が生じる。その効果についてSADを使ってシミュレーションを行い、八極電磁石により共鳴補正ができることを確認した。また、空間電荷効果によっても四次共鳴が発生する。空間電荷効果を考慮した粒子トラッキングシミュレーションSCTRにより四次共鳴の効果を検討した。その結果、四次共鳴にビーム強度依存性があることがわかり、八極電磁石で補正する方法を検討した。 |
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WEP031 p.892 | J-PARC MRにおけるビーム散乱体を用いた遅い取り出しビームロス低減手法の検討 Simulation study of beam scatterer for beam loss mitigation in slow extraction at J-PARC MR ○武藤 亮太郎,新垣 良次,木村 琢郎,村杉 茂,岡村 勝也,白壁 義久,冨澤 正人,柳岡 栄一(高エ研) ○Ryotaro Muto, Yoshitsugu Arakaki, Takuro Kimura, Shigeru Murasugi, Katsuya Okamura, Yoshihisa Shirakabe, Masahito Tomizawa, Eiichi Yanaoka (KEK) J-PARC(茨城県東海村)の30GeV陽子シンクロトロン(以後J-PARC主リングと呼ぶ)では、遅い取り出しビームのさらなる大強度化を目指して性能向上の努力が続けられている。 陽子シンクロトロンからの遅いビーム取り出しにおいてはビームロスが原理的に不可避である。それはビームを削り出す役割を担う静電セプタム(ESS)のセプタム電極に必ずある割合でビームが当たってしまうからである。このビームロスは加速器の機器の放射化を引き起こすため、大強度ビームの遅い取り出しを目指す際には如何にビームロスを低減するかが最も重要な課題の1つとなる。 本発表では、 静電セプタムのセプタム電極の上流にビーム散乱体を設置することにより、セプタム電極にヒットするビーム量を減らし、ビーム散乱体によるものとセプタム電極によるものを合わせた総ビームロス量を、ビーム散乱体を設置しない場合よりも減らすことが出来る可能性について、シミュレーション結果に基づいて議論し、ビームロス低減に最適なビーム散乱体の材質や位置、形状について報告する。 |
ビームダイナミクス・加速器理論 (8月2日 第1,2,3,4会議室他) | |
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WEP032 p.896 | 炭素線用ガントリーによる治療照射に向けたビームコミッショニング Beam commissioning for carbon-ion radiotherapy by a rotating gantry ○藤本 哲也(加速器エンジニアリング),岩田 佳之,藤田 敬,佐藤 眞二,白井 敏之(放医研) ○Tetsuya Fujimoto (AEC), Yoshiyuki Iwata, Takashi Fujita, Shinji Sato, Toshiyuki Shirai (NIRS) 粒子線治療において回転ガントリーは治療計画の柔軟性の向上、患者負担の軽減が期待できる重要なツールである。放射線医学総合研究所では超伝導電磁石を用いた炭素線回転ガントリーを開発し、治療照射への利用に向けて2015年10月以降ビームコミッショニングを進めてきた。放医研回転ガントリーコースでは精密なビームコントロールが要求される3次元高速スキャニング法による治療照射が行われる。そのためアイソセンターにおいてガントリー角度に依らず一定のスポット形状を得ることが重要である。その実現のため散乱体法によるエミッタンス整合を考慮したビーム輸送ラインの光学設計が行なわれ、それを元にエネルギー範囲430 ~ 48 MeV/u(202エネルギー段)、360角度に対してビームコミッショニングを進めてきた。ビームコミッショニングではアイソセンターにおけるスポットサイズや形状をエネルギー毎に目標値に調整するだけでなく、スポット位置の再現性および時間変動の抑制、最大照射野の確保などスキャニング照射に要求される様々な条件を満たすように進められた。その結果、スキャニング照射の要求仕様を満たすビーム品質を得ることに成功し、2017年5月に回転ガントリーによる初めての治療照射が行われた。本発表では炭素線回転ガントリービームコミッショニングの結果、コミッショニング中に生じた問題点および解決策について報告する。 |
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WEP033 p.901 | 線形集束場の揺らぎが高強度ハドロンビームの長時間安定性に及ぼす影響に関するポールトラップ実験 Paul-trap experiment on the effect of linear focusing-field fluctuations on the long-term stability of an intense hadron beam ○伊藤 清一,松葉 政統,岡本 宏己(広島大学 大学院 先端物質科学研究科) ○Kiyokazu Ito, Masanori Matsuba, Hiromi Okamoto (Grad. Advanced Sciences of Matter, Hiroshima Univ.) 加速器中を走行する荷電粒子ビームと線形ポールトラップ中に捕捉されたイオン群(非中性プラズマ)の運動は空間電荷効果まで考慮しても物理的に等価である.従って,加速器ビームの運動を非中性プラズマを用いて模擬的に実験することが可能である.非中性プラズマを用いた実験には,パラメーターの制御性が高く,その可変範囲も広い,現象が眼前で進行するので観測が容易である,放射化の心配が無い,安価である等の利点がある. 電源のノイズ等により収束場に揺らぎが生じるとビームの安定性が損なわれ,ライフタイムは短くなる.次世代の大強度蓄積リングを設計するためには,このような揺らぎが大強度ビームの長時間安定性に与える影響を評価しておくことが重要である.本研究では線形ポールトラップの断面方向閉じ込め用の四重極高周波電圧に意図的にノイズを重畳することで,ビーム(イオンプラズマ)の安定性に収束場の揺らぎが及ぼす影響を実験的に調査した. |
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WEP035 p.905 | SuperKEKB LER電子雲効果抑制のための永久磁石 Permanent magnets for suppressing the electron cloud effects in the SuperKEKB LER ○末次 祐介,福間 均(高エネ研) ○Yusuke Suetsugu, Hitoshi Fukuma (KEK) 2016年2月-6月のSuperKEKB Phase-1運転時、陽電子リング(LER)において、ビーム電流約600 mAから、垂直方向ビームサイズ増大等、電子雲不安定性(ECE)が観測された(3 RFバケット間隔、1576バンチ)。原因はリングに約820個設置されたアルミ合金製ベローズチェンバー部の電子雲によるものであった。運転期間中、すべての当該ベローズチェンバーにビーム方向に約100 Gの磁場を形成する永久磁石ユニット(鉄ヨーク+φ30永久磁石16個)を取り付けた結果、このECEは緩和された。しかし、ビーム電流約900 mA以上蓄積時にECEが再度観測された。ドリフト部のビームパイプ内の電子雲が原因の一つと考えられた。次期Phase-2運転はビーム電流1 A以上となるため、その運転開始前にドリフト部にも永久磁石ユニットを取付けることにした。この永久磁石ユニットはビームパイプに沿って一定の間隔で配置され、ビーム方向に約60 Gの磁場をつくる。永久磁石をベローズチェンバーやドリフト部ビームパイプへ取り付けた時の、ビームパイプ内の電子密度分布はシミュレーションコードCLOUDLANDで解析され、ビーム中心付近の密度は磁場無しの場合に比べて、設計ビームパラメータでも1/50程度まで下がると予想された。本講演では、設置した永久磁石の構造、それによる電子雲抑制効果およびシミュレーション結果を報告する。 |
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WEP036 p.910 | SuperKEKBにおけるTurn by Turn モニターを用いたHead Tail Dampingの解析と横方向インピーダンスの評価 Transverse impedance measurement in SuperKEKB ○黒尾 奈未(筑波大学),大見 和史,大西 幸喜,飛山 真理,末次 祐介,三増 俊広,周 徳民,照井 真司,柴田 恭,石橋 拓弥(高エネルギー加速器研究機構) ○Nami Kuroo (University of Tsukuba), Kazuhito Ohmi, Yukiyoshi Ohnishi, Makoto Tobiyama, Yusuke Suetsugu, Toshihiro Mimashi, Zhou Demin, Shinji Terui, Kyo Shibata, Takuya Ishibashi (KEK) 高エネルギー加速器研究機構では、KEKB加速器の性能の40倍であるルミノシティ8×10^35cm-2s-1をめざして改造をするSuperKEKBプロジェクトが進められている。このプロジェクトのPhase1では、蓄積リングとしてのパフォーマンステストが行われ、TbTモニターを用いたHead Tail Dampingの測定も行われた。測定ごとにHER,LERともにパラメータを変え、ベータトロンモーションがキッカーによりエキサイトされている。ビーム安定性のために、リングのインピーダンを押さえておくことは重要であり、振幅の減衰率からWakeを求めている。Wakeは、電流依存によるチューンシフトから求めたWakeとのクロスチェックなどで評価しており、本報告ではこのことに関して述べる。 |
高周波加速構造 (8月2日 第1,2,3,4会議室他) | |
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WEP037 p.914 | SuperKEKB Phase-1における超伝導空洞の運転状況とSiCダンパーの開発 Operation status of superconducting accelerating cavity and development of SiC damper for SuperKEKB ○西脇 みちる,赤井 和憲,可部 農志,古屋 貴章,光延 信二,森田 欣之(高エネ研) ○Michiru Nishiwaki, Kazunori Akai, Atsushi Kabe, Takaaki Furuya, Shinji Mitsunobu, Yoshiyuki Morita (KEK) SuperKEKB加速器では、2016年2月から6月までビームコミッショニング運転(Phase-1)が実施され、電子リングで870 mA、陽電子リングで1010 mAの蓄積電流に達し、無事に運転を終えた。電子リングでは、8台の超伝導加速空洞が運転に用いられている。ヘリウム冷凍機システムを含め、超伝導空洞システムは、KEKB加速器からの再利用である。2010年からの運転停止期間中には、横型高圧水洗浄による空洞性能回復や老朽化機器の更新等を実施し、SuperKEKBでの運転再開に備えた。2015年11月から常温カプラーエージングを開始し、2016年2月に5年半ぶりに空洞を冷却して空洞エージングを実施し、ビーム運転を行った。約4ヶ月のビーム運転中には、老朽化対策のため更新したピエゾアクチュエータを用いた周波数チューナーに問題が発生したが、超伝導空洞に起因するビームアボートは9回でありKEKB加速器と同様の安定した運転が実現できた。 SuperKEKB加速器の電子リングのデザインビーム電流は2.6 Aであり、超伝導空洞ではKEKB加速器の2倍以上のHOMパワーが発生するため、対策としてSiCを用いたHOMダンパーを空洞後方に設置する。まず試験機を1セット製作し、2018年1月からのPhase-2の運転にてビーム試験を実施する予定である。 本稿では、超伝導空洞の性能回復とPhase-1での立ち上げや運転状況、SiC製HOMダンパーの開発について報告する。 |
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WEP039 p.919 | 4分割方式Xバンド単セル型空洞の高電界試験の結果 High-gradient test results on a quadrant-type x-band single-cell structure ○阿部 哲郎,高富 俊和,肥後 壽泰,松本 修二,荒木田 是夫(高エネ研) ○Tetsuo Abe, Toshikazu Takatomi, Toshiyasu Higo, Shuji Matsumoto, Yoshio Arakida (KEK) 常伝導の高電界加速管は、従来、輪切りに相当するディスクを十数枚から数十枚積み重ねて接合する方法で製作する。この場合、加速モードによる表面電流は、ディスク間の接合面(ビーム軸に垂直)を渡る。一方、4分割方式(または、2分割方式)で製作する加速管は、ビーム軸を含む平面が接合面となるため、当該表面電流が接合面を渡ることは(摂動的効果を除き)無いという大きな特徴を持つ。また、高電界加速管製作を4分割方式で行うことにより、大幅なコスト削減に繋がる可能性もある。我々は、2009年、18個セルから成る減衰型Xバンド加速管を4分割方式で製作し、高電界試験を行った。Xバンド加速管は、減衰型の場合でも、加速勾配 100 MV/m 以上までコンディショニング出来るのが通常である。しかし、その4分割方式加速管では、60 MV/m より高い領域へ到達することが出来なかった。実験的にその原因を突き止めることは出来なかったが、その後のシミュレーション研究等に基づき、従来の4分割方式について考えられる全ての欠点を克服する改良4分割方式を考案した。そして、実際にその効果を調べるため、比較的試験遂行の容易な単セル型空洞を改良4分割方式で製作、KEK/Nextef 施設にて高電界試験を行った。その結果、目標の 100 MV/m を大きく上回り、120 MV/m を超える加速勾配まで達成することができ、新しい4分割方式の効果と可能性を確認した。 |
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WEP040 p.924 | J-PARC MRにおける金属磁性体コア(FT3L)を用いたRF空胴の運転状況と真空コ ンデンサの開発 Status report of the RF cavity with FT3L MA cores and development of a vacuum capacitor ○長谷川 豪志,大森 千広,杉山 泰之,原 圭吾,古沢 将司,吉井 正人(高エネルギー加速器研究機構),島田 太平,田村 文彦,山本 昌亘(日本原子力研究開発機構) ○Katsushi Hasegawa, Chihiro Ohmori, Yasuyuki Sugiyama, Keigo Hara, Masashi Furusawa, Masahito Yoshii (KEK), Taihei Shimada, Fumihiko Tamura, Masanobu Yamamoto (JAEA) J-PARC Main Ring(MR)では高繰り返し化によるビームパワー増強計画が進められており、RF空胴にも現状の2倍の加速電圧 が要求されている。この要求を満たすため、高インピーダンス金属磁性体コア(FT3L)を用いた新しい空胴への置き換えを2014年から順次進めてきた。新空胴は、2016年夏に全台数(9台)の置き換えが完了して現在まで順調に稼働しており、またこれまでの稼働実績から主な故障についても分かってきた。このなかで長時間運転を停止する主な故障の一つに空胴本体で使用されている真空コンデンサの絶縁破壊がある。これは復旧作業でトンネル内入域が必要な事から8時間以上の運転停止となる。よって、故障した真空コンデンサの内部状態の観察や設計変更を含めた対策を進めている。本発表では、FT3L空胴の運転状況と現在進めている真空コンデンサの開発について報告する。 |
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WEP041 p.929 | cERL入射器クライオモジュールの大電力RFパルスコンディショニング High power RF pulsed conditioning in cERL injector cryomodule ○今田 信一,浅野 峰行,柳町 太亮,山田 浩気(日本アドバンストテクノロジー),許斐 太郎,加古 永治(KEK) ○Shin-ichi Imada, Mineyuki Asano, Taisuke Yanagimachi, Hiroki Yamada (NAT), Taro Konomi, Eiji Kako (KEK) KEKのコンパクトエネルギー回収型ライナック(cERL)の入射器クライオモジュールには3台の2セル超伝導空洞が収納されている。2016年3月の運転終了後から2017年3月の運転開始までの1年の停止期間の間に空洞の性能の劣化が見られたが、大電力RFパルスコンディショニングにより空洞性能を回復することができた。本発表では、大電力RFパルスコンディショニングの結果について述べる。 |
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WEP042 p.934 | 9セル超伝導空洞(IHEP-04)の空洞性能試験 Cavity performance of IHEP-04 9-cell cavity at KEK ○柳町 太亮,浅野 峰行,今田 信一,山田 浩気(日本アドバンストテクノロジー),梅森 健成,宍戸 寿郎,加古 永治(KEK),Zhai Jiyuan(IHEP) ○Taisuke Yanagimachi, Mineyuki Asano, Shin-ichi Imada, Hiroki Yamada (NAT), Kensei Umemori, Toshio Shishido, Eiji Kako (KEK), Zhai Jiyuan (IHEP) IHEP (Institute of High Enerty Physics, Chinese academy of sciences)にて製造されたTESLA型9セル超伝導空洞(IHEP-04)について、KEKで内面検査、電解分布測定、アニール、電解研磨などの一連の表面処理工程後に、たて測定を行った。達成された最大加速電界として、23.9MV/m(Q値 = 7.4×10^9)の結果が得られた。本レポートでは、主にIHEP-04空洞のたて測定結果について報告する。 |
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WEP043 p.937 | KEKにおける9セル超伝導空洞IHEP-04の内面検査 Inspection of inner surface in IHEP-04 9-cell cavity at KEK ○浅野 峰行,今田 信一,柳町 太亮,山田 浩気(日本アドバンストテクノロジー),梅森 健成,加古 永治(KEK),Zhai Jiyuan(IHEP) ○Mineyuki Asano, Shin-ichi Imada, Taisuke Yanagimachi, Hiroki Yamada (NAT), Kensei Umemori, Eiji Kako (KEK), Zhai Jiyuan (IHEP) IHEP (Institute of High Energy Physics, Chinese academy of sciences)で製造されたTESLA型9セル超伝導空洞(IHEP-04)について、低温での空洞性能を確認するたて測定がKEKで行われた。IHEP-04空洞について、内面検査、電解研磨、アニール、プリチューニングなどの測定前準備作業が一通り実施された。本発表では、主にIHEP-04空洞の高電界性能に大きく関連する空洞内表面の検査結果について報告する。 |
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WEP044 p.940 | cERL入射器クライオモジュールにおける長期間ビーム運転経験 Long operational experience with beam in cERL injector cryomodule ○山田 浩気,浅野 峰行,今田 信一,柳町 太亮(日本アドバンストテクノロジー),許斐 太郎,加古 永治(KEK) ○Hiroki Yamada, Mineyuki Asano, Shin-ichi Imada, Taisuke Yanagimachi (NAT), Taro Konomi, Eiji Kako (KEK) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、コンパクトエネルギー回収型ライナック(cERL)のビーム運転が2013年より開始されている。入射器クライオモジュールは2セル超伝導加速空洞3台を内蔵し、RFパワーは連続波(CW)で運転される。長期運転中には、劣化した入射器空洞の性能回復を目的とするパルスエージングが実施されている。本報告では、入射器空洞クライオモジュールの長期ビーム運転時におけるトラブルなどを含めた運転経験について報告する。 |
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WEP045 p.945 | クライオ光陰極高周波電子銃用多セル構造の最適化シミュレーション Optimization of multi-cell structure for cryo photocathode RF-gun ○山田 靖征,吉田 昂斗,田中 俊成(日本大学大学院理工学研究科),境 武志,野上 杏子,早川 建,早川 恭史,住友 洋介(日本大学電子線利用研究施設) ○Yasuyuki Yamada, Takato Yoshida, Toshinari Tanaka (Graduate School of Science and Technology, Nihon University), Takeshi Sakai, Kyoko Nogami, Ken Hayakawa, Yasushi Hayakawa, Yousuke Sumitomo (LEBRA, Nihon University) 日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)では、20K程度まで冷却した高純度の銅による低損失常伝導高周波空洞を用いたC バンド(5712 MHz)動作の高周波電子銃の開発を行っている。空洞構造としてはこれまで2.6 セルのπモード空洞について検討が行われてきたが、空洞数の最適化が行われていなかった。そこで本研究では、他研究施設における2.6セル以外の空洞開発も参考に、セル数を変えた場合の空洞計算及びビーム評価を行っている。本発表ではシミュレーションコード「SUPERFISH」と開発したサブルーチンを使用し空洞評価を行った結果及び、「SUPERFISH」で求めた空洞データを用いて行ったビームシミュレーション結果に関して報告する。 |
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WEP046 p.949 | 超伝導スポーク空洞開発の現状 Present status of superconducting spoke cavity development ○沢村 勝,羽島 良一(量研機構),佐伯 学行,久保 毅幸,江並 和宏(高エネ研),岩下 芳久,頓宮 拓,鉾之原 久雄(京大) ○Masaru Sawamura, Ryoichi Hajima (QST), Takayuki Saeki, Takayuki Kubo, Kazuhiro Enami (KEK), Yoshihisa Iwashita, Hiromu Tongu, Hisao Hokonohara (Kyoto University) スポーク空洞は、周波数が同じならば楕円空洞より小さくでき、さらにパッキングファクターにも優れているため加速器の小型化が可能になる。そこでLCS-X線やLCS-γ線、大出力FELなどの光源用の電子加速器を小型化し、産業・学術分野へ利用していくために超伝導スポーク空洞の開発を進めている。高周波特性を最適化したスポーク空洞は形状が複雑であるため、プレス加工工程を含めた金型の設計・製作を行った。最初のプレス成型試験では皺が発生したため、金型の修正を行い、2回目のプレス成型試験を行い、良好なプレス成型結果を得ることができた。スポーク空洞製作の現状について報告する。 |
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WEP047 p.953 | C形導波管を用いたHOMカップラーの高周波特性 RF property of HOM coupler with C-shape waveguide ○沢村 勝(量研機構),阪井 寛志,梅森 健成,許斐 太郎,古屋 貴章(高エネ研) ○Masaru Sawamura (QST), Hiroshi Sakai, Kensei Umemori, Taro Konomi, Takaaki Furuya (KEK) C形導波管は矩形導波管を丸めることにより同軸管のような構造をしているおり、内軸と外軸が仕切板で結合しているため、内軸を効率よく冷却することができる。また遮断周波数を持つため、入出力が同軸のハイパスフィルタを容易に構成することができる。このC形導波管をHOMカップラーとして用いた時の高周波特性について報告する。 |
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WEP048 p.957 | 超伝導QWRの開発 Development of superconducting QWR at MHI-MS ○柳澤 剛,仙入 克也,原 博史,宮本 明啓(三菱重工メカトロシステムズ) ○Takeshi Yanagisawa, Katsuya Sennyu, Hiroshi Hara, Akihiro Miyamoto (MHI-MS) 三菱重工メカトロシステムズ株式会社(MHI-MS)では、理化学研究所向け 超伝導Quarter Wave Resonator(QWR)の開発を行っている。また、近 年、超伝導空洞の表面処理を行うための設備を導入し、本QWR空洞にも 適用予定である。本発表では、超伝導QWRの開発状況を報告する。 |
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WEP049 | 3体構造RFQ線形加速器の高度化研究 Study on improvement of a 3-parts RFQ linac ○細貝 達哉,池田 翔太,田原 智祐(東工大院),林崎 規託(東工大研究院),岩井 岳夫(山形大),小林 知洋,大竹 淑恵(理化学研究所),山内 英明(タイム) ○Tatsuya Hosokai, Syota Ikeda, Tomohiro Tahara, Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Tech), Takeo Iwai (Yamagata Univ), Tomohiro Kobayashi, Yoshie Otake (RIKEN), Hideaki Yamauchi (TIME) 3体構造RFQ線形加速器は、センタープレート及びメジャーベーンと呼ばれる3つの部品を溶接やロウ付など使わずにボルト組み立てするものであり、機械精度と電力効率に優れており、アライメント誤差などの影響を最小限に抑えることが可能である。この構造を用いて製作された次世代重粒子線がん治療入射器及び理研RANS2のRFQ線形加速器の低電力試験結果と、3次元電磁場シミュレーション解析を通じて検討した、設計調整方法などの高度化研究について報告する。 |
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WEP050 | 4ビームIH-RFQ線形加速器の高周波特性 RF measurements of four-beam IH-RFQ linac ○池田 翔太,細貝 達也(東工大院),林崎 規託(東工大研究院) ○Shota Ikeda, Tatsuya Hosokai (Tokyo Tech), Noriyosu Hayashizaki (IIR, Tokyo Tech) 低エネルギー大強度重イオンビームの加速技術として、空間電荷効果が許容範囲の強度のビームを1台の加速空洞で複数並列同時加速後に統合(ファネリング)するマルチビーム加速法があり、東京工業大学では4ビームIH-RFQ線形加速器の原理実証機の開発をおこなっている。その全体概要と共振周波数、無負荷Q値、電場強度分布など高周波特性の測定結果について報告する。 |
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WEP051 p.961 | HOMカップラー4本付き空洞の対称性と共振モードの分類 Symmetry of an RF cavity having four HOM couplers and classification of its resonant modes ○坂中 章悟(高エネルギー加速器研究機構) ○Shogo Sakanaka (KEK) 検討中の極低エミッタンスリングKEK-LSにおいてバンチを伸長するため、1.5 GHzの高調波空洞を検討中である。検討中の高調波空洞では、空洞側壁に取り付ける4本の高次モードカップラーで高次モードを減衰させる。このような軸対称性が破れた加速空洞では、厳密に言うと、空洞内の共振モードを軸対称空洞の共振モード(TEnmp-like, TMnmp-like)で表すことが出来ない。特に、二つ以上の共振モードの共振周波数が近い場合、摂動によりそれらが混合し、電磁場パターンが元の共振モードと大きく異なるモードが出現する事がある。このような軸対称でない空洞においては、空洞の幾何学的な対称性を対称操作の群で表し、その群の既約表現を用いて共振モードを分類することができる。この方法では、任意の対称性を持つ空洞の共振モードを、システマティックで厳密に分類することができる。また、もとの軸対称空洞における共振モードのどれとどれとが摂動によって混合しうるかを、予言することができる。本発表では、検討中のHOMカップラー付き空洞を例にとって、空洞の対称性と共振モードの分類に関する考察を行う。 |
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WEP052 p.966 | アンテナ型HOMカプラを有する1.5GHz TM020モード型高調波空洞の検討 Design study of the 1.5GHz TM020 harmonic cavity with rod type HOM coupler ○高橋 毅,坂中 章悟,山本 尚人(高エネルギー加速器研究機構) ○Takeshi Takahashi, Shogo Sakanaka, Naoto Yamamoto (KEK) KEK放射光科学研究施設においては、極低エミッタンスの3GeV蓄積リング型高輝度放射光源(KEK-LS)が検討されている。本計画におけるエミッタンス性能実現のため、主加速空洞と高調波空洞を組み合わせたダブルRFシステムを使用し、バンチ長を伸ばすことを検討中である。ここで使用される高調波空洞はR/Qが小さく無負荷Q値が大きいことが要求されることから、TM020モードを加速に使用する1.5GHzのTM020モード型高調波加速空洞の設計検討を行った。TM020モードを使用する加速空洞は、高次モード(HOM)減衰用アブソーバを空洞内部に設置した構造が最初に提案された[1]。我々は、アンテナ型HOMカプラを使用してHOMを減衰させる、比較的構造の簡単な加速空洞を考え、これについて電磁場解析を行った。主にANSYS HFSSコードを用いて解析した結果、アンテナ型HOMカプラによりTM010モードを含む主要なHOMを十分減衰可能であることが判明した。一方、2つのHOMモードに関しては減衰が不十分であり、今後の課題が残っている。本発表ではアンテナ型HOMカプラを使用した1.5GHz TM020モード高調波空洞の構造、アンテナ型HOMカプラのTM020への影響、および各HOMのQ値の変化等を報告する。 参考文献:[1] 惠郷博文 他、「SPring-8-II高次モード減衰型高周波加速空胴の開発」第11回加速器学会年会、pp237-241 |
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WEP053 p.970 | 強制風冷式同軸型カプラ Forced-air-cooled coaxial coupler ○影山 達也,吉野 一男,渡邉 謙,阿部 哲郎,坂井 浩,竹内 保直(高エネ研) ○Tatsuya Kageyama, Kazuo Yoshino, Ken Watanabe, Tetsuo Abe, Hiroshi Sakai, Yasunao Takeuchi (KEK) 同軸型カプラの冷却について強制風冷方式を検討した。風冷は水冷(液冷)に比べて冷却効率は劣るが、以下のような二つの利点を有する。まず、浸食(エロージョン)・腐食(コロージョン)のリスクが格段に低い。次に、冷却流体は同軸管を満たしている媒質と同じ空気である。よって、内導体への冷却流体の導入において、冷却水(液)の場合に使用される丁字型、もしくは十字型のスタブ構造が不要となる。結果として、RF電力伝送の周波数帯域を広くとれる。広帯域という点では、加速空洞からの高次モードの取り出しに使用されるHOMカプラへの応用が期待される。ひとつの応用例として、アレス空洞の結合空洞減衰器を現行の水冷方式から風冷方式に変更する案について検討した。アレス空洞は、加速空洞が結合空洞を介して電磁場エネルギー貯蔵空洞に結合されている三空洞系であり、KEKBに引き続きSuperKEKBでも再使用される。結合空洞減衰器は、加速モード(π/2モード)の周波数近傍両側の寄生固有モード(0モード、πモード)を減衰させるべく、結合空洞に取り付けられる同軸アンテナ型カプラである。今回、当該風冷式カプラ開発に向けてのRF設計、熱流体解析による冷却性能評価などについて報告する。 |
高周波源 (8月2日 第1,2,3,4会議室他) | |
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WEP055 p.975 | SuperKEKB加速器Phase2に向けた大電力高周波源の状況 Current status of the high-power rf systems in SuperKEKB for Phase 2 ○渡邉 謙,吉田 正人,吉本 伸一,丸塚 勝美(KEK) ○Ken Watanabe, Masato Yoshida, Shin-ichi Yoshimoto, Katsumi Marutsuka (KEK) SuperKEKB加速器地上部大電源棟に設置されている大電力高周波源 では、Phase1運転終了後からPhase2運転開始に向けて、陽電子用DR リングの建設および各種機器のメンテナンスを行っている。 Phase1開始前までに、主リングに対する大規模な高周波源の 増強を実施、次いでPhase2開始前までにDRにおける大電力高周波源 の建設が行われた。本報告では陽電子用DRリングおよび主リングに おける大電力高周波源の状況について報告する。 |
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WEP056 p.978 | KEK 電子陽電子入射器における高周波源の運転統計及び維持管理 Operation statistics and maintenance activity of RF system in KEK electron-positron linac ○馬場 昌夫,今井 康雄,東福 知之,熊野 宏樹,諸富 哲夫(三菱電機システムサービス(株)),荒川 大,片桐 広明,川村 真人,設楽 哲夫,竹中 たてる,中島 啓光,中尾 克巳,福田 茂樹,本間 博幸,松本 利広,松本 修二,松下 英樹,三浦 孝子,道園 真一郎,矢野 喜治,QIU Feng,明本 光生(高エネルギー加速器研究機構) ○Masao Baba, Yasuo Imai, Tomoyuki Toufuku, Hiroki Kumano, Tetsuo Morotomi (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Masato Kawamura, Tetsuo Shidara, Tateru Takenaka, Hiromitsu Nakajima, Katsumi Nakao, Shigeki Fukuda, Hiroyuki Honma, Toshihiro Matsumoto, Shuji Matsumoto, Hideki Matsushita, Takako Miura, Shinichiro Michizono, Yoshiharu Yano, Feng Qiu, Mitsuo Akemoto (KEK) KEK電子陽電子入射器では、高周波源として57 台の大電力クライストロンを使用している。 2011年より SuperKEKB へのアップグレード作業が開始され、57台の高周波源は入射器上流部(23台)、下流部(34台)と分かれ2つのリングへの入射で必要となる入射器下流部のみ連続運転が行なわれてきたが、2016年2月から SuperKEKB への入射(Phase1)が開始され、全57台が連続運転となった。Phase1 は2016年6月に終了したが、Phase2 に向けてビームスタディを行なう為、57台の連続運転を継続している。 現在設置しているクライストロンの平均運転時間は約61,000時間である。2016年度はクライストロンマグネットの絶縁抵抗低下やクライストロン冷却用銅パイプからの水漏れにより2台の交換を行なった。 現在設置しているサイラトロンの平均運転時間は約30,000時間である。2016年度はG1端子放電による交換が1台、重要ユニットなどの事前交換により10台、その他2台の交換を行なった。 本稿ではクライストロン,サイラトロンなどに関する統計及び大電力高周波源に関する不具合事例と運転保守について報告する。 |
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WEP057 p.982 | 仮想陰極発振器における電子ビームの挙動 Behavior of electron beam in virtual cathode oscillator ○伊藤 智哉,大賀 達朗,孔 純亜,須貝 太一,江 偉華(長岡技術科学大学) ○Tomoya Ito, Tatsuro Ohka, Chunya Kong, Taichi Sugai, Weihua Jiang (Nagaoka University of Technology) 大電力マイクロ波(High Power Microwave : HPM)に関する研究は加速器や送電といった分野への応用が期待されている。HPM発生源のひとつに仮想陰極発振器(Virtual cathode oscillator : Vircator)がある。仮想陰極発振器は他のHPM発生源と比較して外部磁場が不要で構造が簡単、周波数の調整が可能、大電力を発生可能という利点を持つ。反面、変換効率が高くても十数%と低い、発振メカニズムに不明な点が多いという欠点も併せ持っている。本研究室ではこれまでに高効率・大電力の仮想陰極発振器の開発を目的に、高繰り返しパルスパワー発生装置”ETIGO-Ⅳ”を用いた仮想陰極発振器の構造検討及びマイクロ波測定、共振器の導入と効果の検証、Particle in cell(PIC)コード”MAGIC”でのシミュレーションによる最適化を行ってきた。その結果発振周波数2.5GHz、最大電力82MWのマイクロ波を発生することに成功した。本研究は仮想陰極発振器における電子ビームの挙動を定量的に解析しマイクロ波との関係性をより明確にすることを目的とした。電子ビーム電流測定用の分流器を製作しビーム進行方向での電流分布、導波管の径方向に発散する電流量、カソードからの電子の放出分布の測定を行った。これらの結果を踏まえ、仮想陰極発振器における電子ビーム挙動とマイクロ波の関連性を調査した。 |
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WEP058 p.986 | MOS-gated thyristor based Marx generator for accelerator applications ○Juan Perez (Nagaoka University of Technology ), Taichi Sugai (Nagaoka University of Technology), Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.), Jiang Weihua (Nagaoka University of Technology ) In the field of pulsed power, gas switches have been widely used due to their high operating voltages and currents. One example of these gas switches is the thyratron, which is in use for some particle accelerators even today. At the Extreme Energy-Density Research Institute in the Nagaoka University of Technology such devices are in use. We propose a feasibility study for one for one of the switching units in the ETIGO-IV generator to be changed from a thyratron to MOS-Gated Thyristors. One of the thyratron units for the ETIGO-IV operates at 30kV, 10kA with a pulse width of 2 microseconds. These parameters are very strict for a single semiconductor device so modifying the connection scheme makes it possible to handle conditions that are over the limits of a single device. A Marx generator is proposed, this guarantees that each switch only operates at one fraction of the total voltage unlike traditional series connections which can cause stress on a single device. Discharge experiments of a single unit yield 2.5kA peak current and 400V peak voltage on a 0.2 Ohm load with a pulse width of 2 microseconds at 1kV charging voltage. |
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WEP059 p.989 | チョッパ型MARX電源の特性改善 Improvement of chopper-type MARX modulator characteristics ○佐々木 尋章,江 偉華,須貝 太一(長岡技術科学大学),徳地 明,澤村 陽(パルスパワー技術研究所),明本 光生,中島 啓光,川村 真人(高エネルギー加速器研究機構) ○Hirofumi Sasaki, Weihua Jiang, Taichi Sugai (Nagaoka University of Technology), Akira Tokuchi, You Sawamura (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.), Mitsuo Akemoto, Hiromitsu Nakajima, Masato Kawamura (KEK) 国際リニアコライダー(ILC)では、マイクロ波源として10MWのマルチビームクライストロンが使用される予定であり、この電源には-120 kV (±0.5%),140 A ,1.65 ms ,5 pps という仕様の長パルス電源が要求されている。加えて、電源の高信頼性、高効率、小型、低コストが求められる。コンデンサだけを用いたMARX電源や、パルストランスでこの仕様を実現しようとすると、電源の大型化が避けられない。そこでMARX回路に降圧チョッパ回路を組み合わせた、チョッパ型MARX電源が提案されている。1段-2 kV 充電、-1.6 kV 出力のMARXセルを4段重畳して1ユニットとし、1ユニットあたり-6.4 kV の出力を得る。このユニットを20個重畳することで-120 kV を達成する。現在は、実運転に近い状況を想定し、負荷短絡など異常時のパルス電源の挙動を含めた検証を行っている。実際の電源システムに近い、浮遊容量などを組み込んだシミュレーションと、実測波形からの検証結果について報告する。 |
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WEP060 p.992 | 共振器を設置した仮想陰極発振器の特性評価 Characteristic evaluation of virtual cathode oscillator with resonator ○大賀 達朗,伊藤 智哉,孔 純亜,須貝 太一,江 偉華(長岡技術科学大学) ○Tatsuro Ohka, Tomoya Ito, Chunya Kong, Taichi Sugai, Weihua Jiang (Nagaoka University of Technology) 大電力マイクロ波は、加速器や医療分野、宇宙関連分野など幅広い分野に応用が期待されている。マイクロ波とは1~30GHzの電磁波であり、100MWを超える電力を持つマイクロ波を大電力マイクロ波と呼ぶ。大電力マイクロ波の発生方法は様々あるが、本研究では仮想陰極発振器(Vircator)について共振器を設置した場合の出力特性評価を行った。Vircatorの特長として構造が単純、発振周波数が1~10GHz程度まで調整可能が挙げられる。一方でマイクロ波発振効率が低いことが指摘されている。そのため本研究の目的はVircatorのマイクロ波発振効率の向上にある。そこで発生したマイクロ波を反射させ定在波を作り共振させるための共振器を設計し、共振によりマイクロ波の相互作用を強めることによる出力向上を検討した。本研究では共振器を設置しない従来のVircatorと共振器を設置した場合について出力特性評価を行った。その結果、内径144mm、軸方向長さ80mm、反射板内径110mmの共振器を設置することで最大放射電力83.3MW、発振効率2.74%の出力が得られ、従来のVircatorと比較して放射電力・発振効率ともに約45%向上した。また共振器設置により発振周波数の単一性も向上した。これらの結果から適切な共振器を設計することでVircatorの出力向上および発振周波数の単一化が可能であると考えられる。 |
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WEP061 p.996 | 真空窓用アルミナセラミックの大電力試験 High power test of alumina ceramic for RF window ○福住 直貴,三浦 厚,相澤 修一,篠原 己拔(日本高周波株式会社),谷内 努,鈴木 伸介(公益財団法人高輝度光科学研究センター) ○Naoki Fukuzumi, Atsushi Miura, Shuichi Aizawa, Kibatsu Shinohara (Nihonkoshuha.co.ltd), Tsutomu Taniuchi, Shinsuke Suzuki (JASRI) High power test of new alumina ceramic for S-band rf vacuum window was performed. In order to estimate performance of only ceramics, we used Helicoflex seal type rf window instead of vacuum brazing seal between metal and ceramics. This window was not damaged at peak power of 58MW, pulse width of 4μsec and repetition rate of 10pps from direct klystron output power. By using SLED (Stanford Linear accelerator Energy Doubler), it had also no damage at peak power of 330MW, pulse width of 1μsec and repetition rate of 10pps. |
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WEP062 p.1000 | SACLAでのサイラトロンの劣化診断と対策 Degradation diagnosis and countermeasure of thyratron at SACLA ○中澤 伸侯,益田 邦和(スプリングエイトサービス(株)),稲垣 隆宏,近藤 力,大竹 雄次(理化学研究所/SPring-8) ○Shingo Nakazawa, Kunikazu Masuda (SES), Takahiro Inagaki, Chikara Kondo, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center) X線自由電子レーザー施設SACLA及びSCSSでは79台のモジュレータ電源を使用しており、サイラトロンのスイッチングによりクライストロンへの高電圧パルス供給を行っている。現在、主に使用しているE2V社製CX1836サイラトロンは、使用開始から16,000時間前後から、タイミングのドリフトや導通ロスの変動によるクライストロン出力の位相変動や、サージ電圧増大によるトリガ回路の損傷などのトラブルが発生し始める。 このようなトラブルを起こすまでの劣化の進行速度とその症状の出方に個体差が大きく、我々が高価なサイラトロンを運転への影響を与えずに寿命まで使い切るためには、個々の診断と処置が不可欠である。このため我々は、使用時間やクライストロン出力の位相変動といった常時記録しているデータと、トリガ回路に設置した分圧回路を使用して測定したトリガグリッドの残留電圧とサージ電圧の確認を組み合わせた診断を定期的に実施している。 この診断結果を基に、導通ロス変動対策としては計画的な交換、サージ電圧抑制としてはフィルタ回路の導入、及びG1トリガパルス幅延長といったハードの対策を、劣化が進行する前に行なっている。 この対策は効果を上げ、運転への影響を低減し、なおかつメーカの想定している寿命以上にSACLAではサイラトロンを使用出来ている。 本発表では、これまでに行ってきた診断の手法とトラブルへの対策について報告する。 |
LLRF (8月2日 第1,2,3,4会議室他) | |
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WEP063 p.1005 | SuperKEKBダンピングリングにおけるLLRF制御システム LLRF control system for damping ring at SuperKEKB ○小林 鉄也,赤井 和憲,海老原 清一,小田切 淳一,可部 農志,中西 功太,西脇 みちる(高エネ研),出口 久城,林 和孝,水野 隼一(三菱電機特機システム) ○Tetsuya Kobayashi, Kazunori Akai, Kiyokazu Ebihara, Jun-ichi Odagiri, Atsushi Kabe, Kota Nakanishi, Michiru Nishiwaki (KEK), Hisakuni Deguchi, Kazutaka Hayashi, Jun-ichi Mizuno (MELOS) SuperKEKB計画の最初のビームコミッショニング(Phase-1)が2016年に5ヶ月間行われ、真空焼き出しに十分な目標蓄積ビーム電流(約1A)を達成し、無事、成功に終わった。 SuperKEKB加速器は電子陽電衝突蓄積リングで、KEKB加速器の世界最高ルミノシティを40倍にアップグレードする計画である。そのため、更なる大電流化、低イミッタンス化は必須であり、新たに陽電子にはダンピングリング(DR)が追加される。2018年2月頃から予定されているPhase-2ではDRも含めたコミッショニング運転となる。 本発表ではDR用低電力RF(LLRF)制御システム開発とその性能評価について報告する。DRは入射器(線形加速器)の加速途中で挿入されるリングであるが、RF周波数はメイン蓄積リング(MR)と同じ約509MHzで、1つのRFスーテション(クライストロン)により2台の加速空洞を駆動する(ただし将来3台になる可能性あり)。DR用LLRF制御システムは、MR用に開発されたデジタル制御システム(FPGA等で構成)をベースに、2台空洞の制御(ベクターサムfeedback制御等)に対応させた。前年度末の評価試験では良好な特性が得られ、運転準備が整っている。 その他、マスターオシレータ系(MR、入射器との位相同期)や将来的に追加される可能性のあるイベントシステム機能(入射バケット選択のための位相シフト)等、DR特有のRF制御について紹介する。 |
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WEP064 p.1010 | SuperKEKBにおける加速モード結合バンチ不安定性のダンパー特性評価と抑制シミュレーション Evaluations of damper characteristics and damping simulations for coupled bunch instabilities caused by the accelerating mode at SuperKEKB ○廣澤 航輝(総研大),赤井 和憲,絵面 栄二,小林 鉄也,中西 功太,西脇 みちる,吉本 伸一(高エネ研) ○Kouki Hirosawa (SOKENDAI), Kazunori Akai, Eizi Ezura, Tetsuya Kobayashi, Kota Nakanishi, Michiru Nishiwaki, Shin-ichi Yoshimoto (KEK) SuperKEKBは衝突点におけるナノビーム方式と大電流を軸に高ルミノシティを目指す加速器である。2016年2月から6月までPhase-1試運転が行われ、2018年2月からPhase-2試運転が計画されている。SuperKEKB蓄積リングのビーム大電流化が引き起こす不安定性の一つに、加速モードに起因する結合バンチ不安定性の問題がある。この不安定性は主に加速モードの空洞インピーダンスによって大きさが決まり、ビーム電流値が大きいほど高次の結合バンチ不安定性が生じることが知られている。KEKBではRFフィードバックによるインピーダンスダンパーを用いて最低次のモード(m= -1モード)を抑制していたが、SuperKEKBでは更に高次のモード(m=-2, -3モード)が生じる可能性がある。SuperKEKBの電流値増大のためにはこれらのモードを抑制することが不可欠であるので、新たにm=-1, -2, -3モードに対応するダンパーを開発し、Phase-2以降の電流値増大に向けて、これらダンパーの特性評価を行なった。また、従来のシステムで抑制できていたm=-1モードも、電流値が増大することで不安定性が大きくなり、複数台のダンパーを導入する必要があると考えられる。振動抑制のシミュレーションによってフィードバックのゲインとダンパーの必要台数の評価を行なったので、その結果を報告する。 |
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WEP065 p.1015 | SuperKEKB入射器の高周波位相基準分配システムの検討 The consideration of RF phase reference distribution system for the injector linac of SuperKEKB ○リュウ ナ ,三浦 孝子 ,松本 利広 (総研大/高エ研),荒川 大,片桐 広明,矢野 喜治 (高エ研),チュウ フェン,道園 真一郎(総研大/高エ研),ウィボオ シギット バスキ(総研大) ○Na Liu, Takako Miura, Toshihiro Matsumoto (SOKENDAI/KEK), Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Yoshiharu Yano (KEK), Feng Qiu, Shinichiro Michizono (SOKENDAI/KEK), Sigit Basuki Wibowo (SOKENDAI) Stabilization of RF phase reference for long distance transmission is very important for stable RF operation, especially in the large accelerator facilities. For the injector LINAC of SuperKEKB, the phase stability requirement is within 0.1 deg. rms. Coaxial cables and optical fiber links (E/O, O/E and optical fibers) as the distribution medium without feedback control are used for the present system. A more stable RF phase distribution system using single-mode optical fiber links with feedback control is required to improve the phase stability for lower energy spread. The characteristics of different type optical components (E/O, O/E, optical fibers) were measured as well as the phase noise and long-term stability of the optical fiber links. Different techniques for the transmitted reference RF phase monitor were compared. The structure of RF phase reference distribution system which may fulfill the requirement of SuperKEKB injector LINAC is proposed. |
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WEP066 p.1019 | SACLAとSPring-8蓄積リングの高周波基準信号の同期システム その2 Synchronization system between two master oscillators of SACLA and SPring-8 storage ring 2 ○大島 隆,細田 直康,前坂 比呂和(理研) ○Takashi Ohshima, Naoyasu Hosoda, Hirokazu Maesaka (RIKEN) SPring-8の次期計画SPring-8-IIでは入射ビームに低エミッタンスが要求されるため、XFELマシンであるSACLAを入射器とする予定である。この計画の準備段階として、また、消費電力抑制を目的として、SACLAを現蓄積リングへの入射器として前倒しして使用するための準備を進めている。SACLAの入射トリガは、商用60Hz信号 (f60)と、蓄積リングの入射目標とするバケットの周回周波数208kHz (frev)、およびSACLAのタイミング基準周波数238MHz (f238) の3つが同期したタイミングで発生させる。しかし、frevとf238は位相同期してはいないため、最大f238の周期である4.2nsの時間差が発生する。この時間差を、SACLAのマスタオシレータにFM変調を印加することで解消することを検討している。この方法を試みたところ、大きな周波数変調をかけたときにSACLAの実験で使用する同期レーザーのロックが外れることがわかった。そこで、適当な周回数だけ待つことでfrevとf238の時間差を小さくし、周波数変調量を低く抑えることとした。実際、f238はfrevの1周期後にはfrevとの時間差が-0.1nsだけ変化する関係があるので、マスタトリガのタイミングを最大4.2ns/0.1ns=42周期だけ遅延させることで時間差を0.1ns以下にできる。MTCA.4 規格のdigitizerのFPGAに上記のプロセスをコーディングし、試験を行い、想定した動作を確認できた。本発表では上記タイミング同期システムの現状と今後の展望について報告する。 |
電磁石と電源 (8月2日 第1,2,3,4会議室他) | |
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WEP067 p.1023 | アボートキッカー電源の回路2重化による信頼性の向上 Improvement of reliability by duplicating circuits of abort kicker power supplies ○黄瀬 圭祐,徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所),三増 俊広(高エネルギー加速器研究機構) ○Keisuke Kise, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd. (PPJ)), Toshihiro Mimashi (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) スーパーKEKB用のアボートキッカーは水平方向キッカーマグネットと垂直方向キッカーマグネットから構成され、水平方向キッカー電源で200ns以下の急峻な立ち上がりで水平方向にビームをキックしたのち、その水平位置で垂直方向に10μsかけてゆっくりビームを散らしていくものである。水平キッカー電源の立上り時間を急峻にする分、アボートギャップは狭くなり、リングに多数のバンチを収納することが可能となり、加速器の利用率は向上する。KEKBではこの水平の立上り時間は500nsだったが、スーパーKEKBでは200ns以下に短縮されている。 この水平、垂直のアボートキッカー電源は加速器が運転中は常時高圧充電状態で待機し、必要な時に間違いなくパルスを放出する必要があり、加速器電源システムの中でも最も高い信頼性が要求される電源である。 放電指令に基づき、急峻な電流を流し始めた瞬間に、高圧コンデンサなどがパンク事故を起こすと、正常にビームがアボートされなくなり、加速管に損傷を与えたり、不要な放射能を発生する可能性がある。 我々は、従来1台だった垂直用キッカー電源を2台に分割し、それぞれの出力を足し合わせる回路構成に変更した。これにより、万一一台の高圧発生部が高圧発生中に故障を起こしても、もう一台の電源で電流を流すので、少なくとも半分の電流を確保する事ができ、安全にビームをアボートすることを可能とした。 |
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WEP068 p.1026 | キッカーマグネット用バイポーラ型SIC-LTD電源の開発 Development of the bipolar SIC-LTD power supply for the kicker magnet ○虫邉 陽一,黄瀬 圭祐,森 均,徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所),高柳 智弘(JAEA/J-PARC) ○Yoichi Mushibe, Keisuke Kise, Hitoshi Mori, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd. (PPJ)), Tomohiro Takayanagi (JAEA/J-PARC) J-PARC RCSキッカーマグネット用に新しいパルス電源を開発している。加速器システムにて大強度ビームを取り出すために、キッカーマグネット用電源システムには高電圧かつ高速のスイッチを使用しているが、新しい電源は高電圧大電流かつスイッチング損失が小さいSiC半導体デバイスを使用することで、連続使用による性能劣化が欠点のサイラトロンスイッチより安定性の良い電源システムを期待できる。SiC-MOSFETを多数並列接続したLTD(Linear Transformer Drivers)回路を構成した基板を多段直列接続することで高電圧かつ大電流の出力を可能とする。電源からキッカーマグネットへの負極性のパルス出力に対して負荷から電源へ正極性の反射波が発生するため、電源の出力端には正負両極性の電圧パルスが印加される。電源の出力回路をSiC-MOSFETの直列接続と反射波吸収回路を設けたバイポーラの回路とすることで、両極性の電圧パルスに対する耐圧と反射波吸収の機能を備えている。主回路のLTD基板よりも低電圧充電で動作する補正基板を追加することで出力波形の調整も可能になる。加速器システムに必要な電源仕様は、電圧40kV、電流4kA、パルス幅1500ns、繰り返し25Hzであるが、今回は主回路LTD基板5枚と補正LTD基板4枚で電源を構成して予備試験を実施したので結果詳細を報告する。 |
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WEP069 p.1030 | 次世代リング加速器入射キッカー電磁石のための高精度固体パルス電源開発 Development of high-precision solid state pulse power supply for the kicker magnet of the next-generation electron storage ring ○秋川 藤志,佐藤 和行,田中 豊(日本高周波株式会社),稲垣 隆宏(理化学研究所 放射光科学総合研究センター),近藤 力,高野 史郎,深見 健司(高輝度光科学研究センター/理化学研究所 放射光科学総合研究センター),田中 均(理化学研究所 放射光科学総合研究センター) ○Hisashi Akikawa, Kazuyuki Sato, Yutaka Tanaka (Nihon Koshuha Co., Ltd.), Takahiro Inagaki (RIKEN SPring-8 Center), Chikara Kondo, Shiro Takano, Kenji Fukami (JASRI/RIKEN SPring-8 Center), Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) 次世代のリング型加速器への電子ビーム入射方法として、ツインキッカー電磁石を用いたoff-axis入射方法が提案されている。我々はこのツインキッカー電磁石を駆動するためのパルス電源を開発中である。2台のキッカー電磁石を並列に接続し、正弦波半波の電流を流す電源で、約90nFのコンデンサに最大50kVまで充電し、直列に並べたIGBTによるスイッチングで2.4kAずつの電流を出力する。繰り返しは10Hzである。このための予備試験として、IGBTなど基本部品について、特性の確認や部品の選定をするための試験を行った。まずIGBT 1台に3.4kVの電圧を印加してターンオン試験を行い、6 kAの電流を流しても問題ないことを確認した。次にIGBTを4台直列に接続して2台の電磁石へのパルス電流出力試験を行い、想定通りの正弦波半波電流が流せることを確認した。また、ゲートタイミングがずれた際のIGBTの電圧バランスの測定、2台の電磁石への出力電流を同一にするための調整インダクタによる波形調整、電力回生回路などについて確認した。本発表ではこれらの試験結果について報告する。 |
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WEP070 p.1033 | 繰り返しの速い電磁石電源における直流リンクコンデンサ容量の低減方法の検討 Reduction method of a dc-link capacitor for rapid cycling magnets ○渡辺 泰広(日本原子力研究開発機構) ○Yasuhiro Watanabe (JAEA) 本論文では、繰り返しの速い電磁石電源における直流リンクコンデンサ容量の低減方法を提案する。この方法は、交流コンデンサを負荷としたチョッパ回路を直流リンクに接続して、チョッパ回路で生じる直流リンクコンデンサ電圧の変動を交流コンデンサに移し替えることにより、直流リンクコンデンサの脈動を抑制し、直流コンデンサの所要容量を大幅に低減する。 |
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WEP071 p.1037 | IGBT並列接続における接続導体設計と電流バランスの関係についての考察 Study for relationship between the design of bus bars and the balance of currents in IGBTs connected in parallel 今野 純也,冨永 勇,長谷川 智宏,○山﨑 長治(東芝三菱電機産業システム) Junya Konno, Isamu Tominaga, Chihiro Hasegawa, ○Choji Yamazaki (Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial Systems Corporation) 大容量化する電源では、パワー半導体を並列に接続した構成にする必要がでてくる。 パワー半導体を並列にするためには、直接並列接続する場合と、インバータ回路で並列接続する場合があるが、電源の小型化という観点では、直接並列接続する方が有利になる場合が多い。 パワー半導体を直接並列接続する場合、構造的な配置や接続だけで電流アンバランスになることがあるので、電流が均等になるようにすることは、パワー半導体を最大限に活かす上で重要になってくる。 本論文ではIGBTを直接並列接続した単相フルブリッジインバータ回路において、磁場解析と試験を行った結果から、各IGBTに流れる電流のバランスと並列接続導体の設計について、出力周波数をパラメータにして検討したので報告する。 並列接続導体をこの手法により最適設計することにより、各IGBTの電流は均等にできる。 |
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WEP072 p.1040 | J-PARCハドロン実験施設における電磁石用電源電流監視システムの開発 Development of current monitoring system for magnet power supply at J-PARC hadron experimental facility ○上利 恵三,里 嘉典,豊田 晃久,森野 雄平,秋山 裕信(高エネルギー加速器研究機構) ○Keizo Agari, Yoshinori Sato, Akihisa Toyoda, Yuhei Morino, Hironobu Akiyama (KEK) J-PARCハドロン実験施設では加速器運転時、約80台もの電磁石用直流電源を遠隔操作している。電源とその制御システム間では、アナログ信号で電源の電流・電圧値・プログラム電圧を、ビット信号でON/OFF操作、極性やインターロック情報(重故障発生、リセット、電磁石の状態など)を通信している。 アナログ信号で通信している電源の電流値をPLCのアナログ入力モジュールに取り込み、電源が正常な電流値で運転しているかを監視するシステムを構築した。もし電源の電流値が設定値のある範囲からはずれると、このシステムはMachine Protection System (MPS) を発報させ、加速器運転が自動的かつ安全に停止する。電源の電流値はEPICSレコードに変換され、運転管理室のディスプレイでトレンドグラフ、値、インターロックの状態を表示している。また電流値の生信号ではノイズが大きかったため、PLCで移動平均を計算するラダーを作成し、ノイズを低減させた。 このシステムは現在1次ビームラインの主要な四重極・偏向電磁石用直流電源で適用され、安定で安全に運用されている。今回はJ-PARCハドロン実験施設の電源電流監視システムについて報告する。 |
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WEP073 p.1043 | J-PARC MRにおけるキャパシタバンク制御試験用小型電源の開発 Development of compact power supply for capacitor bank control test at J-PARC MR ○三浦 一喜,下川 哲司,森田 裕一,栗本 佳典,内藤 大地(高エネ研),佐川 隆(ユニバーサルエンジニアリング) ○Kazuki Miura, Tetsushi Shimogawa, Yuichi Morita, Yoshinori Kurimoto, Daichi Naito (KEK), Ryu Sagawa (Universal Engineering) J-PARCでは将来計画であるビーム大強度化のために、主リングの運転周期を2.5秒から1.3秒へと速める高繰り返し化を実現することが求められており、その計画の一部として主電磁石用新電源の開発が進められている。新電源への要求の一つとして電磁石の励磁エネルギーを1次側へ回生することにより発生する系統の電力変動を抑えることが挙げられる。この要求に対し新電源ではキャパシタバンクを用いて回生エネルギーを貯蔵することで対応する。特に我々はフローティングキャパシタ方式を採用するため、系統に接続しないキャパシタバンクの電圧制御が課題となる。その電圧制御試験を目的として、キャパシタバンクの静電容量、充電電圧を新電源の十分の一程度とした試験用小型電源を開発した。本報告では制御試験用小型電源の開発およびフローティングキャパシタの初充電シーケンス制御の確立について報告する。 |
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WEP074 p.1046 | J-PARCハドロン実験施設における総重量300トンのスペクトロメータ電磁石の設置 Installation of a giant spectrometer magnet with a weight of 300 tons at J-PARC hadron experimental facility ○広瀬 恵理奈,髙橋 仁,青木 和也,小澤 恭一郎,武藤 亮太郎,上利 恵三,家入 正治,加藤 洋二,倉崎 るり,里 嘉典,澤田 真也,白壁 義久,田中 万博,豊田 晃久,皆川 道文,森野 雄平,山野井 豊,渡辺 丈晃(KEK) ○Erina Hirose, Hitoshi Takahashi, Kazuya Aoki, Kyoichiro Ozawa, Ryotaro Muto, Keizo Agari, Masaharu Ieiri, Yohji Katoh, Ruri Kurasaki, Yoshinori Sato, Shinya Sawada, Yoshihisa Shirakabe, Kazuhiro Tanaka, Akihisa Toyoda, Michifumi Minakawa, Yuhei Morino, Yutaka Yamanoi, Hiroaki Watanabe (KEK) ハドロン実験施設において、現在、高運動量ビームライン(high-p) の建設が進められている。このhigh-pラインのスペクトロメータ 電磁石として、つくばキャンパスで使用されていたFM電磁石 (幅約5m×奥行約2m× 高さ約4m、総重量約300トン) を改造して使用する。本報告では、このFM電磁石について、 ギャップを1m広げ、 円錐型のポールを付加した上で、 ±1mm以内の精度で、 high-pビームラインに組み立て 設置したことについて報告する。 |
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WEP075 p.1051 | J-PARC-MRアップグレードのための新しい速い取り出し用低磁場セプタム電磁石の開発(3) The development of a new first extraction septum magnet for upgrading of J-PARC MR(3) ○芝田 達伸(高エネ研),川口 祐介,中村 健太,濱野 慧(ニチコン),石井 恒次,杉本 拓也,松本 教之,松本 浩(高エネ研) ○Tatsunobu Shibata (KEK), Yusuke Kawaguchi, Kenta Nakamura, Kei Hamano (Nichicon), Koji Ishii, Takuya Sugimoto, Noriyuki Matsumoto, Hiroshi Matsumoto (KEK) J-PARC-MRの速い取り出し用ビームパワーの目標値は750kWである。そのため繰返し周期を1.3秒にする必要がありMR用出射電磁石の改修が進行中である。本発表ではその内の低磁場セプタム電磁石について報告する。 現行機の低磁場セプタム電磁石は電流型セプタム電磁石であるためセプタムコイルを使用している。しかしコイル振動によるセプタムコイル表面の絶縁耐久性が近年心配されている。他にもビーム強度増強に伴い大きくなるビームハロー部のビーム損失量を軽減するために現行機よりも大きなアパーチャーの電磁石が必要になる。更に周回軌道上への漏れ磁場も磁極間磁場の10^-3程度と決して小さくはない。大強度化のため新しい低磁場セプタム電磁石と電源を開発している。新しい低磁場セプタム電磁石には誘導型渦電流タイプ(Eddyカレント型)を採用した。Eddyカレント型にセプタムコイルはなく、薄いセプタム板で発生する渦電流を使って漏れ磁場分を消失させる事ができる。セプタムコイルがないため絶縁耐久性の心配はなく、漏れ磁場も10^-4台を期待している。 2014年に1台目のEddyセプタム電磁石と電源を構築した。 2014年と2016年のPASJでは磁極内磁場と漏れ磁場測定、電源の出力調整について報告した。 その後も電源調整や長時間の安定性試験等を行っている。一方電源の一部を大きく改修する計画が進んでいる。本発表では電源調整の現状と電源改修について報告する。 |
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WEP076 p.1056 | J-PARC主リング高繰返し化に向けた主電磁石用電源のためのコンデンサバンクの開発 Development of capacitor bank of J-PARC MR main magnet power supply for high repetition rate operation ○森田 裕一,大越 隆夫,栗本 佳典(高エネ研),佐川 隆(ユニバーサルエンジニアリング),下川 哲司,内藤 大地,三浦 一喜(高エネ研) ○Yuichi Morita, Takao Oogoe, Yoshinori Kurimoto (KEK), Ryu Sagawa (Universal Engineering), Tetsushi Shimogawa, Daichi Naito, Kazuki Miura (KEK) J-PARC主リングではビームパワーを増強するために運転周期を現状の2.5秒から1.3秒へ速める。高繰返し化に伴って、電磁石電源の出力電圧の増加、及び電磁石の励磁エネルギーを1次側へ回生することによる系統の電力変動が問題となる。さらに、ビーム性能の向上のために出力電流の低リップル化が求められている。我々はこれらを解決可能な電源を開発し、現行電源と入れ替える計画である。系統の電力変動に対しては、電源あたり最大で数Fのコンデンサバンクを用いて回生エネルギーを貯蔵する。コンデンサバンクは5 mFのコンデンサを並列に96台接続した回路を1単位としている。最大充電電圧は1700 Vであるため、1単位の最大貯蔵エネルギーは0.7 MJとなる。各単位は異なる対地電位にあり、最大で約5 kVの電位をもつ。40フィートのハイキューブコンテナ内に2単位ずつ内蔵し、屋外に設置する予定である。各電源が必要とする静電容量に合わせて当該コンテナの台数を選ぶ。内部短絡の防止を目的として、セグメント化した蒸着パターンを持つセルフヒーリングタイプの乾式フィルムコンデンサを用いる。短絡したと仮定しても被害が限定的となるように20 mFにつきヒューズを1本取り付け、且つ、短絡したコンデンサにエネルギーが集中しないように各コンデンサに抵抗器を接続している。本報告ではコンデンサバンクの設計および製作について紹介する。 |
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WEP077 p.1061 | J-PARCメインリング 速い取出しキッカー電磁石システムのアップグレード Upgrades of fast extraction kicker magnet system for J-PARC main ring ○杉本 拓也,石井 恒次,松本 浩,芝田 達伸(高エネ研) ○Takuya Sugimoto, Koji Ishii, Hiroshi Matsumoto, Tatsunobu Shibata (KEK) J-PARC加速器メインリング (MR)では、5台のキッカー電磁石と6台のセプタム電磁石を用いて、30GeVにまで加速した8つの陽子バンチを、長基線ニュートリノ振動実験T2Kのニュートリノ生成ターゲットに向けて速い取出しをしている。MRのビームパワーの目標値は750kWである。そのためには、2.0x10^14個の陽子を1.3秒の繰り返し周期で出力する必要があり、MR用出射電磁石系の改修が進行中である。本発表では、その中でも速い取り出しキッカー電磁石変調器電源のアップグレードについて報告する。変調器は、60段のPFL(1段あたりの静電容量20nF)から構成される。現行電源では、市販の高圧充電器を用いて、1.8秒間かけて定格の33kVに充電している。今回のアップグレードでは、より短い繰り返し周期に対応するため、300ミリ秒で定格充電可能な充電器を導入した。また、このキッカー電磁石は、ビームインターロック事象が発報した際の、ビームアボート用取出しキッカー電磁石としての役割も担っているため、任意のタイミングでビームを蹴り出せるよう、充電電圧をフィードバック制御して加速パターンに追従する機能を充電器に実装した。本発表では、2017年以前に実施したアップグレードの詳細と、2017年に実施した実機を用いた充電器の性能評価について報告する。 |
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WEP078 p.1065 | J-PARC主リング高繰り返し化における多極磁場の評価 Evaluation of multipole magnetic field with high repetition rate operation in J-PARC MR ○内藤 大地,仁木 和昭,三浦 一喜,五十嵐 進,下川 哲司,栗本 佳典,森田 裕一(高エ研) ○Daichi Naito, Kazuaki Niki, Kazuki Miura, Susumu Igarashi, Tetsushi Shimogawa, Yoshinori Kurimoto, Yuichi Morita (KEK) J-PARC加速器では主リングでの速い取り出しにおいて~470kWのビーム強度を達成している。一方で設計強度は750kWであり、ビームの大強度化が求められている。大強度化はビームの加速・取り出しの高繰り返し化によって実現させる。高繰り返し時にはビームを偏向・収束させるための電磁石へ流す電流の時間変化を急峻にする必要がある。電流の急峻な変化はビームダクト等に発生する渦電流を増加させ、二つの懸案事項が生じる。一つ目は磁石の励磁が妨げられる効果が大きくなる事である。二つ目はエミッタンス増大の原因となる非線形共鳴を励起する多極磁場成分の影響である。本報告では高繰り返し化時における四極電磁石に発生する多極磁場成分を、3次元シミュレーションによって見積もった結果を報告する。また、多極磁場成分が加速中のビームに及ぼす影響をシミュレーションにより評価した結果を報告する。 |
ビーム診断・ビーム制御 (8月2日 第1,2,3,4会議室他) | |
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WEP079 | J-PARC MR用高ダイナミックレンジBLMシステムの開発 Development of wide dynamic range beam loss monitor system for J-PARC main ring ○佐藤 健一郎,外山 毅,上窪田 紀彦,山田 秀衛(J-PARC/KEK),吉田 進(KIS) ○Kenichirou Satou, Takeshi Toyama, Norihiko Kamikubota, Shuei Yamada (J-PARC/KEK), Susumu Yoshida (KIS) J-PARC MRでは新BLMシステムが運用を開始した。このシステムのために絶縁タイプの電流・電圧変換アンプと24ビットADCシステムを開発した。検出器は従来の比例計数管タイプであるProportional chamber type Beam Loss Monitor (PBLM)に加えて、空気電離箱タイプの検出器であるAir Ionization Chamber (AIC)を同じ場所に設置した。PBLMのガス増幅度を変更することにより広い範囲のシグナルを検出ことができる。通常のビームロス信号に加えて残留線量も観測可能であり、システムのダイナミックレンジは160dBを超える。本発表ではシステムの詳細を報告する。 |
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WEP080 p.1069 | Measurements of the energy distribution of the electron cloud at J-PARC MR ○Bruce Yee-rendon, Hironori Kuboki, Ryotaro Muto, Masashi Okada, Masahito Tomizawa, Takeshi Toyama (KEK/J-PARC) The energy of the electrons plays a relevant role in the electron cloud build-up, according to the Secondary Emission Yield (SEY) curve, different incident electron energies create a distinct amount of secondary electrons at the beam pipes. The electron cloud detector at J-PARC MR is a Retarding Field Analyzer with a sweeping electrode. The measurements of electron energy were done by varying the voltage repelled of the grid of the electron cloud detector to select the energy of the electrons that were collected on the detector plate. The knowledge of the incident energy helps to estimate the interaction between the electrons cloud and the beam distribution, consequently, it allows us to develop a more precise model of this phenomenon. |
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WEP081 p.1072 | J-PARC主リングにおけるビームの縦方向振動解析 Analysis of longitudinal beam oscillation in J-PARC MR ○杉山 泰之,吉井 正人,大森 千広,長谷川 豪志,原 圭吾,古澤 将司(KEK/J-PARC),田村 文彦,山本 昌亘,野村 昌弘,島田 太平(JAEA/J-PARC) ○Yasuyuki Sugiyama, Masahito Yoshii, Chihiro Ohmori, Katsushi Hasegawa, Keigo Hara, Masashi Furusawa (KEK/J-PARC), Fumihiko Tamura, Masanobu Yamamoto, Masahiro Nomura, Taihei Shimada (JAEA/J-PARC) J-PARCの主リングシンクロトロン(MR)では陽子ビームを30GeVまで加速し、ニュートリノおよびハドロンの各実験施設へと供給している。 MRにおける陽子ビームパワーは速い取り出しでは470kW、遅い取り出しでは42kWを達成している。 大強度化に伴い、加速される陽子ビームの縦方向の振動が観測されるようになってきた。 大振幅の縦方向振動はリング内でのビーム損失の原因となりうる。 また、取り出しビームの運動量に大きなばらつきが生じることは、有限の運動量分散を持つ実験側ビームラインからは受け入れられないものである。 特に、速い取り出しにおいては強度が増すにつれて縦方向の振動の増加が顕著になってきており、 強度500kWを越える速い取り出しの実現には縦方向振動の抑制が必要であると考えられている。 ビーム振動の抑制への準備として、壁電流モニタで検出したビーム信号を解析し、 ビームの縦方向の振動のモードの同定とそれに対応するハーモニクスの振動解析を行った。 本発表では、縦方向振動解析の手法と実ビームデータに対する解析結果を報告する。 |
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WEP083 p.1077 | J-PARC MRにおけるビームコリメータの4軸化とビームロス応答 Four-axes beam collimator and beam loss responses at the J-PARC MR ○白形 政司,佐藤 洋一(高エ研) ○Masashi Shirakata, Yoichi Sato (KEK) J-PARC MRでは、2015年以降入射直線部にあるビームコリメータを一部4軸化した。MRのオペレーティングポイントは大強度ビームの供給を目指して変更されてきており、ビームエンベロープに対してコリメータjawの傾きを追従させる機構の必要性は年々高まっていた。ビームエンベロープに対してjawが傾きを持っていると、jawのエッジで散乱されるビーム量が増加し、下流部にビームロススポットを作りやすくなる。そのため、従来のjaw駆動機構に水平方向への回転機構と前後への傾斜機構を追加し、ビームエンベロープに対して十分な調整能力を持たせた。将来性を考え、オペレーティングポイントの変更にも対応できる仕様としている。コリメータjawによる散乱が作り出すビームロスの位置分布は、ビームが周回するリングにおいてはやや複雑になる。問題を切り分けるため、単独のコリメータjawの傾きに対するビームロス応答を観測し、そのメカニズムを探った。また、複数台のコリメータを用いた、実際の大強度運転時のビームロス局在化についても考察する。 |
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WEP084 p.1081 | J-PARC L3BTにおけるバンチシェイプモニタの検討 Development of the bunch shape monitor in the J-PARC L3BT ○守屋 克洋,岡部 晃大(原研/J-PARC),劉 勇(KEK/J-PARC),三浦 昭彦(原研/J-PARC),二ツ川 健太(KEK/J-PARC) ○Katsuhiro Moriya, Kota Okabe (JAEA/J-PARC), Yong Liu (KEK/J-PARC), Akihiko Miura (JAEA/J-PARC), Kenta Futatsukawa (KEK/J-PARC) J-PARCでは、ビームの位相幅(縦方向プロファイル)を測定するためのバンチシェイプモニタ(BSM)の開発を進めている。リニアックと後段シンクロトロン(RCS)を結ぶビーム輸送ライン(L3BT)でビーム位相幅の測定が可能になれば、縦方向マッチング、ビームローディング観測、横方向モニタと組み合わせた縦横結合共鳴観測などが実施できる。従って、現状に比べてより精細な線形加速器のビーム加速調整、及び、空間電荷効果を考慮したビーム力学理論の検証が可能になる。そこで、L3BT用BSMの設計に際し、L3BTを通過するビームを数値計算上で再現し、BSMの本体設計や設置位置等の検討を開始した。本発表では、縦方向ビームプロファイル測定のために実施したBSMの設計検討結果について報告する。 |
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WEP085 p.1084 | J-PARCリニアックMEBT2 に設置するバンチ・シェープ・モニタの開発 Development of bunch shape monitor at MEBT2 of J-PARC linac ○二ツ川 健太,宮尾 智章(高エネルギー加速器研究機構),川根 祐輔,田村 潤,根本 康雄,林 直樹,三浦 昭彦(日本原子力研究開発機構),福岡 翔太(筑波大学),大津 聡,真山 実,吉川 宗良(三菱電機システムサービス株式会社),高橋 大輔(関東情報サービス株式会社) ○Kenta Futatsukawa, Tomoaki Miyao (KEK), Yusuke Kawane, Jun Tamura, Yasuo Nemoto, Naoki Hayashi, Akihiko Miura (JAEA), Shota Fukuoka (University of Tsukuba), Satoru Otsu, Minoru Mayama, Hirokazu Yoshikawa (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Daisuke Takahashi (Kanto Information Service) J-PARCリニアックでは, 加速周波数が324MHzのRFQ, DTL, SDTL空洞と972MHzのACS空洞を用いて負水素イオンビームを400 MeVまで加速している。加速周波数が3倍に上がるSDTL-ACS間のビーム輸送路(MEBT2)では, 2式のバンチャ空洞で縦方向マッチングを行う必要があるが, リニアックにはビーム縦方向の形状を測定するモニタがなかった。そこで, 2014年の秋からJ-PARCリニアックに設置するためのバンチ・シェープ・モニタ(BSM)の開発を進めている。MEBT2で縦方向マッチングのためには3式のBSMをインストールする必要がある。2016年の夏季シャットダウン中に先行してACS01のブリッジ空洞上に1式のBSMを設置してビームを用いた性能評価を実施している。本件では, 新規に製作したJ-PARCリニアック製のBSMのオフライン試験及びビームを用いた試験結果を報告する予定である。 |
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WEP086 p.1089 | 高精度の主電磁石電流計測によるリアルタイム光学補正 Real-time optics corrections using precise measurement of the current through main magnets ○栗本 佳典(高エネルギー加速器研究機構) ○Yoshinori Kurimoto (High Energy Accelerator Research Organization ) 加速器の多目的化により、目的ごとの機器へ要求が互いに相反する問題に直面することがある。J-PARC Main Ringにおける速い取り出しおよび遅い取り出し運転が良い例である。速い取り出し運転時には、できるだけ多くのビームを供給するため、ビーム取り出しの頻度は多ければ多いほどよく、急峻に粒子加速することが要求される。このため、主電磁石も急峻に励磁する必要があり、磁石に大きい電圧を印可しなければならない。一方で、遅い取り出しの場合、ビームを不安定領域にゆっくり近づけていき、横方向の振幅が大きくなったものだけを徐々に取り出していく。この遅い取り出し中に主電磁石磁場に大きな変動があった場合、不安定領域に近づき過ぎたりするため、取り出しビーム強度に濃淡ができてしまう。しかし、速い取り出しに必要な高い電圧を出せる電源は、半導体のスイッチング周波数を小さくする必要があるため、ローパスフィルターでの十分な除去が難しく、出力の電流には大きなスイッチングリップルが重畳される。これは、電流すなわち磁場の精度が要求される遅い取り出し運転には一般的には適さない。そこで著者は、主電磁石電流を高精度でモニタし、それをもとにFPGAを使ってリアルタイムで光学補正量を計算し、補正電磁石にフィードフォワードする、光学補正方法を提案する。本ポスター発表では、本方式のハードウェア構成とアルゴリズムの詳細および試験結果について報告する。 |
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WEP087 p.1094 | J-PARC 3-50BTのビーム位置モニタによるビームサイズ測定 Beam size measurement with the BPMs in the J-PARC 3-50BT ○外山 毅,手島 昌己(高エネ研) ○Takeshi Toyama, Masaki Tejima (KEK) 大強度ビームで非破壊的にビームサイズを測定する必要性は非常に高い。現在J-PARC 3-50BTの14台のBPMを使って、既によく知られた以下の方法を使って、各 BPM位置でのビームサイズσx, σyを求める検討を行っている。すなわち、平行平 板4電極(ストリップラインなど)を持つビーム位置モニタ(BPM)の信号(VU, VD, VL,VR: 上下左右の電圧)に関して、Σ=VR+VU+VL+VD によりビーム強度、 (VR-VL)/(VR+VL)、(VU-VD)/(VU+VD)、または、(VR-VL)/Σ、(VU-VD)/Σ により2極モーメント(ノーマル成分、スキュー成分)、(VR-VU+VL-VD)/(VR +VU+VL+VD)により4極モーメント(ノーマル成分)が求められる。異なるβ関数の場所の複数台のBPMを使うと、上記のモーメントの組み合わせにより、ビームサイズ(σx, σy)が得られる。オフラインでの信号処理方法の詳細および結果を報告する。 |
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WEP088 p.1098 | SuperKEKBダンピングリング用バンチフィードバックシステムの建設 Construction of bunch feedback systems for SuperKEKB damping ring ○飛山 真理(KEK加速器研究施設) ○Makoto Tobiyama (KEK Accelerator Laboratory) SuperKEKB用陽電子ダンピングリング(PDR)は、Linacからの陽電子のエミッタ ンスをSuperKEKB LERへの入射が可能な程度まで減少させるための蓄積リング で、最大蓄積バンチ数は4個、最小バンチ間隔は96ns、蓄積時間も最小40msで あるためバンチ結合不安定性に対する対策は通常の意味では不要である。しかし ながら、高入射繰り返し時ではリング内に出射用ビームと、減衰中のビームが共存するため、蹴り出しキッカーや入射キッカーの影響で減衰中のビームの振動が 誘起される危険性がある。これを抑制するため、個別バンチフィードバックシステムを設計、建設した。本論文では、PDR用バンチフィードバックシステム及び 関連ビームモニタシステムについて紹介する。 |
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WEP089 p.1103 | SuperKEKBでのアボート診断 Beam abort diagnostics at SuperKEKB ○池田 仁美,福間 均,フラナガン ジョン,古屋 貴章,飛山 真理(KEK) ○Hitomi Ikeda, Hitoshi Fukuma, John Flanagan, Takaaki Furuya, Makoto Tobiyama (KEK) SuperKEKBはKEKBよりも更に大電流加速器になり,ビームの寿命も短いため,運転調整や機器の不具合によって急激なビームロスが起こると,加速器機器が損傷される恐れがある.これを防ぐために,ビームを人為的に捨てるビームアボートシステムのアップグレードが行われた.アボートのトリガーには,各機器からのインターロック信号,ビームロスを検知するビームロスモニター信号,スイッチによるマニュアル信号等が入っている.各アボートの原因を特定し,運転にフィードバックすることは,機器の保護のみならず運転調整にも有用である.そのため,アボート診断システムを準備し,加速器の調整運転であるPhase-I運転中におこった1500回以上のアボートを診断した.今年度後半から開始される衝突運転phase-IIに備えて,機器やタイミングのデバッグに役立てたので,システムの概要とアボート例,Phase-IIへの準備状況について報告する. |
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WEP090 p.1108 | SuperKEKB ダンピングリングのモニターシステム Beam instrumentation system of SuperKEKB damping ring ○池田 仁美,有永 三洋,石井 仁,手島 昌己,飛山 真理,福間 均,フラナガン ジョン,森 健児(KEK) ○Hitomi Ikeda, Mitsuhiro Arinaga, Hitoshi Ishii, Masaki Tejima, Makoto Tobiyama, Hitoshi Fukuma, John Flanagan, Kenji Mori (KEK) 今年度後半からSuperKEK Phase-II運転が開始されるが,メインリングの運転に先立ち,新しく建設中の陽電子ダンピングリングのコミッショニングを今年12月に始める.ダンピングリングでは,メインリングと同様にビーム位置モニター(BPM),放射光モニター(SRM),ロスモニター(LM),電流モニター(DCCT),バンチフィードバックシステム(FB)等のモニターシステムを稼働予定であり,それぞれの準備が進んでいる.本報告では,ダンピングリングモニターシステムの全貌と,現在の建設状況を紹介する. |
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WEP091 p.1112 | 理研RIBFにおけるビームエネルギー・位置モニターの開発 Development of beam energy and position monitor system at RIBF ○渡邉 環,福西 暢尚,藤巻 正樹(理研),小山 亮(住重加速器サービス),外山 毅,宮尾 智章(KEK),三浦 昭彦(日本原子力研究開発機構) ○Tamaki Watanabe, Nobuhisa Fukunishi, Masaki Fujimaki (RIKEN), Ryo Koyama (SHI Accelerator Service Ltd.), Takeshi Toyama, Tomoaki Miyao (KEK), Akihiko Miura (JAEA) 近年、有用RI製造技術の高度化研究が、AVFサイクロトロンのビームを用いて行われている。この研究の実験では、ビームエネルギーの精密測定は、RI製造の収量を増やし、一方、有害な副反応生成物を可能な限り減らすために、非常に重要な技術となる。このビームエネルギー測定のために、静電型ピックアップの開発を行い、AVFサイクロトロンのビームラインにインストールした。現在、実験時には、常時リアルタイムで測定と測定結果の表示を行っている。 さらに、RIBF全体では、加速器の性能と運転技術の向上により、加速される重イオンビームの強度が年々増強している。ビームの大強度化に伴い、ビームの診断を非破壊で行う必要性が増えている。そこで、上記の静電型ピックアップの電極を、斜めに四分割化することにより、ビームの位置を非破壊で測定することを目指し、システムの開発を行っている。このシステムでは、モニター間の距離を正確に測定した2台のモニターを用い、ビームの飛行時間(TOF)を測定することにより、ビームのエネルギーも同時に得られる。 今回の学会では、エネルギー・位置モニターシステムの詳細と、ウランビームを使用した測定を今後行う予定なので、その測定結果についても発表する。 |
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WEP092 p.1118 | 空間電荷効果を導入した理研AVFサイクロトロン入射軌道解析 Analysis of the beam injection system of RIKEN AVF cyclotron in view of the space charge effect ○小高 康照,大城 幸光,山口 英斉,今井 伸明,酒見 泰寛,下浦 享(原子核科学研究センター),長友 傑,大西 純一,後藤 彰,加瀬 昌之(理研仁科センター),畑中 吉治(核物理研究センター),武藤 英(諏訪東京理科大学) ○Yasuteru Kotaka, Yukimitsu Ohshiro, Hidetoshi Yamaguchi, Nobuaki Imai, Yasuhiro Sakemi, Susumu Shimoura (CNS), Takashi Nagatomo, Jun-ichi Ohnishi, Akira Goto, Masayuki Kase (RIKEN Nishina Center), Kichiji Hatanaka (RCNP), Hideshi Muto (Tokyo University of Science, SUWA) 理研AVFサイクロトロンのビーム強度の増強のため、入射ビームの軌道の見直しを進めている。そのためにペッパーポット型エミッタンス測定器によって測定したビームの4次元エミッタンスを初期条件として入射ビームの軌道を解析し、ビーム輸送系を最適化する方針である。この入射ビーム輸送系に使用されている電磁石(ソレノイドコイル、四極電磁石、垂直偏向電磁石)におけるビーム軌道計算にはハードエッジモデルが通用しないことがわかったので、計算コードにより磁場を算出し、その磁場領域におけるビーム軌道をルンゲクッタ法を用いて解いた。また約0.1mA以上のビーム輸送の場合、空間電荷効果の導入が不可欠とわかってきた。空間電荷効果を軌道計算に導入するため、ビーム断面形状を楕円として近似した。4次元エミッタンスを用いているのでビーム断面形状は任意のビーム軸上の位置で計算可能である。これらの計算磁場と空間電荷効果を考慮してビーム軌道計算を行い、同一のビーム輸送系に設置した他のビーム診断器の測定値と比較したところ、ほぼ一致した結果が得られた。 |
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WEP093 p.1123 | TIARA AVFサイクロトロン入射ラインのエミッタンス測定に基づくビーム輸送試験 Test of beam transport based on beam emittance measurement in the injection line of the TIARA AVF cyclotron ○柏木 啓次,宮脇 信正,倉島 俊(量研 高崎) ○Hirotsugu Kashiwagi, Nobumasa Miyawaki, Satoshi Kurashima (QST Takasaki) 量研機構高崎研AVFサイクロトロンでは、イオン源で生成したビームの損失を最小限にして加速するため、入射ビーム調整のツールとして、サイクロトロンの横方向アクセプタンスと入射ビームの横方向エミッタンスを測定する装置をこれまで開発してきた。この装置により入射ラインの同位置でのエミッタンスとアクセプタンスが測定できるが、エミッタンスをアクセプタンスにマッチングするためには測定位置の上流でのエミッタンスを明らかにし、その上で軌道計算を行なって測定位置でのエミッタンス形状の制御を行なう必要がある。 今回、測定したエミッタンスを転送行列の逆行列によってビームラインの逆方向に輸送することで上流位置でのエミッタンスを求め、電磁石パラメータを変更して順方向に軌道計算によって求めたエミッタンスと実測結果の比較を行ない、計算によるエミッタンス形状制御の有効性を検証した。 |
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WEP094 | ガフクロミックフィルムの微小ビーム照射野計測への適用 Application of a gafchromic film to the irradiation field measurement of small-sized beams ○百合 庸介,佐藤 隆博,山田 尚人(量研機構高崎研) ○Yosuke Yuri, Takahiro Satoh, Naoto Yamada (QST Takasaki) ラジオクロミックフィルムの一種であるガフクロミックフィルムは、荷電粒子ビーム等の照射野分布の測定に広く利用されている。本研究では、その高い空間分解能で簡便な計測が可能という特長を活かし、ビームの微小な照射野形状を計測する可能性を検討した。そこで、フィルムの空間分解能や計測に必要なフルエンスを明らかにするため、量研機構高崎研のイオン照射研究施設TIARAにおいて、マイクロビーム照射実験を行った。具体的には、約1μmのスポットに集束された3MeV陽子マイクロビームを走査することによりフィルムに直線や同心円等のパターンを描画し、生じた着色痕を光学顕微鏡で観察した。発表では、実験結果を報告するとともに、ラジオクロミックフィルムのマイクロビーム診断への適用可能性を議論する。 |
加速器制御 (8月2日 第1,2,3,4会議室他) | |
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WEP095 p.1126 | 北海道大学殿向けライナック制御システムの製作 Manufacturing of linac control system for Hokkaido university ○重岡 伸之(三菱重工メカトロシステムズ(株)) ○Nobuyuki Shigeoka (MHI Mechatronics Systems, Ltd.) 現在北海道大学では設置から40年以上が経過し老朽化した電子線形加速器施設の更新計画が進行している。当社は本更新計画において、H27年度には入射部の電子銃付きSバンド定在波加速管1台、H28年度には加速部のSバンド進行波型3m加速管1台を納入するとともに、加速器の運転や状態の監視を行うことのできるPLCベースの制御盤である加速器制御システムを納入した。この加速器制御システムは、電子ライナックの産業分野への応用の一つとして三菱重工グループで手掛けてきた電子線照射による滅菌システムの加速器制御技術を応用したものであり、モジュレータなど他の制御盤を遠隔操作し、タッチパネルによる直感的な操作で加速器の運転やパラメータの設定、運転状態の監視などを行うことができるような設計である。本システムはH28年12月に装置単体での納入を完了し、今後、北海道大学殿の電子線形加速器の更新のタイミングでの設置、モジュレータ等との組み合わせ動作試験および、加速器運転試験が計画されている。 |
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WEP096 p.1129 | 加速管テストスタンド制御システムの開発 Development of control system for accelerator tube test facility ○牛本 信二(三菱電機システムサービス(株)),肥後 寿泰,榎本 嘉範,松本 修二(KEK) ○Shinji Ushimoto (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Toshiyasu Higo, Yoshinori Enomoto, Shuji Matsumoto (KEK) KEK 電子陽電子入射器は運転開始から30年以上運転をおこなっている。近年では、一部の加速管での放電頻度増加やフィールドエミッションによるビームへの影響に配慮して、運転パワーを下げて運転をおこなっている。また、建設時に設置した加速管では経年劣化と思われる水漏れが発生しており加速管自体の交換も少なくない。一方で運転時間に対する要求は高く、ビームラインに新しい加速管を入れて長期間のコンディショニングおこなうことが困難になっている。 このような背景を基に、昨年から RF コンディショニングを含めた様々な試験が可能な新しい加速管試験施設の整備を進めてきた。本施設は電子陽電子入射器棟内の旧クライストロン準備室に展開されており、RF 源(40MW クライストロン)と加速管を設置するシールドルーム、専用のインターロックシステムおよび測定器機器を組み込んだ制御ラックから構成される。 制御システムのベースは EPICS を使用し、アプリケーション開発には LabView を導入した。通常のコンディショニング運転では、アプリケーションによる自動制御をおこなっている。また運転状況はデータベースに記録することで、施設専用の WEB ログから遠隔でもモニタが可能となっている。 本報告では試験施設の概要と構築した制御システムの詳細について紹介する。 |
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WEP097 p.1133 | J-PARC LINAC/RCSタイミングシステム安定運用に向けた改良 Improvement of a timing system in J-PARC linac/RCS ○澤邊 祐希(三菱電機システムサービス株式会社),高橋 博樹,伊藤 雄一(原子力機構/J-PARC),川瀬 雅人(三菱電機システムサービス株式会社) ○Yuki Sawabe (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Hiroki Takahashi, Yuichi Itoh (JAEA/J-PARC), Masato Kawase (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.) J-PARC LINAC/RCSのタイミングシステムでは、各種データ転送にリング型のリフレクティブメモリ(RFM)ネットワークを採用している。2016年6月にRFMネットワーク内での通信異常によってデータ転送に不具合が発生し、復旧対応に長時間を要した。この経験から、RFMネットワークの状態監視環境を整備するとともに、RFMネットワークのデータ転送を統括する計算機の二重化を行った。また、RFMネットワークを介さずに各RFMの状態監視を可能とするsyslog機能の整備を行った。その結果、本件の改良後にRFMネットワーク内のタイミング用VMEで動作不良となったが、即座に対象機器が特定でき、早期復旧を行うことができている。本発表では、安定運用を目的としてJ-PARC LINAC/RCSタイミングシステムに行った改良の詳細を報告する。 |
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WEP098 p.1137 | J-PARC MRの波形データ収集装置の中長期シナリオ Migration scenario of waveform digitizers used in J-PARC MR ○上窪田 紀彦,山田 秀衛,山本 昇(高エネ研),飯塚 上夫,吉田 奨(関東情報サービス) ○Norihiko Kamikubota, Shuei Yamada, Noboru Yamamoto (J-PARC/KEK), Takao Iitsuka, Susumu Yoshida (Kanto Information Service) J-PARC MRは、2.48s(FX mode, Neutrino向け)または5.52s(SX mode, Hadron向け)の周期で運転するSlow-cycle machineである。1サイクル 内の入射-加速-出射もまた秒単位になる。このため、MRのあらゆる 装置(電源やモニタ)で数秒の波形データ計測需要がある。 一般的な波形データ計測装置(digitizer)として、約10年YokogawaのWE7000を使用してきたが、2013年に販売終了となった。その後継として、Yokogawa SL1000, F3HA06 (Yokogawa FAM3 PLCの高速DA module)、などが選択・整備されつつある。 本報告では、後継となるdigitizerの中長期シナリオを解説する。 |
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WEP099 p.1140 | J-PARCハドロンビームライン用データアーカイブシステムの開発(2) Development of data archive system for J-PARC hadron beamline(2) ○豊田 晃久,上利 恵三,青木 和也,家入 正治,加藤 洋二,倉崎 るり,里 嘉典,澤田 真也,白壁 義久,高橋 仁,田中 万博,広瀬 恵理奈,皆川 道文,森野 雄平,山野井 豊,渡辺 丈晃(KEK) ○Akihisa Toyoda, Keizo Agari, Kazuya Aoki, Masaharu Ieiri, Yohji Kato, Ruri Kurasaki, Yoshinori Sato, Shinya Sawada, Yoshihisa Shirakabe, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Erina Hirose, Michifumi Minakawa, Yuhei Morino, Yutaka Yamanoi, Hiroaki Watanabe (KEK) J-PARCハドロンビームラインのデータアーカイブシステムとしては、2009年の運転開始以来Channel Archiverを使用してきた。だがこのChannel Archiverは2006年以来10年近くメンテナンスされていないため、次期システムへの移行が必要になっている。今回は前回に引き続きRDB Channel Archiverの性能向上および性能比較、および将来の展望について発表する。また上記に関連してネットワーク負荷の低減および監視システムについても紹介する。 |
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WEP100 p.1144 | J-PARC Main RingへのArchiver Applianceの導入 Deploynment of archiver appliance at J-PARC main ring ○山田 秀衛(KEK/J-PARC),土井 幸之介,青山 俊明,田島 佑斗(関東情報サービス) ○Shuei Yamada (KEK/J-PARC), Konosuke Doi, Toshiaki Aoyama, Yuto Tajima (Kanto Information Service (KIS)) J-PARC Main Ring (MR)加速器の制御システムはEPICSを用いて構築されている。2008年にMRのビーム運転が開始して以来、制御点のアーカイブにはEPICS Channel Archiverを用いてきた。MR加速器の高度化に伴って、アーカイブの対象となる制御点の数とデータサイズは年々増大しており、データの読み出し速度の低下や管理上の手間の増大といった問題がChannel Archiverを運用する上で顕著となってきた。Archiver Applianceは2015年に登場した比較的新しいアーカイブシステムで、データの読み出し速度と管理の負担低減を主眼に開発が勧められている。MRでのArchiver Applianceの導入と、Channel Archiverからの移行の状況を報告する。 |
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WEP101 p.1148 | J-PARC MR-MPSの評価と新MR-MPSの開発計画 Performance evaluation of MR-MPS and development plan of new MR-MPS for J-PARC ○木村 琢郎,佐藤 健一(KEK/J-PARC Center),青山 俊明,田島 佑斗,土井 幸之介(関東情報サービス株式会社) ○Takuro Kimura, Kenichi Sato (KEK/J-PARC Center), Toshiaki Aoyama, Yuto Tajima, Konosuke Doi (KIS) J-PARC MRのMachine Protection System(MR-MPS)は2008年のビーム運転開始から導入され、MRの安定したビーム運転及び実験施設を含めた安全性の担保を行ってきた。これまで加速器の性能向上に伴い、接続機器は年々増加している。また安全性の向上させるために新しいビームアボートシステムの検討と導入も行われている。さらには電源棟が3棟増設されるため、MPS装置を増設の必要がある。そうした状況の中でMR-MPSは導入から間もなく10年を迎えるため、MR-MPSの更新が必要となる。本紙では、現行のMR-MPSの実運転での性能評価を行うとともに、現状をもとに新MR-MPSの開発と新設される電源棟を含めた構成の検討を発表する。 |
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WEP102 p.1151 | J-PARC LinacおよびRCSにおける監視・警報システムの製作 Spervision and Alarm System for J-PARC Linac and RCS ○高橋 博樹,澤邊 祐希(原子力機構),川瀬 雅人,渡邉 和彦(三菱電機システムサービス株式会社) ○Hiroki Takahashi, Yuki Sawabe (JAEA), Masato Kawase, Kazuhiko Watanabe (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.) J-PARC加速器の監視・制御は中央制御室から行われるが、加速器構成機器の増加(Linac ACSなど)や安全・安定な加速器運転実現のために、運転員や研究者が運転時に監視すべきパラメータ(情報量)が年々増加する傾向にある。そして、監視画面に表示される情報が膨大になったことにより、運転員の警報やパラメータ値の見落としなどによる誤操作が起こるときがある。現時点で、PPSやMPSの安全システムが堅固であるので大事に至ったことはないが、今後のJ-PARCアップグレードなどを考えると、このような誤操作は憂慮すべきことである。そこで、加速器の状態を監視し、運転員に異常を早期に知らせるシステムの開発を開始した。現在はLinacのDTQ電源の状態を監視するシステムの構築を進めており、利用運転時の電流値を基準として正常範囲(上下限値など)を設定し、正常範囲を逸脱した場合に異常ステータスを運転員に通知する機能を、2017年秋に実装する予定である。本件では、LinacおよびRCSにおける監視・警報システムの開発状況と今後の計画を報告する。 |
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WEP103 p.1155 | J-PARC Main Ring Archive Web Viewerの現状と今後の展望 Current status and future prospect of J-PARC main ring archive web viewer ○土井 幸之介,高橋 大輔(関東情報サービス),山田 秀衛(KEK/J-PARC) ○Kounosuke Doi, Daisuke Takahashi (Kanto Information Service (KIS)), Shuei Yamada (KEK/J-PARC) J-PARC Main Ring(MR)では、2008年にビーム運転を開始して以来 EPICS Channel Archiverなどを用いて加速器運転データをアーカイブしている。 制御グループではこれらにて収集されたデータを利用するための手段の一つとしてWebインターフェースを開発し運用している。 近年MRではChannel Archiverに代わる次世代のアーカイブシステムが導入され、それに伴いWebインターフェースの改修を行ってきた。 本発表ではアーカイブシステムの移行に関する対応、現状と今後の展望を報告する。 |
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WEP104 p.1158 | バンプ電磁石電源のトリップ追従システムの開発 Development of forced synchronous trip system of bump magnet power supplies ○柳岡 栄一,岡村 勝也,上窪田 紀彦K,木村 琢郎,冨澤 正人,武藤 亮太郎,村杉 茂(KEK) ○Eiichi Yanaoka, Katsuya Okamura, Norihiko Kamikubota, Takuro Kimura, Masahito Tomizawa, Ryotaro Muto, Shigeru Murasugi (KEK) J-PARC遅い取出しでは、取出しのとき4台の偏向電磁石を励磁しバ ンプ軌道をつくっている。主リングに3GeV、で入射された陽子を30GeVまで 加速したあと、バンプ軌道が、つくられ遅い取出しがはじまる。約2.5秒間の最適なバンプ軌道は、ビームロスを低減する。バンプ軌道がつくられ ている間に、1台以上の電源が停止すると、バンプ 軌道が崩れ大きなビームロスがおこる。ビーム電流が増えるとともに、ビームロスによる加速器にたいするダメージも増大する。これを低減するために、PLCを使い1台の停止を検知して、他の3台の電源をにとめるシステムを開発した。 |
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WEP105 p.1161 | KEK入射器における温度計測システムの現状と改良 Improvement of temperature and humidity measurement system for KEK injector linac ○佐武 いつか(KEK加速器) ○Itsuka Satake (KEK ACC. Lab.) KEK入射器において運用している温度計測システムは,測温抵抗体,熱電対,湿度センサからなる約700個のセンサ部,および26台のデータロガーから構成されている.データ収集用ソフトウェアは,入射器で既に広く使用されているEPICSを基盤として構築されている.データロギングシステムにはCSSアーカイバを使用し,バックエンドデータベースとしてPostgreSQLを利用している.また,アーカイバにより蓄積される情報は,AMFPHPを用いたWebアプリケーションによる閲覧が可能となっている. 今秋からは,SuperKEKB PhaseⅡ運転が始まる.それと同時に入射器では,放射光リングを含めた4リング同時トップアップ入射を目指したパルス四極電磁石の運用を開始するため,これまで以上に高精度の機器安定性やビーム安定性が求められる.このため,データの測定対象および場所ごとの選択機能と,長期間データの速い表示機能をもつViewer,および常時異常値と異常変動を検出するアラームシステムを開発し,導入した.これにより,入射器運転に関わる様々な機器を監視し,迅速に不具合を検知することが可能となった.さらに,データ表示パネルの操作性および表示速度が向上した.本年会では,このシステムの詳細およびビーム運転への実用化について報告する. |
粒子源 (8月2日 第1,2,3,4会議室他) | |
13:00 - 15:00 | |
WEP106 p.1165 | SuperKEKB電子入射器のためのイリジウム・セリウム光陰極の高性能化 Improvement of photoemission properties of iridium cerium compound for SuperKEKB injector linac ○佐藤 大輔,張 叡,周 翔宇,西田 麻耶,夏井 拓也,吉田 光宏,古川 和朗(高エネ研) ○Daisuke Satoh, Rui Zhang, Xiangyu Zhou, Maya Nishida, Takuya Natsui, Mitsuhiro Yoshida, Kazuro Furukawa (KEK) SuperKEKB電子・陽電子入射器では、KEKB加速器で達成された世界最高ルミノシティの40倍に相当する8×10^35 cm^-2・s^-1というルミノシティを実現するために高電荷かつ低エミッタンスの電子・陽電子ビームが求められる。その中でも特に電子ビームにおいては、KEKB線形加速器の電荷量の約5倍に相当する5 nC/bunchで、水平/垂直方向エミッタンスが50/20 mm-mrad以下というビームパラメータが要求性能となっている。これらの仕様を満たすべく、我々のグループでは擬似進行波型やカットディスク型といった特殊な高周波加速空洞を用いて電子ビームの空間電荷効果を極力抑え、高電荷電子ビームでも低エミッタンス性を保ったまま加速できる光陰極型RF電子銃の開発を行ってきた。また、光陰極材料にはSuperKEKB加速器にて半年から一年に渡る長期連続安定運転を実現するため、長寿命で比較的量子効率の高いイリジウム・セリウム化合物を独自開発し、前述の電子銃と共にビームコミッショニングを行ってきた。本発表では、これまでのイリジウム・セリウム光陰極を用いたビームコミッショニングの結果や当該光陰極の高量子効率化や表面組成の均一化に向けた材料開発の現状について報告する。 |
13:00 - 15:00 | |
WEP107 p.1170 | RF電子銃用高耐久フォトカソードの開発 Development of highly-durable photocathodes for RF-gun ○宮松 順也,小野 央也(早稲田大学理工学研究所),坂上 和之(早稲田大学高等研究所),鷲尾 方一(早稲田大学理工学研究所),飯島 北斗(東京理科大学),全 炳俊(京都大学エネルギー理工学研究所) ○Junya Miyamatsu, Hiroya Ono (Waseda Univ. Research Institute for Science and Engineering), Kazuyuki Sakaue (Waseda Univ. Institute for Advanced study), Masakazu Washio (Waseda Univ. Research Institute for Science and Engineering), Hokuto Ijima (Tokyo Univ. of Science), Heishun Zen (Institute of Advanced Energy, Kyoto Univ.) 早稲田大学で使用している1.6セルCs-TeフォトカソードRF電子銃では、電子源としてフォトカソードを用いている。フォトカソードとは光電効果によって電子を取り出すことができる陰極で、入射するレーザーパルスによるビーム形状の制御性が高く、高性能な電子源として知られている。フォトカソードの性能は主に量子効率と寿命の2点で評価される。RF電子銃内で実際に使用しているCs-Teフォトカソードは、紫外光で最大10%程度と高い値を示し、また1/e寿命は数か月と半導体フォトカソードの中では比較的長寿命であるが、電子銃内においては1%以下まで下がってしまうことが確認されている。現在、さらなるビーム電荷量の増大及びレーザーシステムへの負担軽減を目的とし、可視光でも電子を取り出すことができるCsK2Sbフォトカソードの導入を検討しているが、Cs-Teフォトカソードに比べて耐久面で劣り、RF電子銃内での長期運転に耐えられないことを確認した。そこでCsK2SbフォトカソードのみでなくCs-Teフォトカソードに対して、保護膜としてCsBrを付与することにより高耐久化・長寿命化を試みたところ、一定の寿命改善効果を蒸着容器内ではあるが確認することができた。本発表ではフォトカソードに対するCsBr保護膜の有効性について試験した結果、及び今後の展望に関して報告する。 |
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WEP108 p.1173 | SPring-8 線型加速器における低暗電流型電子銃カソードアセンブリの開発 Development of low-dark-current cathode assembly for grided thermionic electron gun of SPring-8 linear accelerator ○馬込 保,小林 利明,鈴木 伸介,花木 博文(公財)高輝度光科学研究センター) ○Tamotsu Magome, Toshiaki Kobayashi, Shinsuke Suzuki, Hirofumi Hanaki (JASRI) SPring-8線型加速器では、グリッド付きディスペンサーカソードを電子銃カソードアセンブリに採用している。2012年度から、現行のカソードアセンブリの代替機の開発を行ってきたが、電子銃の発射トリガーとなるグリッド自身からの電界放出のため、電子銃としての暗電流が多く実用に至らなかった。この暗電流の低減のため、その発生源であるグリッドを改良(電解研磨のみ・電解研磨後にTiコーティング)した2種類の電子銃カソードアセンブリを開発した。実機を模擬したテストベンチにて、一か月強の間、これらの新開発カソードアセンブリの試験運転を行い、暗電流低減の効果を評価した。本講演ではこの結果について発表する。 |
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WEP109 p.1178 | 東北大学大強度電子線形加速器用電子銃の製作 Manufacturing of the electron gun of high intensity linac in Tohoku University ○三浦 禎雄,濱 広幸,高橋 健(東北大学電子光理学研究センター) ○Sadao Miura, Hiroyuki Hama, Ken Takahashi (Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University) 東北大学大強度電子線形加速器は、1967年に建設された300MeV電子線形加速器の前半ハイカレント部であり、最大エネルギー70MeV、ビーム繰り返し300pps、ビーム出力5kW以上でRI製造用途等に運用されている。本電子線形加速器の電子銃は引き出し電圧80kVの熱カソードDC電子銃であり、カソードはバリウム含浸型、グリッド制御の3極管方式である。本カソードアッセンブリのメーカーからの供給は既に打ち切られており、東北大学手持ちのカソードアッセンブリも残り少ない。さらに本電子銃は出力電流数A用に設計されたものを出力電流0.3A程度で使用しているため、現使用条件では過収束であり、電子銃出口から線形加速器出口までのビーム透過率は30%程度と低い値となっている。このため、カソードアッセンブリは継続入手可能なEIMAC社製Y646Bカソードを用い、現使用条件で最適化した電子銃を設計、製作した結果を報告する。 |
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WEP110 p.1182 | 高温環境下における六ホウ化セリウム熱陰極と高融点金属の反応 Reaction between cerium hexaboride cathode and high melting-point metals in high-temperature environment ○渡川 和晃,稲垣 隆宏,原 徹,田中 均(理研 放射光科学総合研究センター),馬込 保(高輝度光科学研究センター) ○Kazuaki Togawa, Takahiro Inagaki, Toru Hara, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center), Tamotsu Magome (JASRI) 理化学研究所は、X線自由電子レーザー(XFEL)の為の電子源として、単結晶六ホウ化セリウム(CeB6)を熱陰極に用いた高電圧パルス電子銃を開発してきた。CeB6電子銃はXFEL施設SACLAにおいて高密度の低エミッタンス電子ビームを供給し続けているが、CeB6陰極の使用可能期間が1年程度であるといった短寿命問題を抱えていることが分かった。そして、グラファイト製のスリーブにより保持されたCeB6結晶を運転温度である1500℃の高温環境下で長期間使用すると、CeB6結晶の一部がグラファイトに侵食されてしまうことが電子顕微鏡や放射光を使った調査で明らかとなった。これが短寿命化の原因の一つであると推定し、グラファイトの代替材料として高融点金属を使用することの検討を始めた。まず、融点が2623℃のモリブデンを選択して加熱実験を行なったのであるが、CeB6結晶が自身の融点(2190℃)より700℃も低い温度で融解してしまう不可解な現象が起こった。これは、CeB6とモリブデンが高温環境下で複雑な反応を起こすことを示しており、希土類化合物と高融点金属の反応について調査、研究を行うことは陰極部品を開発する上で非常に重要であると考えた。本年会ではCeB6と高融点金属の高温環境下における反応について、実験の経緯と調査結果について報告する。 |
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WEP111 p.1185 | RCNPにおけるFe及びNiビームの開発 Development for Fe and Ni beam at RCNP ○依田 哲彦,福田 光宏,神田 浩樹,畑中 吉治,安田 裕介,鎌倉 恵太,原 周平,山野下 莉奈,Koay HuiWen(大阪大学核物理研究センター) ○Tetsuhiko Yorita, Mitsuhiro Fukuda, Hiroki Kanda, Kichiji Hatanaka, Yuusuke Yasuda, Keita Kamakura, Shuhei Hara, Rina Yamanoshita, Huiwen Koay (RCNP, Osaka Univ.) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)では、2005年に18GHz SC-ECRイオン源を導入して以降、Xeまでの幅広い種類の重粒子ビームの供給を行ってきた。Xe,Kr,Arなどのイオン種はガスをプラズマに導入することによりビーム生成される。一方、Fe,Niなど単体や化合物のガスが存在しないイオン種については、蒸気圧の高い有機化合物を利用したいわゆるMIVOC法によりビーム生成される。RCNPではFe,NiのMIVOC法によるビーム供給を目指して、Fe,Niの有機化合物であるフェロセン、ニッケロセンを温度管理しながらプラズマチェンバーへ導入するシステムの開発を続けてきた。今回、特にフェロセン、ニッケロセンを封入する容器とイオン源のプラズマチェンバーとの間の経路の温度勾配を任意に制御できるよう、フェロセン、ニッケロセン蒸気導入経路を細かい区間に分けてそれぞれ独立に温度コントロールするシステムを構築した。講演では、このフェロセン、ニッケロセン導入経路温度制御システムとビーム開発状況の詳細について発表する。 |
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WEP112 | マルチイオンビーム生成用ECRイオン源開発 ECR ion source for multi-ion accelerator ○大﨑 一哉,川崎 泰介,佐古 貴行,宮寺 晴夫(東芝),林崎 規託(東工大) ○Kazuya Osaki, Taisuke Kawasaki, Takayuki Sako, Haruo Miyadera (TOSHIBA), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Tech) ECRイオン源は重粒子がん治療装置を始めとするハドロン加速器分野のイオン源として広く利用されている。現在重粒子がん治療装置では線エネルギー付与と生物学的効果比の観点から炭素ビームが広く利用されているが、近年炭素ビームとその他の元素ビーム(アルゴンなど)を同一施設で利用できる加速器が治療施設側の要望の一つとしてある。その際、安定したマルチイオン生成を実現するECRイオン源が不可欠であるため開発を行っている。今回の実験では周波数2.45GHzのマイクロ波源で陽子、ヘリウム、ネオン、アルゴンの4種類のガスでイオン化を行い、静電圧を印加して下流側でビーム電流値を測定しすべての核種で1mA以上を記録した。それぞれのビーム電流測定結果を報告するとともに、今後の展望を言及する。 |
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WEP113 p.1188 | NIRS-PIGにおけるガスのパルス化試験 Study of gas-pulsing method at NIRS-PIG ○井 博志,白石 直浩,髙橋 勝之,山本 貢,佐々野 利信,髙杉 亘,川島 祐洋(加速器エンジニアリング株式会社),岩田 佳之,村松 正幸(放医研) ○Hiroshi Ii, Tadahiro Shiraishi, Katsuyuki Takahashi, Mitsugu Yamamoto, Toshinobu Sasano, Wataru Takasugi, Masahiro Kawashima (AEC), Yoshiyuki Iwata, Masayuki Muramatsu (NIRS) 重粒子線がん治療装置(HIMAC)で稼働している3台のイオン源は、1台の線形加速器に対して加速タイミングをずらして別々の核種のビームを導入している。したがって、イオン源はパルス的に運転することになるがイオン化ガスは連続的に導入されている。 PIGイオン源においてH2+及びHe+の生成には多量のガスを必要とするが、イオン化されなかったガスは線形加速器手前にある共通のビーム輸送ラインに流れ出している。それに伴い真空度が悪化し、他イオン源のビーム輸送効率に影響を与えている。そこで、ビーム生成に必要なガスをパルス的に導入することでビーム輸送ラインに流れ出すガス量を削減し、ビーム輸送効率の向上を図った。本試験では、漏れ磁場や放電ノイズの影響を受けにくく、イオン源での使用実績のあるピエゾバルブを既設のガス供給ラインに設置し、外部トリガによる開閉制御を行うことでイオン化ガスをパルス的に導入する手法を試みた。 試験の結果、漏れ磁場及び放電ノイズの影響は見られずガスのパルス化が可能になり、チェンバー内に導入されるガス量が削減されたことでビーム輸送ラインの真空度悪化が改善し、他イオン源のビーム輸送効率を向上させることが出来た。 またPIGイオン源のビーム強度においては、連続的にガスを導入していた時と同等の強度を確保することが出来た。 |
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WEP114 p.1191 | 小型ECRイオン源でのプレートチューナーよる多価イオンの強度増強実験 Improvement highly charged ion production with plate tuner method at Kei3 source ○村松 正幸(放射線医学総合研究所),濱田 滉太,加藤 裕史(大阪大学),北川 敦志(放射線医学総合研究所) ○Masayuki Muramatsu (NIRS), Kouta Hamada, Yushi Kato (Osaka Univ.), Atsushi Kitagawa (NIRS) 現在、世界的に粒子線治療施設の建設が予定されている。それらの計画の中では炭素以外のイオンを加速し、研究などに用いることが計画されている。たとえば、H3+, 3He+, 11B4+のようなイオンを利用する要求がある。これらの要求を達成するために、様々なイオンの供給を行えるECRイオン源(Kei3)の開発を行なっている。Kei3は、既存の炭素線がん治療装置用の小型ECRイオン源と同様の閉じ込め磁場を採用しているため、C4+に近いイオンを生成することが可能となる。Kei3ではこれまでに、バイアスディスク法、ガスミキシング法などを用いて、多種イオンの生成試験を行ってきた。これまでに得られた最大のビーム強度は、He2+: 1.950 mA、C4+: 0.565 mA、N5+: 0.185 mA 、O6+: 0.099 mA 、Ne7+: 0.050 mAである。窒素、酸素、ネオンの調整には、ガスミキシング法を使用している。 今回は、プラズマチェンバー上流に設置してあるrfシールドを駆動させ、マイクロ波のチューナーとして使用した。上流側ミラー磁場のピークから20 mm の位置にrfシールドを設置し、そこから上流側に30 mm動かせるようにした。Ne、Arの価数分布において多価に移行する結果が得られた。 |
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WEP115 p.1193 | RIビームがん治療用ISOLシステムに用いる1価イオン源のイオン生成効率 Ion production efficiency of singly charged ion source for heavy-ion cancer therapy with radioactive ions ○片桐 健,野田 章,涌井 崇志,北條 悟,白井 敏之(量研機構放医研) ○Ken Katagiri, Akira Noda, Takashi Wakui, Satoru Hojo, Toshiyuki Shirai (QST/NIRS) 重粒子線治療において,PET装置で線量分布をリアルタイムに検証する技術を実現するために,Isotope Separation On-Line (ISOL)法により,11CビームをHIMACシンクロトロンから供給することを検討している.この計画では,小型サイクロトロンを用いたプロトン照射で生成された11C分子をイオン化して加速する.このイオン化のプロセスでは,まず1価イオン源(SCIS)により1価11Cイオン(CO2+, CO+, 或はC+)を生成し,不要な同位体を分離した後に,その1価11CイオンをEBISイオン源に入射して荷電増幅を行う.限られた生成量の11C分子から,治療に要求される量の多価11Cイオンを生成するためには,SCISは少なくとも0.1%の1価11Cイオン生成効率を達成しなければならない.この生成効率の達成を目指して,低エネルギー電子ビームを用いたSCISの開発を進めてきた.今回,非放射性の12CO2ガスから12CO2+イオン, 12CH4ガスから12C+イオンの生成を行い,それらの生成効率の測定を行った.本発表では,これらの実験結果を示すと共に,ISOLシステムへの応用の観点からSCISの性能を議論する. |
レーザー (8月2日 第1,2,3,4会議室他) | |
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WEP116 p.1197 | SuperKEKBのPhase-IIコミッショニングに向けたRF電子銃用YbファイバーとNd:YAGハイブリッドレーザーシステム Yb fiber and Nd:YAG hybrid laser system of RF gun for SuperKEKB's phase-II commissioning ○周 翔宇,ZHANG RUI,夏井 拓也,吉田 光宏,小川 雄二郎(KEK) ○Xiangyu Zhou, Rui Zhang, Takuya Natsui, Mitsuhiro Yoshida, Yujiro Ogawa (KEK) SuperKEKB計画には高ルミノシティー・低エミッタンスを目指すため、RF電子銃および電子銃用レーザーの開発・試験を行ってきた。Ybファイバー及びYb:YAGのthin-disk型ハイブリッドシステムにより、25Hzレーザー光源を開発し、Phase 1 に入射器ビームコミッショニングを行っていた。 2017年秋に開始予定Phase 2コミッショニングに向けて、安定な高品質光源を開発している。レーザーダイオード励起Nd:YAGレーザーは、容易に高出力化することができる利点がある。Ybファイバー発振器とYbファイバー増幅した後、Nd:YAG増幅システムを採用した。新光源が20ps、500μm、1-25Hzシングル及びダブルバンチの目標を目指し、より安定性を求める。 |
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WEP117 p.1201 | SuperKEKB入射器におけるRF電子銃用レーザー安定性と出力エネルギーの高性能化の検討 Study on stable and high output energy laser system for RF-gun at SuperKEKB injector ○張 叡,周 翔宇,夏井 拓也,佐藤 大輔,吉田 光宏(高エ研) ○Rui Zhang, Xiangyu Zhou, Takuya Natsui, Daisuke Satoh, Mitsuhiro Yoshida (KEK) SuperKEKB Phase I commissioning has finished in summer of 2016. By using of Ytterbium hybrid laser system, 1.0 nC electron charge is generated and injected into High Energy Ring successfully for 10 days operation. As to the Phase III, electron beam with high charge and low emittance is required. According to the laser operation history, some new improvements are investigated for the following phase commissioning. Thermal management of laser system is one key problem, especially for disk laser amplifiers. For the laser system with high output energy under high repetition rate, the excellent thermal management can realize stable laser operation and electron charge generation. Meanwhile, efficient waste heat removal guarantees optical components and laser crystal sound for long time. This is very important to continuous operation of accelerator. Furthermore, low temperature laser system is built. Excellent thermal management and high amplification factor can be realized at the same time. All the new improvements have been being done for satisfying the demands of following phases of SuperKEKB. |
13:00 - 15:00 | |
WEP118 p.1205 | クラブ衝突レーザーコンプトン散乱のためのレーザーシステム開発 Development of laser system for crab crossing laser Compton scattering ○太田 昇吾,小柴 裕也(早稲田大学理工学研究所),坂上 和之(早稲田大学高等研究所),鷲尾 方一(早稲田大学理工学研究所),東口 武史(宇都宮大学) ○Shogo Ota, Yuya Koshiba (Waseda Univ. Research Institute for Science and Engineering), Kazuyuki Sakaue (Waseda Univ.,Waseda Institute for Advanced study), Masakazu Washio (Waseda Univ. Research Institute for Science and Engineering), Takeshi Higashiguchi (Utsunomiya University) レーザーコンプトン散乱は電子ビームとレーザーの衝突によってX線など高エネルギー光子が生成される現象である。特に発生したX線は準単色かつ高輝度であり、小型高輝度X線源として構築可能であるため様々な産業分野への応用が期待される。そのためにも十分な散乱光量ないしはルミノシティが必要である。実際の衝突においてはレーザー光として光共振器を用いる場合が多く、その場合正面衝突ではなく角度を持った衝突となってしまう。この時、ルミノシティは正面衝突時よりも低下する。そこでこの課題解決のために本研究で提案するのがクラブ衝突である。クラブ衝突とは電子ビームに傾きを付与した状態でレーザーと衝突させることであり、これによって疑似的な正面衝突を再現でき、ルミノシティの向上が期待できる。本研究ではこのクラブ衝突によるルミノシティの増加を実証する。また、クラブ衝突によるルミノシティへの寄与はレーザーのパルス幅が短いほど大きくなることが分かっているため、衝突用レーザーには高強度であることはもちろん超短パルス性も求められる。本研究ではYbを用いたファイバーレーザー発振器を構築することで超短パルス性を実現した。さらに高強度を目指すために現在はパルス増幅を得意とし、高品質なビームを生成できることで知られるThinDisk再生増幅器の開発を行っている。本年会ではそのクラブ衝突に向けたレーザーシステム開発及び今後の展望について報告する。 |
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WEP119 p.1210 | クラブ衝突によるレーザーコンプトン散乱のルミノシティ増大 Luminosity increase in laser-Compton scattering by crab crossing method ○小柴 裕也(早大理工研) ○Yuya Koshiba (RISE, Waseda Univ.) 電子ビームとレーザーの衝突によって生成されるレーザーコンプトン散乱X線において、それらの衝突角は散乱X線の特性を左右する重要なパラメータである。レーザーコンプトンX線源を放射光と比べ遜色のない高輝度光源とするためには、強度に相当するルミノシティを最大化する必要があり、衝突角が0度の正面衝突が理想的であることが知られている。しかしながら特にレーザーとして光蓄積外部共振器を活用した場合には有限交差角衝突を余儀なくされ、ルミノシティの低下を招く。そこで本研究では衝突型加速器で既に実績のあるクラブ衝突と呼ばれる衝突手法を使い、電子ビームに傾きを付与させることで擬似的な正面衝突を再現し、ルミノシティの増大を図る。クラブ衝突レーザーコンプトン散乱の原理実証が本研究の最大の目的である。本年会ではクラブ衝突の恩恵について主に述べるとともに、バックグラウンド測定、その他のX線源との比較について報告する。 |
真空 (8月2日 第1,2,3,4会議室他) | |
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WEP120 p.1214 | NEGコーティングした内径23 mm真空チューブの開発 Development of 23mm diameter vacuum tube with NEG coating ○金 秀光,谷本 育律,内山 隆司,山本 将博,宮島 司,本田 融(高エネ研) ○Xiuguang Jin, Yasunori Tanimoto, Takashi Uchiyama, Masahiro Yamamoto, Tsukasa Miyajima, Tohru Honda (KEK) 近年の光源加速器では小径ビームチューブが要求されるため、超高真空の実現に不可欠な低いガス放出特性と高い実効排気速度を同時に満たす手段としてNEGコーティング技術が注目されている。NEGコーティングは、非蒸発ゲッター(NEG)材をチューブの内壁に成膜することでガス源である内壁をポンプに変える技術で、さらに低い光刺激脱離特性や低い2次電子放出特性を有することから多くの加速器で採用されている。 本研究では、PF後継機として計画中の3GeV新蓄積リングで要求される内径23 mmのチューブを用いてNEGコーティングを行った。成膜にはKEKで設計、製作したMagnetron Sputtering装置を、NEG材にはCERNで実績のあるTi-Zr-Vを用いた。今回は膜の構造と密接な関係にあるとされるコーティング温度に着目し、排気性能や光刺激脱離特性との相関を調べた。 室温、100℃と200℃のいずれの温度でコーティングした膜でも、CERNで報告されているTi-Zr-Vの金属比に近い値が得られ、設計通りの組成比を持つNEG膜の生成に成功した。排気性能を調べたところ、100℃と200℃のチューブは室温のチューブより高い排気性能を示し、またCO飽和と活性化を繰り返す使用寿命測定でもはるかに安定な排気性能を示した。これらの結果は組成比だけでは排気性能の違いが説明できないことを意味し、今後はNEG膜の表面と微細構造に注目して排気性能と使用寿命との相関の解明を目指す。 |
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WEP121 p.1219 | 重イオン加速器における大強度標的への応用に向けた大口径プラズマウィンドウの開発と放電電流特性の測定 Development of plasma window with large aperture and measurement of discharge current characteristics for application to high-power target in heavy ion accelerator ○生駒 直弥(長岡技術科学大学,理研仁科センター),奥野 広樹(理研仁科センター),難波 愼一(広島大学),菊池 崇志(長岡技術科学大学) ○Naoya Ikoma (Nagaoka University of Technology, RIKEN Nishina Center), Hiroki Okuno (RIKEN Nishina Center), Shinichi Namba (Hiroshima University), Takashi Kikuchi (Nagaoka University of Technology) カスケードアークプラズマによってチャネル内を満たし,固体窓を用いずに真空封止を行う「プラズマウィンドウ(PW)」は,重イオン加速器で用いられているガス荷電変換装置における,ビームライン中へのガス蓄積や,大強度ビームの大気への取り出しなど,新たな標的技術として加速器分野において様々な応用が期待されている.しかし,その直径が小さいためビームを通すことができず,ビームライン中で使うには大口径化が必要という問題があった.例えば,1995年にA. Hershcovitchによって開発された最初のPWの直径は2.3mmであり,重イオンビームを通すためには最低でも直径10mm程度のPWが必要である.そこで我々は,直径10mm,20mmのPWを開発した.そして,放電電流を変化させて,圧力,直径,投入電力の関係について調べた.本発表では,その結果について報告する. |
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WEP122 p.1222 | 低反力ベローズを有する大口径アルミナセラミックスビームパイプの開発 Development of large aperture alumina ceramics beam pipes with low spring constant bellows ○神谷 潤一郎,金正 倫計(JAEA),阿部 和彦(㈱日立パワーデバイス),比嘉 究作(三菱重工業メカトロシステムズ㈱) ○Junichiro Kamiya, Michikazu Kinsho (JAEA), Kazuhiko Abe (HPSD), Kyusaku Higa (MHI-MS) J-PARC 3GeVシンクロトロン(Rapid Cycling Synchrotron: RCS)のビーム入射部は、入射および周回ビームを限られた空間でロスなく受け入れるために、ビームの形状に合わせた大口径・特殊断面形状のビームパイプを用いている。このビームパイプは挿入されるパルス電磁による誘導電流による発熱および磁場の乱れを回避するためにアルミナセラミックス製である。現状、RCS入射部には四極電磁石用2本と水平シフトバンプ用4本のセラミックス製ビームパイプがインストールされているが、四極電磁石用とシフトバンプ用のセラミックス製ビームパイプは、空間の制限からセラミックスパイプどうしがベローズを介さずに直接フランジ接続させている。この状態は、メンテナンス性の難からくる作業者の被ばくや、応力によるセラミックスの破損の問題につながる恐れがある。一方我々は、大口径ながら短ピッチの超低反力ベローズの開発と、アルミナセラミックスの加工技術の向上を行なってきた。これらの技術を組み合わせて、入射四極電磁石用アルミナセラミックス製ビームパイプについて、セラミックスの加工技術の向上により端部の構造を簡素化し、確保できた空間に短ピッチのベローズを設けるという設計を行った。本発表では、この入射四極電磁石用アルミナセラミックスビームパイプの設計思想、用いたアルミナセラミックスの真空特性、ロウ付け試験結果、およびベローズの性能評価結果を報告する。 |
加速器応用・産業利用 (8月2日 第1,2,3,4会議室他) | |
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WEP123 p.1226 | 加速器駆動可搬型プロトタイプ中性子源RANS2 The prototype of accelerator-driven transportable neutron source RANS2 ○小林 知洋,大竹 淑恵,池田 裕二郎(理研),串間 祐亮(都市大),林崎 規託(東工大) ○Tomohiro Kobayashi, Yoshie Otake, Yujiro Ikeda (RIKEN), Yusuke Kushima (TCU), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Tech) 理研では、7MeV陽子線加速器とBeターゲットによる理研小型中性子源システムRANSの運用によって得た知見をもとに、移動可能なサイズ・重量の(小型軽量可搬型)中性子源開発に着手している。これまで、高速中性子によるコンクリート内部劣化イメージング技術では、RANSの1/10程度の中性子束強度で可能な見通しを得た。そこでRANS2では陽子線のエネルギーを2.49MeV まで下げ、ターゲットにはLiを採用した。この組み合わせから得られる中性子は200~700keVの高速成分が主で、30cm程度のコンクリート内部構造のイメージング(透過・反射)に効果が期待できる。中性子のエネルギーがMeV以下であること、さらに前方性が強いことから側面や後方の遮蔽を大幅にスリム化できると見込まれる。現在、R&Dとしてマイクロ波ECRイオン源とRFQが完成しそれぞれイオン引出し試験、電位分布測定を行っている。本発表では、その後行われる陽子加速試験の結果を含めて報告する。 |
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WEP124 p.1228 | 加速器ベースBNCTシステムのためのコンパクト多門中性子モデレーターの概念設計 Conceptual design of compact-multichannel neutron moderator for accelerator-based BNCT system ○KOAY HUI WEN,土岐 博,福田 光宏,嶋 達志,関 良一,原 周平(大阪大学核物理研究センター),小泉 正彦,高階 正彰,森本 奈美(大阪大学大学院医学系研究科) ○Hui Wen Koay, Hiroshi Toki, Mitsuhiro Fukuda, Tatsushi Shima, Ryoichi Seki, Shuhei Hara (RCNP), Masahiko Koizumi, Masaaki Takashina, Nami Morimoto (Graduate School of Medicine, Osaka University) This study aims to develop a compact-multichannel neutron moderator to provide a high flux epithermal neutron beam source using an accelerator to support the new cancer treatment Boron Neutron Captured Therapy (BNCT). Typical accelerator-based BNCT neutron generators are delivering only a certain type of neutron spectrum through only one channel. However, in this study, new design of accelerator-based moderator system is proposed to deliver neutron beams at several different channels, while maintaining the minimum epithermal neutron flux as suggested by IAEA. Several different materials were chosen and investigated in detailed. Out of the materials studied, Fe, AlF3 and Teflon were chosen to be the final options for the configuration of moderators. Besides moderators, other aspects including the target, gamma shield, collimator as well as the thermal analysis of the target system were also performed to complete the study. A preliminary stage of experiment of this study was also performed to confirm the feasibility of the conceptual-design of this system in clinical accelerator-based BNCT. |
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WEP125 | 小型中性子源用電子加速器システムの設計 Design of an electron linac for compact neutron sources ○村田 亜希(東工大院),林崎 規託(東工大研究院),O’ Rourke Brian(産総研) ○Aki Murata, Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Tech), Brian O' Rourke (AIST) 核物質の核種分析などの用途に向けて、中性子発生管では技術的に困難な1マイクロ秒以下の短パルス中性子を発生可能な、電子加速器を用いた小型中性子源の実用化開発を進めている。光核反応のターゲット材料としては、一般的に反応断面積の大きい重金属が利用されるが、Be-9の中性子発生しきいエネルギーは1.67MeVと低いことから、これに加速エネルギーが5MeVまたは10MeVのSバンド(2.856GHz)小型電子加速器を組み合わせたシステムの得失評価をおこなった。 |
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WEP126 p.1232 | 小型加速器中性子源RANSによる水分変化測定 に基づくコンクリート評価手法の開発 Development of the evaluation method of concrete based on the water content measurement with a compact accelerator-driven neutron source RANS ○吉村 雄一(東工大院,理研,トプコン),水田 真紀,須長 秀行,大竹 淑恵(理研),林崎 規託(東工大研究院) ○Yuichi Yoshimura (Tokyo Tech, RIKEN, Topcon), Maki Mizuta, Hideyuki Sunaga, Yoshie Otake (RIKEN), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Tech ) 大型インフラコンクリート構造物においては目視や打音検査を主とする健全性評価が定期的に実施され,維持管理が行われている.しかし,雨や雪・凍結防止剤や潮風などの影響を受けて老朽化が進んでいると言われており,構造物の安全性が懸念されている.理研小型加速器中性子源RANSはインフラ構造物における効率的な維持管理に資することを目的に中性子を利用した非破壊検査技術の開発を行っており,既に鋼橋に利用される鋼材塗膜下腐食の可視化やコンクリート床版内部における損傷や欠陥の検出に成功している.我々は鋼材の腐食や劣化の進行速度に強く影響を与えるコンクリートへの水の浸透についてRANSによる中性子イメージングを利用して観察を行い,含水量やその経時変化である水の動きを評価している.そこで,水に近い水素密度を有するアクリルおよび含水状態の異なるコンクリートについて厚さを変えながら,コンクリートに浸透する水分量の変化を可視化定量評価した.そして均質性の観点から,数cm程度の厚さを有するコンクリートに対して浸透する水の測定可能性を検討した.本学会では,RANSによる水のイメージング手法の検討と共に厚さ5cmのコンクリートにおいて進行する水の浸透性状について報告する. |
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WEP127 | 産業用コンパクト中性子源のための小型陽子加速器システムの開発 Development of a downsized proton accelerator system for an industrial compact neutron source ○林崎 規託(東工大研究院),池田 翔太,村田 亜希(東工大院) ○Noriyosu Hayashizaki, Shota Ikeda, Aki Murata (Tokyo Tech) 産業界が導入しやすいエントリータイプのコンパクト中性子源の実用化を目指して,陽子線ベースの加速器駆動型中性子源に用いられる高周波四重極(RFQ)線形加速器システムの小型化開発に,装置不要時の廃棄処分方法も考慮しながら取り組んでいる。その開発状況について報告する。 |
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WEP128 | 電極・空洞一体構造ドリフトチューブ線形加速器の低電力高周波試験 Low level RF test of drift tube linac with integrated monolithic structure ○佐古 貴行,山口 晶子,大崎 一哉(東芝),林崎 規託(東工大) ○Takayuki Sako, Akiko Yamaguchi, Kazuya Osaki (TOSHIBA), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Tech) 重粒子線がん治療装置の入射器等に適用が期待できる、電極・空洞一体構造のドリフトチューブ線形加速器(DTL)を開発するため、テストモデルを製作し、試験を行った。電極・空洞一体構造はそれぞれを独立した部品として加工・接続する工法と比べて高いQ値が期待でき、電極毎の調整も不要となり工期短縮が可能な利点を持つ。今回、検証用のアルミニウム製の全長520mmのテストモデルを試作した。電界測定試験を実施、高周波解析の結果と比較し、軸上の電界積分値の差異は0.5%以下に収まることを確認した。本DTLの低電力高周波試験結果について報告する。 |
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WEP129 p.1235 | 次世代回転ガントリー用超電導電磁石の磁場設計 Magnetic field design of superconducting magnet for next generation rotating gantry ○高山 茂貴,折笠 朝文,長本 義史,吉行 健(東芝) ○Shigeki Takayama, Tomofumi Orikasa, Yoshifumi Nagamoto, Takeshi Yoshiyuki (toshiba) これまでに放射線医学総合研究所と共同で重粒子線がん治療装置用超電導回転ガントリーの開発を行っている。 本回転ガントリーにおいては機能結合型の超電導電磁石を用いることで、軸長約13 m、回転半径約5.5 mと陽子線用回転ガントリーと同程度への小型化を達成している。 現在、更なる小型化を目指した設計検討を実施している。 従来、最大偏向磁場2.88Tであったものを3.5Tに高磁場化すると共に、1コイル辺りの偏向角を最大26度から最大45度に長尺化する事で、これまで二極コイル10台で構成されていたものを6台構成としている。 さらに従来一つの二極コイルに一つの四極コイルを同軸配置することで機能結合化していたものを、新たに一つの二極コイルに二つの四極コイルを同軸配置することで二極コイルを長尺化しながらもラティス成立の自由度を確保する構成としている。 上述のような磁石諸元の変更やスキャニング電磁石の改良により、回転半径は5.7mとほぼそのままに軸長を7.5mと大幅に小型化する計画。 本発表においては上記小型回転ガントリーの構成および機能結合型超電導電磁石の磁場設計結果に関して報告を行う。 |
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WEP130 p.1238 | 重粒子線治療用超小型超伝導回転ガントリーの開発 Development of a compact superconducting rotating-gantry for heavy-ion radiotherapy ○岩田 佳之,白井 敏之,水島 康太(量研機構) ○Yoshiyuki Iwata, Toshiyuki Shirai, Kota Mizushima (QST) 粒子線がん治療において、粒子ビームを患者に対して任意の角度から照射可能とさせる回転ガントリーは重要な装置であり、陽子線がん治療装置では標準採用されるに至っている。一方、重粒子線治療用回転ガントリーにおいては、治療で必要な重イオンビームの磁気剛性が陽子線用のそれに比べ約3倍高いことから、電磁石群やそれらを支える構造体のサイズ・重量が非常に大型となる。この問題を克服するため、我々は超伝導回転ガントリーの開発を行ってきた。超伝導回転ガントリーは平成27年9月に完成し、その後、コミッショニングを続け、平成29年5月に治療利用が開始された。超伝導化により、全長13m、ビーム軌道半径5.5m、重量約300tと従来の常電導回転ガントリーに比べ大幅な小型・軽量化を実現しているが、依然、大型の装置である。我々は重粒子線治療用回転ガントリーの更なる普及のため、超小型超伝導回転ガントリーの開発に着手した。この超小型超伝導回転ガントリーは、90度の偏向角を持つ超伝導電磁石3台から構成される。超伝導電磁石は二極・四極磁場が同時発生且つ、独立励磁可能な機能結合型とし、最大二極磁場はB=5[T]、四極磁場勾配はG=14[T/m]である。これにより、回転ガントリーのサイズは全長約5m、ビーム軌道半径4mと更なる小型化が可能となる。本発表では、超小型超伝導回転ガントリーのビーム光学設計、超伝導電磁石設計の現状に関して紹介する。 |
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WEP131 p.1243 | 重粒子線治療用超伝導シンクロトロンの設計 Design of a superconducting synchrotron for heavy-ion radiotherapy ○水島 康太,白井 敏之,岩田 佳之,古川 卓司,野田 耕司(量研機構) ○Kota Mizushima, Toshiyuki Shirai, Yoshiyuki Iwata, Takuji Furukawa, Koji Noda (QST) 粒子線治療には加速器が必要不可欠であり、特に重粒子線治療においては加速器を含めた装置が大型化しやすいため、治療施設の普及促進のためには省スペースで施設の導入コストが小さくできる小型装置の開発が強く求められている。そのため量研機構では、重粒子線治療のさらなる促進を目指した「量子メス」開発プロジェクトの中で、超伝導技術を用いた重粒子線治療用小型シンクロトロンの設計検討を行っている。現在設計されているシンクロトロンは、最大二極磁場が4Tで四極磁場も独立励磁可能な機能結合型90度偏向電磁石4台を用い、常伝導型である従来装置の半分以下である周長28mの四回対称リングとなっている。また、シンクロトロンの設計条件としては、放医研でこれまでに開発されてきた高速スキャニング照射システムに適合できることも前提としている。本発表では、ここまでの設計で得られた計算結果等とともに、今後検討するべき課題について報告する。 |
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WEP132 p.1246 | レーザー加速イオンのシンクロトロンへの直接入射の検討 Research on direct injection of laser-accelerated ions into synchrotron ○野田 悦夫,白井 敏之,水島 康太,岩田 佳之,野田 章,野田 耕司(量研機構) ○Etsuo Noda, Toshiyuki Shirai, Kota Mizushima, Yoshiyuki Iwata, Akira Noda, Koji Noda (QST) 現在、量研機構で進められている量子メスプロジェクトの開発テーマの一つに、超伝導技術とレーザー加速技術による重粒子線がん治療装置の小型化があげられている。今回、レーザー加速イオンのシンクロトロンへの直接入射に関するフィージビリティスタディを行った。主な検討項目は、1ターンあたりに入射可能な粒子数の限界と多重回入射方式による蓄積可能粒子数の2点である。今回の検討は、現状の普及型シンクロトロンで行い、蓄積粒子数(C6+)の目標を1×10^9個以上、レーザー照射間隔を100msとした。加速イオンを約1.4m飛行させた後、縦方向の位相回転により1/10にエネルギー圧縮を行い、4MeV/u±1%の幅の粒子を切り出してシンクロトロンに入射する。この時の入射ビームのパルス幅は約5ns、パルス長は約14cmとなる。入射後のビームは、自らの速度広がりにより伸長し、次の入射時には、あるエミッタンスの領域をほぼ一杯に満たす。検討の結果以下のことが分かった。 1.空間電荷効果を考慮すると、1ターンあたりシンクロトロンに入射可能な粒子数の上限は約2×10^8個である。 2.入射ビームのパルス幅(5 ns)が周回時間(1~2μsec)に比べ十分短いため高速キッカー電磁石による多重回入射方式を提案した。この入射方式により、1入射あたりの平均粒子数を1×10^8個として、20回の多重回入射(2秒)を行うと、目標とした1×10^9個以上の粒子を蓄積することが可能と考えられる。 |
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WEP133 p.1251 | 11C不安定核イオンビームの分離及び多価イオンへの転換システム Separation and charge breeding system of radioactive 11C ion beam ○野田 章,片桐 健,北條 悟,涌井 崇,白井 敏之,野田 耕司(放医研),グリーザー マンフレッド(マックスプランク原子核研) ○Akira Noda, Ken Katagiri, Satoru Hojo, Takashi Wakui, Toshiyuki Shirai, Kouji Noda (NIRS), Manfred Grieser (MPI-K) 重粒子線によるがん治療はその線量集中性と大きなRBEによる高い治療効果を実現し、装置の小型化とも相俟って広範な普及に向けての取り組みが世界各地で進行している。この治療を重要臓器に隣接した腫瘍を患っている患者さんへの適用をも可能とするため、positron emitterの不安定核11Cイオンビームを充分な強度で治療に供給することを目指して、 サイクロトロンからの高強度ビームで生成したビームをHIMACシンクロトロンで再加速する(Target Fragment Scheme)ための核種分離システムと多価チャージ実現のためのチャージブリーダーの設計・検討の結果を紹 介したい。 |
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WEP134 p.1254 | 遅い取り出しビームの光学パラメータの最適化とその検証 Verification and optimization of the optical parameters for slow extracted beam ○皿谷 有一(量研機構),竹下 英里(神奈川がんセンター),古川 卓司,原 洋介,水島 康太,早乙女 直也,丹正 亮平,白井 敏之,野田 耕司(量研機構) ○Yuichi Saraya (QST), Eri Takeshita (KCC), Takuji Furukawa, Yousuke Hara, Kota Mizushima, Naoya Saotome, Ryohei Tansho, Toshiyuki Shirai, Koji Noda (QST) 三次元スキャニング照射法ではビームのサイズや位置を高精度に制御することが重要であり、ビーム輸送ラインの光学系の最適化やビーム位置を治療の基準位置に合わせることが必要である。光学系の最適化は、出射点での光学パラメータの設計値に基づき行われるが、これには計算とのずれがある。我々は、輸送ライン上に設置された蛍光膜とCCDカメラで測定したビームサイズと位置の変動量から、出射点の光学パラメータを検証し最適化を行う方法を開発し、神奈川県立がんセンターの重粒子線治療装置において実験を行った。本手法では、まず出射中のビーム位置の変動量から、ディスパージョンの最適化を行い、次に複数のモニターで測定したビームサイズから出射点でのツイスパラメータとエミッタンスを求める。このような検証と最適化を行うことで、高い精度で計算と実測を合わせることができ、出射中の位置とサイズの変動も僅かであった。光学系の最適化を行った後は、計画された線量分布と実際の線量分布がずれないよう、ビームの位置を治療室での基準点に合わせる必要がある。治療室内に設置された蛍光膜とCCDカメラで測定したビーム位置のずれから上流のステアリング電磁石の補正電流値を計算する手法を開発し、これまでより短時間にビーム位置のずれを+/- 0.5 mm 以内に調整することができた。本講演ではこれらの結果について発表を行う。 |
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WEP135 p.1257 | 粒子線治療のためのスパイラルビームスキャニングによる高精度照射システムの開発 Development of the irradiation system with spiral beam scanning for particle therapy ○原 周平,福田 光宏(核物理研究センター),小泉 雅彦,高階 正彰,隅田 伊織(阪大 医学系研究科),村上 秀明,北森 秀希(阪大歯学部付属病院),依田 哲彦,神田 浩樹,中尾 政夫(核物理研究センター),岸上 祐加子,佐川 友啓(阪大 医学系研究科),山野下 莉那,Koay Huiwen,鎌倉 恵太(核物理研究センター) ○Shuhei Hara, Mitsuhiro Fukuda (RCNP), Masahiko Koizumi, Masaaki Takashina, Iori Sumida (Osaka university Graduate School of Medicine), Shumei Murakami, Hideki Kitamori (Osaka university Dental Hospital), Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Masao Nakao (RCNP), Yukako Kishigami, Tomonari Sagawa (Osaka university Graduate School of Medicine), Rina Yamanoshita, Huiwen Koay, Keita Kamakura (RCNP) 高い線量集中性に優れる粒子線治療では、従来のスキャニング照射法では腫瘍の境界部分の線量に過不足が生じやすく、腫瘍辺縁部の線量分布形成に改善の余地がある。本研究では腫瘍辺縁部及びその内部に対する高精度照射を目的としたスパイラルビームスキャニングの研究開発を行っている。この照射法では腫瘍輪郭の相似形状で渦型にビームを走査させて連続照射することにより、高い原体性を実現することが可能である。これまでに真円形状と、実際の腫瘍を基にした形状についての均一線量分布の形成を目指し、大阪大学核物理研究センターで80MeV陽子線のGAHCHROMICフィルムへの照射試験を行った。真円形状については、走査軌道を一定に保ち、渦型軌道の間隔とビーム径(FWHM)を適切な比で保つことにより均一度±3.5%の線量分布を形成することに成功した。また、腫瘍との境界部分の半影を表すペナンブラ(80%~20%線量の間の長さ)は2mm程度となった。腫瘍形状に基づいた形状への照射では、腫瘍の形状の変形に起因する走査軌道間隔の粗密のため、一定の走査速度で照射すると高線量部分と低線量部分が生じた。これを改善するために、走査速度やビーム径などのパラメーターを変調させたビーム制御を検討している。本発表では本研究の照射法の詳細と行った照射試験の結果について報告する。 |
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WEP136 p.1262 | RFKO装置における広帯域APN回路の最適化 Optimization of APN circuit with a wide band in RFKO system ○西原 亮輔(日本大) ○Ryosuke Nishihara (Nihon Univ.) 現在、がん治療に最も効果的な重粒子線照射法としてスポットスキャニング法がある。この方法は照射したい部分を数千ブロックに分けて塗りつぶすようにビームを照射する。利点として照射されるビームに無駄がなく、正常細胞へのダメージが最小であることが挙げられる。この照射法を行うためにはシンクロトロンからのビーム取り出しにおいて高速制御が必要であり、それを目的としたビーム取り出し法としてRFKO法が用いられている。また、筆者らは高速四極電磁石(FQ)と高周波ノックアウト装置(Radio Frequency Knockout : RFKO)を用いたQAR法を提案している。セパラトリクス内の粒子はRFKO信号の周波数帯域が広いほど一様に拡散されることが筆者らのビームシミュレーションから示されており、その周波数帯域は普及型シンクロトロンにおいては1~17[MHz]である。そこに10個の共鳴帯が含まれている。RFKO装置はIT(Impedance Transformer)とAPN(All Pass Network)で構成され、本研究はAPNの特性改善を目的としている。ITの変換比を16:1とし、そのときのAPNの負荷抵抗は800Ωとなる。APNの回路パラメータの最適化にあたってはRFKO電極を接続するリード線の長さによる電極インピーダンスの変化や、コイルの浮遊容量を考慮しLTspiceを用いて回路の最適化を行った。当日はこれらの解析結果、実験結果について報告する. |
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WEP137 p.1265 | 小型陽子線治療システム用高エネルギービーム輸送系の光学系設計 Optical design of a high energy beam transport for compact proton beam therapy systems ○えび名 風太郎,青木 孝道,篠澤 柚衣(株式会社 日立製作所) ○Futaro Ebina, Takamichi Aoki, Yui Shinozawa (Hitachi, Ltd.) 近年、陽子線治療システムは回転ガントリを備えた治療室を1室のみの、より低コストでかつ小型で設置面積が小さいシステムが求められている。その実現のためには加速器、回転ガントリの小型化だけでなく、ビーム輸送系を極力短くする必要がある。本研究では、回転ガントリ入射前の偏向電磁石を省略した短縮型の高エネルギービーム輸送系を考案した。偏向電磁石を省略した高エネルギービーム輸送系では、回転ガントリの入口におけるディスパージョンとその勾配を同時に0に補正することができない。また、高エネルギービーム輸送系中の四極電磁石員数が限られることにより、回転ガントリ入口におけるTwissパラメータを任意の値に調整することが困難である。そこで本研究では、回転ガントリ入口におけるディスパージョンをビーム輸送系設計の制約条件から外し、アイソセンタにおけるディスパージョンが直交する二種類のガントリ回転角度について同時に0となる様に高エネルギービーム輸送系中の四極電磁石の励磁量を設定した。Twissパラメータについても同様に、直交する二角度のアイソセンタにおける値のみを制約条件として光学系を設計した。これにより、偏向電磁石を省略した高エネルギービーム輸送系であっても任意のガントリ回転角についてアイソセンタにおけるディスパージョンを0に補正し、Twissパラメータを目標値に一致させることが可能となる。 |
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WEP138 p.1269 | 粒子線治療用ビーム形状の回転ガントリ角度依存性解析 Study of gantry angle dependency of beam shape for particle beam therapy ○青木 孝道,えび名 風太郎,梅澤 真澄,野村 拓也,遠竹 聡(株式会社 日立製作所) ○Takamichi Aoki, Futaro Ebina, Masumi Umezawa, Takuya Nomura, Satoshi Totake (Hitachi, Ltd.) がん治療の一種である粒子線治療では、加速器で生成された粒子線ビームをがんなどの照射対象に照射する。照射対象に任意の角度から粒子線を照射するために回転ガントリ輸送系が用いられる。回転ガントリ輸送系では固定輸送系との接続点におけるビーム軌道を軸として下流の輸送系を回転させ、照射対象への照射方向を制御することができる。従来、回転ガントリ輸送系の光学設計では一つの回転角度で固定輸送系との接続点と照射中心において、ビームの水平方向と鉛直方向のTwissパラメータをそれぞれ互いに等しくしていた。この条件によって、回転ガントリ輸送系の回転角に対して照射点でのTwissパラメータを一定に保つことが可能である。しかしながら、近年スキャニング照射法の発展に伴い、照射精度向上のために照射ビームの形状を制御する必要が求められている。本研究では5次元の位相空間上における光学計算を元に、従来考察されていなかった照射点におけるビーム形状のガントリ回転角依存性を光学計算によって解析した。結果、ビームサイズの縦横比と空間的な傾き角と回転ガントリ輸送系中のベータトロン振動の位相進みの間の関係を導出および定式化し、ビーム形状をガントリ回転角に対して不変とできる条件を見出した。本発表では上記ビーム形状とベータトロン振動数の関係の定式化とビーム形状をガントリ回転角に対して不変とできる条件の詳細について述べる。 |
加速器土木・放射線防護 (8月2日 第1,2,3,4会議室他) | |
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WEP139 p.1273 | 吸着材蓄熱技術を活用したILCの排熱利用の提案 A proposal on using exhaust heat of the ILC with adsorption thermal storage technology ○小久保 孝(高砂熱学工業株式会社),吉岡 正和(東北大学/岩手大学) ○Takashi Kokubo (Takasago Thermal Engineering Co.,Ltd.), Masakazu Yoshioka (Tohoku University / Iwate University) ILCは、ピーク電力164MW、年間使用電力量10億kWh級の大規模加速器施設である。この大きな電力負荷は、最終的には熱エネルギーになり冷却水で取り出され、従来の加速器施設では、冷却塔で大気に放散されてきた。しかし、研究用の大型電力施設であっても、低炭素化努力が要求される近年の状況では、加速器性能向上や全機器の電力効率向上によって低電力化を図るとともに、排熱の有効利用を考える必要がある。直線距離が長い上、熱の消費場所への距離も長くなるILCにおいては、パイプラインによる熱搬送は不向きで、それに替わる方法が求められる。そこで、水分の吸着と脱着により蓄放熱を行う「吸着材蓄熱技術」により、排熱をコンテナに収納してトラック輸送することを提案する。この技術は、ILCに限らず未利用のまま放置されている多くの排熱を、地元の一次産業(農業・林業・漁業)に有効利用し、六次産業化することに応用できる。東北地方の新しい農林水産事業展開に貢献していきたい。 |
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WEP140 p.1278 | グリーンILCを契機とした地域熱エネルギー循環モデルの提案 Proposal of regional thermal energy circulation model triggered by Green ILC ○水戸谷 剛(東日本機電開発(株)),吉岡 正和(東北大学/岩手大学) ○Goh Mitoya (Higashi-Nihon Kidenkaihatsu Co.,Ltd,), Masakazu Yoshioka (Tohoku Univ./Iwate Univ.) 国際リニアコライダー(ILC)は、500GeV衝突エネルギー時に最大電力164MW、年間消費電力量が10億kWhとなる大電力負荷施設である。 現在、東北地方の北上山地(岩手県、宮城県)での建設が有力視されているが、建設の実現と施設の運転にあたっては構成施設全体の効率を最大限に高め、電力エネルギーを効率よくビームエネルギーに変換するとともに、運転に伴い排出されるエネルギーを回収し、再利用する方策をとることが課題となっている。 この課題解決には、‘グリーンILC’という考え方で、①加速器自身の省エネ②水力・新エネルギーの利用③排熱エネルギーの回収と活用の3つの方向で検討が進められている。 このコンセプトは、ILCを契機とした地域の活性化、地方創生に繋がるものであるが、それを実現するためには地域の特徴を踏まえ、その地域の産学官金が連携し、主体者として取り組むことが成功の絶対条件である。 この論文では、地域企業の一員としてグリーンILCを契機に、革新的な蓄熱技術を活用した熱エネルギー循環と地域の産業と結びつける方策について提案するものである。 |
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WEP141 p.1282 | 放射線環境下(J-PARC)における測位センサネットワークシステムの耐久性と防災用アプリの適用計画 DURABILITY OF POSITIONING SENSOR NETWORK SYSTEM IN RADIATION ENVIRONMENT (J-PARC) AND APPLICATION PLAN OF DISASTER PREVENTION APP ○川端 康夫,松田 浩朗,松元 和伸(飛島建設株式会社),田頭 茂明(関西大学),石井 恒次,大森 千広,芝田 達伸(KEK),吉岡 正和(東北大学・岩手大学) ○Yasuo Kawabata, Hiroaki Matsuda, Kazunobu Matsumoto (Tobishima Corp.), Shigeaki Tagashira (Kansai Univ.), Koji Ishii, Chihiro Oomori, Tatsunobu Shibata (KEK), Masakazu Yoshioka (Tohoku Univ.,Iwate Univ.) 筆者らは,長大トンネルのILCにおいて施設内の研究者の位置情報,滞在時間および緊急時の双方向情報伝達等を実現するために,測位センサネットワークによる双方向通信と同時測位を実現する安定性・信頼性の高い位置管理システムの開発を進めてきており,既に実用レベルにある。これまでの研究で,機器運転時の測位センサ基地局の放射線に対する耐久性を検証し,運転時に電源をOFF状態にすれば、運転停止時には,位置管理や通信機能が継続使用できる可能性が確認できた。 2016-7年度は、以下の2点の検証を行う。 ①民間のガンマ線照射施設に測位センサ基地局を持ち込み,電源OFF状態で最大10kGy程度までの照射試験を行い,機器の使用限界の検証する。 ②現在稼働中であるJ-PARCのMR加速器トンネル内に測位ネットワークシステムを構築、防災用アプリを作成した上で、試験的に適用し、その効果を検証する。 J-PARCでは、防災担当者が中央制御室に常駐し、施設内に入坑している研究者・作業員とPHSでコミュニケーションをとっているのが現状で、これを補助できるアプリを作成し、適用することで、より確実な防災管理が可能となるものと考えている。 |
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WEP142 p.1287 | J-PARC リニアックにおける建家変動および振動測定 Floor deformation and vibration measurements of the J-PARC linac accelerator tunnel ○森下 卓俊(J-PARC, 原子力機構) ○Takatoshi Morishita (J-PARC, JAEA) J-PARC リニアックは2006 年に精密アライメントを終え、ビーム運転を開始した。建家の変形はアライメントを悪化させ、ビーム損失の要因になりうることから、その後も精密測量、変動モニタリングを継続している。建設直後に発生する初期の建家変形は収束したものの、2011年の地震以降は局所的な建家変動が顕著になったため、数年ごとに再アライメントを実施している。また、長期的な変動のほかにも、微小ながら加速器トンネルは振動しており、夏期メンテナンス時に実施する精密測量時、床の振動に起因すると考えられる測量データの揺らぎが度々発生する。そこで、微小振動計を用いた建家振動のモニタリングと、不連続な変動が発生する可能性が高い建家連結部において常時変位計測を開始した。本発表では、長期的な変動計測結果とともに、建家振動の成分とその要因について考察し、報告する。 |
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WEP143 p.1291 | 高感度地震観測網(Hi-net)による花崗岩地帯のILC施設への発破振動影響検討 A Study of blasting vibration influence to ILC project using high sensitivity seismograph networks (Hi-net) in Granite site ○関根 一郎,若竹 亮(戸田建設),吉岡 正和,佐貫 智行(東北大学),山下 了(東京大学),汐見 勝彦(防災科学技術研究所),坪川 恒也(真英計測) ○Ichiro Sekine, Ryou Wakatake (Toda Corporation), Masakazu Yoshioka, Tomoyuki Sanuki (Tohoku University), Satoru Yamashita (Tokyo University), Katsuhiko Shiomi (NIED), Tsuneya Tsubokawa (Shin_ei Keisoku) 日本への立地が期待されている国際リニアコライダー(ILC)は、実験を行いながら衝突エネルギーを上げるために施設を延長することが考えられている。トンネル施設の延長掘削には発破を使用することが想定され、発破振動が周辺民家等に与える影響を検討することはトンネル工事でも行われており予測式もあるが、通常100m以内の至近距離にある場合が対象であり、掘削位置での発破振動が1km以上離れた遠隔地に伝わる状況に関するデータは多くない。 国立研究開発法人防災科学技術研究所では、阪神・淡路大震災の後、全国に地震観測網を配備した。高感度地震観測網(Hi-net)では地下約-100mに高感度の地震計を設置している。本報告では、Hi-netを利用し花崗岩地帯でトンネルを掘削する際に実施した発破による振動が遠隔地に伝わる状況に関するデータを集め、発破による数㎞の遠隔地からの振動は伝播するが減衰し、極めて小さくなることを示した。 |
革新的加速器技術(の提案) (8月1,2日 第1,2,3,4会議室他) | |
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IPP001 p.1296 | g-2/EDM精密計測用ミューオン蓄積超電導磁石の特異値分解を基礎にした均一磁場設計手法 Design method for a magnet of muon g-2/EDM storage and high precision measurement ○阿部 充志,村田 幸弘(日立研開),飯沼 裕美(茨城大理工),荻津 透,齊藤 直人,佐々木 憲一,三部 勉,中山 久義(高エネ研) ○Mitsushi Abe, Yukihiro Murata (Hitachi Ltd., CTI-Energy), Hiromi Iinuma (Ibaraki Univ.), Toru Ogitsu, Naoto Saito, Kenichi Sasaki, Tsutomu Mibe, Hisayoshi Nakayama (KEK) 鉄yokeを含む起磁力を持ち均一な磁場分布を生成する磁石の設計のため にMRI磁石に用いた設計手法を拡張した。そして、J-PARCで計画中の ミューオンg-2/EDM精密測定実験用の超伝導磁石に適用した。 この磁石は、ミューオンビームを蓄積する3.0Tの均一磁場領域(2次元断 面で±0.1ppm以下, 周回方向変動1ppm以下)を、半径33.3cmのリング領 域(断面:3cm幅、10cm高)に持つ。蓄積領域を囲んで起磁力(コイルブロ ックCB及び鉄yoke)を配置し、その2次元(2D)位置形状を均一磁場生成に 必要な配置に調整した。設計手順は、(1)周囲に連続的に配置した線輪 電流分布を調整し、(2)離散配置の鉄yokeとCBに置き換えた。この2D 起磁力配置設計では起磁力分布と磁場分布の応答行列を特異値分解 (SVD)して得た6個の軸対象固有モード強度を精密に調整した。 設計した磁石は、超伝導コイル内半径が80cm、全体を鉄yokeで覆い、 半径中心部では鉄の一部を磁石中心領域に向けたpoleを持つ。 Spiral Injectionが可能な磁場分布である。磁石の製作誤差と計測器や 外部機器の影響による誤差磁場が予想される。誤差磁場は最小となる ように設計するが、設置時にはMRIの受動的シミング手法を応用する。 これにより、磁石設計と整合性良くシミングできる。 |
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IPP002 p.1301 | ミュオン核変換のための高効率負ミュオン源MERITの研究 Study of efficient negative muon source MERIT for muon nuclear transformation ○森 義治,石 禎浩,谷口 秋洋,上杉 智教,栗山 靖弘,武藤 正文,沖田 英史,小野 雪佳(京都大学原子炉実験所),金正 倫計,三宅 康博,吉本 政弘,岡部 晃太(J-PARCセンター),佐藤 朗(大阪大学理学部) ○Yoshiharu Mori, Yoshihiro Ishi, Akihiro Taniguchi, Tomonori Uesugi, Yasihiro Kuriyama, Masafumi Muto, Hidefumi Okita, Yuka Ono (RRI, Kyoto Univ.), Mitikazu Kinsho, Yasuhiro Miyake, Masahiro Yoshimoto, Kouta Okabe (J-PARC center), Akira Sato (Osaka Univ.) 超寿命放射性核分裂生成物核種の安定化のために負ミュオンによる核変換が注目されている。このための最も大きな課題の一つである高効率負ミュオン生成について、重陽子ビーム加速・貯蔵機能を備えたエネルギー回復方式の内部標的法を提案している。本会議では、この提案の詳細と低エネルギー陽子による加速・貯蔵の原理実証試験の現状について報告する。 |
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IPP003 p.1303 | 相対論的量子イオンビームによる高強度ガンマ線源 Intense gamma radiation by relativistic quantum ions ○本田 洋介(高エ研),笹尾 登,吉村 太彦,吉村 浩二,吉見 彰洋,植竹 智,増田 孝彦,宮本 祐樹,原 秀明,平木 貴宏(岡山大学),横谷 馨,吉田 光宏(高エ研),上垣外 修一,中川 孝秀,金井 保之,市川 雄一,長友 傑(理研),坂上 和之(早稲田大) ○Yosuke Honda (KEK), Noboru Sasao, Motohiko Yoshimura, Koji Yoshimura, Akihiro Yoshimi, Satoshi Uetake, Takahiko Masuda, Yuuki Miyamoto, Hideaki Hara, Takahiro Hiraki (Okayama univ.), Kaoru Yokoya, Mitsuhiro Yoshida (KEK), Osamu Kamigaito, Takahide Nakagawa, Yasuyuki Kanai, Yuuichi Ichikawa, Takashi Nagatomo (RIKEN), Kazuyuki Sakaue (Waseda univ.) 電子ビームとレーザー光のコンプトン散乱によるガンマ線源が国内外で実現されている。電子をイオンに置き換え、励起準位の共鳴散乱を用いることで、散乱断面積を圧倒的に稼ぐことができ、ガンマ線源の強度を飛躍的に増強することができる。本発表では、イオンと励起光源そして加速器の構成、からこの方式を具体的に検討する。 |
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IPP004 | 入射・蓄積部一体型小型リングのためのビーム入射・制御手法の開発 Development for beam control procedure for all-in-one injection and storage ring magnets ○飯沼 裕美(茨城大理工),中山 久義,佐々木 憲一,三部 勉(KEK),阿部 充志(日立研開) ○Hiromi Iinuma (Ibaraki-Univ.), Hisayoshi Nakayama, Ken'ichi Sasaki, Tsutomu Mibe (KEK), Mitsushi Abe (Hitachi Ltd., CTI-Energy) J-PARC/MLFでミューオン異常磁気モーメント(g-2)とミューオンの電気双極子モーメント(EDM)の精密測定実験を行うための要素技術開発の一つとして、磁場の強さ3T、均一度1ppmの医療用MRI磁石タイプの蓄積リングに線形加速器からの300MeV/cのミューオンビームを入射・蓄積するために3次元らせん軌道の入射および蓄積手法の検討を行っている。ソレノイド型磁石のフリンジ部に入射角 (~20度) でビームを入射し、径方向磁場により入射ピッチ角を減少させながら長手方向1.4m程度移動し、蓄積領域まで誘導する。磁石中心部で長手方向のビーム運動を止めるためにパルス状の軸対称径方向磁場(垂直キック)を与える。また、蓄積領域内にビームを保持するために弱収束磁場(静磁場)も付加する。3次元らせんビーム入射の特徴は(1)入射部と蓄積部が一体型磁石の中に納まっており、入射と蓄積をスムーズにつなぐことが可能であること、(2)ソレノイド磁場にビームを蓄積するため、ソレノイド軸方向、径方向のビーム位相空間に強い相関(X-Yカップリング)があり、一般的なビーム制御とは異なるビーム調整手法を用いる点である。 本発表では、3次元らせん軌道入射の概要と、3次元らせん軌跡を実現するための入射部と蓄積部の弱収束磁場空間分布の設計について議論する。また、入射領域と蓄積領域を結ぶパルス磁場キッカーのパラメータ設計についても紹介し、3次元入射手法の入射効率の議論も行う。 |
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IPP005 p.1306 | 陽子線治療向けの大電流可変エネルギー加速器 Variable-energy accelerator with large current for proton beam therapy ○堀 知新,青木 孝道,関 孝義((株)日立製作所) ○Chishin Hori, Takamichi Aoki, Takayoshi Seki (Hitachi, Ltd.) 陽子線治療において、スループット向上は最重要課題の一つである。その方策の一つとして、大電流化による照射時間短縮がある。この観点からは、シンクロトロンよりもサイクロトロンの方が有利である。しかし、陽子線治療用の加速器には、70-230 MeV程度の範囲におけるエネルギー可変性が求められ、サイクロトロンではディグレーダによるエネルギー調整が必要となるため、230 MeVでは大電流(数百nA)であっても、70 MeVでは低電流(数nA)となっていた。そこで、本研究では、このエネルギー範囲で一定の大電流を供給することを目標に、新たな加速器を考案した。新加速器の特徴は、ビーム軌道中心がエネルギー増大に応じて偏心していくことである。これによって70-230 MeVの軌道間隔を数cmまで狭めた領域をつくることで、エネルギーの異なるビームを一つの射出チャネルから取り出せると考えた。本研究では、上記のような軌道で陽子線が安定周回する磁場を光学計算によって探索した。サイクロトロン並みの大電流化のために、磁場には等時性条件を課した。その結果、最大磁場2.45 T、最小磁場0.8 T、70-230 MeVの軌道間隔12.4 mmで、10 MeV以上で水平チューンが1.0-1.5、垂直チューンが0.5-1.0の領域に収まる解を得ることができた。ビーム安定性は、トラッキング計算によっても確認できた。 |
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IPP006 p.1310 | 共振器型レーザー駆動誘電体加速器の研究 Study on a Laser-driven dialectic accelerator with resonator ○小山 和義(高エネ研,東大),Chen Zhaofu,上坂 充(東大),吉田 光宏(高エネ研) ○Kazuyoshi Koyama (KEK, University of Tokyo), Zhaofu Chen, Mitsuru Uesaka (Univ. Tokyo), Mitsuhiro Yoshida (KEK) バイナリー位相を持つ誘電体製回折格子による非相対論的領域での電子加速に関する解析を進め、それに沿った回折格子を製作し、加速実験のための準備を進めている。実験では一枚の格子を用いておもて面からの一方向からのレーザー照射を行う。この配位では、高勾配加速は入射の位相及び回折格子からの電子ビームの距離の限られた領域でのみ可能である。これら単純な回折格子を使った方法では、レーザーの電界と電子の相互作用は一過性でしかなく効率が悪い。もし、フィネスが100程度のファブリーペロー共振器にレーザーのエネルギーを蓄えることができれば、10ps程度で数十から百マイクロジュールのパルスを多層膜反射鏡の破壊限界に近い電界強度を得ることが可能になる。この大きさのレーザーパルスは自由空間を介さずにファイバーだけで伝送が可能であり、実用化にとって朗報となる。我々は、ファブリーペロー共振器型レーザー駆動誘電体加速器の検討を行っている。これまでに、数値計算では相対論的電子の加速の可能性を示すことができた。 |
施設現状報告ポスター (8月1,2日 ホワイエ(2F)) | |
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FSP001 p.1313 | 若狭湾エネルギー研究センターシンクロトロンの現状 Present Status of the Synchrotron of The Wakasa Wan Energy Research Center ○栗田 哲郎,羽鳥 聡,林 豊,山田 裕章,小田桐 哲也,廣戸 慎,清水 雅也,山口 文良,淀瀬 雅夫,長崎 真也,和田 一人,大矢 龍輝,辻 宏和((公財)若狭湾エネルギー研究センター) ○Tetsuro Kurita, Satoshi Hatori, Yutaka Hayashi, Hiroaki Yamada, Tetsuya Odagiri, Shin Hiroto, Masaya Shimizu, Fumiyoshi Yamaguchi, Masao Yodose, Shin'ya Nagasaki, Kazuto Wada, Ryuki Ooya, Hirokazu Tsuji (The Wakasa Wan Energy Research Center) 若狭湾エネルギー研究センター加速器施設(W-MAST)は、タンデム加速器および、それを入射器としたシンクロトロンによって、広範囲のエネルギーのイオンビーム(陽子 : 数MeV-200MeV; He, C : 数 MeV- 55MeV/u)を様々な実験に供給している。シンクロトロンからのビームは、材料/生物への照射実験に利用されている。 2016年度は、6月から2017年4月まで運転をおこなった。 入射器であるタンデム加速器のターミナル電圧が定格まで上がらないという問題があり、低い入射エネルギーでの運転をしいられたが、ほぼ計画通り実験にビームを供給できた。 近年、加速高周波に重畳する位相ノイズが原因のダイポール振動が問題になっている。ダイポール振動に幾つかの周波数で共鳴が発生していた。位相ノイズを除去する改造を行い、出射電流量およびその安定性が改善できた。 W-MASTは帯域ノイズを用いたRFキッカーによる遅い取り出しを行っている。出射電流の時間構造を改善するため、フィードバック制御の改良に取り組んでいる。 加速高周波制御系および出射制御系の整備状況を報告する。 |
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FSP002 p.1317 | J-PARC加速器の現状 Status of J-PARC accelerators ○長谷川 和男(JAEA),内藤 富士雄(KEK),金正 倫計,小栗 英知,山本 風海,林 直樹,山崎 良雄(JAEA),堀 洋一郎,山本 昇,小関 忠(KEK) ○Kazuo Hasegawa (JAEA), Fujio Naito (KEK), Michikazu Kinsho, Hidetomo Oguri, Kazami Yamamoto, Naoki Hayashi, Yoshio Yamazaki (JAEA), Yoichiro Hori, Noboru Yamamoto, Tadashi Koseki (KEK) J-PARCでは2016年の夏季メンテナンス終了後、加速器の立ち上げや調整を経て、10月下旬からニュートリノ実験施設(NU)、11月上旬から物質・生命科学実験施設(MLF)の利用運転を再開した。NUでは、前回の利用の終了時点(2016年5月)で420kWの出力であったが、チューンの変更や多くのパラメータの最適化調整により、2017年1月には450kW、2月に470kWまで向上した。一方ハドロン実験施設(HD)に向けて2017年4月に調整運転を開始したが、静電セプタムの不具合により停止し、その復旧作業を行っている(5月上旬現在)。MLFでは、昨年度の2回の中性子標的の不具合を受け、新しい設計で標的を製作中であり、それが納入される2017年夏までは150kWのシングルバンチで供給する予定である。 2016年度全体では、リニアック、RCS、MLFともに安定に運転ができ、稼働率は93%であった。一方MRでは、小動物のトランスへの侵入や、性能向上に向けた新しい電源の使用開始に伴うノイズによる不具合などがあり、NU向けで約77%、ハドロン向けで約84%の稼働率であった。 |
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FSP003 p.1322 | iBNCT加速器の現状 Status of the iBNCT accelerator ○杉村 高志,内藤 富士雄,小林 仁,栗原 俊一,佐藤 将春,赤木 智哉(KEK),熊田 博明 ,田中 進,大西 貴博(筑波大),大場 俊幸,名倉 信明 (NAT),大内 利勝 ,櫻山 久志 ,山之内 諒 (ATOX),藤倉 昇平(東大),高崎 栄一 ,穴見 昌三,三浦 太一,本田 洋介,帯名 崇 ,福田 将史,宮島 司,二ツ川 健太,方 志高,南茂 今朝雄,福井 佑治 ,高木 昭 ,柴田 崇統 ,池上 清,堀 洋一郎 ,魚田 雅彦,佐藤 吉博,嶋本 眞幸,丸田 朋史,劉 勇,川村 真人 ,フェン チウ(KEK),長谷川 和男,三浦 昭彦,篠崎 信一 ,千代 悦司(JAEA/J-PARC) ○Takashi Sugimura, Fujio Naito, Hitoshi Kobayashi, Toshikazu Kurihara, Masaharu Sato, Tomoya Akagi (KEK), Hiroaki Kumada, Susumu Tanaka, Takahiro Onishi (U. of Tsukuba), Toshiyuki Ohba, Nobuaki Nagura (NAT), Toshikatsu Ouchi, Hisashi Sakurayama, Ryo Yamanouchi (ATOX), Shohei Fujikura (U.of Tokyo), Eiichi Takasaki, Shozo Anami, Taichi Miura, Yosuke Honda, Takashi Obina, Masafumi Fukuda, Tsukasa Miyajima, Kenta Futatsukawa, Zhigao Fang, Kesao Nanmo, Yuji Fukui, Takagi Akira, Takanori Shibata, Kiyoshi Ikegami, Yoichiro Hori, Masahiko Uota, Yoshihiro Sato, Masayuki Shimamoto, Tomofumi Maruta, Yong Liu, Masato Kawamura, Qiu Feng (KEK), Kazuo Hasegawa, Akihiko Miura, Shin-ichi Shinozaki, Etsuji Chishiro (JAEA/J-PARC) いばらき中性子医療研究センターでは、8MeV陽子加速器とベリリウム標的を用いて中性子を発生させ、BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)を用いたがん治療の研究を行うことになっており、加速器の建設及び調整を進めてきた。2017年1月には施設検査に合格し、生物実験へ向けた調整を進めている。この加速器はRFQとDTLの2個の空洞を持ち、1つのクライストロンから高周波電力を分配して供給している。これらの空洞の基本RF設計はJ-PARCリニアックのRFQ2号機及びDTLと同一であるが、BNCTのために要求される中性子線密度を達成するために、平均電流で2mA以上のビーム電流が要求されている。そのためにビーム繰り返し最大200Hz、ビームパルス幅最大990usecと、J-PARCでの運転実績に比べ、Duty factorが非常に大きい状態で運転されることが大きな相違となっている。また、将来病院内に設置することを想定し冷却水の流量を減らすために、加速管内での冷却水の温度上昇を10℃程度まで許容するという挑戦的な排熱設計を採用していることも大きな特徴の一つといえる。 ビームの安定供給に関し治療サイドからは患者一人当たりの治療時間(約1時間)は安定に運転できることを要求されており、現在の主な中断の原因となっている空洞のトリップに関して真空装置の増強と空洞のコンディショニングによる改善を図っているところである。本発表では、このような8MeV陽子加速器の現状について報告をしたい。 |
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FSP004 p.1327 | KEK電子陽電子入射器の現状 Present status of the KEK electron/positron injector linac ○夏井 拓也,古川 和朗,明本 光生,紙谷 琢哉,諏訪田 剛,峠 暢一,吉田 光宏(KEK) ○Takuya Natsui, Kazuro Furukawa, Mitsuo Akemoto, Takuya Kamitani, Tsuyoshi Suwada, Nobukazu Toge, Mitsuhiro Yoshida (KEK) 現在,KEK電子陽電子入射器ではSuperKEKBのPhase2にむけた様々なアップグレードを行っている.同時に放射光施設PF, PF-ARへの入射も行っており,4リング同時入射に向けた機器の建設も進めている.また,2017年秋からは陽電子入射用のダンピングリングの稼働も予定されており,陽電子生成用Flux concentratorの稼働試験と並行して陽電子ビーム入射の準備も進められている.陽電子ビームに関する建設状況,低エミッタンスビーム入射に向けたパルス電子磁石,アライメント技術,高周波電子銃などの現状報告を行う. |
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FSP005 p.1330 | KEK放射光源加速器PFリングとPF-ARの現状 Present status of PF ring and PF-AR at KEK ○小林 幸則(KEK 加速器研究施設) ○Yukinori Kobayashi (KEK Accelerator Laboratory) 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光科学研究施設(フォトンファクトリー:PF)は、1982 年から今日まで34 年の長きにわたり大学共同利用を中心にした運営を行い、物質科学および生命科学を中心にした基礎科学の発展に貢献してきた。現在では、2.5GeV PFリングと6.5 GeV PFアドバンストリング(PF-AR)の2つの放射光専用リングを運転し、年間3,500 人を超えるユーザに対して紫外線からX線までの放射光を供給している。PFリングでは、高輝度化改造により低エミッタンス化が実現し性能が向上した後、挿入光源増強計画により短周期アンジュレータの4台の新設が完了するとともに、90年代前半に製造されたアンジュレータの更新が検討されている。PF-ARにおいては、高度化改造によりビーム寿命が大幅に改善するとともに、今年2月にはフルエネルギー入射を目指した直接入射路増強計画が完了、加減速なしのユーザ運転が再開された。本年会では、最近のPFリングとPF-ARの運転状況について報告する。 |
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FSP006 p.1334 | KEKコンパクトERLの現状 Present status of the compact ERL at KEK ○加藤 龍好(高エネ研) ○Ryukou Kato (KEK) エネルギー回収型線形加速器(Energy Recovery Linac, ERL)ベースの放射光源は、蓄積リング型放射光源の限界を超える「先端性」と、多くの放射光科学の展開を可能にする「多様性」を兼ね備えており、これまでKEKの次期放射光源として開発が続けられてきた。 ERLの小型実証機として高エネルギー加速器研究機構(KEK)に建設されたコンパクトERLは、2016年3月の運転でエネルギー20MeV、平均電流1mAのエネルギー回収運転に成功した。 しかしその後のKEKロードマップの改訂により、より短い開発期間で実現性の高い3GeV蓄積リング型高輝度光源に次期放射光源としての座を譲ることになった。 開発および運転にかかわる年度当初の予算はゼロになり、保守維持のための予算のみが認められた。 しかし、関係者の不断の努力により追加予算が認められ、年度末の限られた期間ではあるが「大バンチ電荷」を目標とした運転を行うことができた。 ここでは2016年度のコンパクトERLの運転および保守・トラブルの状況について報告する。 |
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FSP007 p.1339 | 先端加速器施設(ATF)の現状 Status report of the accelerator test facility ○照沼 信浩,久保 浄,黒田 茂,奥木 敏行,内藤 孝,荒木 栄,福田 将史,森川 祐,田内 利明,Aryshev Alexander(高エネ研) ○Nobuhiro Terunuma, Kiyoshi Kubo, Shigeru Kuroda, Toshiyuki Okugi, Takashi Naito, Sakae Araki, Masafumi Fukuda, Yu Morikawa, Toshiaki Tauchi, Alexander Aryshev (KEK) KEKの先端加速器試験施設(ATF)は、国際リニアコライダー(ILC)において必要とされるビーム計測・制御技術、特に衝突ビームに必要なナノメートルビーム技術の開発を進めている。後者はATF2と呼ばれる試験ビームラインにおいて、国際コラボレーション体制の研究開発として実施されており、二つの大きな目標がある。第一の目標は、垂直方向37nmの極小ビームの達成であり、これはILCでの衝突ビームサイズ6 nmを実現するための技術である。第二の目標は、ILCでの電子・陽電子ビーム衝突を安定にするために、ナノメートルレベルでビーム位置を制御することである。 現在までに、ATF2のビーム収束点(仮想衝突点)において41 nmの極小ビームを確認している。しかしながら、このビームを実現するためには、バンチ電荷を想定の1/10程度に下げなければならなかった。ATF2ビームラインの空洞型BPMなどが強いWakefield源となり、ビームに影響していたためである。このため、2016年にWakefield源を半減させる改造を実施、結果としてバンチ電荷の増強を可能とした。ナノメートルレベルでのビーム位置制御技術開発では、制御に使用する空洞型BPMの分解能で制限される数10 nmまで開発が進んでいる。バンチ電荷の増強により信号強度が上がり、更に開発が進むことが期待される。 これらATF技術開発の現状を報告する。 |
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FSP008 | ILC計画実現に向けたKEK―CFFにおける超伝導加速空洞の製造技術研究の現状 Activities of SRF cavity fabrication study for ILC at KEK-CFF ○山中 将,井上 均,渡辺 勇一,道前 武,江並 和宏,梅森 健成,佐伯 学行,加古 永治,道園 真一郎(高エネ研) ○Masashi Yamanaka, Hitoshi Inoue, Yuichi Watanabe, Takeshi Dohmae, Kazuhiro Enami, Kensei Umemori, Takayuki Saeki, Eiji Kako, Shinichiro Michizono (KEK) KEKでは従来、機械工学センターにて超伝導加速空洞の試作を行っていたが、ILC計画に向けて製造技術研究を加速するために、空洞製造技術開発施設(Cavity Fabrication Facility: CFF)を整備し、2011年7月に竣工した。ここには大型のEBW機,プレス機,化学処理室などが整備されている.これらは19 m×14 mのクラス100,000のクリーンルームにコンパクトに配置されている.従来から有る機械工学センターの工作機械と合わせれば,空洞をKEK所内で全て製造することができる.これらの設備を用いて、大量生産に向けた効率的な生産技術と空洞の性能を維持しながらコスト低減を図ることを主眼として研究を行っている。これまでに3台の1.3 GHz TESLA-like 9セル空洞と7種類の研究用1又は3セル空洞を製造し、空洞製造の経験を蓄えている。LG材を用いた9セル空洞のKEK-2号機は最大加速勾配38 MV/mに達し、ILC仕様を満たした。製造に必要な治具等も自前で開発している。施設の現状と最新の研究成果について紹介する。 |
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FSP010 p.1344 | UVSOR光源加速器の現状2017 Status of UVSOR-III in 2017 藤本 將輝,○加藤 政博,山崎 潤一郎,林 憲志,手島 史綱,水口 あき(UVSOR) Masaki Fujimoto, ○Masahiro Katoh, Jun-ichiro Yamazaki, Kenji Hayashi, Fumitsuna Teshima, Aki Minakuchi (UVSOR) 分子科学研究所UVSOR-III光源加速器の現状と最近の加速器及び光源技術の研究開発状況を報告する。2回にわたる高度化改造の後、光源性能は高まったが、マンパワーの不足により積み残しとなっている課題もあり、また、老朽化による故障への対応にも追われている。光源開発研究では、所外の研究者との共同研究が引き続き活発であり、放射光による光渦の発生やレーザーコンプトンガンマ線の利用法の開拓などの研究を進めている。本年会ではこららUVSOR-IIIの現状を報告する。 |
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FSP011 p.1347 | 京都大学自由電子レーザ施設の現状 Present status of free electron laser facility at Kyoto University ○全 炳俊,奥村 純平,田伐 俊介,Krainara Siriwan,Torgasin Konstantin,紀井 俊輝,増田 開,大垣 英明(京大エネ研) ○Heishun Zen, Jumpei Okumura, Shunsuke Tagiri, Siriwan Krainara, Konstantin Torgasin, Toshiteru Kii, Kai Masuda, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.) 京都大学エネルギー理工学研究所では、エネルギー材料研究への応用を主な対象とし、S-band高周波電子銃を電子源とした小型で経済的な中赤外自由電子レーザ(KU-FEL)を開発し、中赤外波長可変レーザの発生とその利用研究を行っている。また、近年、光陰極高周波電子銃を電子源として用いたコヒーレントアンジュレータ放射光源の開発も行っている。本報告では、これら光源の現状について報告する。 |
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FSP012 p.1351 | 京大炉FFAG加速器現状報告 Status report on KURRI FFAG ○石 禎浩,栗山 靖敏,上杉 智教,不破 康裕,沖田 英史,森 義治(京大炉) ○Yoshihiro Ishi, Yasutoshi Kuriyama, Tomonori Uesugi, Yasuhiro Fuwa, Hidefumi Okita, Yoshiharu Mori (KURRI) 京都大学原子炉実験所では、FFAG加速器からの150MeVおよび100MeVの陽子ビームを用いて、 加速器駆動未臨界システム(ADS)実験、ADS未臨界炉用材料挙動解明のための陽子ビーム照射実験、放射性・非放射性のエアロゾルを含む化学種定量のための空気チェンバーへ照射実験、BNCTの基礎研究のための生体ラットへのビーム照射実験等が行われている。また、パルス中性子源としての利用を視野にいれたマイクロアンペアクラスのビーム増強を計画中である。 本発表では、装置の現状ならびにビーム強度増強のためのビームロス低減に向けたビームスタディーおよびビームシミュレーション結果について報告する。 |
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FSP013 p.1354 | 京大炉電子線型加速器(KURRI-LINAC)の現状 Status of KURRI-LINAC ○阿部 尚也,高橋 俊晴,堀 順一,窪田 卓見,高見 清(京大炉) ○Naoya Abe, Toshiharu Takahashi, Jun-ichi Hori, Takumi Kubota, Kiyoshi Takami (KURRI) 京大炉電子線型加速器の2016年度の運転時間は過去最高の2,638.5時間であった。利用形態別では、放射線計測、放射線損傷、RI製造・放射化分析、核データ、放射光源の順で26~14%の割合で満遍なく利用されている一方、メンテナンスに時間を割けない状況が続いている。 昨年の報告以降、マシン停止を伴うトラブルが相次いだ。2016年10月に、No.2サイラトロンヒーター電線損傷が発生。コネクタの接触不良と電源投入時の突入電流が原因と推定し、電線や接続パネルの耐火耐熱化を実施した。2017年1月に、インジェクター高圧電源が異常電圧を発する故障が発生し、予備電源と交換した。同3月には集中してトラブルが発生した。No.1加速管水負荷で漏水及びNo.1加速管出口RF窓接続部でSF6ガス漏れが発生した。いずれも数十年経過のOリングの劣化によるもので、交換を行って対応した。No.1加速管出口イオンポンプでは10-5Pa程度の圧力に悪化したため、エレメント更新を実施した。RFドライバーでは前段アンプからの出力がなくなる不具合が発生した。業者修理の結果、原因は位相切替スイッチの接触不良であった。温調系冷却水三方弁では全閉不能になる不具合が発生、オーバーホールを実施して対処した。 改造では前回報告のモデュレータ過電流時の分電盤ブレーカー断の対策として、キュービクル及び分電盤内ブレーカーの電流容量増強を実施した。その後ブレーカー断は発生しておらず、効果有の判断である。 |
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FSP014 p.1357 | 九州大学加速器・ビーム応用科学センターの現状報告2017 Status report of Center for Accelerator and Beam Applied Science of Kyushu University in 2017 ○米村 祐次郎,有馬 秀彦,池田 伸夫,魚住 裕介,執行 信寛(九大工),森田 浩介,寺西 高,若狭 智嗣,藤田 訓裕,坂口 聡志,岩村 龍典(九大理),中山 久義,高木 昭(高エネ研),森 義治(京大) ○Yujiro Yonemura, Hidehiko Arima, Nobuo Ikeda, Yusuke Uozumi, Nobuhiro Shigyo (Faculty of engineering, Kyushu University), Kosuke Morita, Takashi Teranishi, Tomotsugu Wakasa, Kunihiro Fujita, Satoshi Sakaguchi, Tatsunori Iwamura (Faculty of Science, Kyushu University), Hisayoshi Nakayama, Akira Takagi (KEK), Yoshiharu Mori (Kyoto University) 九州大学加速器・ビーム応用科学センターでは、FFAG加速器と8 MVタンデム静電型加速器を利用した加速器施設の整備が進められている。FFAG加速器棟では、FFAG加速器のビーム利用へ向けた機器の整備や加速器の性能向上を目的とした研究開発が進められている。タンデム加速器棟・実験棟では、タンデム加速器のビーム強度増強のための機器調整と本格的なビーム利用へ向けた実験室の整備が進められている。本発表では、FFAG加速器とタンデム加速器の現在の整備状況について報告する。 |
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FSP015 p.1360 | 広島大学放射光科学研究センターの現状 Present status of Hiroshima Synchrotron Radiation Center ○川瀬 啓悟,後藤 公徳,松葉 俊哉(広大放射光) ○Keigo Kawase, Kiminori Goto, Shunya Matsuba (HSRC, Hiroshima Univ. ) 広島大学放射光科学研究センターは、紫外線から軟X線領域の放射光を利用した固体物理学を中心とする物質科学研究の推進とその研究分野における人材育成のために、1996年に設立された。2002年より全国共同利用施設となり、2010年からは共同利用・共同研究拠点として認定され、今年度で22年目を迎えている。近年では、各機器の老朽化に伴うトラブルも散見されている。その対策の一環として、昨年度から蓄積リングの高周波加速空洞へ電力を供給している電源の更新を開始している。これまでの真空管増幅器から半導体増幅器へ移行することで、より安定して信頼性の高い運転の実現を期待している。昨年度は幸いながら大きなトラブルが発生することもなく、ユーザーへのビーム供給時間が1564時間となり、2011年度以前の高い水準のユーザー運転時間を実現することができた。 |
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FSP016 p.1364 | RCNPサイクロトロン施設の現状 Status of the RCNP cyclotron facility ○神田 浩樹,福田 光宏,畑中 吉治,関 亮一,森信 俊平,齋藤 高嶺,依田 哲彦,友野 大,中尾 政夫,鎌倉 恵太,田村 仁志,永山 啓一,安田 裕介,原 周平,山野下 莉那,Koay HuiWen,森田 泰之(阪大RCNP) ○Hiroki Kanda, Mitsuhiro Fukuda, Kichiji Hatanaka, Ryoichi Seki, Shunpei Morinobu, Takane Saito, Tetsuhiko Yorita, Dai Tomono, Masao Nakao, Keita Kamakura, Hitoshi Tamura, Keiichi Nagayama, Yusuke Yasuda, Shuhei Hara, Rina Yamanoshita, Koay Huiwen, Yasuyuki Morita (RCNP, Osaka University) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)のサイクロトロン施設は 1973年完成のAVFサイクロトロンと 1991年完成のリングサイクロ トロンより構成され、素粒子・原子核物理学、核化学、核医学の ために 各種のイオンビームを高い運動量分解能で供給してきた。 現在、施設の老朽化対策、またさらなる 性能のアップグレードを 目的とし、2018年度から2019年度にかけて集中メンテナンス、 アップ グレードを計画している。AVFのアップグレードとしては ビーム強度の増強とエミッタンスの低下による 高輝度化を中心 とした計画を立案している。高輝度化によりミューオンや中性子 など二次粒子ビーム、 高分解能ビームの強度の増大、医療用RIの 大量製造を可能とする。今年度は高輝度化への布石として イオン源のアップグレードを計画しており、また、イオン源から AVFサイクロトロンへの入射ライン改造の準備を実施している。 さらにAVFのアップグレードとしてはディー、RF、真空システムの 改造による高輝度化高安定化と加速イオン種の拡大を目指した 計画を策定している。 この講演では、2016年度のサイクロトロン施設の稼働状況と実績、 また集中メンテナンスと アップグレードの計画と現在の準備状況 に関して報告する。 |
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FSP017 | 先端オペランド計測技術開発のためのSバンド小型電子リニアック・超短パルスレーザー施設の現状 Present status of S-band compact electron linac and ultra-short pulse laser facility for advanced operando-measurement technology ○黒田 隆之助(産総研 OPERANDO-OIL),田中 真人,三浦 永祐,大島 永康,O'Rourke Brian,藤原 健,澁谷 達則,高鍋 彰文,Mao Wenfeng,豊川 弘之(産総研) ○Ryunosuke Kuroda (OPERANDO-OIL, AIST), Masahito Tanaka, Eisuke Miura, Nagayasu Oshima, Brian O'rourke, Takeshi Fujiwara, Tatsunori Shibuya, Akifumi Takanabe, Wenfeng Mao, Hiroyuki Toyokawa (AIST) 産総研では、これまでSバンド小型リニアック施設において、超短パルス電子ビームや超短パルスレーザーによるレーザーコンプトン散乱X線やコヒーレント・テラヘルツ光源、短パルスガンマ線源の開発を行い、医療応用や産業応用等、各種先端計測技術開発に用いたきた。現在は、これら光・量子ビームを水溶液中のタンパク質の挙動計測や、レーザー照射中の材料変化計測など、先端オペランド計測技術の開発へと展開している。本年会では、産総研施設の現状について報告する。※この成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」の結果により得られたものです。 |
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FSP018 p.1367 | 阪大産研量子ビーム科学研究施設の現状報告 Status report of Research Laboratory for Quantum Beam Science, ISIR, Osaka University ○古川 和弥,誉田 義英,藤乗 幸子,磯山 悟朗,岡田 宥平,久保 久美子,徳地 明,楊 金峰,近藤 孝文,菅 晃一,神戸 正雄,吉田 陽一(大阪大学 産業科学研究所) ○Kazuya Furukawa, Yoshihide Honda, Sachiko Tojo, Goro Isoyama, Yuhei Okada, Kumiko Kubo, Akira Tokuchi, Jinfeng Yang, Takafumi Kondoh, Koichi Kan, Masao Gohdo, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka University) 阪大産研量子ビーム科学研究施設はLバンド40 MeV電子ライナック、フォトカソードRF電子銃ライナック、Sバンド150 MeV電子ライナック、コバルト60γ線照射装置を持つ放射線共同利用施設である。Lバンドライナックはナノ秒とサブピコ秒領域のパルスラジオリシスを用いた研究や、FELによる大強度テラヘルツ波の発生と利用に用いられる。モジュレータではサイラトロンに替わるSI-サイリスタを用いた半導体スイッチを開発しており、昨年度は逆電圧対策やノイズ対策を行った。また冷却装置関係では1次側冷却水の大幅な更新を行い、タイマー運転用のPLCや漏水検出器の整備を進めている。また現在のWindows2000を用いた制御システム更新のため、データベースとしてMySQL、PLCとの通信用にJAVA、ユーザーインターフェース用にC#を用いたWindows10で動作するプログラムの開発を進めている。RF電子銃ライナックは、フェムト秒パルスラジオリシスによる放射線化学初期過程の解明に用いられている。また、より時間分解能を向上したアト秒パルスラジオリシスの実現と、集団イオン化等の新奇現象の解明のため、超短パルス電子ビーム発生方法・計測手法を開発している。RF電子銃を用いたMeV電子顕微鏡、電子線回折と新規電子銃開発の役割を担った小型短パルス電子線発生装置を開発している。本発表では当施設の保守管理・開発の状況に関して報告する。 |
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FSP019 p.1371 | 筑波大学タンデム加速器施設の現状報告 Status report of the tandem accelerator complex at the University of Tsukuba ○笹 公和,石井 聰,大島 弘行,高橋 努,田島 義一,大和 良広,森口 哲朗,上殿 明良(筑波大学応用加速器部門) ○Kimikazu Sasa, Satoshi Ishii, Hiroyuki Oshima, Tsutomu Takahashi, Yoshikazu Tajima, Yoshihiro Yamato, Tetsuaki Moriguchi, Akira Uedono (UTTAC, Univ. of Tsukuba) 筑波大学研究基盤総合センター応用加速器部門(UTTAC)では、6 MVタンデム加速器及び1 MVタンデトロン加速器からなるタンデム加速器施設の維持管理と学内外との共同利用研究を推進している。また、陽電子消滅実験装置及びメスバウアー分光分析装置等の放射性同位元素実験設備の維持管理も担当している。2016年3月より本格的な運用を開始した6 MVタンデム加速器は、5台の負イオン源と12本のビームラインを有している。2016年度は11件の実験課題が採択されており、加速器運転時間は総計1,867時間となった。更新されたラムシフト型偏極負イオン源からは、約80%の核偏極量の陽子ビーム生成に成功しており、12 MeVまで加速した偏極陽子では約40%の核偏極量が観測された。新規ビームラインとしては、構造材料計測用イオンビーム分析装置の開発整備を進めており、現在2μmまでのマイクロビーム形成に成功している。本発表では、筑波大学タンデム加速器施設の現状と加速器開発整備及び研究利用の現況について報告する。 |
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FSP020 | 東北大CYRICのサイクロトロン加速器施設の現状報告 Present status of the cyclotron facility at CYRIC in Tohoku University ○伊藤 正俊,松田 洋平,石橋 陽子,原田 健一,田中 香津生(東北大CYRIC),川村 広和,井上 壮志(東北大FRIS) ○Masatoshi Itoh, Yohei Matsuda, Yoko Ishibashi, Kennichi Harada, Kazuo Tanaka (CYRIC, Tohoku University), Hirokazu Kawamura, Takeshi Inoue (FRIS, Tohoku University) 東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター(CYRIC)は、サイクロトロン加速器の多目的利用および高レベルRI、サイクロトロン生成短寿命RIの利用、RI安全取り扱いの教育・訓練を行うために設立された東北大学の学内共同利用である。現在では、2台のサイクロトロン加速器、930型AVFサイクロトロン(K=105)、HM-12サイクロトロン、が設置され理工学およびライフサイエンスの研究に利用されている。また、最近では阪大RCNP、理研、東北大ELPHとともに短寿命RI供給プラットフォームを形成し全国的な取り組みも行っている。 本発表では、近年の加速器の運転状況・ビーム開発およびビーム利用状況について報告する。 |
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FSP021 p.1374 | 東北大学電子光理学研究センターの現状報告 Status report of research center for electron photon science at Tohoku University ○日出 富士雄,柏木 茂,鹿又 健,柴崎 義信,髙橋 健,長澤 育郎,南部 健一,武藤 俊哉,濱 広幸(東北大電子光) ○Fujio Hinode, Shigeru Kashiwagi, Ken Kanomata, Yoshinobu Shibasaki, Ken Takahashi, Ikuro Nagasawa, Kenichi Nanbu, Toshiya Muto, Hiroyuki Hama (ELPH, Tohoku Univ.) 東北大学電子光理学研究センターは全国共同利用・共同研究拠点として,1.3 GeV ブースター蓄積(BST)リングにて生成された高エネルギーガンマ線を用いたクォーク・ハドロン核物理の研究をはじめ,60 MeV大強度電子線形加速器によるRI製造や核・放射化学の研究,さらには50 MeV試験加速器 (t-ACTS) における超短パルス電子ビームの生成とこれによるコヒーレントテラヘルツ光源の開発研究などを進めている.また,平成28年4月より新学術領域の取り組みとして,阪大核物理研究センターや理研仁科センター,東北大サイクロトロン・RIセンターとともに短寿命RI供給プラットフォーム事業を展開している.これら加速器群の現状やセンターの利用状況,今後の予定などについて報告する予定である. |
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FSP022 p.1377 | 日大LEBRA電子線形加速器と光源の現状 Status of electron linac and light source at LEBRA in Nihon University ○野上 杏子,早川 建,田中 俊成,早川 恭史,境 武志,住友 洋介,佐藤 勇(日大量科研),清 紀弘,小川 博嗣(産総研),榎本 收志,大澤 哲,福田 茂樹,設楽 哲夫,古川 和朗,道園 真一郎,土屋 公央,吉田 光宏,新冨 孝和,山本 樹(高エネ研) ○Kyoko Nogami, Ken Hayakawa, Toshinari Tanaka, Yasushi Hayakawa, Takeshi Sakai, Yoske Sumitomo, Isamu Sato (LEBRA, Nihon University), Norihiro Sei, Hiroshi Ogawa (AIST), Atsushi Enomoto, Satoshi Ohsawa, Shigeki Fukuda, Tetsuo Shidara, Kazuro Furukawa, Shinichiro Michizono, Kimichika Tsuchiya, Mitsuhiro Yoshida, Takakazu Shintomi, Shigeru Yamamoto (KEK) 2016年度における日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)の125MeV電子線形加速器の稼働日数は154日であった。クライストロン通電時間は約1198時間、電子ビーム加速時間は約400時間で、いずれも2015年度に比べ数百時間減少した。これは、主に装置の故障に伴う交換作業や電子銃カソードの特性試験の実施、カソード交換時の真空トラブルへの対応などによる。特に、サイラトロンが1台故障し交換したが、キープアライブ電流の変動が激しく安定に動作することが困難であった。これは、定格のヒータ電圧よりも低い値に設定していたことが原因で、ヒータ電圧を上げ一旦は改善した。しかしその後も、運転条件によってキープアライブ電流が急激に変化し、電子ビーム加速が不安定になる問題が起きており、さらに対策が必要な状況にある。2010年より産業技術総合研究所と進めてきたTHz光源の開発において、PXRライン上のTHz標的結晶や輸送系を更新した。 |
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FSP023 p.1381 | NewSUBARU放射光施設の現状 Present status of the NewSUBARU synchrotron light facility ○宮本 修治,橋本 智,庄司 善彦(兵庫県立大 高度研),皆川 康幸,鍛治本 和幸,濱田 洋輔(高輝度センター) ○Shuji Miyamoto, Satoshi Hashimoto, Yoshihiko Shoji (LASTI, Univ. of Hyogo), Yasuyuki Minagawa, Kazuyuki Kajimoto, Yousuke Hamada (JASRI) 兵庫県立大学高度産業科学技術研究所の運用する、ニュースバル放射光施設加速器の現状を報告する。 本施設は、1.5GeV電子蓄積リング(周長約120m、最大蓄積電流500mA)と9本の放射光ビームラインから構成されており、電子は、SPring-8大型放射光施設の電子入射器(1GeV)からの電子パルスを振り分けて蓄積している。ニュースバル放射光施設を1GeVで運転する場合は、トップアップ入射が可能で、300mA一定運転、1.5GeV加速する場合は、350mAに電子蓄積後、加速を行うため、蓄積運転となり12時間後に電流が約半分になる。 昨年度、逆偏向電磁石用の補助電源が故障し、修理不可で加速運転ができない期間があった。このため、従来ドロッパー方式を用いていた補助電源2台を集約して、1台のスイッチング電源に更新する工事を行い、現在加速運転が復旧している。 ニュースバル放射光施設は、建設から約20年たち、更新の必用な機器が発生している。今後、加速器機器の新しい共通化技術を取り入れて、保守、更新を行う必用がある。 |
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FSP024 p.1384 | あいちSR光源加速器の現状 Present status of accelerators of Aichi Synchrotron Radiation Center ○高嶋 圭史,保坂 将人,持箸 晃,真野 篤志,石田 孝司(名大SRセンター),大熊 春夫(JASRI/SPring-8),加藤 政博(UVSOR),竹田 美和(AichiSR) ○Yoshifumi Takashima, Masahito Hosaka, Akira Mochihashi, Atsushi Mano, Takashi Ishida (Nagoya Univ.), Haruo Ohkuma (JASRI/SPring-8), Masahiro Katoh (UVSOR), Yoshikazu Takeda (AichiSR) あいちシンクロトロン光センター(あいちSR)は、愛知県の科学技術政策である「知の拠点あいち」計画における中核施設として、中部地区を中心とする大学、研究機関、産業界、行政の協力によって整備が進められてきた。2013年3月26日に供用を開始しており、今年で5年目となる。 加速器は、50 MeV直線加速器、1.2 GeVブースターシンクロトロン、1.2 GeV蓄積リングから成っている。蓄積リングは周長72 m、ラティス構成はTriple-bendの4回対称であり、12台の偏向電磁石のうち、4台はピーク磁場5T、偏向角12°の超伝導電磁石、8台は磁場強度1.4 T、偏向角39°の常伝導電磁石である。直線部にはAPPLE-II型アンジュレータ1台が設置されている。 供用開始当時のシンクロトロン光ビームラインは6本であったが、現在では企業専用および大学によるビームラインそれぞれ1本を含む11本のビームラインが稼働している。2015年度末の時点で202の企業・大学等から利用があった。新規ユーザーは2014年度が53企業・大学、2015年度は47企業・大学となっており、利用の裾野も広がっている。2016年度における計画されたユーザー利用運転時間1452時間に対して、光源加速器の運転できなかった時間は16時間56分であり、稼働率は約98.9 %であった。 本発表では、あいちSR光源加速器の現状と施設の概要について報告する。 |
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FSP025 | 名古屋大学における静電陽子加速器を用いたホウ素中性子捕捉療法用中性子施設の現状 Present status of the BNCT neutron facility driven by an electrostatic proton accelerator at Nagoya University ○鬼柳 善明,土田 一輝,釣田 幸夫,佐藤 和也,古澤 大貴,山崎 淳,吉橋 幸子,渡辺 賢一,瓜谷 章,恒吉 達矢,辻 義之(名大工),市川 豪,伊藤 維久弥,今城 想平,土川 雄介,広田 克也,北口 雅暁,清水 裕彦(名大理) ○Yoshiaki Kiyanagi, Kazuki Tsuchida, Yukio Tsurita, Kazuya Sato, Daiki Furuzawa, Atsushi Yamazaki, Sachiko Yoshihashi, Kenichi Watanabe, Akira Uritani, Tatsuya Tsuneyoshi, Yoshiyuki Tsuji, Go Ichkawa, Ikuya Ito, Sohei Imajo, Yusuke Tsuchikawa, Katsuya Hirota, Masaaki Kitaguchi, Hirohiko Shimizu (Nagoya University) 名古屋大学では、静電陽子加速器ダイナミトロン(定格2.8MeV、15mA)をベースとした、医理工応用を目指した中性子施設NUANS(Nagoya University Accelerator-driven Neutron Source)を建設中である。第一ビームラインがボロン中性子捕捉療法(BNCT)用、第二ビームラインが理工応用である。この施設の第一の目的は、低エネルギー加速器と密封型リチウムターッゲトを用いたシステムによって、BNCTが可能かどうかを工学的観点から明らかにすることである。そのため、中性子ビーム線質、ターゲットの健全性などについて検討を行う。加速器は、2mAの電流値を達成した本年5月に施設検査を受け、陽子ビーム照射実験が可能となった。今後、加速器パワーの増加とともに、BNCT用高出力ターゲット開発のための陽子照射実験を進めて行く予定である。次の段階として年内の中性子発生を目指している。ターゲットとしては、第一ビームラインではベリリウムとリチウムターゲットを、また、第二ビームラインではベリリウムを使用する。それぞれの加速器パワーの上限が異なるため、それに応じた建屋の放射線線量評価を行った。さらに、BNCT用中性子源の高性能化、徐熱の高度化を行っている。本報告では、加速器、BNCT用システムの開発状況など施設の現状について報告する。 |
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FSP026 p.1387 | IFMIF原型加速器の現状 Status of IFMIF prototype accelerator 春日井 敦,○赤木 智哉,蛯沢 貴,平田 洋介,一宮 亮,近藤 恵太郎,前原 直,坂本 慶司,新屋 貴浩,杉本 昌義(量研/六ヶ所),ナスター ホアン(IFMIF/EVEDA PT),カラ フィリップ,ジッコ エルベ,ハイディンガー ローランド,フィリップス ガイ(F4E) Atsushi Kasugai, ○Tomoya Akagi, Takashi Ebisawa, Yosuke Hirata, Ryo Ichimiya, Keitaro Kondo, Sunao Maebara, Keishi Sakamoto, Takahiro Shinya, Masayoshi Sugimoto (QST/Rokkasho), Juan Knaster (IFMIF/EVEDA PT), Philippe Cara, Herve Dzitko, Roland Heidinger, Guy Phillips (F4E) 2007 年より核融合エネルギー分野における日本と欧州による国際共同事業の一つとして始まった 強力中性子源である国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証・工学設計活動(EVEDA) では、IFMIF の工学設計・主要機器の製作・試験を行い、IFMIFの建設判断に必要な技術実証を行うことが最大のミッションである。IFMIF原型加速器はLIPAc(Linear IFMIF Prototype Accelerator)と呼ばれ、重水素イオン源(入射器)-高周波四重極加速器(RFQ)-中間エネルギービーム輸送系(MEBT)-超伝導加速器(SRFリニアック)-診断系(D-Plate)-高エネルギービーム輸送系(HEBT)-ビームダンプ(BD)から構成される重陽子線形加速器である。これまでに加速器本体である入射器~MEBTまでの据付調整、高周波システム、SRFリニアックのための液体ヘリウム製造設備等が日欧の共同作業によって完了し、2017年度はRFQのRFコンディショニング及び5MeV-125mAのビームコミッショニングを開始する。さらにSRFリニアック、HEBT、BDを製作中であり、2019年度には全ての機器を接続し統合ビーム試験を実施する予定である。 |
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FSP027 p.1390 | 理研AVFサイクロトロン運転の現状報告 Status report on the operation of RIKEN AVF cyclotron 小山 亮,福澤 聖児,濱仲 誠,石川 盛,小林 清志,仲村 武志,西田 稔,西村 誠,柴田 順翔,月居 憲俊,矢冨 一慎(住重加速器サービス),○須田 健嗣,藤巻 正樹,福西 暢尚,後藤 彰,長谷部 裕雄,日暮 祥英,今尾 浩士,加瀬 昌之,上垣外 修一,木寺 正憲,込山 美咲,熊谷 桂子,真家 武士,長瀬 誠,長友 傑,中川 孝秀,大西 純一,奥野 広樹,大関 和貴,坂本 成彦,内山 暁仁 ,渡部 秀,渡邉 環,渡邉 裕,山田 一成(理研仁科センター),小高 康照,大城 幸光(東京大学原子核研究センター) Ryo Koyama, Seiji Fukuzawa, Makoto Hamanaka, Shigeru Ishikawa, Kiyoshi Kobayashi, Takeshi Nakamura, Minoru Nishida, Makoto Nishimura, Junsho Shibata, Noritoshi Tsukiori, Kazuyoshi Yadomi (SHI Accelerator Service Ltd.), ○Kenji Suda, Masaki Fujimaki, Nobuhisa Fukunishi, Akira Goto, Hiroo Hasebe, Yoshihide Higurashi, Hiroshi Imao, Masayuki Kase, Osamu Kamigaito, Masanori Kidera, Komiyama Misaki, Keiko Kumagai, Takeshi Maie, Makoto Nagase, Takashi Nagatomo, Takahide Nakagawa, Jun-ichi Ohnishi, Hiroki Okuno, Kazutaka Ozeki, Sakamoto Naruhiko, Akito Uchiyama, Shu Watanabe, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe, Kazunari Yamada (RIKEN Nishina Center), Yasuteru Kotaka, Yukimitsu Ohshiro (Center for Nuclear Study, University of Tokyo) 理研AVFサイクロトロンの2016年8月から2017年7月までの運転状況について報告する。理研AVFサイクロトロンは、東京大学原子核科学研究センターのCRIBを用いた原子核実験、及びRI製造のための単独加速器として使用されると共に、理研リングサイクロトロン(RRC)の入射器としての役割も担い,その年間運転時間は3000時間を超える。本稿ではこれまでの加速ビームの実績、当該期間の運転時間と調整時間の統計、及び発生した故障とその対処等について報告する。また、2015年度より実施しているエネルギー測定の実測値、及び今回入念に実施した高周波系のメンテナンス・校正についても報告する。 |
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FSP028 p.1395 | 理研RIBFにおけるリングサイクロトロンの運転報告 Status report of the operation of the RIBF ring cyclotrons 西村 誠,福澤 聖児,濱仲 誠,石川 盛,小林 清志,小山 亮,仲村 武志,西田 稔,柴田 順翔,月居 憲俊,矢冨 一慎(住重加速器サービス),段塚 知志,藤巻 正樹,藤縄 雅,福西 暢尚,長谷部 裕雄,日暮 祥英,池沢 英二,今尾 浩士,加瀬 昌之,上垣外 修一,木寺 正憲,込山 美咲,熊谷 桂子,真家 武士,長瀬 誠,長友 傑,中川 孝秀,中村 仁音,大西 純一,奥野 広樹,○大関 和貴,坂本 成彦,須田 健嗣,内山 暁仁,渡部 秀,渡邉 環,渡邉 裕,山田 一成,山澤 秀行(理研仁科センター) Makoto Nishimura, Seiji Fukuzawa, Makoto Hamanaka, Shigeru Ishikawa, Kiyoshi Kobayashi, Ryo Koyama, Takeshi Nakamura, Minoru Nishida, Junsho Shibata, Noritoshi Tsukiori, Kazuyoshi Yadomi (SHI Accelerator Service Ltd.), Tomoyuki Dantsuka, Masaki Fujimaki, Tadashi Fujinawa, Nobuhisa Fukunishi, Hiroo Hasebe, Yoshihide Higurashi, Eiji Ikezawa, Hiroshi Imao, Masayuki Kase, Osamu Kamigaito, Masanori Kidera, Misaki Komiyama, Keiko Kumagai, Takeshi Maie, Makoto Nagase, Takashi Nagatomo, Takahide Nakagawa, Masato Nakamura, Jun-ichi Ohnishi, Hiroki Okuno, ○Kazutaka Ozeki, Naruhiko Sakamoto, Kenji Suda, Akito Uchiyama, Shu Watanabe, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe, Kazunari Yamada, Hideyuki Yamasawa (RIKEN Nishina Center) 理研RIBFにおける4台のリングサイクロトロン(RRC,fRC,IRC,SRC)の2016年8月から2017年7月までの運転状況を報告する。ビーム強度増強と安定供給に向けて、改造、ビーム調整、保守に取り組んでいる。本稿ではこれまでの加速ビームの実績、当該期間の運転時間と調整時間の統計、また発生した故障とその対処等について報告する。 |
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FSP029 p.1400 | 理研重イオンリニアックの現状報告 Present status of RILAC 遊佐 陽(住重加速器サービス株式会社),○池沢 英二(理研仁科加速器研究センター),大木 智則,山内 啓資,小山田 和幸,田村 匡史,金子 健太(住重加速器サービス株式会社),渡邉 裕,加瀬 昌之,上垣外 修一(理研仁科加速器研究センター) Akira Yusa (SHI Accelerator Service,Ltd.), ○Eiji Ikezawa (RIKEN Nishina Center), Tomonori Ohki, Hiromoto Yamauchi, Kazuyuki Oyamada, Masashi Tamura, Kenta Kaneko (SHI Accelerator Service,Ltd.), Yutaka Watanabe, Masayuki Kase, Osamu Kamigaito (RIKEN Nishina Center) 理研仁科加速器研究センターの理研重イオンリニアック(RILAC)は、今年で37年目を迎えた。これまでに様々な改良や増強をすると共に老朽化対策を実施し、この加速器を最良の状態に維持し、各種実験へ様々なビームを供与している。 主な構成機器は、主加速器のRILAC、18GHz-ECRイオン源、前段入射器のFC-RFQ、ブースターのCSMである。加速エネルギーの実績は、最大で7.0MeV/nucleonである。 単独運転としては、主として超重元素探索関連の実験へのビーム供与を2002年から行っている。 入射運転としては、後段の理研リングサイクロトロン(RRC)のための入射器としての運転を1986年から行っている。また、理研RIビームファクトリー(RIBF)の複合加速器ための入射器としての運転を2006年から行っている。 2006年~2015年においては、年間で約2800時間~6200時間の加速器運転を行い、実験へは年間で約2100時間~5700時間のビーム供与を行った。 主加速器の高周波共振器は、老朽化により修理が非常に難しい微小な真空漏れ箇所が多数ある。これまでは応急的な修理をしてきたが、根本的な修理を計画している。 本発表ではこの加速器のこの1年間における現状報告として、入射及び単独の運転状況、保守作業、及び故障状況、また、老朽化対策ついて報告する。 |
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FSP030 p.1404 | 原子力機構-東海タンデム加速器の現状 Present status of JAEA-Tokai tandem accelerator ○株本 裕史,長 明彦,石崎 暢洋,田山 豪一,松田 誠,仲野谷 孝充,中村 暢彦,沓掛 健一,乙川 義憲,遊津 拓洋(原子力機構) ○Hiroshi Kabumoto, Akihiko Osa, Nobuhiro Ishizaki, Hidekazu Tayama, Makoto Matsuda, Takamitsu Nakanoya, Masahiko Nakamura, Ken-ichi Kutsukake, Yoshinori Otokawa, Takuhiro Asozu (JAEA) 原子力機構-東海タンデム加速器施設は最高運転電圧が約18MVの大型静電加速器で、核物理、核化学、原子物理、材料照射などの各分野に利用されている。 当施設では2015年度中に起きた運転中の放電等により一部の加速管に不調が生じたため、しばらく加速電圧を低く抑えて運転を継続していたが、2016年度に加速管8本の交換作業を実施し、加速電圧は約17MVまで回復した。しかし、12月に起きた真空トラブルのため、再び加速管に不調が発生し、加速電圧を低く抑えての運転を余儀なくされた。現在、加速管を全て分解し、クリーニング等による電圧性能の回復を図っている。本発表では加速器の運転・整備状況およびビーム利用開発等について報告する。 |
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FSP031 p.1409 | QST高崎イオン照射施設(TIARA)の現状報告 Present status of TIARA at QST ○宮脇 信正,倉島 俊,千葉 敦也,吉田 健一,湯山 貴裕,石坂 知久,山田 圭介,横山 彰人,平野 貴美,佐藤 隆博,柏木 啓次,百合 庸介,大久保 猛,石堀 郁夫,奥村 進,奈良 孝幸(量研 高崎) ○Nobumasa Miyawaki, Satoshi Kurashima, Atsuya Chiba, Ken-ichi Yoshida, Takahiro Yuyama, Tomohisa Ishizaka, Keisuke Yamada, Akihito Yokoyama, Yoshimi Hirano, Takahiro Satoh, Hirotsugu Kashiwagi, Yosuke Yuri, Takeru Ohkubo, Ikuo Ishibori, Susumu Okumura, Takayuki Nara (QST Takasaki) 量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所のイオン照射施設(TIARA)にはAVFサイクロトロン(K110)、3MVタンデム加速器、3MVシングルエンド加速器、400kVイオン注入装置の4台の加速器が設置されており、主に材料・バイオ技術の研究開発への利用のために、広範囲のエネルギー及び多様なイオン種のビームを提供している。2016年度は、完成から25年目となるサイクロトロン施設の老朽化対策として、3.6か月の運転休止期間を設けて冷却水設備の一部更新を行った。一方で、その直前に上下各5層からなるメインコイルの最上段と次の段の2層間で短絡するトラブルが判明し、この部分をバイパスする応急的な対策を行った。シングルエンド加速器では、シェンケル昇圧回路前段のRFタンク内の電磁シールド接合面の接触不良から電源の負荷が増大し、定格までの昇圧が困難となった。これにより約2か月の利用中止としたが、電磁シールドの接合部の補修によって、その後順調に稼働している。一方、タンデム加速器では、これまでに開発した電子付着方式によるフラーレン(C60)負イオン生成技術を基に、更なるビームの増強(従来方式の約7千倍)とメンテナンス性の向上に成功した。また、注入装置では新たにPr+の生成加速(350keV、900nA)に成功している。本発表では、これらの概要を述べるとともに、その他の保守・整備及び技術開発や施設の利用状況についても報告する。 |
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FSP032 p.1412 | 放医研サイクロトロン(NIRS-930, HM-18)の現状報告 Status report of NIRS-930 and HM-18 cyclotron at QST-NIRS ○北條 悟,涌井 崇志,片桐 健,杉浦 彰則,宮原 信幸,野田 章(量研機構 放医研),岡田 高典,青山 功武,立川 裕士(加速器エンジニアリング株式会社),白井 敏之(量研機構 放医研) ○Satoru Hojo, Takashi Wakui, Ken Katagiri, Akinori Sugiura, Nobuyuki Miyahara, Akira Noda (QST NIRS), Takanori Okada, Isamu Aoyama, Yuji Tachikawa (AEC), Toshiyuki Shirai (QST NIRS) 量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所のサイクロトロン施設は、稼働から40年を超えるNIRS-930(K=110)とHM-18(K=20)の2台のサイクロトロンによって構成される。主目的を放射性薬剤の研究開発としているため、9つある照射ポートのうち5つは、放射性薬剤の研究開発専用のポートとなっている。NIRS-930は、すべての照射ポートへのビーム導入が可能で、標的アイソトープ治療の研究開発に向けた放射性薬剤の研究開発を中心に、高精度陽子線治療の高度化やそれに向けたイメージング技術の研究、荷電粒子の核破砕反応測定、放射線生物学の基礎実験、放射線検出器の開発、耐放射線性評価試験等に利用された。NIRS-930の昨年度の総運転時間は1788時間であった。HM-18は、短寿命PET核種専用の2つの照射ポートと、直結されたターゲットにより、PET用薬剤の製造及び研究開発に利用された。18 MeV 陽子及び9 MeV 重陽子を供給可能で、昨年度の総運転時間は1654時間であった。 それぞれのサイクロトロンの利用状況、改良開発、老朽化対策、故障事例等の現状について報告を行う。 |
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FSP033 p.1415 | HIMAC加速器の現状報告 (2017) Present status of HIMAC (2017) ○片桐 健,岩田 佳之,早乙女 直也,佐藤 眞二,皿谷 有一,高田 栄一,丹正 亮平,原 洋介,古川 卓司,村松 正幸,水島 康太,白井 敏之,川島 祐洋,小林 千広,藤本 哲也(量研機構放医研) ○Ken Katagiri, Yoshiyuki Iwata, Naoya Saotome, Shinji Sato, Yuichi Saraya, Eiichi Takada, Ryohei Tansho, Yousuke Hara, Takuji Furukawa, Masayuki Muramatsu, Kota Mizushima, Toshiyuki Shirai, Masahiro Kawashima, Chihiro Kobayashi, Tetsuya Fujimoto (QST/NIRS) 放射線医学総合研究所でのHIMAC加速器による重粒子線がん治療は、1994年の開始から今年で23年目を迎え、10000人以上もの患者に治療が適用されてきた。これまでの拡大ビーム法による治療に加えて、複雑な腫瘍形状や治療期間中における腫瘍患部の形状•大きさの変化に柔軟な対応が可能となる3次元スキャニング照射法による治療が2011年5月に開始された。さらに、照射のさらなる高精度化を目指して超伝導ガントリーの開発が行われ、昨年度のコミッショニングの後に、本年度には治療利用が開始された。これらの照射の高精度化を目指した研究開発に加えて、重粒子線治療装置のさらなる小型化を目指して、超伝導小型シンクロトロン、超伝導小型ガントリーから構成される“量子メス”の研究開発も始められている。本発表ではこれらのR&Dの概要を紹介すると共に、運用の現状を報告する。 |
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FSP034 p.1419 | 神奈川県立がんセンターi-ROCKにおける重粒子線治療の現状 Progress report of carbon therapy in i-ROCK ○竹下 英里,蓑原 伸一,草野 陽介,松崎 有華,山田 聰(神奈川県立がんセンター),古川 卓司,水島 康太,早乙女 直也,皿谷 有一,原 洋介,丹正 亮平,野田 耕司(放射線医学総合研究所) ○Eri Takeshita, Shinichi Minohara, Yohsuke Kusano, Yuka Matsuzaki, Satoru Yamada (Kanagawa Cancer Center), Takuji Furukawa, Kota Mizushima, Naoya Saotome, Yuichi Saraya, Yousuke Hara, Ryohei Tansho, Koji Noda (National Institute of Radiological Sciences) 神奈川県立がんセンター(KCC)では2005年に重粒子線治療装置の導入が決定し、約10年後の2014年10月に重粒子線治療施設(i- ROCK)が竣工を迎えた。i-ROCKはKCC病院棟に隣接しており、光子線治療を含め外科的切除や化学療法を交えた、患者毎に最適かつ総合的ながん治療を提供する場として県内外から注 目を集めている。2015年12月には臨床試験としての治療を開始し、翌2016年2月からは先進医療での治療照射を始めた。現在は、治療室2(水平/垂直コース)および治療室1(水平コース)を用いて治療を行っているが、残る治療室3および治療室4についても装置コミッショニングはすでに終了しており、臨床運用にむけた整備を進めている。肺・肝臓・膵臓などの呼吸性移動をともなう部位については、患者の呼吸波形に同期して照射する、いわゆる呼吸同期照射を用いている。呼吸同期照射では、呼吸波形の取得手法 や、治療計画時にその動き量をマージンとしていかに考慮するかなど、さまざまなシステムを含んだ総合的なコミッショニングが必要となる。本会では、外部同期だけでなく内部同期についての運用検討の結果を示すとともに施設の現状報告を行う。 |
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FSP035 p.1422 | SAGA-HIMATの現状 Present status of SAGA-HIMAT ○金澤 光隆(SAGA-HIMAT) ○Mitsutaka Kanazawa (SAGA-HIMAT) 九州国際重粒子線がん治療センター(SAGA-HIMAT)では2013年8月に重粒子線による患者治療を開始して以来、今年の4月末には述べ患者数は2000名に達し、癌治療施設として順調に運営できている。これまでは2室の治療室を利用して患者治療を行ってきていたが、今年からは3室目が稼働予定であり、さらに年間の治療患者数を増加させる予定である。又、最初の2室での照射方法はワブラー照射法であったが、3室目ではスキャニング照射法を利用できるようにしている。今回の発表では3室を治療照射に利用始めるSAGA-HIMATの現状について報告する。 |
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FSP036 p.1425 | 群馬大学重粒子線医学センターの現状報告 Present status of Gunma University Heavy Ion Medical Center ○想田 光,菊池 遥,遊佐 顕,田代 睦,島田 博文,松村 彰彦,久保田 佳樹,金井 達明,取越 正己(群大重医セ) ○Hikaru Souda, Haruka Kikuchi, Ken Yusa, Tashiro Mutsumi, Hirofumi Shimada, Akihiko Matsumura, Yoshiki Kubota, Tatsuaki Kanai, Masami Torikoshi (GHMC) 群馬大学重粒子線医学センターでは、普及型炭素線治療装置による最大400MeV/uの炭素ビームを用いて2010年3月から癌患者に対する治療照射を行い、2017年2月までに累計2277名の治療を遂行した。治療装置の運転状況は、1日単位で治療が停止するようなトラブルはなく概ね順調に稼働している。加速器系では2016年3月にECRイオン源永久磁石の交換を行った。これは放電増加の調査として行った磁場測定で六極磁場の局所的低下が見られたための処置であり、取り外して調査した結果磁極の接着が剥離して中心に向けて押し込まれ、プラズマチェンバーが偏心していた。現在は改修し予備機として復帰済である。また、治療室でのビーム軸時間変動について調査を行い、シンクロトロン初期化後にヒステリシスによって偏向磁石の磁場が低下し、閉軌道が外側にずれることが原因とわかった。装置の改良については、治療待機時のシンクロトロン電磁石のパターン運転を停止するフラットベース待機機能を実装し、2016年6月から運用している。これにより治療時間帯で約30%、全時間平均で11%の電力量低減を行った。実験運用については、170MeV/uモノピークでのRF-KO取り出しによる実験用ビーム供給を行い、ブラッグピーク位置の高精度測定やコリメータを利用した微小ビーム試験などに活用した。この過程で、既存の軌道補正結果を流用して効率的に新エネルギーの運転パラメータファイルを作成する手法を活用した。 |