8月3日(土)口頭発表セッション | |
◆ 合同セッション(8月3日 豊田講堂ホール 10:10 ) | 4 件 |
◆ 電子加速器1(8月3日 豊田講堂ホール 15:10 ) | 6 件 |
◆ 加速器理論・ビームダイナミクス/ハドロン加速器1(8月3日 シンポジオン会議室 15:10 ) | 6 件 |
◆ 光源加速器1(8月3日 豊田講堂ホール 17:20 ) | 6 件 |
◆ 加速器土木/加速器応用・産業利用1(8月3日 シンポジオン会議室 17:20 ) | 6 件 |
8月4日(日)口頭発表セッション | |
◆ 技術研修会1(8月4日 豊田講堂ホール 9:00 ) | 1 件 |
◆ ハドロン加速器2(8月4日 豊田講堂ホール 10:10 ) | 6 件 |
◆ 電子加速器2/光源加速器2(8月4日 シンポジオン会議室 10:10 ) | 6 件 |
◆ 特別講演(8月4日 豊田講堂ホール 16:20 ) | 2 件 |
8月5日(月)口頭発表セッション | |
◆ 技術研修会2(8月5日 豊田講堂ホール 9:00 ) | 1 件 |
◆ 加速器技術(粒子源/レーザー1)(8月5日 豊田講堂ホール 10:10 ) | 6 件 |
◆ 加速器技術(診断/制御1)(8月5日 シンポジオン会議室 10:10 ) | 6 件 |
◆ 加速器技術(レーザー2/RF空洞/RF源)(8月5日 豊田講堂ホール 13:00 ) | 5 件 |
◆ 加速器技術(制御2)(8月5日 シンポジオン会議室 13:00 ) | 5 件 |
◆ 加速器技術(真空)/光源加速器3(8月5日 豊田講堂ホール 14:50 ) | 5 件 |
◆ 加速器技術(電磁石)/加速器応用・産業利用2(8月5日 シンポジオン会議室 14:50 ) | 5 件 |
◆ 学会賞受賞講演(8月5日 豊田講堂ホール 16:40 ) | 2 件 |
8月3日(土)- 4日(日)施設現状報告ポスター常設展示 | |
◆ 施設現状報告ポスター常設展示(8月3日-4日 豊田講堂2階ロビー 13:00 ) | 25 件 |
8月3日(土)ポスター発表セッション | |
◆ ポスターセッション1(8月3日 豊田講堂1階アトリウム 13:00 ) | 114 件 |
8月4日(日)ポスター発表セッション | |
◆ ポスターセッション2(8月4日 豊田講堂1階アトリウム 13:00 ) | 116 件 |
合同セッション (8月3日 豊田講堂ホール) | |
10:10 - 10:40 | |
SAOTP1 p.1 [Slides] | ATF の最終収束試験における微小ビームサイズの達成 Achievement of Small Beam Size in Final Focus Test at ATF ○久保 浄,奥木 敏行(高エネ研) ○Kiyoshi Kubo, Toshiyuki Okugi (KEK) ATF (Accelerator Test Facility) では、リニアコライダーの最終収束技術の実証実験として、ダンピングリングから取り出される超低エミッタンスの電子ビームをILC(国際リニアコライダー)と同じLocal Chromaticity Correction という方式を用いて収束させる研究(ATF2 Project)を行っている。ATF2ビームラインはILCの最終収束とビーム光学的には同じように設計されており、ビームのエネルギー幅(約0.1%)と色収差(Natural Chromaticity 約10,000)がほぼ同じで、許される磁石の誤差などもほぼ同程度である。昨年12月までに、70 nm 以下という微小なビームサイズを低電荷で確認することができ、さらにその後の実験でこの程度のビームサイズを達成するための調整手順をほぼ確立することができた。ただし、ビームのエミッタンスと光学系の設計から期待される37 nmのビームサイズ確認には至っておらず、又、バンチ当たりの電荷を増加させるとビームサイズが増大してしまうという問題がある。本報告では、ビーム調整の方法、ビーム収束を妨げる要因についての検討、ビームサイズ測定上の諸問題、今後の計画について述べる。 |
10:40 - 11:10 | |
SAOTP2 p.5 [Slides] | あいちSR光源加速器のコミッショニングと現状 Commissioning and present status of accelerators of Aichi Synchrotron Radiation Center ○高嶋 圭史,保坂 将人,山本 尚人(名大SRセンター),高見 清(大阪府立大),高野 琢,真野 篤志,森本 浩行(名大SRセンター),加藤 政博(分子研UVSOR),堀 洋一郎(KEK),佐々木 茂樹(高輝度光科学研究センター),江田 茂(九州シンクロトロン光研究センター) ○Yoshifumi Takashima, Masahito Hosaka, Naoto Yamamoto (Nagoya University), Kiyoshi Takami (Osaka Prefecture University), Takumi Takano, Atsushi Mano, Hiroyuki Morimoto (Nagoya University), Masahiro Katoh (UVSOR), Yoichiro Hori (KEK), Shigeki Sasaki (JASRI/SPring-8), Shigeru Koda (SAGA-LS) あいちシンクロトロン光センター光源加速器は、2012年3月の完成後から調整運転が進められ、7月に蓄積リングでのビーム蓄積に成功、9月には当初予定の300mAの蓄積に成功した。2013年に入って、シンクロトロン光ユーザーによるテスト利用が始まり、2013年3月22日の開所式を経て、3月26日から供用が開始されている。 加速器の構成は、50 MeV直線加速器、1.2 GeVブースターシンクロトロン、1.2 GeV蓄積リングであり、蓄積リングの内側にブースターシンクロトロン、その内側に直線加速器が配置されている。蓄積リングの周長は72 mであり、ラティス構成はTriple-bendセルの4回対称である。全12台の偏向電磁石のうち、4台がピーク磁場5T、偏向角12°の超伝導電磁石、8台が1.4 T常伝導電磁石で偏向角39°である。それぞれの超伝導偏向電磁石は、4k-GM冷凍機による直接冷却方式であり、通常時は液体ヘリウムや液体窒素等の冷媒は使わない方式である。 本発表では、加速器の紹介、立ち上げ・調整運転の状況、現在の状況について報告を行う。 |
11:10 - 11:40 | |
SAOTP3 p.9 [Slides] | SAGA-HIMATプロジェクト及びそのビーム試験 Beam Test of SAGA-HIMAT ○金澤 光隆,遠藤 真広,日向 猛,綱島 義一,佐藤 弘史,新開 英秀,工藤 祥,塩山 善之,北村 信,十時 忠秀(SAGA-HIMAT),永澤 勇一(三菱電機) ○Mitsutaka Kanazawa, Masahiro Endo, Takeshi Himukai, Yoshikazu Tsunashima, Hiroshi Sato, Eishu Shinkai, Sho Kudo, Yoshiyuki Shioyama, Makoto Kitamura, Tadahide Totoki (SAGA-HIMAT), Yuichi Nagasawa (Mitsubishi Electric Corporation) 現在、佐賀県鳥栖市において、重粒子線がん治療のため、九州国際重粒子線がん治療センター(SAGA-HIMAT)でのビーム試験が行われている。この施設でのビーム試験は2012年12月中旬にスタートした。まず最初にRFQ及びIH型線形加速器でのビーム加速調整を行い、目標の加速効率であるRFQとIHをあわせて約80%の達成を年内に確認できた。2013年に入ってからはシンクロトロンでのビーム調整を本格化させた。その結果、シンクロトロンからの取りだしビーム強度が目標である10E9pps(3秒周期で)を超え、効率は90%以上に調整出来ている事を確認出来た。この施設の加速器の基本設計は群馬大学の加速器と同様であるが、いくつかの点で工夫をしている。1.シンクロトロンでのビーム加速制御に磁場変化を検出したBクロックでは無く、時間のクロックを利用するようにした。2.フラットトップ磁場が一定になるようにシンクロトロン偏向電磁石に補正コイルを取り付けた。3.取り出されたビームがスピル内で位置変動するのを止める為に設置したパターン運転出来るステアリングマグネットを輸送系内に設置した。4.治療照射運転中に自動運転を可能にする為の制御系改善があげられる。本講演ではこのプロジェクトの現状について述べると共に、ビーム調整の結果についても述べる。 |
11:40 - 12:10 | |
SAOTP4 p.14 [Slides] | SPring-8における新しい制御フレームワークMADOCA IIの開発 Development of New Control Framework MADOCA II at SPring-8 ○松本 崇博,古川 行人,石井 美保((公財)高輝度光科学研究センター) ○Takahiro Matsumoto, Yukito Furukawa, Miho Ishii (JASRI) MADOCA制御フレームワークはSPring-8の加速器制御のために1995年に開発された。現在ではSPring-8を始めHiSOR、SACLA等の加速器・ビームライン、及び実験施設での制御において幅広く利用されている。これらの制御に対する要求は開発当時に比べて年々増加してきている。例として、ビーム診断における波形データ、画像データなど多様なデータの取り扱い、Windowsドライバーのみで扱うことができる特殊なデバイスの制御が挙げられる。本発表では、これら多様な要求を実現するために開発した新しい制御フレームワーク、MADOCAⅡについて報告する。MADOCAⅡはMADOCAと同様のメッセージ指向の分散制御システムであるが、サーバー・クライアント間のメッセージング構成を見直すこと、コア部分をZeroMQのソケットライブラリを用いて完全に書き換えることでより柔軟なメッセージ配信を実現することができた。MADOCAⅡの特徴は、1)画像データ等の可変長データをメッセージと共に配信できること、 2) Windowsでの制御もLinux・Solaris同様に可能であること、3) 非同期制御が実現され、複数制御の分散処理が可能になったこと等が挙げられる。SPring-8におけるMADOCAⅡへの移行の状況、及びMADOCAⅡを活用して制御性が向上した実用例についても報告する。 |
電子加速器1 (8月3日 豊田講堂ホール) | |
15:10 - 15:30 | |
SAOT01 p.18 [Slides] | SuperKEKBに向けた入射器アップグレード Linac upgrade for SuperKEKB ○夏井 拓也(高エネルギー加速器研究機構) ○Takuya Natsui (KEK) 現在,KEKではSuperKEKBに向けた加速器全体のアップグレードが行われている.SuperKEKBではKEKBの40倍という非常に高いルミノシティを達成するために,低エミッタンス化によるダイナミックアパーチャーの減少とビーム寿命の減少が起こる.これに対応して,電子陽電子入射器は高電荷・低エミッタンス化が求められる.電子ビームは電荷5 nC,エミッタンス20 mm-mrad,陽電子ビームは4 nC, 6 mm-mradが求められている.陽電子ビームはダンピングリングによりエミッタンスを下げる計画であるためダンピングリングの建設が進められている.電子ビームはlinacだけで20 mm-mradの低エミッタンスを達成しなければいけないため熱カソードDC gunに変わり,フォトカソードRF gunの開発を進めている.電子ビームは従来の5倍の電荷量である5 nCの高電荷で20 mm-mradの低エミッタンスを達成するために従来とは異なる加速空洞を持ったRF gunを開発している.また,陽電子ビームも従来の4倍の電荷量の4 nCが必要であり,さらにプライマリー電子ビームエネルギーが4 GeVから3.5 GeVに下がるため陽電子の収率を数倍に上げる必要があり,ターゲットおよびフラックスコンセントレータの開発も行われている.当日は開発の現状とコミッショニングについて報告する. |
15:30 - 15:50 | |
SAOT02 p.23 | 東北大学電子ブースターシンクロトロン入射用90MeVリナックの開発状況 Status of a new 90MeV injector linac for the electron booster synchrotron at Tohoku University ○柏木 茂,日出 富士雄,南部 健一,柴崎 義信,武藤 俊哉,長澤 育郎,高橋 健,浜 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Kenichi Nanbu, Yoshinobu Shibazaki, Toshiya Muto, Ikuro Nagasawa, Ken Takahashi, Hiroyuki Hama (Electron Light Science Centre, Tohoku University) 東北大学電子光理学研究センターの電子加速器は東日本大震災により甚大な被害を受けた。特に300MeV電子リナックの高エネルギー部分は被害が大きく修復が困難であったため、1.2GeV電子シンクロトロンの入射器として新たに90MeVリナックを建設した。90MeV電子リナックは、熱陰極RF電子銃と2本の3m長Sバンド加速管、ビーム輸送系で構成されている。我々がこれまで開発を行ってきた独立2空洞型のRF電子銃を電子源としており、低エミッタンスの短パルス電子ビームを生成することが可能である。2012年10月末から2013年1月の約3カ月間で加速器の設置とRFエージングを完了し、2013年1月29日にエネルギー90MeVまでのビーム加速に成功した。その後、入射用リナックのコミッショニングは加速器建屋内の他の復旧工事のために断続的に行われ、2013年5月より電子シンクロトロンへの本格的なビーム入射試験を開始した。本発表では、リナックから電子シンクロトロンへのビーム輸送ラインで行ったビーム特性計測の結果や入射のためのオプティクスマッチングなどの開発状況について報告する。 |
15:50 - 16:10 | |
SAOT03 p.27 | SACLA線形加速器における進行波加速管のビーム輸送模型の修正 Modification of the beam transfer model of travelling wave accelerator structures at SACLA ○田尻 泰之(スプリングエイトサービス(株)),渡川 和晃,原 徹,前坂 比呂和(理研 放射光科学総合研究センター),長谷川 太一(スプリングエイトサービス(株)),田中 均(理研 放射光科学総合研究センター) ○Yasuyuki Tajiri (SPring-8 Service Co., Ltd.), Kazuaki Togawa, Toru Hara, Hirokazu Maesaka (RIKEN SPring-8 Center), Taichi Hasegawa (SPring-8 Service Co., Ltd.), Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) X線自由電子レーザー施設SACLAでは、X線レーザー出力最適化のためのビーム調整を効率よく行うため、電子ビームの軌道やエンベロープ等を、電子銃からアンジュレータ出口まで計算し予測する線形加速器模型の開発を行ってきた。 線形加速器模型は、蓄積リングで確立された線形転送行列をベースに構築している。進行波加速管は蓄積リングでは存在しないため、エネルギー変化を含むsymplectic転送行列を変数変換を用いて定義し、加速器端部の収束効果を薄肉近似して取り入れることで加速管をモデル化し、計算に使用している。加速器模型は、既存のコードと比較し、良い一致が得られているが、SACLAにおける実際のビームの応答とは一致しておらず、進行波管におけるズレが大きい。そこで今回、応答関数の測定結果を用いた進行波管の転送行列の校正を試みた。加速管の端部の収束力に係数を乗じ、係数を調整することで、ビーム応答の測定結果と線形模型の計算結果をよく一致させることができた。補正係数は水平方向と垂直方向で異なり、RF位相に依存する。また、水平方向の係数と垂直方向の係数の和は一定であることから、加速管端部のカプラーセルに4極収束成分があることがわかった。現在SACLAではこの修正した模型を用いてエンベロープの制御と加速器全体のビーム軌道補正を行っている。本学会では、加速器模型の校正方法とその結果の詳細について報告を行う。 |
16:10 - 16:30 | |
SAOT04 | KEKにおけるILCのための超伝導9セル空洞製造の研究 STUDY ON FABRICATION OF SUPERCONDUCTING RF 9-CELL CAVITY FOR ILC AT KEK ○佐伯 学行(高エネルギー加速器研究機構) ○Takayuki Saeki (KEK) We constructed a new facility for the fabrication of superconducting RF cavity at KEK from 2009 to 2011. In the facility, we have installed a deep-drawing machine, a half-cell trimming machine, an Electron-Beam Welding (EBW) machine, and a chemical etching room in one place. We started the study on the fabrication of 9-cell cavity for International Linear Collier (ILC) from 2009 using this facility. The study is focusing on the cost reduction with keeping high performance of cavity, and the goal is the establishment of mass-production procedure for ILC. This article reports the current status of the studies in this facility. |
16:30 - 16:50 | |
SAOT05 p.31 [Slides] | 超短パルス電子ビームの発生・計測およびその利用 Generation and measurement of ultrashort electron beam for applications ○菅 晃一,楊 金峰,小方 厚,近藤 孝文,神戸 正雄,野澤 一太,樋川 智洋,法澤 公寛,小林 仁,吉田 陽一(阪大産研) ○Koichi Kan, Jinfeng Yang, Atsushi Ogata, Takafumi Kondoh, Masao Gohdo, Itta Nozawa, Tomohiro Toigawa, Kimihiro Norizawa, Hitoshi Kobayashi, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka Univ.) 阪大産研では、フェムト秒時間分解能のパルスラジオリシスが構築・利用されている。また、更なるパルスラジオリシス法の時間分解能向上のために、SバンドレーザーフォトカソードRF電子銃ライナックと高次収差補正用磁気パルス圧縮器を用いた超短パルス電子ビームの発生を行っている。本発表では、電子ビームパルス幅計測における時間分解能を向上するために開発した2つの周波数帯域(MCT検出器:高周波、ボロメータ検出器:低周波)を有するマイケルソン干渉計について述べる。さらに、本干渉計を用いて電子ビームのコヒーレント遷移放射の解析により得られた電子ビームパルス幅計測結果およびパルスラジオリシス等のビーム利用について報告する。 |
16:50 - 17:10 | |
SAOT06 p.34 | 小型電子線形加速器を用いた超高エネルギー宇宙線望遠鏡の絶対エネルギー較正 Absolute energy calibration of Ultra-high energy cosmic Fluorescence Telescope with an small electron linear accelerator ○芝田 達伸,福島 正己,佐川 宏行(東大宇宙線研),Cheon Byung,Shin Bokkyun(Hanyang University),Matthews John,Thomson Gordon,Karen Langely,Beitollahi Masoud(University of Utah) ○Tatsunobu Shibata, Masaki Fukushima, Hiroyuki Sagawa (ICRR), Byung Cheon, Bokkyun Shin (Hanyang University), John Matthews, Gordon Thomson, Langely Karen, Masoud Beitollahi (University of Utah) 宇宙から地球に降り注ぐ粒子線や電磁波の総称を宇宙線と呼ぶ。現在観測されている最も高い粒子線のエネルギーは10の20乗を超え、特に超高エネルギー宇宙線(Ultra-high Energy Cosmic Rays;UHECR)と呼ぶ。UHECRsの重要な観測量はエネルギーの精密測定であるが測定精度は約20%と大きいため実験によってエネルギースケールに大きな差が生じている。テレスコープアレイ(TA)は大気蛍光望遠鏡(Fluorescence Detector;FD)とプラスチックシンチレーションカウンターの2種の検出器を用いた北半球で最大のUHECRs観測実験である。TA実験ではエネルギー決定精度の向上を目的に独自に開発した小型電子線形加速器(通称Electron Light Source;ELS)を用いて絶対エネルギーの較正を行っている。即ちFDから視野方向に100mの距離に設置されたELSから空中に40MeV電子ビーム(1パルス当たりの電子数は10の9乗個)を射出し、電子によって空気中で発生する大気シンチレーション光を直接FDで観測する。そしてFDがUHECRsを観測する時に必要なパラメータの内大気中での減衰係数以外を一括して較正する。ELSは2011年11月以降は定期的に較正用の射出を行いデータを蓄積した。また最重要課題として1パルス当たりの電子数の測定であり、電子数測定精度の向上を常に求めてきた。今回の発表では最終版FCによる電荷量測定精度の向上と、エネルギー較正の結果について初めて報告する。 |
加速器理論・ビームダイナミクス/ハドロン加速器1 (8月3日 シンポジオン会議室) | |
15:10 - 15:30 | |
SAOS01 p.39 [Slides] | J-PARC 3-50BTラインにおける光学系の調整 Optics tuning at the J-PARC 3-50BT line ○原田 寛之,明午 伸一郎,田村 文彦(原子力機構/J-PARCセンター),白形 政司,佐藤 洋一,手島 昌己,橋本 義徳,五十嵐 進,小関 忠(高エネ研/J-PARC) ○Hiroyuki Harada, Shin-ichirou Meigo, Fumihiko Tamura (JAEA/J-PARC), Masashi Shirakata, Yoichi Sato, Masaki Tejima, Yoshinori Hashimoto, Susumu Igarashi, Tadashi Koseki (KEK/J-PARC) J-PARC 3-50BTは、速い繰り返しのシンクロトロン(3GeV RCS)から出射されたビームを遅い繰り返しのシンクロトロン(MR)に輸送するビームラインである。空間電荷効果などビームのエミッタンスやハローを増加させる複合的な要因は、大強度の陽子ビームでは強度が増加するにつれて、非線形に増加する。加えて、MRの物理アパーチャは81πmmmradであり、RCSの486πmmmradと比較して小さい。そのため、一般的なビーム輸送ラインの役割とは異なり、3-50BTではコリメータエリアを要し、ビームを所定のエミッタンスまで削る機能を有する。この性能を十分に発揮するためには、3-50BTでの光学系を把握ならびに調整する必要がある。本講演では、3-50BTにおける光学系の測定手法を紹介し、測定結果と計算モデルに基づいた調整結果を報告する。 |
15:30 - 15:50 | |
SAOS02 p.44 [Slides] | J-PARCメインリングにおけるバンチ長制限下でのビームダイナミックスシミュレーション:6倍高調波RF増強による空間電荷効果緩和とビーム大強度化への寄与 Beam dynamics simulations for the limited bunch length of a beam in the J-PARC main ring: space charge compensation effect of adding sixth harmonic RFs, and possible contributions to increase the beam power. ○佐藤 洋一,原 圭吾,大森 千広,五十嵐 進,小関 忠(高エネ研/J-PARC) ○Yoichi Sato, Keigo Hara, Chihiro Omori, Susumu Igarashi, Tadashi Koseki (KEK/J-PARC) J-PARCメインリング(MR)におけるビーム増強計画の柱となる空間電荷効果対策を検討するため、RF高調波適用によるエミッタンス増加抑制とビームロス軽減予測を2.5Dシミュレーションを通して行った。その際、ハードウエアからの制限として、上流リング(RCS)の取出しキッカーとメインリングの入射キッカーのそれぞれの立ち上がり時間を考慮し、ビーム増強計画全体との整合性を図った。両キッカーの立ち上がり時間はMR バンチ長を制限し、バンチ長を伸ばすことでバンチ内ピークカレントを下げて空間電荷効果を緩和を図る試みに制約を与える。本発表では、MRで既に準備されているRF2倍高調波に加え、RF6倍高調波を増強することで、バンチ長をキッカーによる制約の範囲に抑えた上で空間電荷効果を緩和し、ビームロスをRCS-MR間輸送系(3-50BT)とMRのそれぞれのコリメータ容量内に留めたビーム増強条件を検討する。 |
15:50 - 16:10 | |
SAOS03 p.49 [Slides] | J-PARC 3-50BT 増強計画 J-PARC 3-50BT Upgrade Plan ○白形 政司,魚田 雅彦,大越 隆夫,久保田 親,佐藤 健一郎,佐藤 洋一,高野 淳平,外山 毅,橋本 義徳,堀 洋一郎(高エ研),原田 寛之(原科研) ○Masashi Shirakata, Masahiko Uota, Takao Oogoe, Chikashi Kubota, Kenichiro Sato, Yoichi Sato, Junpei Takano, Takeshi Toyama, Yoshinori Hashimoto, Yoichiro Hori (KEK), Hiroyuki Harada (JAEA) J-PARC 3-50BTは、速い繰り返しのシンクロトロンから射出されるビームバンチを遅い繰り返しのシンクロトロン(以下、MRと称する)に輸送するビームラインである。一般的にビームラインの役割は、途中ロスすることなくビームを目的地まで移送し、受渡先装置の光学系に合わせて引き渡すことであるが、J-PARC 3-50BTでは内部にコリメータエリアを有し、ビームハローを所定のエミッタンスまでカットする機能を持っている。J-PARC MRのビームパワーは現在240kWを達成しているが、2014年以降750kWを目指しており、その様なハイパワー運転では3-50BTに於けるビームハローの除去が極めて重要になってくる。そのため、コリメータエリアでのビームハンドリングの高度化を目的として、ビームモニターおよび軌道補正電磁石等の追加を立案した。 本稿では、2013年後半の長期保守期間中に計画されている3-50BT上流部の増強計画について報告する。 |
16:10 - 16:30 | |
SAOS04 p.54 | J-PARC MR 入射システムのアップグレード研究 Upgrade study of J-PRAC main ring injection system ○樊 寬軍,石井 恒次,杉本 拓也(高エネルギー加速器研究機構),福岡 翔太(筑波大学),松本 教之,松本 浩(高エネルギー加速器研究機構) ○Kuanjun Fan, Koji Ishii, Takuya Sugimoto (High Energy Accelerator Research Organization), Shota Fukuoka (University of tsukuba), Noriyuki Matsumoto, Hiroshi Matsumoto (High Energy Accelerator Research Organization) The J-PARC main ring has the ambitious goal of accelerating proton beam with power of 750 kW. To realize the target, a high performance injection system is crucial. However, several problems due to the imperfect performance of the main elements have been observed in the present injection system, which deteriorate the injection beam orbit and cause beam losses. The problems will become big road blocks to high power operation. Thus, the injection system needs to be upgraded to correct the difficulties. The upgrade includes two new designed septa to reduce the leakage field, an optimized the kicker system to improve the kicker field, and a compensation kicker system to correct the injection errors. Careful 3D electromagnetic field simulations are performed to ensure the accuracy of magnets design. The 3D particle tracks in the entire injection region are studied thoroughly to guarantee the injection beam pass through the injection system without beam loss. |
16:30 - 16:50 | |
SAOS05 p.58 [Slides] | KEKデジタル加速器におけるイオン源からの直接入射ビームの加速 Acceleration of directly-injected beam from the ion source to the KEK digital accelerator ○由元 崇(東工大),茨田 優次(東京都市大),新井 輝夫(KEK),劉 星光(東工大),Leo Kwee Wah,安達 利一,川久保 忠通,門倉 英一,岡村 勝也,高山 健(KEK),岡田 喜仁,浅尾 博之(NEC) ○Takashi Yoshimoto (Tokyo Institute of Technology), Masatsugu Barata (Tokyo City University), Teruo Arai (KEK), Xingguang Liu (Tokyo Institute of Technology), Kwee Wah Leo, Toshikazu Adachi, Tadamichi Kawakubo, Eiichi Kadokura, Katsuya Okamura, Ken Takayama (KEK), Yoshihito Okada, Hiroyuki Asao (NEC Network-Sensor) KEKデジタル加速器は,既存の高周波加速とは異なり,誘導加速型のシンクトロンである.1対1のパルストランスである誘導加速セルに発生するパルス電圧を用いて加速する.この種の加速器の利点の一つとして,0~1MHz程度にわたる広範なビーム周回周波数においてビーム加速が可能であることが挙げられる.このことは,前段加速器を用いずにイオン源からリングへ直接ビームを入射して高エネルギー領域にまで加速できるだけでなく,水素イオンから金イオンまでのあらゆるイオンを一台のシンクロトロンで加速できることも意味する.スイッチング電源のゲート回路のON/OFFにより誘導加速セルを駆動するが,ゲート信号は磁場のランピングパターンから求まる必要な加速電圧を与えるように予めプラグラムされておりFPGAから出力される.その際,実磁場とFPGAによるゲート信号とをタイミングよく合わせることが不可欠となるが,モニターから得られるビームの挙動から直接そのタイミングを精度よく知る手法を開発した.その結果,我々は重イオン(質量電荷比A/Q=4)をもちいて82kHz~1.02MHzまでの広範な周波数領域における加速に試験段階ながら成功した.本発表において,その結果を詳細に報告する. |
16:50 - 17:10 | |
SAOS06 p.63 [Slides] | KEK-DA LEBT残留磁場影響におけるイオンビームオプティックス最適化 Beam Optics Optimization in the KEK Digital Accelerator LEBT Considering the Effect of Remnant Magnetic Fields ○劉 星光,宗本 尚也(東工大),高山 健(高エネルギー加速器研究機構) ○Xingguang Liu, Naoya Munemoto (Tokyo Institute of Technology), Ken Takayama (KEK) KEKデジタル加速器リングはイオンの入射速度に下限がない。従って前段加速器を必要としない。ECRイオン源から引き出された後A/Q=1,2の完全電離イオンは低速度(β~10^-2)でLow Energy Beam Transport(LEBT)を通過後リングに入射される。LEBTは3台の偏向磁石、7台の4極磁石、それぞれ5台と4台の垂直、水平方向ステアリング電磁石と4台のマルチワイヤーモニターから構成される。低エネルギーであるため著しく低磁場でのビームガイドである。このため残留磁束密度の影響が大きい。ワイヤーモニターを用いてビーム重心とプロファイルを観測した。ステアリング電磁石と4極磁石の励磁電流をパラメーターとして得られたビームプロファイルデータから:(1)LEBTへの入射ビームパラメーターを同定し、(2)重芯補正を行い、(3)リング入射への最適オプティクス条件を得た。発表では残留磁束密度の影響を持ったビームガイドシステムを用いた完全電離低速度イオンビームガイド最適化の手法を述べ実験結果の詳細を報告する。 |
光源加速器1 (8月3日 豊田講堂ホール) | |
17:20 - 17:40 | |
SAOT07 p.69 [Slides] | SACLA加速器と光源性能の高度化に向けて Upgraded performance of SACLA accelerator and FEL ○原 徹(理研 SPring-8センター) ○Toru Hara (RIKEN/SPring-8 Center) 2012年3月のユーザー供用開始より約1年半、SACLAは大きなトラブルなくほぼ当初計画どおり稼働し、平成24年度は7016時間の総運転時間を達成した。SACLAではユーザー運転とともに、加速器や光源の安定化および高度化にも継続して取り組んでいる。加速器安定化の結果は加速器調整精度の向上につながり、レーザーパルスエネルギーは昨年に比べ約2割程度向上している。パルス繰り返しについても、RFコンディショニングが進んだことから2013年5月に10 Hzから20 Hzに上げ、更に今年度中に30 Hzまで上げていく予定である。高度化の面では、2色FEL発振やビームエネルギーのバンチ毎制御方式の試験を行った。アンジュレータ部シケインを利用した2色FEL発振では、19台のアンジュレータをシケイン上下流に分け、各々違うK値に設定することで、異なる波長をもつ2つのレーザーパルスを生成する。レーザーパルス間に時間ジッターはなく、遅延もサブフェムト秒の精度で調整可能で、X線ポンプX線プローブ実験などこれまでにないユニークな利用実験や測定手法の開拓が期待できる。ビームエネルギーのバンチ毎制御は、複数のビームラインと組み合わせることで、XFELの利用波長領域の拡大や、ユーザータイムの効率的運用につながる。本発表では、これらSACLA加速器や光源性能の高度化について、加速器運転の現状とともに紹介する。 |
17:40 - 18:00 | |
SAOT08 p.74 | アト秒かつテラワットレベルのXFELパルスを生成する新手法の提案 A new scheme to generate a multi-terawatt and attosecond XFEL pulse ○田中 隆次(理研放射光センター) ○Takashi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) 光パルス圧縮は、可視及び赤外レーザーでは一般的に用いられている手法であって、ピークパワーを増強するとともに、パルス長を波長と同等程度まで短縮することが可能である。一方XFELでは相当する技術が存在せず、このため利用可能な最短パルス長は、波長が4桁程度短いのにもかかわらず、可視レーザーと同等の数フェムト秒程度に留まっている。今回提案するXFELパルスを圧縮する新たな手法*では、長波長のレーザーとの相互作用によって櫛状の電流分布を生成し、櫛の歯に相当する電流ピークにおいて増幅を繰り返すことによって、効果的にXFELパルスを圧縮することが可能である。学会では、本手法の動作原理について解説するとともに、SACLAに適用したときに期待される光源性能をシミュレーションにより求めた結果について報告する。 *T. Tanaka, Phys. Rev. Lett 110, 084801 (2013) |
18:00 - 18:20 | |
SAOT09 p.79 [Slides] | EOタイミング制御によるHHGシードFELの持続的発振 Sustained lasing of HHG-seeded FEL by using EOS-based timing control ○渡部 貴宏(高輝度光科学研究センター),青山 誠(日本原子力研究開発機構),岩崎 純史(東京大学),大竹 雄次,大島 隆(理化学研究所),岡安 雄一(高輝度光科学研究センター),小川 奏(理化学研究所),大和田 成起,佐藤 尭洋(東京大学),富樫 格(高輝度光科学研究センター),渡川 和晃,原 徹,田中 隆次(理化学研究所),冨澤 宏光,松原 伸一(高輝度光科学研究センター),高橋 栄治,緑川 克美,矢橋 牧名,山川 考一,山内 薫,田中 均,石川 哲也(理化学研究所) ○Takahiro Watanabe (JASRI), Makoto Aoyama (JAEA), Atsushi Iwasaki (Tokyo University), Yuji Otake, Takashi Ohshima (Riken RSC), Yuichi Okayasu (JASRI), Kanade Ogawa (Riken RSC), Shigeki Ohwada, Takahiro Sato (Tokyo Univesity), Tadashi Togashi (JASRI), Kazuaki Togawa, Toru Hara, Takashi Tanaka (Riken RSC), Hiromitsu Tomizawa, Shinichi Matsubara (JASRI), Eiji Takahashi, Katsumi Midorikawa (RIKEN), Makina Yabashi, Koichi Yamakawa, Kaoru Yamanouchi, Hitoshi Tanaka, Tetsuya Ishikawa (RIKEN RSC) 周知のとおり、SASE(self-amplified spontaneous emission)は生来的にショットノイズの性質があり、電子ビームが安定であってもFEL光はショット毎に揺らぎ、Longitudinal方向にスパイク構造(インコヒーレント構造)を持つ。この問題は、コヒーレントな光を外部から供給するシードFELにより解消できることが原理的に言え、この時の出射光はLongitudinal方向にコヒーレントであり(FELの増幅過程でチャープは生成されるが)、ショット毎の揺らぎがなくなる。しかし、実際の実験では、外部から入射するシード光と電子バンチのタイミングなどに起因する事実上のショット揺らぎやドリフトが存在し、利用実験の観点からは無視できない。 SPring-8の試験加速器SCSSで行なわれてきたシードFELでも同様の不安定性が観測されており、特に、数十分のオーダーで起こるタイミングドリフトによって同期が外れる現象が、利用実験のみでなくFELの調整自体にも影響を与えてきた。そこで、高次高調波発生(HHG)駆動レーザーの基本波から分岐した光をEOサンプリングのプローブ光に用いて電子とシード光のタイミング差を観測し、これをもとにレーザーのタイミングにフィードバックを掛けることで、長時間持続的にシードFEL発振を保持するシステムを構築した。この結果について報告する。 |
18:20 - 18:40 | |
SAOT10 p.83 [Slides] | 阪大産研におけるFELスペクトルの時間的振る舞い Temporal Behavior of FEL Spectrum at ISIR, Osaka University ○加藤 龍好,川瀬 啓悟,入澤 明典,藤本 將輝,大角 寛樹,矢口 雅貴,船越 壮亮,堤 亮太,末峰 昌二,磯山 悟朗(阪大産研),柏木 茂(東北大学電子光理学研究センター),山本 樹(高エネルギー加速器研究機構・放射光) ○Ryukou Kato, Keigo Kawase, Akinori Irizawa, Masaki Fujimoto, Hiroki Ohsumi, Masaki Yaguchi, Sousuke Funakoshi, Ryota Tsutsumi, Shoji Suemine, Goro Isoyama (ISIR, Osaka University), Shigeru Kashiwagi (Electron Light Science Centre, Tohoku University), Shigeru Yamamoto (KEK-PF) 阪大産研ではLバンド電子ライナックを駆動源とするテラヘルツ自由電子レーザー(FEL)の開発を行っている。FELは単色スペクトルを有するが、自発放射領域、指数関数増幅領域、および飽和領域とFEL光が成長する中で、波長スペクトルの振る舞いは動的に変化する。一般に100μm近傍のテラヘルツ光の時間構造の測定に用いられるGe:Ga検出器は3桁程度のダイナミックレンジしか持たず、さらにそのなかで線形な応答を有するのは2桁程度である。そのため、7桁以上にわたる我々のFEL光パルス成長過程の一部しか捉えることができない。そこで我々はライナックからの電子ビームのマクロパルス長を制御することでFEL光の成長を指数関数増幅の途中で止め、さらに適切な光減衰材を使用することで、この成長途中でのFEL光をGe:Ga検出器で測定できるようした。電子ビームのマクロパルス長を変えながら光パルスの波長スペクトルを測定することで、7桁以上にわたるFEL光パルスの増幅過程の中での波長シフトとスペクトル幅の変化を評価できるようになった。本学会ではこのFEL光パルスの成長過程にみられる動的な波長シフトとスペクトル幅の時間変化について報告する。 |
18:40 - 19:00 | |
SAOT11 p.86 | 極短周期アンジュレータの開発 Development of very short period undulators ○山本 樹(高エネルギー加速器研究機構・放射光) ○Shigeru Yamamoto (KEK-PF) アンジュレータ放射の高エネルギー化を目指して,アンジュレータ周期長の“極短周期化”のための研究開発を行っている。ここで,“極短周期化”とはこれまで数cmであったアンジュレータの磁場周期長を約1/10に圧縮することを意味する。具体的には,周期長4mmの磁気回路作成を目標にしている。幅20mm x 厚さ2mm x 長さ100mmの板状の磁石素材に,着磁用電磁石(着磁コイル)をパルス的に励磁することによって,周期長4mmの周期的交番磁場を書き込む。周期長4mmを選んだ理由は,この周期長を達成できれば,PF2.5GeVリングおいて基本波で12keV(波長1Å)領域の放射を生成することができるからである。 これまで,着磁コイルの最適化を行い着磁強度および精度の向上を図ってきた。方式の詳細と成果について報告する。 本研究で開発する極短周期アンジュレータは,当然ながら通常周期アンジュレータの約1/10という非常に狭いギャップ条件において運転される。このようなギャップ条件を受け入れることができる加速器の検討の重要性について注意を喚起したい。そのような加速器の設計には多くの困難も予想されるが,光源加速器におけるアンジュレータ全長が(極短周期であるために)大いに短縮されることによって得られる自由度が,設計に大きな柔軟性を与えるものと期待する。 |
19:00 - 19:20 | |
SAOT12 p.90 [Slides] | Knot-APPLEアンジュレータの概念設計 Conceptual design of Knot-APPLE undulator ○佐々木 茂美(広大放射光センター) ○Shigemi Sasaki (Hiroshima Synchrotron Radiation Center) 中高エネルギーの放射光源リングで真空紫外線域や軟X線域の高輝度放射光を発生するためには、周期長の長いアンジュレータをK値が非常に大きい状態で用いなければならない。その場合、特に直線偏光アンジュレータでは不要な高次光の放射パワーがビーム軸上に集中し、光学素子への過重な熱負荷が深刻な問題となる。この、軸上の熱負荷を軽減するためにFigure-8アンジュレータが提唱されいくつかの放射光施設で利用に供されている。また、同様の目的のためにPera、Leaf、Knotアンジュレータ等のアイデアが提唱されているが、Figure-8と同じく円偏光の発生はできず、かつ構造も複雑であるためか実現には至っていない。他方、APPLE型アンジュレータは、左右円偏光、水平・垂直直線偏光、斜め直線偏光等、全ての偏光状態を発生できるが、直線偏光時の軸上パワーの問題は残っている。上記全ての問題を解決すべく、我々は偏光可変かつ全ての偏光モードで軸上の放射パワーを低減できるKnot-APPLEアンジュレータを提唱する。発表では、現実的な磁石構造と発生する放射のスペクトル、偏光特性、パワー分布について議論する。 |
加速器土木/加速器応用・産業利用1 (8月3日 シンポジオン会議室) | |
17:20 - 17:40 | |
SAOS07 p.93 | 加速器施設における測位センサネットワークに基づく放射線管理・防災システムの開発 Development of radiation management and disaster prevention system based on the positioning sensor network in accelerator facility ○川端 康夫,松田 浩朗,松元 和伸,小林 薫(飛島建設(株)),田頭 茂明(関西大学),大場 俊幸(日本アドバンストテクノロジー(株)),吉岡 正和(高エネ研) ○Yasuo Kawabata, Hiroaki Matsuda, Kazunobu Matsumoto, Kaoru Kobayashi (TOBISHIMA Corp.), Shigeaki Tagashira (KANSAI Univ.), Toshiyuki Ooba (NAT), Masakazu Yoshioka (KEK) 筆者らはこれまで,モバイル端末のための屋内向け測位センサネットワーク技術の研究開発に取り組んできた.測位センサネットワーク技術とは,モバイル端末を測位センサとして利用し,情報通信を可能にしつつ,モバイル端末の通信位置を特定するものである.本技術は,空間内のモバイル端末を保有する人物の所在やその動線が把握可能であることから,加速器施設において施設入場者を日常的および災害発生時に管理するシステムへ応用することを考案した. 本論文では,本技術を利用した放射線管理・防災システムの開発概要を示す.さらに,本システムの有効性の検証を目的に計画している,加速器医療施設(いばらき中性子医療研究センター)での実証実験の内容と,現在の実験状況について示す. なお,この検証成果に基づき、将来のILCのような大型加速器施設での応用を検討している. |
17:40 - 18:00 | |
SAOS08 p.97 | 理研 RIBF 稀少RIリングの付帯設備 UTILITIES FOR THE RARE-RI RING OF THE RIKEN RI-BEAM FACTORY (RIBF) ○藤縄 雅(理研) ○Tadashi Fujinawa (RNC) 理研仁科センター(RNC)は、RIビームファクトリー(RIBF)の大型基幹実験設備として、短寿命核の精密質量測定を目的とした「稀少RIリング」(Rare-RI Ring:R3)を建設中である。 本リングの付帯設備として、① R3装置に必要な電力を供給する為に、3台の高効率変圧器により5種類の電圧を提供する3.2 MVAの交流電源。 ② R3リング電磁石とDC電源を冷却する高効率電動機を使用した冷却系。 ③ R3リングの建設及びメンテナンスを目的とし、且つ柱の多い空間に配置されたリングに対応して、3台のクレーンに1台のみのホイストモーターが荷物を吊ったまま乗移り移動を可能にした架橋付4.9 t の天井クレーン。これら特長ある3項目の付帯設備について報告する。 |
18:00 - 18:20 | |
SAOS09 p.101 [Slides] | KEKB入射器における高精度レーザーアライメントのための500m長レーザー長基線の伝送及び安定性特性 Propagation and Stability Characteristics of A 500-m-Long-Distance Laser-Based Fiducial Line for High-Precision Laser-Based Alignment at the KEKB Injector Linac ○諏訪田 剛,佐藤 政則(KEK加速器),寺田 聡一,美野島 薫(産総研計測標準) ○Tsuyoshi Suwada, Masanori Satoh (Accelerator Laboratory, KEK), Souichi Telada, Kaoru Minoshima (Length Standards Section, AIST) KEKB入射器では,次期計画であるSuperKEKBに向けた入射器増強とその高度化が進行中である. これを受けて入射器の高精度アライメントが進行している. 現在、入射器ではビームライン後半部(全長の約1/3)を利用して放射光リングへの入射を続けているが、先の東北大地震による被害は甚大で入射器全体のアライメントは大きく変位したままである. SuperKEKBに向けて高精度レーザーアライメントシステムの開発を続けていたが、入射器の最大直線部のアライメントに必要な500m長の長基線レーザーの安定化にようやく成功した. アライメントの基準となる長基線にはHe-Neレーザー(10mW)を用いた. 長基線を高安定化させるために新たなレーザー光学系を構築し、さらに計算機制御によるフィードバックを導入することによりレーザーのポインティング安定性を飛躍的に高めることに成功した. この結果、500m直線部の終端におけるレーザーの位置安定性は、±40 μm (1σ)レベルとなり入射器に要求されるアライメント精度を十分満足できることを確認した. この位置安定性は角度安定性に焼き直すと±0.08 μrad (1σ)に相当する. 本成果は入射器のみならず次世代の長距離線形加速器にも応用可能な技術である. 本学会では、入射器のレーザーアライメントシステムの概要を述べるとともに、レーザーのポインティング安定性を高めるために実施した幾つかの工夫について報告する. |
18:20 - 18:40 | |
SAOS10 p.106 [Slides] | SACLA加速器の床変形と環境因子の相関 Correlation between Floor Deformation and Environmental Factors in SACLA Accelerator Building ○松井 佐久夫(理研) ○Sakuo Matsui (RIKEN) SACLA建物建設から4年、床変形のモニターから季節的な変動も見えてきた。今後の安定化のため環境因子である気温や空調による温度、降雨、気圧、沈下などとの相関を考察する。4線式Pt温度センサーを建設時に床下や壁の中に計63本、建設後には室温用に収納部内外に数十本設置した。 床レベル測定では計34個の連通管(HLS)で、加速器棟では現在も最大0.8mm/年の沈下、2μm/hPaの気圧による変動、光源棟との境界部では年間0.7mmの変動が観測されている。光源棟上流付近は人口岩盤の厚みに比例した沈下や0.3μm/hPaの上下が見えている。また光源棟の床の直線性測定では光を用いた調整後のQ電磁石のレベルとHLSの結果はよく一致した。 SACLAはほぼ東西方向に長く120mのワイヤを加速器棟5本、光源棟に1本張りセンサーで床の南北方向の変位を測定している。加速器棟では気圧で3μm/hPaの変化、4月13日の地震では最大0.3mmずれがみられた。光源棟では両端基準で内側は最大で季節変動が50μm、ドリフト20μm /年が見られる。床下1mの年間の約2度の温度変動の影響が大きい。 1軸の電解液式の傾斜センサー(分解能<0.01μrad)を計47箇所床や架台上に設置しており温度による架台の変形や、光源棟では、降雨で一部数μradの傾斜変化が見える。境界部は地盤や建物の構造の不連続さに温度変化が加わり、張られた11mのインバー線は年間0.6mm伸縮している。 |
18:40 - 19:00 | |
SAOS11 p.111 | RF電子銃を用いたフェムト秒時間分解電子顕微鏡の開発 Femtosecond Electron Microscopy using photocathode RF gun ○楊 金峰,菅 晃一,近藤 孝文,成瀬 延康,吉田 陽一,谷村 克己(阪大産研),浦川 順治(高エネ機構) ○Jinfeng Yang, Koichi Kan, Takafumi Kondoh, Nobuyasu Naruse, Yoichi Yoshida, Katsumi Tanimura (ISIR, Osaka Univeristy), Jyunji Urakawa (KEK) 時間分解電子顕微鏡は、ナノスケールでの構造変化や高速物理・化学現象をリアルタイムで直接的に追跡することが可能であることから、広い学問分野で大きな注目を集めている。我々は、フォトカソードRF電子銃を用いて高品質フェムト秒短パルス電子ビームを発生し、この電子ビームを用いた時間分解MeV超高圧電子顕微鏡の開発を推進している。昨年10月に、世界に先駆けてフォトカソードRF電子銃を用いた時間分解電子顕微鏡の実証機を製作し、原理実証を行った。実証実験では、フォトカソードRF電子銃から発生したフェムト秒電子ビームを用いて、シングルショットでMeV電子線回折の測定に成功し、MeV電子顕微鏡イメージングに成功した。電子顕微鏡の拡大倍率は1700倍であり、イメージ像の解像度は30nm/pixelと達成できた。本大会では、RF電子銃を用いた時間分解MeV超高圧電子顕微鏡の開発現状、低エミッタンス・フェムト秒電子線パルスの発生、それを用いた金単結晶のMeV電子線回折とMeV電子顕微鏡の測定結果について報告する。 |
19:00 - 19:20 | |
SAOS12 p.116 | 新型透過型電子顕微鏡のための超伝導高周波加速空洞の開発 The Development of Superconducting RF Cavity for A New Type of Transmission Electron Microscope ○東 直(東大大学院),古屋 貴章,舟橋 義聖,上野 健治,沢辺 元明,西脇 みちる,阪井 寛志,道園 真一郎,山本 将博,榎本 收志,神谷 幸秀(高エネ研),栗木 雅夫(広大ADSM),山下 了(東大ICEPP) ○Nao Higashi (The Univ. of Tokyo/Graduate School of Science), Takaaki Furuya, Yoshisato Funahashi, Kenji Ueno, Motoaki Sawabe, Michiru Nishiwaki, Hiroshi Sakai, Shinichiro Michizono, Masahiro Yamamoto, Atsushi Enomoto, Yukihide Kamiya (KEK), Masao Kuriki (Hiroshima Unv./ADSM), Satoru Yamashita (The Univ. of Tokyo/ICEPP) 現在、KEKでは、超伝導高周波加速方式を採用した透過型電子顕微鏡(TEM)の開発を行っている。これは、従来のTEMで用いられてきた静電加速方式の加速限界を超え、コンパクトなサイズでより高い透過力を備えたTEMの実現を目指すものである。さらに、世界最高の位置分解能の達成や、電子源として光陰極電子銃を採用することにより、過渡現象を高時間分解能で観察できる可能性も持つ。 高位置分解をTEMで実現するには、色収差を小さくするためエネルギー分散を抑える必要がある。従って我々は、加速の基本モードであるTM010と、その2倍高調波であるTM020が同時に励起できるような、ユニークな形状を持つ加速空洞を設計した。さらに超伝導空洞を採用することにより、フィードバックが容易なCW運転を可能とした。ビーム・ダイナミクスのシミュレーションでは、共振モードの位相と振幅の最適化により、エネルギー分散は1モード加速の2.04e-4から3.68e-5まで抑えられることがわかっている。現在、この原理実証のために、従来型の300kV-TEMに新たな光陰極電子銃と2モード加速空洞を置き換えたプロトタイプTEMの開発が行われている。既に空洞、接続部は製作済みで、電子銃及び空洞のビーム試験を今年度に予定している。また、空洞の縦測定(Cold Test)の結果、その設計値はほぼ達成されていることが確認されている。今回は、主にこの2モード空洞の製作と性能評価について報告する。 |
技術研修会1 (8月4日 豊田講堂ホール) | |
9:00 - 10:00 | |
SUOTL1 [Slides] | 加速器における電子管技術(1) Electron Tube Technology in Accelerator(1) ○福田 茂樹(高エネルギー加速器研究機構) ○Shigeki Fukuda (High Energy Accelerator Research Organization) 昨今、電子管は半導体に押されて影は薄くなり、扱う製品も減少の一途をたどっている。しかし加速器の分野では代替えの効かない電子管の使用例はまだまだある。それは大電力のマイクロ波の分野において顕著である。講演者は電子線形加速器関係であるので主にそれに関連した分野から今も必須の電子管にまつわる技術的なことをお話しする。 まず概略から始め、大電圧SW素子として使用されているサイラトロンについて述べる。サイラトロンは大電力の電流パルスを発生させるうえで非常によく用いられている。一方でこれを製造する会社が少なくなり、数少ない会社の製品も性能に問題があったりする。不良品をつかまないためにはどのような注意が必要かなど述べたい。今後のこの分野の技術の見通しについても触れる。次に平均電力の大きいマイクロ波を発生する(主にCW波)、Induction Output Tube(IOT)やクライストロンについて技術的な説明を行う。この辺は出力によっては半導体増幅器 に置き換えられつつある。その辺の切り替えのボーダーラインはどの変化、採算レベル及び今後の見通し等についても考察する。 |
ハドロン加速器2 (8月4日 豊田講堂ホール) | |
10:10 - 10:30 | |
SUOT01 p.120 [Slides] | J-PARC遅い取り出しの誤動作ショット Accident of J-PARC Slow Extraction Operation ○冨澤 正人,岡村 勝也,中川 秀利(高エネルギー加速器研究機構) ○Masahito Tomizawa, Katsuya Okamura, Hidetoshi Nakagawa (High Energy Accelerator Research Organization) J-PARCメインリングからの遅い取り出しによるハドロン実験施設への利用運転期間中の2013年5月23日11時55分に、取り出し電源系の誤動作により約5ミリ秒という短い間に3x10^13個の陽子ビームの2/3が取り出された。通常は2秒にわたってゆっくりと取り出される。想定を超える短時間にビームが一挙に金標的に照射されたために、金標的の熱除去がおいつかず、一部が蒸発したと考えられている。その後の施設内外への放射能漏洩、実験者の被爆もあり報道で大きく取り上げられた。 本発表では、誤動作ショットで具体的に何が起こったのかを詳しく解説し、短時間でビームが取り出されたメカニズムをシュミレーションを含めて紹介する。また、電源誤作動の調査状況と誤作動防止対策についても報告する。 |
10:30 - 10:50 | |
SUOT02 p.125 [Slides] | J-PARC MR 遅い取り出しにおける運動量ロスとその対策 Momentum loss during slow extraction in the J-PARC MR and its countermeasures ○田村 文彦,大森 千広,山本 昌亘,吉井 正人(J-PARC センター),シュナーゼ アレクサンダー(GSI),野村 昌弘,冨澤 正人(J-PARC センター) ○Fumihiko Tamura, Chihiro Ohmori, Masanobu Yamamoto, Masahito Yoshii (J-PARC center), Alexander Schnase (GSI), Masahiro Nomura, Masahito Tomizawa (J-PARC center) J-PARC MR での遅い取り出しにおいては、陽子ビームをデバンチさせるためにRF電圧をオフにする必要がある。ビームが十分にデバンチするまでの間、空胴のインピーダンスにより、加速ギャップにウェーク電圧が発生し、ビームは運動量を失う。J-PARC MR では比較的低いビームパワーでも 有意な運動量ロスを観測している。運動量のロスが大きくなると、クロマティシティの効果によりチューンの広がりが大きくなり、取り出し効率を 下げる原因となることが判明している。高い取り出し効率を保ちつつビームパワーを上げるためには、デバンチ過程での運動量ロスの低減が必須である。本発表では、運動量ロスの実際について報告するとともに、その対策について報告する。RF フィードフォワード法を用いたビームローディング補償により、20kW のビームパワーにおいても運動量ロスを大幅に低減させることに成功し、99.5%の高い取り出し効率を達成した。 |
10:50 - 11:10 | |
SUOT03 p.130 | ハドロンシンクロトロン内動的バンプ形成による遅い取り出し時ビーム位置制御 Beam axis control during slow extraction by dynamic bump in hadron synchrotron ○鳥飼 幸太,山田 聰,金井 達明,想田 光,遊佐 顕,田代 睦,久保田 佳樹,松村 彰彦,齋藤 明登,島田 博文(群馬大学重粒子線医学研究センター),竹下 英里(神奈川県立がんセンター),中野 隆史(群馬大学重粒子線医学研究センター) ○Kota Torikai, Satoru Yamada, Tatsuaki Kanai, Hikaru Souda, Ken Yusa, Mutsumi Tashiro, Yoshiki Kubota, Akihiko Matsumura, Akito Saitoh, Hirofumi Shimada, Eri Takeshita (GHMC), Takashi Nakano (KCCH) ハドロンシンクロトロンは粒子線治療で利用され、遅い取り出し法が用いられる。電磁石の磁気飽和、出射時ビームエネルギー変化等により、取り出し開始から終了までの間に出射ビーム軸が変動する。ビーム軸変動は治療における照射野均一性を悪化させるため、これを抑制することが望ましい。そこで、シンクロトロン運転パターンにビーム軸変動を抑制する、時間的に変動するバンプ軌道を発生させることによる軸変動の抑制を試みた。方法として、出射セプタム電磁石位置に出射位置、出射角の変化をもたらすバンプ軌道をシンクロトロン内ステアリング電磁石を用いて生成する手法を採用した。補正量の算出には出射ビームラインでの複数モニタからTransfer Matrixを用いて演算する手法を用いた。本手法により、群馬大学重粒子線シンクロトロンにおいて、ビーム軸の時間的変動は補正前±3.8mmであったものが±0.6mm程度まで抑制された。本手法によって重畳されるバンプ軌道はビーム非出射時にも発生しているが、380MeV/uにおいて重畳によるビーム漏れは観測されなかった。本手法では取り出しビームラインにおける磁石及びモニタのアライメントエラーが動的補正量誤差を発生させる要因となっているため、これらアライメントエラーを取り込む手法についても検討を行う。 |
11:10 - 11:30 | |
SUOT04 p.132 | クラスターイオン用誘導加速マイクロトロン Double-sided Induction Microtron for Cluster Ions ○高山 健,安達 利一,和気 正芳,岡村 勝也(高エネ研) ○Ken Takayama, Toshikazu Adachi, Masayoshi Wake, Katsuya Okamura (KEK) KEKでは2000年初頭から高周波加速に代わる誘導加速方式の研究を遂行して来た。2006年に12 GeV PSを用いた誘導加速シンクロトロンの完全実証を行った[1]。旧KEK 500 MeV Boosterも誘導加速シンクロトロンに衣替えし、今、デジタル加速器[2]と呼ばれ、イオン源からの重イオンビームを直接入射し誘導加速をしている[3,4]。この誘導パルス電圧による加速・閉じ込めを別々に行う手法はサイクロトロン[3]にもマイクロトロンにも適用可能である。今回の発表では、特にこれまで静電加速しか加速手段の無かったクラスターイオン(質量数/価数 > 100~1000)を高いエネルギーまで加速する誘導加速マイクロトロンの提案を行う。Qx200keVでイオン源を出たC-60(A=720, Q=7)をQx50 MeVまで加速する誘導加速マイクロトロン(加速電圧/ターン:50 kV)を例に取る。90度偏向電磁石のedge focus/defocusing効果を補正したオプティクス設計、電磁石設計と共にkHzから100 kHz以上までの周回周波数をカバーする誘導加速システムについて言及する 。 [1] K.Takayama et al.,Phys. Rev. Lett. 98, 054801 (2007). [2] T.Iwashita et al., "KEK Digital Accelerator", Phys. Rev. ST-AB 14, 071301 (2011). [3] K.Takayama et al., "Induction Sector Cyclotron", in Proc. of CYCLOTRONS'10, p331 (2010). [4] Liu Xingguang et al., in this conference [5] T.Yoshimoto et al., in this conference |
11:30 - 11:50 | |
SUOT05 p.138 | 原子力機構TIARAにおける多重極電磁石を用いた大面積重イオン均一ビームの形成 Formation of large-area heavy-ion uniform beams using multipole magnets in TIARA, JAEA ○百合 庸介,湯山 貴裕,石坂 知久,吉田 健一,石堀 郁夫,奥村 進(原子力機構高崎研) ○Yosuke Yuri, Takahiro Yuyama, Tomohisa Ishizaka, Ken-ichi Yoshida, Ikuo Ishibori, Susumu Okumura (Takasaki, JAEA) 原子力機構高崎研のイオン照射施設TIARAでは、イオンビーム利用研究に資するため、AVFサイクロトロンにおける重イオンの新たな大面積均一照射法として多重極電磁石を用いた横方向ビーム強度分布の均一化に関する研究開発を進めてきた。本手法は、8極電磁石等のつくる非線形集束力によりガウス型強度分布の裾野を内側へ折り畳むことで均一な強度分布を形成するもので、照射野全体を同時に均一照射できるという特長を持つ。サイクロトロンから引き出されるビームは複雑な強度分布を有するが、薄膜の多重クーロン散乱効果を利用し、均一ビーム形成の前提として必要となるビーム強度分布のガウス様分布化を実現した。また、大面積ビームの面積や均一度の評価のため、ラジオクロミックフィルムのイオン照射応答を明らかにした。核子あたり数~10数MeVのアルゴンイオンビームにおいて、大面積の均一ビームを形成することに成功した。このようなビームは、超低フルエンスの効率的な均一照射を必要とするイオン穿孔膜の創製に関する研究等に利用される予定である。 |
11:50 - 12:10 | |
SUOT06 p.143 [Slides] | イオン蓄積・冷却リングS-LSRでのMgイオンビームのレーザー冷却 Laser Cooling of Mg ion beam at Ion accumuration and Cooler Ring, S-LSR ○野田 章,中尾 政夫(放医研),想田 光(群馬大),頓宮 拓(京大・化研),岡本 宏巳,大崎 一哉(広大・先端研),百合 庸介(原研・高崎研),神保 光一(京大・エネ研),グリーザー マンフレッド(マックスプランク原子核研),何 崢麒(清華大) ○Akira Noda, Masao Nakao (NIRS), Hikaru Souda (Gunma Univ.), Hiromu Tongu (ICR, Kyoto Univ.), Hiromi Okamoto, Kazuya Osaki (AdSM, Hiroshima Univ.), Yosuke Yuri (JAEA, TARRI), Koichi Jimbo (IAE, Kyoto Univ.), Manfred Grieser (MPI-K), Zhengqi He (TUB) 京大・化研のイオン蓄積・冷却リングS-LSRでのMgイオンビームのレーザー冷却実験の到達点とその状況を報告する。シンクロ-ベータトロン共鳴結合を用いた横方向間接的レーザー冷却について我々は夙にその実験的実証を報告しているが、その効率はイントラビーム散乱によるヒーチィングの効果のため低く抑えられており、10E7のビーム強度での冷却時間は100秒にも及んでいた。今回ビームスクレーピング及び冷却用レーザーのデチューニングの最適化及び誘導加速器による平衡減速の実施等により現在までに到達した横方向レーザー冷却温度の状況を実験状況と併せて報告したい。 |
電子加速器2/光源加速器2 (8月4日 シンポジオン会議室) | |
10:10 - 10:30 | |
SUOS01 p.146 [Slides] | 東北大学1.2 GeVブースターシンクロトロン復旧の現状 Current status of reconstruction of the 1.2 GeV booster synchrotron at Tohoku University ○日出 富士雄,柏木 茂,柴崎 義信,高橋 健,長澤 育郎,南部 健一,武藤 俊哉,濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Fujio Hinode, Shigeru Kashiwagi, Yoshinobu Shibasaki, Ken Takahashi, Ikuro Nagasawa, Kenichi Nanbu, Toshiya Muto, Hiroyuki Hama (Electron Light Science Centre, Tohoku University) 東北大学電子光理学研究センターでは,東日本大震災からの復旧作業が進行している.大きな損傷を受けた1.2 GeV電子シンクロトロンにおける主な改修は,1)パターン運転用電磁石電源の更新,2)入射用パルス電磁石電源の更新及び3)性能向上を目指した機能複合型四極電磁石による六極磁場の導入,の3点である.このシンクロトロンは震災前には主として制動放射による高エネルギーガンマ線の生成に利用されてきたが,今回の改修を契機に今後も高度化を進め,将来は光源リングとしての利用も目指している.昨年度末までに電源の設置・調整や電磁石のアラインメント,真空システムの再稼働が終了しており,更新した制御システムのプログラム開発も並行して進めながら,2013年5月よりシンクロトロンのビーム運転を開始した.その後,6月中旬には入射エネルギー 90 MeV でのビームのRF捕獲に成功し,本年下半期の共同利用運転の再開を目指して,目下ビーム調整を進めている.発表では,更新した電源や電磁石の性能評価,試験運転におけるビームの現状について報告する予定である. |
10:30 - 10:50 | |
SUOS02 p.149 | 量子ビーム基盤技術開発プログラムにおけるSTF加速器でのX線生成実験報告 X-ray generation experiment in STF accelerator on quantum beam technology program ○清水 洋孝,明本 光生,Alex Aryshev,荒木 栄,加古 永治,福田 将史,福田 茂樹,原 和文,早野 仁司,本田 洋介,本間 輝也,片桐 広明,小島 裕二,近藤 良也,久保 浄,黒田 茂,松本 利広,松下 英樹,道園 真一郎,三浦 孝子,三好 敏善,両角 祐一,内藤 孝,仲井 浩孝,中島 啓光,中西 功太,野口 修一,奥木 敏行,大森 恒彦,佐伯 学行,阪井 寛志,佐藤 昌人,設楽 哲夫,宍戸 壽郎,竹中 たてる,田内 利明,照沼 信浩,土屋 清澄,梅森 健成,浦川 順治,山口 誠哉,山本 明,山本 康史,矢野 喜治,渡邉 謙(高エネ研),坂上 和之(早稲田理工学部),細田 誠一,飯島 北斗,栗木 雅夫(広島大先端研),磯山 悟朗,加藤 龍好,川瀬 啓悟(阪大産研),倉本 綾佳,Mathieu Omet,Arpit Rawanka(総研大),Yan You(清華大) ○Hirotaka Shimizu, Mitsuo Akemoto, Aryshev Alex, Sakae Araki, Eiji Kako, Masafumi Fukuda, Shigeki Fukuda, Kazufumi Hara, Hitoshi Hayano, Yosuke Honda, Teruya Honma, Hiroaki Katagiri, Yuuji Kojima, Yoshinari Kondo, Kiyoshi Kubo, Shigeru Kuroda, Toshihiro Matsumoto, Hideki Matsushita, Shinichiro Michizono, Takako Miura, Yoshiyoshi Miyoshi, Yuuichi Morozumi, Takashi Naito, Hirotaka Nakai, Hiromitsu Nakajima, Kota Nakanishi, Shuuichi Noguchi, Toshiyuki Okugi, Tsunehiko Omori, Takayuki Saeki, Hiroshi Sakai, Masato Sato, Tetsuo Shidara, Toshio Shishido, Tateru Takenaka, Toshiaki Tauchi, Nobuhiro Terunuma, Kiyosumi Tsuchiya, Kensei Umemori, Junji Urakawa, Seiya Yamaguchi, Akira Yamamoto, Yasuchika Yamamoto, Yoshiharu Yano, Ken Watanabe (KEK), Kazuyuki Sakaue (Waseda Univ.), Seiichi Hosoda, Hokuto Iijima, Masao Kuriki (Hiroshima Univ.), Goro Isoyama, Ryukou Kato, Keigo Kawase (Osaka Univ.), Ayaka Kuramoto, Omet Mathieu, Rawanka Arpit (SOKENDAI), You Yan (Tsinghua Univ.) 量子ビーム基盤技術開発プログラムに基づく「超伝導加速による次世代小型高輝度光子ビーム源の開発」として昨年度までKEK-STFにおいて行われたX線生成実験結果を報告する。この開発プログラムでは、KEK-STF棟内に建設された、L-band 9-cell の超伝導加速空洞を含む直線型電子加速器で40MeVにまで加速された電子ビームと、laser 蓄積装置内で高強度化されたlaser pulseとを正面衝突させる事により、数十keV程度の軟X線を毎秒1010個(10% Bandwidth)程度生成する事を目標とした実験である。加速器としては、近い将来に建設が始まる事が期待されるILCにおいて用いられる超伝導空洞をDRFSドライブ方式により電子ビーム加速に成功(40MeV / 1ms bunch length / 5Hz operation)し、日本におけるILC実現に必要とされる加速器建設技術の実証がなされた。又、逆Compton散乱を介したX線生成に必要となる衝突用レーザーに対しても、これまで用いられてきた2枚鏡の光共振器に替えて、平面状に4枚の鏡を配置した共振器形状を採用した結果として、生成される線量を増加させるべく電子線との衝突角度を0度にした正面衝突を実現させる事が出来た。これらのレーザー蓄積技術も、ILCにおけるオプションである光子・光子衝突器への応用に役立つものと期待されている。この発表ではSTF加速器を使った衝突実験で得られた結果を、加速器設備とレーザー蓄積装置の開発・運転の状況と併せて報告する予定である。 |
10:50 - 11:10 | |
SUOS03 p.154 [Slides] | 27 MHz電子ビームによるTHz-FEL発生試験 Study of THz-FEL with 27 MHz electron beam operation ○川瀬 啓悟,末峰 昌二,加藤 龍好,入澤 明典,藤本 將輝,大角 寛樹,矢口 雅貴,船越 壮亮,堤 亮太,古川 和弥,久保 久美子,徳地 明,磯山 悟朗(阪大産研) ○Keigo Kawase, Shoji Suemine, Ryukou Kato, Akinori Irizawa, Masaki Fujimoto, Hiroki Osumi, Masaki Yaguchi, Sousuke Funakoshi, Ryouta Tsutsumi, Kazuya Furukawa, Kumiko Kubo, Akira Tokuchi, Goro Isoyama (ISIR, Osaka Univ. ) 大阪大学産業科学研究所では、Lバンドライナックを用いてTHz領域の自由電子レーザーの研究を実施している。現在のところ、電子銃からDCビームを入射し、108 MHzのサブハーモニックバンチャーで9.2 nsごとのパルスを生成し、FELビームラインへビームを供給している。しかしながら、FEL光共振器の光往復間隔は37 nsで、FEL光パルスとしては4パルスが独立に生成されている。FELゲインは電子ビームのバンチ電荷に依存するが、加速管におけるビームローディングはすでに大きく、単純に入射電流を上げても大きなゲイン増大は望めない。そこで、現在バンチ電荷を増大するために電子銃の駆動を27 MHzでバースト動作させることにより、平均ビーム負荷は現状を保ったままバンチ電荷を4倍にすることを進めている。これにより、回折損失が大きくなるより長い波長領域まで発振波長を拡張することが期待できる。本発表では、この27 MHz電子ビームの生成と加速、そしてこのビームを用いたTHz-FEL発生についての現状を報告する。 |
11:10 - 11:30 | |
SUOS04 p.158 | 位相空間制御による THz 帯マイクロバンチ生成の研究 Research on THz-band micro-bunch generation by phase-space control ○大槻 祥平(東京大学原子力国際専攻),栗木 雅夫(広島大学先端研) ○Shohei Otsuki (NEM, Tokyo Univ.), Masao Kuriki (AdSM, Hiroshima Univ.) 本研究ではTHz帯SEED-FEL,および誘電体加速の実現を念頭に,既存の技術を応用して, THzからPHzの周波数帯に極めて等間隔に並ぶ短バンチ群を,3から4 m 程度の小型装置によって実現できることを証明する.この手法では現在研究されている短パルスレーザーの高繰り返しによる連続したバンチを発生とは異なり, x方向にモジュレーションを与えた単独のビームバンチに,特定の位相空間制御を与えることによって, 進行方向にTHz帯の周波数で連なる離散構造を生成する.例えば本手法では1 pC 程度の電荷をもつマイクロバンチを幅 10 fs, 繰り返し周波数 10 THz, また各マイクロバンチのピーク電流 140 A の実現は容易であるが, これらは前述のバンチの連続発生のパラメータと比較して数オーダー優れており,装置もコンパクトである.本研究ではこの時にバンチ内部に形成される進行方向の離散構造をマイクロバンチと定義し,行列計算と 3次元荷電粒子トラッキングシミュレーションによってマイクロバンチの生成が可能であることを明示する.応用する位相空間制御はx-zエミッタンス交換と呼ばれ,FELの実現を念頭に考案されたもので,同手法では初期のx方向の位相間分布が特定の傾向をもって最終的なz方向の位相空間分布に射影されるため,初期のx方向にバーコード状の離散構造を形成することによって,マイクロバンチ生成が可能となる. |
11:30 - 11:50 | |
SUOS05 p.163 [Slides] | 自己相関法を用いたFELミクロパルスの計測 Measurement of the FEL micro pulse using autocorrelation method ○大角 寛樹,加藤 龍好,川瀬 啓悟,入澤 明典,藤本 將輝,矢口 雅貴,船越 壮亮,堤 亮太,磯山 悟朗(大阪大学産業科学研究所) ○Hiroki Ohsumi, Ryuko Kato, Keigo Kawase, Akinori Irizawa, Masaki Fujimoto, Masaki Yaguchi, Sousuke Funakoshi, Ryota Tsutsumi, Gorou Isoyama (Institute of Scientific and Industrial Research, Osaka University) 我々は遠赤外領域の自由電子レーザー(FEL)の開発とFEL物理の研究を行なっている。FELは、電子ビームの時間構造を反映して、電子バンチと同程度の時間幅(20~30ps)を持つミクロパルスが9.2nsの時間間隔で数100個並んでマクロパルスを構成する。FELパルスの時間構造を測定するために通常、Ge:Ga検出器を用いるが、その時間分解能は10nsよりも遅いためFELミクロパルスを分解して測定することはできない。FELミクロパルスの時間構造は、回折格子分光器で測定する波長スペクトルに対して相補的な情報を得られるので興味ある研究対象である。数年前にマイケルソン干渉計を用いた自己相関法の試験実験を行い干渉パターンを計測して、光共振器長依存性を得た。本研究は、マイケルソン干渉計を用いた自己相関法によるFEL時間構造の実験を再開して、以前の実験の再現からFELの広い動作領域での測定に拡張する計画である。本報告では、実験の概要を紹介し、得られた実験結果とその解析結果を報告する。 |
11:50 - 12:10 | |
SUOS06 | 高速な検出器を用いたFELパワーの測定 Measurement of FEL power using a fast detector ○藤本 將輝,加藤 龍好,川瀬 啓悟,入澤 明典,大角 寛樹,矢口 雅貴,船越 壮亮,堤 亮太,磯山 悟朗(阪大産研) ○Masaki Fujimoto, Ryukou Kato, Keigo Kawase, Akinori Irizawa, Hiroki Osumi, Masaki Yaguchi, Sousuke Funakoshi, Ryouta Tsutsumi, Goro Isoyama (ISIR, Osaka University) 我々はFEL増幅率の評価を目的とし、高感度な検出器を用いてテラヘルツ自由電子レーザー(THz-FEL)のパワーの時間発展を広い強度領域で測定する手法を開発している。これまで約5桁にわたるダイナミックレンジをもつSiボロメータを用い、増幅回数を変えながら発振したFELパルスのエネルギーを計測し、共振器FELの時間スペクトルモデルを用いてパワーの成長過程を求めてきた。現在では回帰分析を用いてさらにノイズに埋もれた低強度の信号を復元し、約9桁にわたるエネルギーの変化を計測することに成功しており、FELパワーの成長を自発放射からパワー飽和まで測定することが可能となった。一方、数sのFELパルスに対して十分に速い応答速度をもつGe:Ga検出器を用いてFELパワーの時間発展を測定する。Ge:Ga検出器はSiボロメータに比べてダイナミックレンジが小さい。このためFEL発振波長(~100m)で減衰率を較正したテフロンブロックを減衰材とし、厚みを変えながらFELパルスを計測する。そして、各波形を重ねることでFELパルスの成長過程を得た。Ge:Ga検出器を用いた測定ではアンプを用いることで、ボロメータと同様に自発放射からFELパワーの時間発展を計測することが可能となった。本報告では、SiボロメータとGe:Ga検出器によって測定したFELパワーの時間発展の比較を行うとともに、FEL増幅率の時間変化を求める。 |
特別講演 (8月4日 豊田講堂ホール) | |
16:20 - 16:50 | |
SUOTS1 [Slides] | リニアコライダー計画(ILC)- 物理学の挑戦 - Linear Collider Projects: A Challenge of Physics ○竹下 徹(信州大学理学部) ○Tohru Takeshita (Shinshu University, Faculty of Science) 素粒子物理は今大きな転換期(革命と呼ぶ人もいるくらいの)にあります。それは昨年以来のCERNの陽子衝突型加速器LHCによるHiggs粒子の発見に端を発しています。素粒子物理学の標準理論はHiggs粒子の発見により完成しました。また同時に標準理論を超える理論は、一体何かという新しい時代に突入しました。 この講演ではHiggs発見とその状況をまとめ、ILCが標準理論を超える理論 に与えるインパクトについて言及します。陽子陽子衝突型加速は最高エネルギー衝突を起こす事が可能ですが、各事象の衝突は全エネルギーが不定で重心系でもなく、また膨大なバックグラウンドを伴う実験であり、物理実験結果に大きな不定性があります。一方ILCは重心系エネルギーが大きくはないが一定で、素粒子物理学上の理論を決定するための精密測定では大きな利点があり、Higgs粒子の細かな崩壊過程や結合定数の測定ですぐれています。LHC実験とILCに於ける実験ではどの程度違いがあるかを議論します。 発見されたHiggs粒子は標準理論の予言するものに大変近く、標準理論を超える理論との差は小さいため、精密測定が重要と考えられています。これらを明らかにする上で、偏極の重要性についても言及します。 |
16:50 - 17:20 | |
SUOTS2 [Slides] | リニアコライダー計画(ILC)- 加速器科学の挑戦 - Linear Collider Projects: A Challenge of Accelerator Science ○栗木 雅夫(広島大学先端研) ○Masao Kuriki (AdSM, Hiroshima University) リニアコライダーは線形加速器による電子と陽電子の衝突型加速器である。リングによる電子・陽電子コライダーはシンクロトロン放射の急激な増大により、エネルギー的に限界を迎えつつある. 原理的にシンクロトロン放射が発生しないリニアコライダーは重心系エネルギー200GeVを超える高エネルギー現象を探索するのに適しているとして、1990年代から検討が行われてきた。世界の将来加速器検討委員会は2004年に、リニアコライダーを超伝導加速方式で世界統一のプロジェクトとして推進することを 決定し、国際リニアコライダー計画がスタートした。世界の加速器研究者により研究および設計がすすめられ、2012年には技術設計書が完成した。リニアコライダーでは偏極電子ビームが大きな役割を担うが、偏極電子ビームは1970年代のSLACで利用が始まり、1990年代の名古屋大学を中心とするグループの活発な研究開発により90%という高い偏極度が実現されており、リニアコライダーの設計もこの成果をベースとしている。本発表では、リニアコライダーの設計思想、偏極電子ビームの役割、最新の技術開発の成果、計画についての最新の動向について述べる。 |
技術研修会2 (8月5日 豊田講堂ホール) | |
9:00 - 10:00 | |
MOOTL1 [Slides] | 加速器における電子管技術(2) Electron Tube Technology in Accelerator(2) ○福田 茂樹(高エネルギー加速器研究機構) ○Shigeki Fukuda (High Energy Accelerator Research Organization) 引き続き、電子管で縁が切れそうもない大電力(パルス)マイクロ波を発生するクライストロンという電子管について説明する。現在使用されている大小の電子線形加速器のマイクロ波源は数10MW~100MW以上の尖頭値を持つマイクロ波を必要とし、必然的にクライストロンが使用されている。 良く使用されているが、値段は高価であり、雑に扱うとすぐに破損してしまう。電子管であるから内部には熱電子銃が使用され、この取り扱いも慎重にしないと、寿命が短くなったり、極端な場合はフィラメントが切れてしまったりする。扱い方によって、10万時間の寿命も可能であるが、荒い取り扱いでは数百時間でダメになるものもある。又クライストロンは周波数に逆比例してサイズが大きくなり、組み立てや取扱い上も面倒となる。一大学レベルであまり使用されていない周波数帯のクライストロンなどを使用すると維持が大変である。講演者は広い範囲の周波数帯のクライストロンを扱い、また大電力クライストロンを200~300本近く扱った経験から、その取扱いや技術的な問題に触れてみたい。 時代の流れとともに製造会社も減っており、古い電子管は代替えが効かなくなり途方に暮れる場合もある。将来的に迎えるだろうそのような時代の明るくない予想もしてみたい。 |
加速器技術(粒子源/レーザー1) (8月5日 豊田講堂ホール) | |
10:10 - 10:30 | |
MOOT01 p.167 [Slides] | J-PARC/MUSEにおけるミュオン生成標的の300kW陽子ビーム運転報告 Report for Muon Production Target with the 300-kW proton beam operation at MUSE/MLF/J-PARC ○牧村 俊助(KEK-物構研ミュオン),清水 亮(NAT),河村 成肇(KEK-物構研ミュオン),明午 伸一郎(原研東海研),三宅 康博,小林 庸男(KEK-物構研ミュオン),大井 元貴,圷 敦,池崎 清美(原研東海研),鬼澤 聡志,松澤 行洋(NAT),幸田 章宏,藤森 寛,下村 浩一郎,ストラッサー パトリック,小嶋 健児,西山 樟生,中村 惇平,門野 良典(KEK-物構研ミュオン) ○Shunsuke Makimura (KEK, IMSS, Muon), Ryo Shimizu (NAT), Naritoshi Kawamura (KEK, IMSS, Muon), Shinichiro Meigo (JAEA-Tokai), Yasuhiro Miyake, Yasuo Kobayashi (KEK, IMSS, Muon), Motoki Ooi, Atsushi Akutsu, Kiyomi Ikezaki (JAEA-Tokai), Satoshi Onizawa, Yukihiro Matsuzawa (NAT), Akihiro Kouda, Hiroshi Fujimori, Kouichiro Shimomura, Patrick Strasser, Kenji Kojima, Kusuo Nishiyama, Jumpei Nakamura, Ryosuke Kadono (KEK, IMSS, Muon) The most intense pulsed muon beam will be generated by a 3-GeV 333-microA proton beam on a muon target made of 20-mm thick isotropic graphite (IG-430) in J-PARC/MUSE (Muon Science Establishment). The energy deposited by a 1-MW proton beam is estimated to be 3.9kW on the muon target. The first muon beam was successfully generated on September 26th, 2008. Gradually upgrading the beam intensity, continuous 300-kW proton beam operation was started in January of 2013. The temperatures of the principle components have been measured and recorded through thermo-couples and a control system. The lifetime of the muon target is determined by a proton-irradiation damage of the graphite. Even in the 300-kW operation to July of 2013, the radiation damage was anticipated to surpass the lifetime. Therefore, the position of the proton beam has been moved to eight surrounding positions every three weeks to distribute the radiation damage uniformly to a wider area. The position-control is named EXILE operation. The variation of the temperatures at the muon target has been monitored. In this report, the status of proton beam operation and the lifetime extension of the muon target will be described. |
10:30 - 10:50 | |
MOOT02 p.170 | 理研 28-GHz 超電導ECRイオン源の開発 Recent developments in the RIKEN 28-GHz SC-ECRIS ○日暮 祥英,大西 純一,大関 和貴,羽場 宏光,木寺 正憲,中川 孝秀(理研仁科センター) ○Yoshihide Higurashi, Jun-ichi Ohnishi, Kazutaka Ozeki, Hiromitsu Haba, Masanori Kidera, Takahide Nakagawa (RIKEN Nishina Center) 我々は2009年にRIKEN 28 GHz 超電導ECRイオン源でファーストビーム生成に成功して以来、いくつかの手法を用いてこのイオン源の性能を向上させてきた。 2012年にはステンレス製のプラズマチェンバーをアルミニウム製に変更することによって、大強度生成には比較的不向きと言われているスパッタリング法を用いているにも関わらず28GHzのマイクロ波を3kW程度で35価のビームが約180eマイクロA、33価が約230eマイクロA生成することが出来た。また、理研RIBFの実験の為のビーム供給においては1か月以上連続的にウラニウムビーム供給する事に成功している。2013年度よりさらなるビーム強度増強のために高温用オーブンの開発を進め、最近多価ウランビームを生成することに成功した。本発表では超電導ECRイオン源を用いたウラニウムビーム生成の詳細および、高温用オーブンの進捗状況について報告する。 |
10:50 - 11:10 | |
MOOT03 p.174 [Slides] | 光陰極直流電子銃から500keV-mA電子ビームの生成 Generation of a 500-keV electron beam with mA current from a photoemission DC gun ○西森 信行,永井 良治,松葉 俊哉,羽島 良一(原子力機構),山本 将博,宮島 司,本田 洋介,内山 隆司(高エネ研),飯島 北斗,栗木 雅夫(広島大学),桑原 真人(名古屋大学) ○Nobuyuki Nishimori, Ryoji Nagai, Shunya Matsuba, Ryoichi Hajima (JAEA), Masahiro Yamamoto, Tsukasa Miyajima, Yosuke Honda, Takashi Uchiyama (KEK), Hokuto Iijima, Masao Kuriki (Hiroshima University), Makoto Kuwahara (Nagoya University) 次世代ERL放射光源の電子源に対する要求は、エミッタンス0.1~1mm-mrad電流10~100mAの電子ビーム生成である。この低エミッタンスビーム生成には、空間電荷力抑制のため、電子銃の出射ビームエネルギー500keV以上が要求される。500kV光陰極DC電子銃が提案されて20年、運転電圧は放電問題のため350kVに留まってきた。我々は、高電圧化を目標に掲げて電子銃開発に取り組んだ。まずガードリング付き分割型セラミック管を採用し、サポートロッドからの電界放出電子に起因する放電問題を解決した。次に、電子銃真空容器と陰極間の放電により、容器面上の残留微細粉塵が帯電し、陰極に付着した後に暗電流源となる現象が問題となった。これを解決するため、陰極‐陽極のギャップ間隔を最適化し、特に真空容器表面の電界を下げる改造を行った。これにより電子ビーム生成条件下での550kV印加に初めて成功した。 500keV電子ビーム生成試験を行った。波長530nmDCレーザー光をGaAs光陰極に照射し電子ビームを生成した。レーザー径0.1mmσ、パワー1.5W、GaAs量子効率0.28%で最大1.8mAのビーム生成に成功した。 H24年度10月にはcERLに電子銃を移設し、入射空洞、診断用ビームラインに接続した。H25年度4月末の運転開始以降、390keVの電子ビームを安定に供給し続けており光陰極の大きな劣化も観測されていない。主に500keV電子ビーム生成試験について報告し、cERLでの電子銃運転状況についても触れる。 |
11:10 - 11:30 | |
MOOT04 p.179 | シミュレーションによる三極管型熱陰極高周波電子銃における電子ビーム特性に関する研究 Numerical Study on Electron Beam Properties in Triode Type Thermionic RF Gun ○三島 健太,KONSTANTIN TORGASIN,増田 開,犬飼 元晴,奥村 健祐,NEGM HANI,OMER MAHAMED,吉田 恭平,全 炳俊,紀井 俊輝,大垣 英明(京都大学エネルギー理工学研究所) ○Kenta Mishima, Torgasin Konstantin, Kai Masuda, Motoharu Inukai, Kensuke Okumura, Hani Negm, Mahamed Omer, Kyouhei Yoshida, Heishun Zen, Toshiteru Kii, Hideaki Ohgaki (Inst. of Advanced Energy, Kyoto Univ.) 京都大学自由電子レーザー(KU-FEL)では、電子源に熱陰極型高周波電子銃が採用されている。熱陰極は、光陰極に比べて小型で経済的、運転が容易、平均電流が高いという長所がある。しかしながら、高周波電子銃においては陰極から引き出された電子の一部が高周波加速空胴において減速位相に乗って逆加速され陰極に戻ってきてしまい、衝突して陰極を加熱し、その結果マクロパルス長の制限や電子ビームの質の低下を招く。この課題を解決し、生成電子ビームの高輝度・長マクロパルス化を実現するために、我々は三極管型熱陰極高周波電子銃の開発を進めている。これは陰極の前方に同軸共振空洞を追加し、その電界によって電子の放出を制御するというもので、シミュレーションではビーム輝度を低下させることなく逆流電子による陰極への熱入力を80%以上削減できるという結果を得ている。現在KU-FELの高周波電子銃にインストールして三極管型とするための同軸共振空胴を設計・製作している。同軸共振空洞は共振周波数の粗調機構として、銅のスペーサを挿入する事で空洞長を変化させられる様にした。しかし、空洞長を変えると、ビーム光学系が変化する。今回の発表では、電子ビーム特性の銅スペーサの厚さに対する依存性をシミュレーションで調査した結果を報告する。 |
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MOOT05 p.184 | 光蓄積共振器を用いたレーザーコンプトン散乱X線源の開発 Development of a compact X-ray source via laser-Compton scattering using an optical super-cavity ○坂上 和之,鷲尾 方一(早稲田大学),荒木 栄,Aryshev Alexander,浦川 順治,照沼 信浩,福田 将史,三好 敏喜(高エネ研) ○Kazuyuki Sakaue, Masakazu Washio (Waseda University), Sakae Araki, Alexander Aryshev, Junji Urakawa, Nobuhiro Terunuma, Masafumi Fukuda, Toshinobu Miyoshi (KEK) 我々は電子線形加速器と光蓄積共振器を用いたレーザーコンプトン散乱X線源(LUCX)の開発を行っている。LUCXではレーザーパルスとの衝突回数を向上させるために2.8ns間隔のマルチバンチビームを生成している。電子ビームはフォトカソードRF電子銃によって生成し、加速管によって23MeVまで加速する。両空胴ともに定在波型とすることでビームローディング効果によるエネルギー差を0.06%と非常に小さくすることに成功している。 加速された電子ビームは光蓄積共振器内においてレーザーパルスと衝突し、約9keVのX線を生成する。光共振器としては4枚の超低損失ミラーによって構成したBow-tie型の共振器を採用している。周長を約8mと非常に大きくとり、ミラー上のレーザーサイズを拡げ、ミラーへのダメージを回避している。共振器内では入射したレーザー光の約200倍の強度が蓄積されており、また、共振器の周回周波数を電子ビーム繰り返しの2.8nsの定数倍とすることによって効率よく全てのバンチと衝突することが可能となっている。今回このような構成でX線生成を行うことによって、6.4×10^6ph./secのX線強度を達成した。また、SOIピクセルセンサを初めて用いることによって非常に解像度の良いX線像の撮像に成功した。 本講演ではLUCX実験のセットアップの詳細、X線生成試験結果及び今後の展望について報告する。 |
11:50 - 12:10 | |
MOOT06 p.188 [Slides] | レーザー駆動誘電体加速器の設計 Designing of the laser driven dielectric accelerator ○小山 和義(高エネ研),松村 陽介,上坂 充(東大・原子力),吉田 光宏,夏井 拓也(高エネ研),アイミアディング アイミドラ(コッククロフト研) ○Kazuyoshi Koyama (KEK), Yosuke Matsumura, Mituru Uesaka (U. Tokyo), Mituhiro Yoshida, Takuya Natsui (KEK), Aimidula Aimierding (Cockcroft Institute) 透過型回折格子を用いた、レーザー駆動誘電体加速器の設計を進めている。これまでは、解析的に電子加速の条件を求めて結果に関して発表したが、実際には回折・干渉や反射の影響があるので、設計に当たっては電界分布は数値計算で求める必要がある。FDTD(時間領域差分法)の一つであるMeepコードを用いて電界分布の計算を行った。 回折格子内の回折・干渉や反射の影響によって、軸方向電界強度はバイアスがかかった様な分布になり、最高加速勾配は約600MeV/mであり、これは理想的な場合の約75%である。電子の速度が遅い場合でも、加速勾配は有限の値を持つ。つまり、加速距離が若干延びる事(1mm程度)を許せば、速度整合条件から外れた遅い電子でも加速が可能である。回折格子の段差の大きさは波長の90%が最適であり、この結果は解析解と一致する。 空間電荷による電子バンチの広がりと加速チャンネルから求めた電荷量は、10-100fCである。 駆動用レーザーのエネルギーを小さくするためには、電子バンチの周辺だけにレーザー電界が存在するよう、位相を合わせながらレーザーを分割照射する。 1MeVの電子を得るためには、加速長が2-3mm、加速時間は10-50ps、レーザーを20分割するとパルス当たりのエネルギーは15mJでパルス幅は1-5psと見積もられる。 |
加速器技術(診断/制御1) (8月5日 シンポジオン会議室) | |
10:10 - 10:30 | |
MOOS01 p.191 [Slides] | SuperKEKBに向けた電子・陽電子入射器Linac用ビーム位置モニターの読み出しシステム開発 Development of Beam Position Monitor Readout System for Electron-Positron Injector Linac towards the SuperKEKB ○一宮 亮,諏訪田 剛,佐藤 政則,宮原 房史,古川 和朗(KEK) ○Ryo Ichimiya, Tsuyoshi Suwada, Masanori Sato, Fusashi Miyahara, Kazuro Furukawa (KEK) 現在KEKではSuperKEKB建設に向け加速器アップグレードを進めている。L=8×10^35/(cm^2 s)を達成するため、電子及び陽電子エミッタンスをそれぞれ20mm mrad(5nC)、6mm mrad(4nC)にする必要がある。これを実現するためには、ビーム光学設計上、0.1mm以内に加速管をアライメントしなければならない。安定してBeam Based Alignmentを行うためには、ビーム位置モニター(BPM)には要求されるアライメント精度より一桁高い位置分解能が求められる。しかし、これまでのオシロスコープ読み出し方式で得られる位置分解能は約50μmであり、要求を満足出来ない。位置分解能10μm以下を達成するため、狭帯域バンドパスフィルター(BPF)方式を採用し、250MS/s・16bitパイプラインADCを用いた専用読み出し回路を新規に設計開発した。SuperKEKBでは96ns間隔で2バンチ入射を行うため、位置分解能を保ちつつ2バンチを分離して読み出し出来るよう、BPFの構成を最適化した。また、様々な原因で計測位置にオフセットが生じうるため、読み出し回路上に校正パルス発生器を設置した。これはビームの通っていないときにBPMに対して校正信号を与えることにより、チャンネル間ゲイン比のオンライン校正を行う事を可能とする。さらに、オンライン校正を行う十分な時間を確保するため、位置・電荷演算は読み出し回路上のFPGAで行い、高速化を図った。今回の発表では、これら新BPM読み出し回路の開発の現状について報告する。 |
10:30 - 10:50 | |
MOOS02 p.194 [Slides] | Study of Longitudinal Phase Space Distribution Measurement via a Linear Focal Cherenkov Ring Camera ○Anusorn Lueangaramwong (Electron Light Science Centre, Tohoku University) At Tohoku University, a study of generation of intense coherent THz radiation from sub-picosecond electron bunches has been developing. Initial electron distribution in the longitudinal phase space produced by an electron gun is crucial for extreme short electron bunch production. For relatively lower energy electrons, a novel method for measurement of electron kinetic energy employing velocity dependence of the opening angle of Cherenkov radiation was proposed. Combined use of a streak camera and a “turtle-back” mirror that confines the Cherenkov light on to a linear focal line may allow us to observe the longitudinal phase space distribution directly. An experimental setup was examined with numerical ray tracing, and a radiator placed outside the vacuum chamber was designed to achieve the highest energy resolution. To extract the electron beam from the vacuum, a beryllium thin film was proposed as a beam window. However, a Geant4 Monte Carlo simulation showed that multiple scatterings of the electron beam in the beryllium window significantly affects the resolution of the Cherenkov angle. Detail of examination will be presented in this conference. |
10:50 - 11:10 | |
MOOS03 p.197 [Slides] | ビーム位置測定に於ける三次モーメントの影響 Third-order moment effect of beam position measurements ○柳田 謙一,鈴木 伸介,出羽 英紀,花木 博文(公益財団法人高輝度光科学研究センター) ○Kenichi Yanagida, Shinsuke Suzuki, Hideki Dewa, Hirofumi Hanaki (Japan Synchrotron Radiation Research Institute) 昨年の加速器学会年会(PASJ9)に於いて、六電極BPMに於ける全体較正(Entire Calibration)の講演を行った。全体較正はビームの相対モーメントが変化しないと仮定し、ステアリング電磁石を用いてビームを上下左右に振り、得られたデータから各電極間のバランス係数(相対的減衰率)を算出するものである。昨年はバランス係数を算出するプログラムが未だに正常に動作しないと報告したが、その原因が判明した。原因は測定電圧差分に三次モーメント成分が無視できない程度に寄与していたためであった。SPring-8線型加速器の六電極BPMでは、上下の二電極及び左右の四電極を使用して、垂直方向ビーム位置が測定可能である。この2つの垂直方向ビーム位置が一致するようにプログラムを実行したが、正しいバランス係数は得られなかった。そこで、試しに三次絶対モーメントの寄与を含めてプログラムを実行すると問題無く、正しいバランス係数が得られた。三次モーメントの上下二電極及び左右四電極を使用した位置測定への寄与が逆符号であったため乖離が大きく、ブログラムが正常に動作しなかったのである。この三次モーメントの寄与は六電極のみならず、二電極や四電極を使用したビーム位置測定にも必ず出現するため考慮が必要である。 |
11:10 - 11:30 | |
MOOS04 | 有機ポッケルス EO 結晶を用いた電子バンチ電荷分布測定 (1) Electron bunch charge measurements with organic Pockels EO crystals (1) ○岡安 雄一,松原 伸一,冨澤 宏光(JASRI),小川 奏,南出 泰亜,松川 健(RIKEN) ○Yuichi Okayasu, Shinichi Mtsusbara, Hiromitsu Tomizawa (JASRI), Kanade Ogawa, Hiroaki Minamide, Takeshi Matsukawa (RIKEN) 高次高調波をシード光とした FEL 発振を実現するためには、電子バンチとシード光の時間・空間コヒーレンスを、ショット毎に非破壊で制御することが極めて重要である。これまで数々の FEL 加速器施設において、GaP や ZnTe に代表される無機ポッケルス電気光学 (EO) 結晶を用いた EO サンプリングにより、極短電子バンチのバンチ長非破壊計測がなされてきた。しかしながら、GaP 及び ZnTe は、それぞれ計測対象であるバンチ起因の電場周波数帯域である ~11 THz、~5 THz 近傍に顕著な吸収特性を有することから、~50 fs (rms)、~90 fs (rms) 程度の時間分解能の制限が存在している。これに対し、2012 年 2 月に、我々はSPring-8 の SCSS 試験加速器において、高速時間応答が確認されている有機ポッケルス EO 結晶 : 4-N, N-dimethylamino-4’-N’-methyl stibazolium tosylate (DAST) を使用した、スペクトラルデコーディングによるEO サンプリングによる電子バンチ電荷分布計測に世界で初めて成功した。この実験で得られた知見を元に、2013 年 3 – 4 月に同施設において、厚み・アニール処理の有無といった複数の DAST 結晶を用意し、バンチ電荷分布計測を行った。 本学会では、主にバンチ電荷量と EO 信号強度の相関、及び測定系近傍での空間積算線量と結晶の寿命に焦点を当てた評価・報告に加え、今後の方針について議論する。 |
11:30 - 11:50 | |
MOOS05 p.202 | SPring-8線型加速器における高速振り分け入射 Fast alternate beam injection from SPring-8 LINAC ○出羽 英紀,鈴木 伸介,柳田 謙一,小林 利明,青木 毅,小林 和生,高雄 勝,佐々木 茂樹,花木 博文,佐治 超爾,松下 智裕,都筑 之彦,皆川 康幸,竹村 育浩(高輝度光科学研究センタ-),竹内 裕嗣(スプリングエイトサービス),庄司 善彦,宮本 修治(兵庫県立大学) ○Hideki Dewa, Shinsuke Suzuki, Kenichi Yanagida, Toshiaki Kobayashi, Tsuyoshi Aoki, Kazuo Kobayashi, Masaru Takao, Shigeki Sasaki, Hirofumi Hanaki, Choji Saji, Tomohiro Matsushita, Yukihiko Tsuzuki, Yasuyuki Minagawa, Yasuhiro Takemura (JASRI), Hiroshi Takeuchi (SES), Yoshihiko Shoji, Shuji Miyamoto (University of Hyogo) SPring-8の線型加速器(Li)は通常ブースターシンクロトロン(Sy)とNEW SUBARU(NS)の2つのリング加速器に1GeV電子ビームを常時入射している.SPring-8 蓄積リング(SR)においてトップアップ蓄積状態を維持するために、LiからSyへはおよそ15秒から30秒に1回程度入射している.Syへの入射の約5秒前に1GeVの振り分け用の偏向電磁石を励磁し,Syへ入射が終わると約5秒以内で偏向電磁石を非励磁に切り替えた後にNSに入射できる状態になる.一方SRにおける低エミッタンスビーム化や大電流シングルバンチの蓄積などでSRの蓄積電流の寿命がますます短くなっているため、Syへの入射の間隔が今後短くなってくると予想される.またNSではSyへの入射間隔の短縮に伴い,LiからNSへ入射可能な時間が短くなり、必要な入射が困難になりつつあった.そこで今回LiからSyおよびNSへの入射を高速振り分け化する改造をおこなった.その結果0.5秒おきにSyとNSの入射の切り替えが可能となり,SyとNSにともに最小1秒間隔で入射できるようになった.今回入射の切り替えを高速化するために(1)SyとNSの入射タイミングを同期化し,0.5秒おきのタイムシェアリングの実現(2)偏向電磁石のパターン励磁、(3)ビームルートの切り替えの高速化に伴う安全インターロック系の改修、等を行った. |
11:50 - 12:10 | |
MOOS06 p.207 [Slides] | Event Timing SystemによるSuperKEKB入射制御 Injection control at SuperKEKB with Event Timing System ○梶 裕志,岩崎 昌子(高エネルギー加速器研究機構),岡崎 知博(東日本技術研究所),菊谷 英司(高エネルギー加速器研究機構),草野 史郎,工藤 拓弥(三菱電機システムサービス),小林 鉄也,末武 聖明,飛山 真理,中村 達郎,古川 和郎,宮原 房史(高エネルギー加速器研究機構) ○Hiroshi Kaji, Masako Iwasaki (KEK), Tomohiro Okazaki (East Japan Institute of Technology Co.), Eiji Kikutani (KEK), Shiro Kusano, Takuya Kudo (Mitsubishi Electric System & Service Co.), Tetsuya Kobayashi, Masaaki Suetake, Makoto Tobiyama, Tatsuro Nakamura, Kazuro Furukawa, Fusashi Miyahara (KEK) SuperKEKBは2015年初頭に運転開始するKEKBの後継プロジェクトである。デザイン・ルミノシティはKEKB到達値の40倍であり、入射システムには「主リングの蓄積電流を2倍」にし「top-up運転」でそれを維持することが求められている。 KEK入射器は、電子・陽電子の主リングの他、PF, PF-ARの全4リングにビームを供給している。複数リング同時のtop-up運転には、入射器パラメータのうち100以上を入射パルス毎(典型的には20ms毎)に変更する必要がある。また主リング入射の際は、直前のカレントモニター情報を基に、電荷の低いRF-Bucketを自動的に選び入射を行う。 SuperKEKB陽電子は新設のダンピングリングを通し入射される。この時、入射管理は長期にわたり、上述の入射Bucket選択はより複雑になる。 我々はMRF社製Event Timingモジュールによる入射スケジュール管理・制御を検討している。このモジュールは8.8ns刻みで最長37秒のタイミングを生成でき(114.24MHz RF clock同期時)、その精度は10ps程度である。また248種類のトリガー(Event)を最大2048個スケジュールすることができる。このモジュールを2つ直列に接続し、上流側モジュールで「入射スケジュール管理」、下流側で20ms毎に「主リングの入射Bucket選択」をさせることで、SuperKEKBの複雑な入射制御を実現する。 本講演では、SuperKEKB入射制御の概要を説明し、Event Timing Systemのデザインとその性能試験の結果を報告する。 |
加速器技術(レーザー2/RF空洞/RF源) (8月5日 豊田講堂ホール) | |
13:00 - 13:20 | |
MOOT07 | 自己位相変調を用いた中赤外FELスペクトルの広帯域化 Spectral broadening of mid-infrared FEL by self-phase modulation ○中嶋 隆,Wang Xiaolong,Qin Yu,全 炳俊,紀井 俊輝,大垣 英明(京大エネ研) ○Takashi Nakajima, Xiaolong Wang, Yu Qin, Heishun Zen, Toshiteru Kii, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.) FELは波長可変レーザーではあるが,様々な分光応用を考えると波長掃引をなるべく避けてデータを取ることができればより利便性が高まる。そこで我々は,非線形光学効果の一種である自己位相変調を応用してFELスペクトルの帯域を拡大することを試みた。この手法はチタンサファイアレーザーなどの近赤外領域(800 nm)では良く使われる手法ではあるが,チタンサファイアレーザーのパラメトリック光を光源とした中赤外(2-5μm)での報告例となると極めて少ない。さらに波長が長い,例えば今回我々が報告するような>10μm域でFELを光源とした報告例というと皆無である。 我々は,プラズマミラーを用いて時間的に数ns程度にまで切り出したKU-FELの11μmパルスをGe基板に集光照射することにより,自己位相変調を発生させ,レーザースペクトルがどれだけ広帯域化するかを調べた。プラズマミラーを用いた理由は2つある。1つめの理由は,時間分解能を上げるため,元は2μsもあるマクロパルスの時間幅をなるべく短く(現状では5ns)するためである。2つめの理由は,2μsのマクロパルスのままだとGe基板に集光照射した時,損傷が起こるためである。現状では2倍程度までの広帯域化が確認できている。 |
13:20 - 13:40 | |
MOOT08 | Spatial beam quality measurement of KU-FEL ○Yu Qin, Heishun Zen, Xiaolong Wang, Takashi Nakajima, Toshiteru Kii, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.) Spatial quality of a laser beam is very important, since it determines how much the beam can be focused. Clearly it is very preferable to have a beam with high spatial quality to use an FEL for nonlinear optics which is actually our main playground. We have carried out the knife-edge measuremet of KU-FEL at 11 micron. For comparison we have also taken burn-patterns on acryl plates. |
13:40 - 14:00 | |
MOOT09 p.212 [Slides] | Compact ERL 主加速部超伝導空洞クライオモジュールのハイパワーテスト High power test of main linac cryomodule for Compact ERL ○阪井 寛志,梅森 健成,江並 和宏,佐藤 昌史(KEK),沢村 勝(原研),篠江 憲治,古屋 貴章(KEK),Cenni Enrico(総研大) ○Hiroshi Sakai, Kensei Umemori, Kazuhiro Enami, Masato Sato (KEK), Masaru Sawamura (JAEA), Kenji Shinoe, Takaaki Furuya (KEK), Enrico Cenni (Sokendai) KEKのERL開発棟ではコンパクトERL(cERL)の建設が進められている。主加速器部は昨年までにcERL用の2空洞入りのクライオモジュールに必要な2台の1.3GHzの9セル超伝導空洞、2台の入力カプラー、3台のHOM吸収体、2台のメカニカルチューナーなど各コンポーネントの製作し、特に空洞の要求値である15MV/mにてQ0が1×10^10を超える値が測定された。これら各要素の性能評価を行った後、2012年秋まで、クライオモジュールの製作、組立を行った。具体的には、2台の超伝導空洞にHeジャケット溶接後、クリーンルーム内にてHOM吸収体、入力カプラーを接続。その後、チューナー接続、磁気シールド、熱シールド、Heラインの取付を行い、クライオモジュールとして完成後に10月にcERLのビームラインにモジュールの設置を行った。その後、11月末に2Kの冷却開始。2Kでのチューナーなどの動作確認などを行った後に、12月の2週間でハイパワーテストを行った。2空洞とも最大電圧として16MV のCW 加速電圧印加を確認したが、高電圧にて、強いフィールドエミッションが観測された。また、長期的には、13.5-14MV の加速電圧にて、両空洞ともに1 時間以上の持続可能であることを確認した。本発表ではcERL主空洞クライオモジュールでのハイパワー試験での詳細な結果と今後について述べる。 |
14:00 - 14:20 | |
MOOT10 p.217 [Slides] | 高インピーダンス金属磁性体コアの研究 Study of high impedance Magnetic Alloy core ○野村 昌弘,山本 昌亘,島田 太平,田村 文彦(日本原子力研究開発機構),大森 千広,戸田 信,長谷川 豪志,原 圭吾,吉井 正人(高エネルギー加速器研究機構),シュナーゼ アレクサンダー(GSI) ○Masahiro Nomura, Masanobu Yamamoto, Taihei Shimada, Fumihiko Tamura (JAEA), Chihiro Ohmori, Makoto Toda, Katsushi Hasegawa, Keigo Hara, Masahito Yoshii (KEK), Alexander Schnase (GSI) J-PARCでは高い加速電圧を発生させる為に、RCSとMRの両シンクロトロンで金属磁性体コアを用いた高周波加速空胴を採用している。ユーザーの要望に応え、更にハイパワーのビームを供給する為には、金属磁性体コアのシャントインピーダンスを高め、より高い加速電圧を発生させる事が重要である。 シャントインピーダンスを高める方法としては、アモルファスからナノ結晶に熱処理を行う過程で磁場を印加し、結晶の磁化容易軸をリボン幅方向に向け、磁化回転により磁化させることにより、高周波領域での透磁率を高める方法がある。更に、リボンの厚さを薄くする方法も高周波領域での透磁率を高めるのに有効な方法である。また、逆に、コアのシャントインピーダンスを下げる要因としては、コアを製造する段階で発生する残留応力がある。我々が使用している様な大型のコアではこの残留応力を低減することは特に重要である。 以上述べた様なコアのシャントインピーダンスを高める方法や逆に下げる要因について、RCS及びMR用に金属磁性体コアの開発を行い、多くのコアを製作して得た知見を基に議論を行う。 |
14:20 - 14:40 | |
MOOT11 p.221 | クライストロンモジュレータ用ハイパワー半導体スイッチの開発 Development of a High-Power Solid-State Switch for a Klystron Modulator 上司 文善,徳地 明,川瀬 啓悟,古川 和弥,加藤 龍好,藤本 將輝,大角 寛樹,矢口 雅貴,船越 壮亮,堤 亮太,末峰 昌二,○磯山 悟朗(阪大産研) Fumiyoshi Kamitsukasa, Akira Tokuchi, Keigo Kawase, Kazuya Furukawa, Ryukou Kato, Masaki Fujimoto, Hiroki Osumi, Masaki Yaguchi, Sousuke Funakoshi, Ryouta Tsutsumi, Shoji Suemine, ○Goro Isoyama (ISIR, Osaka University) 我々は、阪大産研のLバンド電子ライナックを用いて自由電子レーザー(FEL)の開発研究を行っている。電子ライナックは、クライストロンで発生する高周波(RF)を加速管に蓄えて電子ビームを加速する。FELの電子ビーム源であるライナックは最大10 Hzでパルス運転をするが、FEL強度のパルス毎の変動が大きく、FELの基礎研究や利用研究の障害になっている。クライストロンに電力を供給するクライストロンモジュレータと呼ばれる電源に、高電圧、大電流スイッチとしてサイラトロンが用いられている。FEL強度の変動、即ちRFパワーの変動の主な原因は、ガス封入放電管の一種であるサイラトロンのスイッチ特性によると考えられる。そこでサイラトロンに換わる高電圧、大電流用の半導体スイッチの開発研究を行った。 使用した半導体素子は、静電誘導型サイリスタ(Static Induction Thyristor ; SI-Thy)で、単体の阻止電圧3.2 kV、ピーク電流5 kA、オン抵抗約0.1Ωのパルスパワーデバイスである。クライストロン用スイッチに要求される性能は、25 kV、5 kAで、およそ0.1Ω以下であるため、60個のSI-Thyを6並列10直列にしてスイッチを設計、製作した。続いてモジュレータへ実装して試験を行い、スイッチが10 Hzで安定に動作することを確認した。SI-Thyを用いた半導体スイッチの設計、製作と、サイラトロンと比較した性能を報告する。 |
加速器技術(制御2) (8月5日 シンポジオン会議室) | |
13:00 - 13:20 | |
MOOS07 p.226 | SuperKEKBトンネル内加速器制御ネットワーク無線LANシステムの構築 Construction of the SuperKEKB Control Network Wireless LAN System into the Accelerator Tunnel ○岩崎 昌子,佐藤 政則,中村 達郎,古川 和朗,三川 勝彦(高エネルギー加速器研究機構),青山 知寛,田中 直樹,中村 卓也,藤田 誠,吉井 兼治(三菱電機システムサービス) ○Masako Iwasaki, Masanori Satoh, Tatsuro Nakamura, Kazuro Furukawa, Katsuhiko Mikawa (KEK), Tomohiro Aoyama, Naoki Tanaka, Takuya Nakamura, Makoto Fujita, Kenzi Yoshii (Mitsubishi Electric System & Service) 高エネルギー加速器研究機構では、電子・陽電子衝突型加速器KEKBの高輝度化計画として、SuperKEKB加速器の建設を進めている。我々は、周長3kmのSuperKEKB加速器トンネル内全域にわたって、SuperKEKB加速器建設および加速器メンテナンス時にトンネル内で使用するための、SuperKEKB加速器制御ネットワーク無線LANシステムを構築した。直線部4箇所(合計約1000m)に16本の高強度コリニアアンテナを導入し、アーク部には、合計約2000mの漏洩同軸ケーブル(LCX)アンテナを導入した。SuperKEKBでの放射線レベルを考慮して、1MGy以上の耐放射線性を持った、コリニアアンテナおよび漏洩同軸ケーブルアンテナを選定した。また、無線LAN機器の性能比較試験を行い、加速器運転時のネットワーク使用量を考慮して、機器を選定した。トンネル内無線LAN機器は鉛箱に収容し、耐放射線性資材で固定した。アーク部の無線LAN機器への給電は、地上部の電源棟からトンネル内へネットワーク配線を行い、電源棟に設置した給電装置からネットワークケーブル経由で行っている。これらSuperKEKBトンネル内無線LANシステムの電波試験を行い、全域で20Mbps以上のネットワーク速度を得た。また、トンネル地上部の電源棟12箇所の制御室および電源室にも、加速器制御ネットワーク用無線LANシステムを導入した。本稿では、SuperKEKB加速器制御ネットワーク無線LANシステムの構築、およびその性能について報告する。 |
13:20 - 13:40 | |
MOOS08 p.230 [Slides] | Hadoop・HBaseを利用したJ-PARC運転データアーカイビングの現状 Status of J-PARC operation data archiving using Hadoop and HBase 吉位 明伸,○菊澤 信宏,池田 浩,加藤 裕子(原子力機構) Akinobu Yoshii, ○Nobuhiro Kikuzawa, Hiroshi Ikeda, Yuko Kato (JAEA) J-PARC (Japan Proton Accelerator Research Complex) においては多数の機器により制御されており、Linac、RCSに関して約64000点にも及ぶEPICSレコードのデータを収集している。現状ではRDBMSのPostgreSQLを利用したシステムにてデータアーカイブを行なっているが、性能や拡張性に対する諸問題に対応するため、分散処理フレームワークのHadoopと分散データベースのHBaseを利用した次世代アーカイブシステムについて検討し、テストシステムの実装と利用を行なっている。 Hadoop・HBaseのシステムにおける運用上の問題点としてマスターノードが単一障害点となる事が挙げられるが、これに対しては2台のサーバをHeartbeatとPacemakerを用いたHA (High Availability) クラスタ構成にしてシステム可用性を向上させている。また、DRBDを用いて2台のサーバ間のデータ同期を行うことによりデータ管理に重要なメタデータを保護している。9台のスレーブノードを用いて合計約50TBのHDFSファイルシステムを構築し、この上でHBaseを稼働させている。 現在、試験的にLinacにおける約6500点のEPICSレコードのデータを現行と同じ1~60秒周期で収集しており、特段問題無くアーカイブが行えている。また、データ検索に関しては、現行システムと比較して応答時間が最大で1/5程度にまで短縮されている。 本発表では、このアーカイブシステムの現状や課題並びに今後の展望について報告する。 |
13:40 - 14:00 | |
MOOS09 p.235 [Slides] | MADOCA II データー収集と蓄積システム MADOCA II data acquisition and storage system ○山下 明広,籠 正裕,酒井 久伸(JASRI) ○Akihiro Yamashita, Masahiro Kago, Hisanobu Sakai (JASRI) SPring-8では次世代の加速器制御フレームワークMADOCA IIを構築、 来春の本格導入に向けて準備中である。この新フレームワークの中の データー収集と蓄積の部分を扱う。現行のMADOCAはデーター収集の 通信にはONC-RPC、データー蓄積にはリレーショナルデータベースを16年間使用してきた。その中で得られた経験と近年の技術的進歩をを 新フレームワークに取り入れ設計をおこなった。新フレームワークでは 通信にはMessagepackとZeroMQ、蓄積にはNoSQL(Not only SQL)であるRedisとApache Cassandraを使用する。これらを使用することによって現システムと比較して高信頼、高性能、高拡張性かつ柔軟なデーター管理を実現した。本稿では新システムへの要求、設計、実装、長期テストの結果と性能について述べる。 |
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MOOS10 p.239 [Slides] | MADOCA II-LabVIEWインターフェイスを用いたBPMデータ読み出しシステムの作成 BPM data readout system using MADOCA II-LabVIEW interface ○古川 行人,松本 崇博,藤田 貴弘(高輝度光科学研究センター) ○Yukito Furuakawa, Takahiro Matsumoto, Takahiro Fujita (SPring-8/JASRI) 我々はSPring-8の制御フレームワークMADOCAに様々な拡張を行ったMADOCA IIの開発を進めている(本年会の松本崇博他による報告を参照)。MADOCA IIの特徴として波形データや画像データ等の可変長データを扱えること、Unix likeな環境のみならずWindows環境でも利用可能になった点が特筆される。これらの特徴を活かすことで、MADOCAでは困難であったWindowsベースの計測・制御機器からのデータ収集が可能となる。Windows環境ではLabVIEWにより作成された様々な計測・制御ソフトウエアの資産があり、これらを活かすためMADOCA II-LabVIEWインターフェイスを作成し、最初の応用例としてPXI 5922デジタイザを用いたBPM波形データ読み出しシステムに適用した。遠隔にあるPXIシステム上で動作するLabVIEWソフトウエアにて50ks/sで測定したデータを5ks/s, 500s/s, 50s/sにデシメーションした結果を1秒毎にMADOCA II制御フレームワークを用いて遠隔(中央制御室)にある制御端末に転送し、データを時間領域並びに周波数領域(FFT)で表示してビーム軌道に異常がないかを監視する。現在のところ、5ks/s、4chの信号を取りこぼしなく転送することが出来る事が確認できており、蓄積リングの2カ所のBPMデータから、突発的に生じた軌道変動についても監視可能である。これらの性能を生かして、ビーム診断に役立てる計画である。 |
14:20 - 14:40 | |
MOOS11 p.242 [Slides] | SPring-8 蓄積リング2次元放射光干渉計高度化に向けたMicroTCA画像処理システムの開発 Development of MicroTCA-based Image Processing System for the Two-dimensional Synchrotron Radiation Interferometer at the SPring-8 storage ring ○清道 明男,植田 倉六,正木 満博,増田 剛正(高輝度光科学研究センター) ○Akio Kiyomichi, Souroku Ueda, Mitsuhiro Masaki, Takemasa Masuda (JASRI/SPring-8) SPring-8蓄積リングでは、電子ビーム横断面空間プロファイルの非破壊診断のために2次元放射光干渉計を設置している。現状ではPCベースの画像処理システムを利用して、2次元干渉縞の水平・垂直方向のビジビリティを1Hzのビーム入射信号に同期して測定し、それぞれビームサイズに変換している。老朽化した画像処理システムを更新するとともに、2次元のモデル関数によるフィッティング処理によりビジビリティを介さずに水平・垂直ビームサイズとビーム軸回転角を1Hzで測定するため、MicroTCAベースの汎用画像処理システムを新たに開発した。MicroTCAは高速シリアルインターフェースを持つスイッチベースの堅固なモジュラー型プラットフォームで、PCと比べて省スペースで拡張性に優れるといった長所をもつ。新システムは、いずれも市販品であるプロセッサカード、CameraLink FMC(FPGA Mezzanine Card)とFMCスロット付きSpartan6 FPGAカードを使用し、CameraLink IPコア、Linux用ドライバおよびライブラリを新規に開発することで構築した。現行システムで使用している独自ソフトウェアは保守性に優れないため、新システムでは現在開発中のSPring-8次期標準制御フレームワークであるMADOCA IIを用いてソフトウェアを設計した。中央制御室からのカメラ制御、2次元干渉縞のライブビュー機能を整備し、専用プロセッサカードを追加した分散処理によるビームサイズと回転角の1Hz同期計測を実現する。 |
加速器技術(真空)/光源加速器3 (8月5日 豊田講堂ホール) | |
14:50 - 15:10 | |
MOOT12 p.246 [Slides] | 超高真空下におけるチタン材料の光刺激ガス脱離 Photo Stimulated Desorption of Titanium Material under ultra-high vacuum ○山本 将博,宮島 司,本田 洋介,内山 隆司(高エネ研),栗巣 普揮(山口大),小林 正典(高エネ研) ○Masahiro Yamamoto, Tsukasa Miyajima, Yosuke Honda, Takashi Uchiyama (KEK), Hiroki Kurisu (Yamaguchi Univ.), Masanori Kobayashi (KEK) KEKではERL用電子銃を開発中であるが、10^-10 Paの極高真空が必要であることから、超低ガス放出のチタン材料を適用している。当該電子銃はフォトカソードであることから、光照射しても放出ガスが少ないことが求められる。今回は、種々の表面処理したチタン材料の光照射下でのガス脱離特性(光刺激ガス脱離)を10^-8 Paの超高真空下で調べることを目的とした。 測定試料として未処理・バフ研磨処理・精密化学研磨処理したJIS2種チタンを準備した。光刺激ガス脱離の測定には、山口大学の昇温脱離ガス分析装置の試料室部を改造した光刺激ガス脱離測定装置を用いた。実験は、装置部120 ℃,試料100℃×18 hrs真空ベーキングを行った。自然冷却し1×10^-8 Paに到達させた後、Xeランプ光を照射し光刺激脱離量を四重極質量分析計で測定した。 未処理試料とバフ研磨処理したチタンの光刺激ガス脱離量は同等であった。一方、精密化学研磨処理したチタンの光刺激ガス脱量は、全てのガス種において、未処理試料よりも1/10~1/2に低減されていることがわかった。これは、精密化学研磨処理を施すことで、吸着サイト(主に化学吸着サイト)となる表面の凹凸が低減できたことによると考えられる。以上より、光刺激ガス脱離量を低減する表面処理方法として精密化学研磨が有効であると言える。発表では、種々の表面処理したチタン材料の光刺激脱離量に対する光波長依存性の結果も報告し議論する予定である。 |
15:10 - 15:30 | |
MOOT13 p.249 [Slides] | compact ERL 入射器のコミッショニング運転 Commissioning operation of the compact ERL injector ○宮島 司(高エネ研) ○Tsukasa Miyajima (KEK) KEKでは次世代光源加速器としてエネルギー回収型線形加速器(Energy Recovery Linac)を用いた放射光源の設計が進められている。ERLでは高輝度かつ大電流の電子ビームを安定に供給するための電子銃や、超伝導加速空洞等の鍵となる開発要素があり、ERLを用いた大型の放射光源を建設する前に、これらを実証していくことが重要である。そのための実証機としてcompact ERL(cERL)加速器の建設がKEKのERL開発棟内で進められている。cERLの建設は2つの段階で進められており、その最初の段階として2013年4月にcERL入射器の建設が完了し、ビーム調整運転が4月22日から開始された。cERL 入射器はJAEAで開発された光陰極DC電子銃、バンチャー空洞、超伝導加速空洞、ビーム診断ラインによって構成される加速器であり、ERLに必要な大電荷かつ高輝度電子ビーム生成を実証することが目的である。ビームコミッショニングでは、電子銃で生成された390 keVビームを、超伝導加速空洞(2-cell, 3台)で5.6 MeVまで加速することに成功しており、2013年6月末の運転終了まで、ビーム調整法の確立、ビーム品質の測定試験、機器の安定度試験等を実施する予定である。cERL入射器運転の停止後の期間に周回部の建設を行い、2013年冬からERL全体でのビーム運転試験が予定されている。 本発表では、cERL入射器のビームコミッショニングの状況とこれまでに達成したビーム品質について紹介する。 |
15:30 - 15:50 | |
MOOT14 p.254 [Slides] | SACLA加速器構成機器の高度化状況 Improvements of the accelerator components at SACLA ○前坂 比呂和(理研 放射光科学総合研究センター) ○Hirokazu Maesaka (RIKEN SPring-8 Center) SACLAの最近の高度化についてハードウェアに関するものを中心に報告する。XFEL出力の増強と安定化のための課題として,(1)入射部の位相安定化・ビーム軌道安定化,(2)加速器のパルス繰り返しの高速化とトリップレートの低減,(3)アンジュレータの増設や磁場調整,などが挙げられる。まず,入射部においては,加速空胴の精密温度調整装置をACヒータによるPWM制御からDCヒータによる連続制御に改良したことにより,温度安定度の改善と,ヒータからの漏れ磁場による軌道変動を除去することができた。また,低電力RF機器の19インチラックに精密温度調整装置を導入して位相安定度を高めた。次に,Cバンド主加速部においては,供用開始当初の10pps運転から20pps運転に繰り返しを上げるとともに,高電圧モジュレータのサイラトロン自爆などのインターロックの見直し,加速管のコンディショニングによる放電頻度の低下,などによりトリップレートを低減した。その次に,アンジュレータ部分においては,アンジュレータを1台増設し,既設のアンジュレータの磁場の測定と調整をおこない,光源性能を高めた。以上の高度化により,1年前に比べて安定度が向上して精密なビーム調整が可能となり,10keVで平均250μJ程度だったFEL強度が350μJ以上で安定に運転できるようになるなどの改善をすることができた。 |
15:50 - 16:10 | |
MOOT15 p.259 [Slides] | SACLAにおける極紫外線FEL整備計画 Construction project of an EUV-FEL in SACLA ○稲垣 隆宏(理研 放射光科学総合研究センター) ○Takahiro Inagaki (RIKEN SPring-8 Center) XFEL施設SACLAのプロトタイプ機であるSCSS試験加速器を、SACLAアンジュレータホールに移設・拡張して、極紫外~軟X線波長域のFELマシンとする計画を進めている。2005年に建設されたSCSS試験加速器は、電子エネルギー250 MeVにて波長50~60 nmのFELを生成し、利用実験に供されてきた。7年半の運転を経て、SASE発振の実証、 FEL利用技術のR&D, HHGシード化の実証試験という目的を達成し、本年5月にSCSS試験加速器としての運転を終了した。加速器およびアンジュレータは、来年度を目処にSACLAアンジュレータホール内のBL1ビームライン上流部に移設される。移設した加速器の下流にCバンド加速器1ユニットを追加し、まずは電子エネルギー400 MeVにて波長30~40 nmの極紫外FEL施設として運転を開始する予定である。将来的には、 約40 mのスペースにCバンド加速器を更に追加することにより、 電子ビームエネルギーを1.4 GeV程度まで増強し波長4ナノメートル以下の軟X線FELを生成することが可能である。本発表では、SCSS試験加速器のこれまでの総括と、移設・拡張による新たな極紫外線FEL計画の概要、および現在の準備状況について報告する。 |
16:10 - 16:30 | |
MOOT16 p.264 [Slides] | レーザCompton散乱ガンマ線ビーム源特性と偏光ガンマ線利用 Property of Laser Compton Scattering Gamma-ray Beam and Application ○宮本 修治,天野 壯,橋本 智,松本 卓也,小林 花綸,望月 孝晏,寺澤 倫孝,坂井 信彦(兵庫県立大高度研),小泉 昭久(兵庫県立大物質理学),関岡 嗣久(兵庫県立大工),宇都宮 弘章,山県 民穂,秋宗 秀俊(甲南大学),嶋 達志,高久 圭二(阪大核物センター),早川 岳人,静間 俊行(原子力機構),今崎 一夫,李 大治,井澤 靖和(レーザー総研),堀 史説,岩瀬 彰宏(大阪府立大工),浅野 芳裕(理研),皆川 康幸,竹村 育浩,濱田 洋輔,伊達 伸,大熊 春夫(高輝度センター) ○Shuji Miyamoto, Sho Amano, Satoshi Hashimoto, Takuya Matsumoto, Karin Kobayashi, Takayasu Mochizuki, Michitaka Terasawa, Nobuhiko Sakai (LASTI, Univ. of Hyogo), Akihisa Koizumi (School of MS, Univ. of Hyogo), Tsuguhisa Sekioka (School of E, Univ. of Hyogo), Hiroaki Utsunomiya, Tamio Yamagata, Hidetoshi Akimune (Konan Univ.), Tatsushi Shima, Keiji Takahisa (RCNP), Takehito Hayakawa, Toshiyuki Shizuma (JAEA), Kazuo Imasaki, Dazhi Li, Yasukazu Izawa (ILT), Fuminobu Hori, Akihiro Iwase (Osaka Pref. Univ.), Yoshihiro Asano (RIKEN), Yashuyuki Minagawa, Yasuhiro Takemura, Yousuke Hamada, Shin Date, Haruo Ohkuma (JASRI(SPring-8)) NewSUBARU放射光施設に設置したガンマ線ビームラインは、300mA/1.0-1.5GeVの電子ビームと各種波長レーザとの散乱により、1.7MeVから76MeVの準単色ガンマ線ビームを発生できる。現在、1.5m角のガンマ線照射ハッチ1と2.4m×4mのハッチ2(GACKO)で利用実験が可能で、核物理実験、磁気コンプトン散乱実験、対生成陽電子利用、ガンマ線イメージング実験などに利用している。 本講演では、最近のガンマ線ビーム特性評価と、偏光ガンマ線による光核反応計測に関して報告する。 |
加速器技術(電磁石)/加速器応用・産業利用2 (8月5日 シンポジオン会議室) | |
14:50 - 15:10 | |
MOOS12 p.268 [Slides] | 加速器電源における省エネと安定化対策 Saving Energy and Stabilization for Accelerator Power Supply ○佐藤 皓(高エネ研) ○Hikaru Sato (KEK) 加速器電磁石は膨大な電力を消費する。特にJ-PARCなど巨大科学実験においては顕著であり、実験遂行にも影響を与えかねない。基礎科学だから許されようという考えは、3.11震災を経験して以後は受け入れがたいものになっている。筆者は以前からエネルギー貯蔵装置による電磁石電源の安定化を提案していたが、そこに省エネルギーの観点も取り入れたシステムのあり方について述べたい。再生可能エネルギー利用やエネルギー貯蔵装置の実証状況を概観しつつ、J-PARC-MR電磁石電源や粒子線治療加速器を例にとり、またILCまで展望した議論を提起する。 |
15:10 - 15:30 | |
MOOS13 p.272 [Slides] | J-PARC主リングにおける補償用キッカー電磁石試験機の特性試験 Measurement of a Prototype Compensation Kicker Magnet in J-PARC Main Ring ○福岡 翔太(筑波大学),松本 浩,石井 恒次,樊 寬軍,杉本 拓也(高エネルギー加速器研究機構) ○Shota Fukuoka (University of Tsukuba), Hiroshi Matsumoto, Koji Ishii, Kuanjun Fan, Takuya Sugimoto (KEK) J-PARC 主リングの入射キッカー電磁石の励磁電流パルスには立ち下がり部分にテール磁場が存在する。このテール磁場がハイパワー運転時のビーム損失に繋がるClothed Orbit Distribution (COD) の増加を引き起こしている。これを補正するために、速い立ち上がりのキッカー電磁石システムを開発している。パルス電源でテール磁場の波形を再現し、蹴られたビームバンチのみを逆方向にキックすることで軌道を補正する。電磁石には広帯域を得るために分布定数型を採用した。電磁石は真空中で動作するため、1枚のコアの厚みを10mmまで薄くでき、コイルの1セル辺りのインダクタンスは10nHになる。また、インピーダンス整合を取るために各セルに100pFのセラミックコンデンサを接続する。試験機を作成し、パルス応答等の特性試験を行った。電気回路シミュレーションではパルス応答の上限は10nsecであるが、測定結果は50nsecであった。この不一致の原因究明のためのさらなる追試験を行った。本論文では、電磁石設計と試験結果の詳細を報告する。 |
15:30 - 15:50 | |
MOOS14 p.276 [Slides] | 3次元らせん軌道ビーム入射のためのパルス状磁場発生装置の開発 Development of a pulsed radial field kicker for a spiral injection beam ○飯沼 裕美,佐々木 憲一,中山 久義,三増 俊広,三部 勉(KEK),阿部 充志(日立・日立研) ○Hiromi Iinuma, Ken'ichi Sasaki, Hisayoshi Nakayama, Toshihiro Mimashi, Tsutomu Mibe (KEK), Mitsushi Abe (Hitachi) 新しい方式のミューオン異常磁気モーメントと電気双極子の超精密測定実験がJ-PARCで計画されている。実験は、MLF の大強度ミューオン源から300MeV/c のミューオンビームを作り、中心磁場3T、半径33.3cm の円軌道に蓄積し、ミューオンスピン歳差運動の角速度を精密測定する。実験の要請は、(a) ビーム蓄積磁場の均一度0.5ppm、(b) ビームエミッタンス数10μm 程度である。これらを満足するために、ソレノイド磁石への3 次元らせん軌道入射を新たに考案した。 この方式は、ビームをフリンジ部に入射し、磁場に従って蓄積領域まで誘導し、垂直キックを与えて軸方向の運動を止め、平面内の周回軌道にビームを保持する。ビーム蓄積領域とビーム入射部分はソレノイド軸方向に距離を取り、蓄積領域の磁場制御を効果的に行いつつ、入射部と蓄積部を滑らかにつなぐ一体型構造にして入射部でのビームエミッタンス増加の最小限に抑えるようにする。垂直キックの時間スケールは半周期200 ナノ秒程度のサイン形状のパルス磁場にする。ミューオンの円軌道の周期は7.2 ナノ秒なので1 回のキックの間に30 周回する。よって、磁場の空間分布形状は、ソレノイド軸対称が望ましい。 本発表では、3 次元らせん軌道入射方式の概要と蓄積ソレノイド磁石の概念設計を紹介し、垂直キックためのパルス状の磁場発生装置の試作と磁場の空間・時間分布の測定結果を報告する。 |
15:50 - 16:10 | |
MOOS15 p.281 | 陽子線がん治療システム用超伝導AVFサイクロトロンの基本設計 Basic design of a superconducting AVF cyclotron for proton therapy system ○筒井 裕士,密本 俊典,戸内 豊,上田 隆正,宇野 浩一,渡澤 恵一,矢島 暁,橋本 篤,三上 行雄,三堀 仁志,吉田 潤,湯本 健太(住友重機械) ○Hiroshi Tsutsui, Toshinori Mitsumoto, Yutaka Touchi, Takamasa Ueda, Kouichi Uno, Keiichi Watazawa, Satoru Yajima, Atsushi Hashimoto, Yukio Mikami, Hitoshi Mitsubori, Jun Yoshida, Kenta Yumoto (SHI) サイクロトロンは、シンクロトロンやFMサイクロトロン、FFAGなどと比べて引き出されたビーム電流が安定しており、粒子線治療で最近使われ始めているスキャニング照射に適している。弊社は1990年代に陽子線治療用に重量200トンの常伝導AVFサイクロトロンP235を開発したが、治療システムのさらなる高度化、省スペース化、低コスト化のために重量60トンの超伝導AVFサイクロトロンを今回新たに設計した。ビーム軌道安定性を損なわずに小型化するためにヒルのギャップをできるだけ小さくした。ビーム引き出し半径付近に加速空洞を一台付け加えることによって、ターンセパレーションを大きくし引出効率が高くなるようにした。引き出されたビームの発散を防ぐためにディー電極中に磁気チャンネルを内蔵した。周回ビームや引き出しビームの分布を良好にするために磁場の2回対称性を持たせた。NbTi線を使った超伝導コイルは4K GMクライオ冷凍機によって伝導冷却される。 |
16:10 - 16:30 | |
MOOS16 p.285 | いばらき中性子医療研究センターにおける加速器BNCT施設の建設(中間報告) Construction of Accelerator-based BNCT facility at Ibaraki Neutron Medical Research Center (Interim Report) ○吉岡 正和,栗原 俊一,小林 仁,松本 浩,松本 教之(高エネルギー加速器研究機構),熊田 博明,櫻井 英幸,松村 明(筑波大),菅野 東明,柱野 竜臣(三菱重工),中島 宏,中村 剛実(日本原子力研究機構),鬼柳 善明,平賀 富士男(北海道大学),大場 俊幸,岡崎 浩二(日本アドバンストテクノロジー) ○Masakazu Yoshioka, Toshikazu Kurihara, Hitoshi Kobayashi, Hiroshi Matsumoto, Noriyuki Matsumoto (KEK), Hiroaki Kumada, Hideyuki Sakurai, Akira Matsumura (Tsukuba University), Toumei Sugano, Tatsuomi Hashirano (MHI), Hiroshi Nakashima, Takemi Nakamura (JAEA), Yoshiaki Kiyanagi, Fujio Hiraga (HOKKAIDO UNIV), Toshiyuki Ohba, Koji Okazaki (NAT) 茨城県はいばらき量子ビーム研究センター南側にいばらき中性子医療研究センター建屋を整備した。その中にビームパワー80kWの大電流陽子リニアック(エネルギー8MeV、平均電流10mA)をベースとするBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)施設を建設している。本計画は筑波大、KEK、北大、JAEAが三菱重工を始め多くの企業の協力を得、また茨城県も含め産官学連携事業である。リニアックは50kVイオン源、3MeV-RFQ、DTLの構成、ビームは加速器室隣の照射室に導かれ、ベリリウム標的により中性子を生成する。中性子エネルギーは6MeV以下で、モデレーター、コリメーターにより0.5eV~10keVの十分な強度の熱外中性子に減速し患者に照射する。本施設技術選択は標的周辺の残留放射線レベルや放射化物生成を少なくし病院併設に相応しい施設を最優先とした。そのトレードオフである標的の高密度熱負荷除去と、標的部のBlisteringについて開発中である。また高デューティーリニアックも技術課題で、加速管の調整は最終段階で、今年度中にクライストロン、変調電源、冷却水システム等も含めた総合試験運転を開始、来年度は本格的ビーム調整運転に移行する。本施設は二次粒子を患者に照射するもので、それに相応しい全体制御システムの構築も重要課題である。なお加速管やクライストロンなどのRF設計においてはJ-PARC入射器のフロントエンド部をベースとし、また同・入射器グループからは多くの貴重な助言も得ている。 |
学会賞受賞講演 (8月5日 豊田講堂ホール) | |
16:40 - 17:00 | |
MOOTA1 p.290 [Slides] | 電解研磨(EP)後に生じるNb空洞内のシミの問題 Problem of a stain at inside of Nb cavity after Electro-Polishing (EP) ○沢辺 元明(高エネルギー加速器研究機構) ○Motoaki Sawabe (High Energy Accelerator Research Organization) EP後のNb空洞内部にいくつかの茶色いシミが検出された。これらは空洞内検査用カメラの性能が向上したために検出されたものである。他所でEPされたNb空洞内部からも同様なシミが検出されている。このシミの原因を調べるため、ニオブサンプル板を用いて様々な実験を試みた。まずは同様なシミを作成することからである。そして作成したシミの元素分析を行った。その結果、このシミはニオブ表面にできたフッ素と酸素からなる皮膜であることがわかった。またこのシミの発生原因は一次洗浄時に生ずるフッ化水素ガスと水蒸気であることが判明した。これらの研究結果からシミを防止する洗浄方法を確立した。 |
17:00 - 17:20 | |
MOOTA2 p.294 | 高速重イオンビームのためのガス荷電変換装置の開発 Development of gas charge stripper for intense heavy ion beam ○今尾 浩士,奥野 広樹,久保木 浩功(理化学研究所) ○Hiroshi Imao, Hiroki Okuno, Hironori Kuboki (RIKEN) 我々のグループでは大強度重元素イオンビーム加速の新要素技術として、厚いガスを用いた荷電ストリッパーの開発を行って来た。RIBFでは11MeV/uと51MeV/uで2回の荷電変換を行っているが、従来用いてきた固体荷電変換膜の耐久性が大強度化の原理的ボトルネックであり、これは米国FRIB 計画等を含む、次世代RI生成施設の共通問題でもあった。ガスは耐久性、安定性等に優れているが、平衡電荷が固体に比べて低いという弱点もある。開発当初の命題は「最適ガス種は何か?」という事であり、入射イオン種、エネルギー、必要価数、ビーム品質、蓄積性、取扱性等の様々な要素で決まる。我々は実際にウラン等の高速ビームを用い、いくつかのガスの基礎データを取得し、低い平衡電荷を補える「低原子数ガス」の有用性をいち早く見出した。その真空中への窓なし蓄積が次なる命題であったが、大規模差動排気技術におけるいくつかのブレークスルーがあり、蓄積可能なガス量が飛 躍的に増大した。 2012年にはウランビーム加速の為の11MeV/u「ヘリウムガスストリッパー」の実装に世界で初めて成功し、その耐久性、安定性が実証され、ビームの大強 度化に大きな貢献をしている。更に2013年にはXeビーム加速の為の 51 MeV/u「空気ストリッパー」が実装され、初めてガスのみでの2回荷電変換も実現された。講演では開発現状と将来についても述べる。 |
施設現状報告ポスター常設展示 (8月3日-4日 豊田講堂2階ロビー) | |
13:00 - 15:00 | |
SSFP01 p.299 | UVSOR施設の現状 Status of UVSOR Facility ○加藤 政博,許斐 太郎,山崎 潤一郎,林 憲志(分子研UVSOR) ○Masahiro Katoh, Taro Konomi, Jun-ichiro Yamazaki, Kenji Hayashi (UVSOR) 分子科学研究所の小型放射光施設UVSORは1983年のファーストライトから、今年で30年目を迎える。2003年、2012年を中心に加速器の改造を実施し、これに合わせ加速器の呼称もUVSOR-II、UVSOR-IIIと改めた。UVSOR-IIIはビーム電流値300mAでトップアップ運転され、周長50mのリングに6台のアンジュレータが設置されている。電子ビームエミッタンスは約17nm-radで運転されており、電子エネルギー1GeV以下のリングでは世界最高水準の高輝度光源である。放射光ビームラインは15本が稼働しており、テラヘルツ波から軟X線までの比較的低エネルギー領域の放射光が分子科学、物質科学、材料科学をはじめとする幅広い分野で利用されている。共振器型自由電子レーザーや外部レーザーを利用したコヒーレント放射光発生、レーザーコンプトン散乱ガンマ線発生などの光源開発研究も活発に行われている。UVSOR施設の最新の状況について報告する。 |
13:00 - 15:00 | |
SSFP02 p.302 | 大型放射光施設SPring-8加速器の現状 Status of the SPring-8 Accelerators ○高雄 勝,for 加速器部門((公財)高輝度光科学研究センター) ○Masaru Takao, For Accelerator Div. (JASRI/SPring-8) 2012年度の利用運転状況は、計画利用運転時間4200時間に対し、実績4155時間38分、利用率98.94 %であった。順調に運転されていたが、大きなトラブルとしてRFクライストロン電源故障があった。保護抵抗の抵抗値が劣化により高くなっていたため冷却油温度高となり、所定の電圧が掛けられなくなったものである。トラブル解決までの加速器運転の対応について報告する。 加速器の性能改善として、輝度向上を目指した蓄積リング低エミッタンスオプティクスの調整を行ってきたが、2013年5月より利用運転への適用を開始した。低エミッタンスオプティクスの運転状況について、従来のオプティクスと比較しながら報告する。 SPring-8では、積分輝度向上、光源強度一定化のため利用運転中も随時ビーム入射を行うトップアップ運転が行われている。線形加速器は、隣接するNewSUBARU(1-1.5 GeV光源リング)へもビーム入射を行っており、timing系やswitching magnetを20~30秒間隔で切り替えてSPring-8とNewSUBARUにビーム入射を行ってきた。これをACパルス化することで双方向1 Hz入射が可能となり、2013年6月より実運用を開始した。これにより高輝度化やバンチ電流値増強などによりビーム寿命が短くなった場合、十分な入射頻度を確保して蓄積電流値の安定度を損なわず対応できることとなった。 |
13:00 - 15:00 | |
SSFP03 p.307 | 原子力機構-東海タンデム加速器の現状 Status of JAEA-Tokai Tandem Accelerator ○松田 誠(原子力機構) ○Makoto Matsuda (JAEA) 2012年度の加速器の運転は2度のマシンタイム期間で行われ、運転日数は113日であった。運転日数が大幅に減ったのは、3.11の大地震によって被害を受けた加速器建家の補修を11月から2月まで実施したことによる。最高運転電圧は18MVで9日間の利用があった。利用されたイオン種は16元素(19核種)であり、C分子イオンも加速された。また、132Xeと12Cを同時に試料に照射するデュアルビーム加速を実現した。高電圧端子内に設置されたECRイオン源からのビーム利用が多く全体の48%をしめた。超伝導ブースターは4日間運転され、現在は予算削減のため休止状態となっている。 主な整備事項では、昨年度交換を完了しなかったひびの入った残りの加速器の絶縁カラムを支えるセラミクスポストの交換を実施した。最終的には、240本中38本にひびが生じており、完全に破断した物は4個であった。 原子力機構としては福島復興のために資源の再編成がおこなわれ、原子力機構-東海タンデム加速器は大幅な予算削減を強いられている。2012年度からは運転費は利用者の負担によって実施されることとなった。このような状況ではあるが、大型静電加速器としての特徴を活かすべくビーム開発を実施しているところである。 |
13:00 - 15:00 | |
SSFP04 p.310 | 九州大学加速器・ビーム応用科学センターにおける8MVタンデム加速器建設計画の現状 Construction of an 8MV tandem accelerator at Kyushu University - Present status report 野呂 哲夫,○寺西 高,牛尾 国久,林 慶大,若狭 智嗣,藤田 訓裕,坂口 聡志,森田 浩介,相良 建至(九大理),池田 伸夫,米村 祐次郎,有馬 秀彦,石橋 健二,魚住 裕介,執行 信寛(九大工),冨増 多喜夫(九大加速器・ビーム応用科学センター),森 義治(京大原子炉) Tetsuo Noro, ○Takashi Teranishi, Kunihisa Ushio, Michihiro Hayashi, Tomotsugu Wakasa, Kunihiro Fujita, Satoshi Sakaguchi, Kosuke Morita, Kenshi Sagara, Nobuo Ikeda, Yujiro Yonemura, Hidehiko Arima, Kenji Ishibashi, Yusuke Uozumi, Nobuhiro Shigyo, Takio Tomimasu (Kyusyu Univ.), Yoshiharu Mori (Kyoto Univ.) 九州大学加速器・ビーム科学応用センターでは8MVのタンデム型静電加速器を京都大学理学部から移設してFFAG加速器への入射器として利用する計画を進めている。また、このタンデム加速器は単独で低エネルギー実験やAMSのためにも用いられる予定である。 2011年度に京都大学における加速器解体と九大への移送作業が行われ、2012年度に加速器本体・入射ビームライン・イオン源の組み立てが行われた。今後、実験室整備のための建屋拡張工事が行われ、2014年度からビーム加速テストが開始される予定である。 本発表では建設作業の現状と加速器施設の利用計画の概要を報告する。 |
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SSFP05 p.313 | J-PARCリニアックの現状 Present stats of the J-PARC linac ○小栗 英知(J-PARCセンター) ○Hidetomo Oguri (J-PARC center) J-PARCリニアックでは現在、ビームユーザに対するビーム利用運転を行うとともに、これと並行してビームパワー増強計画を進めている。ここ1年間のビーム利用運転では、リニアックは深刻なトラブルは無く比較的安定に動作している。ビーム電流については、今までは17mAで運転していたが、現在では約19mAを基本としている。ビーム電流増加の影響でイオン源のフィラメントが運転中に一度断線したが、これにより断線の予兆や寿命に関する知見が得られた。DTL(Drift Tube Linac)2号機用のクライストロンの放電頻度が上昇したため、ビーム利用運転後の1日間のメンテナンス時に新品と交換して対処した。ロシアINRと共同で開発したバンチシェープモニタについては、現在、リニアックの181MeVビームを使って動作試験を行っている。リニアックビーム増強計画においては、電流を50mA、エネルギーを400MeVにそれぞれ増強する。50mA対応のイオン源は高周波駆動型を採用する予定で、現在、試作器にて60mA 以上のビーム電流を確認している。50mA対応のRFQ(Radio Frequency Quadrupole)リニアックは、平成24年度末に製作を終え、現在、専用テストスタンドによるビーム加速試験の準備中である。400MeV加速を行うACS 空洞も平成24年度末に量産を終え、現在、ハイパワー試験の準備を進めている。本学会では、ビーム利用運転におけるいくつかのトピックスとビーム増強計画の進捗状況について報告する。 |
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SSFP06 p.318 | 小型線形加速器LEENAにおけるテラヘルツ光源開発 Development of Terahertz Light Sources at Linear Accelerator LEENA ○橋本 智,陳 彩華,川田 健二(兵庫県立大高度研),李 大治(レーザー総研),天野 壮,宮本 修治(兵庫県立大高度研) ○Satoshi Hashimoto, Sayaka Chin, Kenji Kawata (LASTI, Univ. of Hyogo), Dazhi Li (Inst. of Laser Tech.), Sho Amano, Shuji Miyamoto (LASTI, Univ. of Hyogo) 兵庫県立大学ニュースバル放射光施設内にある小型線形加速器LEENAは現在、15MeV相対論的電子ビームを用いた広帯域(0.1-10THz)、波長可変、高ピークパワーのテラヘルツ光源の開発およびその産業利用を目指して、加速器の改修を行なっている。テラヘルツ光源としてシンクロトロン放射光の他に、Smith-Purcell放射の観測に成功した。SP光の放射角度依存性を計測し、理論値とよく一致することを確認した。またMartin-Puplett干渉計を構築し、SP光スペクトルを計測した。0.11-0.17THz帯の検出器で計測したSP光の強度は数μワット程度であったが、これは電子ビームバンチ長(~30ps)がテラヘルツ光の波長よりも長く、インコヒーレント光であるためである。既設のアルファ電磁石による短バンチ化により数桁強度の高いコヒーレント光の発生が可能になるが、いくつかの不具合(電子ビームの発散、電子銃熱陰極の据付時の歪み)があったために、短バンチ化が不十分であった。これらの問題の改善を図りつつ、コヒーレント光発生を目指している。コヒーレントSP光は電子ビームのバンチ長によって放射角度分布が異なる為、電子ビームのバンチ長モニターとしても期待できる。今後のバンチ長計測実験に向けて数値シミュレーションを行った。平成25年度は、新ソレノイドコイルによるビーム輸送の改善、短バンチ化によるコヒーレント光の発生、およびテラヘルツ光ビームラインの建設を予定している。 |
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SSFP07 p.321 | ニュースバル放射光施設 NewSUBARU Synchrotron Radiation Facility ○宮本 修治,庄司 善彦,橋本 智,天野 壯(兵庫県立大高度研),皆川 康幸,竹村 育浩,濱田 洋輔,松下 智裕,大熊 春夫(高輝度センター) ○Shuji Miyamoto, Yoshihiko Shoji, Satoshi Hashimoto, Sho Amano (LASTI, Univ. of Hyogo), Yasuyuki Minagawa, Yasuhiro Takemura, Yousuke Hamada, Tomohiro Matsushita, Haruo Ohkuma (JASRI) ニュースバル放射光施設は、SPring-8電子線形加速器からの電子を入射し、1GeV / 300mAでのTopUp運転で電流安定度+-0.1%で運転している。週1日あるいは2日のスケジュールされた運転では、350mA / 1.5GeVまで加速する、高エネルギー電流減衰モードとなる。放射光の利用には、9本のビームラインが稼働中で、そのうち1本は、レーザCompton 散乱ガンマ線ビームラインで、1.7MeVから76MeVの準単色、偏光ガンマ線源として利用可能である。 これに加えて、施設内に5-15MeVの小型線形加速器を併設しており、遠赤外からTHz領域の光源として、利用ビームラインを準備中である。 |
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SSFP08 p.325 | HIMAC加速器の現状報告 Present status of HIMAC ○片桐 健,水島 康太,古川 卓司,佐藤 眞二,村松 正幸,鈴木 伸司,岩田 佳之,白井 敏之,高田 栄一,野田 耕司(放射線医学総合研究所),影山 雄生,川島 祐洋,小林 泉,佐野 悦信(加速器エンジニアリング(株)) ○Ken Katagiri, Kota Mizushima, Takuji Furukawa, Shinji Sato, Masayuki Muramatsu, Shinji Suzuki, Yoshiyuki Iwata, Toshiyuki Shirai, Eiichi Takada, Koji Noda (NIRS), Yuhsei Kageyama, Masahiro Kawashima, Izumi Kobayashi, Yoshinobu Sano (AEC) 放射線医学総合研究所でのHIMAC加速器による重粒子線がん治療は,1994年の開始から今年で19年目を迎え,8000人以上もの患者に治療が適用されてきた.これまでの拡大ビーム法による治療に加えて,複雑な腫瘍形状や治療期間中における腫瘍患部の形状/大きさの変化に柔軟な対応が可能となる,3次元スキャニング照射法による臨床治療が2011年5月に開始された.現在,この3次元スキャニング照射法のさらなる高精度化を目指して,呼吸同期システムの開発,超伝導回転ガントリーの設計開発が行われている.これらの新たな照射技術に対応するためのHIMAC加速器のR&Dとして,200段階にも及ぶ可変エネルギー運転/ビーム取り出し法の開発,取り出しビームスピルのリップル除去システムの開発等が行われている.本発表では,これらのHIMAC加速器に関連したR&Dを紹介すると共に,運用の現状を報告する. |
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SSFP09 p.328 | 理研重イオンリニアックの現状報告 Present Status of RILAC ○池沢 英二(理研仁科加速器研究センター),大木 智則,藍原 利光,山内 啓資,小山田 和幸,田村 匡史,遊佐 陽(住重加速器サービス株式会社),内山 暁仁,渡邉 裕,加瀬 昌之,上垣外 修一(理研仁科加速器研究センター) ○Eiji Ikezawa (RIKEN Nishina Center), Tomonori Ohki, Toshimitsu Aihara, Hiromoto Yamauchi, Kazuyuki Oyamada, Masashi Tamura, Akira Yusa (SHI Accelerator Service Ltd.), Akito Uchiyama, Yutaka Watanabe, Masayuki Kase, Osamu Kamigaito (RIKEN Nishina Center) 理研仁科加速器研究センターの理研重イオンリニアック(RILAC)は、周波数可変型線形加速器であり、前段入射器のFC-RFQ、主加速器のRILAC、ブースターのCSM、及び18GHz-ECRイオン源で構成されている。最大加速エネルギーは、5.8 MeV/nucleonである。 1981年に単独運転での各種実験へのビーム供与を開始した。この加速器は、これまでに様々な改良をするとともに、老朽化対策を実施し、33年目となる今日まで、この加速器を最上の状態に維持し続けてビーム供与している。 単独運転としては、主としてリニアック実験室のe3実験ラインで超重元素探索関連の実験が2002年からに行われている。2012年8月には、この実験において113番元素の3例目の合成に成功した。我々はこの実験のために毎1500~5000時間程度、ビームを供与してきた。 入射運転としては、後段の理研リングサイクロトロン(RRC)のための入射器としての運転を1986年から行っている。また、超伝導リングサイクロトロン(SRC)などで構成される理研RIビームファクトリー(RIBF)の複合加速器ための入射器としての運転を2006年から行っている。 本発表では、RILACの現状報告として、入射運転状況、超重元素探索実験における単独運転状況、及び老朽化対策状況などついて報告する。 |
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SSFP10 p.331 | 産総研Sバンド小型リニアック施設の現状 Present status of S-band compact linac facility at AIST ○黒田 隆之助,平 義隆(産総研),立花 充章(早大),安本 正人,田中 真人,池浦 宏美,三浦 永祐,豊川 弘之,山田 家和勝(産総研) ○Ryunosuke Kuroda, Yoshitaka Taira (AIST), Mitsuaki Tachibana (Waseda Univ.), Masato Yasumoto, Masahito Tanaka, Hiromi Ikeura, Eisuke Miura, Hiroyuki Toyokawa, Kawakatsu Yamada (AIST) 産総研では、Cs-TeフォトカソードRF電子銃を入射器に持つSバンド小型リニアック施設を用いて超短パルス電子ビームを生成し、レーザーコンプトン散乱X線源の開発、コヒーレント・テラヘルツ光源の開発、及び陽電子消滅分光システムの開発等を行っている。本年会では、施設の現状について報告する。 |
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SSFP11 p.334 | 京都大学中赤外自由電子レーザの現状 Present Status of Kyoto University Free Electron Laser ○全 炳俊,犬飼 元晴,栂村 勇輔,奥村 健祐,三島 健太,KONSTANTIN TORGASIN ,NEGM HANI ,OMER MOHAMED ,吉田 恭平,高見 清,紀井 俊輝,増田 開,大垣 英明(京大エネ研) ○Heishun Zen, Motoharu Inukai, Yuusuke Tsugamura, Kensuke Okumura, Kenta Mishima, Torgasin Konstantin, Hani Negm, Mohamed Omer, Kyohei Yoshida, Kiyoshi Takami, Toshiteru Kii, Kai Masuda, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto University) 京都大学エネルギー理工学研究所では、エネルギー材料研究への応用を主な対象とし、S-band熱陰極高周波電子銃を電子源とした小型で経済的な中赤外自由電子レーザ(MIR-FEL)を開発し、中赤外波長可変レーザの発生とその利用研究を行っている。本報告では、FEL加速器システムの現状、将来計画について報告する。 |
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SSFP12 p.338 | 京大炉中性子発生装置(電子ライナック)の現状 Status of KURRI-LINAC ○阿部 尚也,高橋 俊晴,窪田 卓見,堀 順一,佐藤 紘一,阪本 雅昭(京大原子炉) ○Naoya Abe, Toshiharu Takahashi, Takumi Kubota, Jun-ichi Hori, Koichi Sato, Masaaki Sakamoto (KURRI) 京大炉中性子発生装置(ライナック)の現状を報告する。初めにライナックの利用状況だが、昨年のライナックの運転時間は一昨年の運転時間を上回る2,114.6時間であり、3年ぶりに2,000時間を上回る運転時間を記録した。中性子・照射・放射光いずれの区分の実験も運転時間が増加した。また利用件数においては相乗り無しで60件、相乗りを含めると64件と運転時間と同様に一昨年を上回った。 次に新規の利用方法だが、共同利用者からの要望により通常より電子数の少ないビーム(~10^6n/cm2/s)の取り出しを試みた。ビームの取り出し方法は加速管にマイクロ波を導入する際に発生する暗電流を加速するもので、一定の成果を挙げることに成功した。 次に更新作業だが、一昨年のNo.2加速管後方のQマグネット設置に引き続いて、Qマグネット部及びQマグネット後方へのボタン電極配管設置が、産総研・清紀弘氏の支援の下に行われた。 最後にトラブルだが、No.2モデュレータの過電流によるマシン停止が発生した。過電流の原因はモデュレータPFNのコンデンサ内部の耐圧低下による放電であった。放電を起こしたコンデンサは1984年に行ったモデュレータ更新より使用し続けていたものであるため、根本的な原因は経年劣化であると考えられる。同じ使用条件のコンデンサが故障したものを含めて32個あり、故障の頻発が予想されるため、今後はコンデンサの全面交換が急務となる。 |
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SSFP13 p.341 | 筑波大学6 MVタンデム加速器システム導入計画の現状 Construction Status of the 6 MV Tandem Accelerator System at the University of Tsukuba ○笹 公和,石井 聡,大島 弘行,木村 博美,高橋 努,田島 義一,大和 良広,小松原 哲郎,関場 大一郎,喜多 英治(筑波大学 UTTAC) ○Kimikazu Sasa, Satoshi Ishii, Hiroyuki Oshima, Hiromi Kimura, Tsutomu Takahashi, Yoshikazu Tajima, Yoshihiro Yamato, Tetsuro Komatsubara, Daiichiro Sekiba, Eiji Kita (UTTAC, University of Tsukuba) 筑波大学UTTACでは、東日本大震災により損壊した12UDペレトロンタンデム加速器の更新装置として、6 MVタンデム加速器システムの導入準備を進めている。6 MVタンデム加速器システムの設計・開発と施設改修工事に約3年の期間を予定しており、加速器システムの完成は2014年9月を見込んでいる。現在、筑波大学UTTACでは、文部科学省「先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業」における「研究設備の刷新・高度化取組」に採択され、実験装置の刷新と高度化を推進している。6 MVタンデム加速器システムに装備される新たな実験装置群についても、その概要が確定した。6 MVタンデム加速器システムには、5台のイオン源が設置される。12UDペレトロンタンデム加速器に使用されていたラムシフト型偏極イオン源については、施設1階に新たに建設される実験棟に移設予定である。その他、炭素14年代測定用のCO2ガス導入型マルチカソードAMSイオン源などが導入される。ビームラインは既存の7本の他に、AMS測定システム、イオンビーム分析装置、汎用イオンビーム実験槽、マイクロビーム装置及び宇宙利用素子照射試験装置の5本のビームラインが新たに設置される。本報告では、6 MVタンデム加速器システム導入計画の現状と本加速器システムを用いた研究プロジェクトの概要について報告する。 |
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SSFP14 p.344 | 放医研サイクロトロン(NIRS-930、HM-18)の現状報告 Present status of cyclotrons (NIRS-930,HM-18) in NIRS ○北條 悟,片桐 健,中尾 政夫,杉浦 彰則,村松 正幸,野田 章,野田 耕司(放医研),岡田 高典,髙橋 勇一,込山 明仁,本間 壽廣(加速器エンジニアリング株式会社) ○Satoru Hojo, Ken Katagiri, Masao Nakao, Akinori Sugiura, Masayuki Muramatsu, Akira Noda, Kouji Noda (NIRS), Takanori Okada, Yuichi Takahashi, Akihito Komiyama, Toshihiro Honma (AEC) 放射線医学総合研究所(NIRS)にはNIRS-930サイクロトロン(K=110) とHM-18サイクロトロン(K=20)の2台のサイクロトロンがある。 NIRS-930は、分子イメージング研究のためのRI製造を主目的とし、検出器の開発、基礎物理研究、耐放射線性試験など、様々な目的で利用され年間運転時間は1936時間であった。特に、分子イメージング研究における金属RI製造のためのビーム供給においては、30 MeV陽子20 uAで10 時間の照射といったような高い強度での長時間の照射が要求される。そのため、ビーム高強度化を目指し垂直入射ビームラインの輸送効率の改善のため、入射ラインにビームビュアーを3台、ステアリングマグネットを2か所に追加した。さらに、入射ラインにビームアッテネータを導入し、迅速なビーム強度の制御が可能となった。また、NIRS-930サイクロトロンから取出されるビームをモニターするため、マグネティックチャンネル通過後のビーム軌道上にラディアルプローブを設置した。 HM-18は、エネルギー固定の負イオン加速で18 MeV 陽子と9MeV重陽子が供給可能である。PET診断用のRI製造専用に利用されており、年間運転時間は1823時間であった。 これら2台のサイクロトロンの運転状況と併せて機器の改良開発について報告する。 |
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SSFP15 p.347 | 東大ライナック・レーザー施設報告2013 Status report of Linac/Laser Facility of University of Tokyo in 2013 ○上坂 充,山下 真一,上田 徹,土橋 克広,藤原 健(東京大学大学院工学系研究科原子力専攻),田儀 和浩,武 文晶,劉 暢恒(東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻),草野 譲一,中村 直樹,山本 昌志,田辺 英二((株)アキュセラ) ○Mitsuru Uesaka, Shinichi Yamashita, Toru Ueda, Katsuhiro Dobashi, Takeshi Fujiwara (University of Tokyo, Nuclear Professional School), Kazuhiro Tagi, Wenjing Wu, Changheng Liu (University of Tokyo, Department of Nuclear Engineering and Management), Joichi Kusano, Naoki Nakamura, Masashi Yamamoto, Eiji Tanabe (Accuthera Inc.) Sバンドツインライナック・レーザー同期システムについては、フォトカソードRFガン用レーザードライバをErファイバーレーザーに更新した。中心波長780-790nm、オシレータでのパルス幅~120fs、3倍波では~100μJである。カソード(Na2KSb)のQEが上がったため、マルチパスアンプが1つで済むことになり、小型化が図れた。そのため、レーザー一式をライナック室の電子銃真横に置くことができた。このことにより、特にレーザーの角度の揺れによる電子ビームの横方向変動が格段に抑制される。4月に2nCのシングルバンチを計測した。これから放射線化学応用に供される。放射線生物分析用オンチップファイバーレーザー駆動誘電体加速器について、Ybレーザーを開発中である。発振器からパルスエネルギー1.6nJを得た後、増幅器に用いて数mJまで増幅させる。Silicaガラス製の2次元光共振器を設計中である。~70keVフォトカソードRFガン、X線ターゲット、ガスX線センサもオンチップで一体製作したい。950keVXバンドライナックX線源が、商用その場透視試験での運搬性・アクセス性を向上させるため、約40kgのX線源、マグネトロンの箱を20kgずつに分割している。秋から実用に入る。3.95MeVシステムは橋梁切り出し試料にて部分角度CT試験を実施中である。秋から土木研究所にて劣化大型切り出し試料にて野外試験を開始する。30MeVシステムは入射系を高出力用に改造して中性子源として活用する。 |
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SSFP16 p.351 | 広島大学放射光科学研究センター施設報告 Status report of Hiroshima Synchrotron Radiation Center, Hiroshima University ○宮本 篤,後藤 公徳,佐々木 茂美,谷口 雅樹(広大放射光センター) ○Atsushi Miyamoto, Kiminori Goto, Shigemi Sasaki, Masaki Taniguchi (HSRC) 広島大学放射光科学研究センターは、1996年に物質科学研究を推進するために設立され、昨年には共同利用・共同研究拠点に認定された。放射光源リングHiSORは、レーストラック型の小型蓄積リングであり、常伝導で2.7 Tを発生する偏向電磁石を有し、Ee=700 MeVでありながらkeV領域の光が利用可能であることが特徴である。また2本の直線部には、それぞれ直線偏光アンジュレータおよび2011年に導入された準周期型APPLE-IIアンジュレータが設置されている。 毎年夏期には長期停止期間中に定期点検を実施しているが、運転再開後の10月にクライオパネル配管からリークする真空トラブルが発生し、加えてビームライン側のビームシャッターからのリークも発生し、その回復には12月末までを要しユーザー利用も中断することとなった。その後利用は再開されたが、ビーム寿命の短命化によって実験ホール内に発生する放射線量の増大を抑制するために、最大蓄積電流を350mAから約250mAに制限した運転を行っている。 発表では、過去の運転実績等もあわせて報告する。 |
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SSFP17 p.355 | KEK電子陽電子入射器の現状 Present Status of the KEK Electron/Positron Injector Linac ○宮原 房史(KEK) ○Fusashi Miyahara (KEK) KEK電子陽電子入射器では8セクターのうち、下流側3セクターではDC電子銃からPF、PF-ARへのビーム入射を行い、2012年度は計5331時間の運転を行った。上流部では震災で損傷した架台の修復、強度増強を行い、SuperKEKBへのアップグレードのための電子銃やアライメントシステムの開発・試験を行ってきた。上流部ではこれまで使用してきた熱陰極DC電子銃をレーザーフォトカソードを用いたDisk and Washer型のRF電子銃と置き換え、2013年3月に震災後初めて最上流部から下流部まで0.1 nCのビーム輸送に成功した。また、レーザー安定化のための専用のハットを用意しYbファイバーレーザーシステムを開発し、導入した。バンチ電荷5 nC、20 mm mardの低エミッタンス電子ビームの輸送にはアライメントの許容誤差を考慮に入れてBPM分解能として10 μmが要求される事と、2バンチ(間隔96 ns)運転のBPM信号の読み出しが必要なため新しいシステムの開発を行っている。制御に関しては5つのリング(PF, PF-AR, DR, LER, HER)への同時入射のための開発・試験を行っている。陽電子生成部は標的、パルスソレノイド磁石(Flux Concentrator)の初期開発を終え、後続の大口径S-band加速管を含めた配置が決まり、夏から秋にかけて設置を予定している。 |
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SSFP18 p.360 | 京都大学原子炉実験所FFAG加速器の現状と将来 Current Status and Future Plans of FFAG Accelerators in KURRI ○石 禎浩,森 義治,上杉 智教,栗山 靖敏,ラグランジ ジェイビー,阪本 雅昭(京大原子炉),山川 恵美(原子力機構),酒井 泉,高畠 麻緒(福井大学) ○Yoshihiro Ishi, Yoshiharu Mori, Tomonori Uesugi, Yasutoshi Kuriyama, J-b Lagrange, Masaaki Sakamoto (KURRI), Emi Yamakawa (JAEA), Izumi Sakai, Mao Takabatake (Fukui Univ.) 現在京大原子炉では、FFAG加速器からのビームを用いて、加速器駆動未臨界システム(ADS)実験や材料照射実験が行われている。ADS実験ではFFAG加速器により100MeVまで加速された陽子ビームを京大臨界集合体(KUCA)内に設置されたタングステンターゲットに衝突させ、その際発生する核破砕中性子を用いて未臨界核燃料体系での核反応の基礎データ収集が行われている。また、材料照射実験では150MeVに加速された陽子ビームを用い、ビーム照射による材料物性特性への影響等の評価を行っている。今後、パルス中性子源としての利用を目指し、ビーム増強を実施中である。現在のビーム運転状況と増強計画の詳細とともに、今後のビーム利用の計画を報告する。 |
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SSFP19 p.363 | 群馬大学重粒子線医学センターの現状報告 Present Status of Gunma University Heavy Ion Medical Center ○想田 光,山田 聡,金井 達明,遊佐 顕,田代 睦,島田 博文,久保田 佳樹,松村 彰彦,齋藤 明登,鳥飼 幸太,藤本 哲也(群大重粒子センター),竹下 英里(神奈川県立がんセンター) ○Hikaru Souda, Satoru Yamada, Tatsuaki Kanai, Ken Yusa, Mutsumi Tashiro, Hirofumi Shimada, Yoshiki Kubota, Akihiko Matsumura, Akito Saito, Kota Torikai, Tetsuya Fujimoto (GHMC), Eri Takeshita (Kanagawa Cancer Center) 群馬大学重粒子線医学センターでは、普及型炭素線治療装置による最大400MeV/uの炭素ビームを用いて2010年3月から癌患者に対する治療照射を行い、2013年4月30日までに累計651名の治療を遂行した。また、2013年1月からは積層原体照射による治療を開始して適応症例を広げ、2013年度は年間治療人数450人を予定している。加速器の運転状況は、ビーム電流安定化のためにイオン源のガス流量および入射器のRFパワーの調整を必要としているが、おおむね安定した状態を保っている。イオン源においては、放医研と協力してテストベンチにおいて酸素エージングの効果を調査している。シンクロトロンにおいては、加速取り出しに伴う出射点での位置と角度の変動を抑制するよう、HEBT軌道測定を元に補正を行う[1]とともに、ビーム径を拡大することで狭いRF掃引幅で取り出し効率を向上する試験を行っている[2]。三菱電機及び放医研の協力も得て行っている第4照射室でのスキャニング照射については、ビームのサイズ変動および位置変動を抑制することで、取り出しRF掃引幅半分の条件では10x10cmの平面均一照射で平坦度±1%が得られており、本年度中に3次元の球形均一照射を実現できるように改良を進めている。 [1] K. Torikai et al. In this proceedings. [2] T. Fujimoto et al. In this proceedings. |
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SSFP20 p.367 | 若狭湾エネルギー研究センターシンクロトロンの現状 The Status of the Synchrotron of the Wakasa-wan Energy Research Center ○栗田 哲郎,羽鳥 聡,林 豊,長崎 真也,廣戸 慎,小田桐 哲也,島田 麻亜久,山田 裕章,山田 和彦,山口 文良,淀瀬 雅夫,清水 雅也(若エネ研) ○Tetsuro Kurita, Satoshi Hatori, Yutaka Hayashi, Shinya Nagasaki, Shin Hiroto, Tetsuya Odagiri, Mark Shimada, Hiroaki Yamada, Kazuhiko Yamada, Fumiyoshi Yamaguchi, Masao Yodose, Masaya Shimizu (WERC) 若狭湾エネルギー研究センター加速器施設(W-MAST)は、タンデム加速器および、それを入射器としたシンクロトロンによって、広範囲のエネルギーのイオンビーム(陽子 : 数MeV-200MeV; He, C : 数 MeV- 55MeV/u)を様々な実験に供給している。シンクロトロンからのビームは、材料/生物/細胞への照射実験に利用されている。 2011 年 1月からタンデム加速器の絶縁コラム交換作業より長期間の運転の中断が発生したが、2012 年 7月より運転が再開している。この間に、シンクロトロン入出射ラインのビームダクトのメタルシール化をおこない真空度の向上を行った。 また、加速高周波制御系を更新し、様々な機能を付加した物を開発している。もっとも大きな改良は、ビームフィードバック制御系である。これまで、フィードバック信号を VCO で周波数に変換してから、DDS の出力に足し合わせていたが、DAC で DSP に読み込み、DDS に直接反映させるデジタル処理により周波数の安定度向上を図る。 運転状況と合わせて、進行している機器の開発の状況を報告する。 |
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SSFP21 p.370 | 大阪府大放射線研究センターの加速器利用研究の現状 Status of the research activities using accelerators in Radiation Research Center, OPU ○奥田 修一,谷口 良一,宮丸 広幸,小嶋 崇夫,岡 喬(阪府大) ○Shuichi Okuda, Ryoichi Taniguchi, Hiroyuki Miyamaru, Takao Kojima, Takashi Oka (Osaka Prefecture Univ.) 大阪府立大学(OPU)地域連携研究機構の放射線研究センターは、大阪府立放射線中央研究所の発足から、2013年で54年目をむかえた。加速器とその照射システムは、基礎研究のために多目的利用ができることが特徴で、γ線照射施設および非密封RI施設と合わせ、総合的放射線科学研究のため内外に開かれた施設として継承されてきた。このような施設を活用した実践教育を特徴とする「量子放射線系専攻」が、2013年度に大学院工学研究科に新たに設置された。センターの教員が担当し、量子ビーム科学研究の進展と人材育成をめざす。16 MeV Sバンド電子ライナックは、放射化物の取扱いに関する法令改正に伴う変更が加えられた。独自に開発した超微弱ビームやTHz放射などの新しい量子ビームの開発研究を行っている。600 keVコッククロフト・ウォルトン電子加速器は、JAXAとの共同研究として行っている人工衛星用太陽電池の照射試験で、新たな知見が得られている。3 MeV(He)タンデムイオン加速器は、RBS、PIXEなどへの利用のために主に高圧発生部の整備が行われている。2013年度KEK大学等連携支援事業により、主としてパルス特性を特徴とする、電子・イオン加速器による総合的な分析システムを整備し、教育研究に活用する。 |
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SSFP22 p.373 | 日大LEBRA電子リニアックの現状と光源利用 Status of Electron Linac Operation and Application of Light Source at LEBRA in Nihon University ○野上 杏子,早川 建,田中 俊成,早川 恭史,境 武志,中尾 圭佐,稲垣 学(日大量科研),佐藤 勇(日大総科研),榎本 收志,大澤 哲,福田 茂樹,設楽 哲夫,古川 和朗,道園 真一郎,土屋 公央,吉田 光宏(KEK 加速器研究施設),山本 樹(KEK 物質構造研究所) ○Kyoko Nogami, Ken Hayakawa, Toshinari Tanaka, Yasushi Hayakawa, Takeshi Sakai, Keisuke Nakao, Manabu Inagaki (LEBRA, Nihon University), Isamu Sato (ARISH, Nihon University), Atsushi Enomoto, Satoshi Ohsawa, Shigeki Fukuda, Tetsuo Shidara, Kazuro Furukawa, Shinichiro Michizono, Kimichika Tsuchiya, Mitsuhiro Yoshida (KEK Accelerator Laboratory), Shigeru Yamamoto (KEK Institute of Materials Structure Science) 日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)における2012年度の125MeV電子リニアックの稼働日数は、主に自由電子レーザー(FEL)とパラメトリックX線(PXR)発生を目的に171日であった。2台のクライストロンヒーター電圧印加時間は1739時間、モジュレーター高圧印加時間は1552時間、ビーム加速時間は1143時間であった。リニアック電子銃のバーストモードビームの引き出しが可能となってからは、通常のマクロパルスモードとバーストモードの重畳加速による高いFEL発振強度を利用した実験が多く行われている。この間、引き出された電子ビームのエミッションが不安定になってきたことから、電子銃のカソードの劣化を疑い交換したが、グリッドパルスカプラーの絶縁同軸ダミーロードで絶縁不良が起きていたのが原因だった。また、重畳加速モードではエミッションがカソード交換前に比べてパルス内減衰が顕著になっているが、カソードの特性に問題があると考えられる。光源に関して、LEBRAにおいて最も曲率半径が小さい(R=3.5m)FEL共振器ミラーへの更新、ターゲット結晶にダイヤモンド使用したPXR発生試験を行った。さらに、産業技術総合研究所とともにTHz光源を利用するための整備も行っている。 |
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SSFP23 p.377 | ATF加速器における研究開発の現状 ATF Status Report 2013 ○照沼 信浩(KEK, ATF International Collaboration) ○Nobuhiro Terunuma (KEK, ATF International Collaboration) ATFでは国際リニアコライダー(ILC)において必要とされるビーム計測技術およびビーム制御技術の開発を進めてきた。ここ数年はILC最終収束系の縮小モデルであるATF2ビームラインを利用した研究開発に重心を移しており、特に最初の目標である垂直方向37nmの極小ビームをATF2仮想衝突点において実現し、Local chromaticity correctionによる最終収束システムの技術を確立することに集中している。レーザー干渉縞を用いたビームサイズモニターの改造、高次磁場成分の評価とその対策などを精力的に行ってきた結果、2013年2月には約65nmと目標の2倍弱のレベルまで到達していることを確認した。これはlocal chromaticity correctionによる最終収束系のopticsを初めて実証したと言える。今後は、ビームラインのwake fieldを低減させながら目標の37nmに到達するために必要な研究を進める。ATF2計画にはもう一つ大きな目標がある。ILC衝突点でのビームフィードバック技術としてナノメートルレベルでのビーム位置安定化を実現する事である。このためには2nm分解能のビーム位置計測技術と応答時間140nsの高速フィードバック技術が必須である。これらの個別の開発は順調に進んでおり、本年夏のシャットダウン期間に全てをATF2仮想衝突点に組込み予定である。ATFでの多岐に渡る研究開発には、国内外の大学および研究機関が精力的に参加している。これらを含め、ATFの現状を報告する。 |
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SSFP24 p.381 | 東北大学電子光理学研究センターの加速器の現状 Present status of accelerators in Electron Light Science Centre, Tohoku University ○南部 健一,柏木 茂,日出 富士雄,柴崎 義信,武藤 俊哉,長澤 育郎,高橋 健,濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Kenichi Nanbu, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Yoshinobu Shibasaki, Toshiya Muto, Ikuro Nagasawa, Ken Takahashi, Hiroyuki Hama (Electron Light Science Centre, Tohoku University) 東日本大震災により電子光理学研究センターの電子加速器は壊滅的な被害を受けた。特に被害が大きい300MeVリナックについては完全復旧を断念し、RI製造実験に使用していた低エネルギー部のみ復旧することにし、1.2GeVブースターシンクロトロンへのビーム入射専用のリナックを新設することにした。震災の被害は加速に留まらず建屋、空調設備、排水設備にも及び、そのままでは機器の設置が困難であったため、最初に設備関係の復旧作業に着手した。2012年の9月に建屋や空調設備の修繕作業が完了し、2012年11月より、入射用リナックの設置を皮切りに機器の設置作業が開始された。順次機器の設置・調整作業が行われ、2013年2月には更新したシンクロトロン電源の調整を終え、一連の復旧作業が完了した。現在2013年後期からの共同利用開始を目指して加速器のコミッショニングを進めている。本報告では、加速器施設の復旧・復興に向けての取り組みと現状について報告する。 |
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SSFP25 p.385 | あいちSR光源加速器の現状 Present status of accelerators of Aichi Synchrotron Radiation Center ○高嶋 圭史,保坂 将人,山本 尚人(名大SRセンター),高見 清(大阪府立大),高野 琢,真野 篤志,森本 浩行(名大SRセンター),加藤 政博(分子研UVSOR),堀 洋一郎(KEK),佐々木 茂樹(高輝度光科学研究センター),江田 茂(九州シンクロトロン光研究センター),竹田 美和(あいちSR) ○Yoshifumi Takashima, Masahito Hosaka, Naoto Yamamoto (Nagoya University), Kiyoshi Takami (Osaka Prefecture University), Takumi Takano, Atsushi Mano, Hiroyuki Morimoto (Nagoya University), Masahiro Katoh (UVSOR), Yoichiro Hori (KEK), Shigeki Sasaki (JASRI/SPring-8), Shigeru Koda (SAGA-LS), Yoshikazu Takeda (AichiSR) あいちシンクロトロン光センター(あいちSR)は、愛知県の科学技術政策である「知の拠点あいち」計画における中核施設として、中部地区を中心とする大学、研究機関、産業界、行政の協力によって整備が進められている。運営は公益財団法人科学技術交流財団が行い、加速器やシンクロトロン光ビームラインなどに対する技術的な支援を、名古屋大学シンクロトロン光センターを中心とする大学連合が行っている。 加速器は、50 MeV直線加速器、1.2 GeVブースターシンクロトロン、1.2 GeV蓄積リングから成っている。蓄積リングは周長72 m、ラティス構成はTriple-bendの4回対称であり、12台の偏向電磁石のうち、4台はピーク磁場5T、偏向角12°の超伝導電磁石、8台は磁場強度1.4 T、偏向角39°の常伝導電磁石である。直線部にはアンジュレ-タが設置されている。 あいちSRは2013年3月22日に開所式が行われ、3月26日から供用が始まっている。現在建設されているビームラインは、(1)硬X線XAFS、蛍光X線、(2)粉末X線回折、(3)軟X線XAFS、光電子分光、(4)真空紫外分光、光電子分光、(5)X線反射率、薄膜表面回折、(6)広角・小角散乱であり、2013年6月末時点で(4)を除く5本のビームラインが供用されている。 本発表では、あいちSRの光源加速器の現状と施設の概要について報告する。 |
ポスターセッション1 (8月3日 豊田講堂1階アトリウム) | |
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SAP001 p.388 | 核データ測定用Xバンドライナック中性子源の設計 Design of X-band Linac Neutron Source for nuclear data measurement ○田儀 和浩(東大原子力国際専攻),土橋 克広(東大原子力専攻),山本 昌志((株)アキュセラ),藤原 健,上坂 充(東大原子力専攻) ○Kazuhiro Tagi, Katsuhiro Dobashi (Tokyo Univ.), Masashi Yamamoto (Accuthera Inc.), Takeshi Fujiwara, Mitsuru Uesaka (Tokyo Univ.) 福島第一原発の炉心に残っている溶融燃料の分析を行うことは、廃炉措置、ひいては福島の復興に向けて非常に重要な課題である。溶融燃料の分析のためにデータの精度を向上させることが必要であるが、OECD/NEAの表では、特に0.1-10eVの中性子エネルギー領域の誤差は5%と十倍大きく、誤差の大きさも、評価方法によって異なるという現状である。しかし、核物質の測定が可能な加速器中性子源は世界を見ても少なく、熱領域から共鳴エネルギー領域の中性子断面積を系統的に測定可能な核データ測定システムを開発することは大変意義のあることである。 一方で、東京大学東海キャンパスでは、2011年3月に弥生炉の運転が停止され、現在廃炉措置が行われている。炉心内部は核燃料使用施設であることから、炉心内部に加速器を設置することによってプルトニウムやウラン・アメリシウムなどのデータの測定を行うことが可能になる。そこで、東京大学では電子ライナックを用いた中性子源を提唱している。本研究では、入射部である熱電子銃ならびにバンチャー、またターゲットの設計を行い、発生する中性子のフラックスやエネルギーを計算した。 |
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SAP002 p.392 | SPring-8極短バンチモニタ開発テストベンチ Testbench for Ultra-short Bunch Monitor at SPring-8 ○谷内 努,鈴木 伸介,出羽 英紀,冨澤 宏光,水野 明彦,花木 博文(JASRI) ○Tsutomu Taniuchi, Shinsuke Suzuki, Hideki Dewa, Hiromitsu Tomizawa, Akihiko Mizuno, Hirofumi Hanaki (JASRI) SPring-8Ⅱ計画におけるX線回折限界リングへの入射に必要な基礎技術の確立を目的とし、SACLA加速器からの数10fsの電子ビーム(極短バンチビーム)を非破壊で3次元リアルタイム・モニタリングできるEOサンプリング法を用いたバンチモニタの開発が進められているが、昨年度よりSPring-8のRF電子銃試験装置を本バンチモニタの開発テストベンチとして利用するための改造が進められている。RF電子銃空洞をマルチセルとすることで、ビームエネルギーを改造前(単空洞)の3.8MeVから6MeV(あるいは10MeV)へ上げ、高電界加速管により85MeV(現状30MeV)まで加速してバンチ圧縮系を通過させてバンチモニタ直前で数10fsのバンチ長を得る予定である。改造のため設置された主な機器は、SLED、2空洞式RF電子銃、高電界加速管、シケイン電磁石などである。本発表では、バンチモニタ開発テストベンチの概要、機器、ビームシミュレーション、RFコンディショニング等について報告を行う。 |
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SAP003 p.396 | 150-MeV マイクロトロンにおけるレーザー・コンプトン散乱ガンマ線の発生 Generation of Laser Compton Scattered Gamma-rays from a 150-MeV Microtron ○羽島 良一,早川 岳人,静間 俊行,Angell Christopher T.,神門 正城(原子力機構),大東 出,大垣 英明(京大) ○Ryoichi Hajima, Takehito Hayakawa, Toshiyuki Shizuma, Christopher T. Angell, Masaki Kando (JAEA), Izuru Daito, Hideaki Ohgaki (Kyoto U.) われわれは、港湾等に設置し貨物中に隠蔽された核物質を非破壊検知するための装置を開発している。本装置は、D-D中性子源を用いたスクリーニングとレーザー・コンプトン散乱ガンマ線(LCS)を用いた確定検知から構成される。LCSガンマ線の発生には、産業用に多くの実績があるレーストラック・マイクロトロン(RTM)を用いる。 LCSガンマ線の発生実証のため、JAEA関西に設置されている150-MeV RTMを用いた実験を行っている。これまでに、LCS発生のため、市販のNd:YAGレーザーにパルス圧縮セル(誘導ブリルアン散乱を用いた)を組み合わせた装置を完成し、また、ガンマ線フラックスを最大とするようなLCS散乱点の設計と製作を行った。また、レーザーと電子のタイミング、位置の調整、LCSガンマ線のフラックス計測についても、実験的に手法を確立した。 平成24年度の実験では、10^5ph/sを超えるガンマ線発生を実証した。この実験では、二通りの独立したガンマ線計測手法を用いており、実験結果の信頼性は高いと考えている。なお、ここで発生したLCSガンマ線のエネルギーは400 keVであった。 平成25年度には京都大学で開発したガンマ線検出システムを導入し、核物質の模擬物質を用いた非破壊検知実験に着手する予定である。 |
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SAP004 p.399 | 宇宙用太陽電池の低エネルギー電子線照射実験 Irradiation experiments for space solar cells with low-energy electron beams ○奥野 泰希,奥田 修一,小嶋 崇夫,岡 喬(阪府大),川北 史朗,今泉 充,艸分 宏昌(宇宙航空研究開発機構) ○Yasuki Okuno, Shuichi Okuda, Takao Kojima, Takashi Oka (OPU.), Shirou Kawakita, Mitsuru Imaizumi, Hiroaki Kusawake (JAXA) 宇宙用太陽電池として宇宙環境における放射線耐性が高い化合物太陽電池が用いられる。この太陽電池の放射線照射特性に関して多くの研究が行われており、陽子照射やエネルギー1 MeV以上の電子線照射によって太陽電池内に含まれる原子がはじき出され欠陥が生成することによって太陽電池の性能が劣化することが先行研究で明らかになっている。しかしながら、欠陥による太陽電池の性能劣化のメカニズムはまだ詳しく解明されていない。本研究では、欠陥する元素を選択的に生成することができる1MeV以下の電子線で太陽電池用化合物半導体結晶中に特定の欠陥を生成し、発電効率の低下に対する欠損の影響を調べた。照射試験装置として、大阪府立大学放射線研究センターの600 keVコッククロフト・ウォルトン電子線加速器を用いた。試料を真空中に置き液体窒素冷却が可能なシステムを開発し、宇宙環境を模した照射条件へと最適化した。このような条件を満たす加速器システムは、世界でも画期的なものである。250keVの電子線の照射試験を行った結果、電子線照射による特性の向上などの現象が新たに認められた。また電子ビームを磁場で偏向しない場合、理論値よりも太陽電池の劣化が大きくなった。これはビーム内にわずかに含まれるイオンによる影響と考えられる。また照射に伴う半導体表面における不純物の付着が観測された。現在これらの現象の原因を解明し、加速器の改良方法について検討している。 |
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SAP006 p.403 | Linacのパルスベンディングマグネット付近のビームロス調査 Beam loss investigation near the pulse bending magnet of KEKB Injector Linac ○矢野 喜治,道園 真一郎,福田 茂樹,佐波 俊哉(高エネ研) ○Yoshiharu Yano, Shinichiro Michizono, Shigeki Fukuda, Toshiya Sanami (KEK) Linac delivered the electron of 8GeV to HER-KEKB, and delivered the positron of 3.5 GeV to LER-KEKB. Furthermore, the electron of 2.5 GeV is supplied to PF and the electron of 3 GeV is supplied to PF-AR. Linac should be operated to deliver the beam to HER, LER, and PF every 20msec. The pulse magnet (BP_58_1) installed downstream of Linac control the beam distribution. The measured data of BPM show that the charge quantity of PF beam is decreasing before and behind this magnet. Investigation of the beam loss using an optical fiber has shown that the beam loss has occurred in the straight section of the BP_58_1 lower stream. We have investigated the beam loss of the inside magnet, and the magnet circumference. In the present operating condition, we found that the beam loss is very large in the branch duct of the magnet. The dose of radiation under operation of a place with many beam losses was measured in TLD batch, and it compared with the optical fiber loss monitor's data. A lot of beam loss had occurred near the branch duct. The duct of PF beam line of about 100 m of lower streams of a pulse bending magnet and the residual radioactivity of the flange were measured. |
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SAP007 p.406 | SPring-8蓄積リングへの極短バンチビームの輸送 Transport of Ultrashort Bunch to the Storage ring in SPring-8 ○深見 健司,大石 真也,大熊 春夫(公益財団法人 高輝度光科学研究センター),大竹 雄次(独立行政法人 理化学研究所),岡安 雄一,小路 正純,早乙女 光一(公益財団法人 高輝度光科学研究センター),渡川 和晃,原 徹(独立行政法人 理化学研究所),藤田 貴弘,満田 史織,渡部 貴宏(公益財団法人 高輝度光科学研究センター) ○Kenji Fukami, Masaya Ooishi, Haruo Ohkuma (JASRI), Yuji Ohtake (RIKEN), Yuich Okayasu, Masazumi Shoji, Koichi Soutome (JASRI), Kazuaki Togawa, Toru Hara (RIKEN), Takahiro Fujita, Chikaori Mitsuda, Takahiro Watanabe (JASRI) X線自由電子レーザー施設SACLAの極短バンチ電子ビームをSPring-8蓄積リングへ導くビーム輸送系について検討を行った。SACLAからのビームは、ブースタシンクロトロンまでは新たに設置した輸送系(XSBT、300m)を通し、その後は蓄積リングへの既設の輸送系(SSBT、298m)を通して輸送する。XSBTの設置は完了しており、その部分のコミッショニングを今年9月に開始する。XSBTはディスパーションによるバンチ長の伸びを防ぐため、偏向部は全てChasman-Green型ラティスで構成している。これに対しSSBTの大半の区間はFODOで構成されているため、ここでのバンチ長の伸びは無視できない。そこで、SSBTのオプティクスを見直した。現状の機能をそのまま残すため、偏向電磁石の配置、偏向角は保持した。また、四極電磁石の配置も保持し、電磁石の追加のみとした。検討の結果、バンチ長の伸びを示すR56を現状の1.06mから0.27mに抑制することができた。バンチ長の伸びをトラッキングコードELEGANTで評価した。SACLA出射ビームのバンチ長を 1psec(r.m.s.)と仮定し、CSRの効果を無視した場合、現状のバンチ長の伸び1.75psecに対し0.43psecに抑制することができた。電荷密度を150pC/bunchとしてCSRを考慮した場合についても、バンチ長の伸びを抑制できた。この他、エミッタンスの変化についても報告する。 |
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SAP008 | CSR逆コンプトン散乱によるILC偏極陽電子源のためのガンマ線生成 Geneeration of polaserized gamma-ray based on CSR-inverse Compton scattering for ILC positron source ○島田 美帆(高エネ研),Tecimer Mufit(ハワイ大学),羽島 良一(原子力機構),横谷 馨(高エネ研) ○Miho Shimada (KEK), Mufit Tecimer (Univ. Hawaii), Ryoichi Hajima (JAEA), Kaoru Yokoya (KEK) 円偏光陽電子源のために、10MeV以上の偏極ガンマ線源の開発が各施設で行われている。150GeV電子バンチおよび200m超伝導アンジュレータを用いる方法が現在のベースラインとなっているが、より小さい電子エネルギーで逆コンプトン散乱を行う方法も提案されている。 本発表では、中赤外線領域のCSRをベースとした逆コンプトン散乱によるガンマ線生成について提案する。偏向電磁石で放射したCSRはoptical cavityに蓄積され、後に続くショートパルスの電子バンチと相互作用することによってその光の強度を増す。Optical cavityは4枚もしくはそれ以上のミラーで構成し、同じcavity内で逆コンプトン散乱を行って偏極ガンマ線を生成する。ILCで必要とされるフラックスを満たすために、CWもしくは準CW運転を想定しており、エネルギー回収型線形加速器(ERL)を使用した場合について検討を行った。 |
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SAP009 p.410 | KEK-STFにおける高アスペクト比電子ビームの生成 High Aspect Ratio Beam Electron Beam Generation in KEK-STF ○栗木 雅夫(広島大院先端),早野 仁司(高エネ研加速器),柏木 茂(東北大電子光理セ) ○Masao Kuriki (AdSM, Hiroshima U.), Hitoshi Hayano (Acc. lab., KEK), Shigeru Kashiwagi (REPS, Tohoku U. ) ビーム力学における位相空間制御は、各自由度間を結合する適当なビーム光学素子等により粒子分布を変化させ、ビームの利用形態に最適なビーム形状を提供する。本発表ではソレノイド磁場中で発生した電子ビームによるXY方向に高いアスペクト比を持つビームの生成について検討する。国際リニアコライダー計画では衝突点におけるビーム・ビーム効果を抑制するためにおよそアスペクト比にして100程度の扁平ビームを生成する。現在のILCの設計ではこのような ビームを周長にして3kmの蓄積リングにおける放射減衰を利用して生成する。本研究では回転するような座標-運動量相関を有したマグネタイゼーションビームを生成し、skew-Q磁場により相関を打ち消すさいに一方のエミッタンスを極小化することで非対称ビームを生成することを目指す。KEKのSTF(Super-conductingTest Facility)に設置された1.3GHz L-band RF 電子銃によるマグネタイゼーショ ンビームの生成およびその実験について、シミュレーションによる検討結果を報告する。また、本方法による蓄積リングを用いないILCの設計案について検討する。 |
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SAP010 p.414 | LバンドフォトカソードRF電子銃の開発(VII) Development of L-band RF Gun (VII) ○川瀬 啓悟,加藤 龍好,藤本 將輝,上司 文善,大角 寛樹,矢口 雅貴,船越 壮亮,堤 亮太,磯山 悟朗(阪大産研),渡邉 謙,倉本 綾佳,早野 仁司,浦川 順治,高富 俊和(高エ研),飯島 北斗,栗木 雅夫(広大),柏木 茂(東北大電子光) ○Keigo Kawase, Ryukou Kato, Masaki Fujimoto, Fumiyoshi Kamitsukasa, Hiroki Osumi, Masaki Yaguchi, Sousuke Funakoshi, Ryouta Tsutsumi, Goro Isoyama (ISIR, Osaka Univ. ), Ken Watanabe, Ayaka Kuramoto, Hitoshi Hayano, Junji Urakawa, Toshikazu Takatomi (KEK), Hokuto Iijima, Masao Kuriki (Hiroshima Univ. ), Shigeru Kashiwagi (ELPH, Tohoku Univ.) 前回の加速器学会における報告に引き続き、大阪大学、KEK、広島大学で実施しているLバンドフォトカソードRF電子銃の開発について、その進捗状況について報告する。昨年度夏にKEK-STFにおいて、開発中のRF電子銃へのハイパワーRFの導入試験、およびRFプロセスを実施した。ここでは、先行機である現在STFで稼働中の電子銃と比較して、RFプロセスの進行が格段に早く進んだことが確認された。本発表では、このハイパワーRF導入試験の結果と、その後に確認された問題点とその対策について報告する。また、平行して進めているカソード駆動用のレーザーシステム開発についても報告する。 |
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SAP011 p.417 | ニュースバルにおける六極電磁石追加によるビーム寿命改善 Improvement of beam lifetime by additional sextupole families at NewSUBARU ○皆川 康幸,竹村 育浩(高輝度光科学研究センター),庄司 善彦(兵庫県立大高度研) ○Yasuyuki Minagawa, Yasuhiro Takemura (JASRI), Yoshihiko Shoji (LASTI, Univ. of Hyogo) NewSUBARUでTopUp運転の蓄積電流値を決めているのは、1シフトの入射電荷量に対する放射線安全上の制限であり、入射効率とビーム寿命の改善が蓄積電流値の増加に繋がる。入射効率については、Q-scanによる入射マッチング等を行う事で改善はなされており、ID gap openで入射効率95%、closeで80%を達成している。 高い蓄積電流での安定したTopUp運転を維持する為には、ロングアンジュレータ(LU) 稼働によるビーム寿命の短縮と、入射効率の劣化の改善が必要になっている。このためにdispersion free sectionに設置した六極電磁石によってダイナミックアパーチャを改善してビーム寿命を増加させることを試みる。 これまで長直線部と短直線部で同じ六極電磁石ファミリーS1で調整を行っていたが、長直線部の六極電磁石を別電源として(S3)、個々に調整する事でビーム寿命の改善が得られた。 更にLUによるβ関数の歪みに対応するように、S3を2ファミリーに分けると、LU稼働による寿命劣化が小さくなった。 また短直線部には、βyが大きい位置のS1とβxが大きい位置のS2があるが、長直線部にはS2に相当する電磁石がなかった。そこで、新たに長直線部に多機能電磁石を設置し、その6極コイル(S4)を使ったビーム寿命の改善を試みている。 ビーム寿命が伸びた事で300mAのTopUp運転を定常的に行えるようになった。 |
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SAP012 p.421 | 進行波型電子線型加速器の収束効果の解析と測定 Analysis and Measurement of Focusing Effects in a Traveling Wave Linear Accelerator ○前坂 比呂和,安積 隆夫,惠郷 博文,原 徹,稲垣 隆宏,櫻井 辰幸,渡川 和晃,田中 均,大竹 雄次(理研 放射光科学総合研究センター) ○Hirokazu Maesaka, Takao Asaka, Hiroyasu Ego, Toru Hara, Takahiro Inagaki, Tatsuyuki Sakurai, Kazuaki Togawa, Hitoshi Tanaka, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center) X線自由電子レーザーSACLAのような精密な電子線形加速器においては,電子ビームの軌道やエンベロップをモデル計算し,軌道補正やベータマッチングをおこなう必要がある。しかしながら,電子線形加速器の横方向ダイナミクスについては,蓄積リングなどの他の加速器と比べて十分に解析・測定されたとはまだ言える状況にない。実際,SACLAにおいてRF空胴型ビーム位置モニタのデータを使ってビーム軌道を解析したところ,これまで正しいと考えられてきた進行波型電子線形加速器のモデルでは軌道を再現することができないことがわかった。この従来のモデルには,加速によるダンピング効果と加速管出入り口の単極収束効果が含まれているが,SACLAの軌道データの解析によると,これらの効果だけでは説明できない四極の収束効果があることがわかった。そこで,3次元高周波電磁界シミュレータを使用して加速管の収束効果を解析したところ,四極の収束効果が存在することが確かめられた。その収束効果を取り入れた新しいモデルを構築した結果,SACLAの軌道データをうまく再現することに成功した。本発表では,この新しいモデルを紹介し,電磁界シミュレーションの結果,電子ビーム軌道の解析・測定の結果などについて報告する。 |
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SAP013 p.426 | 理研RIBFのリングサイクロトロン運転の現状報告 Status report of the operation of the RIBF ring cyclotrons 小山 亮,福沢 聖児,濱仲 誠,石川 盛,小高 康照,小林 清志,仲村 武志,西田 稔,西村 誠,柴田 順翔,月居 憲俊,矢冨 一慎(住重加速器サービス),○坂本 成彦,段塚 知志,藤巻 正樹,福西 暢尚,藤縄 雅,長谷部 裕雄,日暮 祥英,池沢 英二,今尾 浩士,加瀬 昌之,影山 正,上垣外 修一,木寺 正憲,熊谷 桂子,久保木 浩功,込山 美咲,真家 武士,長瀬 誠,中川 孝秀,中村 仁音,大西 純一,奥野 広樹,大関 和貴,須田 健嗣,内山 暁仁,渡邉 環,渡邉 裕,山田 一成,山澤 秀行(理研仁科センター) Ryo Koyama, Seiji Fukuzawa, Makoto Hamanaka, Shigeru Ishikawa, Yasuteru Kotaka, Kiyoshi Kobayashi, Takeshi Nakamura, Minoru Nishida, Makoto Nishimura, Junsho Shibata, Noritoshi Tsukiori, Kazuyoshi Yadomi (SHI ACCELERATOR SERVICE Ltd.), ○Naruhiko Sakamoto, Tomoyuki Dantsuka, Masaki Fujimaki, Nobuhisa Fukunishi, Tadashi Fujinawa, Hiroo Hasebe, Yoshihide Higurashi, Eiji Ikezawa, Hiroshi Imao, Masayuki Kase, Tadashi Kageyama, Osamu Kamigaito, Masanori Kidera, Keiko Kumagai, Hironori Kuboki, Misaki Komiyama, Takeshi Maie, Makoto Nagase, Takahide Nakagawa, Makoto Nakamura, Jun-ichi Ohnishi, Hiroki Okuno, Kazutaka Ozeki, Kenji Suda, Akito Uchiyama, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe, Kazunari Yamada, Hideyuki Yamasawa (NISHINA CENTER, RIKEN) 理研RIBFの4台のリングサイクロトロン(SRC, IRC, fRC, RRC)の運転状況、具体的には、加速ビームとエネルギー、運転時間と調整時間の統計、故障等について報告する。また近年の運転費、なかでも電気料金の値上げに対応すべく、大型加速器施設では運転の効率化が求められている。ビーム供給中のマシントラブルを防ぐための事前の修理と改善、ビーム調整時間の短縮など、加速器の高い可用度を維持するための取り組みについて述べる。 |
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SAP014 p.431 | RCNPサイクロトロン施設の現状 Present Status of the RCNP Cyclotron Facility ○畑中 吉治,福田 光宏,依田 哲彦,斎藤 高嶺,植田 浩史,田村 仁志,永山 啓一,安田 裕介,森信 俊平,鎌倉 恵太(大阪大学核物理研究センター) ○Kichiji Hatanaka, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Takane Saito, Hiroshi Ueda, Hitoshi Tamura,, Keiichi Nagayama, Yuusuke Yasuda, Shunpei Morinobu, Keita Kamakura (RCNP, Osaka University) RCNPサイクロトロン施設は、AVF棟耐震改修工事のため2012年8月から2013年3月の間運転を休止した。休止期間中に、通常のメンテナンス以外に電源の回路素子等の嫌煙による劣化部品を交換した。AVF建設時から40年間使用してきた計器盤内の回路、配線をPLC化し、コンソールから計器盤を一掃した。4月からの運転再開時に放射線管理システムと関連するインターロックを含めた新システムのバグ出しを行い、約2週間で共同利用を開始した。 AVFビーム取りだし部にグラディエントコレクターを設置し、使用を開始した。4極磁石のコイルを2台の電源で独立に励磁し、ビーム軌道上で主磁場の勾配を制御する。磁極端での水平方向の発散が緩和され、輸送系でのビームロスによる放射化が軽減された。AVFビームラインに2台のエミッタンスモニターを設置し、測定データを蓄積している。 平成24年度補正予算が措置され、老朽化対策と共にビーム強度向上、ビーム利用高効率化の準備を進めている。関連工事を2014年1月~3月に行い、この間は加速器は停止する。 |
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SAP015 p.434 | NIRS-930サイクロトロンにおける照射野改善のための設計検討 Design Study for Improvement of irradiation field at NIRS-930 Cyclotron ○杉浦 彰則,北條 悟,片桐 健,中尾 政夫,野田 章,北村 尚(放医研),岡田 高典,髙橋 勇一,込山 明仁,本間 壽廣(加速器エンジニアリング),野田 耕二(放医研) ○Akinori Sugiura, Satoru Hojo, Ken Katagiri, Masao Nakao, Akira Noda, Hisashi Kitamura (nirs), Takanori Okada, Yuichi Takahasi, Akihito Komiyama, Toshihiro Honma (AEC), Koji Noda (nirs) 放射線医学総合研究所のNIRS-930サイクロトロン(K=110)には、9つの照射コースがある。その一つであるC-8コースの照射装置は、1977年に陽子線治療システムとして設計製作されたもので、現在は、電子素子の耐久試験や検出器の開発、細胞照射といった様々な目的に利用されている。この照射装置は、水平と垂直方向のワブラー電磁石と散乱体により構成されており、広い照射野のビームが利用されている。この広い照射野のビームの利用は、NIRS-930の主目的であるRI製造の次に多く、年間運転時間の約22%を占めている。C-8コースで主に利用されているビームは70 MeV陽子で、その照射野は8cmφでビームの均一度は±5%程度として供給を行っている。その時の散乱体はアルミ0.1 mmで、ワブラー電磁石の偏向角は7 mradで、ワブラー回転周波数は12Hzで照射野の形成を行っている。 そこで今回、さらに照射野を広げ、均一度を改善する検討を行った。照射野を広げ均一度を改善することにより、サンプルの照射位置による照射量の誤差も減らすことができ、一度に照射できるサンプルの数を増やし、照射実験を効率的に行うことができると考えられる。 目標照射野10cmφ、均一度±5%として照射装置の設計検討を行った。本報告では、現状と改良計画の検討結果について報告する。 |
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SAP016 p.437 | J-PARCリニアックのエネルギー増強に向けたACS空洞の大電力試験再開 Resuming of ACS high-power test for J-PARC linac energy upgrade ○田村 潤,青 寛幸,根本 康雄(日本原子力研究開発機構),浅野 博之(日本アドバンストテクノロジー),鈴木 隆洋(三菱電機システムサービス株式会社) ○Jun Tamura, Hiroyuki Ao, Yasuo Nemoto (JAEA), Hiroyuki Asano (NAT), Takahiro Suzuki (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd) J-PARCリニアックでは、そのビームエネルギーを181MeVから400MeVに増強することを計画している。これは、リニアック下流部にACS空洞を25台設置することにより行う。 このエネルギー増強に向けてACS空洞の大電力試験を行っていたが、2011年3月11日の震災により中断することとなった。2012年度末に施設の主な復旧工事が完了し、2013年6月より中断していた大電力試験を再開した。ここでは、再開したACS空洞の大電力試験および設置計画等について報告する。 |
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SAP017 p.440 | サイクロトロン入射器の高温超伝導化への挑戦 Challenge for the High Temperature Superconducting Injector Cyclotron ○鎌倉 恵太,畑中 吉治,福田 光宏,依田 哲彦,植田 浩史,森信 俊平,齋藤 高嶺,永山 啓一,田村 仁志,安田 裕介,横山 久美子,竹村 真哉(大阪大学RCNP) ○Keita Kamakura, Kichiji Hatanaka, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroshi Ueda, Shunpei Morinobu, Takane Saito, Keiichi Nagayama, Hitoshi Tamura, Yusuke Yasuda, Kumiko Yokoyama, Shinya Takemura (RCNP, Osaka University) 現在大阪大学RCNPサイクロトロン施設では高強度二次粒子生成及び高品質ビームの強度増強を目指した開発が進められている。特に超冷中性子実験やミューオン科学実験等の二次粒子生成量増加のための陽子ビーム大電流化への要請から、既存のK400リングサイクロトロン出射後で10μA以上のビーム量を確保することを目標としている。現在リングへの入射器として用いられているAVFサイクロトロン(K140)では入射・引出性能に限界があるため、それに代わる新入射器の開発を進めている。また新たな入射器を製作するに当たって、近年注目されている高温超伝導磁石を用いたサイクロトロンを検討中である。高温超伝導電磁石は低温超伝導電磁石に比べてクエンチに対する安定性・信頼性に優れ、迅速な励磁電流変更にも対応できることから次世代のサイクロトロン電磁石として期待されている。現在、高温超伝導磁石にはサイクロトロンに利用できるようなメートル級のものは未だ存在しない。この「高温超伝導サイクロトロン」は世界初の試みであり、将来における大口径・高磁場のサイクロトロン開発への第一歩である。本研究により、現状の高温超伝導磁石製作の問題点を解決し、サイクロトロン磁石として利用可能な大口径・変形磁石の開発が可能になれば、加速器開発の分野だけでなく、医療・工学等様々な分野での高温超伝導磁石の利用が広がることが期待される。 |
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SAP018 p.444 | インコヒーレントチューンスプレッド測定にむけた高周波二極磁場エキサイタの開発 Development of the magnetic dipole exciter for the incoherent tune spread measurement ○加藤 新一(東北大学大学院理学研究科),原田 寛之,發知 英明,岡部 晃大,大森 千広,田村 文彦,金正 倫計(J-PARCセンター) ○Shinichi Kato (Tohoku University), Hiroyuki Harada, Hideaki Hotchi, Kota Okabe, Chihiro Ohmori, Fumihiko Tamura, Michikazu Kinsho (J-PARC Center) 大強度陽子加速器では、空間電荷力によって、個々の粒子のチューン、すなわちインコヒーレントチューンが減少する。また、個々の粒子の受ける反発力は違うため、インコヒーレントチューンは広がる。これはチューンスプレッドと呼ばれる。インコヒーレントチューンが共鳴条件を満たすと、ビームエミッタンスの増加やビームロスなどが発生するため、チューンスプレッドを把握し操作しなければ、ビーム強度を上げることが出来ない。このためには、チューンスプレッドを直接観測出来ることが望まれる。そのため、J-PARC 3GeV synchrotron (RCS)においてチューンスプレッドの観測手法の確立を目指している。 多粒子シミュレーションより、数百kHz~1 MHz程度の単色周波数を持ち、約100 uradの蹴り角を与える二極エキサイタを用いると、エキサイタ周波数に同期したインコヒーレントチューンを持つ粒子が一時的に共鳴し、粒子分布が変化することが分かった。この周波数に対する粒子分布の変化から、チューンスプレッドを観測できる可能性がある。しかし、RCSはアパーチャーが大きく、電場を用いた場合、数 MWの電源が必要となる。そこで、電源の負荷を低減するために、磁場を用いた高周波二極エキサイタを新規に開発することとした。 本講演では、RCSでのチューンスプレッド測定計画の概要と、二極磁場エキサイタに用いる磁性体コアの測定結果を紹介する。 |
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SAP019 p.448 | 超冷中性子リバンチャーの改良 The improvement of the ultracold neutrons rebuncher ○今城 想平(京大理),岩下 芳久(京大化研),北口 雅暁,清水 裕彦(名大理),有本 靖(KEK),吉岡 瑞樹(九大理),関 義親(理研) ○Sohei Imajo (Dep. of Phys., Kyoto Univ.), Yoshihisa Iwashita (ICR, Kyoto Univ.), Masaaki Kitaguchi, Hirohiko M. Shimizu (Dep. of Phys., Nagoya Univ.), Yasushi Arimoto (KEK), Tamaki Yoshioka (Dep. of Phys., Kyushu Univ.), Yoshichika Seki (RIKEN) 我々は J-PARC において中性子の電気双極子能率 (EDM) を測定する実験を計画し、その実現に向けて各種装置の R&D を進めている。その一つとして我々は中性子の運動エネルギーを微調する装置「超冷中性子リバンチャー」を開発した。中性子の EDM 実験は 200 neV 程度に減速させた超冷中性子 (UCN) を実験容器まで輸送し、封入して行うのが一般的だが、J-PARC のビームを用いた UCN 源はパルス駆動となるため何もしなければ輸送中に UCN がそれ自身の速度分布に従って拡散し、パルス UCN 源の高いピーク強度を実験容器中の統計量に十分に反映させることができない。そこで我々の計画では本装置を用いて実験容器地点に UCN を時間的に集束させることでその問題を解決する。本装置は UCN のスピンが磁場勾配から力を受けることを利用し、適切なタイミングで磁場中の UCN のスピンをスピンフリッパーによって反転させ、磁場通過前後での UCN の運動エネルギー収支を 100 neV 程度の範囲でコントロールすることを動作原理としている。本装置の原理実証は 2011 年 11 月にすでに成功しているが、その際は装置を構成する各部品のスペックが足りず、UCN の十分な集束がなされなかった。そこで我々は原理実証機を基にして各部のスペックを向上させたアップグレード機を作成し、集束性能の向上に向けて現在装置の調整を行っている。 |
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SAP020 p.452 | 九州大学FFAG加速器における速い繰り返し運転に向けたビーム捕獲法に関する研究 study of beam capture method for high repetition rate at Kyushu university ○稲岡 悠士,米村 祐次郎 ,有馬 秀彦,池田 伸夫,宮沖 貴史,沖田 英史,是永 忠志(九州大学),高木 昭,中山 久義(KEK),森 義治(京大原子炉) ○Yushi Inaoka, Yujiro Yonemura, Hidehiko Arima, Nobuo Ikeda, Takashi Miyaoki, Hidefumi Okita, Tadashi Korenaga (Kyushu university), Akira Takagi, Hisayoshi Nakayama (KEK), Yoshiharu Mori (KURRI) 九州大学加速器・ビーム応用科学センターではFFAG加速器を主加速器とした加速器施設の整備が進められている。FFAG加速器の入射器としては陽子サイクロトロンが用いられている。サイクロトロンからFFAG加速器へ入射されるビームはピーク電流が低く、時間方向に長く分布しているため、高周波加速を行う前にビーム捕獲を行い、広い時間幅のビームを動的バケット内に入れる必要がある。しかし、従来用いられてきた断熱捕獲法では、ビームの捕獲に長い時間が必要となるため、FFAG加速器の特長である速い繰り返し加速を実現出来ないという課題があった。そこで、本研究では鋸歯状波捕獲法を用いて捕獲時間を短くすることで速い繰り返し運転を実現する事を目的とした。 鋸歯状波捕獲法とは、電圧波形に鋸歯状波を用い、時間方向に長く広がった入射ビームをバンチ形状を保ったまま位相空間上を回転させ、短バンチ化して動的バケット内に入れる方法である。捕獲時間はシンクロトロン振動の1/4周期であり、断熱捕獲法と比較し極めて短い時間でビーム捕獲が完了することになる。 本研究では、鋸歯状波捕獲法を用いて、縦方向のビームシミュレーションを行い、鋸歯状波捕獲法によるビーム捕獲時間と加速時間を計算し、平均ビーム強度が最大となる条件を決定した。また、シミュレーションで得られた条件を用いてビーム実験を行い、シミュレーション結果の妥当性を評価した。 |
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SAP021 p.456 | コンパクトERL周回部のオプティクス設計 Optics Design of the Compact ERL Recirculation Loop ○中村 典雄,島田 美帆,原田 健太郎,宮島 司,小林 幸則(高エネ研),羽島 良一(原子力機構) ○Norio Nakamura, Miho Shimada, Kentaro Harada, Tsukasa Miyajima, Yukinori Kobayashi (KEK), Ryoichi Hajima (JAEA) 今年4月に始まったコンパクトERL(cERL)入射部のコミッショニングに続き、12月からはcERL周回部のコミッショニングが予定されている。cERL周回部では低エミッタンス・大電流ビームをその品質を劣化させることなく加速・周回させることを目標とし、オプティクスの設計を行ってきた。また、来年度以降に計画されているレーザーコンプトン散乱X線利用実験とコヒーレントTHz光利用実験において要求されるオプティクスの設計も進めてきた。各利用実験の運転モードでは、極小電子ビームと超短バンチ電子ビームをそれぞれ生成することが求められている。オプティクス設計においては、ERL加速器の課題の1つであるビームロスを極力抑制するために必要なアパーチャを確保し、主空洞のフィールドエミッションによるビームロス・シミュレーションも試みた。ここでは、コンパクトERL周回部のオプティクス設計の現状について報告する。 |
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SAP022 p.461 | あいちSR超電導偏向電磁石の現状 Present Status of Super-conductive Bending Magnets at Aichi SR ○保坂 将人,山本 尚人,高野 啄,真野 篤志,高嶋 圭史(名大SR),加藤 政博(UVSOR) ○Masahito Hosaka, Naoto Yamamoto, Takumi Takano, Atsushi Mano, Yoshifumi Takashima (NUSR), Masahiro Kato (UVSOR) あいちSRの電子蓄積リングはエネルギーが1.2 GeVと比較的低エネルギーながら硬エックス線の放射光を発生するために、建設当初から4台の超電導偏向電磁石を導入している。これらの超電導偏向電磁石は最大磁場が5 Tで偏向角度が12 度である。また、超電導偏向電磁石から発生する放射光の臨界エネルギーは4.8 keVである。 2012年度に行われた、あいちSRの電子蓄積リングのコミッショニングにおいて超電導偏向電磁石の個々の磁場調整が非常に重要な位置を占めた。電子蓄積リングの立ち上げ後超電導偏向電磁石はノートラブルで稼働し続け、さらに今年の1月の冷凍機の交換を含むメンテナンスも順調に行われた。 発表では超電導偏向電磁石のコミッショニングおよび現在までの稼働状況、さらに超電導偏向電磁石のビームダイナミクスについて報告する。 |
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SAP023 p.465 | あいちSRにおけるトップアップ運転の現状 Present Status of Top-up operation at Aichi SR Storage ring ○山本 尚人,保坂 将人,高野 琢,真野 篤志,高嶋 圭史(名大 シンクロトロン光研究センター),加藤 政博(分子科学研究所 極端紫外光施設) ○Naoto Yamamoto, Masahito Hosaka, Takumi Takano, Atsushi Mano, Yoshifumi Takashima (NUSR, Nagoya University), Masahiro Katoh (UVSOR, IMS) あいちSRでは2012年3月より加速器のコミッショニングを開始、同10月には規定の300 mA を蓄積した状態で原子力安全技術センターによる施設検査に合格した。その後、加速器・ビームライン調整を続け、今年の3月より供用を開始した。以降、あいちSRでは毎週火曜から金曜日の10:00 – 18:30 までを営業時間とし、300 mAのトップアップ運転を行っている。 あいちSRの光源加速器は入射器として50 MeVの線形加速器と1.2 GeVのフルエネルギーブースターシンクロトロンから成り、これらは1 Hzで運転している。現状、蓄積リングへのビーム入射はキッカー電磁石四台によるバンプ入射を行っている。最近の運転において蓄積電流値の安定度は約0.2%であり、これは入射器の安定性によって制限されている。 また、来年度には現状のバンプ軌道内に新規ビームラインが建設されることが決まっており、これに伴った入射方式の変更が必要とされている。我々は従来のバンプ入射に代わりパルス六極入射を検討している。 本発表ではあいちSRのトップアップ運転及び検討中のパルス六極入射について詳細を報告する。 |
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SAP024 p.468 | コンパクトERL用ビーム位置モニターとスクリーンモニターの開発 Development of Beam Position Monitors and Screen Monitors for Compact ERL ○高井 良太,帯名 崇,谷本 育律,本田 融,野上 隆史,飛山 真理(高エネルギー加速器研究機構) ○Ryota Takai, Takashi Obina, Yasunori Tanimoto, Tohru Honda, Takashi Nogami, Makoto Tobiyama (KEK) 現在、KEKでは今年3月末に完成したコンパクトERL(cERL)入射部のビームコミッショニングと並行し、残る周回部の建設準備を進めている。cERLでは様々なビーム診断機器が使用されるが、本発表ではそれらの中でも最も基本的で重要な役割を担うビーム位置モニター(BPM)とスクリーンモニター(SCM)の設計思想、及び実際に入射部コミッショニングで使用した結果について報告する。 BPMには4電極タイプのストリップライン型BPMを採用した。ERLでは、エネルギー回収時に加速位相に同期したビームと減速位相に同期したビームを個別に切り分けて検出する必要があるため、ストリップラインの電極長はRF周波数の2倍である2.6GHzで感度が最大となるよう最適化されている(一部のBPMを除く)。また、別途開発したガラス封止型フィードスルーを使用することにより、時間応答の高速化を図っている。一方、SCMには3段式のエアシリンダーを採用し、2種類のスクリーン(YAG,OTR)をビームのエネルギーや強度によって使い分けられる構造にした。スクリーンを使用しない場合には両端のビームダクトと滑らかに繋がるRFシールドがビームライン上に収まる仕組みとなっており、ビームが誘起するウェイク場の影響を低減する工夫もなされている。 |
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SAP025 p.473 | ハイブリッド型超伝導3極ウィグラーにおけるエッジ放射の数値計算による検討 Numerical investigation of edge radiation of a hybrid superconducting three pole wiggler ○江田 茂,岩崎 能尊,高林 雄一,金安 達夫(九州シンクロトロン光研究センター) ○Shigeru Koda, Yoshitaka Iwasaki, Yuichi Takabayashi, Tatsuo Kaneyasu (Saga Light Source) 直線部で隔てられた二つの偏向磁石の端部を高エネルギー電子が通過することによって発生する放射光(エッジ放射)は、その単純な磁石構成にも関わらず長波長域で高輝度が得られることから興味深い放射としてこれまで様々な研究が行われてきた。二つの偏向磁石間距離をゼロから増大させると、両偏向磁石からの放射光が同一放射源とみなされなくなる特徴的距離formation lengthが存在し、この距離より磁石が十分離れた条件でエッジ放射は明瞭となる。放射光施設SAGA-LSにおいてハードX線発生を目的に開発されたハイブリッド型3極ウィグラーSAGA-LS-SCWは超伝導メインポール1台、常伝導サイドポール2台から構成され、クライオスタットの構造上、磁極間距離が大きく、メインポール-サイドポール間距離はformation lengthを超える。加えてウィグラーが設置された直線部上下流の偏向磁石間では典型的な2偏向電磁石によるエッジ放射の条件を満たしている。そのためウィグラー下流では固有の複合的なエッジ放射が観測される可能性がある。現在、その可能性を検討するため数値計算を進めている。これまでの計算で長波長域ではウィグラー各磁極からの放射光と上下流の2偏向磁石によるエッジ放射の単純な重ねあわせでないことがわかってきた。発表ではこれまでに行った放射光スペクトル、空間分布等放射特性計算の結果を報告する。 |
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SAP026 p.476 | SACLA真空封止アンジュレータ磁場測定用薄型ホールプローブの開発 Development of thin Hall probes for field measurement of SACLA in-vacuum undulators ○長谷川 照晃,田中 隆次(理研 放射光科学総合研究センター),鏡畑 暁裕(高輝度光科学研究センター) ○Teruaki Hasegawa, Takashi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center), Akihiro Kagamihata (JASRI) SACLAやSPring-8の標準的な真空封止アンジュレータは、磁場周期の短縮化を可能にし、X線領域におけるレーザー発振や高輝度光の発生に必要な電子ビームのエネルギーを低減するという大きな長所を有する。一方で、従来の石定盤に基づく磁場測定手法を適用できないという欠点が存在する。この問題を克服するため、新たな磁場測定システム(SAFALI)を開発し、これを用いて磁石列の脱着による影響や、長期運転後の永久磁石減磁などによる磁場性能の変化を監視するとともに、必要に応じて磁場の再調整を行っている。現在、使用している磁場センサーは、厚さ1mmのホール素子であり、素子自体の傾斜やインピーダンス軽減のために磁石列を覆う銅フォイルの浮きによる空間的制限から、測定できる最少ギャップは3mm程度に留まっている。 SACLAでは、その光源性能を高めるため、真空封止アンジュレータのさらなる狭ギャップ化を計画している。運用するギャップの最小値を現状の3.5mmから2.5mmまで狭くすることにより、レーザーパルスエネルギーの増強と同一ビームエネルギーでの可変波長の広帯域化が見込まれる。将来的に、最小ギャップ2.5mm以下も視野に入れた場合、SAFALIシステムの高精度化とともにホールプローブの薄型化が必須となる。そこで、厚さ0.5mmの薄型ホールプローブの開発を行った。 本稿では、新しく採用したホール素子の特性比較とアンジュレータの磁場測定した結果について紹介する。 |
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SAP027 p.480 | あいちSRビーム輸送系におけるビーム位置モニタリングシステムの構築 Development of Beam Position Monitoring System for Transfer Lines of Aichi SR accelerators ○高野 琢,山本 尚人,保坂 将人,真野 篤志,高嶋 圭史(名大SR),加藤 政博(分子研UVSOL) ○Takumi Takano, Naoto Yamamoto, Masato Hosaka, Atsushi Mano, Yoshihumi Takashima (NUSR), Masahiro Katoh (UVSOL) あいちSRでは2013年4月よりユーザ供用が開始され、現在300mAトップアップでの営業運転が行われている。本施設の光源加速器は、初段の直線加速器とブースターシンクロトロンを接続する低エネルギービーム輸送路(LBTL)、及びブースターシンクロトロンと蓄積リングを接続する高エネルギービーム輸送路(HBTL)の2本のビーム輸送系を備えている。 本施設では2012年3月に加速器コミッショニングが開始されて以降、ブースターシンクロトロンならびに蓄積リングへのビーム入射効率の向上が最重要課題の1つとして掲げられており、ビーム輸送系の特に入射セプタム付近におけるビームの形状及び位置のモニタリングシステムの構築は必須のものであった。 本システムでは、ビーム形状のモニタリングにはビーム軌道上にスクリーンモニターと観測用のCCDカメラを設置し、ショット毎のビーム形状を解析し記録を行うことができる。また、ビーム位置のモニタリングには、ボタン電極から取り出したショット毎のパルス波形をLiberaを用いて解析し、加速器装置制御システム(EPICS)及びデータベースサーバへの記録を行っている。このシステムをもとにライナック加速エネルギーの最適化や光学系の調整を進め、現在約15分程度で300mA入射が可能となっている。 本発表では、あいちSRのビーム輸送系におけるビーム位置モニタリングシステムの構築と、このシステムをもとにした加速器調整の詳細について報告する。 |
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SAP028 p.483 | 高強度コヒーレント放射による吸収分光 Absorption spectroscopy by using the high-intensity coherent radiation ○斉藤 秀輝,奥田 修一(阪府大),高橋 俊晴(京大) ○Hideki Saito, Shuichi Okuda (Osaka Prefecture Univ.), Toshiharu Takahashi (Kyoto Univ.) 高エネルギー電子バンチからのコヒーレント放射は、極めて高いパルス強度が特徴である。特に単一極の電場(半サイクル光)は、物質中にパルス電場を与えて、コヒーレントでブロードバンドという特徴ある光によって電子や極性分子の挙動制御が可能になると考えられる。本研究では、京大炉Lバンド電子ライナックのエネルギー37 MeVの電子ビームによるコヒーレント遷移放射光源を利用して、数種の試料に対してミリ波領域で吸収分光を行い、光の透過スペクトルを測定し、光強度の影響について調べた。シリカナノ粒子を、厚さ3 mmの無水石英板で挟んで厚さ5 mmとした試料の、光の透過率の波数依存性を調べた。光強度を1桁変えると、数%の透過率の変化が観測された。これは、入射光により微粒子内に何らかの変化が誘起されたことを示唆する。半サイクル光による効果の可能性については明らかでない。このような現象は、他の試料についても認められた。光の強度の効果について調べるために、時間分解による過渡現象の測定が必要である。大阪府大16 MeV Sバンド電子ライナックを用いて、時間分解でこの現象を解析する測定系を開発した。 |
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SAP029 p.487 | レーザCompton散乱ガンマ線ビームによる遮蔽評価法 Shield Evaluation Method by LCS Gamma-ray Beam ○宮本 修治,北川 靖久(兵庫県立大高度研),塚越 健一,齊藤 義秀,川原 竜太,川原 愉(カワハラ技研) ○Shuji Miyamoto, Yasuhisa Kitagawa (LASTI、Univ. of Hyogo), Kenichi Tsukagoshi, Yoshihige Saitoh, Ryuta Kawahara, Satoshi Kawahara (KAWAHARA Tech. Research) ガンマ線遮蔽材料の評価に、レーザCompton散乱(LCS)ガンマ線ビームを利用した。ニュースバル放射光施設のLCSガンマ線源は、炭酸ガスレーザーと1GeV/300mA電子ビームを組み合わせることで、1.7MeVの準単色ガンマ線ビームを発生することができる。このガンマ線源は、ビーム状で広がりが小さいため(1/γ)また、1-3mmの鉛コリメーターを利用することで、ガンマ線の広がりを数mmに抑えることが出来る。これにより、直径2cm程度の小さいサンプルでもガンマ線遮蔽率を精度良く測定可能とできた。 また、厚さの薄いサンプルでは、確率的変動や時間変動により計測精度が低下する。このため、短時間の計測を多数回繰り返す方法を利用した。 |
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SAP030 p.490 | SACLAにおけるコヒーレント遷移放射光を利用したマイクロバンチング不安定性の特性評価 Evaluation of microbunching instability using coherent optical transition radiation at SACLA ○渡川 和晃,原 徹,田中 均(理研 放射光科学総合研究センター),松原 伸一(高輝度光科学研究センター) ○Kazuaki Togawa, Toru Hara, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center), Shinichi Matsubara (JASRI) X線自由電子レーザー施設SACLAでは、XFEL光を生成する為に、複数の電子バンチ圧縮装置を使ってピーク電流が3 kA以上の高密度電子ビームを作り出している。SACLAでは、最終バンチ圧縮の段階でバンチの内部に可視光波長程度の密度変調(マイクロバンチ)が急成長し、これが原因でビームプロファイル測定の際に強力なコヒーレント遷移放射光(COTR)が発生して、正確なプロファイル測定に困難をもたらしている。COTRの発生はマイクロバンチング不安定性現象の一部であるが、マイクロバンチの発生機構を物理的に解明することは非常に重要で、世界的にも精力的に研究がなされている。今回、このマイクロバンチの特性を評価する為に、四極電磁石を使ってマイクロバンチを消滅させる実験を行った。四極電磁石は、マイクロバンチが急激に成長する最終バンチ圧縮器の分散部に設置した。これを励磁することで、バンチ圧縮器の行路長に水平位置および角度に応じた変化を与えられるので、マイクロバンチを拡散消滅することができると考えた。実験を行った結果、四極電磁石を励磁するとCOTRの強度は減衰し、その時の条件で計算したマイクロバンチの平均的な拡散距離がCOTRの波長と一致することを確認した。本学会では、SACLAにおけるCOTRを利用したマイクロバンチング不安定性の特性評価について発表する予定である。 |
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SAP031 p.493 | 小型電子ビーム模擬装置による重イオン慣性核融合のための最終段パルス圧縮のビーム動力学研究 Study on Beam Dynamics during Final Pulse Compression for Heavy Ion Inertial Fusion using Compact Electron Beam Simulator ○菊池 崇志(長岡技科大),曽我 之泰,朴 英樹(金沢大),堀岡 一彦,酒井 泰雄(東工大),佐藤 知拓,高橋 一匡,佐々木 徹,阿蘇 司,原田 信弘(長岡技科大) ○Takashi Kikuchi (Nagaoka Univ. Tech.), Yukihiro Soga, Hideki Park (Kanazawa Univ.), Kazuhiko Horioka, Yasuo Sakai (Tokyo Tech.), Tomohiro Sato, Kazumasa Takahashi, Toru Sasaki, Tsukasa Aso, Nob. Harada (Nagaoka Univ. Tech.) 重イオン慣性核融合で必要とされる大電流の重イオンビームを生成するために,ドライバーシステム最終段で急激なビームパルス圧縮が要求される.進行方向のパルス圧縮によって,重イオンビームはエミッタンスが支配的な領域から空間電荷効果が支配的な領域へ遷移する.このため,急激なパルス圧縮過程ではビームのエミッタンスが増加することが予想される.エミッタンスの増加はターゲットへの集束を妨げる要因となるため,最終集束系の設計のためには精度良く予測する必要がある.一方で,空間電荷効果が強く影響するビーム領域はビーム動力学が強い相関を持つ多体問題となるため,理論的に予想することが困難である.また,重イオン慣性核融合の最終段パルス圧縮のためには長距離の加速器が必要となるため,実機サイズの実験的な研究は実施が難しい.このため,電子ビームによる小型の模擬装置を用いた実験と数値シミュレーションによる解析の両輪で,重イオン慣性核融合のための最終段パルス圧縮のビーム動力学研究を行っている. |
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SAP032 p.496 | NIRS-930におけるビームのシミュレーション Beam Simulation for NIRS-930 ○中尾 政夫,北條 悟,片桐 健,杉浦 彰則,野田 章(放医研),後藤 彰(山形大学),本間 壽廣(加速器エンジニアリング),Smirnov Victor,Vorozhtsov Sergey(JINR) ○Masao Nakao, Satoru Hojo, Ken Katagiri, Akinori Sugiura, Akira Noda (NIRS), Akira Goto (Yamagata Univ.), Toshihiro Honma (AEC), Victor Smirnov, Sergey Vorozhtsov (JINR) 放射線医学総合研究所のサイクロトロンNIRS-930(K=110)において、3次元電磁場分布のシミュレーション結果を基としてビームの軌道計算を行うサイクロトロン用ビームダイナミクス解析コードSNOP[1]を用いてビームのシミュレーションを行っている。サイクロトロンを構成する各機器の電磁場(メインコイル、トリムコイル、ハーモニックコイルによる磁場、マグネティックチャンネル、グラディエントコレクターの磁場、ヨーク内のグレーザレンズの磁場、Dee電極ギャップの電場、インフレクターの電場)をOPERA-3dを用いて計算し、それらの分布のもとで入射・加 速・取り出しの軌道計算を行った。これまでに、陽子30MeVの条件において、RF位相、ビームパターン、ビーム透過効率が計算され、実際の運転をよく再現することが確認された。次の課題として、エネルギーを変えての計算を進めている。例えば、陽子をハーモニクス2で18MeVに加速する場合のシミュレーションにおいて、実際の運転時のトリムコイル電流あるいは理想的等時性磁場になるようなパラメータでは、シミュレーション上でQz=0.5の共鳴によってビームが上下方向に発散してしまう問題が発生した。共鳴によってビームが失われることを防ぐために、共鳴を避けるか、あるいは素早く通過するような磁場の条件を探した。その進捗状況について報告する。 [1] V.L. Smirnov, S.B. Vorozhtsov, Proc. of RUPAC2012 TUPPB008 325 (2012) |
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SAP033 p.500 | サイクロトロンの中心領域における位相バンチングの解析 Analysis of phase bunching in a central region of a cyclotron ○宮脇 信正(原子力機構高崎),福田 光宏(大阪大学核物理研究センター),倉島 俊,柏木 啓次,奥村 進(原子力機構高崎),荒川 和夫(群馬大学重粒子研究センター),神谷 富裕(原子力機構高崎) ○Nobumasa Miyawaki (Takasaki, JAEA), Mitsuhiro Fukuda (RCNP, Osaka University), Satoshi Kurashima, Hirotsugu Kashiwagi, Susumu Okumura (Takasaki, JAEA), Kazuo Arakawa (Heavy-ion Medical Center, Gunma University), Tomihiro Kamiya (Takasaki, JAEA) サイクロトロンの中心領域において、最初の加速ギャップで受ける加速電圧によるエネルギー利得の違いによって、ビームの位相幅が狭まる「位相バンチング」が生じる場合がある。この発生条件を一様磁場中の荷電粒子の軌道の幾何解析によって明らかにした。幾何解析では、第1から第2加速ギャップの間で、初期位相が異なる粒子のエネルギー利得差によって生じる軌道差から位相差を求めた。この結果、ディー電極の開き角、第1加速ギャップから第2加速ギャップの間の開き角、加速ハーモニック数(H)、加速電圧のピーク値とイオン源の引出し電圧の比の4つのパラメーターの組合せによって、位相バンチングが発生することがわかった。この解析を原子力機構AVFサイクロトロンに適用した結果、位相バンチングはH=2と3の加速条件に対して生じるが、H=1に対しては生じず、これまでの測定結果と一致した。 |
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SAP034 p.503 | SuperKEKBにおけるLow Emittance Tuningのシミュレーション Numerical Simulation of Low Emittance Tuning at SuperKEKB ○杉本 寛,大西 幸喜,森田 昭夫,小磯 晴代,生出 勝宣(高エネ研) ○Hiroshi Sugimoto, Yukiyoshi Ohnishi, Akio Morita, Haruyo Koiso, Katsunobu Oide (KEK) SuperKEKBは人類未踏のルミノシティ・フロンティアを目指す、電子-陽電子の衝突型円形加速器である。具体的にはKEKBのピークルミノシティ2x10^34 cm^-2s^-1の40に相当する、8x10^35 cm^-2s^-1への到達が目標となる。基本的な戦略としては、KEKBに比べて、ビーム電流値を2倍、衝突点でのビームサイズを20分の1にする、というものである。ビームサイズを20分の1にするために、衝突点でのベータ関数を絞り込むと同時に、非常に高品質なビームが要求される。そのため、実機運転ではマシンの各種不確定要素に起因するエミッタンス増大の補正が必須課題になる。我々は、これまでに、各種のマシンエラーがエミッタンスに与える影響や、その補正方法を、主にシミュレーションを用いて検討してきた。本学会では、これまでの検討結果を報告する。 |
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SAP035 p.507 | AC Skew Q を用いた差共鳴無しの新しいX-Y結合生成法と高速切替による応用 X-Y Coupling Generation with AC/Pulsed Skew Quadrupole and its Application ○中村 剛(高輝度光科学研究センター) ○Takeshi Nakamura (JASRI/SPring-8) 蓄積リングにおいて、水平ー垂直結合(x-y結合)を、差共鳴を用いずに、フルカップルの強さまで発生させる新しい機構として、AC駆動されたSkew Q磁石を用いる手法を提案している[1]。通常、x-y結合をフルカップルまで駆動するためには、差共鳴、すなわち、水平、垂直のチューンの小数部を等しくし、水平、垂直のベータトロン周波数を合致させる必要があるが、この場合、チューンに対して強い制限が加わる。これに対して、水平、垂直のベータトロン周波数が互いに異なっていた場合であっても、Skew Q 磁石を、水平、垂直のベータトロン周波数の差の周波数で駆動すれば、結合を駆動する周波数を互いの共鳴周波数に変換でき、x-y結合を、フルカップルまで駆動することが可能となる。これにより、水平、垂直のチューンの自由度をもたせることが可能となり、また、この Skew Q 磁石は触媒のような働きを引き起こすため比較的弱いものでよく、高速切替が可能なデバイスの製作が可能である。ここでは、このようなデバイスを用いたいろいろな応用を展開する。 [1] 中村剛、"差共鳴によらないX-Y結合生成とUSRへの応用"、日本物理学会第68回年次大会予稿集 (2013)。 |
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SAP036 p.512 | 横方向電場を組み合わせた遅い取り出しビーム運動量変化の低減 Reduction of momentum variation of a slow extracted beam combining with transverse RF field ○藤本 哲也(加速器エンジニアリング),山田 聰,金井 達明,想田 光(群馬大学),田久保 篤(加速器エンジニアリング),野田 耕司(放医研) ○Tetsuya Fujimoto (AEC), Satoru Yamada, Tatsuaki Kanai, Hikaru Souda (GHMC), Atsushi Takubo (AEC), Koji Noda (NIRS) 群馬大学重粒子線医学センターでは平成22年から最大400MeV/nのカーボンビームを使った治療照射を開始している。本施設ではシンクロトロンから3次共鳴を利用した遅い取り出し法により約1秒かけてビームを取り出しているが、3次共鳴現象を引き起こすために有限のクロマティシティーのもとでRF周波数を変化させる方法を採用している。RF周波数の変化幅から現状の取り出しビーム運動量変化を求めると1秒間で約0.4%あり、HEBTでの軌道変動の原因になるため、これを低減させる研究に取り組んでいる。ここではビームに対して横方向にチューンの小数部分×周回周波数となる電場を印加し、位相空間上でホーロー状分布を形成させてからリングのメインRFをスイープする方法を検討している。これはセパラトリクス上とビーム中心のチューンの違いを利用したもので、シミュレーションにより取り出しビームの運動量変化を3割ほど低減できる結果を得ることができた。ここではシミュレーションおよび検証実験の結果について報告する。 |
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SAP037 p.515 | J-PARC MRにおける縦方向エミッタンス増大操作のシミュレーション Simulation of controlled longitudinal emittance blow-up in J-PARC MR ○山本 昌亘,野村 昌弘,島田 太平,田村 文彦(原子力機構),絵面 栄二,原 圭吾,長谷川 豪志,大森 千広,高木 昭,高田 耕治,戸田 信,吉井 正人(高エネ研),シュナーゼ アレクサンダー(GSI) ○Masanobu Yamamoto, Masahiro Nomura, Taihei Shimada, Fumihiko Tamura (JAEA), Eizi Ezura, Keigo Hara, Katsushi Hasegawa, Chihiro Ohmori, Akira Takagi, Koji Takata, Makoto Toda, Masahito Yoshii (KEK), Alexander Schnase (GSI) J-PARC MRでは、大強度陽子ビームを前段のRCSから受け取り、30 GeVまで加速している。縦方向のエミッタンスについてはMRは10 eVsで設計されているが、RCSの通常加速パターンでは5 eVsのビームが取り出されるため、どこかの段階で縦方向エミッタンスを増大させることが求められる。特に、MRのフラットトップにおいて遅い取り出しを行う場合にはMicrowave instabilityの問題があるため、エミッタンスを大きくしておく必要がある。 RCSの加速後半にはRFバケツに余裕があるため、RCSでエミッタンスを増大させることができれば、エミッタンスが大きく、かつバンチングファクターも大きなビームをMRに入射することができ利点が多いが、RCS、MRともにキッカーが長いバンチに対応できないため、MRにおいてエミッタンスを 増大させることを検討している。 本発表では、加速に使う基本波よりも高い周波数の加速空洞で位相変調することにより、エミッタンス増大操作を行うシミュレーション結果について述べる。 |
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SAP038 p.520 | CsK2Sb光陰極の電子引き出し寿命に関する研究 A LIFETIME STUDY OF CSK2SB PHOTOCATHODE ○山本 記史,栗木 雅夫,郭 磊(広島大学先端研) ○Norihito Yamamoto, Masao Kuriki, Lei Guo (Hiroshima Univ. Adsm) レーザーフォトカソードによる電子ビームは、低エミッタンス、短パルスなど優れた性質を持ち、多くの先進型加速器において重要な役割を担うが、大電流引き出しとカソード耐久性の両立に課題が残る。マルチアルカリカソードは高い量子効率で可視光励起が可能なことから大電流の引き出しが見込まれ、さらに高い耐久性も期待されている。本研究ではこのマルチアルカリカソードを生成し、性能を評価するための実験システムを構築した。生成したカソードは高い量子効率を示すとともに電荷引き出し無しの状態で非常に長い寿命が見込まれた。今回は電子を引き出し続けた場合の引き出し電荷寿命について詳細に報告する。 |
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SAP039 p.523 | J-PARC RCSにおける荷電変換フォイルの調製 Preparation of the charge stripping foil in J-PARC RCS ○佐伯 理生二,吉本 政弘,山崎 良雄,飛田 教光,岡部 晃大,金正 倫計(日本原子力研究開発機構),竹田 修,武藤 正義(日本アドバンストテクノロジー株式会社) ○Riuji Saeki, Masahiro Yoshimoto, Yoshio Yamazaki, Norimitsu Tobita, Kota Okabe, Michikazu Kinsho (Japan Atomic Energy Agency), Osamu Takeda, Masayoshi Mutoh (Nippon Advanced Technology Co.,Ltd.) J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS:Rapid Cycling Synchrotron)は荷電変換フォイルを用いた荷電変換多重入射方式を採用している。RCSは、ビーム運転期間中でもフォイルが破損したときに短時間で交換できるように、予備を含めて15枚のフォイルを装置内に装填している。フォイルは厚さ約1μmの薄膜でできており、そのままでは扱うことが困難である。そこでSiCファイバーを張り付けたフレームにフォイルを固定して、フォイルに触れずフレームだけを掴んで操作出来るようにした。 新規フォイルとの入れ替えを行うためには、次のような準備作業が必要となる。 ①ガラス基板に蒸着しているフォイルの剥離と回収 ②剥離したフォイルの乾燥及び切り出し ③SiCワイヤの準備とフレームへの張り付け ④フォイルをフレームへ固定 ⑤マガジンラックへの装填 これら一連のフォイル調製について、これまでは全て手作業で行っていたが作業工数が多くまた複雑で細かな作業となるため、準備したフォイルの品質にばらつきがあった。そこで再現性を確保するようなフォイル調製を実現するために必要な装置の開発を行った。同時に作業を効率的に行うための手法を確立した。本発表ではこれまで確立した手法や、開発した治具について詳しく発表する。 |
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SAP040 p.527 | BNLにおけるRHIC、NSRL用レーザーイオン源のエミッタンス測定 Emittance from laser ion source for RHIC and NSRL in BNL ○関根 恵,澁谷 達則,林崎 規託(東工大),岡村 昌宏(ブルックヘブン国立研究所) ○Megumi Sekine, Tatsunori Shibuya, Noriyosu Hayashizaki (Tokyo.Tech), Masahiro Okamura (BNL) 米国ブルックヘブン国立研究所の電子ビームイオン源(EBIS)はRelativistic Heavy Ion Collider(RHIC)とNASA Space Radiation Laboratory(NSRL)用の重イオン源である。レーザーイオン源(LIS)は、低エミッタンスビームを生成でき、1秒ごとに核種の切り替えが可能であるため、EBISへの1価イオンの入射器として採用された。RHICへはAuとCuを、NSRLへは宇宙線シミュレーション実験のためC, Al, Si, Cr, Fe, Cu, Ta等を供給する。 LISからのイオン電流を保持するため、ダブルパルスレーザーを使用し、さらにプラズマドリフト区間においてはソレノイドを用いたシステムを完成させた。EBISの入射位置における電流値とエミッタンスを、ファラデーカップとペッパーポットを用いてそれぞれ測定した結果、EBIS用入射器としての要求を十分満たすことに成功した。 |
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SAP041 p.530 | 理研28 GHz超伝導ECRイオン源からのX線測定 Measurement of X-ray from RIKEN 28 GHz Superconducting ECR ion source ○大関 和貴,日暮 祥英,大西 純一,中川 孝秀(理研仁科センター) ○Kazutaka Ozeki, Yoshihide Higurashi, Jun-ichi Ohnishi, Takahide Nakagawa (Nishina Center, RIKEN) 多くの実験施設において、大強度のRIビームを供給するための外部イオン源として、超伝導ECRイオン源(SC-ECRIS)が製作されている。近年、イオン源内のプラズマから放射される制動X線がSC-ECRISの液体ヘリウムに熱負荷を与えることが報告された。この事実は、イオン源内に導入できるRFパワー、ひいてはビーム強度が冷凍機の冷却能力によって制限されうることを示唆する。 この問題点の一つの回避方法として、イオン源のパラメーター調整によって制動X線の放射量や放射方向を調節することが挙げられる。理研28 GHz SC-ECRISにおいて、NaIシンチレーションカウンターをイオン源の下流軸方向に設置し、ミラー磁場の形状を様々に変化させながら124Xe20+のビーム強度ならびに制動X線の測定を行った。Maxwell分布を仮定して、得られたエネルギースペクトルより制動X線のスペクトル温度および放射量(計数率)を導出した。その結果、動径方向の磁場を強くすることによって、ビーム強度が増大するとともに制動X線の放射方向が軸方向に集中することが分かった。 本発表では、測定結果について報告し、制動X線による液体ヘリウムへの熱負荷を抑える方策について考察する。 |
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SAP042 p.533 | RCNPにおけるイオン源引出し系及び輸送系の改良と重イオンビーム開発 Developments of Heavy Ion Beam by Modification of Extraction and Transport System of Ion Source at RCNP ○依田 哲彦,畑中 吉治,福田 光宏,植田 浩史,森信 俊平,田村 仁志,安田 裕介,鎌倉 恵太(阪大RCNP) ○Tetsuhiko Yorita, Kichiji Hatanaka, Mitsuhiro Fukuda, Hiroshi Ueda, Shunpei Morinobu, Hitoshi Tamura, Yuusuke Yasuda, Keita Kamakura (RCNP, Osaka Univ.) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)では、AVF サイクロトロン及びリングサイクロトロンでの加速ビームの強度の増強及び加速イオンの多様化を目指し、18GHz 超伝導ECR イオン源を導入し開発を進めてきた。これまでB,C, O, N, Ne, Kr, Xe などのイオン生成の開発が行われ、既に実験ユーザーにも供給されてきた。今回、更なる加速ビーム増強のため、イオン源出口電極構造の大幅な改造を行った。具体的には開口の拡大、及び印加電圧の最適化を行った。また、引出されたイオンビームのAVFサイクロトロン入射までのビーム透過効率の向上を目指し、漏れ磁場が問題となっているビーム輸送系へのステアリングマグネットの設置などを行った。これらの改造を基にビームテストを行ったところ、引出ビーム強度の大幅な向上が見られた。講演ではこれらビーム開発の詳細について発表する。 |
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SAP043 p.536 | SPring-8線型加速器の新型電子銃カソードの試作試験 R&D of the gun cathode for the SPring-8 Linac ○鈴木 伸介,谷内 努,小林 利明,花木 博文((公財)高輝度光科学研究センター) ○Shinsuke Suzuki, Tsutomu Taniuchi, Toshiaki Kobayashi, Hirofumi Hanaki (JASRI) SPring-8でのTop-up運転において短寿命のフィリングパターンの運転が導入され、より大きな入射電流の要求が高まっている。またフォールト時のクライストロン電源の自動切り替えの際にオプティクスの変更を行わないためLinacからの出射電流は多少減少することが多い。これらに対応するために大きな改造を伴わない電流増強案として電子銃からの電流を増やすことを目的として試作、試験を行っている。 現在は直径8mmのCPI/EIMAC社Y845カソードを用いて1nsのパルス幅でピーク6Aの電子ビームを得ている。このときのアノード電圧180kV、バイアス電圧60V、グリッド電圧300Vである。今回試作した電子銃カソードはカソードの直径を10mmに拡げ、また径0.4mmのディンプル構造を敷き詰めた配置とし、グリッド穴とアライメントを取ることにより引き出し効率を上げて電流の増強を図る。 現在まで試作の第1号において70kVのアノード電圧を持つテストベンチで1kVのグリッドパルサーを用いることにより最大12Aの引き出し電流を得ることに成功している。本発表においてそのビームシミュレーション、構造、試験について発表する予定である。 |
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SAP044 p.540 | 高輝度電子銃用フォトカソード新材料の開発と高量子効率化の研究 Development of new photocathode materials and its quantum efficiency improvement for high brightness electron gun. ○佐藤 大輔(東京工業大学大学院),吉田 光宏(高エネ研),林崎 規託(東京工業大学原子炉工学研究所),夏井 拓也(高エネ研),田中 功(山梨大学) ○Daisuke Satoh (Tokyo Inst. of Technology ), Mitsuhiro Yoshida (KEK), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Inst. of Technology ), Takuya Natsui (KEK), Isao Tanaka (Yamanashi University) 次世代の電子線形加速器では、高電荷・低エミッタンスの電子源が必要とされており、フォトカソード型電子銃の導入が必須である。しかし、フォトカソード型電子銃の導入にあたってはフォトカソード材料の選定が大きな問題となっている。従来のフォトカソード材料は、①高量子効率(~10%)ではあるが、短寿命(100h)かつ取り扱いが難しいアルカリ金属系フォトカソードか②長寿命(~1 year)であるが、低量子効率(~10-4)の純金属系フォトカソードの2つの選択肢に限られており、電子源の要求性能に合わせて使い分けているのが現状である。本研究は、このような現状を打開することができるような(ⅰ)高量子効率・長寿命という理想的な性質を合わせもつフォトカソード新材料の研究開発と(ⅱ)高温加熱フォトカソードや表面プラズモン励起フォトカソードといったカソードの高量子効率化の研究を行った。 具体的には、(Ⅰ) IrCe化合物の中でも最も安定な結晶相をもち、かつ最高融点(2250℃)を示すIr2Ce化合物と(Ⅱ)アルミナセラミックスの一種である12CaO・7Al2O3(C12A7)という電気絶縁体に熱処理を施し、電気伝導性を持たせたC12A7エレクトライドという物質を新規開発し、フォトカソードとしての利用可能性を研究した。さらに材料開発に加え、Ir5Ceフォトカソードを用いて金属表面で起こる表面プラズモン共鳴を利用したフォトカソードの高量子効率化の研究に取り組んだ。 |
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SAP045 p.544 | Simulation studies of low emittance muon re-acceleration for muon microscopy application ○Sayyora Artikova, Fujio Naito, Mitsuhiro Yoshida (KEK), Noriyosu Hayashizaki (Titech) While conventional muon beam can be used to investigate rather small samples, there is a strong requirement for still lower energy ultra-slow muons that can be stopped near sample surfaces, in thin films and near multi-layer interfaces. A number of cooling techniques have been suggested to produce ultra-slow muons, such as two-photon laser resonant ionization of muonium atoms and energy moderation of muons in a thin foil-degrader. In this work, in close collaboration with the Muon Science Establishment (MUSE) at Material and Life science experimental Facility of J-PARC, we provide a brief overview of the primary muon production target, where two of the four associated secondary beam transport lines which are dedicated to experiments employing the ultra-slow muons. In particular, we present the results for simulation of the ultra-slow muon production with tunable energies in the range of energies between 5.65 and 30 keV based on the simple energy moderation of transported muon beam in thin foil-degrader. In addition, we discuss accelerator optics design and beam acceleration simulation results for muon microscopy, which can provide a microbeam. |
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SAP046 p.547 | マルチアルカリフォトカソードの初期エミッタンス測定装置の設計 Design of the initial emittance measurement system for Multi-Alkali photo cathode ○稲垣 瞭(名大院工),許斐 太郎,禿氏 徹成,加藤 政博(分子研 UVSOR),加古 永治,山口 誠哉,小林 幸則(KEK),山本 尚人,保坂 将人,高嶋 圭史(名大 シンクロトロン光センター) ○Ryo Inagaki (Nagoya University), Taro Konomi, Tetsuzyou Tokushi, Masahiro Katoh (UVSOR, IMS), Eiji Kako, Seiya Yamaguchi, Yukinori Kobayashi (KEK), Naoto Yamamoto, Masato Hosaka, Yoshifumi Takashima (NUSR, Nagoya University) 実用段階に入ったX線自由電子レーザーの数万倍の高いパルス繰り返しを持つ次世代自由電子レーザーの実現には、1MHz以上という高繰り返し且つ高品質の電子銃が不可欠である。このためには、高電界且つ連続運転が可能な超伝導空洞と高い応答性を持つフォトカソードの組み合わせが適していると考える。フォトカソードの重要なパラメーターは量子効率と初期エミッタンスであり、これらは超伝導電子銃の性能を予測し、レーザーの選定を行うために重要である。また、超伝導電子銃は極低温で運転するため、熱負荷を考えるとフォトカソードも低温で運転することが望ましい。そこで本研究では、室温から液体ヘリウム温度までの温度域で使用可能なフォトカソードの作製とその量子効率と初期エミッタンスを測定するための簡易なDC電界型測定装置の設計を進めている。また高い量子効率を実現するためにマルチアルカリフォトカソードの採用を検討しており、その基板材料がフォトカソードの特性に及ぼす影響を調べるために、様々な材料にマルチアルカリの蒸着を行い、量子効率測定と初期エミッタンス測定を行う計画である。 本発表では、我々が開発を進めている蒸着チャンバーでの蒸着試験結果と初期エミッタンス測定装置の構成について報告する。 |
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SAP047 p.550 | マルチパルスレーザーを用いたレーザーイオン源 Laser ion source with a multi pulse laser ○不破 康裕,池田 峻輔,熊木 雅史,関根 恵(理研),岡村 昌宏(BNL),岩下 芳久(京大化研) ○Yasuhiro Fuwa, Shunsuke Ikeda, Masafumi Kumaki, Megumi Sekine (RIKEN), Masahiro Okamura (BNL), Yoshihisa Iwashita (ICR, Kyoto-u) レーザーイオン源は高強度のパルスイオンビームを生成可能な装置として注目されている。レーザーイオン源では、レーザーとターゲットの相互作用で発生したプラズマ中のイオンが引き出し電極で引き出されることによってイオンビームが生成される。この方式では、生成イオンビームのパルス幅は引き出し部でのプラズマの縦方向の大きさによって決定される。レーザープラズマはプラズマ発生位置から引き出し部までの間において断熱膨張しながら進行するため、長いパルス幅のビームを得るにはプラズマのドリフト区間を長くする必要がある。この場合、プラズマの膨張とともにプラズマ中の粒子密度が低下するために得られるイオンビームの強度の低下を避けられない。このイオンビーム強度の低下を避ける方法として、複数のレーザーパルスを用いて時間差をつけてプラズマを生成する方法が考えられる。本研究では、ダブルパルスレーザーを用いてこの手法の可能性を検証している。 |
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SAP048 p.553 | KEK-STFにおけるILCのための超伝導空洞の性能試験のまとめ Summary of vertical tests of superconducting cavity for the ILC at KEK-STF ○山本 康史,加古 永治,宍戸 寿郎,早野 仁司,野口 修一,渡辺 謙,久保 毅幸(高エネルギー加速器研究機構) ○Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako, Toshio Shishido, Hitoshi Hayano, Shuichi Noguchi, Ken Watanabe, Takayuki Kubo (High Energy Accelerator Research Organization) KEK-STFではILCのために開発されたLバンド(1.3GHz)9セル空洞の性能試験(縦測定)が2008年以来、継続的に行われてきた。昨年、STF Phase-2のための8台の空洞が縦測定においていずれも35 MV/mを超える結果となり、すでにILCの要求スペックは問題なく達成できる水準にある。最近の取り組みでは、表面処理の作業工程をより単純化して放射線量の評価を行うことや、量産化を意識した製造法で製作された空洞や海外の研究所で製作されたラージグレイン空洞の性能評価を行っている。一方、これまでに得られた縦測定のデータの詳細な解析も行われている。たとえば、縦測定でのクエンチの際に発熱している場所は温度マッピング装置により確実に検出可能であるが、この発熱箇所には偏りがあることが最近明らかになった。本発表では、縦測定の最近の結果から詳細なデータ解析の中身までを報告する。 |
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SAP049 p.558 | 東芝におけるILC向け超伝導加速空洞の開発 Development of Superconducting Cavity for ILC at TOSHIBA ○太田 智子,高崎 正浩,金井 芳治,山田 正博,戸坂 泰造,黒岩 信好,森 和彦,野村 俊自,渡辺 順子,佐藤 潔和(東芝) ○Tomoko Ota, Masahiro Takasaki, Yoshiharu Kanai, Masahiro Yamada, Taizo Tosaka, Nobuyoshi Kuroiwa, Kazuhiko Mori, Toshiji Nomura, Junko Watanabe, Kiyokazu Sato (TOSHIBA) 東芝は2009年度より国際リニアコライダー(ILC)向け超伝導加速空洞の開発を開始し、高エネルギー加速器研究機構(KEK)との共同研究を開始した。これまでに2台の9セル超伝導加速空洞を試作し、KEKにて性能を測定した。この結果、2011年度に製作した2号機は最大加速電界36.1MV/m(@Q0値=7.3×10^9)を達成し、ILC向け超伝導加速空洞の仕様(35MV/m@Q0値=8×10^9)を満たした。また、2012年度は高調波取出しカプラー(HOMカプラー)を試作し、ノッチ周波数を測定した。東芝におけるILC向け超伝導加速空洞の開発状況について報告する。 |
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SAP050 p.561 | IFMIF/EVEDA原型RFQ加速器のRFカプラー開発 Development of the RF input coupler for the IFMIF/EVEDA prototype RFQ linac ○前原 直,市川 雅浩,高橋 博樹,鈴木 寛光,杉本 昌義(原研 ) ○Sunao Maebara, Masahiro Ichikawa, Hiroki Takahashi, Hiromitsu Suzuki, Masayoshi Sugimoto (JAEA) 国際核融合中性子照射施設(IFMIF)加速器系の工学設計工学実証活動((EVEDA)では、重陽子イオンビーム125mAを9MeVまで定常運転で加速するために、 Injector(100kV-140mA)、運転周波数175MHzを採用したRFQライナック(0.1-5.0MeV-130mA)と超伝導RFライナック(5.0MeV-9MeV-125mA)の開発を進めている。RFQライナックでは、8つのRFインプットカプラーを用いてトータル1.38MWの高周波電力入射が要求され、6 1/8インチ同軸導波管をベースにループアンテナを採用した定常化RFインプットカプラーの開発を行っている。ループアンテナの大きさは、実機モデルを模擬した長軸アルミRFQ(L=9.8m)を用いたカップリングファクターの測定により決定した。また定常化運転のためにループアンテナ内部に冷却チャンネルを設けて、ループアンテナの熱負荷300Wレベルに対して常水圧にて数kWレベルの熱除去を可能とした。さらにループアンテナ構造を持つRFインプットカプラーの高周波伝送試験のために、新たにカップリングキャビティを設計し、カップリングキャビティに2つのRFカプラーを接続してRF伝送試験を開始した。本講演では、IFMIF/EVEDA原型RFQ加速器のRFインプットカプラーとカップリングキャビティの工学設計について発表する。 |
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SAP051 p.564 | カンタル溶射空胴のRFコンディショニングと高電力特性 RF conditioning and high-power performance of a Kanthal sprayed cavity ○宮原 房史,荒木田 是夫,松本 修二,肥後 寿泰(KEK),東 保男(沖縄科学技術大学院大学) ○Fusashi Miyahara, Yoshio Arakida, Shuji Matsumoto, Toshiyasu Higo (KEK), Yasuo Higashi (OIST) KEK電子陽電子入射器ではSuperKEKBのためのアップグレードを進めており、陽電子ビームに関しては、KEKBの4倍の4 nCのバンチ電荷とダンピングリング入射時のサテライトバンチの抑制が要求される。陽電子捕獲部は標的と直後のパルスソレノイド、これに続くDCソレノイドを備えた加速管で構成される。加速管は大口径のS-band(LAS)を採用するが、当初予定していたL-band加速管を用いる方法もLASでの陽電子高収量化に転用可能であるため研究を継続している。L-bandを用いる場合は主加速周波数(S-band)の5/11倍の周波数1.298 GHzを用いる事でサテライトバンチの抑制が可能であるが、導波管部分のソレノイド磁場の落ち込みによる収集効率低下とソレノイド径の増加でコスト、電力、水冷要求が増す問題があるため、出力カプラー部を通常のセル構造にカンタル(Fe-Al-Cr合金)を溶射したコリニアロードに置き換えた加速管を設計した。カンタル溶射セルの高電力特性を調べるため、3空胴のうち中央の空胴が設計値と同じQ値をもつ様にカンタルを溶射した定在波空胴を製作し、進行波管と同等の加速電場となる入力電力で試験を行った。コンディショニング過程と真空挙動、暗電流の変化等を印加するソレノイド磁場との関係も含め報告する。ガス放出特性に難があるが、設計加速電界での運転は可能であろうとの結論を得た。 |
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SAP053 p.569 | 超伝導空洞用インプットカプラーで使用される極薄肉銅メッキについてのRRRおよび厚み測定 Measurements of RRR and thickness on thin Cu-plating used for input couplers in superconducting cavities ○梅澤 裕明,齋藤 太(東京電解(株)),加古 永治(高エ研) ○Hiroaki Umezawa, Futoshi Saito (Tokyo Denkai), Eiji Kako (KEK) 超伝導空洞のインプットカプラーには、効率よくクライストロンからの電力を導入するために電気抵抗が低いことが望まれる。その一方で、クライオスタット外からの熱侵入を抑えるために熱伝導率は低い方が望ましい。この相反する特性をかなえるため、ステンレスに銅メッキを施したインプットカプラーが開発されているが、最適な銅メッキ条件を探るため、メッキ方法の異なるサンプルを複数用意して顕微鏡を用いての膜厚測定とRRR(Residual Resistivity Ratio: 残留抵抗比)の測定を行った。 |
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SAP054 p.573 | STF加速器での9セル超伝導加速空洞アライメント検出のためのHOM解析 Analysis of HOM for alignment detection of 9-cell superconducting cavities in STF Accelerator ○倉本 綾佳(総合研究大学院大学),早野 仁司(高エネルギー加速器研究機構) ○Ayaka Kuramoto (Sokendai), Hitoshi Hayano (KEK) ILCではクライオモジュールに対して300 um以下のオフセット且つ300 urad以下の傾きで9セル超伝導加速空洞が設置されていることが要求されている.このためクライオモジュール内の空洞のオフセットおよび傾きを測定する必要がある.ビーム通過位置と電気的中心との距離はダイポールモードHOMの強度に比例することが知られており,ダイポールモードのこの性質を利用した空洞のオフセット量はすでにDESYのFLASHにおいて測定されているが,組み立て中や2Kまでの冷却中に生じた空洞の曲がり等の変形の測定は未だ行われていない.空洞の傾きおよび歪みを空洞長手方向中心および両端での空洞電気的中心の関係から推定することを試みている.空洞長手方向中心の電気的中心はその位置で最も振幅が大きくなる電場分布を持つHOMの最低周波数帯中の9分のπモード(TE111-1)から導出し,空洞両端の電気的中心はビームパイプ付近に局在するモードを用いて求める.これらのHOMを探索する実験をSTF加速器にて行った.RF電子銃から取り出されたビームは2つの9セル超伝導加速空洞により40 MeVまで加速されたが,この加速器内の超伝導空洞においてTE111-1およびビームパイプモードを観測,ビーム軌道データと同期計測することができた.超伝導加速空洞の加速勾配を変えての測定も実施した.本報告ではアライメント検出解析,および異なる加速勾配で取得したデータの解析について議論する. |
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SAP055 p.578 | 4ビーム型IH-RFQ線形加速器の開発 Development of four-beam IH-RFQ linear accelerator ○林崎 規託(東工大原子炉研) ○Noriyosu Hayashizaki (RLNR, Tokyo Tech) 東京工業大学では,低エネルギー重イオンビームの大強度化を目的として,複数のビームを1台の加速空洞のなかで並列に同時加速する,マルチビーム型RFQ線形加速器の研究開発を進めている。そしてこれまでに,2ビーム型のIH-RFQ線形加速器とレーザーイオン源の原理実証機を開発し,炭素イオンビームの加速に成功している。本研究では,その発展型である4ビーム型IH-RFQの開発状況について報告する。 |
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SAP056 p.581 | Cバンドディスクロード型加速管の開発に向けた試作空胴のRF特性測定 RF characteristic measurement of the model cavities towards development of the C-band disk-loaded type accelerating structure ○櫻井 辰幸,稲垣 隆宏,安積 隆夫((独)理化学研究所 XFEL研究開発部門),惠郷 博文((財)高輝度光科学研究センター 加速器部門),三浦 禎雄(三菱重工業株式会社),大竹 雄次((独)理化学研究所 XFEL研究開発部門) ○Tatsuyuki Sakurai, Takahiro Inagaki, Takao Asaka (RIKEN SPring-8 center, XFEL R&D Division), Hiroyasu Ego (JASRI, Acc. Division), Sadao Miura (Mitsubishi Heavy Industries), Yuji Otake (RIKEN SPring-8 center, XFEL R&D Division) XFEL施設SACLAの加速器ではチョークモード型Cバンド加速管が128本使用され、加速電界35 MV/m以上で定常運転を行なっている。チョークモード型はマルチバンチ運転での使用を想定し、ビームによって誘起されるHOMを減衰させるためのチョーク構造を有している。SACLAの高度化として加速器の高繰り返し化が検討されているが、チョーク構造を設けるために加速モードとしてTM01-3π/4モードを選んでおり、そのためシャントインピーダンスが低いこと、熱変形による周波数シフトが大きいこと、構造が複雑であるため製造コストが高いことなどの課題があった。そのため高電界かつ高繰り返し対応のディスクロード型Cバンド加速管の開発を行っている。新しく設計したディスクロード型Cバンド加速管は加速モードをTM01- 2π/3とした。目標として軸上加速電界40 MV/m以上の加速管を目指した。また構造がシンプルなので製造コストの低減も見込まれる。我々は空胴径の異なる3種類のCI管と入力カプラー部を製作し、周波数調整手順の確認とRF特性の評価を行った。その結果、3つの空胴の平均シャントインピーダンスは64 MΩ/mとなった。これは計算値の97%に相当し、軸上加速電界は入力RFパワー80 MWで42 MV/mに達する。これらから実機製作の目処がついた。本報告では新しいCバンドディスクロード型加速管の製作状況について報告する。 |
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SAP057 p.586 | SuperKEKB陽電子ダンピングリング用高周波加速空洞の大電力試験 High Power Testing of the RF Accelerating Cavity for the Positron Damping Ring at SuperKEKB ○阿部 哲郎,竹内 保直,影山 達也,坂井 浩,吉野 一男(高エネ研) ○Tetsuo Abe, Yasunao Takeuchi, Tatsuya Kageyama, Hiroshi Sakai, Kazuo Yoshino (KEK) ナノビーム・スキームを基にするSuperKEKB主リングへの低エミッタンス・ビーム入射を実現するため、SuperKEKB入射器において陽電子ダンピングリングが導入される。当該ダンピングリングでは高周波加速構造として、KEKB加速器での長期安定運転に実績のある常伝導アレス(ARES)空洞系の高次モード減衰構造を基にして、限られたスペースにて最大3重連構成にて運転可能なUHF帯加速空洞を考案し、開発を進めてきた。 前回の発表では、試験空洞の開発、及び、その大電力試験の結果について報告した。本発表では、試験空洞の開発・試験結果を基に製作した実機1号機空洞について、その大電力試験の結果等を報告する。 |
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SAP058 p.594 | ドリフトチューブ線形加速器の省電力化に関する要素技術開発 Component technology development for electric power saving with a drift-tube linac ○山本 和男,永山 貴久(三菱電機株式会社) ○Kazuo Yamamoto, Takahisa Nagayama (Mitsubishi Electric Corp.) ドリフトチューブ線形加速器は、ハドロン加速器の低エネルギー部分に使用され、用途は研究用から産業用まで多岐にわたる。ドリフトチューブ線形加速器を運転するには、ピークで数百kWの高周波電力量を必要とするため、電源システムの肥大化が課題である。 高周波電力は、ドリフトチューブ電極間に加速電界を発生させるために加速空洞に供給され、その量は加速空洞での消費電力量と加速ビームによるローディング量で決まる。上記加速空洞での消費電力量は、加速空洞内の接触抵抗と表面抵抗による量である。 そこで、加速空洞での表面抵抗による消費電力量を削減するため、低温状態で物質の抵抗値が減少する物理現象を、ドリフトチューブ線形加速器の加速空洞に適用するための要素開発を実施している。今回、セル数2からなるドリフトチューブ線形加速器の加速空洞を、冷凍機により最大30Kまで冷却する特性評価機を試作した。 本発表では、特性評価機の構造特徴と、特性評価機を用いたQ値の温度依存性試験結果について報告する。 |
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SAP059 p.597 | 低温領域でのSiCセラミックスの高周波誘電特性 RF Dielectric Properties of SiC Ceramics at Low Temperatures ○竹内 保直(KEK加速器),沢村 勝(原子力機構) ○Yasunao Takeuchi (KEK Accelerator), Masaru Sawamura (JAEA) SiCセラミックスの製品の中には、常温において、マイクロ波領域で、比較的大きな誘電率(実数部、虚数部とも)を持つものが存在することが知られており、加速空洞のHOM減衰器等に電波吸収体として応用されている。特に、KEKB-ARES空洞の溝付ビームパイプ型HOM減衰器で使用されているSiCセラミックスは、マイクロ波領域で典型的な緩和型誘電分散特性を有していることが確認されている。そして、この特性は、SiCセラミックスが持つ「低抵抗結晶粒内と高抵抗結晶粒界」の構造によって説明されている。さらに、この特性の緩和時間は、300~350Kの温度では温度上昇と共に減少することが測定され、この温度特性は、構造モデルに基づいて結晶粒内のキャリア濃度の変化に関係づけて説明されている。今回、私達は、この誘電率発現機構のモデルを検証することを目的として、このSiCセラミックスの高周波誘電特性を40~300Kの範囲の温度で測定した。その結果、温度の低下と共に、緩和時間が増加していると解釈できる結果を得た。この結果は、今までの誘電率発現機構モデルの説明に一致するものである。また、このSiCセラミックスのマイクロ波領域での誘電率は、100K以下の温度では、実数部、虚数部共に小さくなり(緩和時間の増加によると考えられる)、電波吸収体として使用できないことが確認された。本報告では、これらの測定の結果に基づいて、SiCセラミックスの高周波誘電特性について議論する。 |
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SAP060 p.602 | ERL Main Linac実機用チューナの低温特性試験 Performance Evaluation of KEK ERL Main Linac Tuner ○江並 和宏,古屋 貴章,阪井 寛志,佐藤 昌史,篠江 憲治,梅森 健成(高エネ研),沢村 勝(原研),Cenni Enrico(総研大) ○Kazuhiro Enami, Takaaki Furuya, Hiroshi Sakai, Masato Sato, Kenji Shinoe, Kensei Umemori (KEK), Masaru Sawamura (JAEA), Enrico Cenni (Soukendai) 現在,ERL(3GeVクラス)の要素技術・測定技術を獲得するため,compact ERL( 35~200MeV)の開発が進められている.その一環として,我々は1.3GHz超伝導空 洞からなるcompact ERL Main Linac のクライオモジュール製作に向けてR&Dを進めている.本報ではその構成部品の一つであるKEKスライドジャッキチューナの 低温特性試験をおこなった.本チューナはスライドジャッキによるメカニカルな 粗動とピエゾによる微動により周波数チューニングする機構を持つ.特性試験用 のモデルチューナを用いて,駆動に関して基本的な要求仕様を満たしている事と いくつかの改善点を確認した.これらの結果を元に,実機用チューナではcompact ERLでの使用に適応した装置改善をおこなった.実機用チューナの基本特 性試験及びモジュールに組み付けての低温実験をおこない,目標周波数1.3GHzに チューニング可能であることを確認した. |
ポスターセッション1 (8月3日 豊田講堂2階ロビー) | |
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SAP061 p.605 | J-PARCリニアック用クライストロン電源システムの現状2013 Present status of klystron power supply systems for J-PARC linac 2013 ○川村 真人(高エネ機構/J-PARC),千代 悦司,堀 利彦,篠崎 信一,佐藤 文明(原子力機構/J-PARC),福井 佑治,二ツ川 健太(高エネ機構/J-PARC),山崎 正義(三菱電機システムサービス(株)),佐川 隆,宮嶋 教至,雪竹 光輝,小川 真一,伊藤 直人((株)日立製作所) ○Masato Kawamura (KEK/J-PARC), Etsuji Chishiro, Toshihiko Hori, Shin-ichi Shinozaki, Fumiaki Sato (JAEA/J-PARC), Yuji Fukui, Kenta Futatsukawa (KEK/J-PARC), Masayoshi Yamazaki (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd), Ryu Sagawa, Noriyuki Miyajima, Mitsuteru Yukitake, Shin-ichi Ogawa, Naoto Ito (Hitachi, Ltd.) J-PARCリニアック用クライストロン電源システムについて、過去1年間の運転状況等を報告する。181MeVリニアック運転対応として、昨年9月下旬より今年5月下旬まで、年末年始の中断や、スケジュール化された8時間未満のメンテナンス等を除き、終夜連続運転を行った。その間、AVR盤内制御線等のノイズ対策不備、アノード変調器内の電極部接触不良、等の不具合による運転の中断があり、不具合の考察と対策などを行った。運転と並行して、昨年7月初めまで運転していたアノード変調器のうち、未改修分15台を改修して放電対策を施した。エネルギー増強対応として、震災により中断していた972MHzテストスタンド(高圧直流電源HVDCPS#12とACS#21ステーション、ACS空洞やクライストロン・972MHz用部品などの試験等を行う恒久的なテストスタンド)の再立上げ、HVDCPS#10とACS#16ステーション、HVDCPS#11とACS#17ステーション(両方とも、エネルギー増強前にクライストロンの試験を行うTemporallyなテストスタンド)の立上げを行った。J-PARCハドロン施設事故により、今年5月下旬、当電源システムの運転を停止した。エネルギー増強対応の機器については、972MHzテストスタンドを6月18日に運転再開し、ACS#16、#17の両ステーションも近日運転を再開する予定である。 |
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SAP062 p.608 | KEK 電子陽電子入射器における高周波源の運転保守 Operation and Maintenance Activity of RF System in KEK Electron-Positron Linac ○馬場 昌夫,今井 康雄,東福 知之,熊野 宏樹,諸富 哲夫(三菱電機システムサービス(株)),荒川 大,明本 光生,片桐 広明,設楽 哲夫,竹中 たてる,中島 啓光,中尾 克巳,福田 茂樹,本間 博幸,松本 利広,松本 修二,松下 英樹,三浦 孝子,矢野 喜治,道園 真一郎(高エネルギー加速器研究機構) ○Masao Baba, Yasuo Imai, Tomoyuki Toufuku, Hiroki Kumano, Tetsuo Morotomi (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Dai Arakawa, Mitsuo Akemoto, Hiroaki Katagiri, Tetsuo Shidara, Tateru Takenaka, Hiromitsu Nakajima, Katsumi Nakao, Shigeki Fukuda, Hiroyuki Honma, Toshihiro Matsumoto, Shuji Matsumoto, Hideki Matsushita, Takako Miura, Yoshiharu Yano, Shinichiro Michizono (KEK) KEK電子陽電子入射器では、高周波源として 60 台の大電力クライストロンをクライストロンギャラリーに設置しており、1997年~2010年まで年間約 7,000 時間の連続運転を行っていた。 2011年度以降は SuperKEKB へのアップグレード作業が開始され、これと並行して2つのリングへの入射に必要となる24台の大電力クライストロンを使ったビーム運転を行っている。 現在使用中のクライストロン平均運転時間は約47,000時間であり、10万時間近く使用しているものも存在する。故障事例の中には、震災の影響と思われるクライストロン内部真空の悪化、長期連続使用における経年劣化が原因と考えられているクライストロン冷却水配管からの水漏れ、クライストロン管内放電の事例がある。長期連続使用に起因する不具合は今後増加するものと予想される。 運転保守ではクライストロン集束電磁石電源の絶縁不良品の全数点検整備による予防保全、クライストロン用大電力パルス電源の組み込みモジュール修理や予備品の整備を随時行うことで不具合からの迅速な復旧に努めている。また、定期点検によるデータ取得を継続し、不具合の事前予測や事前交換を行い、安定した加速器運転に努めている。 本稿ではクライストロン、サイラトロンなどに関する統計や運転保守について報告する。 |
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SAP063 p.611 | KEKB入射器クライストロン電源用PFNコンデンサー寿命試験結果 LIFE-SPAN TEST RESULTS OF THE PFN CAPACITORS FOR THE KEKB INJECTOR LINAC KLYSTRON MODULATORS ○本間 博幸,中島 啓光,明本 光生,設楽 哲夫,道園 真一郎(高エネ研) ○Hiroyuki Honma, Hiromitsu Nakajima, Mitsuo Akemoto, Tetsuo Shidara, Shinichiro Michizono (KEK) KEKB入射器大電力クライストロン用パルス電源で使用されているPFN用コンデンサーは、重要な高圧部品でありその使用数も多い。現在のコンデンサーはトリスタン加速器の入射器時代に、当時のコンデンサーに不具合が多発したため、25ppsの繰り返しに対して150,000時間以上の設計寿命をもつものとして導入された経緯がある。導入後に直列接続の内部素子数を製品より少なくし、いくつかの過電圧レベルを設定して電圧加速試験を開始した。しかし、過電圧レベルの高い設定(短時間領域)では測定結果(素子の絶縁破壊)が得られていたが、長時間領域では結果が中々得られなかった。最近になり、開始から98,000時間の時点で1.8倍の過電圧レベルのサンプルが壊れ、長時間領域も含めた寿命曲線を描くことができた。設計寿命を大幅に上回る結果が得られた。この報告では、パルス電源でのPFNコンデンサーの使用条件、運転時に不具合を起こした初期のコンデンサーとの設計の違い、そして最近の使用状況についてもあわせて述べる。 |
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SAP064 p.615 | PWM制御を用いた高電圧充電器の開発 Developments of high voltage power supply using PWM control ○近藤 力,稲垣 隆宏,大竹 雄次(理研 放射光科学総合研究センター) ○Chikara Kondo, Takahiro Inagaki, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center) SACLAでは、将来に電子ビームを複数ビームラインへ高速振り分けし、複数ユーザーによるXFEL実験を目指している。この時、個々のユーザーにおけるパルス数の減少を、ビーム運転の高繰り返し化によって補う事を考えており、それに向けた高電圧充電器の高繰り返し化を目指している。この充電器は現電源と同様に主充電と補充電を用いた構成とし、50kVの充電電圧に対し電圧変動が全幅で5V以内という、現電源の高い電圧安定性を保ちつつ、120ppsという倍の繰り返し数での運転が可能なものとする。これには充電能力を増強させるだけでなく、充電電圧の整定時間も短縮させる必要がある。そこで、補充電のフィードバック制御にパルス幅変調(PWM)方式を用いた充電器を開発している。この方式では広帯域な周波数特性が得られ、高速な制御が可能である。このような充電器を設計し、シミュレーションでの評価と予備的な実証試験を行った。シミュレーションでは、制御系の開ループ利得には最適値があり、過大または過小であっても整定時間や安定性は悪化することが示唆された。また、充電電圧のオフセットを抑えるために通常用いられる積分制御を加えると、コンデンサ負荷に起因する位相遅れのために不安定性が生じる場合があることも分かった。これらの結果を踏まえ、実証実験によって電圧安定性を測定したところ、目標の安定性を達成可能なことを確認した。 |
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SAP065 p.621 | 大電力スイッチング電源の開発 Development of High-Power Switching Power Supply ○遠藤 治,熊澤 伸彦,佐藤 和行,篠原 己拔(日本高周波株式会社),明本 光生,設楽 哲夫,中島 啓光,福田 茂樹,本間 博幸,道園 真一郎(高エネルギー加速器研究機構) ○Osamu Endo, Nobuhiko Kumazawa, Kazuyuki Sato, Kibatsu Shinohara (Nihon Koshuha Co., Ltd.), Mitsuo Akemoto, Tetsuo Shidara, Hiromitsu Nakajima, Shigeki Fukuda, Hiroyuki Honma, Shinichiro Michizono (High Energy Accelerator Research Organization) 本電源は、高エネルギー加速器研究機構電子陽電子入射器の高周波源である大電力クライストロン用パルス電源のPFN(パルス成形回路)コンデンサを高速充電するために使用する最大出力電圧43kV、充電電力30kJ/sの大電力スイッチング電源である。 この電源は、高速インバータ、高周波トランス及びダイオードブリッジ回路により高電圧を発生させる方式を採用している。 充電は直列共振回路による定電流充電方式を採用している。 出力電圧安定度は、電源三相、入力電圧AC420V±5%の変動に対して0.2%p-p以下を実現している。 また、クライストロン用パルス電源の運転稼働率を上げる為、繰り返し毎にサイラトロン自爆等の充電異常を監視し、それが連続する場合、電源を停止させるインターロック機能を有している。 現在、高エネルギー加速器研究機構において定格出力による長時間運転の耐久テストを行っている。 |
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SAP066 p.624 | 508.58MHz 300kWウォーターロードの開発 THE DEVELOPMENT OF 508.58MHZ-CW300KW WATER LOAD ○三浦 厚,金田 健一,篠原 己拔(日本高周波株式会社),恵郷 博文,大橋 裕二,渡部 貴宏,佐々木 茂樹(高輝度光科学研究センター) ○Atsushi Miura, Kenichi Kaneta, Kibatsu Shinohara (Nihon kosyuha co.ltd), Hiroyasu Ego, Yuji Ohashi, Takahiro Watanabe, Shigeki Sasaki (Japan Synchrotron Radiation Research Institute (JASRI/SPring-8)) SPring-8では約20年間使用した純水仕様508.58MHzウォーターロードの代替器として全長4.12m以下の大電力ダミーロードの導入を検討している。そこで最大入力電力300kW(CW)、ピーク3MWの大電力ウォーターロードの開発を行った。本器は同軸導波管変換器(WR-1500)と純水で満たされた円形導波管から構成される。全長を短く抑えるため、単位長さ当たりの伝送損失が多い円形導波管TM01モード(4.68dB/m)を採用した。同軸部TEMモードから円筒導波管TM01モードへの変換部で大気と水を仕切るためのアルミナセラミックス製同軸窓を設けた。この窓は真空ロー付で製作し、コンパクトで取り変え可能(デマウンタブル)な構造にした(特許出願中)。またピーク電力3MW入力時の最大電界強度が1MV/m以下となるようにドアノブ型の同軸導波管変換器とした。低電力試験の結果VSWRは中心周波数で1.05、帯域幅はVSWR1.1以下で8MHzであった(無調整)。SPring-8での大電力試験の結果、入力電力330kW(CW)で問題のないことを確認した。本稿ではこのダミーロードの設計、製造、大電力試験の結果を報告する。 |
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SAP067 | 東北大学 1.2 GeV ブースターシンクロトロン アップグレード用、四極・六極組合せ電磁石2種類の設計、製造、測定、設置、アラインメント Design, fabrication, measurement, installation and alignment of 2 types of quadrupole-sextupole combined magnets for the upgrade of the 1.2 GeV booster synchrotron at Tohoku University. ○ベークマン ウィリアム,アントワンヌ シルヴァン,ボッシェ パトリス,フォレ フレデリック,ジフコフ ペトコ,ジュハノ パトリス,ルレ マリジュリー,スイネン ロラン,タヤルダ サミュエル(シグマフィ ヴァンヌ フランス),浜 広幸,日出 富士雄(東北大学電子光理学研究センター仙台) ○William Beeckman, Sylvain Antoine, Patrice Bocher, Frederick Forest, Petko Jivkov, Patrice Jehanno, Marie-julie Leray, Laurent Swinnen, Samuel Taillardat (SIGMAPHI, Vannes, France), Hiroyuki Hama, Fujio Hinode (Research Center for Electron Photon Science, Tohoku Univ.) 東北大学の1.2 GeV ブースターシンクロトロンのアップグレードは、2011年3月11日に発生した東日本大震災からの復興計画の一環です。標準的な四極電磁石を四極・六極組合せ電磁石に置き換えることにより、負の値を持つナチュラルクロマティシティを正の値へと補正し、ヘッドテイル不安定性を抑制するものであり、これにより至極不安定な、m = 0モードの成長を防止します。 2012年1月、Sigmaphiは、組合せ電磁石2種類の設計と、各タイプ8台の電磁石の製造を受注しました。これには、回転コイルとホールプローブによる各ユニットの測定が含まれています。また本件は、既存の四極電磁石の解体と、新規の組み合わせ電磁石の設置が要件とされ、真空チャンバーの分解と再組立て、そして新規の超高真空ガスケットの取り付けも含まれます。最終的に、すべてのブースター電磁石、つまり双極電磁石8台、アクロマット四極電磁石4台、新規の組合せ電磁石16台が、2013年1月中旬前に±0.2mmの精度で再アライメントされました。本発表は、複数の工程における主要ステップを概括し、業績、成果を紹介するものであります。 |
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SAP068 p.628 | J-PARC RCS主電磁石電源制御システムの開発 Development of control system for J-PARC RCS Main Magnet Power Supplies ○渡辺 泰広,谷 教夫(原子力機構),井上 圭吾(日本アドバンスドテクノロジー) ○Yasuhiro Watanabe, Norio Tani (JAEA), Keigo Inoue (NAT) J-PARC RCSの主電磁石電源は、2台の偏向電磁石電源と7台の四極電磁石電源から構成されている。これら電源の制御は、電源に内蔵されているPLC、電磁石やチョークトランス、共振コンデンサのインタロック信号を一括し て処理している専用のPLC、電源にリファレンス信号を供給している16bitDAC9台、電源の電流、電圧波形をモニタしているADC9台から構成されている。これら多数の制御装置は、LANを介して3台のPCで制御しており、制御プログラムはLabviewを用いている。 本論文では、電磁石電源制御システムの開発と運用結果について報告する。 |
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SAP069 p.632 | SPring-8蓄積リングにおける高速パルスドライブ電源の開発 Development of fast pulse driving power supply in the SPring-8 storage ring ○満田 史織,小林 和生,中西 辰郎,深見 健司((公財)高輝度光科学研究センター),大島 隆(理研),大熊 春夫,佐々木 茂樹((公財)高輝度光科学研究センター) ○Chikaori Mitsuda, Kazuo Kobayashi, Tatsuro Nakanishi, Kenji Fukami (JASRI/SPring-8), Takashi Ohshima (RIKEN/SPring-8 Center), Haruo Ohkuma, Shigeki Sasaki (JASRI/SPring-8) SPring-8蓄積リングでは、ビーム入射時水平振動抑制のための高速パルスキッカー及び垂直キックスキームによる短パルス光生成のための高速パルス電源の開発を進めている。加速器リングの既設コンポーネントの配置を崩さずに、蹴り効率を最適化するため、β関数の最大点にてキックを与えられるよう、平均長さ30cmの小スペースにキッカーを設置することが求められた。そこで、限られた磁極長において、蓄積リング周回時間4.8μsよりも十分に短い時間のパルス幅で、250A以上の電流値を実現するために、キッカー電源を小型化するためドライブ回路部と高圧回路部に分離し、ドライブ電源部をマグネット近傍に設置しシステムを構築している。これによりインダクタンスの低減効果も生まれ高速化、電流出力増強が可能になった。ドライブ電源主回路部スイッチング部には、小型高耐圧、高速スイッチング、高繰り返し性、高寿命である半導体スイッチング素子のSi型 MOSFETを使用している。特にパルス幅可変の容易性、素子の乗せ換え、並列―直列接続組み換えによるスペック増強の容易性などに着目し2007年より開発を進めてきている。開発当初の1.0μs/67A出力から2012年には筺体サイズ0.01m3以下にて400ns/232A、200Hzでの出力が可能になった。電源出力の向上とともに、長期安定性の確保及びビーム実運用耐性の確保に向けた電源の開発上の課題点について報告を行う。 |
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SAP070 p.637 | SAGA HIMAT用電磁石電源の開発 DEVELOPMENT OF POWER SUPPLIES FOR ELECTROMAGNETS OF SAGA HIMAT 長谷川 智宏,久保田 健介,○山﨑 長治,斉藤 隆(東芝三菱電機産業システム(株)),内木 功(三菱電機(株)),高見 吉秀(三菱電機エンジニアリング(株)),金澤 光隆,遠藤 真広(九州国際重粒子線がん治療センター) Chihiro Hasegawa, Kensuke Kubota, ○Choji Yamazaki, Takashi Saito (TMEIC), Isao Uchiki (Mitsubishi Electric Corporation), Yoshihide Takami (Mitsubishi Electric Engineering Corporation), Mitsutaka Kanazawa, Masahiro Endo (Ion Beam Therapy Center, SAGA HIMAT Foundation) SAGA HIMATシンクロトロン用の偏向電磁石電源(2220A-1460V)、収束四極電磁石電源(780A-160V)、発散四極電磁石電源(415A-80V)を、2象限チョッパ回路方式により開発したので報告する。 性能としては、電流追従性(電流偏差)が±2×10-5以下、電流リプルが±2×10-6以下を実現した。 また、電源と電磁石間の配線が、電流リプルに及ぼす影響について解析により検討した結果、①配線は極力浮遊容量を小さくすること、②電磁石に対し、並列に抵抗を挿入することが、電流リプル低減に有効であることが分かった。この検討結果により、電磁石に並列抵抗を挿入することと、特に偏向電磁石電源では、電磁石間をブスバー配線として浮遊容量を低減する対策を実施した。これらの対策により、偏向電磁石電源での電流リプルは100~1kHzの領域で10-7台にまで低減することができた。 |
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SAP071 | J-PARC RCSパルス四極電磁石電源の開発 Development of a pulsed quadrupole magnet power supply in J-PARC RCS ○渡辺 泰広(日本原子力研究開発機構) ○Yasuhiro Watanabe (JAEA) J-PARC 3-GeVシンクロトロンでは、ビーム入射時に励磁するバンプ電磁石の端部から生じる四極成分を補正するため、パルス四極電磁石の設置を検討している。電磁石の励磁パターンは、前段のリニアックからのビーム入射が開始されるまでに電流を一定の値に立ち上げておき、ビーム入射期間である500 usは一定を維持する。この時に必要となる電源電圧は12 Vであり、電流精度は0.1%以下が要求されている。一方、ビーム入射完了後には補正は不要であり、直ちに電流を立ち下げる必要がある。この時に必要となる電源電圧は2200 Vである。このように、パルス四極電磁石を励磁するための電源は、0.1%以下の電流精度と12V~2200Vという広いダイナミックレンジを同一の回路で実現する必要がある。 本論文では、1.2kVのフルブリッジ回路を4段直列接続したパルス四極電磁石電源を開発し、その試験結果を報告する。 |
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SAP072 p.642 | 六極電磁石用ハーモニックコイルの最適化 Optimization of a Harmonic Coil for the Field Measurement of Sextupole Magnets ○妻木 孝治,深見 健司,中西 辰郎(高輝度光科学研究センター) ○Koji Tsumaki, Kenji Fukami, Tatsurou Nakanishi (JASRI) 現在世界各地で、エミッタンスが回折限界を目指した超低エミッタンスリングがさかんに検討されている。超低エミッタンスリングは一般的に色収差が大きく、ディスパージョンが小さいため、六極電磁石の強さが強くなる。SPring-8でも次期計画として回折限界を目指してSPring-8-IIが検討されており、六極電磁石の磁場勾配も強くなることが予想される。そのため六極成分だけでなく、六極成分より高い磁場成分も、主成分に比例して大きくなるうえに鉄の飽和領域で使わざるを得ないだろうためさらに大きくなることが予想される。超低エミッタンスリングのダイナミックアパーチャは、強い六極電磁石のため極端に小さい。強い高磁場成分があるとさらに小さくなるため、予め主成分のみならず、高磁場成分も正確に測定しておく必要がある。しかしながらハーモニックコイルが測定中に振動したり、回転角度の読み出し誤差があったりすると見かけの成分が測定結果に含まれてしまい、精度よく磁場成分を測定できなくなってしまう。そこで見かけの成分に不感で実際の高磁場成分だけ感度よく測定できるコイル配置を2個のコイルを用いて検討した。さらに高磁場成分だけでなく、主成分にたいしても、みかけの六極成分には不感で実際の六極成分だけ測定するコイル配置について検討した。報告では六極電磁石用ハーモニックコイルの最適コイル配置について述べる予定である。 |
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SAP073 | SuperKEKBリングの精密アライメントのための、GPSを用いた地上測量網システムの構築と性能評価 GPS Network for Super KEKB Main Ring ○飯沼 裕美,大澤 康伸,増澤 美佳(KEK),三島 研二,阿部 直宏,有山 至高,宮坂 正樹(PASCO) ○Hiromi Iinuma, Yasunobu Ohsawa, Mika Masuzawa (KEK), Kenji Mishima, Naohiro Abe, Takashi Ariyama, Masaki Miyasaka (PASCO) SuperKEKBに於けるナノサイズの電子・陽電子ビームを高精度に制御するために、ビームラインの電磁石のアライメント網の精度管理は非常に重要であり、精度100μmを目指している。測量網の時間変動の把握を確実に行うために、地下11m、1周約3キロのトンネル内の7ヶ所の点を、地上測量としても利用できるようにGPSを設置し、地上の測量網システムを構築した。2012年8月より本格運用を開始、24時間モニタリングを続けている。 本発表では、3つの項目について述べる。第一に、本格運用から開始後1年間のデータ解析をまとめる。定点ポイント間の斜距離(最大1km程度の相対距離)は、年間を通しサブミリで安定している。又、KEKから約5キロ離れた国土地理院のGPS基準点に対する固定点座標も観測しており、季節変動などについて報告する。第二に、本システムの客観的評価を行うために、SuperKEKBの定点計測ポイントを、トータルステーションで精密測量した際の比較検討結果を紹介する。また、同時期に行った一等水準点を使った絶対水準測量結果も紹介する。これはKEKB時代から問題になっている、リング付近の地盤沈下についての長期的な追跡調査の第一歩として行った。第三に、地下11mの地下測量網と、地上測量網を関係づける手法を紹介し、本システムが現在達成している測量網の精度と、今後の改良にむけた方針を議論する。 |
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SAP074 p.646 | J-PARCミュオンキッカーシステムの現状 Status of Muon Kicker System at J-PARC ○藤森 寛,入江 吉郎,ストラッサー パトリック(KEK ミュオン科学研究施設),坂田 茂雄,目黒 学(日本アドバンストテクノロジー),小嶋 健児,長友 傑,三宅 康博(KEK ミュオン科学研究施設) ○Hiroshi Fujimori, Yoshiro Irie, Patrick Strasser (MSL, KEK), Shigeo Sakata, Manabu Meguro (NAT), Kenji Kojima, Takashi Nagatomo, Yasuhiro Miyake (MSL, KEK) J-PARC物質生命科学実験施設における崩壊ミュオンビームラインには、二重化パルスミュオンビーム(ダブルパルスミュオン)を二つのシングルパルスに分別し同時に二つの実験エリアに供給するため、2011年夏にミュオンキッカーシステムが導入され、当該システムを用いての運転が同年冬に開始された。運用当初は検出器に乗るキッカーノイズの影響が大きく、ほとんど実験にならない状況にあったが、キッカー本体側および検出器側、双方の遮蔽およびGND対策によって、一部の検出器において実験が可能になるまでノイズが低減した。現在、ノイズ遮蔽の強化を施し、ノイズレベルをさらに下げる対策を講じる一方、ビーム強度の増強に対応するためキッカー波形の立ち上がり時間の短縮改善を進めている。本学会においては上記ミュオンキッカーシステムの現状について報告する。 |
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SAP075 p.650 | 高圧電源と低圧電源のハイブリット制御による高電圧、低リプル電磁石電源 Hybrid Control of Low and High Voltage Power Supplies for High Voltage and Low Ripple Magnet Power Supply ○栗本 佳典,森田 裕一,下川 哲司,内藤 富士雄,中村 衆,岡村 勝也(高エネルギー加速器研究機構) ○Yoshinori Kurimoto, Yuichi Morita, Tetsushi Shimogawa, Fujio Naito, Shu Nakamura, Katsuya Okamura (KEK) J-PARC 主リングではさらなる大強度陽子ビームを達成するため、サイクル周期を2.5sから1sに縮める事を計画している。そのためには、3kV~4kVの高電圧出力電源への置き換えが必要不可欠である。一方で、MRでは遅い取出しモードでの運転も行われるため、取出し電流値での低リップル(~10-6)も同時に要求される。 しかしながら、3kV~4kVの高電圧出力電源に使われる半導体素子は、通常大きなスイッチング損失のためスイッチング周波数を大きくできない(500Hz~1kHz)。そのため、出力のスイッチング成分がフィルタで十分に除去されず、遅い取出しモードでは許容できない電流リプルとなって現れる。 この困難を解決するために、スイッチング周波数を大きくできる低圧電源を高電圧電源に直列に接続し、高圧電源では誘導負荷成分のみを、低圧電源で抵抗負荷成分をそれぞれドライブするような制御法を用いる事を検討している。これにより、遅い取出しの直流期間では高圧電源は還流モード(V=LdI/dt = 0)となりスイッチング動作を行わず、高速の低圧電源のみがスイッチングする為、出力電流リプルは大幅に小さくできる。実際に抵抗負荷成分のみであれば、MR主電磁石電源の出力は1 kV程度でよいため、比較的高速(数kHz)な半導体素子も視野に入ってくる。 本講演では、上記の高圧電源と低圧電源のハイブリット運転の詳細について発表する。 |
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SAP076 p.655 | J-PARC MRにおけるビーム不安定性抑制のための八極電磁石 Octupole Magnets for the beam instability suppression in J-PARC MR ○五十嵐 進,ファン カンジュン,染谷 宏彦(高エネルギー研) ○Susumu Igarashi, Kuanjun Fan, Hirohiko Someya (KEK) 大強度陽子加速器(J-PARC)の主リング(MR)で発生するビーム不安定性を抑制するための八極電磁石の設計を行った。MRではビーム強度が上がるにつれて、横方向のビーム不安定性が観測されている。KEK-PSで使われていたブロック鉄でできた八極電磁石を使い、ビーム不安定性を抑制できることがビーム試験によって確認された。しかし八極磁場により力学口径が小さくなり、ビームロスが発生することも分かった。力学口径を補正するための八極電磁石を更に設置することにより、ビームロスの改善が認められた。ただし、その改善も完全ではなく、八極磁場をかけている時間は力学口径のためにある程度のビームロスがある。このビームロスをより少なくするために、八極磁場をビーム入射直後の5 ms 程度の時間のみのビーム不安定性の一番気になる時間で使用し、それ以外の時間は八極磁場をオフできるように、速いパターンに追従可能な八極電磁石の設計を行った。 |
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SAP077 p.658 | サーモグラフィックカメラと薄膜を用いたビームプロファイル診断アルゴリズムの開発 A beam-profile diagnosis algorithm using a thin foil and a thermographic camera ○片桐 健,北條 悟,中尾 政夫,野田 章,野田 耕司(放射線医学総合研究所) ○Ken Katagiri, Satoru Hojo, Masao Nakao, Akira Noda, Koji Noda (NIRS) サイクロトロン等の大強度加速器を備えたRI製造を行う照射システムでは,ターゲットの健全性を保つ為にビームプロファイルの診断が重要となる.そのための簡易な方法として,サーモグラフィックカメラによって得られるターゲットの温度分布情報を用いることが提案されている[1].この方法のさらなる高精度化を目指して,ビームの通過により加熱された薄膜の温度分布から,ビーム電流分布を導出するアルゴリズムを開発した. このビーム電流分布導出アルゴリズムの信頼性を確かめるために,数値解析を行った.サーモグラフィックカメラによって得られる照射薄膜の温度画像を数値計算により模擬した.また,サーモグラフィックカメラのイメージセンサーによって画像に加えられるノイズがビームプロファイルの導出精度に及ぼす影響を調べるために,そのノイズも温度画像上に模擬した.この模擬温度画像から,開発したアルゴリズムを用いてビーム電流分布を導出し,その結果を厳密解と比較した.この比較から,ΔTNETD = 0.3 K (NETD: Noise Equivalent Temperature Difference)程度の大きいノイズを持つ汎用サーモグラフィックカメラを用いた場合でも,~0.1-10 μAの広いビーム電流域でビームプロファイルの診断が可能であることが確認された.本発表ではこれら解析結果の詳細について発表する. [1] M. Takada, S. Kamada, et al., Nucl. Instrum. Meth. A 689, 22 (2012). |
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SAP078 p.662 | J-PARC 3-50 BTのOTRビームプロファイルモニター装置の製作 Fabrication Summary on the Equipment of An OTR Beam Profile Monitor for the J-PARC 3-50BT 手島 昌己(高エネルギー加速器研究機構/J-PARC),秋野 英之(三菱電機システムサービス株式会社),橋本 義徳,堀 洋一郎(高エネルギー加速器研究機構/J-PARC),三橋 利行(高エネルギー加速器研究機構),大森 雄基,○大津 聡(三菱電機システムサービス株式会社),佐藤 吉博,嶋本 真幸,外山 毅(高エネルギー加速器研究機構/J-PARC),鶴田 秀範(三菱電機システムサービス株式会社),魚田 雅彦(高エネルギー加速器研究機構/J-PARC) Masaki Tejima (KEK/J-PARC), Hideyuki Akino (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Yoshinori Hashimoto, Yoichiro Hori (KEK/J-PARC), Toshiyuki Mitsuhashi (KEK), Yuki Omori, ○Satoru Otsu (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Yoshihiro Sato, Masayuki Shimamoto, Takeshi Toyama (KEK/J-PARC), Hidenori Tsuruta (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Masahiko Uota (KEK/J-PARC) J-PARC 3-50 BTのOTR光及び蛍光を用いた2次元ビームプロファイルモニター装置は、2012年に製作及びインストールされ、2013年初頭よりビーム計測に供されている。本論文では、容積が約700リットルの比較的大型の精密光学計測装置に関する設計及び製作に関して、主に次の6項目についてのまとめを論述する。 項目 (1) OFFNER光学系を内蔵するための真空容器の構造設計 (2) スライド式3連ターゲット交換機構 (3) 金属フォイルターゲットの製作 (4) 真空内2次光学系とガラスビュー (5) 真空容器内での各装置のアラインメント (6) 真空排気特性 |
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SAP079 p.667 | SuperKEKBにおけるビーム軌道振動測定用モニタおよびビーム位置インターロック用モニタとしてのLibera Brilliance+の性能評価 Performance Evaluation of the Libera Brilliance+ as a Beam Orbit Oscillation Monitor and a Beam Position Interlock Monitor in SuperKEKB ○金枝 史織,石井 仁,飛山 真理,福間 均,森 健児(高エネルギー加速器研究機構) ○Shiori Kanaeda, Hitoshi Ishii, Makoto Tobiyama, Hitoshi Fukuma, Kenji Mori (KEK) 現在KEKでは、SuperKEKB加速器に向けたKEKB加速器のアップグレードが行われている。SuperKEKBではビーム位置測定に必要なBeam Position Monitor(BPM)を陽電子リング(LER)に444台、電子リング(HER)に466台設置する予定だが、そのうちLERの 2台、HERの2台をビーム軌道振動測定用モニタとして、またLER の2台、HER の2台をビーム位置インターロック用モニタとして使うことが検討されている。ビーム軌道振動測定用モニタには数μm以下の位置分解能が、またビーム位置インターロック用モニタには100μs以下のインターロック遅延時間が要求されている。これらのモニタの候補として現在検討されているものがビーム位置検出機能とビーム位置インターロック機能を持つInstrumentation Technologies社のLibera Brilliance+である。本稿は、Libera Brilliance+の性能評価と今後の展望について報告する。 |
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SAP080 p.671 | あいちSR蓄積リングビーム位置モニター測定値変動の原因調査 Investigation of drifts of Beam Position Monitoring System at Aichi SR storage ring ○真野 篤志,高野 琢,山本 尚人,保坂 将人,髙嶋 圭史,加藤 政博(名古屋大学シンクロトロン光研究センター) ○Atsushi Mano, Takumi Takano, Naoto Yamamoto, Masahito Hosaka, Yoshifumi Takashima, Masahiro Katoh (Nagoya University Synchrotron radiation Research center) 2013年3月末よりユーザー供用が開始されたあいちシンクロトロン光センター(あいちSR)は現在、10:00~18:30の間300mAでのトップアップ運転を行っている。 あいちSRのビーム位置測定システムはBergoz MX-BPM及びCosyLab MicroIOCにより構成され、ブースターシンクロトロン10か所、蓄積リング32か所の合計42か所の測定を行っている。 現在、蓄積リングのにおいて100μmを超えるビーム位置の日周変動が測定されている。この変動の要因及び対策について報告する。 |
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SAP081 p.674 | ATF Damping Ringの周長変化 Variation of the ATF Damping Ring circumference ○内藤 孝,荒木 栄,浦川 順治,奥木 俊行,久保 浄,黒田 茂,照沼 信浩(高エネルギー加速器研究機構) ○Takashi Naito, Sakae Araki, Junji Urakawa, Toshiyuki Okugi, Kiyoshi Kubo, Shigeru Kuroda, Nobuhiro Terunuma (KEK) ATF Damping Ringの周長は加速器建屋が温度調節されていないことから温度変化の影響を受け変動する。その変動要因は、外気温だけではなく、加速器トンネル内の温度、冷却水の温度、電磁石電源の発熱などが重なっており単純ではない。周長変化に対して加速周波数を微調することによって、ビーム軌道を一定にしている。138mの周長に対して加速周波数の微調量から求めた周長の変化量は年間で5mm以上に達する。(図1) 本稿では加速周波数の微調量から求めた周長変化と機械的計測との比較、加速周波数の微調機構、加速周波数の微調のためのリニアック冷却水の調整機構について報告する。 |
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SAP082 p.678 | 極短バンチ計測用2Cell型RF-Deflectorに関する研究 Study on 2 cell rf-deflector cavity for ultra-short electron bunch measurement ○高橋 猛之進,西村 祐一,西山 将大,坂上 和之,鷲尾 方一(早大理工研),高富 俊和,浦川 順治(高エネ研) ○Takenoshin Takahashi, Yuichi Nishimura, Masahiro Nishiyama, Kazuyuki Sakaue, Masakazu Washio (RISE), Toshikazu Takatomi, Junji Urakawa (KEK) 早稲田大学では1.6Cellフォトカソード電子銃で生成したビームを用いて応用実験を行っているが、そのためにはビームの物理パラメータの測定が不可欠となる。そこで新たにバンチ長測定システムの確立を目指してRF-Deflectorに関する研究を行ってきた。RF-Deflectorによるバンチ長測定は共振させた電磁場により電子を掃引し、バンチの縦方向プロファイルを横方向プロファイルとして取り出すことで実現され、数100fsという極短バンチの測定も原理的には可能である。RF-Deflectorの設計は3次元電磁場解析コードHFSS、性能評価は電子ビームトラッキングコードGPTを用いて行った。高い磁場強度を得るために直方体の形状を採用したが、セットアップ上の都合からRF-Deflectorへの供給電力は750kW という条件があり、1Cell型の設計では数100fsのバンチ長測定に必要な磁場強度は得られなかったため、最終的に2856MHzでTM120、πモードとして動作する2Cell型のRF-Deflectorを設計した。また、GPTの結果から設計したRF-Deflectorで200fs程度のバンチ長測定が十分可能であることを確認した。現在、高エネルギー加速器研究機構と共同でRF-Deflectorの共振周波数調整や導波管との結合調整を完了させて製作工程を終了した段階にあり、早稲田大学の施設にてバンチ長測定システムを構築する準備を進めている。本発表では研究の現状と今後の予定について報告する。 |
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SAP083 p.682 | SuperKEKB入射器へ向けたBPMデータ収集系アップグレード (II) BPM DAQ System Upgrade for SuperKEKB Injector Linac (II) ○佐藤 政則(高エネ研),工藤 拓弥,草野 史郎(三菱電気システムサービス),宮原 房史,諏訪田 剛,古川 和朗(高エネ研) ○Masanori Satoh (KEK), Takuya Kudou, Shiro Kusano (MELSC), Fusahi Miyahara, Tsuyoshi Suwada, Kazuro Furukawa (KEK) SuperKEKB入射器では,大電荷量の電子および陽電子ビームを低エミッタンスに保ちつつ安定に輸送し,リングへの高い入射効率を実現することが要求されている。低エミッタンス化のためのダンピングリングは,陽電子ビームにのみ設けられるため,とりわけ,大電荷量電子ビームの低エミッタンス輸送は,入射器アップグレードの主要課題である。この課題実現のためには,精密なビーム位置測定および安定制御が不可欠となる。 現在,KEK電子陽電子入射器では,100台の四電極ビーム位置モニタを,23台のデータ収集系を用いたビーム位置計測をおこなっている。現システムを用いたビーム位置測定精度は50 μm程度であり,SuperKEKB入射器での目標値10μm以下には遠く及ばない。このため,位置測定精度向上を目指したデータ収集系の開発を進めている。新システムでは,帯域制限フィルタを基板としたアンダーサンプリング方式を採用し,現在までに,20 μmの測定精度を達成している。現在,目標性能である10 μm以下のビーム位置測定精度を目指し,さらなる改良を進めている。本稿では,SuperKEKB入射器へ向けたビーム位置モニタ用データ収集系の開発に関する現状および将来の展望について詳細に報告する。 |
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SAP084 p.688 | J-PARC MR加速器の放射化コントロールのための残留線量率測定 Residual dose rate monitoring for future machine activation control at J-PARC MR ○佐藤 健一郎,佐藤 洋一,魚田 雅彦,白形 政司,吉井 正人(KEK) ○Kenichirou Satou, Yoichi Sato, Masahiko Uota, Masashi Shirakata, Masahito Yoshii (KEK) J-PARC MR加速器では最大240kWビームをT2K実験に供給している。ビーム強度を上げる際には、ビームロス量の低減化を図り、加速器装置そのものを過大に放射化させないことが重要である。リングの全周に配置した計216本の比例係数管式ビームロスモニタ(BLM)は、ビームが電磁石などの機器に衝突する際に発生する放射線を観測するが、その信号強度からビームライン上のビームロス分布を精度よく推定することは、反応過程の複雑さ、衝突する機器の構造の複雑さから困難である。しかし加速器運用上はビームロス量よりむしろビーム停止後の機器表面線量率のほうが重要である。BLMの信号強度と機器表面線量率との相関を調査することのほうがより本質的であるため、ビーム運転を停止する短期メンテナンス時には、サーベイメータで機器の表面線量率を詳細に測定している。サーベイ結果と運転パラメータとの相関を調べ、次の運転にフィードバックしている。現在、最も空間線量率が高いコリメータエリアでは、その線量率の時間的な推移も調査している。将来の放射化レベルを推定するためには、その減衰特性を調べることが重要だからである。測定結果から許容されるビームロス量を推定し、運転に適切な制限を与えることはJ-PARCのような大強度ハドロン加速器の運用上、本質的に重要であると思われる。本発表ではこの取り組みについて紹介する。 |
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SAP085 p.693 | あいちシンクロトロン光センターにおけるエミッタンス測定 Measurement of emittance in Aichi synchrotron radiation center ○川上 遼(名大院 工学研究科),真野 篤志,保坂 将人,山本 尚人(名大SRセンター),加藤 政博(名大SRセンター,UVSOR),高嶋 圭史(名大院工学研究科,名大SRセンター,) ○Ryo Kawakami (Master's program in engineering at the Graduate School of engineering, Nagoya University), Atsushi Mano, Masato Hosaka, Naoto Yamamoto (NUSR), Masahiro Kato (NUSR,UVSOR), Yoshihumi Takashima (Master's program in engineering at the Graduate School of engineering, Nagoya University,NUSR) 電子蓄積リングにおいて、ビームエミッタンスの測定は最も重要な診断要素である。ビームエミッタンスを測定するために最も簡便な方法は、可視放射光のイメージングを用いたビームプロファイルモニターである。 愛知県瀬戸市にナノレベルの先端計測分析施設としてあいちシンクロトロン光センター(あいちSR)が建設され、稼働を始めている。本研究では、エミッタンス測定のための第一段階として、あいちSRの電子蓄積リングにおいて、ビーム診断用可視光取り出しビームラインを設計・建設し、放射光をCCDカメラに取り込むことで、水平方向、垂直方向についてそれぞれビームサイズを測定した。垂直方向については、ビームサイズが小さいため、CCDカメラから取り込んだ画像イメージを解析することでは十分な分解能が得られない。そこで、ダブルスリットを用いた干渉系を設計、建設した。ダブルスリットによって出来る干渉縞から干渉度を測定し、そこからビームエミッタンスを得る事が出来た。 またスキュー電磁石の設計、導入を行い、垂直方向のビームエミッタンスの極小化を行う予定である。本発表では最新の実験結果について報告する。 |
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SAP086 p.697 | マルチスクリーンを用いた高ダイナミックレンジ 2次元ビームプロファイルモニター A Two-Dimensional Beam Profile Monitor having High Dynamic Range by using Multi-Screen 手島 昌巳,○橋本 義徳(高エネルギー加速器研究機構/J-PARC),三橋 利行(高エネルギー加速器研究機構),大津 聡(三菱電機システムサービス),外山 毅(高エネルギー加速器研究機構/J-PARC) Masaki Tejima, ○Yoshonori Hashimoto (KEK/J-PARC), Toshiyuki Mitsuhashi (KEK), Satoru Otsu (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Takeshi Toyama (KEK/J-PARC) J-PARCの3-50BT ラインの2次元のビームプロファイルモニターを開発している.ビームコアの計測には10 m 厚みのチタンフォイルからのOTR光を用い,3 GeV の 2e13 陽子/バンチなどの大強度陽子ビームをクリアに計測できている.さらに,可動のアルミナスクリーンのみをビームテイル部に配置し,その蛍光をイメージインテンシファイアを用いて測定することで高感度の計測を行った.コア部がガウスフィットにてσ14 mm 程度に見えている場合にビームのテイル部が80mm 以上にわたって広がっていることがわかった.コアからテイルエンドまでのビーム強度のレンジは5ケタ以上であった. |
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SAP087 p.702 | ハローモニタを用いた垂直ビームプロファイルの測定 Measurement of vertical beam profile using halo monitor ○大島 隆,前坂 比呂和,大竹 雄次(理研 放射光科学総合研究センター),松原 伸一(高輝度光科学研究センター),井上 忍(スプリングエイトサービス(株)) ○Takashi Ohshima, Hirokazu Maesaka, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center), Shin-ichi Matsubara (JASRI), Shinobu Inoue (SPring-8 Service Co., Ltd.) 放射光発生に使用されるアンジュレータの永久磁石は4E14個の高エネルギー電子ビームの照射によって1%の磁力の低下が起こることが報告されている。例えば年間7000時間、60ppsの運転を10年間続けた場合、ハローの電子数を4E14個以下に抑えるためには、1ショット当たり4fC以下に抑える必要がある。X線自由電子レーザー施設SACLAでは、ハローの磁石への照射量を監視するために、ハローモニタがBL3アンジュレータの上流部に設置されている。このモニタでは水平方向に10mm、垂直方向1mmの幅の電極を取り付けた0.3mm厚のダイヤモンドブレードに100Vのバイアス電圧を印加し、電子ビームが通過したときに発生する電子、正孔対の信号を検出している。このハローモニタを使って電子ビームの垂直方向のプロファイルの測定を行った。この測定結果とスクリーンモニタを組み合わせることにより5桁の広いダイナミックレンジに渡って電子ビームの垂直方向のプロファイルを求めることができた。一例として電荷量143pCのビームに対して電子密度がピークの1/10、1/10000となる領域は全幅でそれぞれ0.35mm、1.1mmであった。SACLAではユーザー運転時にY方向の電子密度の広がりが十分に小さいビームが安定に供給されていて、そのハロー成分が1fC以下であることがこのモニタを用いて確認された。 |
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SAP088 p.705 | J-PARCリニアック用バンチシェイプモニタの開発 Bunch Shape Monitor for J-PARC Linac ○三浦 昭彦(原子力機構 J-PARCセンター),Feschenko A. V.,Mirzojan A. N.(INR, Russian Academy of Science),宮尾 智章(J-PARC, KEK),大内 伸夫,小栗 英知,長谷川 和男(原子力機構 J-PARCセンター),池上 雅紀(J-PARC, KEK) ○Akihiko Miura (J-PARC, JAEA), A. V. Feschenko, A. N. Mirzojan (INR, Russian Academy of Science), Tomoaki Miyao (J-PARC, KEK), Nobuo Ouchi, Hidetomo Oguri, Kazuo Hasegawa (J-PARC, JAEA), Masanori Ikegami (J-PARC, KEK) J-PARCリニアックでは、ACS(Annular Coupled Structure)加速空洞を用いて、現在の181MeVから400MeVまでビームエネルギを増強するプロジェクトが進行している。現在、J-PARCリニアックで採用している加速空洞のRF周波数は324MHzであるのに対し、ACS加速空洞は972MHzである。このため、ACS加速空洞に入射する際には、位相(縦)方向のマッチングが重要である。そこで、ロシア原子力研究所(INR)と共同で、縦方向のビームプロファイルを測定するためのバンチ・シェイプ・モニタの開発を実施した。ここでは、開発したモニタの構造等を紹介するとともに、モニタの性能評価のために測定した結果の一部を紹介する。 |
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SAP089 p.709 | 高放射化領域(J-PARC MR コリメータ部)におけるBPM設置Ⅱ BPM installation at the high radiation area (J-PARC MR collimator)Ⅱ ○花村 幸篤(三菱電機システムサービス株式会社),外山 毅,橋本 義徳,大越 隆夫,久保田 親,白形 政司,石井 恒次,仁木 和昭,堀 洋一郎,魚田 雅彦(高エネルギー加速器研究機構) ○Kotoku Hanamura (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd), Takeshi Toyama, Yoshinori Hashimoto, Takao Oogoe, Chikashi Kubota, Masashi Shirakata, Koji Ishii, Kazuaki Niki, Yoichiro Hori, Masahiko Uota (KEK J-PARC) 大強度陽子加速器施設(J-PARC)主リング(MR)の現在のビームパワーは、約230kW(約1.2×10^14protons/2.48秒)で、機器の放射線損傷や保守作業時の被ばくを軽減することが重要になっている。コリメータにビームロスを局所化することで、他の大部分の機器の放射化を最小限にしている。 MRコリメータ部では、ビームの大強度化に向け、コリメータ増強及びシールド強化に伴う機器の配置変更が行われている。これにはビームポジションモニタ(BPM)も含まれ、2011年から行われている。作業エリアであるMRコリメータ部は、高放射化エリア(想定吸収線量約10MGy/year)のため、現場作業の簡略化と作業時間の短縮を図り、作業者の被ばくを最小限に抑えている。 BPMはステアリング電磁石(STM)の磁極間に設置され、再現性良く設置するために、STMの位置決め可能なベースプレートを用いている。ベースプレートは、床面に設置後に測量を行い、ベースプレートと隣接する四極電磁石(QM)基準座の位置関係(座標)を求める。放射線管理区域外に同形のベースプレート上で仮想QM基準座の座標系を作り出し、BPMとSTMを一体化して、アラインメントと測量を予め行っておく。一体化したSTMを現場のベースプレートに載せることで、指定位置にBPM設置を可能としている。 この手法により、現場作業の効率化と共に、BPMを±270μmの精度で設置することができた。 |
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SAP090 p.713 | コヒーレント遷移放射解析によるビーム幅診断 Beam diagnostic based on analysis of coherent transition radiation ○野澤 一太,菅 晃一,楊 金峰,小方 厚,近藤 孝文,神戸 正雄,法澤 公寛,小林 仁,吉田 陽一(阪大産研) ○Itta Nozawa, Koichi Kan, Jinfeng Yang, Atsushi Ogata, Takafumi Kondoh, Masao Gohdo, Kimihiro Norizawa, Hitoshi Kobayashi, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka Univ.) 阪大産研では、フェムト秒時間分解能を有するパルスラジオリシスが構築・利用されている。また、更なるパルスラジオリシス法の時間分解能向上のために、SバンドレーザーフォトカソードRF電子銃ライナックと高次収差補正用磁気パルス圧縮器を用いた超短パルス電子ビームの発生を行っている。これまでに、電子ビームパルス幅計測においては、電子ビームが発生するコヒーレント遷移放射(CTR)を、マイケルソン干渉計とボロメータを用いた自己相関の解析により、1つの周波数帯域のみを使用したパルス幅計測を行ってきた。そこで本研究では、ビーム圧縮条件の最適化により、超短パルス電子ビームを発生すると共に、従来よりも時間分解能を向上するために、2つの周波数帯域を有するマイケルソン干渉計を用いた電子ビームパルス幅計測を行った。 |
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SAP091 p.717 | SPring-8加速器診断ビームラインII のTurn-by-Turn放射光プロファイルモニター遠隔制御系整備 Remote Control of Turn-by-Turn Photon Beam Profile Monitor at the SPring-8 Diagnostics Beamline II ○植田 倉六,増田 剛正,正木 満博(公益財団法人 高輝度光科学研究センター) ○Souroku Ueda, Takemasa Masuda, Mitsuhiro Masaki (Japan Synchrotron Radiation Research Institute) SPring-8蓄積リング加速器診断ビームラインII(BL05SS)には、アンジュレーター放射の空間プロファイルをビーム周回毎に計測し、Top-Up入射時の蓄積ビーム振動や大電流シングルバンチの不安定性などを観測できるTurn-by-Turn放射光プロファイルモニター(TTPM)が整備されている。TTPMでは、カメラ受光面上に同時に結像される水平・垂直方向の射影プロファイルを、CCD素子電荷を縦方向にマイクロ秒オーダーでシフトさせることで一枚の画像に複数のプロファイルを記録できる機能を持った高速カメラ(Princeton Instruments社製ProEM 512BK)で撮像している。ProEMはインターフェースとしてギガビットイーサネットを搭載しており、Windows上で動作するソフトウェア WinSpec32により制御される。このTTPMを利用運転中のビーム安定性監視等に活用するため、遠隔で自動連続測定が行なえるように制御系を整備した。WinSpec32制御用に公開されているCOM(Component Object Model)を利用し、外部からのカメラ制御指令を処理してWinSpec32を制御するためのソフトウェアを現場のWindows PC上に構築することで、中央制御室のオペレータコンソール(Linux PC)からの遠隔操作を可能にした。またリモートモニターソフトウェアとして、取得した画像の表示、フィッティング処理と結果の表示、DBに格納する機能などを有するGUIを、入射時のビーム振動測定用とシングルバンチ不安定性観測用にそれぞれ用意している。 |
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SAP092 p.721 | J-PARC MR制御での仮想マシンの応用 Virtual Machines in J-PARC MR Control ○上窪田 紀彦(高エネルギー加速器研究機構) ○Norihiko Kamikubota (J-PARC/KEK) 最近、Linux計算機環境での仮想化技術が著しく発展し、さまざまな制御分野で導入されるようになった。仮想化技術の採用は、多数の単機能な計算機のシステムから、少数の高機能サーバ(各サーバに複数・単機能の仮想マシン)に集約する構成に移行することを意味する。 J-PARC MRでは、2011年頃からvirtual ioc(仮想マシンで動作するEPICS IOCコントローラ)を導入し、現在では20台超が加速器運転に使用されている。この成功に引き続き、2012年には仮想化機能が強化されたScientific Linux 6を制御サーバ計算機の標準OSとして導入した。各種サーバ機能(ldap, dhcp, tftp, rdb, achiver, etc.)を少数の高機能サーバ上の仮想マシンで動作させる変更を進めた。これにより、全体の可用性や柔軟性が上がると考えている。 過去2年の運用経験について報告する。 [1] VIRTUAL IO CONTROLLERS AT J-PARC MR USING XEN, n.kamikubota et. al., ICALEPCS 2011 |
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SAP093 p.724 | IFMIF/EVEDA加速器制御系とInjectorとのインターフェース試験 Interface test between IFMIF/EVEDA accelerator control system and Injector ○高橋 博樹,榊 泰直,小島 敏行,成田 隆宏,前原 直,鈴木 寛光(原子力研究開発機構) ○Hiroki Takahashi, Hironao Sakaki, Toshiyuki Kojima, Takahiro Narita, Sunao Maebara, Hiromitsu Suzuki (JAEA) 国際核融合材料照射施設(IFMIF)に関する工学実証及び工学設計活動(EVEDA)におけるプロトタイプ加速器(Linear IFMIF Prototype Accelerator: LIPAc)は、定常運転モードで9MeV/125mAの重陽子イオンビームを加速する。LIPAcの制御システムは、中央制御システム(CCS)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、人員保護システム(PPS)、機器保護システム(MPS)、タイミングシステム(TS)、ローカル制御システム(LCS)の6サブシステムによって構成される。そして欧州がLCSを、日本がその他5サブシステムを担当し、日欧共同で制御システムの開発を進めている。 日本担当のPPS、MPS、TSはハードワイヤを介して加速器構成機器と信号の授受を行うことから、インターフェースの調整、及び、信号・動作の確認が重要である。そこでLIPAc制御系開発当初からこれらシステムの正常動作を確認するために、実機に用いるPLC、MPSユニット等を使ったテストベンチの開発に着手した。そしてEUで行われたInjectorの動作試験において、開発したテストベンチをInjectorと接続し、インターフェースの正常動作確認試験、並びに、信号授受後の機器動作シーケンスの動作確認試験を実施した。 本件では、テストベンチ開発とテストベンチを用いたInjectorのPPS、MPS、TSに関するインターフェース動作確認試験について報告する。 |
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SAP094 p.728 | CSSを用いたSuperKEKB安全ソフトウェアシステムの構築 Construction of SuperKEKB safety software system based on CSS ○吉井 兼治(三菱電機システムサービス株式会社),小田切 淳一,小野 正明,工藤 喜久雄,佐藤 政行,三増 俊広(高エネルギー加速器研究機構),浅井 裕仁,田中 直樹,田中 幹朗(三菱電機システムサービス株式会社) ○Kenzi Yoshii (MITSUBISHI ELECTRIC SYSTEM & SERVICE CO., LTD.), Junichi Odagiri, Masaaki Ono, Kikuo Kudo, Masayuki Sato, Toshihiro Mimashi (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)), Hirohito Asai, Naoki Tanaka, Mikio Tanaka (MITSUBISHI ELECTRIC SYSTEM & SERVICE CO., LTD.) 2010/6/30 KEKBの実験が終了し、Upgradeの為建設工事が始まり、安全システムも更新が行われている。安全システムのソフトウェア部分の更新はKEKBでも利用されている、Epicsの導入が行われた。またAR,BT,DampingRingなど他のエリアについても導入が進められている。 安全システムからの情報取得インタフェースとしてEpicsが導入されたことで、モニタするツールの選択肢が広がった。これまで安全の表示システムはFIX-FAを用いたGUIを利用してきたが、現行のFIX-FAを動作させているOSが古いことや、Epics化に伴うFIX-FAの更新にかかるコストが考えられるため、KEKB制御でも開発が進められていた、CSS BOYを用いた表示を新規開発することになった。またArchiverについても今回の更新において、KEKB制御でも使用実績のあったCSS Archiverを用いることになった。 ここではこれまでに構築したCSS BOY、CSS Archiverの利用状況など、CSSを用いたKEKB安全ソフトウェアシステムについて紹介する。 |
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SAP095 p.731 | J-PARC LINAC/RCSにおける波形データ同期システムの構築 Development of Data Synchronization System for the LINAC/RCS in J-PARC ○川瀬 雅人(三菱電機システムサービス株式会社),高橋 博樹,菊澤 信宏,大内 伸夫,加藤 裕子(日本原子力研究開発機構/J-PARCセンター) ○Masato Kawase (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd), Hiroki Takahashi, Nobuhiro Kikuzawa, Nobuo Ouchi, Yuko Kato (JAEA/J-PARC Center) J-PARC LINAC/RCSでのデータ収集は、EPICS Channel Accessで得た時系列データの収集と、ビームに同期した波形データ収集の2種類ある。時系列データはIOCから得たデータ収集時刻をタイムスタンプとしてPostgreSQLによるデータベースに格納している。一方、ビームに同期した波形データは、日立造船製ウェーブエンドレスレコーダ(Wave Endless Recorder : WER)によって収集している。WERではタイミングシステムからの配信信号(25Hzやビーム同期信号)をトリガにして波形データをリングバッファ上に保存しておき、波形データの異常をイベントトリガとしてリングバッファ上に残されたデータを読み出せる機能がある。これらのデータは各WERに入力されるトリガをカウントし、そのカウント数がトリガ番号として割り振り管理されることになる。各所に設置された複数のWERのデータを使用して加速器の異常時の原因追求等を行うような場合、各々のWERが持つトリガ番号を同期することが必要になる。この為、上位層でトリガ番号を管理するトリガカウンタを開発し、LAN経由で複数台のWERのトリガ番号を同期することが可能となっている。現在、この波形データ同期システムを本格導入するために、テストベンチによる検証を進めている。 本発表では、波形データ同期システムの検証結果と将来の収集システムの構成などについて報告する。 |
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SAP096 p.735 | 縦方向Bunch-by-Bunchフィードバック用高効率エネルギーキッカーの開発 Development of a Highly-Efficient Energy Kicker for Longitudinal Bunch-by-Bunch Feedback ○正木 満博,中村 剛,小林 和生,藤田 貴弘,大石 真也,小路 正純,佐々木 茂樹,大熊 春夫((公財)高輝度光科学研究センター) ○Mitsuhiro Masaki, Takeshi Nakamura, Kazuo Kobayashi, Takahiro Fujita, Masaya Ohishi, Masazumi Shoji, Shigeki Sasaki, Haruo Ohkuma (JASRI/SPring-8) 現在SPring-8蓄積リングの高度化の一環として進めているシングルバンチ大電流化に伴って誘発されるシンクロトロン振動の抑制や、将来の低エミッタンス化・省電力化等のために電子ビームエネルギーを下げた場合の縦方向不安定性を抑制し総蓄積電流の増強を可能にするため、数年前から縦方向Bunch-by-Bunchフィードバックの検討を進め、高効率エネルギーキッカーを開発している。これまでに、プロトタイプ機の設計・製作、オフラインでの性能試験などを実施してきた。2012年度に、このプロトタイプ機のデザインに改良を加えて発熱対策などを講じた水冷式銅製キッカーを実用機として製作し、高周波特性試験等を経て蓄積リングに設置した。このキッカーは3セル構成となっており、各セルの空洞長は96 mm、駆動周波数はRF基準周波数の3.25倍の1.65 GHz、Q値は4程度である。ビームキック試験では、キック電圧をシンクロトロン振動数でCW変調することにより共鳴を利用してビームに縦方向の強制振動を与えた。入力したパワーが132 W/3cellsのときに励起された時間方向のビーム振幅は0.64 psであり、ここから算出したキック電圧は920 V/3cellsであった。シャントインピーダンスは、設計通りのキッカー1セル当たり1.1 kΩとなり、広く使われているwaveguide overloaded cavity型キッカーと比較して1セルの長さが半分以下であるので、単位長さ当たり換算では意図した通り3倍近い高効率となっている。 |
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SAP097 p.739 | VXI-11プロトコルを用いたJ-PARC MRにおけるスキュー四極電磁石のEPICS制御システム EPICS-based control system using VXI-11 protocol for skew quadrupole magnets in J-PARC MR ○佐藤 健一,山田 秀衛,上窪田 紀彦,高野 淳平(高エネ研),吉田 奨(関東情報サービス),山本 昇(高エネ研) ○Kenichi Sato, Shuei Yamada, Norihiko Kamikubota, Junpei Takano (KEK), Susumu Yoshida (KIS), Noboru Yamamoto (KEK) J-PARC MR(Main Ring)において、新たにスキュー四極(SkewQ)電磁石を制御するために、EPICS(Experimental Physics and Industrial Control System)ベースの制御システムを構築した。この制御システムは、a)Linux搭載のPLCコントローラ(横河電機 F3RP61-2L)、b)ファンクションジェネレータ(Tektronix AFG3000)、および c)バイポーラDCアンプ(エヌエフ回路設計ブロック BP4620)で構成される。ファンクションジェネレータは、F3RP61-2LからEthernet経由のVXI-11プロトコルで制御される。また、バイポーラDCアンプはハードワイヤでPLC I/Oモジュールに接続されている。両デバイスをEPICSから制御するための開発を行った。 実際のMR運転では、ファンクションジェネレータはMRのマシンサイクル(現在2.48秒)ごとにランプ波形を生成し、その波形に基いてバイポーラDCアンプがSkewQ電磁石を駆動する。本制御システムは2012年より開発され、2013年1月から運用を開始した。 |
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SAP098 p.742 | KU-FELにおける電子ビーム安定化 Study on Electron Beam Stabilization in KU-FEL ○奥村 健祐,全 炳俊,犬飼 元晴,栂村 勇輔,三島 健太,KONSTANTIN TORGASIN,NEGM HANI,OMER MAHAMED,吉田 恭平,紀井 俊輝,増田 開,大垣 英明(京都大学 エネルギー理工学研究所) ○Kensuke Okumura, Heishun Zen, Motoharu Inukai, Yuusuke Tsugamura, Kenta Mishima, Torgasin Konstantin, Hani Negm, Mahamed Omer, Kyohei Yoshida, Toshiteru Kii, Kai Masuda, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto University) FELを安定に発振させるには電子ビーム軌道を安定化させることが重要である。我々はKU-FELに4つの電極をもつBPM(Beam Position Monitor)を導入した。これにより、電子ビームの位置を非破壊で計測することが可能となった。また、計測された位置情報を元にフィードバック制御を導入する事で、水平方向と垂直方向の電子ビーム位置変動の大幅な低減と、発振するFELのパルスエネルギーの安定性の向上に成功した。しかし、フィードバック制御により安定化は可能となったものの、電子ビームの水平方向位置変動の主要因であるエネルギー変動の原因は明らかになっておらず、FEL安定化の根本的な解決には至っていない。上記のエネルギー変動はRF電子銃の共振空胴内の電場変動によって発生し、その電場変動を起こす要因としては空胴温度変化やRF電子銃に入力されるマイクロ波の強度変化、ビーム負荷の変動が挙げられる。本研究では、まず電子ビームのエネルギーと空胴温度の関係を調べ、明らかな相関を観測するとともに、より大きな変動要因が有る事も明らかとなった。そこで、さらに調査を進めたところ、その原因がRFサーキュレータの温度変化によるものであると判明した。本発表では、BPMによるフィードバックシステム及び、エネルギー変動の原因について詳細に報告すると共に、今後の方策についても議論する予定である。 |
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SAP099 p.746 | MADOCA互換 簡易データ収集システム MyCCの開発 DEVELOPMENT OF MYCC FOR A SIMPLE DATA ACQUISITION SYSTEM COMPATIBLE WITH MADOCA. ○丸山 俊之((株)日本技術センター),福井 達(放射光科学総合研究センター),広野 等子,山鹿 光裕(高輝度光科学研究センター) ○Toshiyuki Maruyama (Nippon Gijutsu Center Co.,Ltd.), Toru Fukui (RIKEN SPring-8 Center), Toko Hirono, Mitsuhiro Yamaga (JASRI) MADOCAはデータ収集を機能の一部として持つ制御フレームワークであり、SACLA制御システムに採用されている。MADOCAのデータ収集では、CC(Collector Client)と呼ばれるプロセスによってデータがVMEなどの機器から集められデータベースに保存される。収集されたデータはWebによる閲覧や専用のAPIでの読み出しが可能である。MADOCAは安定性が高く高機能であるが、データ収集を始めるための手順が複雑なため、テストスタンドなど機器構成の変更が頻繁なシステムへの適用が難しい。そこで、MADOCAの互換インターフェースを持つMyCC(My Collector Client)を開発した。MyCCは簡易データ収集システムであるMyDAQ2の機能を拡張することによって開発された。MyCCはCC-MyDAQ2インターフェース変換プログラム、データ収集信号登録プログラム、データ読み出し用API、データ表示用Web-CGIで構成されている。MyCCはデータの収集、読み出しともにMADOCA互換であるため、機器制御プログラムはMADOCAのフレームワークを使って開発することができる。さらに、信号登録用ファイルに必要事項を記入してMyCCに登録するだけでデータ収集の開始が可能であり、データベースなどの専門知識を必要としない。MyCCはSACLAの高周波加速系テストスタンドに導入され、機器の構成が頻繁に変更される環境でも問題なく稼働している。 |
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SAP100 p.750 | KEK 電子・陽電子入射器で実現する仮想加速器 Virtual accelerator realization at KEK electron/positron linac ○古川 和朗,秋山 篤美,一宮 亮,岩崎 昌子(高エネルギー加速器研究機構),岡崎 知博(東日本技術研究所),小田切 淳一,梶 裕志,門倉 英一(高エネルギー加速器研究機構),草野 史郎,工藤 拓弥(三菱電機システム・サービス),倉品 美帆,佐藤 政則(高エネルギー加速器研究機構),中村 卓也(三菱電機システム・サービス),中村 達郎,諏訪田 剛,三川 勝彦(高エネルギー加速器研究機構),水川 義和(三菱電機システム・サービス),宮原 房史(高エネルギー加速器研究機構),吉井 兼治(三菱電機システム・サービス) ○Kazuro Furukawa, Atsuyoshi Akiyama, Ryo Ichimiya, Masako Iwasaki (KEK/SOKENDAI), Tomohiro Okazaki (EJIT), Jun-ichi Odagiri, Hiroshi Kaji, Eiichi Kadokura (KEK/SOKENDAI), Shiro Kusano, Takuya Kudou (MELCO-SC), Miho Kurashina, Masanori Satoh (KEK/SOKENDAI), Takuya Nakamura (MELCO-SC), Tatsuro Nakamura, Tsuyoshi Suwada, Katsuhiko Mikawa (KEK/SOKENDAI), Yoshikazu Mizukawa (MELCO-SC), Fusashi Miyahara (KEK/SOKENDAI), Kenji Yoshii (MELCO-SC) KEK の電子・陽電子入射器は実験目的の異なる複数の蓄積リング加速器にビームを供給してきた。そのうち、PF と PF-AR という2つの放射光蓄積リングは現在も運転を継続しており、11 年間運転された KEKB は、40 倍の電子・陽電子衝突確率を目指して SuperKEKB 計画に向けての改造が各所で行われている。SuperKEKB は 7 GeV の電子リングと 4 GeV の陽電子リングから構成され、また、低エミッタンスの陽電子を得るために新しくダンピング・リングも建設される。2015 年からは、これら 4 つの蓄積リング及びダンピング・リングとそれぞれ特性の大きく異なるビームを切り替えながらやり取りする必要がある。入射器は 50Hz で大電力電源を動作させる能力があるので、150 から 200 程度の加速機器パラメータを 20 ms 以内に切り換えて、あたかも同時に複数の蓄積リングに入射しているように振る舞わせる。これは、複数の仮想加速器を同時に運転操作していることに相当する。 |
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SAP101 p.754 | SPring-8およびSACLAにおける遠隔制御システムWARCSのアップグレード Upgrade of Wide Area Remote Control System (WARCS) at SPring-8 and SACLA 坂本 達亮,○杉本 崇(高輝度光科学研究センター) Tatsuaki Sakamoto, ○Takashi Sugimoto (JASRI) 大型放射光施設「SPring-8」およびX線自由電子レーザー施設「SACLA」はSPring-8サイトに併設され、利用に供されている。年間運転時間はSPring-8で約5,000時間、SACLAで約7,000時間に達しており、施設の安定した運転は重要である。 各加速器制御システムは、誤操作や悪意の攻撃を防ぐため、外部からのアクセスを通常は許可していない。一方、休日・夜間や機器担当者出張中の障害発生時の迅速な問題解決のため、外部から制御系への一時的なアクセス手段が必要である。制御系への安全なアクセスを実現するため、SPring-8では遠隔制御システム(Wide Area Remote Control System: WARCS)を開発し、運用してきた。しかしながら近年、WARCSで利用している暗号通信が禁止され利用できない状況が発生している。また、WARCSの利用には専用のノートPCを持ち出す必要があり、即時対応できない場合があった。以上の理由から、近年のネットワーク環境への適合と、汎用PCをクライアントにできる、新WARCSの開発を行った。 新WARCSでは運用の継続性を担保するため、認証と暗号通信を分離実装した。認証システムとして、標準認証モデルに準拠する一時アカウント管理システムを構築した。暗号通信は、多くのネットワーク環境で使用可能なオンデマンドSSL-VPNを採用した。新WARCSは平成24年度にSPring-8、SACLAに導入した。本論文では新WARCSの設計概念と実装、および実際の利用状況について報告する。 |
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SAP102 p.757 | あいちSRにおける加速器運転データベースの構築と現状 Construction and Present status of the database system for Aichi SR accelerators ○山本 尚人,高野 琢,真野 篤志,保坂 将人,高嶋 圭史(名大 シンクロトロン光研究センター),加藤 政博(分子科学研究所 極端紫外光施設) ○Naoto Yamamoto, Takumi Takano, Atsushi Mano, Masahito Hosaka, Yoshifumi Takashima (NUSR, Nagoya University), Masahiro Katoh (UVSOR, IMS) あいちSRは2013年4月より供用を開始した愛知県の放射光利用施設である。本施設の蓄積リングはエネルギー1.2 GeV, 周長72 m と比較的小型であるが、5Tの超伝導電磁石を偏向電磁石に採用したことにより、臨界エネルギー4.8 keVの硬X線を利用できるという特徴を持つ。本施設の光源加速器は線形加速器・ブースターシンクロトロン・蓄積リングから成る。 本施設では加速器のコミッショニング及び運転状況を少人数で監視・管理することを目的に加速器及びユーティリティ状況のデータベースシステムを構築した。本データベースでは加速器装置・冷却水設備・室温等の状況を逐次監視し一元的に管理している。 本システムの構築に当たりデータベースサーバはMySQLを採用し、加速器装置制御システム(EPICS)及びユーティリティ設備(専用ソフトウェア)からのデータ挿入にはC言語にてプログラムを作成した。本システムは2012年3月より始まったコミッショニングやマシンスタディでの各種操作及びビームパラメータの変化を監視・記録しており、装置に不具合が生じた際の原因究明等にも活用されている。また、日々の光源運用においては一日毎に線形加速器・蓄積リングの運転実績、真空度、フォルト項目、冷却水流量などの統計を自動出力させることで、光源システム全体の維持・管理に役立っている。 本発表においてはあいちSRにおける加速器運転データベースの詳細を報告する。 |
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SAP103 p.760 | Performance Study of Four Mirror Laser Resonator for 6 um Minimum Beam Size using Green Laser Oscillator ○Arpit Rawankar (SOKENDAI, Graduate University for Advanced Studies, Hayama), Junji Urakawa, Hirotaka Shimizu, Nobuhiro Terunuma, Yosuke Honda (KEK, Japan) The Accelerator Test Facility (ATF) was constructed at KEK to study low emittance beam physics and to develop the technologies associated with it. In ATF damping ring, electron beam size has been measured with laser wire optical cavity comprising two mirrors based on Compton scattering. A new four mirror laser wire system has been developed for quick measurements of three dimensional beam profiles. This system has many advantages over two mirror laser wire system. Four mirror resonator reduces the sensitivity towards misalignment as compare to two mirror resonator. Measured Finesse of the resonator is more than 4000. Inside ATF damping ring, electron beam has very small size of 10um in vertical direction. To measure electron beam profile, very thin laser beam size is needed. Laser waist size、around 6um in sagittal plane is achieved in between two concave mirrors. Special type of mirror alignment scheme is used to make a compact four mirror optical cavity. Laser resonator is designed to work in vacuum environment with a complex mirror holder design .We report the performance studies of such four mirror resonator using 532 nm CW laser oscillator . |
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SAP104 | レーザー航跡場加速による極短電子源の開発 Development of ultrashort electron source via laser wakefield acceleration ○中新 信彦,細貝 知直,益田 伸一,ジドコフ アレクセイ(阪大光科学センター),水田 好雄,中原 弘貴,岩佐 健太,幸原 朋広(阪大院工),神門 正城,小瀧 秀行,森 道明,ブラノフ セルゲイ(原研関西),山崎 淳(名大院工),荒河 一渡(島根大総合理工),佐野 智一(阪大院工(マテリアル生産科学)),兒玉 了祐(阪大光科学センター) ○Nobuhiko Nakanii, Tomonao Hosokai, Shin'ichi Masuda, Alexei Zhidkov (PPC, Osaka U.), Yoshio Mizuta, Hiroki Nakahara, Kenta Iwasa, Tomohiro Kohara (GSE, Osaka U.), Masaki Kando, Hideyuki Kotaki, Michiaki Mori, Sergei Bulanov (KPSI, JAEA), Atsushi Yamazaki (GSE, Nagoya U.), Kazuto Arakawa (IFSE, Shimane U.), Tomokazu Sano (GES(MMS), Osaka U.), Ryosuke Kodama (PPC, Osaka U.) We present the current developmental status of stable ultrashort electron source based on laser wakefield acceleration (LWFA) towards applications such as ultrafast electron imaging. A stable and directional electron beam has been produced by a plasma micro optics technique with applying external static magnetic field at gasjet target along laser axis in LWFA. Using this technique, we have succeeded in controlling the beam direction by tilting the magnetic field axis. This steering technique enables proper injection into a further wakefield to obtain higher energy and/or narrow energy spread. In next step, the broad energy spectrum of the injector beam will be made narrow by a staging LWFA with using double laser pulses towards the application use. The energy spectrum can be modified by phase rotation in another wakefield excited by second laser pulse synchronised with the first laser pulse producing the injector beam. |
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SAP106 p.765 | SuperKEKBに向けたDAW型RF電子銃用Yb系ハイブリッドレーザーシステム Yb hybrid laser system of DAW RF gun for SuperKEKB ○周 翔宇,夏井 拓也,吉田 光宏,小川 雄二郎(高エネルギー加速器研究機構) ○Xiangyu Zhou, Takuya Natsui, Mitsuhiro Yoshida, Yujiro Ogawa (KEK) SuperKEKBでは高ルミノシティーを得るに対して低エミッタンス化のため、RF電子銃を導入した。必要な電荷の5nCとエミッタンスの10μmにより、数十ps 以上の初期バンチ長が必須である。Ir5Ceカソードにより安定なパルスエネルギーmJレーザー光源が要ることが分かる。更にエミッタンスが抑制するため、レーザーパルス周波数領域の制御によりレーザーパルスの広帯域化が望ましい。これに合わせて、中心波長260nm、パルス長30ps、パルスエネルギーmJの広帯域スペクトルパルスレーザーが要求される。 Yb系レーザーはTiS系とNd系レーザーより、高増幅効率・広帯域・低コスト・コンパクトなどの利点がある。従って、RF電子銃を励起するため、Yb系レーザーシステムの開発を行っている。 まず、Ybファイバー発振器から中心波長1040nm、広帯域fs種光源を生成した。Linacの2856MHzと合わせるため、光源の繰り返し周波数を51.98MHzにロックした。そして透過型回折格子でパルス幅が30psまで伸ばさせ、2段階のYbファイバー増幅器によるワットレベルまで増幅し、パルスピッカーによりパルスを間引いた。低繰り返し・高ピーク強度のパルスを増幅するため、thin-disk型固体増幅器を導入した。Yb:YAG結晶を用いて、再生増幅及び2段階のマルチパス増幅を行った。最後、2段階の第2高調波発生によりmJ、258nm紫外光源が得られた。 レーザーパルスをIr5Ceカソードに導入し、結果として1.2nCの電子ビームを得た。 |
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SAP107 p.769 | ERL試験加速器入射部における光陰極電子銃用レーザーシステムの開発 Photo cathode laser system for Compact-ERL injector ○本田 洋介,宮島 司(高エネルギー加速器研究機構),コンパクトERL コミッショニンググループ(高エ研/JAEA/広島大学) ○Yosuke Honda, Tsukasa Miyajima (KEK), Commissioning_group Compact_erl (KEK/JAEA/Hiroshima university) 次世代の放射光源としてERL型加速器が提案されている。KEKではERL試験加速器(コンパクトERL)の建設が進められており、4月からその入射器部のビーム運転を開始した。光陰極DC電子銃を用いてビームを生成するため、そのビーム構造はカソードを励起するレーザー光によって決まる。レーザーシステムは、1.3GHzモードロック発振器とファイバー増幅器システムおよび波長変換器、そして、プロファイルの整形とカソードまでの輸送部、から構成される。本発表では、ビーム運転におけるレーザーシステム、そして、今後の開発計画について報告する。 |
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SAP108 | レーザー航跡場電子加速に用いるプラズママイクロオプティクス Transient plasma micro optics for laser wakefield electron acceleration ○水田 好雄(阪大院工),細貝 知直,益田 伸一,ジドコフ アレクセイ,中新 信彦,金 展(阪大光科学センター),中原 弘貴,幸原 朋広,岩佐 健太(阪大院工),神門 正城,ブラノフ セルゲイ(原子力機構関西),兒玉 了祐(阪大光科学センター、阪大レーザー研) ○Yoshio Mizuta (GSE, Osaka U.), Tomonao Hosokai, Shinichi Masuda, Alexei Zhidkov, Nobuhiko Nakanii, Zhan Jin (PPC, Osaka U.), Hiroki Nakahara, Tomohiro Kohara, Kenta Iwasa (GSE, Osaka U.), Masaki Kando, Sergei Bulanov (KPSI, JAEA), Ryosuke Kodama (PPC, Osaka U. , ILE, Osaka U.) 我々は、高い指向性をもつ単色の高エネルギー電子ビームをレーザー航跡場加速により安定に生成するためプラズママイクロオプティクス(TPMO:Transient Plasma Micro Optics)を用いることを提案している。TPMOとはプリフォームドプラズマを利用した集光・光導波デバイスである。生成された長尺のプラズマチャネルを含むTPMOを用いることで加速距離が長くなり、その結果位相回転が起こり電子ビームの単色化が期待できる。また、高エネルギー化も同時に期待できる。TPMOの研究において我々は、臨界パワー以下の適度なレーザー強度により生成される長尺かつ深いプラズマチャネル(スプラッシュチャネル)の形成を実証している。 現在、レーザー航跡場加速実験を行うための2ビームレーザーシステムを大阪大学光科学センターに構築し実験を開始している。本発表ではTPMOを利用したレーザー航跡場による高品質な極短電子ビーム発生および加速に関する見積・準備と実験について議論する。 |
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SAP109 p.773 | レーザーコンプトン散乱を用いた高強度レーザーの直接プロファイル計測 Direct diagnostic technique of high-intensity laser profile based on laser-Compton scattering ○吉田 靖史,佐藤 令,野々村 洸,坂上 和之,遠藤 彰,鷲尾 方一(早大理工研) ○Yasufumi Yoshida, Ryo Sato, Kou Nonomura, Kazuyuki Sakaue, Akira Endo, Masakazu Washio (RISE) 高強度レーザーは,次世代の半導体露光用光源であるEUV(Extreme Ultraviolet)光の生成方法のひとつであるLPP(Laser produced plasma)法において必要不可欠である。EUV光の生成効率向上及び安定性向上のために高強度レーザーの衝突点でのプロファイルを計測することは重要であるが,現在プロファイルを直接計測する手法は存在していない。そこで我々は,早稲田大学所有のCs-TeフォトカソードRF-Gunを用いたレーザーコンプトン散乱による高強度レーザーのプロファイル計測手法の開発を開始した。散乱光強度はレーザー強度に依存するため,レーザー光よりも十分に小さく収束された電子ビームを走査しながら散乱光強度分布を取得する事でレーザープロファイルを得られるという原理である(レーザーワイヤーの逆手法)。我々は電子ビームトラッキングコードGPT上で,強収束用ソレノイド電磁石を用いて各種パラメータを最適化することにより電子ビームサイズをσ~10μm程度に収束できることを示した。また,実際にビームライン上に強収束用電磁石をインストールし,収束ビームを生成した。そのビームサイズをGAFCHROMIC FILM HD-810を用いて測定し,σ~20μm程度の収束電子ビームを確認した。 本発表では,GPTによるシミュレーションの結果,実際のビームサイズ測定結果及び今後の展望について述べる。 |
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SAP110 p.777 | 誘電体加速に向けた高出力超短パルスYbレーザーの開発 Development Of High Power Ultra-short Pulse Ytterbium Laser For Dielectric Accelerator ○松村 陽介(東大),吉田 光宏,周 翔宇(高エネ研),小山 和義,上坂 充(東大) ○Yosuke Matsumura (the University of Tokyo), Mitsuhiro Yoshida, Xiangyu Zhou (KEK), Kazuyoshi Koyama, Mitsuru Uesaka (the University of Tokyo) YbレーザーはLD励起可能であり、さらに励起波長と発振波長が近い。これらのことからレーザーの増幅媒体としてYbは熱負荷が小さい特徴を持つ。そのためYbレーザーは高出力化が容易である。また、Ybレーザーは広帯域発振が可能であるためモードロックレーザーとして利用されており、現在さまざまな分野に応用されている。しかし、誘電体加速やレーザートロンなどへの応用に向けてさらなるYbレーザーの高出力化が望まれている。本研究では誘電体加速へ向けて、高出力超短パルスYbファイバーおよび固体レーザーの製作を行う。Ybファイバーレーザー発振器から繰り返し周波数62MHz、パルスエネルギー1.6nJを得た後、高増幅率が可能なYbファイバーレーザーを前段の増幅器に用いて、パルスエネルギーを数mJまで増幅させる。その後、高強度パルスの増幅が可能なYb固体レーザーを後段の増幅器に用いて、パルスエネルギーを数Jまで増幅させる。また、発振器とYbファイバーレーザー増幅器の間に強度変調器を、Ybファイバーレーザー増幅器と固体レーザー増幅器の間にポッケルスセルを導入し、繰り返し周波数を徐々に低減させて自然放射光を抑えつつ増幅を行う。最終的に繰り返し周波数50Hz、パルスエネルギー数Jの出力を得ることを目標にしている。現時点で繰り返し周波数62MHzにおいて平均出力20Wを得ることができた。今後さらなる高出力化およびCPAの研究を行い、本学会で最新の研究成果を発表する。 |
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SAP111 p.781 | LCSガンマ線源単色化のための非対称ファブリペロー光共振器のレイトレイス法による評価 Evaluation by a raytrace method of an asymetric Fabry-Perot optical resonator for a monochromatic LCS gamma ray source ○永井 良治,羽島 良一(原子力機構) ○Ryoji Nagai, Ryoichi Hajima (JAEA) われわれのグループではERL加速器技術を基盤としたレーザーコンプトン散乱(LCS)ガンマ線源を用いた非破壊核種分析システムの開発を行なって。LCSガンマ線源をさらに高度化し単色化を進めることで、ガンマ線非破壊分析システムの精度向上や核内励起状態の探求が可能になる。LCSでの単色ガンマ線発生に適した非対称ファブリペロー光共振器について、レイトレイス法を用いてミラーの形状誤差やミスアライメントの影響の評価を行ったので、その結果について報告する。 |
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SAP112 p.784 | 超伝導磁石を使った炭素線ガントリーの設計 Design of superconducting gantry for Carbon ○横山 久美子,畑中 吉治,福田 光宏,依田 哲彦,植田 浩史,森信 俊平,齋藤 高嶺,安田 裕介,鎌倉 恵太,竹村 真哉(大坂大学核物理研究センター) ○Kumiko Yokoyama, Kichiji Hatanaka, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroshi Ueda, Shunpei Morinobu, Takane Saito, Yusuke Yasuda, Keita Kamakura, Shinya Takemura (Research Center for Nuclear Physics OSAKA UNIVERSITY) 放射線治療において重粒子線を用いた治療法は重粒子のもつブラックピークの特徴から、がん病巣にピンポイントで最大線量を照射できることにより患者への負荷が少なく、陽子線と同様にがん治療に適していると考えられている。しかし重粒子線の治療装置は陽子線の装置と比べて大型でありそれに伴い建設費用がかかることから、装置の小型化・低価格化を目指す開発、またさらに優れた照射方法の開発が必要である。 そこで本研究の目的は実用化に向けた放射線治療のための400MeV の炭素線を照射するガントリーを設計することである。 先に述べたように炭素線の加速には大型磁石が必要であるが、超伝導磁石を用いることにより装置の小型化を実現し、装置の低コスト化を目指す。また炭素線の質を向上させるために、炭素線の収束性を保つようにビームラインの最適化を測る。ビームラインの双極磁石(dipole)・エッジフォーカス・双極磁石の半径方向と磁場の変化量によって定義されるn値(field index)により四重極磁石を用いずに水平・鉛直方向のビーム収束を可能にする。この最適化には計算コードtransportを用いる。 |
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SAP113 p.787 | 核物質非破壊検知用220MeVマイクロトロン Concepts of 220-MeV Microtron for Non-Destructive Nuclear Material Detection System ○堀 利匡,全 炳俊,紀井 俊輝,大垣 英明,オマル モハマド,ネグム ハニ,大東 出(京大エネ研),小滝 秀行,神門 正城(原研関西),羽島 良一,早川 岳人(原研東海),酒井 文雄(住重田無) ○Toshitada Hori, Heishun Zen, Toshiteru Kii, Hideaki Ohgaki, Mohamed Omer, Hani Negm, Izuru Daito (IAE, Kyoto Univ. ), Hideyuki Kotaki, Masaki Kando (JAEA, Kansai ), Ryoichi Hajima, Takehito Hayakawa (JAEA, Tokai), Fumio Sakai (SHI, Tanashi) 安全安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム「ガンマ線による核物質非破壊検知システム」の開発が平成22年度から進められている。システムの実現には高輝度でコンパクトな逆コンプトン散乱ガンマ線発生装置の開発が不可欠であり、原研関西研に設置されている電子エネルギー150MeV のマイクロトロンを利用した基礎実験が現在行われている。実用化には電子ビームのエネルギーを220MeVに引き上げる必要があり、上記の150MeVマイクロトロンをベースに高エネルギー版の検討を行った。既存技術の延長線上に位置づけられ実現が容易な220MeVマイクロトロンの概念と想定される出力ビーム特性について報告する。 |
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SAP114 p.790 | KEK小型電子加速器(LUCX)の現状報告(6) Present status of Laser Undulator Compact X-ray source (LUCX) (6) ○福田 将史,荒木 栄,Aryshev Alexander,浦川 順治,照沼 信浩,本田 洋介(高エ研),坂上 和之,鷲尾 方一(早大理工研) ○Masafumi Fukuda, Sakae Araki, Alexander Aryshev, Junji Urakawa, Nobuhiro Terunuma, Yosuke Honda (KEK), Kazuyuki Sakaue, Masakazu Washio (RISE, Waseda Univ.) KEK小型電子加速器(LUCX)では、マルチバンチ電子ビームとレーザーパルスとの逆コンプトン散乱を利用したX線源の開発を行っている。電子ビームはフォトカソードRF電子銃で生成し、加速管で最大30MeVまで加速する。その後、光共振器に蓄積したレーザーパルスと衝突させ、15~30keVのX線を生成する。 この小型電子加速器(LUCX)では、短時間で鮮明なX線イメージ画像を得ること、最終的には1ショットで撮影することを目標としている。昨年度、このためのアップグレードとして、3.6cell RF電子銃および12cell定在波加速管の導入、4枚ミラー平面光共振器の導入などを行った。これにより、最終的に電子ビームを10倍の1000bunches/train、レーザーパルスエネルギーを15倍の6mJ/pulseに増強することを目指している。このときの予想X線数は1.7×10^7 photons/train、エネルギー幅(FWHM)は10%となっている。このX線数であれば前回実験時と同じX線画像が約10ショットの照射で撮影でき、より鮮明な画像の取得が期待できる。現在、電子ビームは22MeV, 150bucnhes/train, 1.2nC/bunchでの運転を行っており、このビームでX線イメージング試験も行っている。この発表では主にアップグレード後の加速器側の進捗について報告する。 |
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SAP115 p.794 | HIMACにおける可変エネルギー運転の高度化 Upgrade of multiple-energy synchrotron operation at HIMAC ○水島 康太,片桐 健,岩田 佳之,古川 卓司,佐藤 眞二,白井 敏之,野田 耕司(放射線医学総合研究所) ○Kota Mizushima, Ken Katagiri, Yoshiyuki Iwata, Takuji Furukawa, Shinji Sato, Toshiyuki Shirai, Koji Noda (National Institute of Radiological Sciences) 放射線医学総合研究所(放医研)では、重粒子線治療用加速器HIMACを用いて、1994年から8000件以上の炭素線がん治療を行ってきた。より高度な照射線量制御を目的として、2011年から臨床開始されたスキャニング照射では、水平・垂直走査用電磁石とレンジシフターと呼ばれる複数枚のPMMAプレートを組み合わせて治療を行っている。スキャニング照射においては、照射するビームスポットサイズは小さい方が正常組織の損傷を低減するために望ましいが、そのためには、レンジシフターを使用せずにビームエネルギー変更を加速器で直接行うことが求められる。放医研では、これまでに開発されたシンクロトロンの可変エネルギー運転を高度化し、200段階以上のビームエネルギーを高速に切替、供給可能とすることで、レンジシフターレスなスキャニング照射を目指す。本研究発表では、可変エネルギー運転の実用化に向けたビーム出射制御システムの改良と、高度化された可変エネルギー運転のコミッショニングについて報告する。 |
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SAP116 p.798 | 超伝導加速空洞の検査システム開発のための試験装置構築 Device Construction for the Development of CS Cavity Inspection System ○頓宮 拓,岩下 芳久,楠田 敏之(京大化研),早野 仁司,山本 康史(高エネルギー加速器研究機構) ○Hiromu Tongu, Yoshihisa Iwashita, Toshiyuki Kusuda (ICR), Hitoshi Hayano, Yasuchika Yamamoto (KEK) 京都大学化学研究所では高エネルギー加速器研究機構(KEK)との共同研究で超伝導加速空胴の欠陥検査についての研究を進めている。超伝導状態の加速管に高周波電力を注入して行う縦測定において局所的欠陥の探索のため発熱箇所の検出(T-map)、X線測定(X-map)を行なっている。京都大学の欠陥検査システムXT-mapは安価な表面実装のチップ抵抗(RuO2)とフォトダイオード(赤外線検知用)をセンサーとして多数のフレキシブルプリント基板上に実装することにより高密度化(高位置分解能)を実現しており、同じ回路基板にT-mapとX-mapの機能を有し、センサーの高密度実装による高分解能測定、マルチプレクサ回路を用いたケーブリング削減と高速スキャニング、ローコストパーツの使用を特徴としている。これまでKEKの加速空胴縦測定スケジュールにあわせてセンサー感度や回路動作試験、クエンチ検出試験を行なってきた。成果はあったが、しかし、KEKの縦測定は週1回のスケジュールと限られているため、でありセンサーや回路の部品開発においてはフィードバックが遅れなど、XT-mapの迅速なテストを行なうには時間効率が悪い。そのため小型のクライオスタットを用いた部品開発を目的とした低温環境試験装置を製作した。低温環境試験装置の紹介と運用状況についても報告する。 |
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SAP117 p.802 | 廃炉にXバンドライナック中性子源設置で福島分析研究 X-band linac neutron source at Decommissioned Yayoi for Fukushima Analysis ○上坂 充(東京大学大学院工学系研究科原子力専攻),田儀 和浩(東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻),土橋 克弘,藤原 健(東京大学大学院工学系研究科原子力専攻),山本 昌志((株)アキュセラ) ○Mitsuru Uesaka (University of Tokyo, Nuclear Professional School), Kazuhiro Tagi (University of Tokyo, Department of Nuclear Engineering and Management), Katsuhiro Dobashi, Takeshi Fujiwara (University of Tokyo, Nuclear Professional School), Masashi Yamamoto (Accuthera Inc.) 高速中性子源炉“弥生”廃止措置後、旧炉心内部に、Xバンド30MeV電子ライナック中性子源を設置して、中性子理工学研究を継続する。廃炉後原子炉施設は解消するが、核物質使用施設であり続ける。しかも炉室、付随実験室等、新規の加速器・レーザー・放射線源の先進ハードウェアシステムを導入できるスペースがある。既存のXバンド(11.424GHz)30MeV~1kW電子ライナック(現コンプトン散乱X線源)を炉心内部に移設する。高出力用に入射部を、電子銃を20keV熱電子銃・進行波型バンチャに変更する。中性子強度は最大1012n/sec、電子マクロバルス幅(ミクロパルス幅2ps)は100ns-1ms, 繰り返し50ppsである。利用についてはまず、福島F1における今後の燃料デブリ分析の高精度化に貢献するべく、U, Pu ,Am,Cm等の核データの高精度取得を行う。特にPuの中性子エネルギー0.1-10eVでの断面積の、現状の~5%精度を向上させる。炉室内5m、隣接室を活用した10mのTOFラインを整備する。試料はグローブボックスに設置し、transmission計測から行う。シンチレーション検出器として大面積Ce:LiCAF (無機結晶シンチレータ) を採用して高感度化、 時間分解能100nsの高速応答を実現させる。中性子発生ターゲット・モデレータは100nsの短パルスを実現するべく最適設計を実施中である。将来、加速器駆動炉、消滅処理のための核データ分析も視野に入れたい。 |
ポスターセッション2 (8月4日 豊田講堂1階アトリウム) | |
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SUP001 p.806 | STFの現状 Status of Superconducting RF Test Facility (STF) ○早野 仁司(高エネルギー加速器研究機構) ○Hitoshi Hayano (KEK) The superconducting RF test facility (STF) in KEK is the facility to promote R&D of the International Linear Collider (ILC) cavities and cryomodule. The STF accelerator to promote the Quantum beam project was installed, commissioned and operated in 2011-2012. It consists of the L-band photocathode RF-gun, two superconducting cavities, and the Compton chamber which was combined and utilized 4-mirror laser accumulator. The X-ray generation experiment in the accelerator was successfully performed. Now, the accelerator is under installation of the 12m-cryomodule. All of the STF development done in 2012-2013 will be summarized in this paper. |
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SUP002 p.810 | 異方性を持つ固体プラズマによる電子ビーム収束 Electron Beam Focusing by an Anisotropic Solid-State Plasma ○小方 厚,菅 晃一,法澤 公寛,近藤 孝文,楊 金峰,吉田 陽一(阪大産研) ○Atsushi Ogata, Koichi Kan, Kimihiro Norizawa, Takafumi Kondoh, Jinfeng Yang, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka U.) フェムト秒 - アト秒台のバンチ長を持つ電子ビームの実現が近づいている.しかし多くの場合バンチ径はバンチ長より一桁大きい.そこでバンチ長程度のバンチ径を実現する方法を提案する.気体プラズマによる電子ビーム収束は水平・垂直二方向に同時に有効で,大きな収束力を持ち,すでに FFTB 等で多くの実績がある.しかし,気体プラズマを高真空ビームラインに導入するのは幾多の技術的な困難をともなう.そこで,固体プラズマによるビーム収束を検討中である.ただし,プラズマは下記の矛盾しあう2つの条件をみたさなければならない.第一は,プラズマの反応時間 (プラズマ周波数の逆数程度) がバンチ長より十分小さいことであり,第二はビームの帰還電流がビームの外を流れることである.第二の条件はプラズマ表皮長 (やはりプラズマ周波数に反比例する) がバンチ径より大きいことを要求する.この矛盾は,ビーム径方向と軸方向で異なるパラメータを持つ固体プラズマを用いることで解消する.具体的には,固体プラスマとして黒鉛を用い,その層をビーム軸と垂直に配置する方法で,現在実験を準備中である. |
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SUP003 p.813 | 超微弱ライナック電子線照射場のイメージングプレートを用いた評価 Evaluation of the irradiation field of the ultra-low intensity linac electron beams with an Imaging Plate ○下邨 広元(大阪府立大学大学院 工学研究科),谷口 良一,奥田 修一,宮丸 広幸,松浦 寛人,小嶋 崇夫(大阪府立大学大学院 放射線研究センター),Nam Soon-Kwon(CRI, Kangwon National University, Korea) ○Hiromoto Shimomura (Graduate school of engineering, Osaka Prefecture University), Ryoichi Taniguchi, Shuichi Okuda, Hiroyuki Miyamaru, Hiroto Matsuura, Takao Kojima (Radiation Research Center, Osaka Prefecture University), Soon-kwon Nam (CRI, Kangwon National University, Korea) 通常のライナック電子線では、高感度放射線線量計の特性研究などのために十分低い強度で電子線を照射することはできない。われわれは、大阪府立大学の16 MeV電子ライナックを用いて、超微弱電子線の発生に成功し、その照射場を利用して種々のビーム利用実験を行っている。現在安定に得られている超微弱ライナック電子線の1パルス当たりの最小電荷量は、fCの領域である。本研究では、イメージングプレート (IP) を用いてこの超微弱電子線の照射場の線量分布を評価することを目的とした。 IPによる線量評価を行うため、大阪府立大学の校正されたγ線照射場を利用した。IPは、時間の経過に伴うフェーディングの特性を持つ。γ線照射後から読み取りまでの時間を変えてこの特性を調べた。そしてフェーディングの影響を受けない読み取りの条件を求めた。またγ線の結果と比較して、電子線に対するIPの応答を評価した。 本研究では、電子線のエネルギーを 8 MeVにし、1マクロパルス当たりの電荷量を約10 pC/pulseとした。この電子線の強度は、あらかじめ特性を測定した放射線線量計で測定して求めた。IPを用いて得られた電子線の像を解析した結果、超微弱ライナック電子線照射場の二次元線量分布を得ることができた。この照射場の応用研究に関しても報告する。 |
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SUP004 p.817 | 誘電体管多モードテラヘルツ波による電子ビーム加速・減速の研究 Acceleration and deceleration of electron beam using multimode THz-wave in dielectric tube ○菅 晃一,楊 金峰,小方 厚,近藤 孝文,神戸 正雄,野澤 一太,樋川 智洋,法澤 公寛,小林 仁,吉田 陽一(阪大産研),萩行 正憲(阪大レーザー研),黒田 隆之助,豊川 弘之(産総研) ○Koichi Kan, Jinfeng Yang, Atsushi Ogata, Takafumi Kondoh, Masao Gohdo, Itta Nozawa, Tomohiro Toigawa, Kimihiro Norizawa, Hitoshi Kobayashi, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka Univ.), Masanori Hangyo (ILE, Osaka Univ.), Ryunosuke Kuroda, Hiroyuki Toyokawa (AIST) 阪大産研では、レーザーフォトカソードRF電子銃ライナックを導入し、フェムト秒パルスラジオリシスの開発を行っている。同時に、パルスラジオリシス時間分解能を向上するため、従来とは異なる電子ビーム診断手法開発の一環として、コヒーレントチェレンコフ放射(CCR, coherent Cherenkov radiation)について研究を行ってきた。CCRとは、電子ビームが発生するチェレンコフ放射を誘電体管中に閉じ込めると同時に、多モードのテラヘルツ波を発生する方法である。そこで、本研究では、CCRの多モードテラヘルツ波を用いた電子ビーム加速・減速について数値計算による研究を行った。 |
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SUP005 p.820 | SACLAにおける線形加速器模型に基づく電子ビーム軌道の自動補正 Orbit correction of the electron beam using the linear accelerator model at SACLA ○長谷川 太一,田尻 泰之(スプリングエイトサービス(株)),渡川 和晃,原 徹,田中 均(理研 放射光科学総合研究センター) ○Taichi Hasegawa, Yasuyuki Tajiri (SPring-8 Service Co., Ltd.), Kazuaki Togawa, Toru Hara, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) X線自由電子レーザー施設SACLAでは、2012年3月よりユーザー利用実験の為の24時間連続運転が開始されている。XFEL光を安定に供給する為には、電子ビーム軌道の安定化は極めて重要な課題である。アンジュレータの入射軌道は、地磁気遮蔽を施した直前の7.8 m長ドリフト空間の上下流にある二台のビーム位置モニタ(BPM)を用いて位置と角度を測定し、これらが最適な目標値に固定されるよう、ステアリング電磁石により自動補正を行っている。さらに今回、長期的にXFEL光を安定化させる為に、加速器全体にわたるビーム軌道の自動補正プログラムの開発を行った。 SACLAでは、蓄積リングにおいて確立された電子ビームの線形転送行列を、エネルギーが変化する線形加速器にも適用できるように、その拡張を行っている。加速器部の軌道補正は、加速器全体にわたる基準軌道からの偏差をBPMで測定し、偏差を平均的に最小にする多変数の線形最小二乗問題として解くことにより、最適なステアリング電磁石を選んで軌道補正を行う。このとき各セクションに設置されたステアリング電磁石の応答感度は、SACLAで開発した線形加速模型から計算する。応答関数は加速管のRF位相に依存するため、パラメータデータベースを介して常に正しい応答関数が利用できるようにした。 本学会では、SACLA加速器のビーム軌道自動補正プログラムの開発と運用について報告する。 |
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SUP006 p.824 | SuperKEKBリング建設の現状 Construction Status of the SuperKEKB Rings 赤井 和憲,○小磯 晴代(KEK) Kazunori Akai, ○Haruyo Koiso (KEK) 2014年度内のビーム運転開始に向けて、SuperKEKBの建設が進んでいる。SuperKEKB では、KEKBの40倍のルミノシティを目指して、衝突点垂直ベータ関数を~300 μm に絞り込むとともに、蓄積ビーム電流を約ニ倍に増強する。KEKBの~1/20にあたる超低ベータ光学系を実現するため全面的に改造される衝突点領域は、新ビームラインが確定し、電磁石設置作業が進行中である。衝突点左側の超伝導電磁石・クライオスタットは既に製作を開始しており、右側についても、多極磁場補正コイルの配置を最適化し設計がほぼ確定した。総数約1200 本を処理するアンテチェンバー型真空チェンバーのベーキングおよび内面TiNコーティング作業、LER新偏向電磁石の設置、両リングウィグラー区間の電磁石およびチェンバーの設置、アーク部真空チェンバーの組み込み、ARES空洞再配置および地上部RFシステム増強、真空および電磁石用冷却水配管増強等の進捗状況を含め、主リングおよび陽電子ダンピング・リング建設の現状を報告する。 |
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SUP007 p.828 | SuperKEKB主リングにおける電磁石アライメント方針の検討 EXAMINATION OF MAGNET ALIGNMENT POLICY FOR SUPERKEKB MR ○森田 昭夫,小磯 晴代,大西 幸喜,生出 勝宣,杉本 寛(高エネ研) ○Akio Morita, Haruyo Koiso, Yukiyoshi Ohnishi, Katsunobu Oide, Hiroshi Sugimoto (KEK) SuperKEKBは、KEKB B-factoryの 40倍のルミノシティーを目標として建設中の 非対称エネルギー電子-陽電子衝突型加速器である。 設計ルミノシティーの達成に必要となる pm級の垂直エミッタンス (ビーム・ビーム効果を含めて8~11pm)を実現する上で、 電磁石のアライメントの品質は極めて重要となってくる。 SuperKEKBで再利用する KEKB B-factoryのトンネルでは、10年に渡る運転の間に 沈下により鉛直方向に約25mmの歪みが発生している。 SuperKEKBの建設では、衝突点近傍の直線部以外ではKEKB B-factoryから 既設のビームラインの大半を流用する設計となっている。 これら既設のビームラインの電磁石をどのようにアライメントするかは、 光学系の垂直エミッタンスと建設スケジュールに直結する問題である。 SuperKEKBでは、光学系の性能を一定の水準に保ちつつ、既設の電磁石での 大きなアライメント修正を避けるようアライメント方針を定めた。 これへ至る経緯と光学系の性能評価について報告する。 |
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SUP008 p.831 | フォトカソード高周波電子銃による極短バンチ生成実験 Ultra-short electron bunch generation by a photocathode rf gun ○水柿 将貴,小柴 裕也,坂上 和之,鷲尾 方一(早大理工研),高富 俊和,浦川 順治(高エネ研),黒田 隆之助(産総研) ○Masataka Mizugaki, Yuya Koshiba, Kazuyuki Sakaue, Masakazu Washio (RISE), Toshikazu Takatomi, Junji Urakawa (KEK), Ryunosuke Kuroda (AIST) 早稲田大学鷲尾研究室では高品質ビーム科学をテーマにこれまで1.6セルのフォトカソード電子銃を用いて様々な研究を行なってきた。この電子銃ではUVパルスを短くしても空間電荷効果により1psより短いバンチ長は望めなかった。極短バンチ電子ビームが得られれば、パルスラジオリシスの時間分解能向上や高輝度テラヘルツ波光源への応用等が可能となる。この度バンチ圧縮に特化した電子銃(ECC-RF-Gun)の開発を行い、当加速器システムに組み込むに至った。ECC-RF-Gunは従来の加速空胴にバンチ圧縮を行うためにエネルギーを線形にチャープするセルを付属した構造になっており、このセルをEnergy Chirping Cell(ECC)と呼んでいる。ECCを通過した電子バンチは線形に速度変調を受け、時間とともに圧縮されてゆく。空胴設計にはSUPERFISHとPARMELAを用い、カソードから約3mの地点でバンチ長が200fs(rms)程度に圧縮されることをシミュレーション上で確認している。我々は既にこのような極短バンチから放射されるテラヘルツ帯の放射光をショットキーダイオード検波器で測定した。放射光強度がバンチ内の電子数の2乗に比例していることからコヒーレント放射であることを確認するとともに、0.2THz帯における検出にも成功した。これは従来の1.6セル電子銃では得られない周波数領域であり、バンチが確かに圧縮されていることを示している。本講演では放射光測定実験結果及び今後の展望について発表する。 |
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SUP009 p.834 | SuperKEKB入射器用低エミッタンス・高電荷電子ビームに向けたバンチ内時間構造制御 Temporal manipulation of low emittance and high charge electron beam for SuperKEKB injection ○吉田 光宏,夏井 拓哉,周 翔宇,小川 雄二郎,杉本 寛,飯田 直子,臧 磊,佐藤 政則(KEK) ○Mitsuhiro Yoshida, Takuya Natsui, Xiangyu Zhou, Yujiro Ogawa, Hiroshi Sugimoto, Naoko Iida, Lei Zang, Masanori Sato (KEK) SuperKEKBでは非常に高いルミノシティーを得るため、低エミッタンス化によるダイナミックアパーチャーの減少とビーム寿命の減少はやむを得ない。これに対応して電子陽電子入射器も高電荷・低エミッタンスの電子源として、RF電子銃の導入を進めている。KEKB-HERへの電子入射の要求は、5nCの電荷においてY方向の規格化エミッタンスが 20mm・mrad、エネルギー分散も0.1%である。RF電子銃からのビームは5nCの電荷では、20ps で6mm・mradのエミッタンスが最適であり、このビームを途中の輸送系等も含めて入射の要求値を満たさねばならない。加速管の横方向ウェーク場による横方向の射影エミッタンスの増加はバンチ長が短い程小さくできるが、縦方向ウェーク場によるエネルギー分散は10ps程度が最適である。これらを満たすような条件として、時間方向のバンチ構造をレーザーの時間構造の制御によりガウシアン分布ではなく矩形波にし、全幅で20ps を 10ps に圧縮した後、ビームを1.6GeVのアーク部まで輸送し、アーク部でさらに4psに圧縮する事を検討している。さらに4ps に圧縮するとエネルギー分散が大きくなるため、時間反転を行う検討を行った。これらのレーザーの時間構造制御及びビームオプティックスによる時間構造制御について発表を行う。 |
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SUP010 p.837 | ERL試験加速器入射部における縦方向ビーム性能評価 Longitudinal beam performance measurement at Compact-ERL injector ○本田 洋介,宮島 司(高エネルギー加速器研究機構),コンパクトERL コミッショニンググループ(KEK/JAEA/広島大学) ○Yosuke Honda, Tsukasa Miyajima (KEK), Commissioning_group Compact_erl (KEK/JAEA/Hiroshima university) 次世代の放射光源としてERL型加速器が提案されている。その光源としての性能は入射器の性能で決まり、入射器部で低エミッタンスかつ短バンチのビームを生成することが極めて重要である。KEKではERL試験加速器(コンパクトERL)の建設が進められており、4月からその入射器部のビーム運転を開始した。光陰極DC電子銃で生成したビームを入射器超伝導加速空洞で5MeVまで加速し、そのあとの診断部においてビーム性能を評価した。本発表では、とくにバンチ長の評価について報告する。 |
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SUP011 p.841 | ERL試験加速器入射部における横方向ビーム性能評価 Transverse beam performance measurement at Compact-ERL injector ○本田 洋介,宮島 司(高エネルギー加速器研究機構),コンパクトERL コミッショニンググループ(高エ研/JAEA/広島大学) ○Yosuke Honda, Tsukasa Miyajima (KEK), Commissioning_group Compact_erl (KEK/JAEA/Hiroshima universityh) 次世代の放射光源としてERL型加速器が提案されている。その光源としての性能は入射器の性能で決まり、入射器部で低エミッタンスかつ短バンチのビームを生成することが極めて重要である。KEKではERL試験加速器(コンパクトERL)の建設が進められており、4月からその入射器部のビーム運転を開始した。光陰極DC電子銃で生成したビームを入射器超伝導加速空洞で5MeVまで加速し、そのあとの診断部においてビーム性能を評価した。本発表では、とくにビームエミッタンスの評価について報告する。 |
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SUP012 p.845 | 高速キッカー磁石のフェライトの特性影響 Ferrite property effects on a fast kicker magnet ○樊 寬軍(高エネルギー加速器研究機構),福岡 翔太(筑波大学),石井 恒次,杉本 拓也( 高エネルギー加速器研究機構) ○Kuanjun Fan (High Energy Accelerator Research Organization), Shota Fukuoka (University of tsukuba), Koji Ishii, Takuya Sugimota (High Energy Accelerator Research Organization) Nickel Zinc ferrite materials are widely used in high speed pulse magnetic devices. The J-PARC main ring employs Ni-Zn ferrite kicker magnets in both fast extraction system and injection system. In order to generate high speed magnetic field, the magnetization rate in the ferrite is very high, which might cause magnetic losses due to the induced eddy current. In addition, kicker magnets also contribute significant coupling impedance to J-PARC MR, which is determined by the frequency dependent material property of complex permeability. Thus, the ferrite material properties need to be studied thoroughly to improve the kicker performance. A transmission type kicker that can generate arbitrary waveform of kicker field is being developed for the injection error correction. It requires very fast magnetization rate, which imposes severe demands on the ferrite properties. In order to estimate the effects of ferrite properties, 3D numerical studies are carried out. Different ferrite materials are studied to optimize the design. This paper gives the calculation results of coupling impedance, image currents and power loss of the kicker magnet. |
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SUP013 p.848 | 理研AVFサイクロトロン運転の現状報告 Status report of the operation of the RIKEN AVF cyclotron 月居 憲俊,福沢 聖児,濱仲 誠,石川 盛,小高 康照,小林 清志,小山 亮,仲村 武志,西田 稔,西村 誠,柴田 順翔,月居 憲俊,矢冨 一慎(住重加速器サービス),○坂本 成彦,加瀬 昌之,奥野 広樹,影山 正,上垣外 修一,熊谷 桂子,中川 孝秀,込山 美咲,須田 健嗣,内山 暁仁,山田 一成,長瀬 誠,福西 暢尚,藤巻 正樹,真家 武士,渡邉 環,渡邉 裕(理研仁科センター),山家 捷一,大城 幸光(東大CNS) Noritoshi Tsukiori, Seiji Fukuzawa, Makoto Hamanaka, Shigeru Ishikawa, Yasuteru Kotaka, Kiyoshi Kobayashi, Ryo Koyama, Takeshi Nakamura, Minoru Nishida, Makoto Nishimura, Junsho Shibata, Noritoshi Tsukiori, Kazuyoshi Yadomi (SHI ACCELERATOR SERVICE Ltd.), ○Naruhiko Sakamoto, Masayuki Kase, Hiroki Okuno, Tadashi Kageyama, Osamu Kamigatio, Keiko Kumagai, Takahide Nakagawa, Misaki Komiyama, Kenji Suda, Akito Uchiyama, Kazunari Yamada, Makoto Nagase, Nobuhisa Fukunishi, Masaki Fujimaki, Takeshi Maie, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe (NISHINA CENTER, RIKEN), Shoichi Yamaka, Yukimitsu Oshiro (CNS, UT) 理研AVFサイクロトロン(K70)の運転時間は、年間3000時間を越える。通常、RIBFにおいて比較的軽いイオンの入射器として用いられるほか、CRIBやRI製造のため単独での加速も行っている。本報告では、この1年の運転実績(加速粒子、運転時間など)のほか、老朽化によるトラブルやその修理について述べる。またRI製造に供するためAVF単独運転での大強度の陽子、重陽子ビームの加速など、高度化の取り組みについて報告する。 |
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SUP014 p.852 | 九州大学FFAG加速器のビームコミッショニングの現状 Present status of beam commissioning of FFAG accelerator at Kyushu University ○米村 祐次郎,有馬 秀彦,池田 伸夫,魚住 裕介,石橋 健二,相良 健至,野呂 哲夫,是永 忠志,稲岡 悠士,宮沖 貴史,沖田 英史(九州大学),中山 久義,高木 昭(KEK),森 義治(京都大学原子炉実験所) ○Yujiro Yonemura, Hidehiko Arima, Nobuo Ikeda, Yusuke Uozumi, Kenji Ishibashi, Kenshi Sagara, Tetsuo Noro, Tadashi Korenaga, Yushi Inaoka, Takashi Miyaoki, Hidefumi Okita (Kyushu University), Hisayoshi Nakayama, Akira Takagi (KEK), Yoshiharu Mori (KURRI) 九州大学加速器・ビーム応用科学センターでは、ビームを利用した教育および原子核科学、医療応用基礎科学等におけるビーム応用研究を推進することを目的として、FFAG加速器を主加速器とした加速器施設の整備が進められている。本加速器施設は、陽子サイクロトロンとFFAG 加速器によって構成されている。サイクロトロンから入射された10 MeVの陽子ビームはFFAG加速器によって125 MeVまで加速され、加速器外へ取り出される。平成23年12月から主リングのビームコミッショニングが開始され、平成24年2月に入射エネルギーにおいてビームの周回を確認した。前年度までにサイクロトロンのパルスイオン源、多重入射法を用いたビーム入射システム、高周波加速空洞の運転調整、および、ビームプロファイルモニターの整備が完了した。現在、高周波加速空洞を主リングへ組み込み、ビーム取出しに向けたビーム加速実験が行われている。本発表では、FFAG加速器のビームコミッショニングの現状、具体的には閉軌道の歪み(COD)やベータトロンチューンの測定結果について報告する。また、高周波加速空洞用磁気シールド、COD補正電磁石、チューン補正磁極、ビーム位置モニター、制御システム等の開発状況について詳細を報告する。 |
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SUP015 p.855 | J-PARC MainRing 高調波重畳によるBunching Factorの改善 The Bunching Factor improvement by superposition of higer harmonic ○原 圭吾,五十嵐 進,大森 千広,小関 忠,佐藤 洋一(高エネ研) ○Keigo Hara, Susumu Igarashi, Chihiro Ohmori, Tadashi Koseki, Yoichi Sato (KEK) J-PARCは大強度の陽子ビームを供給する加速器施設である。本発表ではlinac、RCS、MRというJ-PARC加速器群の中でMRに関して、入射直後のバンチングファクター改善によって空間電荷効果を緩和するためにビームシミュレーション計算を行った結果を示す。 現在RCSの出力が800 kW(MR 530 kW相当)になった場合を想定してMRでのRF電圧パターンについてシミュレーション計算を行っている。当初はRCS取り出し時のBunching Factor(B.F.)が必要とされている0.3(bunch長 300 ns)の分布をもとに計算を行い良好な結果が得られていた。しかしながら現在のRCSの取出しキッカーではB.F.が0.2(bunch長 200 ns)までが取出しの限界であるためこのような分布に対してのシミュレーション計算を行い最適なRF電圧パターンがないか検討した。なお、MRの入射キッカーが現在抱えているパルスの立ち上がりとリンギングの問題は、現在検討している補助キッカーにより改善できることを前提としている。結果、基本波、2次高調波に加えてさらに高次の高調波を加えることによりB.F.を入射直後から高い状態に保ち、ビームロスを低減できるRF電圧パターンを得ることができた。本発表ではこの結果について述べる。 |
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SUP016 p.858 | J-PARCリニアックチョッパシステムの開発 Development of RF chopper system at J-PARC Linac ○平野 耕一郎,伊藤 崇,近藤 恭弘,篠崎 信一,千代 悦司,三浦 昭彦,森下 卓俊(原子力機構),池上 雅紀,久保田 親,杉村 高志,内藤 富士雄,南茂 今朝雄,方 志高,福井 佑治,二ツ川 健太,丸田 朋史,宮尾 智章(高エネルギー加速器研究機構) ○Koichiro Hirano, Takashi Itou, Yasuhiro Kondo, Shinichi Shinozaki, Etsuji Chishiro, Akihiko Miura, Takatoshi Morishita (JAEA), Masanori Ikegami, Chikashi Kubota, Takashi Sugimura, Fujio Naito, Kesao Nanmo, Zhigao Fang, Yuji Fukui, Kenta Futatsukawa, Tomofumi Maruta, Tomoaki Miyao (KEK) J-PARCリニアックの運転パラメータは、ピーク電流17mA、マクロパルス幅500μs、繰り返し25Hz、ビームエネルギー181MeVである。マクロパルスビームは、RFQ下流のMEBT領域にあるRFチョッパ空洞の電界によって、その一部が蹴りだされ、櫛形構造を持つビームに整形される。この整形されたビームは、パルス幅600nsの中間パルスが1066nsの間隔で並んだ構造である。一方、蹴りだされたビームは、RFチョッパ空洞から約70cm離れた場所にあるスクレーパに負荷される。今後、イオン源、及び、RFQの改造、並びに、加速管の増設を行い、ビーム電流を50mA、ビームエネルギーを400MeVに増強する計画である。ビーム電流を50mAに増加すると、ビームが現状のチョッパ空洞の電極やビームパイプに当たるシミュレーション結果が得られている。また、スクレーパの損傷が懸念される。そこで、ビーム電流50mA に対応したMEBTビームラインに改造する計画である。今回は、チョッパ空洞やスクレーパ等に関するチョッパシステムの改造について報告する。 |
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SUP017 p.862 | J-PARC LINAC 3MeV ビームスクレーパーの開発 Development of a 3MeV beam scraper for the J-PARC Linac ○杉村 高志(高エネ),平野 耕一郎(日本原子力研究開発機構 ),南茂 今朝雄,栗原 俊一(高エネ) ○Takashi Sugimura (KEK), Koichiro Hirano (JAEA), Kesao Nanmo, Toshikaz Kurihara (KEK) J-PARCでは供用運転のビーム強度の増強に取り組んでおり、LINACでは400 MeV、50 mAへのビーム増強の実施を計画している。 なかでも、電流の増強については、イオン源、RFQの換装の準備を進めており、まさにビームの最初の部分から増強することになる。 本報告のビームスクレーパーはRFQの下流に設置するもので、そこよりさらに下流にある DTL以降の加速器において加速すべきではないビームをストップさせるのに十分な性能を持たなくてはならない。 現状では炭素複合材を用いたスクレーパーが設置されており、ビーム供用運転のために稼働中であるが、 現在の20 mA程度のビーム電流ですら、すでに表面の損耗が観察されており、 50 mAのビーム電流での運転時に耐えられるスクレーパーの開発が必要である。 このため、スクレーパ材料に関し、材料の検討を行うと共に、シミュレーションコードAnsysを用いた伝熱シミュレーションを実施している。 今回は、ビームスクレーパーの熱伝導解析について報告する。 |
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SUP018 p.867 | J-PARC線形加速器の50mA/400MeVアップグレードのためのエラースタディ Error studies for J-PARC linac upgrade to 50mA/400MeV ○劉 勇,池上 雅紀(高エネルギー加速器研究機構) ○Yong Liu, Masanori Ikegami (KEK) The J-PARC linac is to be upgraded from present 181 MeV to 400 MeV and the peak current to 50mA. This paper presents results of machine errors studies performed with 3D simulation code IMPACT. It is intended to validate the design, to predict possible beam situations at the RCS injection point and to be helpful for the coming commissioning. |
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SUP019 p.870 | サイラトロンCX2004Xの初期検査 Initial Test of Thyratron CX2004X ○菅沼 和明,富樫 智人,金正 倫計(原子力機構 J-PARC) ○Kazuaki Suganuma, Tomohito Togashi, Michikazu Kinsho (JAEA J-PARC) 3GeVシンクロトロンはJ-PARC施設を利用し研究を進めるユーザーに、安定に、より長い時間、陽子ビームを供給する責務がある。しかしながら3GeVシンクロトロンのキッカー電磁石電源において使用しているサイラトロンの寿命及び日々のメンテナンスによるビーム供給の休止が、J-PARC施設全体の連続運転の制限となりうる懸念がある。たとえば、現在3GeVシンクロトロンのキッカー電磁石電源で使用中のサイラトロンCX1193Cは、安定した動作を維持するために、また、長時間の使用を実現するため、およそ1000時間毎に、ユーザーへのビームの供給運転を休止し、サイラトロンの調整運転を行っている。我々は、サイラトロンの動作に起因せずに、連続したビーム運転を実現すため、新しいサイラトロンCX2004Xについて、その可能性を調べるための検査を開始したので報告する。 |
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SUP020 p.873 | Development of advanced THz generation schemes at KEK LUCX facility ○Alexander Aryshev, Sakai Araki, Masafumi Fukuda, Konstantin Lekomtsev, Mikhail Shevelev, Junji Urakawa (High Energy Accelerator Research Organization), Alexander Potylitsyn (Tomsk Polytechnic University), Kazuyuki Sakaue (Waseda University) The motivation for developing a linac-based THz source at KEK LUCX is coming from the growing interest to THz radiation. High gradient photo-cathode RF gun and few tens of femto-second laser system can directly generate a pre-bunched electron beam of a few hundred femto-seconds. We have proposed a new approach to produce the intense beams in the range of 0.1-5 THz based on Coherent Smith-Purcell Radiation (CSPR) in “super-radiant” regime on a 8 MeV electron beam at KEK LUCX accelerator. CSPR is generated when a charged particle moves in the vicinity of a periodical pattern or grating. The grating type and period can be chosen to make quasi-monochromatic CSPR spectrum. The radiation is coherent when its wavelength is comparable to or longer than the bunch length. It enters a “super-radiant” regime if micro-bunch spacing became comparable with radiation wavelength which is comparable to the grating period. To produce such a micro-bunch train of electrons a new Ti:Sa laser system for LUCX RF Gun has been developed. In this report the status of the experiment, Ti:Sa laser system, CSPR basic properties and vacuum chamber with manipulation system will be presented. |
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SUP021 p.877 | SPring-8次期計画における3.5倍高調波空胴によるバンチ伸長シミュレーション Simulation on bunch lengthening with 3.5 harmonic cavity for SPring-8-II plan ○藤田 貴弘,恵郷 博文,中村 剛,持箸 晃((公財)高輝度光科学研究センター) ○Takahiro Fujita, Hiroyasu Ego, Takeshi Nakamura, Akira Mochihashi (JASRI/SPring-8) SPring-8次期計画は極低エミッタンスリングであるため、バンチ内の電子電子散乱によるエミッタンス増大やビーム寿命の低下を避ける目的で、超伝導高調波空洞を導入してポテンシャルを歪ませ、バンチ長をそのゼロ電流極限(自然バンチ長)の4倍以上に伸長させる。こういった長いバンチ長を実現するには、基本波と高調波の電圧と位相をある一定の関係にする必要があるが、バンチの蓄積形態(フィリングパターン)によって高調波はもちろん、基本波の空洞電圧がリング1周にわたって変調されるために基本波と高調波の電圧と位相の関係がバンチ毎に異なり、十分なバンチ長のバンチとそうでないバンチが存在することになってしまう。以上の現象について、SPring-8次期計画のパラメータを用いてトラッキング計算を行った。結果、対称性の高いフィリングにおいてはおおよそ必要最低限のバンチ長まで伸長できることを確認した。また、高調波のみならず、基本波も超伝導空洞にすることでわずかに改善することが分かった。発表では、以上に述べたトラッキング計算の概要と結果について報告する。 |
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SUP022 p.882 | トーラス結び目型小型蓄積リングを採用した超低エミッタンス光源 Ultra-Low emittance Light Source with a Torus-knot Accumulator Ring ○宮本 篤,佐々木 茂美(広大放射光センター) ○Atsushi Miyamoto, Shigemi Sasaki (HSRC) 我々は現在、広島大学放射光科学研究センターの将来計画HiSOR-IIの光源リングへ、先頃提案した非常に小型でありながら長い周長を持ち直線部を多く持つトーラス結び目型蓄積リングを適用した設計を進めている。このリングは、直径が15m程度でありながら、3.6mの長直線部を11本も有し、軌道長は約130mとこれまでの小型リングでは達成できない特徴を持っている。また偏向電磁石を機能複合型にしたラティスを採用することで、第3世代光源並みのエミッタンスを達成できることもわかった。 一方、近年ではmulti-bendラティスを採用することでより低エミッタンスを実現するラティスが見られるようになってきた。そこで、このトーラス結び目型蓄積リングにもmulti-bendラティスを採用することで、VUV領域における回折限界以下のエミッタンスを目指す光源設計をすることとした。 発表では、HiSOR-IIに向けたこのリングの具体的な光源の仕様と性能について発表する。 |
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SUP023 | PFリングにおける挿入光源更新計画 Update plan of the undulators at the PF ring ○阿達 正浩,土屋 公央,塩屋 達郎,本田 融,谷本 育律,浅岡 聖二,野上 隆史(高エネ研) ○Masahiro Adachi, Kimichika Tsuchiya, Tatsuro Shioya, Tohru Honda, Yasunori Tanimoto, Seiji Asaoka, Takashi Nogami (KEK) 2005年に直線部増強が完了した2.5GeV PFリングには、10台の挿入光源が稼働しユーザーに放射光を提供している。 現在、残された直線部への新規アンジュレータの設置や既設アンジュレータの性能向上を目的とした更新計画を進めている。これまでに、直線部の増強により作られた4カ所の1.4m短直線部の内3カ所には短周期アンジュレータ(SGU#01, #03, #17)が設置され、BL16長直線部には2台の可変偏光アンジュレータ(U#16-1, #16-2)と5台のパルス電磁石を設置し、2012年4月に高速偏光スイッチング運転を実現して以降現在も順調に運用している。 今後、最後に残された1.4m短直線部には、X線小角散乱およびXAFS測定用の短周期アンジュレータSGU#15(磁石周期長17.6mm)を設置する計画である。これまでに磁石列の調整および真空立ち上げが順調に進み、今夏リングに設置できる見通しである。また、電子物性ビームラインBL02、BL13、BL28用に左右円偏光および水平垂直直線偏光を供給可能な3台のEPU型アンジュレータ(U#02-2, #13, #28)を新たに製作している。2014年度春に既設のU#02に直列にU#02-2を設置し、2014年夏には既設の物に比べて短周期長化したU#13および長尺化したU#28へと入れ替える計画である。 本発表では更新計画の詳細と現状を報告する。 |
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SUP024 p.885 | UVSORにおけるコヒーレント高調波観測系の立ち上げ Commissioning of observation system of coherent harmonic generation at UVSOR ○関田 創(名大院工),保坂 将人(名大SRセンター),高嶋 圭史(名大院工),山本 尚人(名大SRセンター),山崎 潤一郎,林 憲志,許斐 太郎,加藤 政博(UVSOR) ○So Sekita (nagoya university), Masato Hosaka (NUSR), Yoshifumi Takashima (nagoya university), Naoto Yamamoto (NUSR), Jyunichiro Yamazaki, Kenji Hayashi, Taro Konomi, Masahiro Katoh (UVSOR) 分子科学研究所UVSOR-Ⅲでは、電子蓄積リングを周回する相対論的電子ビームとレーザーを用いたコヒーレント光源の開発を行っている。コヒーレント光を発生するために、アンジュレータ中でシード光となるレーザー(入射シード光)と電子ビームを相互作用させる。これにより電子ビームの密度分布に入射シード光波長周期の粗密構造(マイクロバンチ)が生じる。このマイクロバンチから入射シード光波長の整数分の1の波長のコヒーレント高調波発生(CHG)が起こる。CHGは共振器型自由電子レーザーでは到達困難な真空紫外域でのコヒーレント光を発生することができ、超短パルス光も発生可能であるなど、通常の放射光とは異なる特質をもっている。 UVSOR-Ⅲでは波長800 nmのチタンサファイアレーザーを入射シード光として用いてCHGの基礎研究が行われてきた。本研究では新たに作られたUVSOR U1ビームラインにおける、真空紫外域のCHG観測系の設計・開発を進めている。真空紫外光の分光に瀬谷波岡型分光器を用い、また分光器はMgF2ウィンドウで電子蓄積リングの超高真空系から区切った。また、CHGのさらなる短波長化を目指し、入射シード光として非線形結晶を用いたレーザーの高調波を用いる場合の特性と、実際に発生させた2次、3次高調波について報告する。さらに、非線形結晶を用いたさらなる高次の高調波について変換効率の点から入射シード光としての利用の可能性を検討した結果も報告する。 |
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SUP025 p.889 | マイケルソン干渉計と検波器を用いたコヒーレント遷移放射光FT-THz分光法の開発 Development of the coherent transition radiation FT-THz spectroscopy based on Michelson interferometer with RF detector ○立花 充章,熊木 雅史,坂上 和之,鷲尾 方一(早大),黒田 隆之助,平 義隆,豊川 弘之,山田 家和勝(産総研) ○Mitsuaki Tachibana, Masafumi Kumaki, Kazuyuki Sakaue, Masakazu Washio (Waseda Univ.), Ryunosuke Kuroda, Yoshitaka Taira, Hiroyuki Toyokawa, Kawakatsu Yamada (AIST) 近年のTHz技術の進歩により、THz領域での物質固有の指紋スペクトルの存在が確認され、安心安全応用など様々な産業応用が期待されている。これまで産総研ではSバンド小型リニアック施設によって生成した超短パルス電子ビームを用いて、コヒーレント放射を利用した高強度THz波の生成とイメージング応用を行ってきた。 本研究では、テラヘルツ領域でのマイケルソン干渉計を構築し、THz波の分光技術を確立することが目的である。光学遅延による波の干渉の変化(インターフェログラム)を測定し、高速フーリエ変換(FFT)により周波数スペクトルを得ている。サンプルの有無でスペクトルを測定することにより、サンプル特有のTHz領域での吸収・透過のピークを得ることが出来る。 また、本研究ではTHz波を発生させるためにコヒーレント遷移放射光(CTR)を用いている。電子ビームが金属などの境界を通過し、その電場により金属境界面が分極させることで電磁波が放射される。特に、パルス幅を1ps以下にすることで、THz領域のコヒーレント遷移放射が発生する。 現在、インターフェログラムのバックグラウンドや多重反射等の低減のためにアクリル製の水セルを用いたTHz波の遮蔽材の作製を行っている。また、より高いTHz波を計測できるように検波器の広帯域化を進めている。本年会ではこれらの結果を報告する。 |
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SUP026 p.892 | 複合周期アンジュレータ磁気回路の試作と評価 Evaluation of test magnets for composite period undulator ○黒田 聡浩(兵庫県立大),鏡畑 暁裕,清家 隆光(高輝度光科学研究センター),北村 英男,田中 隆次(理研放射光センター) ○Akihiro Kuroda (University of Hyogo), Akihiro Kagamihata, Takamitsu Seike (JASRI), Hideo Kitamura, Takashi Tanaka (RIKEN) SPring-8などの放射光施設で使用されるアンジュレータと呼ばれる装置の磁気回路では、ある周期長で周期的磁場を発生するために、隣接する永久磁石ブロックの磁化角度が90度だけ回転し、かつ4個の永久磁石ブロックで1周期を形成する磁石列を電子ビーム軸の上下に配置する。アンジュレータから発生する光の波長は周期磁場の振幅と周期長に依存するため、これらを適切に選択することにより、所望の波長を得ることができる。振幅は上下磁石列の間隔を変えることによって調整可能である一方、周期長は通常ある値に固定され、このことが光の波長の利用可能範囲を制限する。 そこで、アンジュレータ光の波長範囲を広げるため、各磁石列を構成する永久磁石ブロックの磁化角度あるいは配列・寸法に変更を加えることにより、倍の周期をもつ周期磁場の発生を可能にする特殊な磁気回路(複合周期アンジュレータ)が提案された。さらにその応用例として、任意の偏光状態を生成可能な新型アンジュレータが考案された。 本研究では、磁化ベクトルを30度傾けた永久磁石ブロックを含む複合周期アンジュレータ磁気回路を試作し、基本周期と倍周期の各モードに設定した状態で磁場分布を測定することにより、その原理について検証した。また、得られた磁場データを光源計算ソフトSPECTRAにより解析し、期待される光特性について調べた。学会ではこれらの測定並びに解析の結果について報告する。 |
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SUP027 p.897 | コンパクトERL入射部の建設と周回部の建設状況 Construction and Commissioning of cERL Injector and Status of cERL Return Loop ○坂中 章悟,足立 伸一,明本 光生,荒川 大,浅岡 聖二,江並 和宏,遠藤 有聲,福田 茂樹,古屋 貴章,芳賀 開一,原 和文,原田 健太郎,本田 融,本田 洋介,本間 博幸,本間 輝也,細山 謙二,穂積 憲一,石井 篤,加古 永治,神谷 幸秀,片桐 広明,河田 洋,小林 幸則,小島 裕二,近藤 良也,久米 達哉,松本 利広,松村 宏,松下 英樹,道園 真一郎,三浦 孝子,宮島 司,長橋 進也,仲井 浩孝,中島 啓光,中村 典雄,中西 功太,中尾 克己,濁川 和幸,野上 隆史,野口 修一,野澤 俊介,帯名 崇,尾崎 俊幸,Qiu Feng,阪井 寛志,佐々木 慎一,下ヶ橋 秀典,佐藤 康太郎,佐藤 昌史,設楽 哲夫,島田 美帆,篠江 憲治,塩屋 達郎,宍戸 寿郎,多田野 幹人,高橋 毅,高井 良太,竹中 たてる,谷本 育律,飛山 真理,土屋 公央,内山 隆司,上田 明,梅森 健成,渡邉 謙,山本 将博,山本 康史,矢野 喜治,吉田 光宏(KEK),Cenni Enrico (総研大),高木 宏之(ISSP),羽島 良一,松葉 俊哉,永井 良治,西森 信行,沢村 勝,静間 俊行(JAEA),栗木 雅夫,飯島 北斗(広島大学) ○Shogo Sakanaka, Shinichi Adachi, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Seiji Asaoka, Kazuhiro Enami, Kuninori Endo, Shigeki Fukuda, Takaaki Furuya, Kaiichi Haga, Kazufumi Hara, Kentaro Harada, Tohru Honda, Yosuke Honda, Hiroyuki Honma, Teruya Honma, Kenji Hosoyama, Ken-ichi Hozumi, Atsushi Ishii, Eiji Kako, Yukihide Kamiya, Hiroaki Katagiri, Hiroshi Kawata, Yukinori Kobayashi, Yuuji Kojima, Yoshinari Kondou, Tatsuya Kume, Toshihiro Matsumoto, Hiroshi Matsumura, Hideki Matsushita, Shinichiro Michizono, Takako Miura, Tsukasa Miyajima, Shinya Nagahashi, Hirotaka Nakai, Hiromitsu Nakajima, Norio Nakamura, Kota Nakanishi, Katsumi Nakao, Kazuyuki Nigorikawa, Takashi Nogami, Shuichi Noguchi, Shunsuke Nozawa, Takashi Obina, Toshiyuki Ozaki, Feng Qiu, Hiroshi Sakai, Shinichi Sasaki, Hidenori Sagehashi, Kotaro Satoh, Masato Ssatoh, Tetsuo Shidara, Miho Shimada, Kenji Shinoe, Tatsuro Shioya, Toshio Shishido, Mikito Tadano, Takeshi Takahashi, Ryota Takai, Tateru Takenaka, Yasunori Tanimoto, Makoto Tobiyama, Kimichika Tsuchiya, Takashi Uchiyama, Akira Ueda, Kensei Umemori, Ken Watanabe, Masahiro Yamamoto, Yasuchika Yamamoto, Yoshiharu Yano, Mitsuhiro Yoshida (KEK), Enrico Cenni (Sokendai), Hiroyuki Takaki (ISSP), Ryoichi Hajima, Shunya Matsuba, Ryoji Nagai, Nobuyuki Nishimori, Masaru Sawamura, Toshiyuki Shizuma (JAEA), Masao Kuriki, Hokuto Iijima (Hiroshima Univ.) ERL放射光源に向けた実証機であるコンパクトERL(cERL)は、KEKで順調に建設が進んでいる。最重要機器である500kV光陰極DC電子銃、入射器超伝導空洞モジュール、主加速空洞モジュールが既に完成し、それぞれ高電圧および大電力試験を行い、実用できることを確認した。光陰極DC電子銃、入射器空洞モジュール、および入射器診断ビームラインから成るcERL入射部が2013年3月末に完成し、4月からビーム運転を開始した。6月14日現在、ビーム運動エネルギー約5.6 MeV、最大ビーム電流約300 nAまでのビーム運転に成功し、電子ビームの性能評価を行っている。また、主加速空洞モジュールとエネルギー回収のためのビーム周回部を含むcERL全体の建設を今年7月から11月中旬まで予定している。本発表では、cERL入射部の建設とコミッショニング、および周回部建設の進捗状況について報告する。 |
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SUP028 p.902 | NEA-GaAsフォトカソードにおけるイオン衝突の影響評価 Impact evaluation of Ion Back-Bombardment of NEA-GaAs ○三好 健太郎,栗木 雅夫,郭 磊(広大先端研),飯島 北斗(東京理科大) ○Kentaro Miyoshi, Masao Kuriki, Lei Guo (AdSM, Hiroshima Univ.), Hokuto Iijima (Tokyo University of Science) 本研究室では次世代加速器のための高性能電子源の開発研究の一環として、NEA-GaAsフォトカソードの研究をおこなってきた。NEA-GaAs光陰極は高量子効率、低エミッタンス、円偏向レーザーの入射による偏極電子の生成等の特長を持つ反面、カソードの脆弱性が課題である。いくつかの劣化プロセスの中で、残留ガスのイオン化によって発生する陽イオンのカソードへの逆流現象が、カソードへダメージを与え、運転時間を制限することがわかった。その効果の定量的評価のため、バイアスの変更によるイオン逆流の制御、ビーム試験中の真空圧力の変動の抑制を可能とするようなカソード試験装置の改造を行っている。本発表では、カソード試験装置内で発生した陽イオンの逆流現象をシミュレーションし、カソードへ到達するイオンの密度、一様性等のバイアス電圧依存性について発表する。 |
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SUP029 p.906 | フェムト秒時間分解電子顕微鏡におけるビームダイナミクスの研究 Beam Dynamics Study in Femtosecond Time-resolved Electron Microscopy ○李 亮,仲西 琢己,楊 金峰,吉田 陽一(阪大産業) ○Liang Li, Takumi Nakanishi, Jinfeng Yang, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka University) 阪大産研では、フォトカソードRF電子銃を用いた時間分解電子顕微鏡の開発を行い、フェムト秒時間とナノメートル空間領域での構造変化ダイナミクスの研究を推進している。この高時空間分解能を実現するためには、高輝度電子ビームの発生が必要である。本研究では、RF電子銃と電子顕微鏡内にビーム輸送における空間電荷効果をモデル化し、シミュレーションを通して、RF電子銃における熱エミッタンス、RFと空間電荷効果によるエミッタンスの増大を定量化する。シミュレーションは、General Particle Tracer(GPT)を用いる。そのために、ビーム特性(ビームエミッタンス、パルス幅、エネルギー分散など)とRF加速電圧、照射レーザーのスポット径、電荷量など)の依存性を計算し、電子顕微鏡の測定における空間電荷効果によるビーム特性の影響を評価した。本大会では、シミュレーションの結果、電子顕微鏡におけるエミッタンスの測定、そしてシミュレーションとの比較について報告する。 |
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SUP030 p.910 | 透過光型スピン偏極電子源を用いた逆光電子分光装置の開発 Development of Transmission-type Polarized Electron Source for Inverse Photoemission Spectroscopy ○梶浦 陽平,稲垣 利樹(名大院工),山本 尚人,保坂 将人,真野 篤志,高嶋 圭史(名大 シンクロトロン光研究センター),許斐 太郎,加藤 政博(分子研科学研究所 極端紫外光施設) ○Yohei Kajiura, Toshiki Inagaki (Nagoya University), Naoto Yamamoto, Masahito Hosaka, Atsusi Mano, Yoshifumi Takashima (NUSR,Nagoya University), Taro Konomi, Masahiro Katoh (UVSOR,IMS) 負の電子親和性を持ったGaAs型半導体(NEA-GaAs) スピン偏極電子源は、高いスピン偏極度と輝度を兼ね備えた電子ビームを生成できるという特徴を持つ。この電子源開発において、名古屋大学では背面透過光型電子源を開発し、スピン偏極度90%、輝度1.3×107(A/cm2sr)を達成している。我々はUVSORの光電子分光グループと協力して、本電子源を逆光電子分光に応用することを検討している。NEA-GaAs型電子源を用いることで、従来の逆光電子分光装置で技術開発の限界となっているエネルギー分解能(数百meV程度)を50meV以下に抑えることが期待されるからである。また、スピン偏極を用いることでスピン分解逆光電子分光も可能になるという利点もある。この目的のため我々はまず、スピン偏極電子源から生成した電子ビームを逆光電子分光装置に導くための電子ビーム光学輸送系の設計を始めた。現在、磁場と電場を同時に用いる事で、Wien-Filterの機能を持った電子ビーム偏向器の設計を行っている。これによってビーム偏向する際にスピンの向きを任意に走査できるようになる。そのための磁場設計を3次元磁場計算コードradiaを用いて行った。また、ビーム輸送系全体におけるスピン減偏極をThomas-BMT方程式から見積もった。本発表では設計中の電子ビーム光学輸送系について詳細を報告する。 |
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SUP031 p.915 | J-PARC RCSにおける荷電変換フォイルの回収 retrievement of the charge stripping foil in J-PARC RCS ○飛田 教光,吉本 政弘,山崎 良雄,佐伯 理生二,岡部 晃大,金正 倫計(日本原子力研究開発機構 J-PARC),竹田 修,武藤 正義(日本アドバンストテクノロジー株式会社) ○Norimitsu Tobita, Masahiro Yosimoto, Yoshio Yamazaki, Riuji Saeki, Kouta Okabe, Michikazu Kinsho (Japan Atomic Energy Agency J-PARC), Osamu Takeda, Masayoshi Mutoh (NIPPON ADVANCED TECHNOLOGY Co.,Ltd.) J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS:Rapid Cycling Synchrotron)で用いる荷電変換フォイルは、厚み約1μmの炭素製薄膜であり、ビームが照射され続けることで放射化する。また一般的に、フォイル自体も劣化が進み壊れやすくなると考えられている。しかし、照射後のフォイルを取扱う際には、フォイルが飛散することによる汚染や体内被ばくといった危険性への対策が課題の一つである。そこでRCSでは、放射化したフォイルを安全かつ確実に回収するためのフォイル交換ブースを設置した。仮にフォイルを飛散させた場合でも、放射化したフォイルをブース内にだけ閉じ込め、作業員の被ばくや作業エリアの汚染を防ぐことができるようになった。 また、フォイルの性能向上の観点から見ると、回収したフォイルの分析・観察は重要な課題の一つである。そこで、ビーム照射後の放射化したフォイルを観察するため、フォイルフレーム単体で密閉できる透明の保護ケースを開発した。密閉ボックスからグローブボックスの中でフォイルをフレーム1枚ずつ保護ケースに保管して取出すことで観察のための取扱が容易になった。 本発表では、ビーム照射後の荷電変換フォイルを回収するために開発した装置や確立した手法について詳しく発表する。 |
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SUP032 p.920 | J-PARCセシウム添加高周波駆動負水素イオン源の開発状況 Development of a Cs-seeded RF-Driven H-ion source for the J-PARC ○小泉 勲,上野 彰,大越 清紀,池上 清,高木 昭,山崎 宰春,小栗 英知(J-PARCセンター) ○Isao Koizumi, Akira Ueno, Kiyonori Ohkoshi, Kiyoshi Ikegami, Akira Takagi, Saishun Yamazaki, Hidetomo Oguri (J-PARC Center) J-PARC第2ステージの要求を満たすイオン源として、水平&垂直横方向エミッタンス1.5πmm・mrad内ビーム強度:60mA、パルス幅:ビームフラットトップ500μs、繰り返し:25Hz、運転寿命50日以上を目標とした、セシウム添加高周波駆動(RF)負水素イオン源の開発を行っている。現在テスト中のRFイオン源は、J-PARC実機イオン源をベースに様々な改良を施している。ソースプラズマは30MHz-RFを連続的に印加し、2MHz-RFをパルス的に重畳して生成している。200~240℃に加熱されたオーブン内の蒸気化されたセシウム(Cs)は、圧空バルブ開によりプラズマ生成室内に導入される。ビーム強度は、圧空バルブ開時間によるCs量の最適化、冷却板への圧空量によるPE温度、軸磁場補正用(AMFC)コイル電流による軸磁場補正等により最大化が図られる。無酸素銅製プラズマ真空容器を使用したプロトタイプイオン源で、上記の目標が達成可能であるとの実験結果を昨年報告した。 本年は、ステンレス鋼製プラズマ真空容器の実験結果を報告する。ステンレス鋼製プラズマ真空容器は軽量化を目的に採用しており、予め真空リークテスト可能なプラズマ電極から天板まで一体化されたプラズマ真空容器をイオン源に組込む為、軽量化が必須であった。これにより、稼働中のJ-PARC実機イオン源と同様の短い時間での交換が可能となる。観測された両生成室の間の相違点についても報告する。 |
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SUP033 p.924 | レーザーイオン源における生成されたプラズマの制御に関する研究 Study on Control of the Generated Plasma in Laser Ion Source ○澁谷 達則(東工大),吉田 光宏(高エネ研),林崎 規託(東工大) ○Tatsunori Shibuya (Tokyo Tech), Mitsuhiro Yoshida (KEK), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Tech) 重粒子線治療や重イオン慣性核融合,高エネルギー物理学実験では,加速器システムの小型化などのために,従来以上に多価イオンを生成可能なイオン源が求められている。大強度多価イオンビームを生成できるレーザーイオン源はこの条件を満たすイオン源として注目を集めているが,そのプラズマ生成過程や輸送過程で粒子損失があり,効率向上のための改良が必要である。本研究では、イオン源チェンバー内部から加速空洞入射部までプラズマを輸送した時の最適化を解析と実験の双方の観点から行った。解析には電磁場解析コードCST STUDIO SUITEと粒子軌道計算コードGeneral Particle Tracerを用いた。グラファイトターゲットにレーザー照射を行い、その一部が円柱状に溶解すると仮定した。また、プラズマには外部電磁場の影響はなく、クーロン反発力によってのみ拡散するとした。解析結果より,プラズマ中の電子がイオンに比べてビーム軸方向に高密度に存在することがわかった。また、解析結果を実験的に評価するためにレーザーイオン源を設計製作し、電荷量の測定結果から最適なプラズマ輸送距離を決定した。 |
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SUP034 p.927 | ERL第二電子銃の開発状況 Construction of the 2nd 500 kV DC gun at KEK ○山本 将博,宮島 司,本田 洋介,内山 隆司,小林 正典(高エネ研),西森 信行,永井 良治,松葉 俊哉,羽島 良一(原子力機構),栗木 雅夫(広島大),桑原 真人(名古屋大),吉田 肇(産総研),栗巣 普揮(山口大) ○Masahiro Yamamoto, Tsukasa Miyajima, Yosuke Honda, Takashi Uchiyama, Masanori Kobayashi (KEK), Nobuyuki Nishimori, Ryoji Nagai, Shunya Matsuba, Ryoichi Hajima (JAEA), Masao Kuriki (Hiroshima Univ.), Makoto Kuwahara (Nagoya Univ.), Hajime Yoshida (AIST), Hiroki Kurisu (Yamaguchi Univ.) 昨年10月にJAEAで先に開発が進められてきた500kV電子銃がコンパクトERL(cERL)の入射器ラインにインストールされ、今年4月より入射器運転がスタートした。現在は小電流での試験が行われているが、今後、段階を経て大電流化が図られる予定となっている。大電流化に伴い、光陰極の寿命問題をはじめとする電子銃が現在抱えている克服すべき課題が明確となり、その問題に対して講じる対策を今後のcERL運転を通して検証し、一つずつ克服していくことになる。 第二電子銃は、cERL入射器の500kV電子銃のバックアップ機の役割の他に、電子銃が抱える問題解決のためのR&Dを進める役割も担う。特にcERL運転とは独立している第二電子銃では、トラブルが発生するリスクの高い開発を担う役割が大きい。第二電子銃では、具体的には以下のような工夫や装置開発を進めている。 具体的には、カソード-アノード間の暗電流を検出できる、絶縁されたアノードの設置、電子銃下流で生成した低エネルギーの正イオンが電子銃へ逆流しないように、アノード後方に別途プラス電位が印加できる電極を配置している。また、電子銃内部で発生するイオンの生成を抑えるため、徹底した低アウトガスの真空設計を行い、全ガス放出速度を1×10^-10 Pa m3/s(水素換算)以下に抑えた。電子銃運転時に10^-10 Paの圧力を維持することを目標としている。発表では、ERL第二電子銃の開発状況および拡張的な機能の詳細について報告する。 |
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SUP035 p.932 | LEBRA 100kV DC 電子銃電極形状の最適化シミュレーション Design optimization of 100 kV DC-gun wehnelt electrode for linac at LEBRA ○境 武志,田中 俊成,早川 建,早川 恭史,中尾 圭佐,野上 杏子,稲垣 学(日大量科研 LEBRA) ○Takeshi Sakai, Toshinari Tanaka, Ken Hayakawa, Yasushi Hayakawa, Keisuke Nakao, Kyoko Nogami, Manabu Inagaki (LEBRA, Nihon University) 日本大学電子線利用研究施設LEBRAでは125 MeVリニアックを用い、近赤外FEL及び、パラメトリックX線放射(PXR)の実用化、ユーザー利用実験を行なっている。また2012年には、産総研との共同研究によるコヒーレント放射光(CSR)実用化の一環として、THz光導入チェンバーを設置し実験室まで輸送している。 昨年度までに行った高速グリッドパルサーを導入した電子銃伝送路系の改良により、LEBRA 125 MeVリニアックの電子銃システムは、フルバンチモード、バーストモード、重畳モードの3モードでの運転が可能となった。しかし、この電子銃の電極形状は通常のフルバンチモードの場合を想定して設計しており、バーストモードや重畳モード運転では最適化されていない。そのため、ピーク電流の多い重畳モードやバーストモード運転時は、通常のフルバンチモード運転に比べビームの広がりが予想される。そこで、すべてのビーム運転モードに対応した電極形状の最適化検討をビームシミュレーションから行った。 |
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SUP036 p.936 | CバンドRF電子銃の開発 Development of a C-band RF gun ○平 義隆,黒田 隆之助,田中 真人,加藤 英俊,鈴木 良一,豊川 弘之(産総研) ○Yoshitaka Taira, Ryunosuke Kuroda, Masahito Tanaka, Hidetoshi Kato, Ryoichi Suzuki, Hiroyuki Toyokawa (AIST) 産総研では、テーブルトップサイズのX線、テラヘルツ光源のためのCバンドRF電子銃の開発を行っている。高周波源には周波数5.25~5.4 GHz、ピーク出力600 kWのマグネトロンを採用した。マグネトロンから出力される高周波は、4ポートサーキュレータ、方向性結合器、加圧窓付き導波管を通してRF電子銃に投入される。マグネトロンからRF電子銃までの全長は、1.5 mである。マグネトロンは、電圧-30 kV、ピーク電流40 A、パルス幅2 usの高電圧パルスを印加することによって動作する。この高電圧パルスを発生するために、DC電源をスパークギャップスイッチとPulse Forming Network(PFN)を用いてパルス化している。-25 kVの高電圧パルスをマグネトロンに印加することで、ピーク出力50 kWの高周波が発生していることを確認した。 CバンドRF電子銃は0.5セルの高周波空洞であり、設計にはSUPERFISHとPARMELAを用いて行った。600 kWの高周波が投入されることでエネルギー0.9 MeVの電子ビームが発生する。カソード材料には、針葉樹型のカーボンナノ構造体を利用し、電界放出によって電子ビームを発生する。年会では、CバンドRF電子銃の製作とハイパワーテストの結果について発表する。 |
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SUP037 p.941 | 透過光型スピン偏極電子源の時間応答性評価 Measurement of temporal response of transmission-type spin-polarized photocathodes ○稲垣 利樹,梶浦 陽平(名大),許斐 太郎(分子科学研究所 極端紫外光施設),岡野 泰彬(分子科学研究所 分子制御レーザー開発研究センター),阿達 正浩(高エネルギー加速器研究機構),山本 尚人(名大 シンクロトロン光研究センター),金 秀光(名古屋大学 高等研究院),保坂 将人,高嶋 圭史(名大 シンクロトロン光研究センター),加藤 政博(分子科学研究所 極端紫外光施設) ○Toshiki Inagaki, Youhei Kajiura (Nagoya University), Taro Konomi (UVSOR), Yasuaki Okano (Laser Research Center for Molecular Science), Masahiro Adachi (KEK), Naoto Yamamoto (NUSR), Xiuguang Jin (Nagoya University), Masato Hosaka, Yoshifumi Takashima (NUSR), Masahiro Katou (UVSOR) スピン偏極電子ビームは次世代の高エネルギー素粒子実験「国際リニアコライダー」 を実現するための必須要素とされている。このスピン偏極電子源開発において名古屋大学では90%を超えるスピン偏極度と0.5%の量子効率を同時に達成している。 近年、我々は歪み補償型の超格子フォトカソードによりスピン偏極度を維持したまま膜厚を数倍に増加させる事に成功している。膜厚の増加は量子効率の向上に非常に有効であるが、デメリットとしてパルス応答性を劣化させる可能性がある。我々は歪み補償型超格子フォトカソードを用いて量子効率を現状の数倍に向上させることを計画しているが、そのためにはパルス応答性の評価が不可欠である。 このため、我々は20kV電子源を用いたパルス応答性測定システムを開発した。本システムでは、レーザーパルスと同期したRF偏向空胴(共振周波数2612.9MHz)を用いて電子ビームを進行方向に対し垂直に蹴ることによって縦方向の情報を横方向に投影し、その後ナイフエッジ法を用いて投影されたビームサイズの測定を行い、励起レーザーに対する時間応答を評価する。 本発表では、透過光型偏極電子源の優れた性能を紹介すると共に、本研究において開発したシステムの詳細と活性層厚みの異なるカソードを用いた時間応答性測定結果について報告する。 |
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SUP038 p.946 | J-PARCイオン源の運転状況 Operation Status of the J-PARC Ion Source ○大越 清紀,池上 清,小泉 勲,上野 彰,高木 昭,山崎 宰春,小栗 英知(J-PARCセンター) ○Kiyonori Ohkoshi, Kiyoshi Ikegami (J-PARC Center), Isao Koizumi, Akira Ueno (J-PARC Center ), Akira Takagi (J-PARC Center), Saishun Yamazaki, Hidetomo Oguri (J-PARC Center ) 東日本大震災復旧後のJ-PARCイオン源は、特に大きな故障等も無く順調にビーム供給を行っている。J-PARCはビーム利用運転の稼働率向上のため、運転サイクルを1ヶ月から50日に延伸したと昨年報告したが、イオン源ビーム電流はLaB6フィラメントの寿命を考慮して50日連続運転の実績がある19mAに制限していた。今年1~2月の利用運転では、ユーザーからビーム電流増加の要望があったため、ビーム電流を22mAに上げて運転を行ったが、運転47日目にフィラメントが断線した。断線の約10時間前にフィラメント電流減少率の急増が観測され、これをフィラメント断線の予兆と判断してフィラメント交換のための準備を整えていたため、深夜に断線が発生したにもかかわらずフィラメント交換作業と調整運転がスムーズに進み、断線から約8時間後には利用運転を再開できた。また、4月に3GeVシンクロトロンのスタディのために約30mAでの運転を8日間連続で行い、スタディ中はイオン源調整することなく最後まで安定にビームを供給することができた。 J-PARCビーム増強計画の一環として行っている50mA用初段加速部の性能確認を行うために、イオン源とRFQで構成される初段加速部テストスタンドの構築を平成25年より着手した。近日このテストスタンドを利用して高周波型負水素イオン源の実用化試験を行う予定である。本学会では、J-PARCイオン源の運転状況及び初段加速部テストスタンドの整備状況について報告する。 |
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SUP039 p.950 | cERL主空洞冷却モジュールにおける冷却時の空洞位置変位測定 Measurement of the cavity displacement at the time of cooling of cERL main module. ○篠江 憲治,阪井 寛志,梅森 健成,佐藤 昌史,江並 和宏(高エネ研),沢村 勝(原研),古屋 貴章(高エネ研),Cenni Enrico(総研大) ○Kenji Shinoe, Hiroshi Sakai, Kensei Umemori, Masato Satoh, Kazyhiro Enami (KEK), Masaru Sawamura (JAEA), Takaaki Furuya (KEK), Enrico Cenni (Soukendai) KEKではERL開発棟でコンパクトERLの建設が進められている。 2012年には、2台の9セルキャビティを納めた、主加速部冷凍機モジュールが組み立てられ主加速部モジュールのハイパワー試験が行われた。 ここでは、モジュール組み立ての際、キャビティの中心位置を計測するため、光学式ターゲットをキャビティ治具に取り付け、冷却していく過程でのキャビティの中心位置の変化や冷却状態での中心位置を、テーラーホブソン社のアライメントテレスコープを用いて計測を行ったのでその結果について報告する。 |
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SUP040 p.953 | J-PARC MRにおける縦方向エミッタンス増大の為の高周波数空洞の計算 Calculations of the high frequency cavity used to make a controlled blow-up of the longitudinal emittance in J-PARC MR ○長谷川 豪志,大森 千広,戸田 信,原 圭吾,吉井 正人(KEK),野村 昌弘,山本 昌亘,島田 太平,田村 文彦(JAEA) ○Katsushi Hasegawa, Chihiro Omori, Makoto Toda, Keigo Hara, Masahito Yoshii (KEK), Masahiro Nomura, Masanobu Yamamoto, Taihei Shimada, Humihiko Tamura (JAEA) J-PARC MRのRF空胴は、金属磁性体コアを使用し高い加速勾配を実現している。この空胴の基本周波数は1.67-1.72MHzであるが、現在検討している縦方向エミッタンス増大方法の一つでは90MHz近傍の非常に高い周波数空洞の使用を想定している。 金属磁性体を使用した加速空胴としては、この周波数は非常に高い。この周波数帯空洞では、米国ブルックヘブン国立研究所のAGSで使用されたVHF空洞(約93MHz)があった。そこで、このVHF空胴を参考にHFSSで計算を行い、J-PARCに適した空洞について検討している。 本報告では、検討している空洞の計算結果について述べる。 |
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SUP041 p.956 | ERL超伝導スポーク空洞加速器の開発計画 Development Project for ERL Superconducting Spoke Cavity Accelerator ○沢村 勝,永井 良治,西森 信行,羽島 良一(原子力機構) ○Masaru Sawamura, Ryoji Nagai, Nobuyuki Nishimori, Ryoichi Hajima (JAEA) 我々はエネルギー回収型リニアック(ERL)とレーザーを組み合わせた核物質の非破壊核種分析検査システムを提案している。核保障措置および核セキュリティのためのシステムを構築するには加速器を小さくすることが重要であり、コンパクト化に有利なスポーク空洞を検討してきた。スポーク空洞は空洞間隔を短くできることや、マイクロフォニックスによる空洞周波数の変動も小さいこと、セル間のカップリングが強く電界分布調整が容易なことなどERL加速器として用いる場合に利点が大きい。 これまでMW-STUDIOを用いた空洞形状の最適化やHOMカップラーの計算など各コンポーネントの設計を行うとともに、アルミニウム製のスポークモデル空洞を用いてスポーク空洞の高周波特性の測定等を行ってきた。 超伝導加速器を運転するには冷凍機が必要となるが、実用性を考慮して4Kヘリウムで運転可能な325MHzのスポーク空洞の開発を計画している。今年度からニオブを用いた3セルスポーク空洞試作機の製作に着手し、数年後の縦測定での性能試験を行う予定になっている。 |
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SUP042 | ERL主加速部超伝導空洞の開発 Development of ERL main linac superconducting cavities ○梅森 健成,江並 和宏,阪井 寛志,佐藤 昌史,篠江 憲治,古屋 貴章(KEK),沢村 勝(JAEA),Cenni Enrico(Sokendai) ○Kensei Umemori, Kazuhiro Enami, Hiroshi Sakai, Masato Satoh, Kenji Shinoe, Takaaki Furuya (KEK), Masaru Sawamura (JAEA), Enrico Cenni (Sokendai) 将来光源ERLに向けて、主加速部の超伝導空洞開発を進めてきた。CWで大電流ビームを運転するERLにおいて重要なのは、強力なHOM減衰を実現してビーム電流値を確保することと、電界放出による空洞性能の劣化を抑制する事である。これまで、2台の試作空洞ならびにCompact ERL用の2台の実機9セル空洞を製作し試験を進めてきた。また、この2台の実機空洞は、HOMダンパーや入力カップラーを装着した後、クライオモジュールにインストールされて、大電力試験が行われ、今年の秋以降のERLビーム運転に備えている。空洞設計、空洞処理、縦測定結果、モジュール大電力試験結果なで、これまでの開発状況について報告する。 |
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SUP043 p.960 | シンクロトロン入射用ライナックの製造 PRODUCTION OF INJECTOR LINAC FOR THE ELECTRON SYNCHROTRON ○鈴木 大輔,三浦 禎雄,仙入 克也(三菱重工業株式会社),柏木 茂,浜 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Daisuke Suzuki, Sadao Miura, Katsuya Sennyu (Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.), Shigeru Kashiwagi, Hiroyuki Hama (Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University) 東北大学電子光理学研究センターでは、300MeVライナックと1.2GeVブースターシンクロトロンを保有していたが、東北地方太平洋沖地震により、ライナックの高エネルギー部が破損、復旧が困難な状態となった。このためブースターシンクロトロンの入射器として新規に90MeVライナックを導入することとなった。 入射用ライナックは、50MWのクライストロン1台を高周波源として、熱陰極RF電子銃から取り出した電子ビームをSバンド3m加速管2本により90MeVまで加速するものである。三菱重工では電子銃、加速管、高周波源に加えてビーム輸送ラインも含め一括で受注し、2013年1月に納入した。 本発表では上記の入射用ライナックの製造に関する詳細報告を行う。 |
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SUP044 p.963 | KEK c-ERL用超伝導加速空洞モジュールにおけるMHIの取り組み状況 The Development of Cryomodule for c-ERL at MHI ○原 博史(三菱重工(三原)) ○Hiroshi Hara (MHI Mihara) 当社MHIでは、高エネルギー加速器研究機構(KEK)にて建設されてい るc-ERL設備において、入射部・主加速部の超伝導加速空洞モジュール の製造に取り組み、その状況について報告する。 |
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SUP045 p.966 | シームレス超伝導空洞の開発 Development of Seamless Superconducting RF Cavity ○永田 智啓,阿部 知之,魚谷 祐樹,長久保 準基,篠澤 精一,村上 裕彦((株)アルバック),田島 健(ロスアラモス国立研究所),井上 均,山中 将(高エネルギー加速器研究機構) ○Tomohiro Nagata, Noriyuki Abe, Yuuki Uotani, Junki Nagakubo, Seiichi Shinozawa, Hirohiko Murakami (ULVAC, Inc.), Tsuyoshi Tajima (LANL), Hitoshi Inoue, Masashi Yamanaka (KEK) ニオブ超伝導加速空洞の製造工程において、電子ビーム溶接で空洞を作製した場合には溶接に起因して生じる欠陥やスパッタボールが加速性能に大きく影響し、これらを除去するための研磨工程まで含めると多大な時間を要する。一方、空洞本体には溶接を必要としないシームレス空洞はこのような懸念を取り除くことができ、コスト・生産性の点において改善が期待される。しかし、現状でシームレスパイプを空洞に加工する際に加わる大きな変形に耐え得る材料設計指針については未だ報告例が少ない。 今回我々はシームレス空洞製造工程である液圧成形の際に生じる結晶組織変化を評価し、アイリス部では結晶組織がパイプ長手方向に対してbcc構造のすべり面である(110)方位に伸長していることや赤道部の変形では結晶方位が傾いていく様子が観察された。一連の成形・評価において、シームレスパイプの結晶粒径分布やパイプ肉厚の精密な制御が重要であるということを示唆する結果が得られている。また、シームレスパイプの結晶粒径制御を行うための基礎特性評価として加工度曲線(数値化された加工具合に対する硬度)の測定を行い、低純度ニオブでは低い加工度で加工限界を迎えるのに対し、高純度ニオブでは転位がからみにくいことに起因して非常に高い加工度まで加工硬化を起こさないことがわかり、パイプ製造時にいかに強い加工を加えられるかが結晶粒径均一化の重要なポイントであることが示された。 |
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SUP046 p.969 | 超伝導加速空洞ダンベルの非接触形状測定 Development of Non-contact 3D Measurement System for Dumbbell of Accelerator Cavities ○江並 和宏,山中 将(高エネ研) ○Kazuhiro Enami, Masashi Yamanaka (KEK) 現在,KEKはCFF(Cavity Fabrication Facility,空洞製造技術開発施設)において,性能を高めつつより製造コストを抑えた9セル超伝導加速空洞の製造方法に関する研究開発を進めている.その一環として,超伝導加速管のハーフセルやダンベルといった部品の三次元形状の非接触測定装置の開発を進めている. 加速管の性能を保証する上で,その形状の測定は重要な課題となる.現在,加速空洞の作製の工程において形状測定が必要な箇所は多い.ハーフセルのプレス時のデザイン形状との誤差測定,ダンベル作成時にアイリス溶接による歪み量測定,それを伸ばして形状を戻す時のモニタ等の測定が必要となる.現在この作業には三次元測定機(CMM)を使用しているが,CMMには,装置が大型である,測定時間がかかる,専門の人間が必要,測定痕がついてしまう等の問題点がある.そこで,ラインレーザを使用して三次元形状を非接触で高速測定する装置を開発して,0.1mmの精度で化学研磨されたダンベル形状を測定することに成功した |
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SUP047 p.973 | cERL主空洞の機械的振動測定 Mechanical Oscillation Measurement of cERL Main Cavity ○佐藤 昌史,梅森 健成,江並 和宏,阪井 寛志(高エネ研),沢村 勝(原子力機構),篠江 憲治,古屋 貴章(高エネ研),Cenni Enrico(総研大) ○Masato Satoh, Kensei Umemori, Kazuhiro Enami, Hiroshi Sakai (KEK), Masaru Sawamura (JAEA), Kenji Shinoe, Takaaki Furuya (KEK), Enrico Cenni (Soukendai) 2012 年から2013 年にかけてコンパクトERL(以下、cERL)の建設作業が行われている。cERL のメインライナックには超伝導加速空洞が設置され、2012 年12 月には低温大電力の試験運転が実施された。一般的に 加速空洞は内部の幾何学形状によりRF 共振周波数が定まる一方で、超伝導加速空洞のQ 値は高く、機械的振動が加わり内部形状が変化することによりRF運転が不安定になることがある。我々はcERLの建設作業と並行して、9セル超伝導加速空洞の機械的振動モードを調査した。 |
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SUP048 p.977 | J-PARC SDTL空洞内マルチパクタ対策 Countermeasure of the Multipactor at SDTL Cavity in J-PARC Linac ○伊藤 崇,平野 耕一郎(日本原子力研究開発機構),杉村 高志,南茂 今朝雄(高エネルギー加速器研究機構) ○Takashi Ito, Koichiro Hirano (JAEA), Takashi Sugimura, Kesao Nanmo (KEK) J-PARCリニアック部の加速空洞であるSDTLは、東日本大震災後の復旧作業の後、2011年12月からビーム加速を再開した。復旧後の運転において、SDTL05B空洞はおよそ300kW~400kWの領域で空洞内に電力が投入できず反射のみが増加するという症状を呈した。これまでに行った原因調査及びシミュレーション結果から、この症状の原因は空洞内で発生しているマルチパクタである可能性が高いことが判明した。空洞内表面は震災後に高湿度の大気に長時間晒されたことからマルチパクタの症状が顕著に表れた可能性があり、この症状を改善させるため、2012年夏のメンテナンス期間にSDTL05B空洞内表面の不純物の成分分析を行うとともに、温水ベーキング、真空ポンプの増強とオイルフリー化などの対策、及び運転前の空洞コンディショニングを慎重に行った。この結果、マルチパクタの症状が改善し空洞に電力が入らない不具合領域が縮小した。本学会では、SDTL05B空洞の調査結果、及び不具合対策の結果について報告する。 |
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SUP049 p.982 | SPring-8次期計画における1.8GHz高調波加速空胴用モデルカップラーの製作 Model coupler of the 1.8 GHz harmonic cavity for SPring-8 II project ○持箸 晃,恵郷 博文,藤田 貴弘((公財)高輝度光科学研究センター) ○Akira Mochihashi, Hiroyasu Ego, Takahiro Fujita (JASRI) SPring-8次期計画では、低エミッタンス化に伴うTouschek寿命の減少を補償するため、高調波加速空胴によって電子バンチ長を伸長させることが検討されている。高調波空胴の周波数はメインの高周波加速空胴周波数(508.58MHz)の3.5倍(1780.03MHz)を想定しており、高調波加速空胴により伸長バンチと圧縮バンチを同時に蓄積できる利点がある。バンチ伸長のために必要な高調波空胴における加速勾配は20MV/m程度であるため、高調波空胴は超電導空胴である必要がある。この空胴を用いた場合に、蓄積ビーム電流値に対して最適なバンチ伸長条件における入力・反射電力条件を最適化するため、同軸型入力カップラーのアンテナを可動させ、カップリングを可変にすることを検討している。カップリング可変のカップラーのモデルを3次元高周波シミュレーター用いて設計・計算し、要求されるカップリング可変範囲を確認した。また、アンテナを交換可能なアルミニウム製モデルカップラーを製作し、モデル空胴に取り付けて高周波特性を測定したところ、シミュレーション計算で得られた高周波特性が実現していることを確認することができた。発表では、実機で要求されるカップリング可変範囲、モデルカップラーの設計・製作、その高周波測定結果と計算結果の比較について議論する。 |
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SUP050 p.987 | 1.2MW CW 大電力用ウォーターロードの開発 Development of cylindrical-type 1.2 MW CW high power water-load for super kekb ○渡邉 謙,西脇 みちる,海老原 清一,可部 農志,丸塚 勝美(高エネルギー加速器研究機構),三浦 厚,川根 祐輔(日本高周波株式会社) ○Ken Watanabe, Michiru Nishiwaki, Kiyokazu Ebihara, Atsushi Kabe, Katsumi Marutsuka (High Energy Accelerator Organization), Atsushi Miura, Yusuke Kawane (Nihon Koshiha Co. Ltd.) KEKで現在建設中のSuperKEKB加速器は電子陽電子を用いたダブルリングコライダーである。主リングに用いられる高周波源は周波数508.9MHz、最大出力1.2MW CWのクライストロン(Toshiba E3732、E3786)であり、発生させた大電力を安全に吸収されるために大電力用のウォーターロードが用いられている。本報告で述べる大電力用ウォーターロードは、現在開発中の円筒型水タンクを有するモデルであり、高周波窓周辺の表面電流分布の低減による局所的な発熱の抑制、水タンクにおける圧力損失の低減による全揚程の改善および高周波窓近傍の水流の改善による冷却効率の向上を目的として設計されており、既存の角型モデルと比較して、さらなる高性能化が期待される。なお、高周波電力の吸収体には市水を用いる。SuperKEKB加速器ではビーム電流増加に伴い、主リングのRFステーションの増強を行っている。特に大穂地区D4、D5電源棟では大電力用ウォーターロードを計14台必要としており、本機はそれに割り当てる。本報告では、2012年度に製作された4台の円筒型ウォーターロードの設計および大電力試験の結果について述べる。 |
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SUP051 p.992 | cERL入射器の高周波システム RF SYSTEM FOR cERL INJECTOR ○三浦 孝子,明本 光生,荒川 大,片桐 広明,設楽 哲夫,竹中 たてる,中尾 克巳,中島 啓光,福田 茂樹,本間 博幸,松下 英樹,松本 利広,道園 真一郎,矢野 喜治,邱 フェン,秋山 篤美,坂中 章悟,二ッ川 健太,帯名 崇,本田 洋介,宮島 司(KEK) ○Takako Miura, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Tetsuo Shidara, Tateru Takenaka, Katsumi Nakao, Hiromitsu Nakajima, Shigeki Fukuda, Hiroyuki Honma, Hideki Matsushita, Toshihiro Matsumoto, Shinichiro Michizono, Yoshiharu Yano, Feng Qiu, Atsuyoshi Akiyama, Shogo Sakanaka, Kenta Futasukawa, Takashi Obina, Yosuke Honda, Tsukasa Miyajima (KEK) cERL入射器は、常伝導のバンチャー空洞1台と、2セルの超伝導空洞が3台、計4台の空洞から構成されており、これらに1.3 GHzのRFを供給する必要がある。特に、ここで採用されている超伝導空洞には、各々上下対称の位置に入力カップラーが取り付けられており、RFを同位相で上下から供給する必要がある。これまで、高周波源の整備、導波管系の構築と位相の校正、低電力高周波制御系(LLRF)の整備をほぼ終え、2013年4月からcERL入射器のビームコミッショニングが開始された。若干手直しが必要な箇所が残っているが、RFシステム単体での短時間の試験では、必要とされる0.1%rms, 0.1deg rmsの仕様を満足する結果が得られた。ビームとの相関をとり、ビームに対するRFシステムの安定度についての評価も行う。 |
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SUP052 p.997 | 325MHz 大電力クライストロンの開発 Development of a 325MHz high power klystron ○田中 敏文,林 健一,大久保 良久(東芝電子管デバイス株式会社) ○Toshifumi Tanaka, Kenichi Hayashi, Yoshihisa Okubo (Toshiba Electron Tubes & Devices Co., Ltd.) 東芝電子管デバイス(株)では中国ADS計画向けのクライストロンとして周波数325MHzの連続波出力600kWのクライストロンの開発を行っている。本クライストロンの開発はJ-PARC向け324MHzでピーク出力3MWのパルスクライストロンE3740Aを基本とし、動作点の最適化による相互作用部の設計変更ならびに連続波動作のためのコレクタやビームトンネル部の冷却強化の設計変更により行っている。電子銃部や出力回路は設計検討の結果E3740Aの構造からの小変更で対応しており実績のある構造を採用した。コレクタは強制水冷型とすることでRF入力無しで動作可能としながら従来の500MHzクライストロンE3732のコレクタより大幅の減容とした。本クライストロンの試作1本目は2013年5月に工場での評価試験を行い、出力614kWで動作効率62%の連続波動作を確認した。今回はクライストロンの設計と動作試験結果について報告する。 |
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SUP053 p.1001 | J-PARCリニアック クライストロン高圧電源停止頻度の改善 Improvement for the Trip Rate of Klystron High-Voltage Power Supplies in J-PARC Linac ○堀 利彦,佐藤 文明,篠崎 信一,千代 悦司,小栗 英知(J-PARCセンター、JAEA),二ツ川 健太,福井 祐治(J-PARCセンター、KEK) ○Toshihiko Hori, Fumiaki Sato, Shinichi Shinozaki, Etsuji Chishiro, Hidetomo Oguri (J-PARC Center, JAEA), Kenta Futatugawa, Yuji Fukui (J-PARC Center, KEK) J-PARCリニアックでは2012年の夏メンテナンス以降のビーム利用運転にて、クライストロン電源の特定号機で高圧停止頻度が高くなり、加速器の稼働率を低下させていた。高圧停止時の各部波形を観測したところ、アノード電位短絡が原因の停止が多数モニタされた。この現象は主に、パルス繰返し数:25ppsのビーム加速時以外のタイミングで発生しているため本来、電源は停止しない。そこでこの現象は1次的要因であると考え2次的要因を調査した結果、トリガー分配用のNIMモジュールがアノード短絡時に生じる電磁・輻射ノイズ等によって誤動作していることがわかった。このモジュールは全系タイミングシステムからアノード変調タイミングパルスを受信し、変調器内の半導体スイッチON-OFFトリガー並びに、アナログ波形サンプルホールド回路の基準トリガーを出力するものである。誤動作対策として、モジュール基板のアースライン強化、入出力にローパスフィルタ挿入などの改良を現在継続中である。これらに加え、アノード短絡箇所を特定するためのクライストロン(DTL#2号機用)交換作業を2013年2月に実施した。結果、短絡箇所はクライストロン電子銃部のアノード-ボディ間で生じていることが判明し、従来考えられていた変調器側ではないことも確認した。取り外したクライストロンはテストステーションで稼働しており、短絡現象の再現性や短絡回数の低減に向けた調査を継続中である。 |
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SUP054 p.1004 | spring-8 1GeV 線型加速器モジュレータ電源の現状 Present status of modulator of SPring-8 1-GeV linac ○小林 利明,出羽 英紀,馬込 保,谷内 努,鈴木 紳介,水野 明彦,柳田 謙一,花木 博文(公財)高輝度光科学研究センター) ○Toshiaki Kobayashi, Hideki Dewa, Tamotsu Magome, Tsutomu Taniuchi, Shinsuke Suzuki, Akihiko Mizuno, Kenichi Yanagida, Hirohumi Hanaki (JASRI/SPring-8) SPring-8線型加速器では、省エネ化のためにモジュレータ電源の低繰り返し運転を実施している。モジュレータ電源は昨年8月より10Hzから4Hzの運転(蓄積リング2Hz, ニュースバルリング2Hz 計4Hz)に変更しており、省エネに対応した運転にとなっている。モジュレータ電源の低繰り返し運転を可能にしたダブルパルス化運転により、低繰り返しでも、それ以前のPFNコンデンサからのリークが少ないタイミングでサイラトロンが動作するためリーク電流がむしろ10Hz運転時より低下し、同じPFN電圧に設定とするとクライストロンrf パワーが増加した。モジュレータ電源のダブルパルス運転化に伴うモジュレータのfaultは増加していないが、経年劣化しているPFN電圧プローブの新規製作品に1台交換し、PFN電圧の安定度を監視している。プローブ交換後の安定度に問題がなければ、今後残りの12台を開発した高電圧プローブに置き換えていく。また更なる モジュレータ電源安定化のために、長期的に電圧安定度が悪いサイラトロンヒータ・リザーバ電源を直流化を行って安定化する試験を行っており、2台のモジュレータ電源に組み込み、長期動作試験を行っている。これらについても状況等を報告する。 |
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SUP055 p.1008 | BNCTシステム用 大電力多段型サーキュレータの開発 Development of the high power Multi-stage type circulator for BNCT system ○相澤 修一,日下部 孝敏,奥山 恒幸,鶴岡 茂嗣,篠原 己拔(日本高周波株式会社),松本 浩,小林 仁,吉岡 正和(高エネルギー加速器研究機構) ○Shuichi Aizawa, Takatoshi Kusakabe, Tsuneyuki Okuyama, Shigetsugu Tsuruoka, Kibatsu Shinohara (NIHON KOSHUHA Co., Ltd.), Hiroshi Matsumoto, Hitoshi Kobayashi, Masakazu Yoshioka (KEK,HIGH ENERGY ACCELERATOR RESEARCH ORGANIZATION) Boron Neutron Capture Therapy(BNCT)では治療効率を上げるためデューティー比の高いRFパルスが必要である。BNCTで使用する高周波電力は、周波数324MHzでピーク電力1.2MW、平均電力は240kWに達する。(J-PARC比で約2倍) この大電力で使用可能なコンパクトなY型サーキュレータの開発を行った。J-PARCで実績のある324MHz T型サーキュレータを基本としフェライトのキューリー温度を高いものに変更し、更にフェライトを薄くして耐平均電力を2倍に向上させた。低電力試験の結果VSWR1.2 挿入損失0.15dB Isolation20dB 帯域幅3MHzが得られた。本稿ではこのサーキュレータの設計・製作・低電力試験の結果について報告する。 |
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SUP056 p.1011 | SuperKEKBビーム衝突点用超伝導4極電磁石プロトタイプの製作と試験結果 Construction and Cold Tests of the Prototypes of the Superconducting Quadrupole Magnets for the SuperKEKB IR ○有本 靖,大内 徳人,東 憲男,山岡 広,土屋 清澄,宗 占国,大木 俊征(KEK) ○Yasushi Arimoto, Norihito Ohuchi, Norio Higashi, Hiroshi Yamaoka, Kiyosumi Tsuchiya, Zhanguo Zong, Toshiyuki Oki (KEK) SuperKEKBでは電子・陽電子ビームの衝突頻度(ルミノシティー)をKEKBより40倍高めることを目標とし、加速器の大幅な改造を進めている。ビーム最終収束系は超伝導4極電磁石のタブレットで構成されており、8台の超伝導4極電磁石がビーム衝突領域に組み込まれる。衝突点に最も近いQC1P(陽電子ビームライン)とQC1E(電子ビームライン)は、超伝導コイル内半径が小さく、厳しい磁場性能が要求されている。KEKではこの2台の超伝導4極電磁石についてプロトタイプを製作し、励磁試験及び磁場測定を行なった。本報告会では、このプロトタイプの製作及び液体ヘリウム温度下での試験結果について報告する。 |
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SUP057 p.1015 | SuperKEKB用フラックスコンセントレータ電源の開発 Development of Flux Concentrator Modulator for SuperKEKB ○明本 光生,紙谷 琢哉,設楽 哲夫,中島 啓光,福田 茂樹,本間 博幸,道園 真一郎(KEK) ○Mitsuo Akemoto, Takuya Kamitani, Tetsuo Shidara, Hiromitsu Nakajima, Shigeki Fukuda, Hiroyuki Honma, Shinichiro Michizono (KEK) SuperKEKB計画に向けて電子陽電子入射器の改造が進められている。本発表ではこれに向けた陽電子生成標的直後においてビームを強く収束するためのフラックスコンセントレータ型パルスソレノイドにパルス電流を供給する電源について報告する。負荷コイルのインダクタンスは約1マイクロヘンリーで、実機でのパルス電源のパルス出力仕様は約6マイクロ秒幅の半正弦波形でピーク電流12kA、繰返し50Hz、安定度0.3%(P-P)である。試作機として入射器で使用されているクライストロン・モジ ュレータ電源のPFN回路(パルス成形回路)を改造してピーク電流6kAのものを製作した。現在テストスタンドで試作したソレノイドの磁場分布測定や大電流通電試験を行っている。 |
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SUP058 p.1018 | J-PARC主リングの高繰返し化のための主電磁石電源の構成 Power Supply System of J-PARC Main Ring Main Magnets for High Repetition Rate Operation ○森田 裕一,栗本 佳典,下川 哲司,内藤 富士雄,中村 衆,岡村 勝也(KEK) ○Yuichi Morita, Yoshinori Kurimoto, Tetsushi Shimogawa, Fujio Naito, Shu Nakamura, Katsuya Okamura (KEK) J-PARC主リングでは、ニュートリノビームラインへのビームパワーを増強するために運転周期を現状の2.5秒から1秒へ速める。高繰返し化に伴って、主電磁石電源の出力電圧の増加、及び主電磁石に蓄えられるエネルギーを1次側へ回生することによる系統の電力変動が問題となる。さらに、ハドロンホールへのビームの性能向上のために出力電流の低リップル化が求められている。我々は以下の対策によりこれらを解決できる電源を開発し、現行電源と入れ替える計画である。出力電圧の増加に対しては、大型負荷を2分割し電源1台当たりの出力電圧を低減するとともに、電源自身も高圧チョッパを直列にした構成にし、大きな耐圧を得る。系統の電力変動に対しては、コンデンサを用いたエネルギー貯蔵方式を採用し、主電磁石とコンデンサの間で電力をやり取りする。よって、系統からの受電は抵抗損失分のみとなる。低リップル化に対しては、高速のチョッパを並列多重し、出力フィルタでスイッチングリップルを十分除去できる程度まで等価スイッチング周波数を大きくする。本報告では実験結果を交えて高繰返し化のための主電磁石電源の構成を紹介する。 |
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SUP059 p.1022 | SuperKEKB衝突点色収差補正用超伝導6極電磁石システムの開発 Development of Superconducting-Sextuple Magnet for Chromaticity Correction at Interaction Point on SuperKEKB ○有本 靖,大内 徳人,川井 正徳,近藤 良也,宗 占国,土屋 清澄,槙田 康博,山岡 広(KEK),岡村 哲至(東工大) ○Yasushi Arimoto, Norito Ohuchi, Masanori Kawahi, Yoshiya Kondo, Zhanguo Zong, Kiyosumi Tsuchiya, Yasuhiro Makida, Hiroshi Yamaoka (KEK), Tetsuji Okamura (TIT) 高エネルギー加速器研究機構で建設が進められているSuperKEKBでは最終収束系での色収差を補正するために、 ビーム衝突点を中心とする約200mの直線部に、計16台の補正6極電磁石が設置される。 現在、これらの電磁石は常伝導で開発が進められているが、発生磁場勾配の大きさ、発生可能な多極成分の数、磁場調整のしやすさ等の面では超伝導の方が好ましい。 一方、クエンチによる時間のロス、冷凍機による電磁石の振動等、加速器の運転・ビーム性能の観点から好ましくない点もある。 このため要求性能を満たす超伝導6極電磁石システムの検討を進めている。本講演ではこの超伝導6極電磁石システムの概要について述べる。 |
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SUP060 p.1025 | ニュースバルへの垂直キッカーシステム導入 Fast verticak kicker system of NewSUBARU ○庄司 善彦(兵庫県立大),満田 史織,中西 辰郎,皆川 康幸,竹村 育浩(高輝度光科学研究センター) ○Yoshihiko Shoji (University of Hyogo), Chikaori Mitsuda, Tatsurou Nakanishi, Yasuyuki Minagawa, Yasuhiro Takemura (JASRI) JASRIで開発した高速キッカー電源を用いた、垂直キッカーシステムをNewSUBARUに設置した。 直接の設置目的は、クロマティシティー変調との併用で、バンチ内に垂直方向の空間構造を作る事である。この空間構造は、構造に対応した時間波形のコヒーレント放射を発生する。この用途以外にも、垂直方向のリングパラメーターの計測など、様々な用途が期待される。 キッカーの時間波形は全幅約500nsハーフサインである。リング一周が396nsなので、リングのほぼ全周にわたってsingle kickとなる。出力は最大充電電圧1kVに対して150Aである。キッカー電磁石は空芯タイプで、長さ約280mm、実質1ターン(並列2ターン)である。 2012年にリングにセラミックダクトを設置し、時間幅約1μsのキッカー電源を使っていたが、2013年始めに現電源にアップグレードした。 キッカー波形はピックアップコイルでモニターする一方、キッカーによるビーム振動をICCD gated cameraで観測し、時間幅の確認、キッカータイミングの調整などを行った。 このシステムは、現在R&Dに使用中である。 |
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SUP061 p.1028 | 次世代加速器用高速スイッチング回路 High speed switching circuits for next-generation accelerator ○小笹 有輝,佐藤 祥,江 偉華(長岡技術科学大学),徳地 明(パルスパワー技術研究所),明本 光生,中島 啓光(高エネルギー加速器研究機構) ○Yuki Kozasa, Sho Sato, Weihua Jiang (Nagaoka University of Technology), Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan laboratory), Mitsuo Akemoto, Hiromitsu Nakajima (High Energy Accelerator Research Organization) ILC(International Linear Collider)計画に使用される大電力クライストロン用パルス電源は120kV(±0.5%), 140A, パルス幅1.7msという高精度かつ長パルスであることが要求される。そのため変圧器を用いる場合、飽和しないものとなると非常に大きな体積が必要とされるので、変圧器を用いない方式のものが有用である。そこで我々は、マルクス方式のパルス電源に着目し、1kVのパルス電源を4つ重畳した、4kVの出力のものを1ユニットとし、そのユニットをさらに多段に重ねることで目的の出力を得る方式を採った。今回はその基礎実験と評価について発表する。 |
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SUP062 p.1033 | SuperKEKB主リング電磁石製作に於けるトラブル報告 Problems Found with the SuperKEKB Main Ring Magnets ○大澤 康伸,飯沼 裕美,江川 一美,増澤 美佳(高エネ研) ○Yasunobu Ohsawa, Hiromi Iinuma, Kazumi Egawa, Mika Masuzawa (KEK) SuperKEKB主リングでは大部分の電磁石がKEKBから再利用されるが新規製作されるものも多数ある。その数は、水冷式のものだけでも陽電子リングアーク部偏向電磁石の約100台、ウィグラー電磁石の約170台など合計約400台にも上る。この他に陽電子リングの真空パイプが幅広のアンテチェンバー型になることから200台以上の空冷式垂直ステアリング電磁石が新規に製作された。この他の衝突点近傍の一連の電磁石群については現在設計、製作が進んでいるところである。このように多数の電磁石を国内外で新規製作したが、不具合が発生してしまったので報告する。例えば、一部のウィグラー電磁石では、純水冷却システムの流量スイッチに、大量の油が混入していたり、ゴムホース口金部内側にも同種の油が塗られていることが発覚した。また一部のステアリング電磁石では接着積層鋼板の剥離が見つかった。本発表では、情報共有を主目的に、我々が経験した電磁石製作時のトラブル、対策について紹介する。 |
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SUP063 p.1038 | 電磁石電源のためのフライングキャパシタ方式の原理実証 Test demonstration of magnet power supply with the flying capacitor ○下川 哲司,栗本 佳典,森田 裕一,内藤 富士雄,中村 衆,岡村 勝也(KEK) ○Tetsushi Shimogawa, Yoshinori Kurimoto, Yuichi Morita, Fujio Naito, Shu Nakamura, Katsuya Okamura (KEK) J-PARC主リングにおいてビームの大強度化は最重要課題である。そのために、繰り返し周期を2.5秒から1秒に短縮することを計画している。繰り返し周期の短縮に伴って、主電磁石に蓄えられるエネルギーを1次側へ回生することによる系統の電力変動および、電源の出力電圧の増加が問題となる。系統の電力変動に対しては、主電磁石とコンデンサ間で電力をやり取りするエネルギー貯蔵方式により対応する。磁気エネルギーをコンデンサに回生する方式としてフライングキャパシタを検討してる。フライングキャパシタ方式では磁気エネルギー供給用、損失供給用のチョッパを直列に接続し、前者のチョッパの入力部にはコンデンサのみが接続され、系統から充電するための整流器は接続されていない。この方式を採用することで、整流器の大幅な削減と高出力電圧を得ることが可能となる。しかしながら、磁気エネルギー供給用チョッパに接続されているコンデンサの充電が課題であり、ビーム取り出し直後の時間に電磁石に流していた電流を使った充電方法の確立が必要不可欠である。ここでは、実機の1/100程度のパワー(10kVA)のミニ電源でのパターン運転試験によるフライングキャパシタ方式の原理実証の進捗状況について報告する。 |
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SUP064 p.1042 | ILC最終集束永久磁石の多極磁場測定用ローテーティングコイルシステムその2 Rotating Coil System for ILC Final Focus Magnet Quadrupole Part 2 ○北原 龍之介,不破 康裕,岩下 芳久(京大化研) ○Ryunosuke Kitahara, Yasuhiro Fuwa, Yoshihisa Iwashita (ICR, Kyoto University) ILCの最終集束ではnmオーダーに絞ったビームを交差角14mradで衝突させるが、衝突点をすり抜けてきたビームは最終集束磁石の直ぐ横を逃がす必要があり、その外径に制約がある。永久磁石では小型で微細振動の心配のない強力な最終集束系が構成できるため、この試作を行った。 この磁場評価のために、ローテーティングコイルシステムを用いた多極磁場測定用システムを整備している。前回は、シャフトの角速度の揺らぎの影響とその補正について報告した。今回は角速度の揺らぎを抑えるためにパルスモーターとシャフトの間のカプラをより固いものに変更し、振動防止のためパルスモーターを支える支柱を重くしたまた、磁場測定のためのキャリブレーション、ノイズ評価を行い磁場評価を可能とした。永久磁石を用いて双極子、四重極磁石を作成し、ホールプローブによるマッピングからキャリブレーションの評価を行った。コイル1回の測定には8回転必要であり、得られた信号データをフーリエ変換することで磁場の多極成分が明らかになる。この際、8回転分のフーリエ変換となるため、周期性から次数を1/8した時の整数次成分が実際の多極成分である。非整数次はノイズであり、積算によって統計誤差を減らすことができる。これによりノイズを1/10まで抑えられることが確認できた。 測定器系の再チェックによる系統誤差の低減と可動ステージを用いた軸合わせの自動化が今後の課題となる。 |
ポスターセッション2 (8月4日 豊田講堂2階ロビー) | |
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SUP065 p.1045 | ビームスクレーパによる蓄積リング直線部のビームサイズ測定の試み Beam size measurement at SAGA-LS storage ring using a movable beam scraper ○金安 達夫,高林 雄一,岩崎 能尊,江田 茂(九州シンクロトロン光研究センター) ○Tatsuo Kaneyasu, Yuichi Takabayashi, Yoshitaka Iwasaki, Shigeru Koda (SAGA Light Source) 光源用電子蓄積リングにおいてビームサイズは重要な性能指標の一つである.本研究ではビームスクレーパを用いて,SAGA-LS電子蓄積リング直線部のビームサイズ測定を試みた.ビームスクレーパは蓄積リングの直線部LS6に設置されており,四本の円筒ロッドを用いて水平・垂直方向のアパーチャーを制限することができる.電子ビームの量子寿命はビームサイズとアパーチャーサイズに依存するため,量子寿命が制限される領域までロッドを挿入すれば,ビーム寿命の減衰曲線からビームサイズに関する情報が得られる.測定はタウシェック効果が無視できる低ビーム電流で行い,量子寿命とガス散乱寿命の寄与を考慮してビーム寿命の減衰曲線を解析した.測定の結果,水平方向ビームサイズは蓄積リングの設計値と概ね一致したが,垂直方向ビームサイズは設計値より20-30%程度小さな値となった.垂直方向ビームサイズの測定で差異が大きい要因については,解析手法と測定条件の両面から検討を続けている.また本手法ではガス散乱寿命の解析を通じて,無負荷に近い状態での蓄積リングの残留ガス種と平均圧力についても情報が得られる.蓄積リング真空に関しても圧力測定やガス種測定との比較検討を進めている. |
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SUP066 p.1049 | J-PARC RFQテストスタンド用ビームモニタリングシステム Beam monitor for RFQ test stand of J-PARC ○宮尾 智章,丸田 朋史,杉村 高志,内藤 富士雄(高エネルギー加速器研究機構),三浦 昭彦,近藤 恭弘,森下 卓俊,大内 伸夫,小栗 英知(日本原子力研究開発機構) ○Tomoaki Miyao, Tomofumi Maruta, Takashi Sugimura, Fujio Naito (KEK), Akihiko Miura, Yasuhiro Kondo, Takatoshi Morishita, Nobuo Ouchi, Hidetomo Oguri (JAEA) J-PARCリニアックは400MeVへのビームのエネルギーアップグレードと並行してビーム電流50mAでの運転を目指している。そのため、平成24年度 末に製作が完了した50mA対応のRFQ(Radio-Frequency-Quadrupole)リニアックの性能評価を行う専用のRFQテストスタンドを整備した。その中で我々は、ビーム電流を測定するための電流モニタ(CT: Current-Tansformer)と、TOF(Time-of-Flight)法によるビームのエネルギー計 算に使用する位相モニタ(FCT: Fast-Current-Transformer)で構成する モニタリングシステムを構築した。現在、各機器の性能を確認するための試運転を行っており、本システムにてビームエネルギー及びビーム透過率の基本データを取得した。本発表では本モニタリングシステムの現状とともに、増設を含む今後の展望について述べる。 |
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SUP067 p.1053 | J-PARC 3-50 BTのビーム位置モニタ測定の測定精度の改善 Improvement of measurement accuracy of the beam position monitor at 3-50 BT J-PARC ○手島 昌己,外山 毅(高エネ機構),花村 幸篤(三菱電機システムサービス(株)) ○Masaki Tejima, Takeshi Toyama (KEK/J-PARC), Kotoku Hanamura (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd) J-PARC の3-50 beam transport line(3-50 BT)は 3GeV rapid cycle synchrotron から main ring (MR) へのビーム輸送路である。今後予定されている750kW 相当の大強度陽子ビーム利用に備えて、MRのビームロスを極力抑えるために、3-50 BTのオプティクスをビーム位置モニタ(BPM)などを使って、精密に診断するための測定が行われている。最近まで、そのビーム位置は、ビーム輸送路の位置モニタであるから、座標中心の測定精度を保証できれば十分であるという理由で、一次の係数で計算してきた。しかし、オプティクス診断では、座標中心から大きく離れたビーム位置の測定精度が重要であるので、3次の多項式によるビーム位置計算を行うように改善した。 また、ビーム位置モニタの測定精度は、4電極信号の信号伝送路の電気特性の変化によって、出力応答のゲイン・バランスの微妙な変動の影響を受ける。このゲインを校正するためにKEK-Bの経験でその有効性が証明された、Beam based gain calibration(BBGC)の手法を3-50BTのBPMにも適用した。 本稿では、3次の多項式で計算されたビーム位置の測定精度とBBGCの方法と結果について報告する。 |
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SUP068 p.1057 | S-LSRにおける水平方向のレーザー冷却に関連したシンクロトロン振動 Synchrotron Oscillation relevant to Transverse Laser Cooling in S-LSR ○神保 光一(京大エネルギー理工研),想田 光(群馬大学重粒子研究センター),中尾 政夫(放医研),百合 庸介(日本原研高崎研),頓宮 拓(京大化研),野田 章(放医研) ○Kouichi Jimbo (Institute of Advanced Energy, Kyoto-U), Hikaru Souda (Heavy-ion Medical Center, Gunma-U), Masao Nakao (NIRS), Yousuke Yuri (TARRI, JAEA), Hiromu Tongu (ICR. Kyoto-U), Akira Noda (NIRS) 京都大学化学研究所のイオン蓄積リングS-LSR において、イオンビームと並走したレーザーにより、シンクロ・ベータトロン結合下において、RFでバンチされたマグネシウムイオンビームの水平方向の冷却が既に実現された。[1] バンチされたイオンビームは主として光学的方法で診断されてきた。 一定のレーザー出力でビーム温度を下げるにはイオン数を減らしてIntra Beam Scatteringによる加熱を抑制する必要があるが、イオン数が少ない状態では光学的診断は困難になる。ビーム温度が極めて低くなると、ビームは空間電荷領域を経て結晶化する。ビームが空間電荷(ゼロエミッタンス)領域に達すると、シンクロトロン振動はなくなると予想されている。 我々はスペクトル中において、安定してシンクロトロン振動を観察できる領域があるか調べ、それをビームが空間電荷領域に達したかどうかの判断に利用することを検討している。シンクロトロン振動は、リング中にある長方形の平行平板型のピックアップからのシグナルを、スペクトラムアナライザーで観察している。ビームが空間電荷領域になると、シンクロトロン振動のシグナルはなくなると期待される。 [1] M. Nakao, T. Hiromasa, H. Souda, M. Tanabe, T. Ishikawa, H. Tongu, A. Noda, K. Jimbo, T. Shirai, M. Grieser, H. Okamoto, A. V. Smirnov, Physical Review Special Topics - Accelerator and Beams 15, 110102 (2012) |
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SUP069 p.1060 | J-PARC RCSのビームロスモニタシステム Beam loss monitor system of J-PARC RCS ○山本 風海,林 直樹,畠山 衆一郎,佐伯 理生二,岩間 悠平(日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター) ○Kazami Yamamoto, Naoki Hayashi, Shuichiro Hatakeyama, Ryuji Saeki, Yuhei Iwama (J-PARC Center, JAEA) J-PARC RCSはMWクラスの出力で設計が行われている。この様な大強度の陽子加速器において最も問題となるのは、ビームロスによって加速器機器やトンネルが放射化し、保守作業に支障をきたす様になることである。より一般に、陽子加速器において許容されるビームロス量の具体的な指標としては1W/mが目安とされている。しかしながらRCSにおいては、それは全ビームパワーに対する割合としては$10^{-4}$以下のオーダーという非常に微小な量である。このように、全体からみるとごく微量の変化を検出する上では、ビームロスモニタは非常に有効なツールである。本発表では、J-PARC 3GeV RCSで使用しているビームロスモニタシステムの現状を報告する。 |
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SUP070 p.1065 | 水中用多点線量測定器「十字型モニタ」に関する技術開発 Development of a waterproof multi-sensor dosimetry system for particle therapy. ○松下 絵理(三菱電機 電力システム製作所),金井 達明(群馬大学重粒子線医学研究センター),梅田 忠和,門田 亜希彦,木下 嘉久,中西 正一,本田 泰三(三菱電機 電力システム製作所),西沢 博志,林 真照(三菱電機 先端技術総合研究所),古藤 映次(株式会社ノリック) ○Eri Matsushita (Mitsubishi Electric Corporation), Tatsuaki Kanai (Gunma University Heavy Ion Medeical Center), Tadakazu Umeda, Akihiko Kadota, Yoshihisa Kinoshita, Masakazu Nakanishi, Taizo Honda, Hiroshi Nishizawa, Masateru Hayashi (Mitsubishi Electric Corporation), Eiji Kotou (Noric) 粒子線治療では、治療計画装置を使用して治療シミュレーションを行う。治療シミュレーションの線量分布を確認するため、QA(Quality Assurance)測定を実施する。QA測定では、人体を模擬した水ファントム中に線量測定用検出器を設置し、OCR(Off Center Ratio:ビームが広がる方向)、PDD(Percentage Depth Dose:ビームの進行方向)の線量分布測定を行う。 照射方法には、ビームを広げて患部に一様に照射する通常照射法と、患部形状に合わせて、深さごとに照射条件を最適化する積層原体照射法がある。通常照射法のQA測定では、一つの指頭型電離箱を走査させ、OCRとPDD方向の分布を1点ずつ測定していた。積層原体照射法では、照射深さごとに照射機器を動作させるため、機器条件ごとにOCR分布を測定する必要があり、通常照射法に比べて測定時間を要する。そこで測定効率化のため、一度にOCR方向を測定可能とする多チャンネル型QA装置「十字型モニタ」を開発した。 十字型モニタは、平行平板型電離箱を十字型に配列させた放射線検出器である。十字型モニタ使用により、測定時間は指頭型電離箱を使用した場合と比較して約20分の1となる。また、実際に治療を行う環境で水中線量測定が可能となるため、治療シミュレーション結果と十字型モニタ測定結果から各患者への投与線量を確認できる。 群馬大学重粒子線医学研究センターにてビーム試験を実施し、十字型モニタの有効性を確認できたので報告する。 |
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SUP071 p.1069 | SPring-8ブースターリング及びビームトランスポートラインにおけるカメラリンクCCDカメラを用いたビームプロファイル画像解析 Beam profile analysis using the CCD camera with CameraLink in the SPring-8 booster ring and beam transport line ○鍛治本 和幸(スプリングエイトサービス(株)),満田 史織,青木 毅,植田 倉六,佐々木 茂樹,深見 健司((公財)高輝度光化学研究センター),本井傳 晃央(スプリングエイトサービス(株)),松本 崇博((公財)高輝度光化学研究センター),矢幡 洋(スプリングエイトサービス(株)) ○Kazuyuki Kajimoto (SPring-8 Service Co., Ltd.), Chikaori Mitsuda, Tsuyoshi Aoki, Souroku Ueda, Shigeki Sasaki, Kenji Fukami (JASRI), Teruo Honiden (SPring-8 Service Co., Ltd.), Takahiro Matsumoto (JASRI), Hirosi Yahata (SPring-8 Service Co., Ltd.) SPring-8入射系のブースターリング及び蓄積リングへのビームトランスポートラインでのビーム軌道、ビーム形状のデーター取得には蛍光版にアナログビデオカメラを組み合わせたモニターシステムを使用してきた。そのため、蓄積リングへの入射効率を左右するビーム軌道及びビームプロファイルの再現性のある調整を確保すること、変動を定量的に精査が困難であった。そこで、ビームプロファイルデーターを定量化し精密測定を可能にするため、トリガー同期のデジタルCCDカメラを用いた画像取得システムの構築を行った。 CCDカメラにより取得されたデジタル画像はサーバーコンピューターへ転送され保存される。加速器のビーム調整時には、取得された画像データーの目視によるビーム形状の判断と定量的なビーム位置の算出を同時にリアルタイムに行う必要がある。ビーム位置の算出には目視用照明の光が妨げとなる。個別のビーム画像に応じて照明の影響を分離して画像処理計算を行うシーケンスを確立し、加速器制御プログラムの中にビームプロファイル自動解析プログラムとして構築した。これにより軌道調整の再現性と調整精度が改善できた。 本件発表では、この画像取得から画像解析までの流れと、その詳細について報告する。 今後、蛍光版とカメラとの位置関係により発生する画像のゆがみを補正し測定精度の向上を図るとともにビームの回転状態を求めることを予定している。 |
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SUP072 p.1074 | 可視光ビームモニターライン初段ミラーの熱変形補償 Cancellation of thermal deformation effect of the initial mirror on the beam profile monitor line ○松本 卓也,小林 花綸,庄司 善彦(兵庫県立大学 高度研),皆川 康幸,竹村 育浩(高輝度光科学研究センター) ○Takuya Matsumoto, Karin Kobayasi, Yoshihiko Shoji (LASTI, Univ. of Hyogo), Yasuyuki Minagawa, Yasuhiro Takemura (JASRI) NewSUBARUの可視光ビームプロファイルモニターラインSR5で使われている初段ミラーは、KEKの基本設計によるベリリウムミラーである。このラインには放射光マスクが設置されておらず、放射光の熱負荷によってミラーが変形する。以前のハルトマンマスクを使った測定によれば、この変形の影響は、ほぼ垂直方向のdefocusingで表現出来る。 実際にこの変形によって、垂直方向のみ、ビームプロファイルの結像点が蓄積電流依存をもち、2次元プロファイル測定時の問題となっている。このラインには通常のCCDカメラの他に、ICCDゲートカメラやストリークカメラが設置されて、様々な用途のビームプロファイルモニターとして使われており、簡単なミラー変形の補償が望まれていた。 我々は、ラインに弱い(f=1m)垂直方向シリンドリカル凸レンズを設置し、この結像位置のズレを修正することにした。 利用運転エネルギーである1.5GeVと1.0GeVで垂直方向結像位置の変化を計測し、これを補償するシリンドリカルレンズの位置を計算した。蓄積リングの電子エネルギーと蓄積電流に応じて、予め計算された位置にシリンドリカルレンズを移動させることで、どのような状況でも水平と垂直の結像位置を一致させ、固定する事ができる。 |
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SUP073 p.1078 | スクリーンモニターにおける真空内空間マスクを用いたCoherent-OTR光除去の改良 Improvement to eliminate Coherent-OTR light for the screen monitor of SACLA ○松原 伸一(高輝度光科学研究センター),前坂 比呂和(理研 放射光科学総合研究センター),井上 忍(スプリングエイトサービス(株)),大竹 雄次(理研 放射光科学総合研究センター) ○Shin-ichi Matsubara (JASRI), Hirokazu Maesaka (RIKEN SPring-8 Center), Shinobu Inoue (SPring-8 Service Co., Ltd.), Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center) SACLAのスクリーンモニター(SCM)システムにおいて、スクリーンからCoherent-OTR(COTR)光が発生して電子ビームのビームプロファイルを測定できない問題があり、その対策について昨年の加速器学会で報告した。そこでは、Ce:YAGスクリーンからの電子ビーによる蛍光の広い拡がり角とCOTR光の1/γ radと小さい拡がり角の差により、空間遮光マスクでCOTR光を除去する方法の有効性を示した。しかし、昨年のSCMチャンバの外にマスクを置く方式では、チャンバ内で乱反射したCOTR光の成分が迷光となり現れた。そこで、蛍光をカメラに導くための空間マスクの機能を持つ穴あきミラーを真空チャンバ内に設置することで、チャンバ内でCOTR光を除去して迷光を減らすことを考案した。一方、他の機関では、100 nsの蛍光時間とバンチ長と同じ1 ps以下のCOTR光の発光時間差を利用し、高速カメラにより時間領域で分離してプロファイルを測定する方法が採用されている。今回、穴あきミラーを用いた測定法と高速カメラを用いた測定法との比較を行ない、穴あきミラー方式での測定の正当性を確かめた。高速カメラは高価なため多くのSCMに適用することは難しいが、我々の穴あきミラー方式は既設SCMに穴あきミラーを用いる軽微な改良で行える。これにより、40台を超えるSACLAの既設SCMシステムにおいて、COTR光を除去してビームプロファイルを測定することができる。 |
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SUP074 p.1082 | 多チャンネルデジタイザを用いたJ-PARC RCSマルチワイヤプロファイルモニタのデータ取得系の開発 Development of Data Aqcuisition System of J-PARC RCS Multi-wire Profile Monitor using Multi-Channel Digitizer ○畠山 衆一郎,吉本 政弘(日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター) ○Shuichiro Hatakeyama, Masahiro Yoshimoto (JAEA J-PARC Center) J-PARC RCS(Rapid Cycling Synchrotoron)では、入射ビームの軸合わせを行う為にL3BTラインに2台、周回リングの荷電変換フォイルの前後に3台、H0ダンプラインに2台の計7台のマルチワイヤプロファイルモニタ(MWPM)が設置されている。今年度にはLINACからのビームパワーが増強される予定で、入射機器付近のロスがより深刻になると考えられる。そこで入射軌道をより詳細に測定するため新たに1台のMWPMがH0ダンプラインに設置される。そのデータ処理系として今回新しく多チャンネルのデジタイザーを用いたシステムを開発した。特徴として以前のマルチプレクサを用いた方法と比較してS/N比を改善したこと、導入コストを抑えられることを述べる。また既存のMWPM2を用いたビーム試験の結果も述べる。 |
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SUP075 p.1085 | J-PARC MR BPMの修理・改良 Repair and improvement of the J-PARC MR BPM ○外山 毅,岡田 雅之,手島 昌己,橋本 義徳(高エネ研),畠山 衆一郎(原研),花村 幸篤(三菱電機システム・サービス) ○Takeshi Toyama, Masashi Okada, Masaki Tejima, Yoshinori Hashimoto (KEK), Shuichiro Hatakeyama (JAEA), Kotoku Hanamura (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd) 2012年夏期シャットダウン中に処理回路の大幅変更を行った。 減衰器用のリレーのうち故障箇所の交換、 および、ビーム強度の増強に対応するために外付減衰器の取付である。 リレー故障は、震災後の長期停止時に接点不良を起こしたものと考えられる。 接点抵抗が異常に大きくなったボード(全体の約半数)を交換した。 外付減衰器については以下のような経緯である。 BPMシステム設計当初に、BPM検出器の外付コンデンサにより 出力信号が設計ビーム強度で約4Vとなるようにする予定だった。 しかし、初期ビームコミッションニングの百分の一強度のビームでは信号強度が不足するため、 急遽、外付コンデンサを無くした。 その後のビーム強度の増強により、信号強度が処理回路の上限に近づいたため、 外付減衰器を取り付けた。LPFを内蔵したことにより、信号波形が、 従来のビーム電流の微分波形から、ビーム電流に近い波形になり、 処理回路のダイナミックレンジにとっても有利になっている。 変更前後での動作状況、位置分解能についても報告する。 |
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SUP076 p.1090 | SPring-8ブースターリング及びビームトランスポートラインにおけるカメラリンクを用いたビームプロファイルモニターシステムの構築 Construction of the beam profile monitor system with CameraLink in the SPring-8 booster ring and beam transport line ○本井傳 晃央(スプリングエイトサービス(株)),満田 史織,青木 毅,植田 倉六((公財)高輝度光化学研究センター),鍛治本 和幸(スプリングエイトサービス(株)),佐々木 茂樹,深見 健司,松本 崇博((公財)高輝度光化学研究センター) ○Teruo Honiden (SPring-8 Service Co., Ltd.), Chikaori Mitsuda, Tsuyoshi Aoki, Souroku Ueda (JASRI), Kazuyuki Kajimoto (SPring-8 Service Co., Ltd.), Shigeki Sasaki, Kenji Fukami, Takahiro Matsumoto (JASRI) SPring-8入射系ブースターリング及び蓄積リングへのビームトランスポートラインのビーム軌道、ビーム形状のデータ取得には蛍光板にアナログビデオカメラを組み合わせたモニターシステムを使用してきた。そのため、蓄積リングへの入射効率を左右するビーム軌道とビームプロファイルの再現性のある調整の確保、変動の定量的な精査が困難であった。そこで、ビームプロファイルデータを定量化し精密測定を可能にする為、トリガー同期のデジタルCCDカメラを用いた画像取得システムの構築を行った。 エリア毎にカメラリンクシステムの中継局、セレクター、サーバーコンピュータ設置し、中央UNIXホストサーバーより全53台のOTR及び蛍光板ビームプロファイルモニター画像取得と、VME経由での蛍光板の駆動などを制御することを可能にしている。システムはエリア内にてカメラリンクケーブルまたは、光ファイバーケーブルで接続され、エリア毎のサーバーコンピュータにはエリア内で統一された遅延時間を持つガントリガーモジュールを擁しビームと同期した画像取得が出来る。 これらのシステムの構築とカメラ側の光学系の改修により、上位GUIシステムからアナログビデオカメラシステムと同等のリアルタイム性でビーム同期した画像取得が可能となった。 本件発表では、カメラリンク形式を用いたビームプロファイルモニターシステムの概要とシステムの運用詳細について報告を行う。 |
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SUP077 p.1094 | HTc-SQUIDビーム電流モニターにおける磁気シールドの強化 Reinforcement of Magnetic Shield for High-Tc SQUID Beam Current Monitor ○渡邉 環,福西 暢尚,加瀬 昌之,上垣外 修一(理研),稲森 聡,今 康一(ティーイーピー株式会社) ○Tamaki Watanabe, Nobuhisa Fukunishi, Masayuki Kase, Osamu Kamigaito (RIKEN), Satoru Inamori, Kouichi Kon (TEP Corporation) 理研仁科加速器研究センターにおいて、重イオンビームのDC電流を、非破壊で高感度に測定するために、脳磁や心磁の測定に利用される超伝導量子干渉素子SQUID (Superconducting Quantum Interference Device)を応用した、ビーム電流モニターの開発を行ってきた。特に、今年秋からの実用運転を目指して、磁気シールドの大幅な強化を行った。ビーム電流の測定分解能は、信号対雑音比で決まるので、電磁石を励磁している大出力の電源ラインが発生する、磁気ノイズのシールドを強化する事により、測定分解能の向上を図った。一つは、超伝導体による完全反磁性と強磁性体による磁気遮蔽の特性を活かしたハイブリッド磁気シールドの開発である。HTc-SQUIDは、強磁性体であるミューメタル材によって製作された冷却フォルダー内に、ほぼ完全に覆われるように収められた。さらに、HTc-SQUIDは高温超伝導電流センサー上に設置されているため、マイスナー効果により高い磁気シールド効果が得られる。このシールドの設計には、有限要素法を用いた、電磁場計算プログラムTOSCAを用いた。さらに、三軸のフラットゲートセンサーにより、磁気ノイズを測定し、三軸のフィードバックコイルを用いて、磁気ノイズをキャンセルする方式を加えている。磁気ノイズを周波数領域で分析すると、50 Hz成分が最も強いが、これらの磁気シールドの強化により、約100億分の1まで磁気ノイズを減衰させる事に成功した。 |
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SUP078 p.1098 | J-PARCリニアックにおけるビームロス陽子の角度分布 Angular Distributions of Beam Loss Protons at J-PARC Linac ○佐甲 博之(原子力機構 J-PARCセンター),丸田 朋史(KEK J-PARCセンター),三浦 昭彦(原子力機構 J-PARCセンター) ○Hiroyuki Sako (JAEA J-PARC Center), Tomofumi Maruta, Akihiko Miura (KEK J-PARC Center) J-PARCリニアックではACS(Annular-Coupled Structure linac)部において最大量のビームロスが観測されている。このビームロスはH-ビーム粒子がビームダクト内の残留ガスにより電離しH0となりこのH0がダクト壁を透過し、透過時にさらに電離してH+として観測される。我々はこのH+を荷電粒子の飛跡として再構成するために、4mm角(または直径4mmの丸型)のシンチレーションファイバ16本から構成される64mmx64mmの面積のシンチレーション検出器を8面並べた検出器を開発した。これらの検出器は垂直位置測定用4面、水平位置測定用4面からなり、それぞれ2面はビーム上流側、残りの2面はビーム下流に設置し、上流側と下流側の距離を1.5mとることにより飛行時間を測定し、陽子を識別する。さらに上流側4面、下流側4面はそれぞれ水平、垂直位置をステッピングモータにより移動可能である。 2012年10月より2013年5月まで陽子飛跡の角度分布を測定したデータに基づき、角度分布の解析結果を報告する。 |
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SUP079 p.1102 | SPring-8分割型アンジュレータ・ビームラインの光位置モニタの校正 Calibration of X-ray Beam Position Monitor for a Segmented Undulator Beamline at SPring-8 ○青柳 秀樹(高輝度光科学研究センター),バロン アルフレッド(理研 SPring-8センター),早乙女 光一,高雄 勝,下崎 義人(高輝度光科学研究センター),長谷川 誠(スプリングエイトサービス),高橋 直(高輝度光科学研究センター) ○Hideki Aoyagi (JASRI/SPring-8), Alfred Baron (RIKEN SPring-8 Center), Kouichi Soutome, Masaru Takao, Yoshito Shimosaki (JASRI/SPring-8), Makoto Hasegawa (SPring-8 Service ), Sunao Takahashi (JASRI/SPring-8) SPring-8では、30本余りのアンジュレータ・ビームラインが稼働しており、そのすべてのビームラインにおいて光位置モニタが利用されている。この光位置モニタは、光電子放出型を検出原理とするもので、4枚のブレード型検出素子をビーム・プロファイルの裾に配置させ、信号の配分比に補正係数を乗じることによってビーム位置の情報を得ている。これまでのアンジュレータは、1本のビームライン当たり1台、若しくは、近接する2台で構成されていた。この場合には、上記補正係数の校正は、ビームを実際に変位させるのでなく、模擬的に光位置モニタの検出部を上下・左右に移動させることで代替することが出来た。しかしながら、理研 量子ダイナミクス・ビームラインBL43LXUでは、今年度より高度化され、SPring-8蓄積リング長直線部に全長5メートルで独立にGap操作ができるアンジュレータが約10メートル間隔で3台設置されることとなった。その結果、光源中心より35m下流の光位置モニタが、同時に3台のアンジュレータからの放射光の影響を受け、これまで通りの補正係数校正の方式が使えなくなった。そこで、BL43LXUでは、電子ビーム軌道を各アンジュレータの位置で独立に変位させることにより、補正係数を校正した。本発表では、校正の手順、校正結果、及び、これまでの校正方法が適用出来なかった原因について報告する。 |
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SUP080 p.1106 | J-PARC MRにおけるEPICS IOCのソフトウェアツールキットの更新 Upgrade of software toolkits for EPICS Input Output Controllers in J-PARC Main Ring ○山田 秀衛(KEK / J-PARCセンター) ○Shuei Yamada (KEK / J-PARC center) J-PARC Main Ring started operation in 2008. Its control system is developed based on EPICS toolkit running on Linux. Input Output Controllers have been using EPICS 3.14.7 and Scientific Linux 4. Upgrades to the latest versions of EPICS and Scientific Linux are planned since the support for Scientific Linux 4 was ended. This article describes status and prospects of the upgrade. |
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SUP081 p.1109 | RIBF制御系における仮想化技術を用いたシステム設計と運用 System Design and Implementation using Virtualization Technology for RIBF Control System ○内山 暁仁,込山 美咲,福西 暢尚(理研仁科センター) ○Akito Uchiyama, Misaki Komiyama, Nobuhisa Fukunishi (RIKEN Nishina Center) RIBF制御系は主にEPICS(Experimental Physics and Industrial Control System)を用いた分散制御システムで構築されている。RIBFの前身であるRARFでは、サーバにHP-UX, EPICS IOC (Input/Output Controller)にvxWorksを採用して2001年頃より運用が開始された。その後EPICS R3.14よりLinuxがサポートされたため、RIBF制御系ではサーバ、EPICS IOCともにOSにLinuxを採用するケースが多くなった。 2008年にはNFS (Network File System)の様な重要なサービスの予期せぬ停止を防ぐ目的で、オープンソースソフトウェアであるDRBD, Heartbeatを用いた高可用性システムの運用を開始した。その後サーバ耐用年数が経過した事を背景に、更新後の新システムでは高可用性だけでなくサーバリソースの運用効率の向上を実現させるため、共有ストレージにNAS、仮想環境にVMware vSphereを採用してシステムを設計、本年度より運用を開始した。現在、仮想環境で提供しているサービスはDNS(Domain Name System), HTTP, PostgreSQL, MySQL, EPICS CA (Channel Access) gateway, EPICS IOCである。 本会議ではシステム設計と現在の運用状況を詳細に報告する。 |
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SUP082 p.1113 | KEK電子陽電子入射器の制御ネットワーク更新 Upgrade of KEK Linac Control Network System ○草野 史郎,工藤 拓弥(三菱電機システムサービス(株)),古川 和朗,佐藤 政則(高エネルギー加速器研究機構) ○Shiro Kusano, Takuya Kudou (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Kazuro Furukawa, Masanori Satoh (KEK) KEKの電子陽電子入射器は、4つの異なるリング(KEKB電子/陽電子、PF、PF-AR)へビームを安定に供給してきた。長期間にわたり可用性の高いビームを供給するためには、ローカル制御機器およびサーバ計算機間の安定なネットワーク通信が不可欠である。2011年の東日本大震災により,ネットワークシステムの一部が被害を受けた。また,SuperKEKBに向けた入射器の高度化を推進しているため,高性能かつ信頼性の高いネットワークシステムへの更新をおこなった。本稿では、ネットワークシステムの更新およびネットワーク監視システムについて詳しく報告する。 |
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SUP083 p.1116 | 仮想化PC環境を用いた加速器制御オペレータコンソール The operator console for accelerator control systems on a virtual machine. ○中尾 圭佐,境 武志,早川 建(日大) ○Keisuke Nakao, Takeshi Sakai, Ken Hayakawa (LEBRA) 日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)の125MeV linacはPCベースの制御システムを採用している。 加速器のオペレーターコンソール及び、偏向電磁石、FEL共振器ミラー等、多くのコンポーネントがPCを介して制御されている。市販のPCは、価格は安いが信頼性が低く、数年に1度は故障し、時には利用実験に支障をきたすこともあり、懸案となっている。更新作業で最も時間がかかるのが、ハードウェアの構成が変わることによる環境の再構築作業であるが、PCのチップセットやCPU、周辺機器類の進化は日進月歩で、故障時に更新時と同じ構成のパーツを購入することは難しい。 近年、CPUのマルチコア化、メモリの高速化、低価格化により、PC上でPCをエミュレーションする仮想化技術が一般的になっている。このような仮想化されたPCは、標準的なネットワークカードとストレージで構成されており、仮想マシンから見えるハードウェアの実態はソフトウェアであるために、実行環境の変化を小さく抑えることができる。また、仮想化されたストレージの実態は、ファイルなので、環境構築時のストレージファイルをバックアップしておけば、短時間でシステムを復旧させることができる。 本発表では、仮想環境下における加速器およびコンポーネントのオペレーターコンソールを仮想化することによる利点、問題点を議論する。 |
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SUP084 p.1118 | SPring-8線型加速器ビーム位置モニター用同期データ収集システムの更新 Upgrade of the event-synchronized data acquisition system for the SPring-8 linac BPMs ○増田 剛正,植田 倉六,清道 明男,松本 崇博,柳田 謙一((公財)高輝度光科学研究センター) ○Takemasa Masuda, Souroku Ueda, Akio Kiyomichi, Takahiro Matsumoto, Kenichi Yanagida (JASRI) SPring-8線型加速器では、トップアップ運転時のビーム監視機能を強化するため、非破壊ビーム位置モニター(BPM)の六電極化を進めている。六電極BPMの導入によりビームの二次モーメントが測定出来るようになり、ビームの広がりに関係する物理量が得られるようになる。昨年度、六電極BPMの導入開始に合わせて、ガントリガに同期してシングルショットで線型加速器の全BPMデータを収集しデータベースに書き込む同期データ収集系の更新を行った。旧来の四電極型に比べて信号数が1.5倍に増える六電極BPM信号処理回路との取り合いを同一実装スペースで行う必要があったため、新規に光伝送ボードシステム用128ビットデジタル入力ボードを開発した。高速実時間データ転送と6台のVME計算機間でのソフトウェア同期制御を実現するために使用している共有メモリネットワークボードとして、新たにリフレクティブメモリボードを導入し、これに対応するようソフトウェアフレームワークを更新した。また、VME計算機に新たにマルチコアCPUボードを導入し、実時間スケジューリングで動作するソフトウェアの運用の安定化と、busy-wait処理の導入等による光伝送ボード用デバイスドライバの高速化を実現した。システム更新の結果、信号数が1.5倍に増加したにもかかわらず、旧来の約1/8のデータ収集時間(144点で16msec以内)に短縮することが出来た。 |
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SUP085 p.1122 | J-PARC RFイオン源&RFQ IIIテストスタンドの制御系の構築 Construction of Control System for J-PARC RF Ion Source & RFQ III Test Stand ○福田 真平(三菱電機システムサービス株式会社),澤邊 祐希(日本原子力研究開発機構),鈴木 隆洋,石山 達也,川瀬 雅人(三菱電機システムサービス株式会社),伊藤 雄一,加藤 裕子,吉位 明伸,菊澤 信宏,大内 伸夫(日本原子力研究開発機構) ○Shinpei Fukuta (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd), Yuki Sawabe (JAEA), Takahiro Suzuki, Tatsuya Ishiyama, Masato Kawase (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd), Yuichi Ito, Yuko Kato, Akinobu Yoshii, Nobuhiro Kikuzawa, Nobuo Ouchi (JAEA) J-PARC LINAC は、2014年にセシウム添加高周波駆動負水素イオン源(RFイオン源)のインストールが予定されている。また、同じく2014年に現在のRFQに替えてRFQ IIIへの換装も予定されている。これらの機器のインストールに備えて、現在J-PARC LINAC棟のクライストロン準備室にて、RFイオン源とRFQ IIIの共同のテストスタンドを組み、ビーム加速試験を行うべく準備を進めている。テストスタンドはRFイオン源とRFQ III、それらを繋ぐBTラインで構成されており、合わせて真空機器や四極電磁石、各種ビームモニタが設置されている。 J-PARC制御グループでは、これらテストスタンドが実際に負水素ビームを3MeVまで加速してビームダンプへと導く“加速器”であることから、J-PARC加速器と同等の加速器制御環境が必要であると考え、制御系をデザインした。具体的には、機器を保護する為のMPS(Machine Protection System)の導入や機器を遠隔制御する為のEPICS環境の実装、各加速器構成機器へタイミング信号を送る為のタイミングシステムの構築である。これらに加えてビームラインのCTを監視し過度のビーム電流の発生を制限する為の電流モニタも導入し、安全にビーム加速試験を行えるようにしている。 本発表では、J-PARC LINACにおけるRFイオン源&RFQ IIIの共同テストスタンドの制御系の構築について報告する。 |
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SUP086 p.1126 | J-PARCリニアック制御信号分配システムの改造 Upgrade of Control Signal Distribution System at J-PARC Linac ○二ツ川 健太,穴見 昌三,小林 鉄也,方 志高,福井 佑治,道園 真一郎(高エネルギー加速器研究機構),伊藤 雄一,菊澤 信宏,佐藤 文明,篠崎 信一(日本原子力研究開発機構),鈴木 隆洋(三菱電機システムサービス株式会社) ○Kenta Futatsukawa, Shozo Anami, Tetsuya Kobayashi, Zhigao Fang, Yuji Fukui, Shinichiro Michizono (KEK), Yuichi Ito, Nobuhiro Kikuzawa, Fumiaki Sato, Shinichi Shinozaki (JAEA), Takahiro Suzuki (Mitsubishi Electric System & Service Co. ,Ltd) J-PARC加速器全体のタイミングシステムとして, 12MHzクロック, 50Hzトリガ, タイプコードと呼ばれる制御ワード信号の3種類の信号が使用されている。それらの信号は, 中央制御室で生成され, 光信号で各加速器施設に分配される。リニアックでも, 地上部のクライストロンギャラリの上流部で各信号を受け取り, そこで分岐され, 各ステーションに分配される。ただし, ここでの分岐・分配システムは, 光信号をO/Eモジュールで受信して電気信号に変換し, FANOUTモジュールを使用して電気的に分岐, それの信号をE/Oモジュールで再度光信号に変換して各ステーションに分配するという非効率的な構成となっていた。ここでは, 多大なモジュール数を必要としたために度々の故障事例があり, 隣には温度に敏感なLLRFのラックが納入されていたこともあり排熱などが問題になった。そこで, 2013年の夏季シャットダウン中に光アンプと光カプラを使用したシステムを導入する予定である。この導入によりシンプルなシステム構成となり, トラブル数を低減できると期待できる。 |
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SUP087 p.1130 | J-PARC遅い取り出しにおけるスピル構造の研究 The Research of Spill Structure For J-PARC Slow Extraction ○木村 琢郎,岡村 勝也,白壁 義久,下川 哲司,冨澤 正人,中川 秀利,武藤 亮太郎,柳岡 栄一(高エネルギー加速器研究機構),清道 明男(高輝度光科学研究センター) ○Takuro Kimura, Katsuya Okamura, Yoshihisa Shirakabe, Tetsushi Shimogawa, Masahito Tomizawa, Hidetoshi Nakagawa, Ryotaro Muto, Eiichi Yanaoka (KEK), Akio Kiyomichi (SPring-8/JASRI) J-PARCのメインリングからハドロン実験施設に取り出される遅い取り出しビームは、原子核や素粒子などの様々な物理実験に利用される。特に実験側からは取り出しビームの時間構造を表す、スピルを平坦で安定させることが求められている。そこでリップルを低減させ、スピルを平坦化するためにスピルフィードバックシステムを用いている。 スピルフィードバックシステムはスピル制御用電磁石とその電磁石の励磁パターンを導くフィードバック装置で構成される。 スピル制御用電磁石は、取り出し用4極電磁石(Extraction Q Magnet: EQ)及び高速リップル除去用4極電磁石(Ripple Q Magnet: RQ)の2種類で構成される。 スピルモニタの信号から最適なEQ及びRQの励磁パターンを作り出すため、高速のDSPによるディジタルフィードバックシステムを用いた制御を行っている。 DSPを用いたスピルフィードバック制御のアルゴリズムを改良していくことで、スピルの構造がどのように改善されるか、スピル制御用電磁石の動作状態及びスピルフィードバック制御のアルゴリズムの改良点など最新の研究結果を報告します。 |
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SUP088 p.1134 | 低コスト・省配線なインターフェースを用いた加速器インターロックシステムの構築 Construction of an accelerator interlock system using a low-cost, reduced-wiring interface ○小川 博嗣,鈴木 良一,オローク ブライアン,木野村 淳,大島 永康,西島 俊二(産総研計測フロンティア),河西 勇二(産総研情報技術) ○Hiroshi Ogawa, Ryoichi Suzuki, Brian O'rourke, Atsushi Kinomura, Nagayasu Oshima, Toshiji Nishijima (Research Institute of Instrumentation Frontier, AIST), Yuji Kasai (Information Technology Research Institute, AIST) 加速器のインターロックシステムは、各種センサー、アクチュエータ、運転表示灯等の制御を高い信頼性で頑健かつ安定に運用することが求められる。これらの制御機器とインターロックのコントローラとを接続する信号ケーブルの配線数は、小規模な施設でも数百を超え、規模が大きい施設ほど、配線数およびケーブル長は膨大となり、ケーブル配線・接続の工数およびコストが多大である。産総研・電子加速器施設では、産総研・情報技術研究部門が開発した低コストで高速かつノイズに強いシリアルバス通信のシステムを用いて1本のシリアルバスケーブルで複数のインターフェースを接続し、制御機器の付近に設置したインターフェースを介してコントローラと各種機器の通信を行うことで従来のシステムと比較して大幅な省配線化を行った。当インターロックシステムの詳細について紹介する。 |
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SUP089 p.1138 | オペレータ介在による加速器機器遠隔制御システムの開発 Development of Operator Intervening System for remote Accelerator diagnostics and support ○内山 暁仁(総研大),古川 和朗(高エネルギー加速器研究機構),日暮 祥英,中川 孝秀(理研仁科センター) ○Akito Uchiyama (Sokendai), Kazuro Furukawa (KEK), Yoshihide Higurashi, Takahide Nakagawa (RIKEN Nishina Center) 加速器制御において遠隔からの機器制御が必要となる場合がある。例えば、次世代加速器であるILC (International Linear Collider)を始めとした大規模プロジェクトは予算、マンパワー、運用において国際協力で行われる。そして何らかの貢献があった以上、制御室以外に自国から装置の監視や制御が必要になる、と考えられる。また加速器のコンポーネントによっては長期間の安定したビーム供給の為、熟練者の極めてシビアなチューニングやトラブル時の対応が必要になるケースがある。一方で真空度やビーム電流の値等をモニタするだけなら大きな問題はないが、デバイスに命令出力を伴う遠隔制御を実現する為には、ネットワークセキュリティの確保、適切は接続ポリシーの設定、放射線発生装置である加速器を外部から遠隔制御する事における倫理的な問題等を解決しなくてはならない。以上を解決する手段としてオペレータ介在システムを考案、開発を行った。本システムの特徴は、EPICS(Experimental Physics and Industrial Control System)ベースの分散制御システムに対して外部から遠隔制御を行う前に、必ず制御室のオペレータに許可を求める仕組みを導入、EPICS制御変数一つ一つに対して厳格なアクセス制御機能を持たせた事である。会議ではシステムの詳細を報告する。 |
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SUP090 p.1142 | KEK入射器におけるWebSocketを用いた運転情報表示パネルの開発 Development of Operation information display panel using WebSocket at KEK Injector Linac. ○工藤 拓弥,草野 史郎(三菱電機システムサービス(株)),佐藤 政則,古川 和朗(KEK) ○Takuya Kudou, Shiro Kusano (Mitsubishi Electric System & Service CO., LTD.), Masanori Satoh, Kazuro Furukawa (KEK) KEK入射器では、各機器の操作、状態表示のために、Tcl/Tk, Python/Tkを用いて作成された運転アプリケーションを使用している。 機器担当者は居室で情報の参照をしたい場合が多いが、これら運転アプリケーションは、X-Windowシステム上で動作するため、動作環境を整備する必要がある。 そのため、利用者の利便性を考慮し、CGIやphpを用いて構築したWebアプリケーションでの情報の配信もおこなってきた。 しかし、CGIやphpを用いたWebアプリケーションは、リアルタイム性が低く、機器の早い変化を表示できないなどの問題もあった。 そこで、現在、Webサーバとクライアント間での双方向通信が可能でリアルタイム性の高いWebSocketプロトコルを用いた、運転情報表示パネルを開発中である。 本稿では、新規開発中の運転情報表示パネルの詳細について報告する。 |
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SUP091 p.1145 | SuperKEKBの電磁石制御システムのデータ管理 Data Management for the SuperKEKB Magnet Control System ○中村 達郎(高エネ研),中村 卓也,吉井 兼治(三菱電機システムサービス株式会社) ○Tatsuro Nakamura (KEK), Takuya Nakamura, Kenzi Yoshii (Mitsubishi Electric System & Service CO., LTD.) SuperKEKB加速器の電磁石電源制御システムでは、制御に必要な各種パラメータなどのデータを管理する必要がある。例えば、インターフェースアドレス、電源の特性定数、電磁石の励磁曲線関数、運転上の制限値、較正定数などである。これらのデータは主にEPICSの実行時データベースを生成する際に必要になると共に、SADScriptやPythonといったスクリプト言語で書かれたアプリケーションプログラムからも参照されて利用される。KEKB加速器ではこれらのデータをリレーショナルデータベースで管理していたが、SuperKEKB加速器ではTXDBと呼ぶ簡素な記法のテキストファイルで管理するよう変更し、データ管理作業の簡素化を図ることにした。KEKBの電磁石や電源の多くはSuperKEKBでも使われるため、それらのデータをリレーショナルデータベースからTXDBへ移行することが必要となる。また、EPICSの実行時データベースの生成には、リレーショナルデータベース内のストアドプロシージャを使っていたため、これらのプログラムはPythonで書き直すことにした。ここではこれら移行作業について述べると共に、移行の際の互換性について議論する。 |
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SUP092 p.1149 | J-PARCリニアックRFチョッパ用の高周波源システムの改造 Upgrade of Power Supply System for RF-Chopper at J-PARC Linac ○二ツ川 健太,池上 雅紀,方 志高,福井 佑治,丸田 朋史,宮尾 智章,劉 勇(高エネルギー加速器研究機構),伊藤 雄一,菊澤 信宏,佐藤 文明,篠崎 信一,千代 悦司,平野 耕一郎,堀 利彦,三浦 昭彦(日本原子力研究開発機構),鈴木 隆洋(三菱電機システムサービス株式会社) ○Kenta Futatsukawa, Masanori Ikegami, Zhigao Fang, Yuji Fukui, Tomofumi Maruta, Tomoaki Miyao, Yong Liu (KEK), Yuichi Ito, Nobuhiro Kikuzawa, Fumiaki Sato, Shinichi Shinozaki, Etsuji Chishiro, Koichiro Hirano, Toshihiko Hori, Akihiko Miura (JAEA), Takahiro Suzuki (Mitsubishi Electric System & Service Co. ,Ltd) J-PARCリニアックでは、MEBT部に2つの空胴で構成されたRFチョッパを導入し、不要なビームをRFで蹴り出すことにより櫛形構造を持つ中間パルスを生成して、RCSへ入射している。RFチョッパの高周波の立上り・立下り時の過渡領域のビームは、半端に蹴り出されるために下流でのビーム損失の原因となり得る。そこで、RFチョッパには、素早い応答性が要求され、Q値の低い空胴と帯域の広い半導体アンプが採用されている。しかし、以前のシステムでは2つのチョッパ空胴をU字型の同軸管で直列に接続し、1つの高周波源で運用していたこともあり、高周波の立下り時に大きなリンギングが見られた。そこで、2012年の夏季シャットダウン中に、新たに半導体アンプを追加し高周波源を2台体制にして、各空胴を独立にドライブするシステムに改造した。その結果、立下り時のリンギングは小さくなり、ビーム電流15 mAの条件下で立上り・立下り時間が約20 nsecを達成した。現在は、半導体アンプが故障したために、以前の直列接続のシステムに戻っているが、本講演では2台体制の並列接続システムの成果について発表を行う。 |
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SUP093 p.1154 | SuperKEKB用LLRF制御システムの開発 Development of LLRF system for SuperKEKB ○中西 功太,赤井 和憲,海老原 清一,小田切 淳一,可部 農志,小林 鉄也,西脇 みちる(高エネ研),出口 久城,西尾 淳一,林 和孝,春松 和孝,水野 隼一,漁師 雅次(三菱電機特機) ○Kota Nakanishi, Kazunori Akai, Kiyokazu Ebihara, Jun-ichi Odagiri, Atsushi Kabe, Tetsuya Kobayashi, Michiru Nishiwaki (KEK), Hisakuni Deguchi, Jun-ichi Nishio, Kazutaka Hayashi, Kazutaka Harumatsu, Jun-ichi Mizuno, Masatsugu Ryoushi (MELOS) SuperKEKB加速器に用いるLLRF制御システムの開発状況について報告する。 前回はデジタルLLRF制御システム一式を試作し、100W程度のRFをARES空洞に供給して空洞の電圧と位相を安定に制御出来たことを報告した。 その後、クライストロンを含めた実機と同様のシステムで100kWの連続運転を実施し、問題なく運転できることを確認した。一方で、大電力を消費するクライストロンの効率を上げる必要からRF出力のレベルに合わせて変調用陽極(アノード)の印加電圧を動的に制御した場合にはクライストロンの出力位相が大きく変化し、安定に制御出来る電力範囲が制限される可能性があることも分かったため、クライストロンの位相変化を動的に補正する仕組みを追加した。 ビームアボートや空洞での放電の際に想定される空洞電圧や位相が急激な変化を検出してRFを停止するためのインターロックシステムについてもデジタル処理で対応し、前後の入出力信号を記録できる仕組みを用意した。これによりインターロック発生原因の同定がより確実になるものと期待される。 アナログ回路部分では、バンドパスフィルターの温度特性を見直すことで通常の空調環境でも空洞の電圧と位相が安定に制御できるように性能が改善された。 実機運用時には多数のLLRF制御システムが同時に運用され、ソフトウェア、ハードウェアの更新や交換が必要になることから、保守のための仕組みについても考慮した。 |
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SUP094 p.1159 | SuperKEKB高周波基準信号分配システム RF Reference Distribution System for SuperKEKB ○小林 鉄也,赤井 和憲,岩崎 昌子,海老原 清一,小田切 淳一,可部 農志,末武 聖明,中西 功太,西脇 みちる(高エネ研),岩城 孝志,出口 久城,林 和孝,漁師 雅次(三菱電機特機システム) ○Tetsuya Kobayashi, Kazunori Akai, Masako Iwasaki, Kiyokazu Ebihara, Jun-ichi Odagiri, Atsushi Kabe, Masaaki Suetake, Kota Nakanishi, Michiru Nishiwaki (KEK), Takashi Iwaki, Hisakuni Deguchi, Kazutaka Hayashi, Masatsugu Ryoshi (MELOS) SuperKEKB計画ではKEKB加速器の40倍のルミノシティを目指し、更なる大電流ビームの蓄積や低エミッタンス化を図る。従って、高周波信号(加速電界)の高い精度や安定性がより重要となる。そこで高周波の基準信号分配システムについてもSuperKEKBのための新規システムを導入する。 従来のKEKBでは同軸ケーブルでカスケード接続にしてリング一周(各加速セクション)に伝送し、伝送区間毎で位相ロックループ(PLL)を組んでいた。それに対し、SuperKEKBでは位相安定化光ファイバーケーブルを用いた光伝送により、中央コントロール棟からスター配線にして各加速セクションに分配する。また更に各伝送経路のPLL制御を中央で一括して行う。 基準信号の伝送先としては、加速セクション3ヶ所(x電子・陽電子の2リング)および衝突点の計7ヶ所に加え、低エミッタンス化のため入射器に増設されるダンピングリングの合計8ヶ所となる。この8ヶ所へ低ジッターで光分配するとともに、それぞれの光ファイバー経路(最大約2km)の位相変動を抑えるPLL制御を同時に行う必要がある。そこで新たに、デジタル高速IQサンプリング方式を応用し多分岐経路の光遅延制御(位相安定化)システムを考案した。 本発表では、SuperKEKB用にデザインされた高周波基準信号分配システムを紹介し、デジタル光遅延制御システムの評価結果について報告する。 |
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SUP095 | Present Status and Improvement Plan of J-PARC Linac RF Control Systems ○Zhigao Fang, Kenta Futatsukawa, Yuji Fukui, Tetsuya Kobayashi, Shinichiro Michizono (KEK), Fumiaki Sato, Etsuji Chishiro, Shinichi Shinozaki, Toshihiko Hori (JAEA) The RF control systems have been developed for the J-PARC proton Linac, which consists of 324-MHz low-beta and 972-MHz high-beta sections. From the commissioning of the J-PARC 324-MHz 181-MeV proton Linac in October 2006 to the last operation cycle in May 2013, the 181MeV proton Linac had been operated nearly for 7 years. During the past 7 years, almost no heavy troubles occured in the RF control systems. Of course, almost every year we made improvements on the RF control systems, according to the operation experiences. In this paper, the present status of the J-PARC Linac RF control systems will be described in details, and an improvement plan for the LLRF systems in the soon future will also be introduced. |
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SUP096 p.1164 | BPM・LLRFシステムでのμTCAボード間高速データ通信 MicroTCA inter-board data communications applied to BPM and LLRF systems ○林 和孝(三菱電機特機システム),赤井 和憲,石井 仁,帯名 崇,片桐 広明,小林 鉄也,飛山 真理,中西 功太,福間 均,古川 和朗,三浦 孝子,森 健児(KEK),岩城 孝志,漁師 雅次(三菱電機特機システム) ○Kazutaka Hayashi (Mitsubishi Electric TOKKI System), Kazunori Akai, Hitoshi Ishii, Takashi Obina, Hiroaki Katagiri, Tetsuya Kobayashi, Makoto Tobiyama, Kota Nakanishi, Hitoshi Fukuma, Kazuro Furukawa, Takako Miura, Kenji Mori (KEK), Takashi Iwaki, Masatsugu Ryoushi (Mitsubishi Electric TOKKI System) μTCA規格をプラットフォームとする独自のFPGA制御ボードを、LLRFシステム(加速空洞の振幅・位相制御、チューナー制御)やBPMシステム(ビーム位置計算)に適用している。FPGA制御ボードには4ch ADC/2ch DACとDIOを搭載し、1台のボード内でリアルタイムに制御・計算の機能を実現している。ボードに搭載したEPICS IOCにより、Channel Access通信を用いてボード間やシステムと連携した制御を行っている。 制御ボード間に高速データ通信を追加し、リアルタイムな連携を図ることで、機能拡張性が大きく向上する。本報告では、リダンダント構成のμTCA規格シェルフのバックボード配線路、及び、新たに開発した演算処理ボードにより実現させたリアルタイム連携と、BPM・LLRFシステムへの適用例を述べる。 軌道フィードバック用BPM装置では、SuperKEKBの衝突点近傍のBPM4台(FPGA制御ボード4台)で得られた位置情報を高速データ伝送で、演算処理ボードに収集して、高度なビーム位置補正演算を行う仕組みに適用した。 SuperKEKBの陽電子ダンピングリングでは、最大3台の加速空洞を1台のクライストロンとLLRFで制御する。多信号入力と入射器イベント毎の加速位相制御を想定し、前述の演算処理ボードをベースにイベントレシーバーに仕立て、各FPGA制御ボードと高速データ通信を適用した。 |
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SUP097 p.1168 | SuperKEKB用ビームダクトの窒化チタンコーティング及びベーキング TiN coating and pre-baking of beam ducts for SuperKEKB ○柴田 恭,白井 満,久松 広美,末次 祐介,金澤 健一,石橋 拓弥,照井 真司(高エネ研) ○Kyo Shibata, Mitsuru Shirai, Hiromi Hisamatsu, Yusuke Suetsugu, Ken-ichi Kanazawa, Takuya Ishibashi, Shinji Terui (KEK) 現在建設が進められているSuperKEKB加速器においては、周長約3 kmの陽電子リングのほぼ全てと電子リングの一部のビームダクトが新しいものに交換される。新たに製造されるビームダクトはアルミ合金または銅製であり、本数は約1200本、長さはほとんどが2~5 mである。SuperKEKBでは、ビームダクト内部を-7乗台Paの超高真空にすることが求められており、ダクトには加速器に設置される前にベーキングによる脱ガス処理が施される。ベーキング温度は150℃、時間は約24時間であり、目標到達圧力は1E-7 Pa未満である。更に陽電子リングにおいては、電子雲不安定性によるビームの劣化を防ぐために、ダクト内面に窒化チタン(TiN)コーティングを施し、ダクト内面の2次電子放出率を低減させる必要がある。コーティングは、ダクト中心軸上にチタン陰極を設置し、アルゴン及び窒素雰囲気中でマグネトロン放電を起こすことで行われる(DCマグネトロンスパッタリング)。陽電子リング用ビームダクトには、厚さ200 nmのTiNコーティングが施され、その後にベーキングが行われる。2年間で約1200本のビームダクトを処理するために、KEKつくばキャンパス内に、4台のベーキング装置と7台のコーティング装置が設置され、2012年4月から運転が開始された。本格的な作業は2012年9月から行われており、2013年5月末までに659本のビームダクトの処理が完了している。会場では、各装置や作業内容について詳しく報告する。 |
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SUP098 p.1173 | 金メッキされたタンタル製ビームパイプサンプルにおける光子の先端散乱 Tip-scattering measurement for sample of gold plated tantalum beam pipe ○石橋 拓弥,金澤 健一(高エネ研・加速器),田中 秀治(高エネ研・素核研) ○Takuya Ishibashi, Ken-ichi Kanazawa (KEK Accelerator Laboratory), Shuji Tanaka (KEK Institute of Particle and Nuclear Studies) SuperKEKBの衝突点付近では、素粒子検出器であるBelle IIがビームパイプビームを囲むように据え付けられ、その中心部で電子・陽電子ビームが互いに衝突を繰り返す。衝突点のビームパイプは物質量を極力抑える必要があり、SuperKEKBでは機械的強度も有しているベリリウムが使用される。衝突点のビームパイプには最終偏向電磁石および最終収束電磁石内で発生したシンクロトロン放射光が侵入する。この放射光は最内層にあるPXD等のバックグラウンドとなる。バックグラウンドを低減するため、このビームパイプには厚さ20 μmの金メッキが施される。これにより10 keV以下の光子はほぼ阻止できる。また上流からのシンクロトロン放射光が直接ベリリウム部に当たらないように、ビームパイプの衝突点への入り口は直径10 mmに絞られている。さらに衝突点付近では物質量の大きいタンタル製ビームパイプが使用され、この内壁面にリッジ構造をつけることにより散乱光の範囲を制限し、散乱光が衝突点のベリリウムパイプへ到達することを阻止している。このタンタルビームパイプのリッジ先端部における放射光の乱反射の影響を評価するため、コーネル大学CHESS(Cornell High Energy Synchrotron Source)、G2ビームラインにおける9 keVの放射光を利用してリッジ先端における光子散乱の測定を行ったので、本年会ではその結果について報告する。 |
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SUP099 p.1176 | J-PARC MRにおけるエキサイター電極の表面処理によるマルチパクタリングの抑制について Control of the multipactoring by the surface coating of the exciter electrodes in J-PARC MR ○岡田 雅之,外山 毅(高エネ機構 J-PARC 加速器),Schnase Alexander(GSI) ○Masashi Okada, Takeshi Toyama (KEK J-PARC Acc.), Alexander Schnase (GSI) J-PARCの30GeV主リングには2台の多目的Exciterが設置されていてBunch by Bunch FeedBackやTune測定、遅い取出しにおけるTransverse RF, Exciter 及び Intra-bunch Feedbackのスタディに使用されている。これらのExciterは平行板を用いたストリップラインキッカーであり、印加するRFの条件によってはマルチパクタリングが発生する。マルチパクタリングは電極表面にダメージを与える他、真空悪化による放電やビームロスの原因となる。 そこで、電極表面をコーティングする事でマルチパクタリングを抑制をする事を検討した。今回、3種のSUS電極(電解研磨、DLCコーティング、TiNコーティング)について二次電子放出率(SEY)及びRF印加時のマルチパクタリングによる真空度上昇の測定を行った。 |
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SUP100 p.1180 | SuperKEKBイクストラクションウィンドウの熱衝撃解析 ESTIMATION OF TEHRMAL SHOCKS OF EXTRACTION WINDOW FOR SuperKEKB ○照井 真司,菊池 光男,三増 俊広(KEK) ○Shinji Terui, Mitsuo Kikuchi, Toshihiro Mimashi (KEK) SuperKEKBの陽電子リングの最大ビーム電流は、KEKBのそれと比較すると、約2倍大きくなる。これに伴い、ビームをアボートしたときに、窓で損失するエネルギーも大きくなる。窓は放射長に比して非常に薄いためビームは電離損失過程によりエネルギーを失い、それは最終的には熱に変わる。同じ場所にビームを当て続けると窓の温度が急上昇し、融点を超えてしまうので、バンチ列を縦方向にスイープし、同じ場所にあてないようにしている。温度上昇が急激なため、熱応力は波として窓物質内を音速度で伝播する。バンチ列の先頭部がつくる応力波は後続のバンチがつくる応力波と干渉すると考えられる。この応力波の圧力が窓材質の破壊限度を超えるか否かが問題となる。本年会では解析ソフトLS-DYNAを用いて行った窓の衝撃解析の結果を報告する。 |
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SUP101 p.1183 | チタン製超低ガス放出速度測定装置の開発 Development of Outgassing Measurement Apparatus made of Titanium material ○奥山 元気,栗巣 普揮,山本 節夫(山口大院理工) ○Gennki Okuyama, Hiroki Kurisu, Setsuo Yamamoto (Yamaguchi Univ.) ERLを実現するには、極低エミッタンスで大電流の光陰極電子銃を開発することが喫緊の課題となっている。この電子銃では表面敏感な陰極が用いられるが、残留ガスの付着とともに残留ガスに起因するイオン衝撃によってダメージを受け、陰極寿命が現状では極めて短い。この状況を打破し電子銃を実用化するには、極限的に低い1E-11 Paの極高真空の達成・維持が不可欠である。これには、金属・セラミックス・ガラスなどの電子銃の構成材料において、1E-12 Pam/s台以下の非常に低いガス放出特性を持つ真空材料の探査並びにその表面処理が重要な開発要素となる。 真空材料のガス放出速度の測定手段には、「オリフィス流量法」「コンダクタンス変調法」「流路切替法」がある。これらの測定手段では、① 真空計の測定感度の違い、② 試料・ブランク測定の同時性、③ 放出ガスの測定流路への逆流、④ 測定装置自体の放出ガスが問題となり、1E-12 Pam/sの非常に低いガス放出速度の測定が困難となる。 そこで、著者らは、コンダクタンス可変2流路オリフィス流量法という新しい測定手段を考案し、低ガス放出なチタン材料を適用したチタン製ガス放出速度測定装置の開発に着手した。学会では現在開発中のガス放出速度測定装置の原理や測定下限の考察について発表する。 |
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SUP102 p.1186 | SuperKEKB真空システムの建設-II Construction of the SuperKEKB Vacuum System - II ○末次 祐介,金澤 健一,柴田 恭,石橋 拓弥,久松 広美,白井 満,照井 真司(KEK) ○Yusuke Suetsugu, Ken-ichi Kanazawa, Kyo Shibata, Takuya Ishibashi, Hiromi Hisamatsu, Mitsuru Shirai, Shinji Terui (KEK) KEKでは次期電子-陽電子衝突加速器「SuperKEKB」の建設が2010年より始まっている。真空システムでは、主に陽電子リングのビームパイプおよび関連する各種真空コンポーネントの新規製作、制御システムのアップグレード等が進められている。2011年度、アーク部分およびウィグラー部分の約2000 mについてビームパイプ、ベローズチェンバー、ゲートバルブ等を製作した。新規ビームパイプ等は、いわゆるアンテチェンバー型の断面を持ち、低ビームインピーダンス化、電子雲不安定性対策の強化を図っている。2012年度から、ビームパイプの二次電子放出率を低下させるためのTiNコーティング作業、およびトンネル設置前に行うベーキング作業を開始し、2012年度後半から主リングトンネルへのビームパイプ設置作業、制御システムの試験等を開始している。また、ビーム入射部、アボート部等のビームパイプやビームコリメータ等の特殊コンポーネントの開発・設計・製作を進めている。ここでは、主リングの真空コンポーネントの設計・製作状況、主トンネルへの設置状況等について発表する。 |
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SUP103 p.1191 | SuperKEKB陽電子リング用コリメータの設計 Design of collimator for SuperKEKB positron ring ○石橋 拓弥,末次 祐介,照井 真司(高エネ研・加速器) ○Takuya Ishibashi, Yusuke Suetsugu, Shinji Terui (KEK Accelerator Laboratory) SuperKEKBにおける各種機器の防護およびBelle II検出器のバックグラウンド低減のため、陽電子・電子リングには可動型のコリメータが使用される。陽電子リングではアンテチェンバー付きのビームパイプが使用され、これに適応したコリメータを開発している。またビーム中心軸とコリメータヘッド先端との最小距離は水平方向9 mm、垂直方向2 mmと非常に近く、ロス・キックファクターがKEKBと比べて大きく増加する。これを低減するために陽電子リングのコリメータではヘッドの一部をアンテチェンバー内部に隠す構造を採用している。水平コリメータの設計は完了しており、現在これのプロトタイプ1号機を製作している。本年会では陽電子リング用コリメータの構造及びウェイクフィールドのシミュレーション結果について報告する。なお、SuperKEKBのコミッショニング開始時、陽電子リングには水平方向コリメータ2台を据え付ける予定である。また電子リングにおいてはKEKBで使用していたコリメータを同じロケーションで再利用する予定である。 |
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SUP104 p.1196 | 真空チェンバー一体型多極電磁石の検討 R & D of a vacuum chamber integrated multipole magnet ○岡安 雄一,深見 健司(JASRI) ○Yuichi Okayasu, Kenji Fukami (JASRI) SPring-8 蓄積リングの水平方向エミッタンスを X 線領域における回析限界まで減少させる、高度化検討のためのオプションの一つとして、多極電磁石の狭ボア径 (φ26 mm 程度) 化が挙げられる。多極電磁石に超高真空対応の真空チェンバー (例としてアンテ型ストレートチェンバー) を挟み込むことを検討した場合、強度・抵抗壁インピーダンス等を勘案した結果、汎用真空チェンバー部材を採用する限りでは構造的に限界を迎える。この問題を回避する処方箋の一つとして、我々は肉厚の真空チェンバーに直接磁極を埋め込む、真空チェンバー一体型多極電磁石の開発を行なっている。簡単な例として、四極電磁石 1 台に真空チェンバーを埋め込んだ試作機を 2013 年 3 月に製作した。 本学会では、この試作機の構造説明に加え、試作機を用いて 1) 実際の超高真空チェンバーを想定したベーキング処理を行い、チェンバー・磁極からのアウトガス量・分圧等の真空特性測定・評価、2) チェンバー・電磁石を組み立て・解体を複数回行った場合の磁極座標の再現性評価、3) 磁場測定・組み立て誤差を勘案した磁場勾配への影響評価、を行ったので結果を報告する。また、実機のアライメント方法についての考察も併せて議論する。 |
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SUP105 p.1201 | 高沿面耐電圧セラミックスの開発研究 Research and development on surface flashover voltage of ceramics. ○三原 修司,前田 岳志(京セラ株式会社),吉岡 正和,松本 浩,栗原 俊一(高エネルギー加速器研究機構),大場 俊幸(日本アドバンストテクノロジー) ○Shuji Mihara, Takeshi Maeda (KYOCERA Corporation), Masakazu Yoshioka, Hiroshi Matsumoto, Toshikazu Kurihara (KEK), Toshiyuki Ohba (NAT) アルミナ質セラミックスは、金属との接合が容易で比較的安価であるだけでなく、機械的強度が高く低誘電損失でありベーキングも可能であることから、高電圧絶縁部材や高周波窓として広く使用されている。これらセラミックス部材の真空中での絶縁性能は沿面放電によって制約を受けるため、絶縁性能向上のためには沿面放電の抑制が必要である。本研究では、10-9パスカル台の極高真空下でバックグラウンドレベルを下げた高電圧印加試験装置を構築することによって、放電に至る過程として挙げられる電子放出を測定可能とした。本開発研究の結果、アルミナをベースとした材料では電子放出に起因する電流倍増の発生を僅かとすることができ、沿面放電を抑制可能であることが判明した。本発表ではこれらについて報告する。 |
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SUP106 p.1205 | 回転ガントリー用超伝導電磁石の設計及び磁場測定 Design of superconducting magnets for a rotating-gantry and magnetic field measurements ○鈴木 伸司,岩田 佳之,野田 耕司,白井 敏之,古川 卓司,藤田 敬,正田 光一,森 慎一郎,水島 康太,原 洋介(放医研),新井 弘樹,藤本 哲也(AEC),折笠 朝史,高山 茂貴,長本 義史,矢澤 孝(東芝),荻津 透(KEK),雨宮 尚之(京大工),尾花 哲浩(核融合研) ○Shinji Suzuki, Yoshiyuki Iwata, Koji Noda, Toshiyuki Shirai, Takuji Furukawa, Takashi Fujita, Kouichi Shouda, Shinichiro Mori, Kouta Mizushima, Yosuke Hara (NIRS), Hiroki Arai, Tetsuya Fujimoto (AEC), Tomofumi Orikasa, Shigeki Takayama, Yoshifumi Nagamoto, Takashi Yazawa (TOSHIBA), Toru Ogitsu (KEK), Naoyuki Amamiya (Faculty of Engineering, Kyoto University), Tetsuhiro Obana (NIFS) 重粒子線がん治療において、高度な照射治療を目的とした重粒子照射装置である小型超伝導回転ガントリーの設計・製作が現在進行中である。回転ガントリーは0度から360度とあらゆる角度からの重粒子ビーム照射を可能とし、これまでの固定ポートを用いた治療よりも精度の高い照射治療が可能となる。現在、炭素線回転ガントリーはドイツハイデルベルグに唯一存在するが、その総重量は600トン以上と報告されている。我々は回転ガントリーの小型軽量化のため、偏向電磁石に二重極成分と四重極成分を独立に励磁可能な超伝導電磁石を設計し、製作を進めている。回転ガントリーの半径は約5.5m、全長は約13m、重量はおよそ200トン台となり、陽子線回転ガントリーと同等の大きさになる。また、この回転ガントリーでは三次元スキャニング照射法を用いた治療が行われる。スキャンされたビームを超伝導電磁石で輸送し、治療照射を行うことから、超伝導電磁石には高い磁場均一度が求められる。本研究では、回転ガントリーの小型化に大きく貢献している超伝導電磁石の磁場分布を精度良く測定した。測定では複数のホール素子を用い、電磁石の中心軌道に沿わせたレール上を移動させながらホール電圧を測定することにより磁場分布を導出した。本発表では、このガントリー用超伝導電磁石の設計・製作及び精密磁場測定を中心に報告を行う。 |
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SUP107 p.1208 | パルス大強度電子ビームから生成される制動放射による動物プランクトンの卵への照射効果 Irradiation Effect on Zooplankton Eggs Applied by Bremsstrahlung Induced from Pulsed Intense Electron Beam ○風藤 孝啓,皆川 勇,高橋 一匡,佐々木 徹,菊池 崇志,阿蘇 司,原田 信弘,江 偉華(長岡技科大),永石 隆二(原子力機構) ○Takahiro Kazetoh, Isamu Minagawa, Kazumasa Takahashi, Toru Sasaki, Takashi Kikuchi, Tsukasa Aso, Nob. Harada, Weihua Jiang (Nagaoka University of Technology), Ryuji Nagaishi (JAEA) 近年,バラスト水に移入した水生生物の運搬・排出による生態系の破壊などが地球規模で問題となっている.これに伴い,国際海事機関にてバラスト水管理条約が採択され,2016年までに全ての船舶にバラスト水処理(プランクトンやバクテリアを不活化,駆除させる)装置の搭載が義務付けられている. これまでにパルス大強度相対論的電子ビーム照射によって動物プランクトン(Artemia salina)を不活化している[1]が,卵への効果は不明確である.そこで,本研究では電子ビーム誘起の制動放射照射によるアルテミアの卵の不活化を検討する. 大強度パルスパワー発生装置ETIGO-Ⅱ[2]により1MV,50ns(FWHM)の高電圧パルスで加速された電子ビームを金属プレートにて遮蔽し,制動放射を生成した.本装置で生成した制動放射の吸収線量は,三酢酸セルロースフィルム線量計(FTR-125)[3]を用いて計測した結果,約3kGyであった.この制動放射を200個程度のアルテミアの卵へ照射し,不活化率(非孵化率と孵化後の不活化率の合計)の変化を評価した. その結果,照射無し(コントロール)の卵の不活化率33.3%であったのに対し,照射有りでは63.9%と約30ポイント増加した.これより,制動放射照射はアルテミアの卵の不活化に有効であることが分かった. [1] H. Kondo, et al., Plasma Fusion Res. 5, 036 (2010). [2] W. Jiang, et al., Jpn. J. Appl. Phys., 32, L752 (1993). [3]JAERI-memo : JAERI-M-82-033 |
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SUP108 p.1211 | パラメトリックX線放射を用いた画像取得におけるX線トポグラフの影響 Influence of X-ray topograph for image acquisition using parametric X-ray radiation ○稲垣 学,野上 杏子,早川 恭史,早川 建,田中 俊成,境 武志,中尾 圭佐(日本大学電子線利用研究施設),佐藤 勇(日本大学大学院総合科学研究科) ○Manabu Inagaki, Kyoko Nogami, Yasushi Hayakawa, Ken Hayakawa, Toshinari Tanaka, Takeshi Sakai, Keisuke Nakao (Laboratory for Electron Beam Research and Application, Nihon University), Isamu Sato (Advanced Research Institute for the Sciences and Humanities, Nihon University) 日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)では、125MeV電子線形加速器を用いて新しいX線源であるパラメトリックX線放射(PXR)を運用している。LEBRA-PXRシステムは2枚の結晶を使用してエネルギー可変な単色X線ビームを発生させており、第一結晶はX線の放射源であるターゲット、第二結晶はX線輸送の役割を果たしている。PXRから発生するX線ビームは、ブラッグの回折条件をほぼ満たした状態である。つまり、入射電子ビームに対してターゲット結晶を回転させればX線エネルギーを自在に操れる。このX線ビームはコヒーレンスが良く、水平方向に一次関数的なエネルギー(波長)分散がある。この特性を利用して、波長分散型X線吸収微細構造(DXAFS)測定や回折強調型位相コントラストイメージング(DEI)などの研究に応用されている。 PXRから発生したX線ビームを用いた画像取得は、試料を透過したX線を検出器で測定する手法である。このため、トポグラフの影響は試料の構造を解析するにあたり厄介な存在である。したがって、ターゲット結晶に入射する電子ビームの位置、ターゲット結晶の角度(X線エネルギー)および第二結晶の角度によるトポグラフの関連性を調べる。また、XAFS測定におけるトポグラフの影響についても報告する。 |
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SUP109 p.1214 | 小型・高輝度マイクロトロンの産業利用 Industrial use of small and brilliant microtron ○長谷川 大祐(株式会社光子発生技術研究所),山田 廣成(立命館大学),山田 貴典,前尾 修司,林 太一,齋藤 昇吾(株式会社光子発生技術研究所) ○Daisuke Hasegawa (Photon Production Lab., Ltd.), Hironari Yamada (Ritsumeikan university), Takanori Yamada, Shuji Maeo, Taichi Hayashi, Shogo Saitou (Photon Production Lab., Ltd.) 光子研では卓上型放射光発生装置「みらくる」を開発し様々なX線利用を展開している。「みらくる」の入射器に用いているマイクロトロン電子加速器もまた独自に開発し、小型化・高輝度化に成功している。我々のマイクロトロンは電子銃を加速空洞に内蔵したKapitza型で、1~4MeVの装置でビーム電流300mAと高輝度を実現している。また、電子を磁場中で加速するため、他の加速器に比べエネルギー分散が2%以下に抑えられる。そのため、サブミリの焦点サイズを達成しており、単純撮影による非破壊検査やコーンビームによる重構造物のCT検査、滅菌・殺菌向けEB照射装置といった産業分野への利用、より小型で高輝度な電子銃への応用がある。 産業利用として、重構造物のサブミリでの非破壊検査に需要がでてきた。マイクロトロンとパーキンエルマのフラットパネルを用いたCT検査システムを構築し、産業界への導入を進めている。自動車会社からの依頼で、アルミダイキャスト製のエンジンやその他の部品の巣の検査やハイブリッド車のモータコイルを受託で検査している。コーンビームCTで撮影するため、エンジンなどの構造物全体を5分で撮影でき、リバースエンジニアリングに役立っている。 コンクリートの非破壊検査では、1MeV以下のマイクロトロンを屋外へ持ち出し、60cm厚のコンクリートサンプルをわずか5分で明瞭に検査出来ることを示した。 |
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SUP110 p.1218 | フォトカソードRF電子銃加速器を用いた紫外フェムト秒パルスラジオリシスシステムの開発 Development of Ultra-Violet femtosecond pulse radiolysis system based on a photocathode RF electron-gun LINAC ○近藤 孝文,井河原 大樹,樋川 智洋,法澤 公寛,神戸 正雄,菅 晃一,楊 金峰,柴田 裕実,小林 仁,小方 厚,田川 精一,吉田 陽一(阪大産研) ○Takafumi Kondoh, Taiki Igahara, Tomohiro Toigawa, Kimihiro Norizawa, Masao Gohdo, Koichi Kan, Jinfeng Yang, Hiromi Shibata, Hitoshi Kobayashi, Atsushi Ogata, Seiichi Tagawa, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka University) 核燃料再処理における抽出剤溶媒であるドデカンの放射線分解に重要なアルキルラジカルや放射線がん治療で重要なOHラジカルは、紫外250 nm 付近に吸収帯を持つことが知られている。アルキルラジカルやOHラジカルは、放射線化学反応において重要な活性種にも関わらず、吸収係数が小さいこと、パルスラジオリシス時間分解能の問題から、これまで反応ダイナミクスの直接的な研究は困難であった。これらの活性種の生成挙動及び種々の溶質との反応性を解明するために、フォトカソードRF電子銃加速器を用いたフェムト秒パルスラジオリシスシステムの観測波長を紫外領域に拡張した。発表では紫外フェムト秒パルスラジオリシス測定の問題点、アルキルラジカルの時間挙動からドデカンの放射線分解機構や、OHラジカルの反応性などを議論する。 |
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SUP111 p.1221 | 2結晶型パラメトリックX線源におけるダイヤモンド単結晶の試験 TEST OF DIAMOND SINGLE CRYSTALS IN THE PARAMETRIC X-RAY SOURCE BASED ON A DOUBLE-CRYSTAL SYSTEM ○早川 恭史(日大LEBRA),雫石 崇,石橋 直也(日本大学医学部),早川 建,稲垣 学,中尾 圭佐,野上 杏子,境 武志(日大LEBRA),佐藤 勇(日大ARISH),田中 俊成(日大LEBRA) ○Yasushi Hayakawa (LEBRA, Nihon University), Takashi Shizukuishi, Naoya Ishibashi (Nihon University School of Medicine), Ken Hayakawa, Manabu Inagaki, Kesuke Nakao, Kyoko Nogami, Takeshi Sakai (LEBRA, Nihon University), Isamu Sato (ARISH, Nihon University), Toshinari Tanaka (LEBRA, Nihon University) 日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)ではパラメトリックX線放射(PXR)を放射原理とするエネルギー可変X線源を運用いているが、その放射源としてシリコン完全結晶を採用している。将来的の医療応用を考えると、30keV以上のX線が必要となるが、それには格子定数の小さなダイヤモンド結晶の利用が有利であると予想される。得られるX線の空間コヒーレンスを考えると単結晶が望ましいが、幸い人工のダイヤモンド単結晶が比較的安価に入手できるようになった。そこでLEBRAのPXR線源においてダイヤモンド結晶を放射源に用いる試験を100MeVの電子ビームを用いて行った。2結晶型のPXR線源であるため、第2結晶サイズの制約のために結晶面としてはC(400)を用いることにした。 結果としては、30keV以上の領域でダイヤモンド結晶から発生したPXRビームを用いて吸収コントラスト像が得られた。シリコン結晶に比べると結晶の完全性が劣るため、X線の照射野は不均一であった。特筆すべき結果として、結晶の質の良い部分の寄与による照射野に限られるものの、40keV以上で伝搬型位相コントラストの効果と思われる軽元素物質試料のビジビリティ向上が観測された。また、検出器の性能の問題はあったが、60keVでの画像取得にも成功した。 問題点として、電子ビーム照射によって結晶のひび割れやカラーセンターの形成に伴う変色が発生した。特にひび割れについては防止策を検討していく必要がある。 |
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SUP112 p.1226 | SPring-8蓄積リング直線部における発生放射線線量 Radiation doses produced at the straight sections in the storage ring of SPring-8 ○成山 展照((公財)高輝度光科学研究センター) ○Nobuteru Nariyama (JASRI) 蓄積リング直線部では、ガス制動X線発生の他にラティスに起因した電子損失が起きる。前者は、非常に前方に偏った放出がなされるため、安全上ビーム軸上に鉛遮蔽を配置し対応しているが、フロントエンドにはアブソーバーなど散乱体となるコンポーネントが配置されており、これによる散乱線を遮蔽するため後方に鉛コリメータが設置されている。今回、このコリメータによる遮蔽効果をモンテカルロコードにより計算した。後者の電子損失では、高エネルギーX線と中性子が発生する。中性子は比較的等方に放出されるため、測定により損失位置の特定が容易である。今回、ガンマ線に対してほとんど感度を有しないプラスチック飛跡検出器CR-39を蓄積リング内全周26箇所に設置し、中性子線量測定を行った。その結果、シンクロトロンからの電子入射部に加えて、挿入光源ID07及びID19の長直線部において有意な線量値が得られた。そこで、両IDの全長10箇所にCR-39をセットし再度照射、測定したところ、ID中央より両端にいくほど線量が高くなる対称形になることがわかった。ID前後において同程度、損失発生が起きていることを示唆している。この時の線量率は毎時10マイクロSv程度であり、放射光による線量率4Gy/hより桁違いに小さい。 |
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SUP113 p.1230 | X線自由電子レーザー施設「SACLA」の省エネルギー冷却設備 Energy-saving cooling facilities of X-rays free-electron laser facilities "SACLA" ○飛永 隆史,上西 雅彦(スプリングエイトサービス),関口 芳弘(理化学研究所) ○Takashi Tobinaga, Masahiko Uenishi (SES), Yoshihiro Sekiguchi (RIKEN) 理化学研究所が平成24年3月より供用を開始したX線自由電子レーザー施設「SACLA」は、全長700m、アメリカで稼動中の施設(約2km)、ドイツで建設中の施設(約3.4km)に比べてコンパクトで有る。施設が小さければ、当然、工期や建設費用を低く抑えることができた。空調ならびに装置冷却水設備についても高性能で省エネルギーに配慮した設計、建設が行われSACLAの安定運転に貢献している。本稿では、SACLAで採用された、従来型の混合空調よりも省エネルギーであるディスプレイスメント空調について、また、空調と装置冷却水の温度安定性 との関係について現状を報告する。 |
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SUP114 p.1234 | 測量網を用いた加速器のアライメント評価における誤差見積もり Error estimation for accelerator alignment using surveying network ○久米 達哉,長橋 進也,上田 明,原田 健太郎,中村 典雄(KEK) ○Tatsuya Kume, Shinya Nagahashi, Akira Ueda, Kentarou Harada, Norio Nakamura (KEK) 加速器のアライメント評価では、その取扱いの容易さからレーザトラッカなどの光学式測量機が広く用いられている。これらの測量機の中には数100 mの測定可能範囲を持つものもあるが、実際の加速器のアライメント評価では、空気揺らぎや反射ターゲットの取扱いの問題、さらに、加速器の形状や障害物などにより、評価可能な範囲が数10 m程度に制限されることが多い。そのため、100 mを超える規模の大型加速器のアライメント評価では、部分的に重なり合う数10 m程度の複数の領域からなる測量網を作り、共通する領域の測量値をもとに、得られた測量結果をつなぎ合わせるような手法が用いられている。我々は、このような手法において、部分的に重なり合う複数の測量結果をつなぎ合わせる操作が、複数の形状をつなぎ合わせることで、より大きな形状評価を可能とするスティッチングによる形状連結に相当するものと考え、スティッチングにおける誤差伝播モデルを適用することで、アライメント評価における誤差を解析的に見積もった。ここでは、分割された一回の測量範囲、測量点間隔、重なり部分の割合をパラメータとして、測定長に比例する誤差成分や環閉差の振り分けを考慮することで、より高精度な誤差見積もりの実現を目指した。 |
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SUP115 | コンパクトERLのための放射線用遮蔽体と諸設備の建設 Construction of radiation shielding and maintenance facilities for cERL ○芳賀 開一,浅岡 聖二,多田野 幹人,野上 隆史,坂中 章悟(高エネルギー加速器研究機構),石山 雄三,根本 裕次(株式会社フジタ) ○Kaiichi Haga, Seiji Asaoka, Mikito Tadano, Takashi Nogami, Shogo Sakanaka (KEK), Yuuzou Ishiyama, Yuji Nemoto (FUJITA) 次世代の放射光源用加速器ERLの実証機として、コンパクトERLがKEKにおいて建設され、2013年4月からその入射部の運転が開始している。この加速器を収納し放射線を遮蔽するためのコンクリート製遮蔽体はブロック構造をとり、2012年の3月から9月にかけて製作・設置された。コンクリート遮蔽体の設計においては、設計途中となる2011年3月に発生した東日本大震災を受け、水平・垂直量方向ともに0.5Gの加振力にも対応可能な設計へと変更した。また、加速器室の天井部分は開閉可能となっており、将来のエネルギー増強時には、超伝導加速空洞用クライオモジュールなどの大型機器類の設置が容易になるよう設計されている。またこの遮蔽体設置に付随して、加速器室内の空調システムや冷却水システム、換気システムなどの諸設備も合わせて整備された。 |
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SUP116 p.1239 | 理研SACLAにおける1年間の消費エネルギー One-year energy consumed in RIKEN SACLA ○関口 芳弘(理研),飛永 隆史,上西 雅彦(スプリングエイトサービス) ○Yoshihiro Sekiguchi (RIKEN), Takashi Tobinaga, Masahiko Uenishi (SES) 理研播磨研究所に設置したX線自由電子レーザー施設「SACLA」は,平成24年3月より供用を開始したが,以来非常に安定に稼働を継続している. 平成24年度のSACLAの稼働時間は7,016時間を達成した.運転実績が示すとおり、大きな不具合やトラブルもなく長期連続運転を実現している.これは加速器システムが安定しているだけでなく,それを支える電源,空調などインフラ設備も安定稼働に大きく貢献しているためである. それとともに,消費エネルギーもこれまでの加速器施設と比して非常に少なくなっている.平成24年度1年間ののSACLAの消費エネルギーを報告するとともに,SPring8(リニアック,シンクロトロン,蓄積リング)との比較を行い,その省エネルギー性について検討する. |