日本加速器学会会長からのメッセージ
ホームページをご覧の皆様へ
加速器は、高いエネルギーを持った電子やイオンを作り出す装置です。20世紀には多くの素粒子が発見され、我々の世界観は大きく変わりましたが、それをけん引してきたのが加速器という実験装置です。現在では、ノーベル賞の受賞にもつながったB中間子、ニュートリノ、ヒッグス粒子などの基礎科学のみならず、加速器は、薬の設計、材料改質、ガン治療や診断、最先端の機能性材料の開発、高精度の年代測定など、基礎から応用・実用、自然科学から人文科学まで広い分野で利用されています。また、みなさんが現在利用しているインターネットのWEBなどの情報技術も加速器研究から派生しました。
日本は加速器の質・量とも誇るべき加速器大国です。加速器の性能を高め、また新しい概念の加速器を創出することで、基礎研究の飛躍的発展、SDGs達成を含む社会的課題の解決、より豊かな人生をおくるための社会基盤の確立などに貢献し、よりよい世界を実現することが日本加速器学会の役割です。日本の加速器研究にはそのようなポテンシャルがあると、自負しています。
日本加速器学会は、2004年に設立され、大学、研究機関、企業等に所属する研究者、技術者を中心に約900名の会員から成り立っています。加速器を目にする機会は少ないかもしれませんが、加速器が拓く未来の社会像を市民の皆様と共有し、ともにつくりあげていくことも、学会の重要な役割であると思っています。これまで以上に、市民のみなさんとの対話を通じた情報共有をすすめ、社会に貢献する加速器を合言葉に、学会活動を進めていきたいと思います。加速器学会の活動へのご理解、ご協力を、改めてお願いいたします。
栗木雅夫
Masao KURIKI
日本加速器学会第10期会長(任期2022年4月1日-2024年3月31日)