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日本加速器学会

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一般社団法人日本加速器学会が 2024年4月1日に発足します。以下は従来の日本加速器学会のものであり、4月1日以降順次 web ページの差し替えを行います。

安全保障研究に対する日本加速器学会の対応

2021年8月6日

(前言)
日本加速器学会では、2017年8月2日の総会議決をもって倫理綱領を制定した。この際、軍事技術を含む安全保障研究への対応については、学会内での議論が十分に行われていないことを理由として、倫理綱領に明文化することは見送られた。また、倫理綱領の制定と前後する2017年3月24日に日本学術会議が発出した「軍事的安全保障研究に関する声明」では、「学協会等において、それぞれの学術分野の性格に応じて、ガイドライン等を設定することも求められる。」の一文が示された。
日本加速器学会では、倫理綱領に含めなかった安全保障研究への対応を決定すべく、「日本加速器学会における軍事研究規制等に関するタスクフォース」の立ち上げ(2018年8月8日)にはじまり、二度にわたる会員アンケート(2019年11月17日、2020年12月15日)、意見募集(2020年8月3日)、第17回年会における特別セッション「加速器と安全保障研究」の開催(2021年9月3日)、パブリックコメント募集(2021年7月7日)を行ってきた。これらの活動を通じて、学会執行部、評議員と会員の間で議論を深め、ここに「安全保障研究に対する日本加速器学会の対応」を決定した(2021年8月6日評議員会)。

(本文)
日本加速器学会では、定款にて学会の目的を示しており、加えて、倫理綱領では、学問の発展と社会公益に貢献するために会員が遵守すべき事項を列記している。これらは、学会の理念を明文化したものである。大量殺りく兵器に代表されるような、他者の生命を脅かし財産を毀損することを直接目的とする明白な軍事研究への積極的な関与が、学会の理念に反することは自明である。しかしながら、研究開発のうち、特に基礎研究の部分では、軍事研究と民生研究の区別が容易でない場合もあることから、学会の理念から逸脱する研究の範囲をあらかじめ定めることは困難である。そのため、学会における会員の活動が学会の理念に整合するか否かは、会員の自律的な判断に委ねることを基本とする(注)。なお、学会における会員の活動が学会の理念に反するとの懸念が生じた場合は、倫理綱領の付記に則り評議員会が審議し裁定を行う。ただし、学会の理念との整合の如何は、研究費の種別、発表者や共著者の所属機関といった外形的な基準のみでは判断しない。
加速器科学に固有の事情を含め、科学技術と社会のつながり、科学技術が人類社会に及ぼした歴史上の功罪と将来に及ぼすであろう影響について広く学び、会員自身が考えを深める機会を持つことが、学会の理念を実現するために大切であり、学会は、そうした議論に資する視点と知見の共有に努める。

(注)年会における研究発表、学会誌への投稿では、学会の理念を確認したうえで発表申込み、投稿を行う仕組みを設ける。