WEP087  ポスター①  7月31日 3Fホワイエ 13:00-15:00
バッファガス冷却器を備えたビーム物理研究用イオントラップシステムの開発 III
Development of an ion trap system with a buffer-gas cooler for beam dynamics studies III
 
○伊藤 清一(広大院先進)
○Kiyokazu Ito (AdSE, Hiroshima Univ.)
 
イオントラップに捕捉したイオンプラズマの運動は空間電荷効果を考慮しても加速器ビームと等価である.広島大学ではビーム物理研究に最適化したイオントラップシステムS-PODを用い,主に空間電荷効果がビームの挙動に与える影響について実験的研究を進めている.S-PODに捕捉したイオンプラズマのrmsチューンデプレッションは最も小さい時でおよそ0.85である.より位相空間密度の高いビームの挙動を調べるためにはイオンプラズマもより高密度化する必要がある.S-PODのイオンプラズマの温度は約0.3eVと比較的高いので冷却による高密度化が期待できる.バッファガス冷却は低温の軽いガスとの衝突でイオンを冷却する方法であり,ハドロンビームで用いられる電子冷却と同様の手法である.当然より低温のガスを用いる方がイオンプラズマの到達温度は低くなる.そこで,クライオスタットにより冷却した低温のヘリウムガスをバッファガスとして導入するシステムの開発を進めてきた.初期的な実験結果について報告する.