WEP082  ポスター①  7月31日 3F交流室A 13:00-15:00
Agメッキ膜の光刺激脱離評価
Photon-stimulated desorption analysis for Ag plating films
 
○金 秀光,谷本 育律,内山 隆司,本田 融(高エネルギー加速器研究機構)
○Xiuguang Jin, Yasunori Tanimoto, Takashi Uchiyama, Tohru Honda (High Energy Accelerator Research Organization)
 
放射光源用加速器では、発生するハイパワーの放射光を水冷アブソーバーで受け止め、下流にある真空ダクトやベローズを保護する。アブソーバーは無酸素銅やアルミナ分散強化銅で製作されており、放射光照射により大量のガスが発生し、近くに大排気量の真空ポンプを配置した上で、通常は長時間の光焼出しが必要となっている。 アブソーバー表面に低い光刺激脱離(PSD)の材料を成膜し、ビーム運転中の真空圧力を改善することで、光焼出し時間の短縮、加速器の安定運転のより短時間での達成が可能になる。我々はCu上にAgをスパッタリングすることで、スパッタリング無いCuに比べ、PSD係数が1桁以上低下することを発見した。 Ag膜を容易に作製し、また複雑な形状の部品にも成膜するために、メッキに注目した。基礎研究として、Cu板上にAgメッキを成膜し、PF BL21においてPSDの評価を行った。メッキは光沢剤の添加により、表面ラフネスが制御でき、平らと凹凸の表面を持つ2種類のAgメッキ膜を作製した。測定結果、いずれのAgメッキ膜のPSD係数はAgスパッタリング膜のそれより大きい。メッキ溶液中の水分が膜に混入し、PSDの増加をもたらしたと考えられる。また、凹凸のAgメッキ膜が平らなAgメッキ膜より高いPSD係数を示し、表面積の増加により放出するガス量も増えたと考えられる。