WEP033  ポスター①  7月31日 2F交流ラウンジ 13:00-15:00
垂直偏光超伝導マルチポールウィグラーのためのコイル形状の検討
Study of coil geometry for a vertically polarized superconducting multipole wiggler
 
○齊藤 寛峻,土屋 公央,帯名 崇(高エネ研)
○Hirotoshi Saito, Kimichika Tsuchiya, Takashi Obina (KEK)
 
KEK PFではピーク磁場5 Tの超伝導3極ウィグラーが稼働している。世界的にも珍しい水平ギャップ・磁場を採用しており、垂直偏光の高エネルギー白色光を利用したユニークな研究が可能となっている。しかし本光源には軌道振幅が大きい(6 mm)というビームダイナミクス上のデメリットがあることや老朽化が進んでいることから、新規光源の研究開発が進められている。軌道振幅を抑えるためにポール長を短くするとピーク磁場は落ちるがポール数を増やせば光子数を稼げることから、新規光源としては超伝導マルチポールウィグラー(SCW)が適していると考えている。垂直偏光かつ10 keV以上の高エネルギー帯域の放射光を生成するには40~50 mm程度の比較的大きな水平方向ギャップで2~3 T以上の高磁場を出す必要がある。また周期長は100 mm程度以下に抑えるのが理想的である。このような条件を満たす光源は世界的にも例がなく、本研究ではこれを実現し得るSCWの設計検討を行っている。SCWのコイル形状としては、ビーム偏向面内にコイルを巻く水平巻きが一般的である。しかし近年はNbTiより高い臨界電流密度を持つNb3Sn線材を使った円形コイルの技術開発が進んできていることから、この円形コイル面がビームに垂直になるよう並べた垂直巻きコイルも有力候補と考えている。本発表では磁場計算をもとにコイル形状による磁場の違いや現実的な垂直偏光SCWのパラメータについて議論する。