WEP030  ポスター①  7月31日 2F交流ラウンジ 13:00-15:00
京都大学自由電子レーザ施設におけるスクレーパ型光取出し方式の試験
Test operation of scraper out-coupling in Kyoto University free electron laser
 
○全 炳俊(京大エネ研)
○Heishun Zen (IAE, Kyoto Univ.)
 
共振器型自由電子レーザ(FEL)は電子ビームの運動エネルギーをレーザの電磁場エネルギーに変換することでレーザ増幅を行い、発振させるレーザである。この際の変換効率は引き出し効率と呼ばれ、共振器型FELの性能を決める重要なパラメータの一つである。京都大学エネルギー理工学研究所に設置された赤外自由電子レーザ施設KU-FELでは、これまでに9.4%という高い引き出し効率を達成している。光共振器損失をFEL増幅率で割ったものを規格化ロスと定義すると、共振器型FELの引き出し効率は規格化ロスの平方根の逆数に比例すると考えられている。本研究ではKU-FELにおいてこれまで用いてきたミラー中央に設けた貫通孔から共振器外に光を取り出すHole-coupling方式から共振器中にスクレーパミラーを挿入して共振器外に光を取り出すscraper out-couplingに変更することで、光共振器損失を低減し、引き出し効率の向上を目指した。結果として、FEL発振波長11μmにおいて光共振器損失を3.9%から2.2%まで低減することに成功した。約12.5%の最大引き出し効率を達成した。一方、scraper out-couplingではスクレーパーミラーの挿入量を変えて、光共振器損失を増加させる事ができるが、光共振器損失を4.5%まで増加させても顕著な引き出し効率低下は観測されなかった。この結果は光共振器損失以外の要因で引き出し効率が頭打ちになっている事を示唆している。