WEOT01  加速器制御  7月31日 テルサホール 15:10-15:30
SuperKEKB加速器ビームアボートシステムアップグレード
Upgrade of beam abort system at SuperKEKB
 
○梶 裕志,小玉 恒太,多和田 正文,三増 俊広,宇野 健太,中山 浩幸(高エネルギー加速器研究機構),角野 秀一,北村 和樹(東京都立大学),ウアブシャト ベラ,アヴェルサーノ ミケーレ(名古屋大学),吉原 圭亮(ハワイ大学マノア校)
○Hiroshi Kaji, Kota Kodama, Masafumi Tawada, Toshihiro Mimashi, Kenta Uno, Hiroyuki Nakayama (KEK), Hidekazu Kakuno, Kazuki Kitamura (Tokyo Metropolitan University), Bela Urbschat, Michele Aversano (Nagoya University), Keisuke Yoshihara (University of Hawaii at Manoa)
 
SuperKEKBではビーム電流の数割が1,2周のうちに失われるSudden Beam Loss事象が頻発している。同アクシデント事象はビーム運転を阻害するのみならず、ビームロスに伴う放射線が加速器機器を損傷することもあるため、プロジェクトにとり大きな問題となっている。そのため我々は「ビームアボート(破棄)システムの応答を高速化」し「異常状態に陥り放射線を発生しているビームを直ちにアボートし機器を保護する」ことを目的としたアップグレード計画を実施している。計画に先立ち行った2022年予備実験では、応答速度の速い衝突点アボートセンサー(CLAWS検出器)をビームライン上流にも増設することで、アボート応答を10us高速化可能という結果が得られた。同結果はビームライン上流で早期にビーム異常検出できること、検出場所がビームダンプに近くアボート要求信号の伝達時間が短くなることの2つの効果から得られる。これをうけて2022年から2024年の長期シャットダウン中、衝突点から750m上流の新設コリメータ付近にCLAWS検出器も新設した。2024年運転中に行ったの同検出器のコミッショニングでは既存のビームアボートシステムより5usから50us早くビームアボート可能であることが示され、3月末より運転への実装が実現された。本講演ではアップグレード計画の全容、上述したこれまでの成果とともに今後の展望について報告する。