WEOP04  合同セッション  7月31日 テルサホール 11:30-12:00
加速器質量分析法を用いた太陽活動研究
Research on solar activity using accelerator mass spectrometry
 
○宮原 ひろ子(武蔵野美術大学)
○Hiroko Miyahara (Musashino Art University)
 
銀河系内から飛来する銀河宇宙線は、大気との相互作用により炭素14やベリリウム10などの核種を生成する。銀河宇宙線は主に陽子であり、太陽圏に広がる太陽風磁場によって遮蔽を受けるため、大気中での炭素14やベリリウム10などの生成率は太陽活動度のレベルに応じて変化することとなる。太陽活動の観測データは長いものでも黒点の400年程度のデータしかない一方で、太陽活動には数百年~千年のスケールにおよぶ長期変動があるため、樹木年輪に取り込まれる炭素14や氷床コア・堆積物等に残されるベリリウム10は、太陽活動の挙動を理解する上で貴重な代替指標となる。太陽活動の低下は、小氷期と呼ばれる寒冷化をもたらすことが明らかになってきており、そうした観点でも、太陽の物理を理解し、予測を実現することが重要である。また近年、樹木年輪の炭素14の分析から、過去に太陽が大規模なフレア現象を度々起こしてきたことも明らかになってきており、そうしたフレア現象の探索も重要なトピックになってきている。本講演では、加速器質量分析法を用いた太陽活動研究の近況について紹介する。