WEOP02  合同セッション  7月31日 テルサホール 10:30-11:00
高次高調波によるアト秒レーザーの進展
Progress on attosecond lasers by high-order harmonic generation
 
○緑川 克美(理研)
○Katsumi Midorikawa (RIKEN)
 
2023年のノーベル物理学賞は, 原子や分子中の電子の挙動を一瞬で捉えるアト秒パルスを発生する方法を実現したPierre Agostini (Ohio State University) , Anne L’uillier (Lund University), Ferenc Krausz (Max Planck Institute of Quantum Optics )の3博士に授与された. 人間の目では捉えられない超高速の現象を捉えようとする試みは,レーザーの発明により飛躍的な進展を遂げた.レーザーによる超短光パルスの発生は,1964年のHe-Neレーザーでのモード同期発振に端を発し, そのパルス幅は急激に短くなり1987年には6fsという極超パルスが達成された. しかし、その後, 今回の受賞の成果となる高次高調波によるアト秒パルスの発生が報告されるまでの14年間, 人類はフェムト秒の壁を破ることはできなかった. では如何にして1フェムト秒の壁を破りアト秒領域に到達することができたのか, 本講演では、理研におけるアト秒科学研究の成果を含めてその過程をわかり易く紹介する.