WEOA02  加速器応用・産業利用  7月31日 アプローズ 15:30-15:50
次世代超高速電子顕微鏡用のNb3Sn超伝導RF電子銃の開発
Design of Nb3Sn superconducting RF gun for next ultrafast electron microscopy
 
○楊 金峰(阪大産研),許斐 太郎(Michigan State University/FRIB),井藤 隼人,山田 智宏,梅森 健成,阪井 寛志(高エネルギー加速器研究機構)
○Jinfeng Yang (SANKEN, Osaka U.), Taro Konomi (Michigan State University/FRIB), Hayato Ito, Tomohiro Yamada, Kensei Umemori, Hiroshi Sakai (KEK)
 
ナノメートル領域の原子・電子の動き、構造変化等の高速現象を観察し、それによる物性決定のメカニズムを明らかにして、高性能化するための知見を得ることが極めて重要である。そのために、フェムト秒時間分解能と原子レベルの空間分解能を併せ持つ計測技術が強く求められている。その有望な方法の一つは短パルス電子線を用いた超高速電子顕微鏡である。現在は加速電圧が100~200kVのフォトエミッション直流加速型電子銃を用いて、装置開発が行われている。これらの開発では、加速電場が低く、電子同士が反発する「空間電荷効果」の制約によりフェムト秒と原子スケールを両立した時空間分解能の実現が難しい。このことを打破するため、本研究では、加速電場が高く、4.2Kの小型冷凍機による冷却運転が可能な0.5セルNb3Sn超伝導RF電子銃を開発し、大電流の相対論的フェムト秒短パルス電子ビームを発生する。それを用いて、時間的に50fs、空間的に1Åの分解能を併せ持つ「超高速電子顕微鏡」技術の確立を目指す。本講演会では、Nb3Sn超伝導RF電子銃の設計、熱計算、ビームシミュレーションの結果およびこれを用いた超高速電子顕微鏡の設計について報告する。