WEOA01  加速器応用・産業利用  7月31日 アプローズ 15:10-15:30
宇宙開発機器のためのJ-PARCにおける陽子ビーム
Proton beam utilization for space development equipment at J-PARC
 
○明午 伸一郎,岩元 大樹,山口 雄司(J-PARC/JAEA)
○Shin-ichiro Meigo, Hiroki Iwamoto, Yuji Yamaguchi (J-PARC/JAEA)
 
宇宙開発における衛星搭載機器の開発において、数MeVから数GeVにわたる広いエネルギー領域の陽子利用が必要となるが、400 MeV以上のエネルギー領域で供給が可能な加速器施設は世界的に少なく、国内ではJ-PARCが唯一となる。J-PARCでは様々な施設の利用者に二次粒子を安定に継続する必要があるため、実験装置を加速器の真空槽に設置することは困難となる。この要求に対応するため、J-PARCで建設を進めている「陽子ビーム照射施設」により試験を進める計画としている。本施設ではLINACの400 MeV H-ビームから、レーザー荷電変換器により微弱なビームを取り出し、デグレーダにより利用者が要求するエネルギーの陽子ビームを供給する予定となる。本報ではこの施設の詳細について報告する。 また、宇宙開発での陽子利用は極めて高く、宇宙航空研究開発機構(JAXA)および情報通信研究機構(NICT)では、衛星搭載の宇宙線センサーにおける試験の強い要求があった。しかし、加速器を安定に運転させる必要があるため、真空槽に試験装置を組み込むのは困難となり、さらに試験で必要な微弱なビームを得るのは困難となる。このため、我々はビーム窓の散乱による陽子を利用する方法を開発し、JAXAおよびNICTと共同研究を結びセンサーの試験を開始した。ビーム散乱のデータは、陽子加速器において重要なデータとなるもののデータはほとんど存在しないため、散乱陽子の測定を開始した。