THP086  ポスター②  8月1日 3Fホワイエ 13:00-15:00
低速陽電子ビームパルスストレッチャー用複合電源システムの開発
Development of a combined power supply system for a slow-positron beam pulse stretcher
 
○磯田 幸識,徳地 明(パルスパワー技術研究所),和田 健,望月 出海,兵頭 俊夫(高エネルギー加速器研究機構,物理構造科学研究所)
○Sakinori Isoda, Akira Tokuchi (PPJ), Ken Wada, Izumi Motizuki, Toshio Hyodo (KEK,IMSS)
 
高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の低速陽電子実験施設で開発されたパルスストレッチャーは、パルス幅1.2 µsの低速陽電子ビームのパルス幅を、そのくり返し50Hzの上限の約20msまで伸長するシステムである。現在このパルスストレッチャーによってエネルギー5.2keVのビームが供給できるようになっており、多重検出を許さない検出器を用いた低速陽電子回折(LEPD,レプト)実験に使用されている。本複合電源システムは,接地電位に対して最大20kVの電圧を印加できる高電圧ステーションに重畳された、3つの電源によって構成されている。①陽電子パルスが入口ゲート電極に到達した時のみ入口ゲート電極の電位を下げてトラップ電極への侵入を許し,それ以外の時間では電位を十分に上げて陽電子パルスが通過できないようにする(高電圧ステーションに対し、出力950V,パルス幅1 µsのパルス電源)。②トラップ電極用で、陽電子パルスがトラップされた後、徐々にその電位を上げていき、より高い運動エネルギーを持った陽電子から順番に出口のゲート電極の電位を超えて下流側に供給するためのものである(外部の任意波形発生器からのアナログ信号を、高電圧ステーションに対し、最大出力1kVのアンプ電源)。③出口ゲート電極用で、接地電位に対するこの電位がパルス幅を伸長した後のビームエネルギーを決めている(高電圧ステーションに対し、500Vの一定の電圧を印加する電源)。