THP059  ポスター②  8月1日 3F研修室A 13:00-15:00
KRS-5中における長波長赤外自由電子レーザパルスのスペクトル広帯域化
Spectral broadening of longwave-infrared free electron laser pulses in KRS-5
 
○全 炳俊(京大エネ研)
○Heishun Zen (IAE, Kyoto Univ.)
 
固体やガスに超短パルス高強度レーザを集光すると自己位相変調によりスペクトル広帯域化が生じる。固体レーザの分野において、こういった媒質中でのスペクトル広帯域化は数サイクルパルス発生やf-2f干渉計を用いたCarrier Envelope Phaseの変動計測に不可欠な技術である。長波長赤外領域では、KRS-5中でのスペクトル広帯域化により、波長9μm、パルスエネルギー10μJ、パルス幅145fsのレーザが1.5サイクルのパルス幅に相当する45fsまで圧縮されたという報告(Opt. Lett. 8, pp.2175-2178)が2020年になされた。この際、2μm程度まで短波長側の波長帯域が広がった。本研究では上記の先行研究を参考に、京都大学自由電子レーザにおいて発生させた波長11μmのFELパルス列を厚さ4mmのKRS-5円板に集光し、透過光を波長1.5~2.6μmにおいて感度を持つ計測系で測定することにより、スペクトル広帯域化現象の観測を試みた。その結果、KRS-5と集光点の位置関係を変えた際に観測される信号強度が変化し、観測された光が入射FELと同じ方向に直線偏光していることを観測した。これらはFELパルスのスペクトル広帯域化が発生していることを示唆している。また集光点の前と後にKRS-5円板を設置した際にFELマクロパルス中での観測された光のマクロパルス形状に大きな差が見られており、これは30MHzという高繰り返しで供給されるFELミクロパルスの蓄積効果に起因するものであると考えられる。