THP051  ポスター②  8月1日 2Fリハーサル室 13:00-15:00
SACLAマルチエネルギー運転における四極電磁石の高速電流変更システム
Fast current modulation system of Q-magnets for multi-energy operation in SACLA
 
○近藤 力(JASRI/RIKEN),中澤 伸侯(SES),福井 達(RIKEN SPring-8 Center),山田 遼,家納 寛,森本 理(SES),原 徹(RIKEN SPring-8 Center)
○Chikara Kondo (JASRI/RIKEN), Nobuyuki Nakazawa (SES), Toru Fukui (RIKEN SPring-8 Center), Ryo Yamada, Yutaka Kano, Osamu Morimoto (SES), Toru Hara (RIKEN SPring-8 Center)
 
SACLAでは、2本のXFELビームラインとSPring-8蓄積リングへのビーム入射ラインへ、繰り返し60 ppsの電子ビームをショット毎に振り分けている。この時、各ラインの要求に応じてビームエネルギーをショット毎に6-8GeVの間で変更するマルチエネルギー運転を行っている。これまで四極電磁石の励磁にはDC電源を使っていたため、振り分け前の線型加速器部ではビームエネルギーの差異によって四極電磁石の集束力が変わり、ビームエンベロップにミスマッチが生じていた。このミスマッチは、振り分け後の四極電磁石で補正する必要があり、XFELの調整に時間がかかっていた。そこで我々は、四極電磁石の励磁電流を60Hzで変更できるシステムを開発し、線型加速器の一部の四極電磁石に採用した。このシステムは積層鋼板電磁石と、DC電源に比べ高電圧化とフィードバック制御の高速化を施した電源で構成され、60Hzの磁場変更をショット毎の電流再現性100ppm以下で実現している。また通信制御系には、電流変更のタイミングがビームタイミングと同期するように、従来のDC電源用iDIOに外部トリガ機能を追加したものを採用した。本システムは2021年に開発を開始し、2023年秋からの本格的な運用後は、ビームエネルギー変更時のXFEL調整が迅速かつ簡便に行えるようになっている。本発表では、システム概要や技術詳細について報告する。