THP044  ポスター②  8月1日 2Fリハーサル室 13:00-15:00
KEKにおけるニオブスズ超伝導加速空洞の成膜研究および伝導冷却研究の現状
Status on coating and conduction cooling researches for Nb3Sn superconducting cavity in KEK
 
○山田 智宏,井藤 隼人,梅森 健成,阪井 寛志(高エネ研)
○Tomohiro Yamada, Hayato Ito, Kensei Umemori, Hiroshi Sakai (KEK)
 
超伝導加速空洞は常伝導空洞に比べ表⾯抵抗を⼩さく抑えることができるため、より高い電場での連続的な運転が可能となり、現在世界中の⼤型加速器で多数⽤いられている。空洞材料としてはニオブを使⽤したものがほとんどで、液体ヘリウム温度4K やさらに表⾯抵抗を下げて発熱を減らすため2Kまで減圧して冷却することも多い。⼀⽅で、浸漬冷却に使⽤する液体ヘリウムの製造やクライオモジュールの⾼圧ガス保安法対応など、利⽤までのハードルが高く、社会的に広く普及しているとは言い難い。現在KEKでは、スズ蒸気拡散法を用いたニオブスズ超伝導加速空洞の成膜研究並びにこれを小型4K冷凍機による伝導冷却によって冷却する技術開発を進めている。ニオブスズ(Nb3Sn)は、ニオブの2Kに匹敵する高いQ値を4K程度で実現できるため、2Kの超流動ヘリウムまで減圧する必要がなくなる。また、4K程度であれば液体ヘリウムを⽤いず市販の⼩型4K冷凍機での冷却が可能になり、⾼圧ガス対応も不要になる。ニオブスズの成膜研究はKEKでは2019年ごろから始まり、徐々にその性能を向上させてきている。2023年度に行った空洞成膜では、4.2Kで13.5MV/mとKEKで過去最高性能を記録した。また、同じ空洞を小型4K冷凍機(1.8W@4.2K)1台で伝導冷却し、7MV/mまで出すことができている。本ポスター発表では、KEKでのニオブスズに関連する最新の研究成果と今後の開発項目について報告する。