THP025  ポスター②  8月1日 2F交流ラウンジ 13:00-15:00
SuperKEKB陽電子ビームの輸送路でのエミッタンス増大の調査
Investigation of emittance blowup in the positron beam transport line for the SuperKEKB
 
○飯田 直子(KEK)
○Naoko Iida (KEK)
 
SuperKEKBではNano-beam-schemeやCrab-waist方式をとっている事からリングの力学口径が狭いため、入射ビームは電荷量が高くエミッタンスを小さく抑える必要がある。現在ピークルミノシティは4.65x1034 [/cm/s](2022年6月)であり、次の近目標は1x1035 [/cm/s]である。この目標達成のために陽電子入射ビームは、2バンチビーム入射、各バンチの電荷量を3nC、エミッタンスを水平方向100um、垂直方向20um以下に抑える必要がある。陽電子ビームはDamping Ring(DR)、Injector(LINAC)に続くビーム輸送路(BT)を通過して入射される。DRでの設計エミッタンスからBT終端での測定エミッタンスは、水平方向で65umから175umに、垂直方向で1umから25umに増大している。増大の主な場所は、水平方向にはDRからLINACへの出射路(RTL)で、垂直方向にはBT内で起こっており、本論文では、BT内のエミッタンス増大についての調査のまとめについて報告する。結果として、垂直エミッタンス増大は主にBT内の第3アークの偏向電磁石の非線形磁場により発生していることが分かった。また、当初BTの第1アークでCoherent Synchrotron Radiation(CSR)による水平エミッタンス増大が疑われたため、陽電子ビームをChamber内壁近傍を通すため偏向電磁石およびそのChamberを垂直方向にOffsetさせたが、CSRの影響は観測されなかった。