THP005  ポスター②  8月1日 1F大会議室 13:00-15:00
J-PARCハドロン実験施設における残留ガスビーム強度モニタを用いた 遅い取り出しビームの duty factor 測定
Measurement of duty factor of slow-extraction proton beams with a residual gas ionization current monitor in J-PARC Hadron Experimental Facility
 
○里 嘉典,豊田 晃久,森野 雄平,上利 恵三,秋山 裕信(KEK)
○Yoshinori Sato, Akihisa Toyoda, Yuhei Morino, Keizo Agari, Hironobu Akiyama (KEK)
 
大強度陽子加速器(J-PARC)ハドロン実験施設では、Main Ring から遅い取り出し法によって取り出された30GeV陽子ビームが 0.1 Pa 程度の残留ガス中を通過した際に生じる電離電子を電場と磁場によって垂直方向に平行移動させ、電荷信号として計測することによってビーム強度を測定するビーム強度モニタ(RGICM)を運用している。遅い取り出しビームの品質を表す指標として、ビームの duty factor が重要である。この指標が悪いと瞬間的なビーム強度が高くなって実験データ収集効率が低下し、結果としてJ-PARCの大強度ビームのメリットを十分に生かせなくなる。現在、duty factor はハドロン実験施設のビームラインに設置された真空膜でのビームロスをシンチレータで測定することによって算出され、おおむね 55 % 程度と評価されている。ビームロスをシンチレータで計測する方法では、瞬間的な強度上昇で信号が飽和するデメリットがある。同様の方法は、ハドロン実験施設の二次ビームラインにおいてπ中間子ビーム(2E+6 / shot)を用いて測定されているが、物理実験によってセットアップが変わる可能性がある。加速器調整のための指標としては、一次ビームラインにおいて同じ条件で duty factor を安定・継続的に測定できることが望ましい。本発表では、RGICMを用いた遅い取り出しビームの duty factor 測定、信号応答、及び今後の計画について報告する。