THP002  ポスター②  8月1日 1F大会議室 13:00-15:00
非破壊型静電セプタムを用いたJ-PARCにおける遅い取り出しのシミュレーションと新電場測定装置の設計
Simulation of a slow extraction in J-PARC using the non-destructive electrostatic septum and design of a new electric field measurement device
 
○永山 晶大(東北大),原田 寛之(原子力機構),下川 哲司(高エネ研),佐藤 篤(NAT),山田 逸平,地村 幹,小島 邦洸,山本 Kazami,金正 倫計(原子力機構)
○Shota Nagayama (Tohoku Univ.), Hiroyuki Harada (JAEA), Tetsushi Shimogawa (KEK), Atushi Sato (NAT), Ippei Yamada, Motoki Chimura, Kunihiro Kojuma, Kazami Yamamoto, Michikazu Kinsho (JAEA)
 
シンクロトロンにおけるビームの遅い取り出し技術は,最先端の物理実験や放射線がん治療の実現における要である.従来の遅い取り出し機器では,ビーム軌道上に配置されたセプタム電極とビームとの衝突によるビームロスが原理的に回避できず,機器の損傷・放射化がビーム出力の大強度化やビームの安定供給の妨げとなっている.我々は上記課題の解決を目指し,ビーム軌道上に物質を含まない,非破壊型静電セプタムの開発を進めている.これまでに,非破壊型静電セプタム小型試作機を製作し,その電場測定手法を考案して,試作機で形成される電場の評価を行った.測定装置の仕様上,評価可能な電場は中心軸上の一次元分布に限られるが,測定結果は計算と良く一致した.加えて,二次元の電場分布を測定し,より詳細な評価を行うために,本研究では水平・鉛直両軸にワイヤモニタを持つ新たな電場測定装置の開発を進めている.次に,本装置の加速器実機への導入を想定して,周回ビームへの電場の影響やビームロスを計算により評価した.計算モデルの電場分布を多重極展開し,加速器の収束構造として導入して,J-PARC における遅い取り出しを計算上で再現した.計算の結果,従来の静電セプタムと比較してビームロスが有意に減少し,周回ビームへの悪影響は非常に少ないという結果が得られた.本発表では,上述の周回ビームシミュレーションと新たな電場測定装置の設計について報告する.