THOT05  ビーム診断・ビーム制御/粒子源  8月1日 テルサホール 10:10-10:30
ミュオン選別可能な高感度ビーム位置モニター開発
Development of a high-sensitivity beam position monitor capable of muon identification
 
○宮原 房史,大谷 将士,三部 勉(高エネ研)
○Fusashi Miyahara, Masahi Otani, Tsutomu Mibe (KEK)
 
近年、次世代の衝突型加速器やミュオンの異常磁気能率測定を用いた標準模型の検証のためミュオン加速が注目され、ミュオン加速器が新しい物理を切り開く道具として注目されている。J-PARC muon g-2/EDM実験ではエネルギー212 MeVのミュオン線形加速器の開発、建設が進んでおり、現在低速部の加速試験を行っている。エネルギー40 MeV以降の加速はディスクロード型のS-band進行波加速管を用いる。コミッショニング初期段階ではパルス当たりのミュオンが数個レベルと非常に少ないことが予想され、さらに加速管から放出される暗電流がバックグラウンドとして混入してくる。このためビームと並走する壁電流や空洞に誘起される電磁場を測定して位置を求める従来の方法ではミュオンビームの位置を評価することが出来ない。そこで暗電流に紛れた極低電荷量のミュオンビームを選別して位置測定を行うためにチェレンコフ放射を用いたビーム位置モニターを開発している。チェレンコフ光の媒質はエネルギーに応じて耐放射線ガラスやシリカエアロゲルを検討している。チェレンコフ光は特殊なミラーを経由して平行光となり、レンズにより検出器に集光される。一方、電子から放出されるチェレンコフ光は検出器まで届かない。光学設計解析ソフトウェアを用いたシミュレーションでは検出した光の分布の重心からビーム位置を再現出来ることを確認した。この新しい位置モニターの設計と性能、開発を報告する。