THOP02  受賞講演  8月1日 テルサホール 17:10-17:30
機械学習法の導入によるX線自由電子レーザー性能の高度化
Advanced x-ray free electron laser performance by introducing machine learning
 
○岩井 瑛人(JASRI),前坂 比呂和(理研)
○Eito Iwai (JASRI), Hirokazu Maesaka (RSC)
 
X 線自由電子レーザー(XFEL)の特性は、6 次元位相空間内の電子ビーム輝度などによって決まり、理想とする電子ビーム分布を得るにはバンチ圧縮過程での多段の高周波位相・振幅調整による縦方向のバンチ形状の最適化に加え、多数の磁気レンズや四極電磁石による横方向のバンチ形状の最適化が重要である。また、複数のビームラインを持つ線形加速器ベースのXFEL施設では、各ビームラインの異なる実験要求を同時に満たすために、電子ビームのエネルギーとバンチ圧縮を適切に調整する必要がある。加えて、実験条件はユーザーとともに数日ごとに変化するため、効率的かつ迅速なビーム調整が極めて重要である。この課題を解決するため、我々はベイズ最適化を用いた自動調整システムを開発した。専用のGUIを整備し、操作インターフェースを工夫することで、運転員の経験や技量に依らず、安定に短時間で再現性よくレーザー光を調整できる。このツールは、中心波長やパルスエネルギーだけでなく、スペクトル形状や横方向のレーザープロファイルを含む性能指標を最適化することができる。SACLAの高い運転柔軟性と組み合わせることで、厳しい実験要求をほぼ満たすXFELの提供に貢献している。本発表では、この自動調整システムと、これを用いたSACLAでの活用について紹介する。