THOA05  ビームダイナミ/レーザー  8月1日 アプローズ 10:10-10:30
J-PARC 3GeVシンクロトロンの更なる大強度に向けたビーム損失低減の研究
Study on the mitigation of the beam loss for further beam power ramp-up in J-PARC RCS
 
○小島 邦洸,原田 寛之,地村 幹,サハ プラナブ(原子力機構, J-PARC センター)
○Kunihiro Kojima, Hiroyuki Harada, Motoki Chimura, Pranab Saha (JAEA/J-PARC)
 
J-PARC 3 GeVシンクロトロンでは、設計出力1 MW を超える大強度化に向け研究開発を進めている。このような大強度陽子加速器において出力を制限する最大の要因はビーム損失に起因する装置の放射化である。一般的にリング加速器では、粒子は収束電磁石などによる横方向のベータトロン振動数が共鳴条件に抵触すると振幅が大きくなり、ビーム損失に繋がる。そのため、その条件を避けるように収束力を設定する。しかし、強度が増大するにつれてビームの密度は高くなり、粒子間のクーロン斥力も増大、しいては収束力が低下に直結し、各粒子が設定と異なる振動数となり共鳴条件に抵触する可能性がある。そのため、大強度陽子加速器ではビーム損失に繋がる共鳴の同定及び安定領域の確保が非常に重要である。本研究の目的は、3GeVシンクロトロンの更なる大強度に向けた安定領域の拡充とビーム損失低減である。まずクーロン斥力の影響を排除する低強度ビームを用いて、ビーム損失に影響する共鳴条件が2次の非構造共鳴であることを同定した。次に、シミュレーションと実験の双方からこの共鳴の補正を追求し、ビーム損失の大幅な低減を実現した。さらに、大強度ビームにて実験を行い、この共鳴付近でのビーム損失が低減したことを確認した。本発表では、低強度時の共鳴補正手法と実験結果に加えて、大強度時のビーム損失低減などに関して報告する。