FRP098  ポスター③  8月2日 3Fホワイエ 10:00-12:00
理研28GHz超伝導ECRイオン源の高温オーブンを用いた鉛ビーム生成
Lead-ion beam production using high temperature oven of RIKEN 28-GHz superconducting electron cyclotron resonance ion source
 
○長友 傑,日暮 祥英,大西 純一,上垣外 修一(理研仁科センター)
○Takashi Nagatomo, Yoshihide Higurashi, Jun-ichi Ohnishi, Osamu Kamigaito (RIKEN Nishina Center)
 
理研仁科センターRIBFでは、現在、理研28GHz超伝導ECRイオン源(RIKEN 28-GHz ECRIS)によって生成された重イオンビームを用いて、宇宙・物質の創生の謎の解明を目指し、rプロセスに関与する中性子過剰不安定核を中心に原子核研究を推進している。今後、より質量の大きな原子核、例えば、鉛周辺の陽子過剰核構造の研究が計画されているため、鉛(Pb)イオンビームの開発を開始した。RIKEN 28-GHz ECRISでは、これまでに金属イオンビーム生成のため、イオン源プラズマチェンバー内で2000℃まで加熱可能な高温オーブン(HTO)の開発を行ってきた。このHTOは、側面に金属蒸気の噴出口(直径4mm)の開いた薄肉の円筒状のタングステン製坩堝である。坩堝本体に流れる400 A超の直流電流で発生するジュール熱で強熱された酸化ウランやバナジウム金属等の高融点物質は、蒸発し中性金属蒸気としてイオン源内のプラズマへ供給される。これら試料と比較して著しく低い融点のPb(融点327.5℃)の蒸発量を制御することが本開発の目的である。試料には、粉末状(粒径70ミクロン以下)の鉛金属を用いた。HTOと電気的に絶縁するため、HTO内にアルミナ製のるつぼを追加した。HTOと水晶振動子を用いた膜圧計を装備した真空容器を用意し、HTOでの消費電力(温度)と金属の蒸発量の相関を測定した。また、RIKEN 28-GHz ECRIS実機でのイオンビーム生成試験結果も報告したい。