FRP092  ポスター③  8月2日 3Fホワイエ 10:00-12:00
ミュオン顕微鏡のためのサイクロトロンで加速された5 MeVミュオンビームのエミッタンス計算
Beam emittance calculations of cyclotron-accelerated 5 MeV muons for muon microscopy
 
○大西 純一(理研仁科センター),永谷 幸則(高エネ研),中沢 雄河(理研仁科センター),後藤 彰,山崎 高幸,三宅 康博(高エネ研)
○Jun-ichi Ohnishi (RNC), Yukinori Nagatani (KEK), Yuga Nakazawa (RNC), Akira Goto, Takayuki Yamazaki, Yasuhiro Miyake (KEK)
 
J-PARC MLFの超低速ミュオンビームライン(30 keV)に小型サイクロトロンを設置してミュオンを5 MeVまで再加速し、得られた低エミッタンスのビームを用いることにより透過型ミュオン顕微鏡の実現をめざしている。サイクロトロンはすでに完成してビームコミッショニングを待っているところである。ミュオン顕微鏡を実現するためにはサイクロトロンで加速されたビームを10マイクロm以下に収束させる必要がある。また、顕微鏡の解像度はビームのエミッタンスに依存するため、ビームエミッタンスを可能な限り小さくすることが極めて重要である。超低速ミュオンはJ-PARC の3 GeV 陽子ビームから生成される表面ミュオンビーム(約4 MeVの 正ミュオン)をタングステンまたはSiO2 の二次標的に停止させてミュオニウムを生成し、軌道電子をレーザーで乖離して得られる。この超低速ミュオンビームの規格化エミッタンスは0.4pi mmmrad (1 sigma) 程度であるが顕微鏡の実現のためには不十分であるため、さらにミュオニウム生成とレーザーによる乖離を繰り返す2段冷却によって0.02pi mmmrad程度にする計画である。本発表では超低速ミュオン生成時のエミッタンス及びビーム輸送とサイクロトロンによる再加速時のエミッタンス増加について計算を行い、強度を低下させることなくミュオン顕微鏡入口におけるビームのエミッタンスを最小化することについて述べる。