FRP085  ポスター③  8月2日 3Fホワイエ 10:00-12:00
自己場支配領域におけるバンチドビーム輸送のエミッタンス増大計算
Emittance growth calculations for bunched beam transport in self-induced electromagnetic fields dominated region
 
○地村 幹(原子力機構)
○Motoki Chimura (JAEA)
 
大強度イオン線形加速器の初段部に代表されるように,ビームが高密度かつ低速の場合には,ビームが単位距離を進む間に自己場から大きな力積を受け取るため,急速なビーム分布の変化が引き起こされる。自己場が有意に働くことによってハミルトニアンが線形項のみで表すことができない場合,その摂動項によって作用変数分布が変動し,エミッタンスの増大を引き起こす可能性がある。特に大強度イオン加速器におけるエミッタンスの増大は,ビーム透過率の悪化及び機器の高放射化を引き起こし,大強度かつ高安定な加速器運転を阻害する。本研究では,大強度イオン線形加速器J-PARCリニアックの上流に位置する3 MeVビーム輸送路をモデルとしたビーム軌道計算を行うことで,自己場支配領域におけるエミッタンス増大の評価を実施した。本ビーム輸送路は数 m程度と短く周期的な収束構造を持たないことに加え,時間方向と横方向のビーム幅に大きな差はない球体に近いバンチドビームであるため,周期解や2次元ビーム形状を仮定しない解析方法が要求される。よって,本研究では自己場支配領域におけるエミッタンス変動についての理論式を提案し,その計算から既存Particle-in-Cellコードとの比較を示した。さらに,時間反転計算を行うことによってモニタ出力から初期分布を再構成した場合及び,非線形外場を導入した際の位相空間分布の変化についても同様の計算から評価を実施した。