FRP058  ポスター③  8月2日 2Fリハーサル室 10:00-12:00
並列回路で組まれた非線形抵抗器「バリスタ」による加速器用超伝導磁石保護システムの研究
Application of the parallel-scheme “Varistor” to the superconducting accelerator magnet as the energy extraction system
 
○西 将汰(神戸大学),鈴木 研人,菅野 未知央,中本 建志,荻津 透(KEK)
○Shota Nishi (Kobe University), Kento Suzuki, Michinaka Sugano, Tatsushi Nakamoto, Toru Ogitsu (KEK)
 
高エネルギー物理実験のための加速器用超伝導磁石の大口径化・高磁場化はビーム高輝度化の鍵である。しかしこの場合磁石蓄積エネルギーの増大に伴い、クエンチ保護がより重要となってくる。そのため、磁石内部へのエネルギー消失を抑えるため外部抵抗器の抵抗値を大きくし、エネルギー消費量を増やし磁石の温度上昇を抑えたいが、励磁回路部品や磁石材料の耐電圧設計の制限があるため抵抗値には上限が存在する。クエンチ時のヘリウムロスを抑えるため、KEKで製造を進めているHL-LHC向け超伝導双極磁石 D1 実機試験から、従来の固定抵抗器の代わりに並列回路構成の SiC製非線形抵抗器(バリスタ)を導入した。バリスタは、高電圧領域で線形抵抗と比べて大電流を流すことができるので、特に大電流を流す加速器用超伝導電磁石試験では効率よくエネルギーを取り出す事が可能となる。しかし、バリスタがもつIV特性の温度依存性・各個体の性能差は並列回路内で偏流を引き起こす可能性のため、磁石保護や回路への影響を監視しつつリスク評価する必要がある。本発表では、KEKで実施したこれまでのD1実機の励磁試験の結果を通し、並列回路構成のバリスタ保護システムの性能評価を報告する。また、独自に開発したクエンチシミュレーションにおいてバリスタの温度依存性や個体差を再現し、実験結果との比較を通して偏流がもたらす加速器用超伝導磁石保護への影響を考察する。