FRP052  ポスター③  8月2日 2Fリハーサル室 10:00-12:00
ILC主線形加速器用NbTi伝導冷却超伝導四極・双極複合磁石の開発状況
Development status of a NbTi conduction-cooled superconducting quadrupole magnet combined with dipole correctors for the ILC main linac
 
○山田 智宏,有本 靖,山本 明,大内 徳人(高エネ研),ソリヤック ニコライ,サイニ アルン(FNAL),堀井 弘幸,野元 一宏(三菱電機)
○Tomohiro Yamada, Yasushi Arimoto, Akira Yamamoto, Norihito Ohuchi (KEK), Nikolay Solyak, Arun Saini (FNAL), Hiroyuki Horii, Kazuhiro Nomoto (MELCO)
 
国際リニアコライダー(ILC)主線形加速器では、超伝導加速空洞が電子・陽電子ビームをそれぞれ125GeVまで加速し、超伝導四極・双極複合磁石がビームの収束および軌道補正の役割を担う。KEKでは、昨年度より5か年計画で、ILCプロトタイプのクライオモジュール1台の設計・製作を進めている。本発表の超伝導磁石はこのクライオモジュールの中央に設置・運用されるものである。超伝導磁石は2023年度に超伝導コイル、コイルケース、鉄ヨークなどといった各要素およびこれらを一体とした磁石の設計が完了し、またクライオモジュールとの取り合い部分については設計が完了しつつある。今後、2024年度から2026年度で磁石の製造および単体性能評価試験を実施する予定である。本磁石はモジュール中で熱伝導により冷却・運用されるため、励磁試験およびトレーニングに使用するクライオスタットとして小型4K冷凍機を搭載した液体ヘリウムフリークライオスタットを新たに製作することにした。さらに、ILCでは上流の加速空洞表面で自然発生する電界放出電子による暗電流シャワーが下流の空洞で加速され、超伝導磁石へ偏向入射することによって超伝導コイルが発熱しクエンチするリスクが指摘されている。そこで、ビームパイプと超伝導電磁石の間に暗電流の吸収体を導入することを検討している。本発表では、上記3つの開発項目についてその現状について報告する。