FRP050  ポスター③  8月2日 2Fリハーサル室 10:00-12:00
超伝導加速空洞における積層薄膜構造の研究
Study of multilayer thin-film structures in superconducting acceleration cavities
 
○佐々木 大成(東北大学),佐伯 学行,久保 毅幸,片山 領(KEK),岩下 芳久(京都大学),不破 康裕(原子力機構),佐貫 智行(東北大学)
○Taisei Sasaki (Tohoku Univ.), Takayuki Saeki, Takayuki Kubo, Ryo Katayama (KEK), Yoshihisa Iwashita (Kyoto Univ.), Yasuhiro Fuwa (JAEA), Tomoyuki Sanuki (Tohoku Univ.)
 
International Linear Collider(ILC)は建設が検討されている次世代の粒子加速器であり、電子と陽電子を直線型の超伝導加速器で加速することで、重心系エネルギー=250GeVで正面衝突させてヒッグスボソンを生成し、その詳細な性質を低バックグランドの環境下で研究することを主な目的としている。現在、超伝導加速空洞としてはNb製空洞が世界中で標準的に使われている。このNb製空洞は、実験的に加速勾配𝐸𝑎𝑐𝑐 ≈ 50𝑀𝑉/𝑚まで達成している。対して内面に積層薄膜構造を生成した加速空洞では加速勾配𝐸𝑎𝑐𝑐 ≈ 100𝑀𝑉/𝑚まで到達できることが理論的に予言されている。このような大幅な性能向上は、ILC等の素粒子実験分野だけでなく、加速器の小型化など産業応用面でも大きな進歩となる。先行研究によって、平板サンプル上での積層薄膜構造の生成とその有用性は確かめられた。今後は空洞内部の成膜実験に向けて、製膜手法の確立を進める。特に、合金を加速空洞内にスパッタリングで製膜するための混合カソードの開発が重要である。またマグネトロンスパッタリングを用いるため、磁場を考慮したスパッタリングのシミュレーションを行い、生成される膜の分布や膜厚を検討する。これらの実験条件の探索を進めることで効率的に製膜試験を行い、空洞での積層薄膜構造の性能評価を行う。本発表では、これらの加速空洞内部への成膜に関する研究の詳細を報告する。