FRP024  ポスター③  8月2日 2F交流ラウンジ 10:00-12:00
機械学習による電子線駆動陽電子源の最適設計
Optimal design of ILC e-driven positron source with machine learning
 
○栗木 雅夫,黒口 俊平,高橋 徹,リプタック ザカリー(広島大院先進理工),浦川 順治(学術振興会),榎本 善範,大森 恒彦,福田 将史,森川 祐,横谷 馨(高エネ研)
○Masao Kuriki, Shunpei Kuroguchi, Tohru Takahashi, Zachary Liptak (Hiroshima U. ADSE), Junji Urakawa (JSPS), Yoshinori Enomoto, Tsunehiko Omori, Masafumi Fukuda, Yu Morikawa, Kaoru Yokoya (KEK)
 
国際リニアコライダー(ILC)は、重心系エネルギーが250GeVから1TeVの範囲で動作するように設計された次世代電子・陽電子コライダーであり、標準模型を超える物理を探求する機会を提供する。ILCの重要なコンポーネントは電子駆動陽電子源であり、大量の陽電子を発生させるには高度な技術が必要である。従来の加速器設計手法では、逐次最適化を行うが、これは非効率的であり、全体最適を達成するためには困難であった。本研究では、ブラックボックス最適化手法の一つであるTree-structured Parzen Estimator(TPE)アルゴリズムを導入し、ILCの電子駆動陽電子源の設計効率を向上させた。Optunaを用いてTPEアルゴリズムを実装し、最大8個のパラメータを最適化した結果、陽電子捕獲効率は1.42となり、手動最適化で得られた1.20を大幅に上回った。この大幅な改善により、ターゲット破壊の安全基準を大きな余裕度で満たすことが期待される。最適化プロセスも迅速化され、時間は約1週間から約半日に短縮された。これらの結果は、加速器設計における機械学習技術の可能性を示すものであり、より広いパラメータ空間を探索し、局所的な極小値を回避することで、より包括的な全体最適化を提供するものである。