FRP010  ポスター③  8月2日 1F大会議室 10:00-12:00
J-PARC muon g-2/EDM実験における精密な三次元ビーム入射を実現するビーム位相空間分布の設計
Design of beam phase space distribution to realize precise three-dimensional beam injection at J-PARC muon g-2/EDM experiment
 
○小川 真治,阿部 充志(高エネ研),飯沼 裕美(茨城大学),大谷 将士,佐々木 憲一(高エネ研),高柳 智弘(原子力機構),三部 勉(高エネ研)
○Shinji Ogawa, Mitsushi Abe (KEK), Hiromi Iinuma (Ibaraki-Univ.), Masashi Otani, Ken-ichi Sasaki (KEK), Tomohiro Takayanagi (JAEA), Tsutomu Mibe (KEK)
 
J-PARC muon g-2/EDM実験では、低エミッタンスのミュー粒子ビームをコンパクトで一様性の良い磁場中に蓄積することで、先行実験とは異なる系統誤差でミュー粒子の異常磁気能率(g-2)を測定する。目標とする統計誤差・系統誤差を実現するためには、コンパクトな蓄積軌道に精度よく入射する必要があり、どのような軌道にどのようなXY結合をかけたビームをどのような磁場分布に入射すると精度がよくなるかについて検討してきた。 本発表では新たに考案した、精密なビーム入射のためのビーム位相空間分布の設計手法について報告する。本実験におけるビーム入射の精度とは入射後の縦方向ベータトロン振幅の大きさのことであるが、これは複雑な磁場分布中でのビームトラッキングの結果として出てくる値である。そのためシミュレーションにおいてでも精度を改善する方法が明らかではなかった。新しい設計手法では、入射後の振幅と同等の意味を持つ特徴量として発見した「入射前のビーム位相空間上でのあるスカラー関数の勾配ベクトルとの内積」を活用する。この新しい特徴量は線形代数で表現できるためビーム力学の枠組みに組み込め、ビーム入射精度や各ビーム診断・制御装置に必要な条件を一括して定量的に議論する枠組みを与える。本発表では入射ビーム位相空間分布の新しい設計手法、およびその手法を用いた入射精度を改善させる具体的なビーム分布の検討状況について報告する。