FRP002  ポスター③  8月2日 1F大会議室 10:00-12:00
J-PARCメインリング遅い取り出しにおける取り出し開始前のビームロスの原因の検討
Investigation of the cause of the beam loss before the start of the slow extraction at the J-PARC Main Ring
 
○武藤 亮太郎,浅見 高史,冨澤 正人(高エ研)
○Ryotaro Muto, Takashi Asami, Masahito Tomizawa (KEK)
 
J-PARCメインリングでは、ハドロン実験施設に向けて3次共鳴を用いた遅い取り出しを行っている。2024年4月のビーム調整では4.24秒に短縮された繰り返し周期でビームパワー81kWでの調整運転を行った。このとき、30 GeVまでの加速終了から遅い取り出しを開始する前までの間に、少量ではあるがビームロスが観測された。また同時に、ハドロン実験施設の高運動量ビームラインでも、ビームスピルの開始時に高いビームレートが2021年の運転時から観測されている。これらの現象のおこるメカニズムとしては、下記のことが考えられる。それは、加速終了後のフラットトップにおいて、横方向のビーム不安定性を減衰させるためにクロマティシティ補正を弱くしているために、運動量の大きなビーム成分がカップリングレゾナンスの影響を受けて横方向ビームサイズを増大させ、ビームロスを引き起こしている、ということである。この推測を確かめるために、フラットトップでのクロマティシティ補正を強くし、また鉛直方向のベータトロンチューンをカップリングレゾナンスから遠ざける操作を行い、効果をビーム試験で確かめた。この結果、取り出し開始前のビームロスが低減し、また高運動量ビームラインにおけるスピル開始時のピークも緩和されることを確認した。本発表ではこのビーム試験の詳細と、今後の計画について述べる。