FROT08  加速構造/ハドロン加速器  8月2日 テルサホール 15:10-15:30
J-PARC MRの高繰り返し化によるビーム強度増強のための縦方向シミュレーション
Beam longitudinal dynamics simulation for high-power upgrade of J-PARC MR
 
○杉山 泰之,清矢 紀世美,吉井 正人,大森 千広,原 圭吾,長谷川 豪志(KEK/J-PARC),田村 文彦,山本 昌亘,野村 昌弘,島田 太平,沖田 英史,宮越 亮輔(JAEA/J-PARC)
○Yasuyuki Sugiyama, Kiyomi Seiya, Masahito Yoshii, Chihiro Ohmori, Keigo Hara, Katsushi Hasegawa (KEK/J-PARC), Fumihiko Tamura, Masanobu Yamamoto, Masahiro Nomura, Taihei Shimada, Hidefumi Okita, Ryosuke Miyakoshi (JAEA/J-PARC)
 
J-PARC MRでは、周回粒子数の増加と繰り返し時間の短縮を組み合わせてビーム強度増強を進めている。 2021年から2022年にかけた長期シャットダウンの際にMRの繰り返し時間をそれまでの2.48秒から1.36秒へと短縮した。 繰り返し時間が短くなることにより、加速時間も短くなり、より高い加速電圧が加速空胴に求められることとなった。 このため、縦方向シミュレーションを用いて、短い加速時間で安定に大強度ビームを加速できる条件を検討した。 検討にはCERNで開発されているBLonDを用いて空間電荷効果や加速空胴のインピーダンスによる影響を考慮したシミュレーションを行った。 検討の結果、450kV以上の高い加速電圧に加えて、バンチ結合振動抑制のために加速空胴に対する幅広いハーモニクス成分でのビームローディング補償が不可欠であることがわかった。 こうして得られた運転パラメータを用いて高繰り返しサイクルでのビーム加速を行い、2023年12月には750kWビーム加速を実現することが出来た。 本発表では、検討に用いた縦方向シミュレーションの過程及び結果と、実ビーム測定結果との比較について述べる。