FROA08  光源加速器/加速器土木  8月2日 アプローズ 15:10-15:30
ナノテラスにおけるAPPLE II型アンジュレータ多極磁場の補正
Correction of higher-order magnetic field of APPLE II undulators at NanoTerasu
 
○保坂 勇志,安居院 あかね,稲葉 健斗,上島 考太,小原 脩平,西森 信行(量研),齋田 涼太,櫻庭 慶佑(NAT, 量研),山本 達(東北大学),福澤 宏宣(光科学イノベーションセンター),早乙女 光一(理研, 高輝度光科学研究センター),田中 均(理研)
○Yuji Hosaka, Akane Agui, Kento Inaba, Kota Ueshima, Shuhei Obara, Nobuyuki Nishimori (QST), Ryota Saida, Keisuke Sakuraba (NAT, QST), Susumu Yamamoto (Tohoku University), Hironobu Fukuzawa (PhoSIC), Kouichi Soutome (RIKEN, JASRI), Hitoshi Tanaka (RIKEN)
 
3 GeV高輝度放射光施設ナノテラスは昨年2023年6月より蓄積リングのビームコミッショニングを開始し、2024年4月よりユーザー利用運転を開始した。放射光をユーザーに提供するビームラインは運用開始時点で10本が整備されている。ナノテラスではビームライン10本のうち5本において挿入光源としてAPPLE II型のアンジュレータを採用している。APPLE II型アンジュレータは、磁石列をビーム軸方向に駆動することで放射光の偏光切替が可能であり、直線偏光・楕円偏光を一つのアンジュレータで生成できる利点がある一方、多極磁場を生み出し蓄積電子ビームに複雑な悪影響を及ぼす。4極磁場によるベータトロンチューンシフトについてはリング内の4極電磁石の調整によって補正が可能であるが、8極以上の多極成分に関しては電磁石による補正が不可能であるため、ナノテラスでは真空槽の上下面にカレントストリップと呼ばれる厚さ0.3 mm程度の導線を貼付し、直流電流を流し磁場を発生させ補正を行う。多極磁場は入射ビームのような大振幅ビームに大きな影響を及ぼすが、カレントストリップ補正を施したナノテラスにおいては初期10本のビームラインを全て稼働させてもビーム入射効率の低下は全く観測されていない。本発表では実際にナノテラスにおいて行っているカレントストリップ補正電流計算や、補正有無での振幅依存チューンの実測値の変化について報告する。