WEOB9  ハドロン加速器/加速器技術(真空)  8月30日 13号館1326教室 11:50-12:10
SuperKEKB加速器真空システムにおける機械学習を応用した圧力異常検知手法の検討
Investigation of a pressure anomaly detection method applying machine learning in the SuperKEKB accelerator vacuum system
 
○末次 祐介(高エネ研)
○Yusuke Suetsugu (KEK)
 
SuperKEKB加速器の真空システムは2016年の運転開始以来概ね順調に稼働しているが、ビーム電流が大きいこと、ビームロス・再入射の頻度が高いこと等から、強い放射光等による熱サイクルに起因するリークや、放電等による変則的な圧力上昇が度々発生している。通常のアラームが発報する前に圧力異常の兆候が検知できれば、大きなトラブルとなる前に迅速な対処が可能となる。そこで、機械学習を応用して圧力の異常な兆候をつかみ、注意喚起する異常検知手法を提案、検討している。まず、ビーム(再)入射から蓄積、ビームアボート直後までを1フィルとし、主リングのすべての真空計約600個について、調べたいフィルの8日前から3日間の圧力測定値を「標準データ」とみなし、圧力のビーム電流あるいは時間に対する変化をモデル化して基準となる回帰曲線を求める。次に、調べたいフィルの測定値(測定データ)と基準の回帰曲線から標準誤差を求め、それと標準データでの標準誤差との比などを特徴量として「正常」と「異常」をフィル毎に判断する(2クラス分け)。クラス分けの基準は、2層のニューラルネットワークを構築して2016年以降の真空トラブル発生時の圧力の振る舞いから学習した。2022年運転時の実際のフィルを使った模擬試験では、圧力異常の兆候を検知できることが示された。ここではこの圧力異常検知手法の検討状況等を報告する。