WEOA2 光源加速器 8月30日 13号館1325教室 9:20-9:40 |
単一サイクル自由電子レーザー発振を可能とする基本原理の実証 |
Experimental demonstration of the fundamental principle for single-cycle free electron lasers |
○田中 隆次(理研放射光センター),貴田 祐一郎(高輝度光科学研究センター),橋本 智(兵庫県立大高度研),宮本 修治(兵庫県立大高度研/阪大レーザー研),富樫 格,冨澤 宏光(高輝度光科学研究センター/理研放射光センター),後長 葵,金島 圭佑,田中 義人(兵庫県立大理学) |
○Takashi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center), Yuichiro Kida (JASRI), Satoshi Hashimoto (University of Hyogo, LASTI), Shuji Miyamoto (University of Hyogo, LASTI/Osaka Univ. ILE), Tadashi Togashi, Hiromitsu Tomizawa (JASRI/RIKEN SPring-8 Center), Aoi Gocho, Keisuke Kaneshima, Yoshihito Tanaka (University of Hyogo, Science) |
一般的な条件における自由電子レーザー(FEL)の光パルス長は、電子ビームに誘起される密度変調(=マイクロバンチ)の長さとほぼ等しいため、電子バンチを圧縮するか、シード光のパルス長を短くすることで短パルス化が可能である。しかしながら、マイクロバンチ長を発振波長よりも短くした極限の条件においても、理論下限である単一サイクルパルスの生成は不可能である。これは、電子がアンジュレータを通過する際に自身が放出した光から取り残される、いわゆる光スリッページと呼ばれる現象のためであり、単一サイクルFELを実現するためには、この効果を抑制する必要がある。我々はこれまでに、スリッページによるパルス伸長を抑制し、単一サイクルFELを実現するための新たな概念[1,2]を提唱するとともに、その基本原理を実証するための研究開発をニュースバル放射光施設の蓄積リングで進めてきた。2020年度までに必要な機器の整備が完了し、2021年度に本格的な実証実験を開始した。この結果、2022年2月に短パルスシード光を利用したコヒーレント光の発生に初めて成功し、約1年後の2023年2月に、基本原理である「チャープマイクロバンチによるコヒーレント光の短パルス化」を確認した。学会では、実証実験の概要と結果、及び理論計算との比較について報告する。 [1] T. Tanaka, Phys. Rev. Lett. 114, 044801 (2015) [2] Y. Kida et al., Appl. Phys. Lett. 109, 151107 (2016) |