TUP04  ポスター①  8月29日 14号館1421教室 13:30-15:30
SuperKEKB陽電子源における電子•陽電子バンチ特性の直接計測
Direct measurement of electron and positron bunch characteristics at the SuperKEKB positron source
 
○諏訪田 剛(KEK加速器)
○Tsuyoshi Suwada (KEK Acc. Lab.)
 
KEK電子(e¬-)陽電子(e+)入射器では、SuperKEKBリングへのe+入射増強を目指し、2020年夏期保守にe+捕獲部の改造を行なった. 本改造では、広帯域モニター(WBM)が新たに設置された.WBMの目的は、e+捕獲部におけるe-e+バンチ特性を同時分離計測することにより、両バンチの動力学に対する実験的検証とe+捕獲効率の最大化にある. 捕獲部は、上流のe+生成標的により放射線環境が悪いこと、ソレノイド電磁石列により設置空間の余裕が厳しいこと、さらに標的内ではほぼ等量のe-e+が生成され捕獲部ではほぼ並走するため分離検出が極めて難しいという問題があった. WBMの計測システムとその校正手法については第19回日本加速器学会で発表しているのでそちらを参照してほしい. WBMの検出信号は、広帯域オシロスコープにより短パルス波形として計測され、e-e+パルスの時間差から走行時間差、さらにパルス面積から電荷量、パルス幅からバンチ長、4電極信号からバンチ位置など、縦横方向のビーム特性を同時分離計測ができる.今回は捕獲部におけるe-e+バンチ特性を詳細に解析した.この結果、e+電荷量はバンチ特性と強く相関し、従来のように捕獲部後の電荷量計測だけではe+捕獲効率を最適化できないことがわかった.本報告では、捕獲部におけるe-e+バンチ特性の解析結果とWBM導入に至った経緯について触れておきたい.