TFSP06  ポスター③④ 施設技術報告  8月31日・9月1日 14号館1422教室 (8/31)13:30-15:30, (9/1)10:10-12:10
J-PARCミュオン生成標的の回転系トラブルとその対応
Trouble with the rotation system of the muon rotating target at J-PARC_MLF and its countermeasures
 
的場 史朗,○砂川 光,河村 成肇,小林 庸男(KEK物構研)
Shiro Matoba, ○Hikaru Sunagawa, Naritoshi Kawamura, Yasuo Kobayashi (KEK IMSS)
 
J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)では、3 GeV陽子シンクロトロンから中性子水銀標的までの間のビームライン上にミュオン生成用の回転グラファイト標的が設置されている.この等方性黒鉛は厚さ2cm直径33cmのドーナツ形状であり,4秒に1回転させて陽子ビーム照射位置を分散させることにより放射線損傷を低減させて黒鉛材料の寿命を延ばしている. 回転モーターからの回転トルクを磁気カップリングにて真空中の回転軸に伝達する回転導入器は,内部のベアリングの寿命のため2年ごとに交換されている.2021年夏期メンテナンスにおいて,回転導入器及び回転カップリングの交換が行われた.この作業後に回転トルクが増大する事象が発生した.メンテナンス前の回転トルクの振れ幅はモーター定格トルクの4-8%で推移していたが,メンテナンス後は-2-18%程度に拡大した.定格トルク100%でモータートルクは1 Nmである.回転システムが破壊に至るトルクは定格の500%程度,ビーム停止のインターロック設定値は25%であるため,回転システム全体が直ちに機能不全に至る状況ではないが,モニターを強化しながらビーム運転を行った. オフライン設備において回転システム異常の検証を行い,トルク異常増大の原因は回転カップリング締結部分のミスアライメントと推定された.2022夏メンテナンスにてミスアライメントは解消され,トルク値は定格4-8%程度の安定運転が可能となった.