TUP007  ポスター①  10月18日 会議室P 13:30-15:30
SuperKEKB加速器の真空システム -約6年間の運転経験と現状-
Vacuum system of the SuperKEKB accelerator - experiences in these six years operation and present status -
 
○末次 祐介,柴田 恭,石橋 拓弥(高エネ研, 総研大),白井 満,照井 真司(高エネ研),Yao Mu Lee(総研大),金澤 健一,久松 広美(高エネ研)
○Yusuke Suetsugu, Kyo Shibata, Takuya Ishibashi (KEK, SOKENDAI), Mitsuru Shirai, Shinji Terui (KEK), Mu Lee Yao (SOKENDAI), Ken-ichi Kanazawa, Hiromi Hisamatsu (KEK)
 
SuperKEKB加速器は、KEKつくばキャンパスにある電子・陽電子衝突型粒子加速器で、周長約3 kmの主リング(MR)にて4 GeVの陽電子と7 GeVの電子を衝突させ、B中間子領域での新しい物理現象を探索している。運転は2016年に始まり、2019年からはBelle II測定器を用いた本格的物理実験を継続しており、ルミノシティ(衝突頻度に相当)の世界記録を2020年以降更新し続けている。SuperKEKBのMRおよび入射路にある1.5 GeV陽電子ダンピングリング(DR)の真空システムは、運転開始以降ほぼ問題無く稼働している。MRの最大蓄積ビーム電流は、陽電子、電子各リングでそれぞれ1.02 A、0.8 Aである。アーク部の単位ビーム電流当たりの圧力上昇は、それぞれ、約7E-8 Pa/A、約1E-8 Pa/Aと、ビームパイプ内面の積分光子数と共に堅調に減少している。SuperKEKB用に開発・導入された様々な真空機器は概ね想定通り運転に供している。また、陽電子リングの電子雲不安定性はこれまでのところ問題となっていない。MR運転での喫緊の課題は、急激な(20~30 μs、即ちリング2~3周)ビーム損失とそれに伴うビームコリメータと呼ばれる真空機器の損傷で、その損失機構の解明と対策が急務となっている。ここでは、運転開始以降約6年間のSuperKEKB真空システムの経験と現状を報告する。