WEP023  ビーム診断・ビーム制御  8月11日 会議室P 13:10 - 15:10
SMAフィードスルー電極とビーム間の電磁結合のモード解析
Modal analysis of electromagnetic couplings between a SMA-feedthrough electrode and a beam
 
○諏訪田 剛(KEK加速器)
○Tsuyoshi Suwada (KEK Acc. Lab.)
 
KEK電子陽電子入射器では、SKEKBリングへの陽電子増強を目指し、2020年夏期保守にe+捕獲部の改造を行なった. 本改造では、e+集束用フラックスコンセントレータの放電対策、及びe+捕獲部の4箇所に偏向電磁石と広帯域モニターが新たに設置された. e+増強の成果については他で報告されるので、本報告では広帯域モニター設計方針について述べる. e+捕獲部は、上流のe+標的により放射線環境が悪いこと、ソレノイド電磁石列により設置空間の余裕が厳しいこと、さらにe+標的内でほぼ等量の電子と陽電子が同時に生成されるので広帯域に分解しないと分離検出が難しいという問題があり、これまで診断装置は設置されていなかった. 今回、e+捕獲部内で直接e+強度や位置を検出できないかとの要望を受け、広帯域モニターの設置に至った. e+捕獲部内では、磁場による横方向の閉じ込めと加速管による加速が同時に行われる. この結果、e-e+は各バンチの位相スリップ過程を通し軸方向にわずかな走行時間差を生じる.このような極短時間のe-e+分離検出をどのように実現するのかが課題となる. 広帯域モニターによるe-e+の同時検出という世界初の成果は、他に報告される. 本報告では、この広帯域モニターに用いたSMA電極とビーム間の電磁結合のモード解析を行い、基本波(TEM)と高次高調波(TE/TM)の結合の強さに関し定量的に評価したので紹介する.