WEOB02  加速器制御  8月11日 会議室B 9:20 - 9:40
機械学習手法を用いたXFELの自動調整
Application of Machine-Learning to Accelerator Operations at SACLA
 
○岩井 瑛人,杉本 崇,城地 保昌(JASRI),久保田 洸二,田尻 泰之(スプリングエイトサービス),前坂 比呂和,稲垣 隆宏,原 徹,田中 均(理研播磨)
○Eito Iwai, Takashi Sugimoto, Yasumasa Joti (JASRI), Koji Kubota, Yasuyuki Tajiri (SES), Hirokazu Maesaka, Takahiro Inagaki, Toru Hara, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center)
 
X線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLA では、2本のXFELビームラインとSPring-8 蓄積リングへ、異なるエネルギーやピーク電流のビームを振り分けて同時運転している。XFELではユーザー実験毎にビーム条件が変わるため、共通となる加速器部分の調整は非常に難しい。一方、XFEL利用の普及につれ、ユーザーからの要求は強度や安定性だけでなく、時間幅, 空間分布など、より高度な性能指標へとシフトしつつある。このような背景から調整の合理化の必要性が高まる一方、これまでは熟練運転員による1パラメータずつの手動調整が主で、複数パラメータの同時調整などが困難であった。そこで機械学習を導入し、加速器の複数の制御値をパラメータとして、性能指標を最大化することで、電子ビームを最適化するシステムを開発した。指標の最大化方法はNelder-Mead等の古典的手法もあるが、XFELの強度のような統計的不定性などを伴う実データを指標とする場合、特に多パラメータ空間においては、局所値に落ち込み調整が進まなくなる問題がある。本システムでは機械学習手法の一つであるガウシアンプロセスを用いてこれを回避し、多パラメータ空間においても効率的に最適化を進めることができた。このシステムを経験の少ない運転員でもGUIから使えるよう整備し、実際の加速器調整に活用している。この自動調整システムの仕組み、SACLAでの活用実績と他施設での応用、また今後の開発予定について報告する。