TUP058  施設技術報告  8月10日 会議室P 12:50 - 14:50
KEKコンパクトERLの現状
Present status of the compact ERL at KEK
 
○加藤 龍好,阪井 寛志,本田 洋介(高エネ研)
○Ryukou Kato, Hiroshi Sakai, Yosuke Honda (KEK)
 
エネルギー回収型線形加速器(Energy Recovery Linac, ERL)の小型実証機として建設されたコンパクトERL(cERL)は、応用超伝導加速器センターの管理下で、機構内外の共同研究者・研究協力者からなる超伝導加速器利用推進チームの協力を得て保守・運営され、超伝導加速器技術・ERL技術の産業応用を目指している。これまでNEDOの競争的資金によって進められてきた中赤外FELの開発は、昨年4月~5月で2台目のアンジュレータが設置され、6月にはFELシステム全体を使用した予備実験を行った。さらに光出力を増加させるため、予備実験で得られた知見をもとにより現実的なシミュレーションが試みられた。その結果、アンジュレータのテーパー化が光出力の増大に有効であるという結論を得て、磁石列取付ビームのサポートにシムを挟み込むことで、必要なテーパー化を実現した。これにより2月~3月のビーム実験では当初予定した光出力をほぼ達成できた。また、昨年秋の放射線変更申請により照射部ビームラインで利用可能な最大エネルギーが変更になり、これまでの核種に加えてZn-65, Cu-64, Cu-67, Zn-69mの製造が可能になった。ここでは2020年度のcERL運転と保守の状況、および研究成果の概要について報告する。