TUP022  ハドロン加速器/ビームダイナミクス・加速器理論  8月10日 会議室P 12:50 - 14:50
周期的強収束ラティスに整合した高密度バンチの初期位相空間分布生成
Generating pseudo-equilibrium phase-space distributions of particles in intense bunched beams focused by an arbitrary periodic lattice
 
○小島 邦洸,岡本 宏己(広大院先進)
○Kunihiro Kojima, Hiromi Okamoto (AdSE)
 
線形入射器中のビームは比較的バンチ長が短く、加えて重心運動エネルギーが低いため自己クーロン場の影響をより強く受ける。PICコードによる自己無撞着な多粒子シミュレーションは現在、大強度ビームにおける空間電荷効果の解明に欠かせない代表的研究手段となっている。PIC計算において特に注意を要するのは初期粒子分布の生成である。クーロン相互作用の長距離性により、大強度ビームはその位相空間密度に応じて自己組織化する。外場が周期的に変動する場合、定常状態(換言すれば、離散的な周期ラティス構造に整合した位相空間粒子分布)を構築するのは簡単ではない。これまで行われてきた多くのPICシミュレーションでは、いわゆる“二乗平均整合(rms matching)”、すなわち2次モーメントのみをラティスに整合させる近似的手法が用いられている。しかしながら、この粗い手法は粒子密度が高くなればなるほど大きな不整合につながり、ビームのエミッタンスを不可避的に増大させてしまうことが分かっている。Steven Lundらはこの問題を回避するため、2次元連続ビームに対して適用可能な近似的定常状態の構築法を考案した。本研究では、PICコードによる短バンチビームの系統的研究を念頭に、彼らの理論を3次元に拡張した。生成された3次元分布の安定性を二乗平均整合ビームと比較したので、その結果について報告する。