TUP004  加速器応用・産業利用/粒子源  8月10日 会議室P 12:50 - 14:50
保護膜コーティングによる高周波電子銃用Cs-Teフォトカソードの高耐久化に関する研究
Research on high durability of Cs-Te photocathode for RF-gun by protective film coating
 
○福岡 凜大,江澤 健太朗,小柴 裕也(早大理工総研),坂上 和之(東大光量子研),鷲尾 方一(早大理工総研)
○Rinto Fukuoka, Kentaro Ezawa, Yuya Koshiba (Waseda Research Institute for Science and Engineering, Waseda University), Kazuyuki Sakaue (Photon Science Center, Tokyo University), Masakazu Washio (Waseda Research Institute for Science and Engineering, Waseda University)
 
当研究室ではCs-Teフォトカソードを用いた高周波電子銃(RF-gun)による高品質ビームの生成に関する基礎・応用研究を行っている。フォトカソードとは加速器実験において用いられる電子源の一種であり、その性能は量子効率(Q.E.)と1/e寿命で評価される。本研究室ではフォトカソードとしてCs-Teを採用しており、Cs-Teは高い量子効率(~10%)と比較的長い寿命(2~3ヶ月)を併せ持つ高性能な半導体フォトカソードであるため世界中で研究が行われている。しかし、Cs-Teフォトカソードは加速器中に残存する酸素ガスなどの気体分子が表面に付着すると、その量子効率が著しく低下してしまうことが知られている。上記のような課題を解決すべく、フォトカソードの長寿命・高耐久化を目的として、Cs-TeフォトカソードにCsBrやCsI保護膜をコーティングする実験を行った。また、コーティングした膜厚の最適化を目的に酸素ガスを暴露し、評価を行った。なお、フォトカソードの寿命と保護膜厚の関係を評価するにあたり、酸素ガス暴露中の圧力変化に依らずより定量的な評価を行うために、暴露量とQ.E.変化の関係から寿命(L_0:暴露量による寿命)を算出した。本発表では、CsBrやCsI保護膜の膜厚依存性、及びコーティングによる酸素ガス耐性の向上に関して報告する。