THP051  光源加速器/レーザー  8月12日 会議室P 13:10 - 15:10
UVSOR-IIIにおけるガンマ線誘起陽電子消滅寿命-運動量相関測定法の開発
Development of gamma-ray induced positron age-momentum correlation measurements at UVSOR-III
 
○山本 涼平(名古屋大学),杉田 健人,平 義隆(分子研),平出 哲也(原子力機構),高嶋 圭史(名古屋大学),加藤 政博(分子研、広島大学)
○Ryohei Yamamoto (Nagoya Univ.), Kento Sugita, Yoshitaka Taira (IMS), Tetsuya Hirade (JAEA), Yoshifumi Takashima (Nagoya Univ.), Masahiro Katoh (IMS, Hiroshima Univ.)
 
陽電子消滅法はナノスケールの構造欠陥を検出する手法として、材料研究において広く用いられている。陽電子消滅法には、陽電子の消滅寿命と消滅ガンマ線エネルギーに見られるドップラー広がりとの相関を測定するAge-Momentum Correlation(AMOC)と呼ばれる測定法がある。陽電子は存在状態によって消滅率(寿命の逆数)が異なる。そのため、AMOCにより時間分解した消滅ガンマ線のドップラー広がりを測定することで、陽電子が試料中の構造欠陥に捕獲される過程を観測し、欠陥と不純物の関係についての情報を得ることができる。これまで、AMOCでは22Naなどの放射性同位体により試料外部から陽電子を入射する方法が一般的であった。しかし、放射性同位体を陽電子源とした場合、透過力の低さにより、厚さ数cmのバルク材料への適用はできない。また、高温、高圧などの過酷環境下での測定は難しい。そこで、UVSOR-Ⅲにおいて逆トムソン散乱ガンマ線を利用し、試料中で陽電子を生成する測定法であるGiAMOC(Gamma-ray induced AMOC)システムの開発を行った。また、開発した計測システムを利用し、陽電子寿命測定用標準物質の測定を行った。本年会では、開発した計測システムの現状及び、標準物質の測定結果から見出された計測システムの今後の展望について報告する。