THP002  加速器応用・産業利用/粒子源  8月12日 会議室P 13:10 - 15:10
日大LEBRA-PXR線源の現状と高度化の検討
Current status of the LEBRA-PXR source at Nihon University and the plan of the evolution
 
○早川 恭史,早川 建,野上 杏子,境 武志,住友 洋介,高橋 由美子,田中 俊成(日大LEBRA)
○Yasushi Hayakawa, Ken Hayakawa, Kyoko Nogami, Takeshi Sakai, Yoske Sumitomo, Yumiko Takahashi, Toshinari Tanaka (LEBRA, Nihon U.)
 
日大LEBRAでは125MeV電子リニアックを用いた,パラメトリックX線放射(PXR: parametric X-ray radiation)を放射源とするX線源を運用している。共同利用光源として運用を開始してから約17年経過したが,空間コヒーレンスを利用した先端的なイメージングなどの応用が開拓され,成果が得られている。生成可能なX線エネルギーは放射源に用いる結晶の種類に依存し,シリコン単結晶Si(111)面あるいはSi(220)を用いることで,4~34keVの範囲で発生させた実績がある。ダイヤモンド結晶を用いた試験を実施し,50keV以上のX線ビームの発生を確認してはいるが,線源として安定に運用するためにはSi単結晶を用いる方が現実的である。高次反射面を用いる場合,光子フラックスが低くなる問題はあるが,近年,X線イメージ検出器の性能改善が進んでいるため,Si(311)面あるいはSi(400)面での運用を検討したい。中小規模の加速器で40keV以上の単色X線が得られることの意義は大きいと思われる。また,高エネルギー化だけでなく,PXRビームを集光する手法の開発にも着手したい。PXR線源は時間分解吸収分光などへの応用の可能性を秘めているが,出力窓から引き出された時点で直径100mmに広がり微小な試料を扱うのに不向きであるところが,この様な応用にとって大きな制約となっている。集光する手法が確立されればこの状況を大きく変えることができるため,湾曲結晶の利用などについて検討したい。