THOB01  ビームダイナミクス・加速器理論/粒子源  8月12日 会議室B 10:10 - 10:30
J-PARC MRにおける三次構造共鳴補正
Compensation of third-order structure resonances in J-PARC MR
 
○安居 孝晃,五十嵐 進,佐藤 洋一,小関 忠(KEK)
○Takaaki Yasui, Susumu Igarashi, Yoichi Sato, Tadashi Koseki (KEK)
 
六極磁場が励起する三次構造共鳴を補正するために、大強度陽子加速器施設(J-PARC)の主リング(MR)において、新しいビーム光学系を考えた。この光学系では、六極磁場源である六極磁石や偏向磁石が存在する加速器の曲線部の位相進みを適切に調整することで、共鳴の補正を実現している。シンクロトロンの対称性が保たれている限り、六極磁石の強さ(用いてなくとも適用可能)や加速器の直線部の光学系、入射ビーム条件への制約が少ないことがこの補正手法の特長である。この手法は、MRのニュートリノ利用運転におけるチューンの近くに存在する三次構造共鳴nx-2ny=-21を補正することで実証された。共鳴の補正は、アパーチャサーベイシミュレーションにより確認された後、ビームを用いた3種類の測定でも実証された。1つ目は横方向の二極振動のカップリング測定で、補正後の光学系を用いることで、補正前には観測されていたカップリングの解消が測定された。2つ目は、三次構造共鳴に由来するビームロスが補正後の光学系を用いることで有意に減少することを確認した。3つ目は、三次構造共鳴由来のビーム位置振動のフーリエスペクトルが補正によって抑えられていることを確認した。