WEPP60  ポスターセッション①  9月2日 ポスター会場 12:40-14:40
コンパクトERLの赤外FEL用シケイン電磁石の性能と運転
Performance and operation of a chicane magnet for the cERL IR-FEL
 
○中村 典雄,東 直,原田 健太郎,島田 美帆,満田 史織,高木 宏之,長橋 進也(高エ研),魯 垚(総研大)
○Norio Nakamura, Nao Higashi, Kentaro Harada, Miho Shimada, Chikaori Mitsuda, Hiroyuki Takaki, Shinya Nagahashi (KEK), Yao Lu (SOKENDAI)
 
コンパクトERL(cERL)の赤外FELにおいて、シケイン電磁石が2台のアンジュレータ間に置かれ、電子バンチ内のエネルギー変調を波長間隔の密度変調(マイクロバンチング)に変換することによって赤外FEL出力を高めるために使用される。このシケイン電磁石はもともと分割型偏光制御軟X線アンジュレータ用移相器のプロトタイプとして開発・製作され、ヒステリシスの小さい積層パーマロイコアを持つ3つの偏向電磁石で構成される。3つの偏向電磁石の磁場はそれぞれのコイルに電流を供給する3つの電源によって独立に制御できる。シケイン電磁石が作り出すバンプ軌道による縦方向分散(R56)の値は、17.5MeVの電子ビームに対して最大で-6mmである。シケイン電磁石は2020年2月にアンジュレータ1号機とともに設置され、3月のcERL運転ではビームを使ったバンプ軌道調整が行われた。アンジュレータ2号機設置後の6月には赤外FELとともに本格的な運転が始まる予定である。本発表では、このシケイン電磁石の性能と運転について報告する。