THPP61 ポスターセッション② 9月3日 ポスター会場 13:10-15:10 |
PF2.5GeVリングのハイブリッド運転モードへの高調波空洞導入の可能性 |
Simulation study for bunch lengthening in Photon Factory Hybrid operation mode |
○山本 尚人,田中 織雅,高井 良太(高エネ研) |
○Naoto Yamamoto, Olga Alexandrovna Tanaka, Ryota Takai (KEK) |
KEKフォトンファクトリー(PF)はKEKつくばキャンパスにあるエネルギー2.5GeV, 周長187m, エミッタンス34.6 nmradの放射光蓄積リングである。PFリングでは単バンチビームからの放射光を利用した時間分解計測を必要とするユーザー向けにハイブリッド運転を設けている。ハイブリッド運転では通常運転時よりバンチギャップを大きくし、その中央に高電荷の単バンチを蓄積する。 単バンチ部の蓄積電流値はビーム寿命やダクトの発熱、不安定性の発生を考慮して決定しているが、2012年当時に50 mAであったのに対し近年では30 mAまで下がっている。この理由は真空チャンバーの改造によりリングのインピーダンスが低下し、結果としてバンチ長が短縮したことが主であると考えられる。 本研究ではより高い単バンチ電流を実現することを目的にPFリングの過去の運転記録を調査すると共に、高調波空洞によるバンチ伸張可能性を検討した。バンチ伸張の検討にはリングのインピーダンスの存在やハイブリッド運転時に空洞電圧がバケット毎に異なることを考慮する必要があるため、解析的な検討は困難である。そこで、発表者らが近年開発した多粒子トラッキングコードmbtrackを用いることにした。 検討の結果、現在のPFリングに1.5GHzのTM020空洞を1台インストールすることで、2012年の運転時よりも長いバンチ長が実現でき、その結果50 mA以上のシングルバンチ電流を期待できることがわかった。 |